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聖剣使いの禁呪詠唱

登録日：2016/05/14 (金) 22:05:00
更新日：2021/09/23 Thu 11:58:09
所要時間：約 7 分で読めます


思い...出した!綴る!!

『聖剣使いの禁呪詠唱(ワールドブレイク)』は、あわむら赤光によるライトノベル。
刊行:GA文庫
イラスト:refeia
コミック版は月刊コンプエースで連載。
著者:七桃りお コミックス全4巻
2015年1月から3月まで、全12話の神クソアニメが放送された。

【概要】
チート転生者が学園で暴れ回る俺TUEEE系ファンタジーラブコメ。
実際、内容を思い…出そうとしてもそれくらいしか思い…出せない。

登場人物の名前や設定を、厨二病をネタにした作者の前作『あるいは現在進行形の黒歴史』と意図的に重ねてあるらしく、厨二的雰囲気はおそらく狙ったものと思われる。
作中には「黒歴史」のスピンオフという設定の映画『マジカル中二A.N.G.(アンジェ) スイーツデコスケちゃん』が劇中劇として登場する。
だが「黒歴史」の方はちょっとマイナーなため、思い…出してくれる人は多くないらしい。

【あらすじ】
異形の存在である異端者(メタ・フィジカル)の攻撃に晒される世界。
異端者に立ち向かえるのは、かつての英雄が転生した超人…「救世主(セイヴァー)」達のみであった。
救世主養成施設・亜鐘学園に入学した灰村(はいむら)諸葉(もろは)は前世で因縁を持つ二人の少女に出会い、そこから自身の最強すぎる正体を思い…出していく。

【登場人物】
◇灰村 諸葉（はいむら もろは）
CV:石川界人
主人公。現状唯一の「最も古き英霊(エンシェント・ドラゴン)」。
といってもドラゴンに変身したり火を噴いたりするわけではない。今のところは。
かつて悪しき皇帝に戦いを挑んだ勇者「聖剣の守護者フラガ」と、禁呪の力で世界を震撼させた「冥王シュウ・サウラ」という最強クラスの前世を二つ併せ持ち、
通常は片方しか使えない光技と闇術を、いずれも高いレベルで使いこなすことができる。挙句、光と闇を融合させた独自の技・太極(インヤン)まで生み出した。
チートスペックに似合わぬ貧乏性で天然。あまり面倒なことに巻き込まれたくないタイプだが、「もったいない」と言われれば簡単に自分を曲げる。
これでも努力型の主人公ではある。

◇嵐城 サツキ（らんじょう さつき）
CV:竹達彩奈
ヒロインその1。白鉄。
前世はフラガの実の妹で、とある国の姫だった「聖剣の巫女サラシャ」。
姫だった頃には戒律で鍛えることを禁じられていたため何の力も無く、転生して初めて光技に目覚めたレアケースの救世主。
そのため戦闘技術に関しては思い…出すもクソもなく、ほぼゼロから修行中である。
修行の甲斐あって今では立派な脳筋に育ち、持久戦を得意とするパーティーのメイン盾になりつつある。
現世でもことあるごとに諸葉の妹を主張し、一言でいうと「バカな子ほどカワイイ」。
次第に増えていく諸葉のハーレムについては「恋人は別にいいけど妹のポジションは渡さない」と妙な対抗意識を燃やしていたが、
最近は妹っぽい娘も増えて戦々恐々としている。
というかサラシャだったころからもう既に禁断の愛に堕ちていたことを認めてしまっている。巫女とはいったい…うごごごご
メイン盾を体現するかのようにゴリゴリして痛い。

◇漆原 静乃（うるしばら しずの）
CV:悠木碧
ヒロインその2。黒魔。
前世はシュウ・サウラの妻「冥府の魔女」（名前はまだ思い…出せていない）。別にアルティメットにはならない。
現世でもことあるごとに諸葉の妻を主張し、過激なスキンシップを要求してくる。
家の事情などもあって学校ではその強大な力を隠しているが、隠し過ぎて虚弱体質に足を突っ込んでおり戦闘ではスタミナ不足を指摘される。
とにかくでかい。

◇四門 摩耶（しもん まや）
CV:小倉唯
ヒロインその3。黒魔。
幼いながらも救世主として目覚めた少女。本作のロリ枠
覚醒した際に思い出した豊富な知識を駆使して、メイン二人の隙を縫って愛人枠を狙う。
諸葉をモノにするためなら自ら「暖かくて可愛い抱き枕」に徹することもいとわない、油断ならぬ幼女。
さすがに年齢相当だが姉譲りの大器を予感させた(過去形)。

