遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS

登録日:2016/05/08 (日) 02:13:15
更新日:2024/01/18 Thu 22:01:40
所要時間:約 31 分で読めます










新たな未来を拓くのは 意志か、か、理想か――――。







『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』とは、2016年4月23日に公開した映画作品。
光のピラミッド」「超融合!時空を越えた絆」に続く、テレビ東京版遊戯王三作目(東映版を含めれば四作目)の映画である。
またタイトルロゴは前作までと違い、海外版に合わせた物となっている。


概要

1996年から2004年まで週刊少年ジャンプで連載された漫画「遊☆戯☆王」。その20周年を記念しての劇場アニメとなる。
原作者・高橋和希自らが製作総指揮・脚本・キャラクターデザインを務めることが発表され、話題となった。
キャスト陣もデュエルモンスターズ当時のメンバーがサブキャラも含めて集結している。

監督には遊戯王シリーズでは遊戯王ZEXALで監督を務めた桑原智(ZEXALの件でカズキングに気に入られての抜擢)。
総作画監督にはアニメDMファンにはお馴染みの作画監督である加々美高浩が前作に続いて担当*1
遊戯王シリーズではデュエル構成等でお馴染みの彦久保雅博も脚本担当で参加。

音楽は遊戯王シリーズ初参加の池頼広。
またエンディングクレジットにはZEXALで音楽を担当した中村和宏やデュエルモンスターズで音楽を担当した光宗信吉が記載されている。
また、編曲担当として、GXからZEXALで音楽を担当した蓑部雄崇と5D'sとZEXALで音楽を担当した福田康文も記載されている。
デュエルモンスターズの名場面を演出してきた数々の名曲が豪華版にアレンジされて流れる為、サウンド面でも満足できる。

作画面でも長年シリーズを支え続けている原憲一・高橋和徳・武藤公春・小林一幸・丸山修二といったベテランスタッフ。
横田明美・盧佶甫・蛯名秀和・豊田暁子ら新顔のエース陣。更に久々の登場でDM作画ファンを驚かせたつなきあきや羽山淳一など、
テレビ東京版遊戯王全シリーズから錚々たるメンバーが集合している。
また、和希直々に原画も担当しているので要チェック。ヒントはデュエルディスクだ!

主題歌はイギリスのロックユニットTHE EDEN HOUSEの「TO BELIEVE IN SOMETHING」。
蜃気楼漂うエジプトのような爽やかさの中に、どこか原作のアングラっぽいムードも盛り込んだ名曲。


今作の最大の特徴は旧作二つがアニメ遊戯王デュエルモンスターズシリーズの世界観を題材にした作品に対して
冥界に闇遊戯=アテムを送り出した後の原作でのアフターストーリーが描かれている点である。
そのためアニメシリーズには登場しなかった原作キャラが一部登場したり、原作で回収しきれなかった謎の一部が今作でようやく明かされることになった。
なに、「また増えた?」 知ら管
何気に表遊戯と海馬のデュエルは全編通して初だったり。

世界観が原作故にデュエルモンスターズという名称も使われていないが、かといってマジック&ウィザーズに回帰することもできないため、
本作におけるカードゲームの呼称に関しては(藍神による)「魔術の札」という名称が使われている*2

また東映版遊戯王の劇場版以来に東映が配給を務めた点も一部に話題となった東映版DVD化に淡い希望を持った人も期待だけしておこう


本作でも前作までと同様に劇場版限定カードが存在するが、
まず前売券にもカード青眼の亜白龍がついており、さらに入場者特典も第4弾まで週替わりで配布された。
そのため同名カードを3枚集めるためには最低12回映画を観る必要があり、
その過去に類を見ないえげつない商法特典量に決闘者達による特典カードを賭けたバトルシティが行われている…とかいないとか。

「何だい今日は…さっきから手にカードや銀袋を持った連中を見かけるが…」
「一般客はどいてた方がいいぜ! 今日からこの映画館は戦場と化すんだからよ!」

さらにはTOHOシネマズのシネマイレージカードにも限定カードが付いてくる(とはいえレアリティが劇場限定という意味なので良心的だが)。
これは映画を見る度に1ポイント溜まり、1億ポイント6ポイント溜まれば1回無料鑑賞できるというもの。ポイント制!?

