オーパーツ

登録日:2016/06/14 (火) 19:02:00
更新日:2024/04/09 Tue 00:54:34
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オーパーツ(ooparts)とは、本来その時代の技術では存在しないはず・もしくは作成が極めて難しいはずの考古学的・民俗学的遺産のことである。


▽目次

概要

命名者はオカルト系の項目ではおなじみのアイヴァン・サンダーソンであり、「場違いな人工物」を示す「out-of-place artifacts」を略したもの。
ちなみにサンダーソンは「オーパーツ」とは発掘品に限ると考えており、伝来品はオープス(「場違いなもの」)と呼ぶことを提唱していた。

また現在では実物が伝来していない壁画や彫刻作品、さらには文学作品中に見えるそれっぽいもの、
時には遺跡そのものまでも「オーパーツ」と呼ぶ場合もあり、語義が拡大されている感もある。
中にはオーバーテクノロジーやロストテクノロジー、果ては「単に現行商品では再現不能なだけ」の産物をオーパーツと言ったりも(現代なら作れるオーパーツの場合、これらの呼称はずれているが)する。たとえば一時期SDガンダム系のガンプラにあった輝羅鋼パーツ*1など。


オーパーツはしばしば、いわゆる超古代文明があった証拠だとか、
さらには異星人がかつて地球に来た証拠だとか、進化論が間違っていて人類恐竜が共存していた証拠だとか言われることが多い。
……が、ぶっちゃけ大部分は捏造もしくは誤認である。

が、中には科学的な検証の結果、「本物」と認定された物も少数ながらある。
また捏造・誤認に過ぎないものも、その経緯を詳しく調べてみると結構面白かったりする。



具体例

ほぼ捏造が確定的系

◆ヘッジスの水晶髑髏
水晶で作られた人間の頭蓋骨
F・A・ミッチェル=ヘッジスがマヤ文明の遺跡から発掘したものだとされているが、
水晶を人の手でここまで加工するには300年ほどかかり、当時の技術では到底制作不可能なものだとされる。
発掘記録に一切記載が無いなど疑問視されている。

さらに詳しく調査したところ、表面の加工跡などから、明らかに19世紀以降の、おそらくはドイツで作られたものということがはっきりした。
現在ではシドニー・バーニーという美術商が仕入れてヘッジスに売ったものであることがほぼ判明している。

ちなみに人の手で作ると300年かかるというのも盛った話で、熟練したグループならせいぜい半年でできるという。

なお水晶髑髏なるものは世界各地に他にもあり、
オカルト本などでは「2012年までに全部で13個ある水晶髑髏を一か所に集めないと人類が滅ぶ」とか言われていた。そういえばヘビが嫌いで鞭と帽子がトレードマークの考古学者がこれを探しに行くお話があったような…
が、実は現時点で確認されている水晶髑髏は全部で19個もある。
あとの6個どっから出てきた。数が増えているじゃないか。


◆アカンバロの恐竜土偶
ドイツ人実業家ワルデマール・ユルスルートとその使用人一家が発掘したとされる、恐竜みたいな動物をかたどった土偶。
恐竜と人類が一緒に生きていた証拠だとか言われていたが、その肝心の恐竜がどう見ても旧復元に基づいている点で語るに落ちるというもの。
というかぶっちゃけ土偶のクオリティ自体がなかなか残念で、小学生の粘土細工レベルである。
しかも恐竜どころかグリフィンや竜、半鳥人にしか見えない土偶まで混じっている。中にはウルトラマンと怪獣が戦っているものも……。
おまけに未発掘のはずの場所から明らかな埋め戻しの跡まで発見されていては……

科学的な分析で古い時代のものだとわかったなどと言われることもあるが、この分析はツッコミどころ満載であるとされる。
なんでこんなものを作ったのかと言うと、地元のダム建設に反対するためオーパーツ発掘をでっち上げ町興しをすることで建設を足止めするためではないかと言われている。