◇百地 春鹿（ももち はるか）
CV:内田真礼
ヒロインその4。白銀。
実戦部隊(ストライカーズ)の一年先輩。ボーイッシュでアスリート体型の飾らない性格が可愛い女性。
ストライカーズ一の俊足が自慢で代わりに攻撃力が無いことが悩み。欠点にとらわれ伸び悩んでいるところを諸葉の言葉でスランプを脱出しともに修業を重ね日本支部でも有数の白銀に成長した。
恋愛面でも奥手で、行動力のあるライバルに気圧されながらも諸葉の戦友として着実にポジションを築きランクアップを狙い、エピローグでは諸葉の第一子を産む。
年上ながらサツキに勝るとも劣らないスタイルで、強力なライバルを見ては涙をぬぐう。

◇エレーナ・アルシャヴィナ
CV:上田麗奈、ジェーニャ（ロシア語）
ヒロインその5。白銀。
ロシア支部から来た留学生で、その正体はロシア支部長の直属の暗殺者。
弟のために汚れ仕事に従ってきたが実は…。
白銀としては中クラスだが、顕現させる魔剣レプラザンは周囲から通力と魔力をすべて奪うことで相手を無力化させる。自分の光技も使用できなくなるがそれによらない体術剣術で相手を確実に斃す。
作戦に失敗しすべてを失ったところで諸葉に救われてからは、諸葉を家族同様に慕い第二の妹を主張してサツキと争う。
細いけど出るとこは出てるロシア美女。エピローグでは諸葉の第二子を妊娠中。

◇石動 迅（いするぎ じん）
CV:中村悠一
実戦部隊の隊長で、学生ながらランクAに認定された天才と評されているが、本人は積み重ねを重視する実直な性格。
「最も古き英霊」という圧倒的な目標を手に入れ、追いつくために努力を重ねる。


◇石動 厳（いするぎ げん）
CV:杉崎亮
石動隊長の弟で兄とはあまり似ていない剛毅な性格。
学園入学の前から兄に手ほどきを受け、兄ほどではないがすでに救世主として高いレベルの技能を修めている。
戦闘となれば巨大な斧を顕現させ、暴風のごとき速さと見た目にたがわぬ斧の破壊力で敵を蹂躙する。
原作では諸葉のスピードを見て、それを殺すために練習場の地面を粉砕するなど戦闘のセンスを見せる。
原作でもアニメでも最大の壁として立ちはだかり諸葉を光技で圧倒するが、光技と闇術の両方を使えるという諸葉の常識外れの前に敗北する。
諸葉をもっとも苦戦させた男。

◇田中 一郎（たなか いちろう）
CV:大川透
諸葉たちの担任。のちに息子が亜鐘学園に入学してくる。
当然救世主なのだが見た目はまったくそれを思わせない73メガネの冴えない中年。教師としては生徒を見守り悩む生徒に的確なアドバイスをする素晴らしい先生で諸葉たちにも慕われている。
救世主としては中堅程度で本人も才能が無いと自嘲しているが、たまに見せる隠密行動の技術は恐ろしいほどの冴えを見せる。
時折なにものかと内通しているようだが…

◇駿河 安東（するが あんどう）
日本支部長。戦闘能力は無いが異端者の出現を察知し異端者を浄化する能力を持つという数ある救世主の中でも特殊な力を持つ。
見た目は少年ながら「極東の聖人」とまで称される安定のCV:石田。

◇熾場 亮（しばあきら）
救世主の力に目覚めながら白騎士機関に逆らう背教者の集団『六翼会議』の王。ランクSに認定されながら日本支部に反逆し背教者に指定され敗北、ある屋敷に幽閉されていた。ただし熾場の時代の亜鐘学園校長が名誉のために救世主をすり潰すブラック企業の経営者的人物でこの校長が彼が追い込んだ側面が多くある。
白銀としては体術よりも通力を業火に変えて操る熒惑を多用する珍しい範囲攻撃の遠距離タイプ。
幽閉の身ながら『六翼会議』を導いているが、彼にも彼を操る何者かの影が見え隠れする。


