エイリアン4

登録日:2016/07/05 Tue 01:08:14
更新日:2023/11/03 Fri 09:44:39
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1979年 遭遇

1986年 決戦

1992年 消滅

そして1998年―――


あなたは「復活」を目撃する。





『エイリアン4(ALIEN:RESURRECTION)』は1997年に公開されたアメリカ映画。
SFホラー映画『エイリアン』シリーズの第4弾である。
監督はフランス出身で『デリカテッセン』、『アメリ』のジャン・ピエール・ジュネ。

当初は前作『3』で完結予定だった本シリーズだが、前作の酷評を受け…もといファンからの熱い要望に応え、シリーズの復活が決定。
それに伴い、半ば強引に復活したリプリー役にシガニー・ウィーバーが復帰し、『シザーハンズ』の若手女優ウィノナ・ライダーがもう一人の主人公として起用された。
今回はシリーズの原点に立ち返り、閉鎖された宇宙船内でのサバイバルアクションホラーとなっているが、グロ度としてはシリーズ随一。
血や臓物の登場の度合いは多く、生理的嫌悪感を掻き立てるようなシーンも多い。



■[STORY]■

宇宙開発企業ウェイランド・ユタニ社が惑星LV426で発見した凶悪な宇宙生物「エイリアン」。
その脅威はユタニ社の兵器転用の思惑により、甚大な被害を及ぼし、幾多の人間が犠牲となっていった。
だが遂に発見者である航海士・エレン・リプリーの自己犠牲によって、彼女の体内に宿したクイーン・チェストバスターと共に溶鉱炉へと消え去った。
これにより、ようやくエイリアンの脅威から人類は解放された………はずだった。


それから200年後、米軍は囚人惑星フューリーに残されたリプリーの血液を基になんと彼女のクローン体を培養。
それと同時に彼女の体内に蘇生された、「クイーン・チェストバスター」を摘出してしまう。
やがて研究用宇宙船オーリガ号にてエイリアン・クイーンは卵を産まされ、エイリアンの軍団を兵器利用する研究が始まってしまった。
クローンリプリーも研究材料にすべく監禁された。

そしてある日、エイリアンの苗床にされる人間を届けに、宇宙貨物船ベティ号がオーリガ号に着艦。
ベティ号の船員コールは偶然リプリーと出会い、彼女に興味を抱く。
そんな中、知能を付けたエイリアンは強酸性の血を利用して檻から脱走。
あっという間にエイリアンの群れが宇宙船中に行き渡り、軍人や研究員は次々と殺されていく。

生き残ったベティ号の船員達とリプリーは、協力しながらオーリガ号からの脱出を試みるが、オーリガ号の針路は地球へ一直線に向かっていた…。



■[登場人物]■


■”主人公”■
  • リプリー8号(シガニー・ウィーバー)
本作の主人公で、元ウェイランド・ユタニ社二等航海士・「エレン・リプリー」のクローン。
前作で己の身と引き換えにやっとエイリアンを倒したはずが、軍の思惑によりクローンとして蘇らされた。
ただしオリジナルとはごく一部の記憶を共有しているだけで、個体としては完全に別人であり、地球での記憶はない。
性格も冷静で高潔だったオリジナルと比べ、好戦的でパンクかつ下品で口が悪いが母性は強い。
エイリアンのDNAとのハイブリッドとして生まれた為、強酸性の血を持っており、身体能力が格段に上がった。
クイーン摘出後わずか3日で手術痕が殆ど消えるほど治癒力が高く、手錠を引き千切る怪力、バスケの背面シュートも軽々成功させる感覚能力を持つ。
しかし同時に精神面も人間離れしており、初めて接する「人間」達に興味を持つ。

軍の無慈悲な実験の果てに生まれた失敗作の「姉」達を殺す羽目になり、また自分とエイリアンとの「子供」誕生にも立ち会う事になるが…。
本来なら「姉」達同様に廃棄処分になる予定だったが、生体機能が良好なので実験の為に生かされていたところから物語は始まる。


■宇宙貨物船ベティ号■
運送屋とは名ばかりの犯罪スレスレな密輸、運搬を専門としている運び屋集団で、実質宇宙海賊
元軍人や世間に行き場のないアウトサイダー達で構成されている。

  • フランク・エルジン(マイケル・ウィンコット)
ベティ号船長。
クールなナイスミドルだが、金になる仕事なら非情な事も辞さない割り切った性格。
船の登録コードやベレス将軍との会話等で、堂々と卑猥な言葉を用いる等、下品でもある。
ちなみにベレス将軍とは仲が良いらしいが、将軍が何の研究をしているのかは知らなかったらしい。
ブリースがエイリアンに襲われかけて騒動になった直後、油断しているうちに足元の穴から出てきたエイリアンに捕まり、引きずり込まれて死亡。