◆カブレラ・ストーン
ペルーで発見されている、表面に恐竜や自動車の絵などが描かれた彫刻石。
これも人類と恐竜が共存していた証拠だとか言われているが、地元の農家の人が作成したものであることが判明している。
正直な印象は、「ただのお土産用の民芸品」。



◆4億年前の機械部品
ロシア北東部、カムチャッカ半島から240キロほど離れた場所で発見された歯車の集合体の化石。考古学者と地質学者の鑑定により約4億年前の化石であり金属製の歯車であることが確認されている。
……というネタ記事をイタリアのニュースサイトが公開したところ海外まで広がり大きな話題になってしまったというしょうもない話である。
ちなみに化石の画像はWikipediaにあるウミユリの化石画像をトリミングしたもの。


ほぼ誤認が確定的系

◆コソ加工物
カリフォルニア州のコソ山で発見された、点火プラグの化石
謎の遺物とされていたが、アメリカ点火プラグコレクター協会の会長と副会長、コレクター、私設点火プラグ博物館の館長といった錚々たる点火プラグ専門家の鑑定により、
1920年代にチャンピオン社によって製造された点火プラグだと特定された。
この時4人には別々に問い合わせたらしいが、彼らの意見は見事に一致していたという。

どうやら1920年代にコソ山脈で採掘が行われていた時に使われていたものが落下し、それが堅い泥の中に埋まっていただけだったらしい。
「50万年前のもの」とする話については、発見者の一人が「ある地質学者に鑑定してもらった結果」と言っているだけで、
その学者が誰だか分からないという、根拠が怪しげなものである。

なお、現在では現物は行方不明。
一時はスミソニアン博物館が引き取りを検討していたが、その時の所有者が対価として2万5000ドルを要求したため、話が流れたという。
点火プラグコレクター協会曰く、「1920年代のチャンピオン社製点火プラグは最高で数ドル」との事。買わなくて正解であった。

正直この話で最も気になるのは、この遺物そのものよりも、
アメリカ点火プラグコレクター協会だとか私設点火プラグ博物館だとかいうものが存在することである。
アメリカのオークションサイトでは点火プラグがよく取引されており、切手収集のように趣味としている人が結構いるからこそと言えよう。


◆黄金スペースシャトル
コロンビアで発掘された黄金細工で、宇宙船に見えると言われている。
実際には同時に見つかっている黄金細工の中でも特に宇宙船に似ているものをピックアップして紹介しているだけで、
本当のところは鳥もしくは魚(特に周辺に生息しているプレコがよく似ている)を象徴化したものだろうと言われている。


◆デンデラの電球
エジプト・デンデラにあるハトホル遺跡(紀元前1世紀頃)の壁画に描かれた、電球のような筒状の物体。エジプトのピラミッド内部には当然光が届かず、松明などを焚いたような痕跡は見つかっていないことからエジプトには電球及びある程度の電気の技術があったのではないかと言われていた。
現在では、神話をモチーフに描かれたハスの花とヘビの壁画というのが通説。


◆パカル王の石棺
マヤのパレンケ遺跡で見つかったの石棺。
表面のレリーフが「宇宙船を操縦する人」に見えるとされ、王が異星人であった証拠と言われた。
実際にはこのレリーフは縦に見るのが正しく、王が樹として天上界へと昇ろうしている構図になっている。
余談だがこれがオーパーツとして広く知られるようになったのは1968年にエーニッヒ・フォン・デニケンの本によるものだが
その2年前のウルトラマン7話「バラージの青い石」のノアの神の像の背後にこれが描かれている。
放送上の絵でもそうだとわかる上に設定資料画でもこれをモデルにしたと一目瞭然。
イメージ的にぴったりとスタッフが判断して使ったのだろうが、あの時代によくもそこまでアンテナを広げていたものである。

◆ピリ・レイスの地図
1513年と、オーパーツにしては新しい時代に作られたもの。
当時未発見であったはずの南極大陸が描かれていることからオーパーツとされているが、
南極に見えるのは当時想定されていた「メガラニカ」という架空の大陸である。

