リング(小説)

登録日:2016/05/08 (日) 23:26:46
更新日:2023/11/02 Thu 01:35:06
所要時間:約 9 分で読めます




この映像を見た者は、一週間後のこの時間に死ぬ運命にある。

助かりたければ、今から言うことを実行せよ。

すなわち…





概要


『リング』とは、1991年に刊行された鈴木光司のホラー小説。
1990年の横溝正史賞に応募されたが、完成度は高いものの「ミステリーじゃない」と審査員からは相手にされず、
刊行当初もそれほど話題になってはいなかった。
しかし、1992年の「このミステリーがすごい!」12位にランクインし、口コミが伝わって徐々にヒットした。

見たら一週間後に死ぬ」という「不幸の手紙」ならぬ「呪いのビデオ」を見てしまった新聞記者が、
呪いを止めるためにその出自を追うミステリー形式の物語を取りながら、最後の最後で呪いの恐ろしさを見せつけるホラーの入り混じった展開から話題となった。
一応、原作では完全な「呪い」ではなく「死に至るウイルス」をベースにしたストーリー展開を取り、念写や天然痘を絡めた論理的な推理が中心。

そして、1998年、中田秀夫監督、高橋洋脚本で映画化され、その知名度を爆発的に高めることとなる。
こちらの映画版は、「噂」、「超能力」を中心とした、完全なオカルトホラーに書き換えられ、
特に最後の最後で幽霊「貞子」の映画オリジナルの、度胆を抜く登場方法で日本中の観客を震え上がらせた。
これを機に、『リング』は日本のホラーを「Jホラー」とブランド化されるまでに至り、「日本ホラー小説の金字塔」とまで言われるようになる。

映画版の他にも、2時間ドラマ、連続ドラマ、ドラマCD、漫画と、数々の形でメディア化された。

本作の後、続編として『らせん』、『ループ』、短編集『バースデイ』が執筆されるが、こちらは作品を重ねるごとに、バイオサスペンス、SFとジャンルを一変させる超展開が繰り広げられた。
その後、更なる続編として『エス』、『タイド』が執筆される。

映画版は、『らせん』が同時上映されたが、本作のホラー路線を強めたパラレル続編『リング2』、『バースデイ』収録の短編『レモンハート』を大幅に改変した前日譚の『リング0~バースデイ』が公開。
さらに、ハリウッド、韓国でリメイクされた。
その後、貞子がキャラクター化された『貞子3D』シリーズが公開。
さらには『呪怨』シリーズとコラボした映画『貞子VS伽椰子』が公開されている。





物語


新聞記者の浅川和行は、ある日乗ったタクシー運転手の話した「突然心臓発作を起こした若者」の話を聞き、興味を抱く。
奇しくも直後、彼の姪が心臓発作で突然死したと一報が届く。
しかも、彼らは一週間前、伊豆のコテージに旅行に行き、そして4人全員が同じ時刻に死亡したという。

事件の真相を突き止めるため、浅川は4人が泊まったというコテージへと向かった。
そこで彼は、管理人室に置いてあったという一本のビデオテープを発見する。興味本位でビデオを受け取り、再生してみる浅川。
するとそのビデオの最後には、「この映像を見た者は一週間後に死ぬ」というメッセージが記されていた。

4人の死の原因を確信した浅川は、高校時代の友人で頭の切れる大学教授、高山竜司に助けを求める。
高山は、ビデオの映像を分析しながら、その映像を制作した者を推理していくのだった。
やがて二人は、山村志津子という世間を賑わせた超能力者、そして娘の貞子に行きつく。

刻一刻と迫る一週間後のタイムリミット。浅川の妻子もビデオを見てしまい、浅川も焦りを見せ始める。
そして彼らは、コテージ下の井戸でその時を迎える…。



登場人物


  • 浅川和行(あさかわかずゆき)/映画版:浅川玲子(あさかわれいこ)
演:松嶋菜々子(映画)、高橋克典(SPドラマ)、柳葉敏郎(連ドラ)
主人公の新聞記者。妻子持ち。
日々の生活に疲れているが家族を愛する、典型的な亭主。
姪の謎の死をきっかけに、伊豆のコテージの謎を追ううちに「呪いのビデオ」を見てしまう。
新聞記者の立場を利用して、友人の分析を基に過去の事件の情報を集め、呪いの核心に迫っていく。
高山のことはその粗野で下品な性格からあまりよく思っていない。