  • ゲーリー・クリスティー(ゲイリー・ドーダン)
ベティ号副船長で、ドレッドヘアーが特徴的なイケメン黒人男性。
船長エルジンの右腕的存在であり、冷静で面倒見がいい為、粗暴なジョナーともそれなりに馬が合う。
同時に警戒心が強く、ジャケットの袖に二丁拳銃を仕込んでおり、軍に拘束されたクルーの窮地を救った。
動けないブリースの足代わりとして背負って彼を連れて行った。
エレベーターシャフトにて、ブリースとの連携で足元に迫りくるエイリアンを迎撃していったが、エイリアンの血を浴びて負傷。
このままでは二人共死ぬと覚悟を決め、ブリースを助ける為に自ら固定ワイヤーを切断し、エイリアンと共に落下していった。漢。

  • ドム・ブリース(ドミニク・ピノン)
ベティ号のチーフ・メカニック。
戦闘で負った怪我の影響で下半身が不随状態にあり、電動車椅子が手放せない。
この手の脱出サバイバルものでありがちな「足手まとい」となってしまうキャラだが、その分戦闘で活躍。
コールに密かに惚れており、電動車椅子にはショットガンを装備し、普段は分解されて所持している。
ゲーリーが梯子で負傷した際は彼を背負ったまま梯子にしがみついた。

  • アナリー・コール(ウィノナ・ライダー)
ベティ号の船員で、メカニック担当で機械修理が得意。
ショートヘアでボーイッシュな小柄な美少女で、新米ながら生意気だが心優しい。
オーリガ号探索中にリプリーと出会い、彼女と親しくなる。
だがその正体はシリーズ三人目のアンドロイドであり、裏切ったレンに撃たれるが生還した事で発覚した。
実はクイーンに寄生されているリプリー抹殺の為にベティ号に潜入し、オーリガに乗り込んだ工作員だった*1
しかしリプリーと会った時にはすでにクイーンは除去され、施設のエイリアンが逃げ出した為に協力して脱出を目指す。
物語終盤ではレンに人質に取られてしまうが…?

  • ロナルド・ジョナー(ロン・パールマン)
ベティ号の船上警備員で、ゴリラっぽい。
粗暴で短気な荒くれ者で、身障者のブリースを厄介者扱いしていた他、コールとは面と向かって「人でなし」呼ばわりされるなど犬猿の仲。
反面情には篤く、オーリガ号脱出の中で協調性やリーダーシップを見せ、仲間を守るために奮闘。
別の世界では地獄生まれのヒーローだった。

  • サヴラ・ヒラード(キム・フラワーズ)
ベティ号操縦士。
エルジンの恋人で、彼が死んだ時は酷く取り乱していた。
オーリガ号から脱出する途中、水中を泳いでいる最中に背後から泳いできたエイリアンに捕まり、何処かへと連れて行かれた。
その後、ゲディマンの様に繭にされたものと考えられる。

■”積み荷”■
  • ラリー・パーヴィス(リーランド・オーサー)
エイリアンの幼体チェストバスターの苗床としてオーリガ号に運ばれた「積荷」の一人の髭メガネ。
鉱山惑星へ出稼ぎに行く予定だったのが、ハイパースリープ中に同僚達共々ベティ号のクルーに拉致され、わけも分からない内に体内にエイリアンを植え付けられた。
拘束から抜け出したところを生存者グループと合流し、秘密を打ち明け短い命と知りながらも彼らと同行する事にした滅茶苦茶前向きな男(ハイパーポジティブ)*2
ベティ号に到着時、レン博士の暴走で危機に陥ったメンバーを救う為、自らの命を犠牲にして体を食い破って出てきたチェストバスターでレンを道連れにした。


■軍用宇宙船オーリガ号■
アメリカ宇宙軍が所有する生物研究用の巨大宇宙船 兼 実験施設。
エレン・リプリーのクローン培養とエイリアンの養殖、兵器転用を目的に非情な実験を繰り返していた。
極めて凶暴なエイリアンを「飼育」する為、クイーンの隔離や冷凍装置付きの檻を設置等、セキリュティ対策も万全。
…だが予想以上にエイリアンの知能が付き、あっさり瓦解することになる。
非常時には軍本部、すなわち地球への自動操縦がプログラミングされている。
メインコンピューターの名前は「ファーザー」