また南米大陸西海岸の南半分の形が実際より明らかに東に曲がって「南極大陸」まで繋がっているが、
1513年当時ユーラシアに存在する唯一の南米探検記録であるアメリゴ・ヴェスプッチの書簡でもこの辺りは南東に航海したと報告されており
(おそらくこの探検がポルトガル王の依頼で行われておりトルデリャス条約に基づきポルトガルの領有を主張するためと考えられている。
ピリ・レイスの地図にも「ポルトガルの異教徒はスペインとの条約でこの線より西に行かない」と情報源がポルトガルであることを示唆する記述がある)
当時の前提条件が忘れられたためにオーパーツに見えてしまった例と言える。


◆聖徳太子の地球儀
斑鳩寺に伝わる、地球を模したと思しき球状の工芸品。
斑鳩寺を建立した聖徳太子に纏わる遺物とされていたが、実際には戦国時代以降、おそらくは江戸時代に制作されたものであるとされる。
この時代であれば、地球が球形であることや他の大陸のことなどは多くの人が知っていたので、誰が作ったものでも不思議はない。
この地球儀にも南極があるとされるが、上記と同じくこれも当時日本にまで伝わっていたメガラニカである(表面におもいっきり墨瓦臘泥加(メガラニカ)と書いてある)

その一方で、この地球儀には別の意味で本物のオーパーツである可能性も秘められている。
この地球儀には当時の世界地図「山海輿地全図」には描かれていなかった巨大な大陸も描かれているのだが、
ちょうど太平洋上のムー大陸に相当する位置に描かれているのである。

これが本当にムー大陸だとすれば、初出とされる「失われたムー大陸(ジェームズ・チャーチワード著・1931年)」が書かれる200年以上前に、
日本にムー大陸伝説が伝わっていたということになるが、「製作上の都合で巨大化したミクロネシア等の島々ではないか」という否定的な説も存在する。


◆古代エジプトのグライダー
紀元前200年頃のエジプトの墳墓から発見された木製の品。
飛行機の模型だと主張されたが、実際には目とくちばしがついており、単なる鳥の模型である。
だがオーパーツを主張した人は、目やくちばしが写らないアングルで撮ったり、加工して消したりした写真を公開するという何とも姑息な手段を取っていた。


◆古代中国のアルミニウム製帯留め
3世紀の西晋の武将・周処の墓から発見された帯留めが、当時は合金として存在しないアルミニウム製だと報道された。
だが、後の分析で帯留め自体は銀製で、アルミニウム製だったのは帯留めと一緒に出てきた小さな何かのかけらであり、
近代に墓が盗掘に遭った際に混入したものとされる。
しかし、帯留めが銀製という訂正情報はあまり広まらず、近年でもオーパーツとして取り扱われる場合がある。


◆ツタンカーメンの鉄剣
古代エジプト王朝時代のツタンカーメン王のミイラの棺の中にあった鉄製の短剣。
当時のエジプトは青銅器時代であったにもかかわらず製鉄*2技術があった証拠になると、一部でオーパーツ扱いされた。
が、近年エジプトの博物館の研究者チームが蛍光エックス線分析装置を使って短剣の材料を詳しく分析した結果、短剣の鉄の成分と隕鉄(鉄で出来た隕石)の成分とが一致。
これによりこの短剣は、地球に落ちた隕鉄を叩き延ばして作られたものと判明した。
それはそれで凄いが。


◆古代エジプトのヘリコプター
エジプトのアビトス神殿の壁画に描かれたヘリコプターらしきレリーフ。付近には飛行船らしきレリーフもある。
しかしこれは二つのヒエログリフが偶然重なったもの。
最初にある王の名が彫られ、その王が死ぬと彫った跡を石膏で埋めて別の王の名が彫られる。年月が経ち石膏が剥がれ落ちて偶然意味のあるレリーフに見えるというもの。
他にもピラミッドに隠された円周率なども誤認と言える。*3


◆アッシリアの戦車
アッシリアのアッシュール=バニパル王の王宮の壁画に描かれている兵器。
恐らくは攻城兵器の一種だと考えられているが、シルエットが現代の戦車にそっくりなため一部でアッシリア人は戦車を発明していたというトンでも説を唱える人間がいる。