劇場では「表遊戯が海馬との決闘中にシネマイレージカードを発動する」という内容のコラボCMが放送された。
ちなみにシネマイレージカードは相棒曰く、「魔法カード」。効果説明では上記の6回映画を見たら1回無料になるを説明していた。

「何? 6回見たら…1回無料だとぉ!?」「うん!」

だが社長の口ぶりと例のえげつない商法から、「遊戯王を6回見たら1回無料」と勘違いするハリキリ★ボーイも続出したらしい。
言うまでもなくどの映画でも無料になるので、2回分料金が浮くとかそういう話ではない…ハズ

さらにさらにぃ、劇場版公開記念として、特別パック「THE DARK SIDE OF DIMENSIONS MOVIE PACK」が発売された(前回同様劇場限定品とかではない)
このパックは映画で使用されたカードしか入ってないので、パックの存在自体がネタバレという決闘者泣かせの仕様である。
ただ後述するように、カードゲームとしてデュエルを楽しみたい人はこのパックのカードの予習が必要である。

5月13日には最近の流行を取り入れた、コスプレ・声出し・サイリウムOKの「大喝采上映」が開催。
例によって限定カード(英語版青眼の白龍)付きということで予始から早いところでは5分で座席が完売する事態に。
当日は様々なコスプレ(リーマン姿にグラサンでOKなKC社員が多かった模様)に身を包んだ決闘者たちが遊戯や社長、藍神たちに大きな声援を送った。

9月24日から4D版の上映が決定した。入場特典はKCウルトラレアの「青眼の亜白龍」。



TRANSCEND GAME 遊戯王

公開直前の週刊少年ジャンプに掲載された前後編の読み切り。漫画は高橋和希自身が執筆している。
劇場版に繋がるストーリーで、新デュエルディスク開発のための新システム「デュエルリンクス」を開発する海馬と、彼に接触する謎の少女の物語。

作画は遊戯王連載当時のものに近く、2013年に掲載された読み切り『DRUMP』のような昨今の濃い目の画風に比べてマイルド*3
というかやろうと思えば当時の画風も再現できる高橋先生の画力の高さがわかる。

ちなみに遊戯王の読み切りながら遊戯が一切出ずに終わった。(アテムはちょっと出ている)
その分、前後編通じて海馬社長の大暴れに特化しており、アニメから逆輸入された名言「全速前進だ!」や*4
意識レベルが突き抜けて宇宙へ、そして異次元へ飛んでいった社長を見た一般決闘者の「意識高ぇーっ!」という歓声が話題になった。
意識高い系という言葉が流行する中、物理的に意識が高い社長すげえや。意識他界系



ストーリー

アテムとの闘いの儀が終わり、それぞれの道を歩み始めた遊戯たち。
あれから一年の月日が経ち卒業も間近となる中、世界中で次々と起こる謎の失踪事件。

そしてその前に現れた謎の少年――藍神。

ただひたすら千年パズルの完成を目指す海馬。

すべてのピースが合わさるとき、再び決闘の幕が切って落とされる。



登場人物




















用語

◆デュエル
今作のデュエルは原作でのM&Wとは違いDMを意識している。
とはいえ今作ではデュエルを複数回行うこととキャラクターの心情の表現が重視されたため、カード効果やコンボの説明は最小限に抑えられている。
そのためデュエルをカードゲームとしてしっかり楽しみたい人は(特に方界カードの)カード効果を予習しておくとよい。
登場カードはほとんどがムービーパックに収録されているため、そこのテキストに目を通しておけば大体流れはわかる。
ちなみに劇場版オリカもあるが決闘自体はテキストに沿った形できちんと進められている(次元領域決闘は若干異なるが)。

キャッチボールのように次々とターンが映っていく本作独特のデュエルシーンはテンポが良く、
ある意味で原作漫画のコンセプトである「主人公が絶対人を殴らない格闘モノ」っぽくなっている。

また後述の次元領域決闘で大ダメージが入るからか、遊戯王シリーズでは初の1対1のデュエルでOCG同様ライフポイント8000が採用されている。

ちなみにデュエルモンスターズからARC-Vまでの間に様々なルール変更があったが、
「リリース」という用語を普通に使っていた前作「時空を越えた絆」と違い、現行ルールやその用語は採用されておらず、普通に先攻ドローがある。
例外的に融合デッキはエクストラデッキに変わっている。原作では融合デッキはなかったからだろうか?

またコストとして「生け贄=リリース」に当たる効果の発動や「生け贄召喚=アドバンス召喚」が行われた場合でも、
後者の場合は特に用語は何も言わず(「モンスターの力を使い」などの言い回し)、前者も「破壊」などと用語を置き換える処置をとっていた。

なお、前日譚である「TRANSCEND・GAME」ではZEXAL期のパックである『GALACTIC OVERLORD』のカードが登場しており、
その中にはエクシーズモンスターに関わるカードである「オーバーレイ・オウル」も登場している。
劇場版では特に言及されていなかったが、この1年の間に実はエクシーズモンスターが登場していたのだろうか?