【用語】
◆救世主(セイヴァー)
源祖の業(アンセスタル・アーツ)と呼ばれる特殊能力を使い、異端者に唯一対処できる存在。
基本的に、光技を使う「白鉄」と、闇術を使う「黒魔」に分かれる。
大昔に英雄と呼ばれた者の生まれ変わりで、断片的な前世の記憶を「思い…出す」ほどに強くなる。
生まれ変わりには数千万年かかるため、基本的に一人が持てる前世は一つである。
救世主をまとめる国際組織「白騎士機関」によりランク付けされ、最高クラスのSランクとなれば6人しかいない。

◆ランク
機関が定める救世主の格付け。D～A、S、SSの六段階。
それぞれ、
D（＝ディシプリン（Discipline, 「修練中の救世主」）
C（＝コモン （Common, 「普通の救世主」）
B（＝ブレイカー（Breaker, 「破壊者たる救世主」）
A（＝エース （Ace, 「一流の救世主」）
S（＝スペシャル （Special,「特別階級」）
SS（Savior of Saviors ,「救世主の中の救世主」）。
という意味合いがある。

◆光技(こうぎ)
全身7か所にある「門」から通力を汲み出し身体能力を上げる源祖の業。使用者は白鉄(しろがね)と呼ばれる。
中国支部長馬迭戈が体系づけたとされ、その直弟子支部長代理ルー・ヂーシンの本気の槍の一突きは正に神槍。
主な役割は綴っている黒魔を守り、攻撃を引き付けること。
汎用の技術とは別に白銀個人の資質に応じて通力を変化させる熒惑という技もある。熒惑は高ランク救世主でも持っていないことがあり希少。

◆闇術(あんじゅつ)
「綴る!」
いわゆる魔法。使い手は黒魔(くろま)と呼ばれる。
使うには詠唱と同時に、指で空中に文字を綴らなければならない。
第一階梯3マナ1点スロートリップ【火炎】から第八階梯2マナ3点3点ライフゲイン【稲妻の螺旋(サンダーストームヘリックス)】のように
詠唱・スペリングを長くすることで格段に威力が向上していく。
もっとも、詠唱を1行長くするごとに格段に難易度と魔力の必要量が増え、第八階梯闇術はほとんどロシア支部長雷帝ヴァリシーサ専用だったりする。
攻撃だけでなく、飛んだり眠らせたりゴーレムと呼ばれる使い魔を作ったり結構器用なこともできる。

一般的には第八階梯までしかないと言われているが禁呪と言われる第一三階梯も存在する。
発動には長い詠唱・スペリングと途方もない魔力量が必要とされ使い勝手は悪いがその威力は絶大で、強大な異端者を一撃で倒す威力を持つ。
だが最大の問題として、使用した土地を永久に雷の荒れ狂う土地にしたり、ロシアの大地を水没させ「諸葉の海」と呼ばれる内海を作ったり等
発動すれば毎回世界に永続的な悪影響を与えてしまうという戦略レベルの欠点を持つ。文字通りの「ワールドブレイク」なのである。

また、黒魔は基本的に綴ってる間無防備で両手も塞がっているため、白鉄との連携が不可欠。
本来併用できない光技を使って綴る速度をブーストしたり、綴りながら光技を繰り出して自分の身を守ったり、果ては両手両足でも綴れる諸葉は例外中の例外といえるが、
黒魔を極めたフランス支部長シャルル・サン=ジェルマンは両手両指を駆使して計10行の闇術を巧みに使いこなす変態的な技能の持ち主。

これで綴っている文字は一見何かの古代文字に見えるが、よく見ると平仮名を鏡文字にしただけであり、詠唱してる内容を日本語で書き写すという絵的にシュールなもの。

◆認識票
救世主に支給されるIDタグはアメリカ支部長のお手製の特別品で通力魔力と思いを込めることで前世に使用していた謂れのある魔道具を現世に顕現することができる。諸葉の聖剣サラティガや静乃の強大なゴーレム竜杖ナーグラヴィッツも普段はこれ。
アメリカ支部はこれで相当ボってるらしく壊すと始末書もの。たまに死闘で魔道具が壊れるとタグも壊れてしまう。世に1本しかない魔剣聖剣を壊しても認識票の数だけ顕現できる。

◆太極(インヤン)
光技と闇術を併用する必殺技。
予測不能な攻撃を繰り出すだけでなく、魔力と通力が互いに喰らい合うことで際限無く威力を増していくという性質を持つ。