◆レヤード・レンズ
古代アッシリアの首都ニネヴェの宮殿遺跡から出てきた紀元前7世紀ころの水晶レンズ。やや楕円の形をしており文字の拡大ができる。
拡大鏡が歴史に登場したのは13世紀であるため本物ならば歴史を変えるオーパーツ…なのだがアッシリアでレンズを拡大鏡や火起こしに使った記録は見つかっていないため、現在ではたまたまレンズ機能が備わっただけの装飾品という見方が強い。


◆コスタリカの石球
1930年代にコスタリカの密林で発見された球体の石。大小さまざまな石球が現在までに200個以上発見されており、大きいものは直径2メートルもある。
西暦300~800年に作られたとされているが、誤差数ミリメートルのほぼ真球という当時の技術では不可能とも思える精度の高さから注目されていた。
しかし実際は加熱と冷却を繰り返し表面を何度も叩くという当時の技術でも充分可能であることが判明し、オーパーツではなくなった。さらに言うほど真球でもないらしい。
とはいえそもそも何故これが大量に作られたかという理由は確定しておらず、今もなお研究が続いている。


◆古代の鉄製ハンマー
アメリカのテキサス州にて石に包まれた状態で発見された鉄製のハンマー。何がオーパーツなのかというと、掘り起こされた地層が約1~5億年前という人類のじの字もない大昔であったため。
だが実際は19世紀頃に誰かが落としたハンマーがコンクリーション現象を起こしたものだろうという結論が出ている。
そもそも普通なら持ち手の木が腐るだろというごもっともなツッコミも。


◆バールベックの巨石
中東・西アジアのレバノンに存在した宗教都市バールベックの遺跡に複数存在する超巨大な石。大きいもので2000トンもあり、これを利用して神殿が建てられている。
この石を生み出した石切り場は遺跡から1km以上離れた場所にあり、イギリスBBCが行った実験で弾き出された計算では何万人もの人間がいないと移動させることができないため実質不可能であることが判明している。
…が、その実験はあくまで「1日に1マイル移動させるには」という前提条件があるため、逆に言えばめっちゃ時間をかければより少ない人数で移動可能であると証明しているようなもの。しかも一番デカい石はそもそも移動させた形跡すらなく石切り場に放置されていたというオチまでついている。


議論あり・真偽不明系

◆バグダッドの電池
イラクのバグダッド近郊で作られた壺。構造上、中に電解質を入れると電池として使えるとされる。
しかし当時用意できるような電解質では発生する電圧が微弱過ぎて実用性がないこと、
発見時はアスファルトで封がされており、その状態ではすぐに電気が止まってしまうことから、
呪術用の紙を入れる壺に過ぎないという説もある。
近年ではメッキ細工用の職人道具だったのではとの説が唱えられており、
原理を理解しないまま使われていた可能性がある。


ヴォイニッチ手稿
20世紀初頭にイタリアで発見された古文書。
謎の文字と奇妙な挿絵が延々と描かれている。当然タイトルも不明で、この名前も発見者に由来する。
執筆された時期も不明だが、科学的な分析により使われている羊皮紙が15世紀初頭ないし前半のものであることは判明している。
現在のところ暗号説から詐欺師が詐欺に使っていた物、ただの落書き帳説まである謎の手稿。


◆アンデスのプラチナ加工技術
南米の古代アンデス文明では金や銀以外にも、プラチナを原材料に用いて装飾品が作られていた。
しかし、古代アンデス文明を征服したスペイン人の侵略者達は、略奪したプラチナの細工物を「銀のまがい物」として捨ててしまったため、その大半が現在では失われてしまった。
何故ならプラチナの融点は1774度Cで、金銀よりはるかに高い。ヨーロッパでは1700度以上出せる溶鉱炉の開発は19世紀の石炭の利用を待たねばならず、おかげでプラチナの存在自体を知らなかったのだ。