  • マーティン・ベレス将軍(ダン・ヘデヤ)
オーリガ号船長で艦に搭乗している軍人の指揮を執る。
軍議会に極秘でエイリアンの復活と生物兵器化を目論んだ張本人で、差別的かつ極悪非道で冷酷な男。
リプリーに対して「副産物」と見下し、エイリアンを米軍の新兵器として期待を寄せていたが、想像以上のエイリアンの能力で脱走され、全ておじゃんとなった。
搭乗員の脱出と見殺しを見守った直後、背後に現れたエイリアンに後頭部をえぐられ、脳みそがこぼれた挙句トドメを刺された。

  • メイソン・レン博士(J.E.フリーマン)
エイリアン量産の研究を指揮していた科学者で、エイリアンの生体に性的興奮を抱く変態。
生命の尊厳を踏み躙るような悪辣な実験を繰り返し、リプリーから怒りを買われていた。
エイリアン脱走の際にベティ号の一行と合流し、彼らと協力するフリをしていたが、途中で裏切りコールを撃ち殺す*3
さらにベティ号を奪って船員を皆殺しにして自分だけ助かり、新天地でエイリアン量産の研究を続けようとしていた。
しかしパーヴィスの捨て身の攻撃で羽交い絞めにされ、そのまま彼の胸を食い破ったチェストバスターに後ろから顔を食い破られる。
挙句の果てにエイリアンごとジョナーらに一斉射撃を浴びせられ、自業自得の悲惨な死に様を遂げた。

  • ジョナサン・ゲティマン博士(ブラッド・ドゥーリフ)
リプリーのクローン培養を研究していた科学者。
クイーンとリプリーのクローンに異様な執着心を示し、リプリーの持つ生物的な「美しさ」に陶酔していた。ここの科学者こんな奴ばっかだな
エイリアンに捕らえられ、クイーンの巣で繭にされていたところ、捕らえられて来たリプリーに饒舌に解説をした。
そしてニューボーンの誕生を目撃し、その美しさを讃えていたが、直後ニューボーンに殺される。
グッドガイ人形に憑依した殺人鬼ではない。

  • ビンセント・ディスティファノ(レイモンド・クルツ)
オーリガ号に配属されていた軍人だが、実験の事は教えられていない。
レン博士に同行していた為、軍人では唯一生存していた。最初はベティ号の乗員をスパイ容疑で拘束する。
しかし仲間達があっさり殲滅され、自身はぶん殴られて脅され、宇宙船内の案内役をさせられる事となる。
後にオーリガ号が行っていた非情な人体実験を知り、軍に反旗を翻す事を決意し、レンの振る舞いに怒りを示していた。
脱出後、ハッチの不具合を確かめる為、ベティ号後部へ様子を見に行くが、そこで乗り込んできたニューボーンに頭を叩き潰されて死亡。



■[登場クリーチャー/Unknown]■

  • クローンリプリー
7代目まであるクローンリプリーの失敗作で、1~6号は標本のように液体の満ちたカプセルに入っている。
ほぼエイリアンに近い形や形象崩壊しているタイプまであり、7代目は顔がリプリーだが身体は異形。
研究者から生かされたまま放置され、8代目のリプリーに自分達の死を懇願し、泣きながら彼女に焼却される。
  • リプリー1号:頭部がエイリアンのようになった胎児
  • リプリー2号:1号より大きい奇形児のような幼児
  • リプリー3号:上半身はヒト型だが下半身はエイリアンで尻尾もあり、頭部も異形
  • リプリー4号:髪もありかなりヒト型女性に近いが口から顎がエイリアンで不定形
  • リプリー5号:ほぼエイリアンでやや人間の女性風
  • リプリー6号:指と後頭部が異常に長いが顔は人間に近い
  • リプリー7号:手術台で胸を裂かれて何かを摘出され、生命維持装置だけ繫げられ放置されていた

リプリー7号から摘出されたクイーンは不完全だったのか、劇中でそれらしき個体は登場していない。

科学者により培養されたクローンリプリー8号の体内から摘出されたクイーン・チェストバスターのクローンが成長した姿。
「なんでリプリーのクローンの体内にコイツが入ったまま一緒に再生されるんだ」という疑問は誰しもツッコんだだろう*4
オーリガ号の奥で軍に厳重隔離され、エイリアンの軍団量産の為にエッグをひたすら産まされていた。
ニューウォーリアー達の脱走後はオーリガを乗っ取って自由を取り戻し、巣で悠々自適に過ごしていた。
さらにリプリーの遺伝子と自分の遺伝子を基に、新たに『子宮』を獲得し、胎内で「子供」を宿す。
そして記念すべき「我が子」を出産するが、直後に惨い仕打ちを受ける。