◆白騎士機関(オーダー)
異端者(メタフィジカル)と戦うため、世界各国の救世主(セイヴァー)をまとめるための機関。
最初の異端者(メタフィジカル)と救世主(セイヴァー)が現れたイギリスを筆頭に、フランスロシア中国日本アメリカの6つの支部がある。
各支部は独立に由来があって組織されたため、それぞれ流儀が違いイギリス支部長サー・エドワードのカリスマでまとめているが、
方針を巡って対立が多い。
だが「白騎士機関(オーダー)にまつろわぬ救世主(セイヴァー)は救世主(セイヴァー)ではない」という厳格な方針は各国共通である。

◆亜鐘(あかね)学園
白騎士機関(オーダー)日本支部が運営する学園。
作中の日本では、中学卒業時に目的不明のテストを受けさせられ、救世主(セイヴァー)の素質をあぶりだされた者が入学資格を得る。
救世主(セイヴァー)関連の全ては世間には秘匿されているため、表向きには「素晴らしい進学校」とされており、
実際戦闘訓練だけでなく一般的な授業のレベルも高い。特に、本部がイギリスにあるからか英語教育に力が入っているらしい。
全寮制で、学費と生活費の類は完全に無料。加えて「実戦部隊(ストライカーズ)」に志願して働くことで、奨学金名目で給料ももらえる。

◆実戦部隊(ストライカーズ)
亜鐘学園所属の異端者(メタフィジカル)討伐部隊。表向きは「部活」として扱われている。
参加は志願制で、倒した異端者(メタフィジカル)のランクに応じて給料（奨学金）が貰える。
亜鐘学園は生活保障の代わりに外でのバイトは全面禁止であり、どうしても金が欲しい場合はここに志願するほかない。

◆異端者(メタフィジカル)
突如現れた脅威、巨大で異形の怪物。よくある設定で現代技術の攻撃は通用しない。
大抵の場合十数m以上で大きくなるほど強力な個体になり、救世主(セイヴァー)が十数人集まってようやく討伐できる。
ソロ狩りなんてもってのほかだが、主人公含め数人しかいないSランク救世主はそれが可能。
背教者の集団『六翼会議』は異端者とつながり出現をコントロールしていると言われている。

◆最も古き英霊(エンシェント・ドラゴン)
相反する二つ以上の前世を併せ持つ救世主。二重輪廻転生者とも。現在確認されているのは諸葉のみ。
単純に他の救世主よりも思い…出せるチャンスが多いためその潜在能力は桁違いである。
二重輪廻転生をするには理論上、一億年経っても擦り減らない魂が必要なことから、エドワードが「そんな魂は人間には持てない」（意訳）的な感じで「ドラゴン」と付けた。
そのせいで、諸葉は今のところ何のドラゴン要素もないにもかかわらずドラゴンと呼ばれ続けている。
だがアニメの最終話で…?

【アニメ版】
先に言っておくと、近年のテンプレラノベアニメの中でも質が相当低い。
某TRPG作家が「面白い要素が本当に一つも見つからない」とまで酷評したほどである。

○絶妙に力の抜けた作画
○ゴキブリダッシュ
○ヤシの木
○救急車
○説明無しで突き進む超展開
○「　半　年　前　」だけで一笑いとる
○思い…出した!綴る!

これらの要素が絡み合い、不思議な雰囲気を持つ「神クソアニメ」を創り出した。
この時期に放送された、特に頭を使わずに見えるテンプレラノベアニメが俗に「石鹸枠」と呼ばれたが、
この作品に関しては突っ込み処が大きすぎてある意味見てて疲れる、石鹸枠の中でも異質の作品だと評価された。

石鹸枠の由来は「聖剣」なのに皮肉なものである。

なおこのような扱いを受けた作者はさぞかし不本意かと思われたが、Twitter上でノリノリで実況に参加するなど半ば受け入れている。
挙句、放送終了後「そういう受け止められ方をした」と認めるような発言をした。

ちなみにアニメ版の監督は「ジュエルペット サンシャイン」や「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」などを代表作とする稲垣隆行。
そのため、前述のツッコミどころ満載な演出も厨二的作風をネタにしたシリアスな笑いとして意図的に行ったものでは？という見方もあり、ギャグアニメ愛好家からの評価は一転して高かったりする。

2016年に「音声リテイク版」で再放送の予定があったが、今のところ宙に浮いている。
いや直すとこそこじゃねーから!!


追記・修正は自分の前世を思い…出してから綴って下さい

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