だが、古代アンデス人はプラチナ細工だけでなく、金とプラチナの合金さえ創り出していた。
金とプラチナの合金を作るには溶解以外に方法はないが、石炭を知らなかったはずの彼らにどうしてそれが可能だったのか。
実は冶金学上の抜け道が一つだけある。溶解によらず金とプラチナとの合金を作る方法「焼結合(シンタリング)」という高度技術があるからである。

但し、それは20世紀後半にやっと開発されたばかりの新技術で、現在では特に「宇宙船建造の際に必要な」炭化タングステンとか炭化チタニウムという超硬度金属を作るのに用いられた方法である。


◆サンダルで踏まれた三葉虫の化石
5億3千万年前の地層で発見された、成人男性サイズのサンダルで踏まれたようにしか見えない三葉虫の化石。
当然人類が存在しない時代の化石であり、オカルトな話を除けば「偶然サンダル型に化石が割れた」「風化でこうなった」「大きな三葉虫が覆いかぶさった」といった説が上がっている。
現在は進化論を否定する創造論者が設立した博物館に所蔵されているため、詳細な調査ができず真相は不明のまま。
本当にサンダルだったら周辺にもっと足跡の化石出るもんじゃないの?


ガチ系


◆アンティキティラ島の機械
専門家も仰天させたガチ系のオーパーツ。
紀元前150~100年頃の時期に作られたとされる、天体の運行を計算して示す装置だが、
多くの歯車が見事にかみ合っており、18世紀の時計並とすら言われる。
おそらく日食などの天体イベントの予測のために作られたと考えられる。

なお発見されたのは20世紀初頭だが、研究者に注目される前にオカルトライターによって
「これは古代に異星人が来ていた証拠に違いない!!」
などと持ち上げられ、研究者らに
「ねーよwwww」
と失笑されると同時に、
「オカルトライターが取り上げた遺物なんか真面目に研究していられるか」
と、こいつ自身の研究までおろそかにされてしまったという悲しい経緯を持つ。
水晶髑髏を探しに行った考古学教授にとって、これを巡る争奪戦が最後の冒険となったんだとか。


◆ネブラ・ディスク
ドイツ中部ザクセン=アンハルト州の町、ネブラで発見された、約3600年前に作られた青銅製の円盤。
一見すると単なる綺麗な工芸品だが、実は人類最古の天文盤であり、
太陰暦を使うことによって生じる実際の季節とのズレを補正するために使われていたとされる。

すなわち、青銅器時代の人類がすでに太陰暦と太陽暦を組み合わせて使っていたという、
考古学の常識を覆す事実を示すものであり、まさに本来の意味でのオーパーツである。


◆デリーの鉄柱
インドのデリーにある、415年に建てられたとされる鉄柱。
1500年以上の間全く錆びていないと言われる。

なぜ錆びないのかという解説は非常に専門的になるので、彩図社「謎解き超常現象Ⅳ」における若島利和氏の考察などを参考にして欲しいが、
基本的に不純物が少なくて錆びにくいのに加え、絶妙の配合でリンが含まれることで表面にリン酸鉄の被膜が生じ、それが触媒となって表面に保護性錆(安定錆とも呼ぶ)を形成しているという。
(よく言われる「表面に薄い錆が出来ることによってこれ以上錆びないから」という説明は厳密には間違いらしい)
これもガチのオーパーツと言っていいだろう。

ちなみに一部で「アショーカ王の柱(アショーカ・ピラー)」と呼ばれる事があるが、
アショーカ王の時代(紀元前3世紀)とは建立年代が約700年もずれており、全くの無関係である。
また同じインドの鉄で近代の研究の副産物としてステンレス鋼が発明された「ダマスカス鋼」と混同されることもあるが、デリーの鉄柱が鉄99.72%の高純度鉄なのに対しダマスカス鋼は炭素含有量が1.7%の超高炭素鋼で、デリーの鉄柱にはダマスカス鋼の特徴である紋様もなく別物である。




