ケムラー

登録日:2016/7/13 Wed 9:32:00
更新日:2023/02/25 Sat 20:48:18
所要時間:約 3 分で読めます





空想特撮シリーズ・ウルトラマン

第21話『噴煙突破せよ』

毒ガス怪獣 ケムラー 登場



身長:35メートル
体重:1万t
出身地:大武山火口


概要

死火山と思われていた大武山(おおむやま)の火口から突如出現した怪獣で、原始両生類の一種とも言われている。
4足歩行で這い回るように移動し、背中にある2枚の甲羅は非常に頑強で、二股に分かれた尻尾の先からは破壊光線を放つ。
また、大きく裂けた口からは黒色の毒ガス「ダークセント」を放ち、10㎞四方のあらゆる生物を死に追いやってしまう。

劇中では、最初は大武山の火口に潜んで姿を現さなかったが、それでも毒ガスで周辺の動物を死滅させる威力を見せていた。
だが、調査に訪れたフジ隊員とホシノ少年の乗る小型ビートルを襲撃しに遂に正体を現し、フジ隊員が昏倒しているために発進できない小型ビートルに襲い掛かる。
間一髪で小型ビートルはムラマツキャップに叱咤されたホシノ少年の必死の働きで緊急発進し難を逃れるが、これで完全に存在を認定される。
その後は姿を隠すことなく、たまたま通りかかった旅客機を甲羅に引っ掛けて撃墜したりしながら大武市を目指す。
途中で自衛隊の迎撃に会うものの、毒ガスと破壊光線であっさりと返り討ちにしてしまった。
一方で科特隊はホシノ少年の助言で、ケムラーの急所をついて一発で倒すために新兵器「マッドバズーカ」を開発。
なおも接近を続けるケムラーに対してウルトラマンも登場。しかしスペシウム光線が直撃してもケムラーはまったくの無傷であった。
急所を狙わなくてはケムラーは倒せない。しかもマッドバズーカの弾はたった一発。
そこでウルトラマンはケムラーの甲羅を無理矢理開かせ、その下に隠された光る心臓を露出させた。
狙い撃たれたマッドバズーカは見事に心臓を粉砕。致命傷を受けたケムラーはよろめきながら大武山の火口へと身を投げて大爆発とともに消え去るのだった。


総括

マッドバズーカで急所を貫かれるまでは一方的に暴れ続けており、ウルトラマンが戦った怪獣の中でも上位に入る強さを持っている。
特に防御力はスペシウム光線の直撃を顔面に浴びても無傷という高いレベルであり、アントラーキーラケロニアと並ぶ。
もちろん毒ガスの威力でもウルトラマンを大いに苦しめ、このことはハヤタ隊員ことウルトラマン本人も、
「マッドバズーカをケムラーに撃ち込まなかったら、ウルトラマンはケムラーの亜硫酸ガスの犠牲になったかもしれない」
と、科特隊の活躍を高く評価している。


派生作品

○一峰大二のコミカライズ版
大武山の地震観測所を訪れたハヤタ、フジ、ホシノの一行は、突然岩が浮き上がるという怪奇現象に遭遇する。
やがて毒ガスと共に地震が起き、フジとホシノを乗せたビートルが破壊されそうな危機に直面し、ハヤタはウルトラマンに変身してこれを救出。余勢を駆って大武山の火口に駆け上るも、何者かに連打される。
噴煙の中にシルエットで現れた謎の怪獣にガスを吹き付けられたウルトラマンは、地割れに飲み込まれて地中に姿を消す。
その後、大武市のど真ん中にいきなり出現し、毒ガスで多数の犠牲者を出しながら暴れまわる。
なお出現時に「ケムラーだ」と名指しされているため、以前にも出現した例がある模様。
工場の煙突から出る排気ガスを好んで飲み込み、有毒ガスに変えて吐き出す能力を持っており、偶然だろうが後年のヘドラの先取りである。
また、有毒ガスを建物に吹き付けて、風船のように宙に浮かせては落として破壊する芸当も見せた。
ムラマツキャップの推測では、ケムラーは廃棄ガスが好きなために火口に住んでいたが、
大武山が活火山化したので中にいられなくなり、廃棄ガスの多い都会に出てきたのだということ。
毒ガスの威力はTV版より強力になっており、周囲に滞留すればスペシウム光線も散乱してしまい*1、強風が吹いても流されない。
一方で急所は背中の心臓から喉に変わっており、ここを狙ってマッドバズーカを撃ち込まれる。
しかし一発しかない弾は不発となり、もはや万事休すかと思われたが……