映画版では女性で、職業もTVディレクターに変更された。
元々番組の特集で「呪いのビデオ」の噂を追っていたという設定。

  • 高山竜司(たかやまりゅうじ)
演:真田広之(映画)、原田芳雄(SPドラマ)、長瀬智也(連ドラ)
論理学を専攻する大学教授。
浅川とは高校時代の同級生だが、皮肉屋かつ下品な態度で、よく彼をおちょくっている。
一方で、初対面の相手には紳士的に接し、意中の相手には子供のような純真さを見せる、多面性を持つ人物。
非常に理性的な頭脳を持った天才肌であり、呪いのビデオを見てもさほど気にせず冷静に分析し、ビデオの制作者を特定していく。
「世界の終わり」を見るのが夢と自称していたが、その最期は…?
彼自身は本作で死亡するが、『らせん』以降も『ループ』で語られるある事情によりシリーズの超展開を繋ぐキーパーソンとなる。

映画版は浅川の元夫で、サイコメトリングの能力者という設定が追加された。(おそらく、謎解きシーン短縮のため)

  • 山村貞子(やまむらさだこ)
演:伊野尾理枝(映画)、三浦綺音(SPドラマ)、木村多江(連ドラ)
伊豆大島出身の超能力者・山村志津子の実の娘にして、呪いのビデオを念写した張本人。
母の血を濃く受け継いだためか、念写等の生まれつき強い超能力を持ち、母が詐欺師と迫害を受けると共に、力を隠しながら生きてきた。
青春時代は東京で小劇団の女優として活躍。
そんな中、結核を患った父の世話のために通った診療所にて、天然痘キャリアの長尾医師に犯され、井戸に突き落とされ殺害される。
しかし、完全には死んでおらず、長年蓄積した恨みを、井戸の上に建設されたコテージのビデオテープにウイルスとして念写し、この世に消えぬ呪いを残した。
実は生まれつき性自認・外見と生殖器・遺伝子の間に致命的なズレがあり、美人なのに子供を産めない身体だった。「その無念こそ『呪いのビデオ』の根幹じゃ」…と高山は末期に直感し、『らせん』に繋がっていく。

映画版は、日本で知らない者はいない、白いドレスに長い髪を前に全て垂らした恐ろしい女幽霊として描写されており、「貞子」が幽霊の代名詞としてあまりにも有名。
その特徴的な外見からして、キャラクターとして独り歩きしてしまったほど。
天然痘の設定がオミットされているため、「念じるだけで人を殺せる呪いの力を持つ」オカルト的能力者となっている。

  • 高野舞(たかのまい)
演:中谷美紀(映画)、濱田万葉(SPドラマ)、矢田亜希子(連ドラ)
高山の教え子。
ファッションが野暮ったいが可愛らしい女性。
よく高山のアパートに通い、彼の世話をするほど親密な仲。
その未来は『らせん』と『リング2』で完全に異なる。

  • 浅川静(あさかわしずか)
演:立原舞(SPドラマ)
浅川の妻。
調査に没頭する夫に不満を抱き、好奇心から娘とともに呪いのビデオを見てしまう。

  • 浅川陽子(あさかわようこ)/映画・連ドラ:浅川陽一(あさかわよういち)
演:大高力也(映画)、深川雄太(連ドラ)
浅川の娘(息子)。
母親と共に呪いのビデオを見る。

映画版では霊感があるような描写がある。

  • 吉野賢三(よしのけんぞう)/連ドラ:吉野明子(よしのあきこ)
演:松重豊(映画)、中村茂之(SPドラマ)、京野ことみ(連ドラ)
浅川の先輩記者。
呪いのビデオ事件を追う浅川に協力し、数々の情報を提供する。

  • 岡崎(おかざき)
演:柳ユーレイ
映画版オリジナルキャラ。
浅川の部下で、呪いのビデオ特集の番組を担当。

  • 大石智子(おおいしともこ)
演:竹内結子(映画)、雛形あきこ(SPドラマ)、岡本綾(連ドラ)
浅川の姪。都内の女子校に通う高校3年生。
夏休み、クラスメイトと連れの男二人と一緒に伊豆に旅行に出かけるが、そこで呪いのビデオを見てしまった。
一週間後、予告の通りに、両親の留守中に心臓発作で死亡する。

