江戸を斬る(西郷輝彦版)

登録日:2016/06/06 04:59:28
更新日:2023/06/11 Sun 00:36:21
所要時間:約 2 分で読めます




お江戸の悪を許しちゃおけねぇ男よ!



『江戸を斬る』とはTBS系のナショナル劇場で放送された時代劇ドラマシリーズ。本項では西郷輝彦が遠山金四郎役、松坂慶子がヒロインのおゆきを演じ、1975~1980年まで放送された第二部~第五部までを言及する。
水戸黄門の穴埋め的作品で、どちらかが撮影中の期間に交互で放送していた。

現代では実現不可能な大河級超大物俳優陣が出演した重厚な政治サスペンスの前作『江戸を斬る~梓右近隠密帳~』から一転、
若き青年奉行・遠山金四郎と、紫頭巾に変装する魚屋の看板娘で正体は水戸徳川家の姫・おゆきのラブコメ事件ものに路線変更してシリーズ化。
どっちも勧善懲悪だが、水戸徳川家の姫がなぜか魚屋の娘の庶民として育てられたり、改心した盗人の鼠小僧が主人公の配下になっていたり設定は明らかにこっちの方がぶっ飛んでいる。

当時人気アイドル歌手の「御三家」男前担当で俳優デビューした西郷輝彦が、『水戸黄門第6部』にゲスト出演した時の演技力を認められて主役に大抜擢。
流麗な台詞回しと迫力のある演技に加えて殺陣のキレっぷりにも定評があり、いつまでたっても殺陣は下手だった前作主演の竹脇無我とは比べてはいけない。
ちなみに主題歌の「ねがい」も歌っている。作曲は本作のBGMを担当したいずみたく。

町奉行の遠山金四郎が自らおとり捜査で捕まえた罪人を白州で裁くのは『遠山の金さん』と同じだが、今作は遠山金四郎の象徴「桜吹雪」の刺青を見せない回の方が多い。(一回のペイントに何時間もかかり、多大な負担がかかるため)
ちなみに変装時は『遠山の金さん』で定番の遊び人姿ではなく、大体浪人姿や「大工の金公」(第5・6部)になっている。
白州では凶悪犯に死罪獄門を言い渡すことも多かったりと結構シビア。
シリーズごとにレギュラーキャラの存在が抹消されているが、パラレルワールドなので特に気にしてはいけない。

美男美女同士の恋愛模様とたまにあるお色気シーン(だいたいはリョナ)も好評だったのか高視聴率をマーク、最高視聴率は36.7%だった。
本作で松坂慶子は天下の美人女優として大ブレイクし、スケジュールが合わず第5部以降不在が増えると視聴率も低下し、女岡っ引きのお京をヒロインに据えるも第6部で終了した。
8年後に里見浩太朗主演で放送された第7・8部は本作の設定を踏襲しているが、「なんか違う」らしくあまり長続きしなかった。

第3部からは金四郎の祖母であるうめに仕える女中の咲役で大山のぶ代もレギュラー出演し、第4部からは準レギュラーとして出演している。
1979年に放送された第4部が始まった2ヶ月後にテレビ朝日でドラえもんが放送されているが、第6部まで準レギュラー出演していた。



【登場人物】

遠山金四郎(演:西郷輝彦)
主人公で江戸の町奉行(知事と警察署長と裁判官を合体させたような役職)。ちなみに「金さん」と呼ばれたことは一度もない。
裁判至上主義者。高潔な正義漢で冷静な切れ者だが、堅苦しいのは好まない気さくな性格。白州で桜吹雪を見せた時はべらんめえ口調になる。母親代わりのお政には弱い。
イケメンでカリスマ性があり部下想いで人望もある上に剣も腕っぷしも強いという隙のないチート。水戸藩がバックにいるが、仕事柄多くの恨みも買っている。
現役奉行の癖にほぼ毎回変装しておとり捜査するという非常に危なっかしい真似をしており、何度か殺される寸前まで追い詰められたことも。
奉行になる前は遊び呆けていたらしく、おゆきやお政を心配させていた。上腕から背中にかけて桜吹雪の刺青をしているが本人的には黒歴史。
白州で魚政の太吉に入れ墨を見られる羽目になり、「よくも俺に恥をかかせやがったな」と罪人に言っていた。第二部の黒幕である水野忠邦の娘・由美や、女岡っ引きのお京にも惚れられている。