ウルトラセブン
一峰大二版の漫画に登場。と言っても雑誌連載に登場するわけもなく、完結後に書き下ろされた「宇宙獣神 ゴードの巻」であるが。
バルタン星人イカルス星人により蘇らされた怪獣傭兵の一匹。
最後の力を振り絞って変身したセブンによりバルタン星人が斃されると、イカルス星人に誘導されて母艦に逃げ込んだが、宇宙空間で母艦諸共ゴードの一撃で爆砕された。

ウルトラファイト
初代ウルトラマンに持ち上げられ、そこからコブに一撃を喰らって倒された。

ウルトラマンパワード
身長:85m
体重:3万t
第2話「その名はウルトラマン」に登場。
27年前の1976年の中国にも出現しており、髑髏のような頭に乱杭歯、鼻や口から垂らす黄色い粘膜というすさまじい凶悪面。
ベック曰く「親しみの持てる顔じゃない」。ケンイチ・カイ曰く「オバケイグアナ」。
地面と森を割りながらその巨大な顔を飛び出させたシーンはOPにも使われていて印象深い。

甲羅を開くと「真っ赤な肉剥き出しの背中とド派手な彩色の目玉模様」で一気に派手派手しくなるが、甲羅を閉じると全身地味な灰色一色になるという、ギミックと色彩変化を織り込んだなかなか秀逸なデザインとなっている。
あまり触れられないが、四足怪獣にして膝をつかない造形であることもポイントが高い。
尻尾の先から黄色い亜硫酸ガスを放つが、口からは特に何も出さない。代わりにものすごく長い舌を軽く数百メートルは飛ばしてくる。
恐ろしい大食漢でもあり、牧場の大量の牛を一晩で食らいつくした。人間も襲っていたようだが食われた人がいたかは不明。

ウルトラマンパワードと取っ組み合って甲羅を開かれ、腰の神経塊*2をストライクビートルのミサイルで撃ち抜かれて倒された。

ウルトラ怪獣かっとび!ランド
毒蛇とサソリとスズメバチに襲われていたウルトラの母の眼前で屁をこいてしまい、死の寸前まで追い込んでしまうハメに。
また、4コマでは甲羅に鈴をつけてスズムシとして可愛がってもらおうとした一コマも存在する。

ウルトラマン超闘士激伝
キング星の試練獣として登場。
漫画ではカットされたが、GB版ではボス敵として登場する。

ウルトラマンSTORY 0
ガボラと共に大地を引き裂いて出現。毒ガスを吐きまくって周囲の自然を破壊していた。
ゾフィーウルトラセブンを頑丈な五体で苦しめ、更にガボラと合体し、ガスをロケットのように噴射してガボラのトサカで突くという攻撃に出たが、
ミクロ化したセブンバリアーで射出する「ウルトラリブット」間違ってもマレーシアのウルトラマンではないでガボラ共々ぶち抜かれて粉々に吹き飛んだ。

〇大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー
過去編でアーストロンサドラガギ、エリガルとともに登場した。
最後は惑星ボリスの消滅に巻き込まれて死亡したと思われる。


余談

ウルトラQ』で使われなかった脚本の中には「ケムラーの逆襲」というものがあるが、こちらにおけるケムラーは「名は体を表す」ということわざの通り、毛虫の怪獣という扱いだった。
しかし、初代『ウルトラマン』におけるケムラー登場シーンで『ウルトラQ』のBGMが流れた事から、ひょっとしたら制作側も多少は意識していたのかもしれない。


追記・修正は防毒マスクをかぶってお願いします。

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最終更新:2023年02月25日 20:48

*1 レーザーの類は不純物が多い空間ではドンドン威力が下がる傾向にある。

*2 一部の爬虫類などに存在する「第2の脳」とも呼ばれる運動神経の塊。