映画版では死体の顔が恐ろしいことになっている。

  • 倉橋雅美(くらはしまさみ)
演;佐藤仁美
映画版オリジナルキャラで、智子の友人。
智子の死の瞬間、彼女の家に遊びに来ていたが、呪いの瞬間を目の当たりにし、精神を病む。

  • 山村志津子(やまむらしづこ)
演:雅子(映画)、木村多江(連ドラ)
かつて超能力者として学会で話題となった女性で、貞子の母。
伊豆の観音像を引き上げたことを機に、透視や念写といった超能力を身に付け、超能力を研究していた伊熊博士に見初められる。
しかし、公開実験で失敗し、癇癪を起こし、一転して「詐欺師」と迫害を受け、精神を病み三原山火口に身を投げ自殺。

  • 伊熊平八郎(いくまへいはちろう)
演:伴大介(映画)、上杉祥三(連ドラ)
精神科の大学助教授。籍こそ入れていないものの、貞子の父である。
超能力を専攻としており、志津子の噂を聞きつけ、彼女の力を売り込み、公私ともにパートナーとなる。
だが公開実験の失敗で大学を追われ、自らが超能力を身に付けようと滝修業に励むが、結核を患い死亡する。

映画版では長尾の存在がオミットされたため、貞子の化け物じみた力を恐れ、殺害したことになった。

  • 山村敬(やまむらたかし)/山村敬一郎(やまむらけいいちろう)
演:沼田陽一(映画)、上田忠好(SPドラマ)、稲垣昭三(連ドラ)
志津子の弟で、貞子の叔父で育て親。
現在は漁師で、実家で民宿を経営している。
生前は姉の境遇を憐れんでおり、浅川たちに志津子親子の過去を語る。

  • 長尾城太郎(ながおじょうたろう)
演:田口トモロヲ(SPドラマ)、山本圭(連ドラ)
開業医。
天然痘の最後のキャリアで、入院していた診療所で貞子と知り合った。
そこで彼女を犯し、彼女の肉体の真実に気づきつつ激高にかられるまま殺害し、井戸に突き落とした。
この時彼の保持していた天然痘ウイルスが彼女に感染し、形を変えた「リングウイルス」としてビデオに念写されることとなる。

映画版では登場しない。




呪いのビデオ

リゾート施設・伊豆パシフィックランドのコテージにあった、わずか1分半の映像が収められたVHSテープ。
出自の経緯としては、「家族連れの客の男の子が番組を録画しようとビデオをセットしたが、チャンネルが東京と違っていたため別の空き局が録画されてしまった。
テープは忘れられ、デッキの中に置き去りになったがのちにそれを見た客が最後の部分を上書きしてしまい、呪いを解くオマジナイがわからなくなった」
とされている。
映画版ではすでに「呪いのビデオ」が噂になっていたため、出自に関しては不明のまま。

内容は、媒体によって差異はあるが

  • 火を噴く三原山
  • 鏡に映った志津子
  • 念写された文字(山、貞)
  • 画面に「うぬはだーせんよごらをあげる」と語り掛ける老婆
  • 罵る無数の顔
  • 迫る長尾の顔
  • ボウルを転がるサイコロ
  • のたうち回る亡者

など。
原作、ドラマは冒頭のメッセージが記されている。
なお、映画版ではメッセージがないが「井戸の映像」で終わっており、これがラスト最大の恐怖シーンの伏線となっている。





この項目を荒らした者は、一週間後に死ぬ運命にある。

助かりたければ、今から言う方法を追記修正せよ。

すなわち…

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • みんなのトラウマ
  • パチンコ化
  • 小説
  • 映画
  • リング
  • ホラー
  • 鈴木光司
  • 中田秀夫
  • ドラマ
  • 貞子
  • 呪いのビデオ
  • 井戸
  • 名作
  • 呪い
  • 静岡県
  • 伊豆
  • 東京都
  • 大島
  • 三原山
  • 幽霊
  • テレビ
  • コテージ
  • 超能力
  • 念写
  • オカルト
  • 一週間後
  • ダビング
  • 天然痘
  • ビデオ
  • ウイルス
  • オマジナイ
  • 増殖
  • 不幸の手紙
  • らせん
  • ループ
  • リング2
  • フジテレビ
  • 実写化
  • 金曜エンタテイメント
  • 90年代テレビドラマ
  • 99年冬ドラマ
  • 東宝
  • 怨念
  • ホラー小説

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月02日 01:35