おゆき/紫頭巾/雪姫(演:松坂慶子)
ヒロイン。魚政の女主人・お政の長女だが、正体は徳川斉昭の娘「雪姫」。妾との間に生まれた娘で、元女中だったお政の娘として育てられた。この事実はトップシークレット扱い。
金四郎とは幼馴染の乳兄弟(推定)で恋人同士。優しげで凛とした芯の強い美女だが、意外と負けず嫌いで思い立ったら即行動派。北辰一刀流の免許皆伝を持つ。金四郎には割と積極的。
謎の覆面剣士・紫頭巾に男装し相手が権力者だろうがお構いなしの義賊活動でお尋ね者になっており、心配で止めさせたい金四郎の説得を華麗にスルー。それどころか何度も彼の命を救っている。実質似たもの夫婦である。
一部を除いて松坂氏本人がアクションを担当しており、実は殺陣が上手だったりする。時代劇にはよくあることだが、たまに捕らわれの身になる。
第三部でお政の娘の町娘おゆきとして金四郎と結婚、シンデレラストーリーで有名だとか。恐らく雪姫は病死扱いにしたのだろうか。

次郎吉/鼠小僧(演:松山英太郎)
風車の弥七ポジ。嘗ては江戸を騒がせた伝説の大泥棒・鼠小僧だったが、金四郎に見逃されて改心。その恩から密偵として金四郎を陰で支えるように。
第二部では魚政で働きながら気弱な演技をしているが、本来は切れ者で飄々とした性格。第三部以降は魚政の男衆の兄貴分になり、最終回で料理屋「まさご」を開店。
金四郎とお政親子に多大な恩義を感じて慕っている。そのため、紫頭巾になって同行したがるおゆきを止めたくても逆らえない。
「金持ちから盗んだ金を困窮する人間に与えて幸福にした」という自負を未だに捨てきれず、「義賊であろうが所詮盗人は盗人」と金四郎に叱りつけられて深く反省していた。何回か鼠小僧の偽物が現れている。

お政(演:春川ますみ)
魚政の女主人で、おゆきとお千代の母親(第二部ではお小夜も入れて三姉妹)。
勝気で面倒見の良い性格で、情に厚いと評判の名物女将。金四郎の乳母で母親代わり。
昔女中として働いていた徳川斉昭から預かった雪姫を自分の娘同等に育て上げた。今でこそふくよかだが、昔は痩せていて美人で有名だったらしい。

お千代(演:遠藤真理子)
お政の次女(第二部では三女)でおゆきの妹。金四郎からのあだ名は「お千代坊」。
甘えん坊な性格でよく頬を膨らませている。おゆきを「おねえちゃん」と呼んで懐いている。

徳川斉昭(演:森繁久彌)
おゆき(雪姫)の実父で水戸藩主。温厚な好々爺だが食えない古狸で、娘との繋がりから放蕩者だった金四郎を導いた人物。
幕府内でも一目置かれており金四郎を町奉行に推挙した。史実ではそんな権限ないが気にしてはいけない。
第二部では黒幕的存在の鳥居耀蔵や水野忠邦と対立しており、娘の雪姫に隠し目付の密命を与えて紫頭巾として活動させていた。

他の歴史ものでは「最後の将軍徳川慶喜の父」として登場することが多い人で、幕末以外で出番があるのは珍しい。
なお史実で本作に対応する時代には演者(本作時60代)や史実の金四郎より年下の30~40代で、この後諸事情で隠居させられるも幕末に活躍(?)する。またかなりスケベだったらしい(演者の森繁も猥談好きだったそうな)。



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最終更新:2023年06月11日 00:36