神職系女性(萌え属性)

登録日:2016/07/07 (木) 15:12:48
更新日:2021/11/03 Wed 08:56:22
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本項では主に巫女シスター以外の宗教的な職業に就いている二次の女性キャラについて記す。
「神職」とあるが仏教系もあるのは……項目名の提案を願う。
三次等の解説は可能な人に追記・修正求む。




◆第三勢力的ポジション

上記単独項目二つのように、宗教的属性を持つ萌えキャラというのは一定数存在する。
その中で「神道巫女とシスター」という二大派閥以外のキャラクターは第三勢力的になるきらいがある。

なぜこうなるかと言えば、世界三大宗教のうち残り二つはキャラクター数が少ないなどがあるからだ。


仏教系はそこそこだが……


仏教の尼僧はそれなりの数はいるが、イメージ的な統一性がやや薄い。
これは恐らく大きな記号のうち「禿頭」などが萌え属性的に難しいからと思われる。

夏目雅子の演じるドラマ版西遊記や山口貴由の「悟空道」での女性三蔵は劇中通して剃髪しているが、最近Fate/Grand Orderに実装された玄奘三蔵や東方の雲居 一輪聖 白蓮には髪があるし、白蓮は他のキャラクターらに比べぱっと見で僧服と分かるような頭巾などの装具がない。
男に関しても言ってしまえば峰倉かずやの「最遊記」ではショートカットだが金髪だったり。(「禿頭」だけに限るとボトムズ序盤のフィアナや手塚治虫「ガラスの城の記憶」などもあるが、やはり長編でメインヒロインが通してその状態という例ではない)

うしおととらの日崎御角らお役目様も全員髪はあるし和服なので、巨大な仏門宗派で僧侶たちの畏敬を集める存在だが尼僧のような見かけではない。
このように「紅白の服や袴で巫女」とか「白や黒の長い修道衣でシスター」といった、分かりやすい記号性が仏教ではやや付与しにくい感がある。
さらに言えばシスターの翻訳としても「修道女」ではなく「尼」という呼称があったりもするので余計目立ちにくい。

イスラム教はそもそも法学者などがメインなのでそういう女性キャラは……。
中東系ファンタジーの世界で聖職者女性というと、後述の古代エジプト・アラビア世界的ビジュアルの方が強めと思われる。

つまり「神道巫女とシスターの二大派閥」と差別化されたキャラは「三大宗教の他二つ以外」の方が間口が広い。
だが三大宗教以外のビジュアルイメージは受け手にとってもそう強くないため、3×3EYESのアジア描写のような「一定の地域(とそこに根差す宗教的アイテム)に拘った伝奇作品」などでなければ、どうしても一つの宗教などを掘り下げたものより、広く地域イメージを取った描写になる。

そのため「宗教系萌え属性女子」といったものを考えるとどうしても「日本・欧米・その他」という地域的構図が生じやすい。
これらは前例や資料数などにもモロに影響するため、地球の現在の歴史や宗教バランスが一切関係ない世界観にあっても似た風になる傾向がある。


◆モチーフとなる地域での分類

前述の「二大派閥」と「三大宗教ほか二つ」以外からモチーフを取ると、

①東南アジア・北米インディアン部族・南米・アフリカなどに見られる「肌が黒くジャングルや草原で暮らす人々が崇める感じのシャーマン(女性)」という風貌。
最近「世界樹の迷宮Ⅴ」に追加されたクラス「シャーマン」などはこの辺の枠である。(褐色肌、修道衣や巫女服と全く無関係なカラーリングの装束、頭に動物の角らしきものを装備している点など)

遊戯王のイシズ・イシュタールのような「古代エジプトなど砂漠世界で昔崇められていた宗教の巫女」という感じ。この辺は中東系、ようはアラビアンファンタジーに見られるビジュアルである。

この辺が多くなるだろう。インドっぽい世界では中間くらいだろうか?