建築物系


◆ストーンヘンジ
イギリスに存在する世界遺産。直立した石柱が円陣状に並んでおり、さらに土塁に囲まれている。
考古学者はこの石柱が紀元前2500年から紀元前2000年の間に立てられたと考えているが、それを囲む土塁と堀は紀元前3100年頃まで遡るという。
材料となる玄武岩は30kmほど離れた場所のものであり、重さが4トンあるこの石柱を当時の人間がどのように運んだのか、何の目的で建てられたのか、
神殿など様々な説が挙げられているが、いずれも憶測の域を出ない。


◆マチュ・ピチュ
ペルーのアンデス山脈の標高2400メートル位置に建てられた石造都市。
専門家も大量の石をどこから調達したのか首をかしげており、その上標高2400メートルで水源もないのに都市に水路の痕跡があるなど、
未だ多くの謎を残している。


◆投入堂
鳥取県に存在する謎建築物。断崖絶壁上部にあるくぼみの部分にスッポリと収まるように建てられている。
資料や年輪年代学から12世紀前後に建てられたと推測されているが,20世紀ならまだしも当時の技術でいかにしてこんな断崖絶壁の場所に建てたのかは不明。
伝承では、修験道の開祖と言われる役小角が法力で小さくした仏堂をブン投げてくぼみにセットしてから元の大きさに戻したという、何とも力技な言い伝えが残っている。ひっくり返って入ったらどうするつもりだったんだろう?
現在は直接の入堂は原則禁止されており、近くの三佛寺というお寺の裏手から伸びる登山道を登って近くまで行けるがその道はあまりにも険しく、過去には死亡事故も何度か起きている為に「日本一危険な国宝」とまで呼ばれ恐れられている程である。


聖ヨゼフの階段
アメリカニューメキシコ州サンタフェサンタフェ市のロットチャペルという教会にある螺旋階段。
写真を見てもらえればわかるのだが、この螺旋階段には支柱がない。
このような構造は建築学上あり得ないことで、現代の技術をもってしても再現不可能と言われており、誰がどうやってつくったのか一切が不明、とされる代物。
「建築学上あり得ない」「現代の技術をもってしても再現不可能」というのはさすがに大げさで、今では「螺旋の半径が小さいことから、階段自身が支柱の役割を果たしている」「バネと同じ原理で建っている」という予測が立っている。
とは言え、当時の技術でこれがつくられたのは驚異的であることに違いはない。
また、誰がつくったのか、ニューメキシコでは手に入らない木材が使用できたのはなぜなのか、という点もミステリーの一つとされているが、今ではフランス人建築家のフランシス・ジャン・ロシャスが建造したという説がある。
使用されたのはトウヒというサンタフェ周辺にはない木材と見られているのだが、ヨーロッパトウヒを大量に持ち込んだと考えれば辻褄は合うし、木材を購入した記録も残っている。


ネタ系


◆宇宙飛行士の彫刻
スペインのサラマンカ大聖堂は11世紀に建てられたものだが、その中に「宇宙服を着た宇宙飛行士」の彫刻がある。

もちろんこの彫刻が加えられたのは20世紀末。
彫刻家のジェロニモ・ガルシア氏が手掛けたもので、修復工事の際、資料の不足などで元の彫刻がわからなかったので、
いっそのこと完全にオリジナルのものに作り替えたのだという。

このように、この彫刻は本来オーパーツでもなんでもない。
……のだが、何故か日本のオカルト本ではしばしば謎のオーパーツとか言われて掲載されている。
適当やな。


◆フェルガナ壁画
ウズベキスタンのフェルガナ洞窟で見つかった、紀元前2000年に描かれたとされる壁画。
UFOに乗った異星人が地球に到着したような場面を描いている。

……が、どう見ても小学生が自由帳に色鉛筆で殴り書きしたようなクオリティの代物であり、こんなのを本物だと思う人がいるのが理解に苦しむレベル。
しかも仮面ライダーみたいな奴までいる。

案の定、SF雑誌の挿絵の模写であることが特定された。


◆街外れに狩りにいく古代人(壁画)
大英博物館の古代ローマ展示室に展示されていた、古代人の狩りの様子を描いた壁画。
……なのだが、槍が刺さった獲物を古代人はショッピングカートに入れて押している。
古代ローマにはショッピングカートが存在……ではなく、これは芸術テロリストとも称されるイギリスの芸術家バンクシー(Banksy)の作品の一つ。

