Library of Alexandria(MtG)

登録日:2016/07/27(水) 22:44:21
更新日:2022/04/03 Sun 09:21:31
所要時間:約 4 分で読めます




《Library of Alexandria》は、Magic the Gatheringの黎明期に存在したカード。収録されたのはマジック最初のエキスパンション、アラビアンナイト。
時に「土地ゲー」とも揶揄されるMtGの歴史上でも、五指に入るほどに強力な土地の一枚でもある。


Library of Alexandria
土地

(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(T):カードを1枚引く。この能力は、あなたの手札にカードがちょうど7枚ある場合にのみ起動できる。


起動条件こそあるとはいえ、土地1枚=1マナで毎ターンカードを引くことができるというとんでもない効果を有する。
4マナ使って出し、さらに1ターンに1度4マナ使ってやっと1枚ドローの《ジェイムデー秘本/Jayemdae Tome》ですら、
ドローエンジンの選択肢に挙がる事があるのだから、そのマナ効率は異常だと言う他ない。

でも「手札がピッタリ7枚じゃないと駄目なんだし、意外と大したこと無いんじゃね」とか思うかもしれない。

だが、その考えはあまりにも甘い。なぜならMtGの初期手札は7枚なのだ。
例えばパーミッションとかのコントロールデッキで後攻の場合、
後手1ターンにこれをセットすると、そのターンからもう能力を起動できてしまう。
(こういった「カードドロー→土地セット→ターンエンド」という動きを繰り返すデッキを特にドロー・ゴーと呼んだりもする)
一度起動させてしまえば、それ以降は次なるドローカード(規制が掛かってなければ2枚目以降のLibrary of Alexandriaを含む)が手札に来る確率も高まるため、ますます楽に手札7枚を維持することができる。

しかも土地であるため破壊される危険が少ない。
(当時は《露天鉱床/Strip Mine》、現在は《不毛の大地/Wasteland》があるため意外にパリンパリンと割られるが)
ついでのようにマナ能力まで持っているため最悪は無色土地としても運用可能と、隙が見当たらない。


およそ全てのTCGアドバンテージを稼ぐことが勝利に直結するが、
それをこれほど容易く得られたのではゲームにならない。
実質「引いた者勝ち」であり、"I Win"なんてニックネームがつけられた。


その余りの強さから、かのパワー9に匹敵する力を持つとされ、黎明期のプレイヤーたちに特別に仲間入りを許された。
これをひっくるめて、特にパワー10と称したりもする。
これはパワー9に属する他のカードとの相性が抜群だったことも大きい。1マナ3枚ドローの《Ancestral Recall》や3マナ7枚ドローの《Timetwister》は《Library of Alexandria》の能力の起動を大きく助け、《Black Lotus》やモックスといったマナ・アーティファクトが失ったテンポを回復させてくれる。


カード・プールの都合上、現在このカードが構築環境で使用可能なフォーマットはエターナルに限られ、そのうちレガシーでは当然の如く禁止カードだが、ヴィンテージでは制限カードに止まっている(基本的には禁止カードの存在しないレギュレーションであるため)。
そのヴィンテージは先述した《Black Lotus》やMoxenの影響もあって超高速環境であり、比較的悠長なこのカードの採用率は他の制限カードと比較してもそれほど高くない。

だが、超高速環境であると同時にゲームが長引きやすいという特徴もあり*1、こうした環境を利用してパーミッション系のデッキもちょくちょく見られる。
そして、そうしたデッキが見事これを引き当てたならゲームは終わってしまう。
I Winは未だ健在なり、である。


リメイクカード


Magus of the Library / 図書館の大魔術師 (緑)(緑)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(T):カードを1枚引く。この能力は、あなたの手札にカードがちょうど7枚ある場合にのみ起動できる。
1/1

クリーチャーになっただけで、テキストは全く一緒。
しかしクリーチャー呪文になったことで(緑)(緑)というマナコストと色拘束がつき、土地よりも格段に壊れやすくなり、また召喚酔いのせいですぐに効果が使える訳でもない、とかなり弱体化している。


The Biblioplex / 大図書棟
土地
(T):(◇)を加える。
(2),(T):あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。それがインスタントかソーサリーであるカードなら、あなたは「それを公開し、あなたの手札に加える。」を選んでもよい。あなたがそのカードをあなたの手札に加えなかったなら、あなたはそれをあなたの墓地に置いてもよい。あなたの手札にちょうど0枚か7枚のカードがあるのでなければ起動できない。

Library of Alexandriaと《海門の残骸/Sea Gate Wreckage》を足したような土地。インスタントとソーサリーを主体のデッキにしなくてはならないものの、「カウンターを手札にため込みまくって7枚キープのコントロールデッキ」「火力呪文を唱えまくって手札0枚が基本のバーンデッキ」のどちらでも使える。
また効果が「してもよい」なので、インスタントやソーサリーを墓地に送ったり公開せずにそのままにするという選択もとれる。本家にはカードパワーでは大きく見劣りするものの、意外と器用。


余談


このカード、名前からも分かる通りエジプトのアレクサンドリアに建てられた実在の図書館、「アレクサンドリア図書館」をモデルにしている。
能力や土地柄を考えても「伝説の土地」に相応しい感じがするのだが、普通の土地である。
これはレジェンド・ルールが初登場したのがもっと後のレジェンドというエキスパンションだからである。

デュエル・マスターズ(漫画)がマジックを扱っていた当時、栄えある第一回目に主人公切札勝舞がプレイした最初のカードがコレ。
ギャラリーから「それは禁止カードのはず!」と総ツッコミが入ったが、これは数年前に作成された父親のデッキをそのまま使っていたため。

そんなわけで、パラレルマスターズにおいてデュエル・マスターズのカードとして輸出された。
Library of Alexandria UC 無色 (マナコストなし)
土地
自分のターン中、攻撃の前に、自分の手札がちょうど7枚なら、マナゾーンにあるこのカードをタップしてもよい。そうしたら、カードを1枚引く。

デュエマ史上初の「土地」カードで、バトルゾーンに出せずプレイすることもできないため、マナゾーンに置かれた際に正位置になるよう、上下逆さまに印刷されている。
ポータル出身のカードみたいな起動タイミング制限がついている以外はほぼ本家と同じ能力が書かれているが、デュエマは初期手札が5枚であるため、MTGのように1ターン目に設置して後は延々ドローするような使い方はできず、ぶっ壊れカードとはなっていない。

ちなみに、他に示された投入カードは防御手段の《Moat》に試合の決まり手《天秤/Balance》と《ズアーの宝珠/Zuran Orb》のコンボだった。
コロコロコミックの掲載にしては物々しい名前が並んでいるが、それだけに当時本人未登場ながら父親の強い印象が際立っている。


追記・修正は《Library of Alexandria》をセットして"I Win"と呟いたことのある人がお願いします。


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最終更新:2022年04月03日 09:21

*1 コンボなどに特化してフィニッシャーをかなり絞ることが多いため、相手にうまくかわされると決定力を欠きやすい。