小説版ではテレパシーでニューウォーリアーとやりとりをしている描写がある。

軍の養殖によって量産された新しいタイプの兵隊エイリアン。
暴れると液体窒素ガスを放つという厳重な檻で研究者らに飼育されていた。
しかし段々知恵をつけ、「仲間を殺し、その血で檻に穴を開ける」という非情な手段で脱出する。
水中を海獣のように美しいフォームで泳ぐ事も可能であり、口から酸性のゲロを吐いて攻撃する場面もある。
リプリーはクイーンの宿主である為か彼女を攻撃せず、クイーンの下へ無傷で連れて帰っている。
『2』で出てきたウォーリアーと比較しても知能だけではなく戦闘力等も高い。
小説版では人間の言葉を理解している節がある。

ちなみにエイリアンを復活させた目的は、生物兵器としてだけでなく、新しい合金やワクチンの開発の為だったと明かしている。

クイーンとリプリーの遺伝子から誕生した新生命体。
白い骸骨のような顔と、無機的なエイリアンの外見とは異質な、内臓のように有機的な肉体で構成された異形の生物。
五本指で眼球と瞼があり、歯並びも人間に近く、インナーマウスではなく舌があり、さらに尻尾もなくなっている。
クイーンの子宮から胎内出産され、直後に生みの親のクイーンを殺し、同じ遺伝子を持つリプリーに親として懐いた。
しかし他の人間にはエイリアンと同様、積極的に殺しに来る。
戦闘力は並のエイリアンを瞬殺するほど高い。
ドクロのような顔だが目の奥には人間のようなつぶらな瞳があり、特にリプリーに向ける目はまるで母を見る子供のようでもある。
逃げるリプリーを追いベティ号に乗り込み、クルーらを危機に陥らせ、そしてあまりに悲惨な最期を遂げるのだった…。




■[トリビア]■

  • 前作『3』で「シリーズ最後の作品にして、リプリーを最後に殺せば出演する」と割り切ったシガニー・ウィーバーだが、今回再び出演を決めたのは「リプリーが本人ではなくクローンであり、かつそれに意味がある脚本だったから」らしい。

  • 水中のシーンではエイリアンはフルCGであり、シガニー・ウィーバーはスタントなしで水中アクションに臨んだ。

  • 前作までで悪逆の限りを尽くしたウェイランド・ユタニ社は今回の事件の数十年前に経営破綻し、買収されている
エイリアン捕獲作戦が失敗続きになった影響のようだ。

  • 本作で初めて地球が登場し、完全版では大地が荒廃しきっており、作中でもジョナーに「掃き溜め」「あんな所に行く位なら此処(オーリガ)の方がマシ」と言わしめている。
    • だが実際のところは滅び荒廃したパリの街並み等、人間が住むのは苦しそうだが、太陽・海・雲・植物があり、原始の地球としては何とかなりそうではある。

  • なお、完全版では物語の後も軍がリプリー8号を追ってくる事を示唆しているが、物語はここで終わるので、その後のリプリーとコール、ベティ号の生存者がどうなったのかは知る由もない。



これにてようやくエイリアンの脅威とエレン・リプリーの物語は終わりをつげたのだった。


…だが結局エイリアンとは一体何者だったのか?
その答えを求めた前日譚として後に「プロメテウス」へと続く。



8人目のクローンの方は、追記修正お願いします。

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最終更新:2023年11月03日 09:44

*1 ちなみに本作の時代ではアンドロイドの存在はロボット産業の衰退と共に消えつつあるらしく、非常に珍しい。コールは最後に作られたモデルで、政府の汚い取引を知った何者かにリプリー(とエイリアン)の復活を阻止するようプログラムされていた

*2 一応、コールに「孵化する前なら手術で切除可能」と言われたからでもある

*3 ただしアンドロイドだった為、殺害(破壊)は失敗に終わり、しかもその傷のせいでアンドロイドと分かったリプリーにより、コールはオーリガ号のメインコンピューターのハッキングを強要され、それによりレンはベティ号への道を妨害される事になった。

*4 一応フォローしておくと、採取されたリプリーの血液自体にエイリアンのDNAが混ざっていた為、リプリーもエイリアンも「エイリアン風人間」と「人間風エイリアン」と融合していたらしく、リプリー8号でようやくそれぞれに独立存在になっただけで、1〜7号は分離すらできていない。