何故こんなものが大英博物館にと思うかもしれないが、勝手に展示して*4三日間バレなかったのである。
明らかにおかしいと気付きそうなものだが、他のオーパーツよろしくそれらしい物であれば人間簡単に信じてしまうという良い例だろう。良い子も悪い子も真似してはいけません。


◆高句麗古墳群の万能壁画
北朝鮮の平壌付近に存在する高句麗後期の古墳群の中にある、パンツのように見える装飾品を身に着けた男二人が対峙する絵柄の壁画で、別名手搏図(しゅばくず)とも呼ばれる。
高句麗古墳群自体はユネスコの世界遺産にも登録されたガチなものであるのだが、この地域に住む人々…ぶっちゃけると現地のネトウヨ的な層が残念なモノにしてしまっている。

記録された起源
この壁画に描かれた内容については非常に多岐に渡り、ここで挙げるのはその一部に過ぎない。

  • 相撲
シルム(韓国相撲・手搏とも言う)を行なう二人の男の様子。
一目見れば解るようにこの図は二人の男が下帯姿で戦うものであり、相撲の起源が韓国のシルムにあることを示している。

  • 忍者・忍術
二人の忍者が戦う様子。
この図は忍者同士が戦う様子を示したもので、鎧兜などを身につけない忍者が最強であることはロバート・ウッドヘッドとアンドリュー・グリーンバーグが1981年に著した『ウィザードリィ』などによっても広く知られている。

  • 空手
テッキョンで戦う二人の男。
韓国の伝統武芸・テッキョンを描いたもので、右側の男がカルチロギ(横蹴り)を放とうとしている一方で、左の男はフェモクジェビ(脚捕り)の姿勢をとっている。空手はテコンドーと同様にテッキョンを祖としている。

  • ろうそくデモ
右側の人物の手にろうそくが掲げられている。
韓国では2008年に蝋燭デモが行なわれ、2016年の崔順実ゲート事件がきっかけとなった蝋燭デモで大統領の弾劾が実現。これは世界四大革命に比肩するものであり、この壁画はそれらを予言していたとされる。

  • ブルマー
ブルマーを穿き対峙する二人の男。
ゴールドラッシュの頃に半島よりアメリカ大陸に渡った人物より、壁画の写しがエリザベス・スミス・ミラーおよびアメリア・ジェンクス・ブルーマーの手にわたり、今日あるブルマーの原型となったとされる。

なお、いずれの説も全く根拠はない
現地でも考古学ではなくネットミームとして扱われているらしく、漫画『テコンダー朴』でもオーパーツ説に沿って登場したことがある。){さすがに白先生でもイカやシャニマスにはできなかった。


◆ミッキーマウス壁画
ちょっと待て。
オーストリアで700年前に描かれた遺跡に見えるミッキーマウスに似た人物。
ご丁寧なことに、すぐそばにドナルドダックに見えなくもない生物まで描かれている。

もちろん実際には現地の動物を戯画化したもの(おそらくビーバーかイタチ)とされる。
というかこんなの最初から本気にする人いるのか?




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最終更新:2024年04月09日 00:54

*1 いわゆるカラーメッキが施されたパーツ。メッキを請け負っていた工場が倒産したことで技法が企業秘密のまま散逸してしまい廃止、現在でもなおバンダイにも再現不能とされる。現在では、カラーメタリックが必要なデザインはホイルシール貼り付け(あるいは別売のメタリックカラーのガンダムマーカーによる部分塗装の推奨。これ用のセット品がある)で処理される

*2 鉄鉱石や砂鉄を溶かして鉄を得る事

*3 大ピラミッドの底面の辺一周の長さを高さの二倍で割ると、当時存在しない円周率とよく似た値が得られるというもの。しかし他のピラミッドに円周率が見られないことや、円周率を知らなくても作れる工法があることなどから、偶然と言える。

*4 「道端や壁等に勝手に自作品を描いたり展示したりする」のはバンクシー氏の流儀である