◆次元領域デュエル
プラナが行う俺ルール決闘のこと。
この決闘では通常召喚時、上級モンスターも生け贄なしで召喚でき、決闘者の気力によってテキストに示されている値の幅でステータス増減する次元召喚が採用されている。

またモンスターによる直接攻撃以外の戦闘ダメージはなく、
代わりに破壊されたモンスターの表示形式に応じて、フィールド上での攻撃力または守備力分のダメージがプレイヤーに行くことになる。*12

フレイムウィングマン「ふむふむ」
オッP「なん…だと……!?」
オッ素「ほう……!」

これらの点は記憶編の『ディアハ』に似ており*13、要は記憶編で行われていたディアハをDMのルールとして置き換えたような決闘である。

ちなみにディアハ同様に効果ダメージは普通に有効だし、上記の通り直接攻撃にも制限はかかっていない。
システム上、高攻撃力のモンスターは破壊された場合のリスクが大きいが、ダイレクトアタックは有効なので大ダメージも期待できる。
メタ視点では上記の用語変化を極力画面上で描かないためのルールとも言えるかもしれない。

上述の通り決闘者の精神力でモンスターのステータスが変動するが、遊戯も海馬も意識高いためあっさり攻撃力MAXばっかり叩き出していた。
基本攻撃力・守備力0のモンスターばかり使う藍神との対比だろうか?
実際、「方界」モンスターの内、TRANSCEND GAMEでセラが使用した「流星方界器デューザ」と
千年リングに操られた藍神が使用したクリムゾン・ノヴァ&トリニティは攻守0ではない。
次元領域決闘もう一つの特徴はその名のとおり、開始時にある次元の領域に移って決闘すること。
ここは現在遊戯たちがいる次元とプラナたちが目指す次元の狭間に位置しており、物質を構成する粒子も不安定なものとなっている。
オベリスクやアテムたちが降臨できたのもこの性質によるものが大きいと思われる。
余談だが、この映画の特典カードの内3枚の最上級モンスター(「青眼の亜白龍」「暗黒騎士ガイアロード」「守護神官マハード」)は条件こそあるがコストなしにフィールドに出すことができる。
一部カードは劇場版では特殊召喚効果が確認されていなかったため、この決闘の次元召喚の再現だと思われる。











登場人物の中で誰の生き方に共感するか。ぜひ観客の皆さんにも考えてほしいと思います。

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最終更新:2024年01月18日 22:01

*1 今回の映画の担当が決まったため、ZEXAL終盤にて久々の遊戯王作画に慣れるために作画監督を担当した。

*2 他のキャラクターはカードゲーム自体を指さない「デュエル」等の無難な言い回しを使用している。

*3 気合の入った海馬社長の顔がえらいことになったりはしていたが

*4 書籍にて高橋先生が乃亜編を評価していると書かれていたため、乃亜編のセリフであるこれを気に入っていたのかもしれない。

*5 ちなみにこのループコンボ、次元領域決闘のルールを確認し初手に来たループのパーツとなるカードを見ているので、序盤から狙っていたことがうかがえる。

*6 厳密にはブラック・マジシャンによる戦闘ダメージが100までライフカウンター減らしたところで藍神の乱入により決闘が中断しており勝敗自体は不明。海馬の場には伏せカードが一枚残っているため、最後の彼の笑みがそのカードによる勝利の確信か、敗北したものの遊戯に満足したものなのかは視聴者側の想像に任されている。ん?融合と青眼の白龍じゃないのかって?

*7 眼の部分にいくつか箱が埋め込まれ、その箱に眼球がついている。わかりにくいが箱の側面・底面にも眼が埋まっていて時々瞬きしている。

*8 ちなみに幼少期はもともとボクであり、東映版では常時一人称が「ボク」だった

*9 揺さぶりに成功した時は汗をかきながらも口と表情は余裕を見せていたところから、かなりの修羅場を潜り抜けたと推測される

*10 DMでのみ回想シーンに登場しており、見た目は似ているがDM版の方がより若い…というより原作次元の彼が年取り過ぎというべきか

*11 城之内が所持していたディスクと闘いの儀で遊戯とアテムが使用していたディスクはカラーリングがアニメ版ディスクと同じになっているが、変形しない原作版ディスクとなっている。

*12 ちなみに破壊されてからダメージ確定するルールだが、これによるダメージは戦闘ダメージ扱いである。

*13 記憶編にてゾークの攻撃によって城之内の真紅眼の黒竜が破壊された時、城之内のライフが真紅眼の黒竜の攻撃力分減っている