因みに「白人が崇めたり怖れる、白人系で巨大一神教の巫女っぽくないキャラ」の需要は多分だいたい魔女が吸収していると思われる。
ただしこれは「何者かからの畏敬を受ける異能者」という、シャーマンや巫女などの持つ一側面だけに限った部分のことである。
キャラクター本人側の「信仰」意識に関してはまるで関係のないケースも存在している。(「邪悪萌え」の部分に記載)

魔女が前述のような地位を担っているのは中世ファンタジー風世界のことで、古代ローマ・ギリシャ系などに似た世界観だと「聖闘士星矢」の沙織さんみたいな恰好をした巫女が出てきたりもするが。


作品での呼称の違いなど

wikipediaで「呪術」を調べるとシャーマニズムと関連した術となっている。

このタイプのキャラクターでは、千年戦争アイギスの「呪術師ミトラ」は「服装は二大閥と関係ない・褐色・動物の骨や毛皮を纏う・術使い」と、前述の世界樹Ⅴのシャーマンとほぼ同じ属性で描かれている。

しかしアイギスでのクラス「シャーマン」は全員日本モチーフの東洋風国家のキャラで、神道巫女系の外見をしており、ミトラのクラスは「呪術師」となっている。

このミトラを世界樹のクラス分けで見ると、名前は似ているが催眠術師の「カースメーカー」ではなく「シャーマン」になると思われる。
つまり両者の差は、それぞれの作品中における呼称や分類上の違いが大きい。
キャラクターの外見構築をする上でイメージされた属性自体は、どちらも共通していると考えられる。

「シャーマン」など「シャーマニズム・アニミズムで神や精霊と交信する女」を「巫女」とするか否かが作品ごとの解釈で変わってくるケースといえる。
「巫女キャラ」と「呪術師」では萌え属性的には前者の方がキャッチーさがあるが、神道以外の世界ではこの辺が上述のように統一されているとは言えない。


◆それ以外・西洋ファンタジー編

西洋風ファンタジー世界の中には「巨大宗教でシスターっぽい恰好をしている人」でも、「聖女」などと称され生きたまま聖界で大きな力を持った指導者をやっている事もある。

だが現実ではマザー・テレサなどは修道女であって、影響こそものすごく大きいが法王のような宗教的指導者の上位といった位置にはいないので実は現実と結構違う。
タロットカードの「女教皇」は伝説上の存在であり、現実ではカトリックの場合女性聖職者の昇格限界的にあり得ないとか。

しかし前述の通り西洋風ファンタジーではそれに近い、高位の女性聖職者キャラクターはいない事もない。そのためこの辺も第三勢力に近い部分はある。
またそもそも多神教の一角であったり、考えや教えなどはキリスト教とは違う(服装などだけちょっとシスターっぽい)というキャラもいる。
帽子に十字架のあるドラクエの女僧侶は非常に有名なキャラクターだが、我々の現実社会ベースのシスターと完全には一致していない。
魔法陣グルグルのプラトー教も十字架に馬蹄(下の欠けた円)を付けたマークが象徴の宗教だが、巫女のジュジュはトランスして神託を受けたり魔法で出した石を狼の魔物の口に詰めて「ごちそうさまと言いなさい!」とか言い出す。
完全に原始宗教のシャーマンタイプなのである。

更に付け加えるならSWリプレイに出て来た「ファリスの猛女」ことイリーナのように、「女神官戦士」という存在も二次元界隈では珍しくない。
前述の「聖女」も前身はガチ近接系神官戦士である。


強さはどうでもいい

この辺のキャラは「女戦士」とか別の属性の方が強烈な印象もあるかも知れないが、戦場に出て来て戦うとか勇ましいとか、そんな程度のことで聖職者属性が剥奪されるなら二次元の巫女やシスターは商売あがったりである。
戦乱渦巻いたりモンスターが大量にいるファンタジーではなく、現実ベースの世界観でも異能がある世界だと強者は普通にいる。
月姫シエル幻想郷の外は現実な東方博麗 霊夢を見れば、強い弱いは無関係というかどーでもいい事がよくわかる。

どちらかと言うと神職らしさが出るか否かは、特にファンタジー世界では「神と通じる力やそれを用いた術の行使能力」にかかっていると思われる。
異能モノに異能があると思っているだけで異能者じゃないキャラクターがいるように、神聖魔法など明確な神に仕える者としての資格・基準がある世界で「それが使えていない」とか「使う気がまったくない」とか「神の啓示などが一切示されない」「教えに沿った行動や祈りをしない」といったキャラクターは巫女感が薄くなるだろう。
失敗で大爆発するだけとかでも、術を使う努力をするなり日々祈るなりしていれば巫女系の枠で問題はないと思われる。

前述のイリーナのようなキャラクターが余り第三勢力的に見られないのは、西洋ファンタジー世界であるためシスター的印象がある(衣装自体それっぽくなりがちだが)事やガチタンなどとして鎧着用だったりのせいで巫女などと近い存在とは言われにくい(思われにくい)点、作中のクラス呼称などの関係上「巫女」「シャーマン」ではなく「神官戦士」などになったりするせいがあるだろう。
しかも精霊魔法などいろいろな術がある中だとよほど明確に描かない限り「神などに仕える女」といった属性が薄まってしまうのもある。


◆それ以外・日本など編

日本の宗教やシャーマンに近いキャラでも神道と無関係なキャラクターは一定数存在する。
恐らく最も有名な例の一人はナコルルだろう。
巫女(属性)の項にナコルルがいないのは当然。本人の項にあるように彼女はアイヌの巫女である。
といっても女性の神職自体アイヌ的には普通ではないようだが……。

また「超少女明日香」の砂姫 明日香も、砂神村に住む”自然の精霊(とも)たる一族”で自然と交信し自然を慈しみ力を借りる少女。
彼女も能力や思考は殆ど女性シャーマンと言えるが、神道とは全く関係がない。

ポケモンに初代から出てくる「きとうし」や恐山のイタコ(シャーマンキングの恐山アンナなど)といったキャラクターも神道巫女というわけではない。

しかしこの辺もやはりキャラ数が余り多くない。
とはいえ一応上述のキャラクターたちは有名作品に出演していたり長編漫画の主役だったりするので、ある程度以上確かな存在感はある。

以上のように、神職・聖職者系女子は「神道巫女・シスター・それ以外」の三大(中東系と仏教系を分けると六)属性になることがわかる。


邪悪萌え

上記には記されていないものとして、邪神に仕える女というキャラクターも存在する。
このタイプと魔女の線引きはやはり作品の解釈次第で変化する面がありうる。

「サタンなど魔王を奉じている魔女」と「異界の邪神に生贄を捧げる女の邪悪神官」をどう区別するか。
作品中の呼称問題で言えば、女神転生シリーズなど全てが「悪魔」であるケースすらある。
キリスト教イメージのメシア教団の女性の敵キャラも「魔女」となりうる……だろうか? 

この辺は女神官戦士の「強さはどうでもいい」という部分に記したように、宗教性の面が一つのラインであろうか。
近年の現実世界ベースの魔女作品純潔のマリアを例に取ると、主人公マリアは怪物の召喚や道具(箒じゃなくてピッチフォークだけど)での飛行といった能力があり、異能の行使能力は紛れもなく余所のファンタジー世界の魔女と言っても通じるレベルである。

が、彼女は特にアニメ版では魔法を失い殴打などを受け、獄中でキリスト教徒の僧侶と対話しても洗礼を受け入れず、何かに祈ったり縋ったりもしなかった。むしろそのために相手の信仰が変質したほどである。

こうしてみると「魔女」が「魔女」である為に、必ずしも大きな力との対話やその力の貸与は必須ではないと言える。
彼女は薬草の調合を通じて村人とも深く交流していたため、その点でも現実世界の「魔女」に近い所がある。

シャーマンのトランスや口寄せは、他宗教での布教などと同じく神と人とを繋ぐ行為である。
そしてその点が神職者のアイデンティティといえる。神の教えに従って病人を癒し、神の敵を討つのも同じ。
そう考えるとやはり「大きな力」に対する意識の向け方はキーポイントの一つであろう。
結局そこは邪神官であろうと同じと言えば同じである。
魔神を復活させ世界を混沌に陥れるために勇者を殺す、というのはベクトルが単に正反対なだけなのだから。


追記・修正されるかは神のみぞ知る。

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最終更新:2021年11月03日 08:56