巌窟王(アニメ)

登録日:2016/05/01 Sun 02:10:31
更新日:2023/03/20 Mon 19:51:54
所要時間:約 25 分で読めます




SO TONIGHT I'LL SING A SONG TO ALL MY FRIENDS
(だから今宵私は歌おう すべての友への歌を)

ALSO TO THOSE WE WON'T BE SEEING AGAIN TO THOSE I KNEW AND THOSE I STILL ADORE
(二度と会うことのない友へも 昔の友 今でも敬愛する友たち)

AND I WANT TO SEE ONCE MORE
(そしてもう一度会いたい友のために歌おう)

I JUST PRAY THAT YOU WILL LOVE ME AND TRUST ME
(貴女が私を愛してくれることをただ祈る そして私を信じてくれることを)

LAUGH WITH ME AND CRY WITH ME SPEND THOSE SILENT TIMES WITH ME
(わたしと共に笑い 共に泣き 静かなる時を共に過ごしてくれることを祈る)

LOVE EVERMORE LOVE EVERMORE LOVE EVERMORE
(永遠の愛を私に)


YOU AND I WERE LOVERS OUR DREAMS WERE NOT SOURED BY LIFE
(貴女と私は恋人同士だった 二人の夢が潰えたのは人生のせいではない)

AND THEN MY FRIENDS BETRAYL MEANT YOU NEVER WOULD BE MY LIFE
(そう友の裏切り そして私たちが結ばれることは決してなくなった)


HARSH WORDS WERE SAID
(心にもない残酷な言葉)

AND LIES WERE TOLD INSTEAD
(そして嘘もあった)

I DIDN'T EVER MEAN TO MAKE YOU CRY
(決してあなたを泣かせるつもりなどなかった)






『巌窟王』とは、アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『モンテ・クリスト伯』を原作とするアニメ。
2004年10月から2005年3月まで全24話が放送。
東京国際アニメフェアでテレビ部門の優秀作品賞を受賞

原作を忠実に再現したアニメではなく、SFのような世界観アルベールが主人公復讐に巻き込まれる視点から構成など、かなり大幅なアレンジが加えられて制作されている。
特に世界観は凄まじく、船=宇宙船・海=銀河系などスケールが大きく、EDでのもはやMSと化した甲冑同士の戦いなどは視聴者のド肝を抜いた。

また美術も素晴らしく、さまざまなテクスチャを張り付けたような衣装やCGを効果的に使った演出など、かなり前衛的な作品に仕上がっている。
ファッションデザイナーのアナスイは本作のプロモーション映像を見て感銘を受け、最終回の衣装デザインに協力したほど。

動画サイト等でも配信されているが、エンコードの関係などでこれらが潰れてしまっていることが多々あるため、視聴の際にはぜひDVD等のメディアで見てほしい。
特にEDはとてつもない情報量を誇るため、動画ではよくわからないことになってしまっていることが多い。

当初はアルフレッド・ベスターのSF小説『虎よ、虎よ!』をアニメ化しようとしたが、著作権の関係で果たせず、『虎よ、虎よ!』のモチーフとなった『モンテ・クリスト伯』をアニメ化することにしたという経緯がある。


  • OP「We Were Lovers」作詞・作曲 - Jean-Jacques Burnel / 編曲 - Jean-Jacques Burnel & Loule Nicastro / 演奏 - Jean-Jacques Burnel
  • ED「You won't see me coming」作詞・作曲 - Jean-Jacques Burnel / 編曲 - Jean-Jacques Burnel & Loule Nicastro / 演奏 - Jean-Jacques Burnel

OP・ED共に伯爵の復讐心を歌う曲となっているが、OPが絵画のような絵と静かな曲調で悲しみを歌い上げているのに対し、EDは色彩と音楽の暴力で復讐への決意を表現しており、対照的となっている。
毎話EDの入りと凄まじさは必見。



あらすじ

パリの青年貴族・アルベールは退屈な日常に飽き、刺激を求めて、親友のフランツとともに、月面都市・ルナのカーニバルに参加する。
そのころ、ルナの社交界では東方宇宙からやって来た謎の紳士、モンテ・クリスト伯爵の話題でもちきりだった。
オペラ座でモンテ・クリスト伯爵の姿を見たアルベールはその存在感に圧倒される。
やがて、モンテ・クリスト伯爵との交流を深めていったアルベールは、伯爵の妖しい魅力の虜となっていく。

やがてパリを訪問することを告げる伯爵。
彼を歓迎するアルベール。
しかし、それは伯爵の壮大な復讐劇の幕開けでもあった。

そして5/22、嵐。
約束の日、初夏の嵐と共に遂に伯爵がパリを訪れる。





登場人物

◆アルベールと友人たち

◎アルベール・ド・モルセール

CV:福山潤
主人公。フェルナン・ド・モルセール将軍と、その妻メルセデスの一人息子。
良くも悪くも、純粋で無邪気で子供でお坊っちゃまな青年。
親友のフランツと共に訪れた月面都市・ルナでの旅行の中、謎の貴族モンテ・クリスト伯爵と出会い、彼の魅力に心酔していく。
やがて自身が知らなかった両親の秘密と、伯爵の復讐に運命を翻弄され始める。


◎フランツ・デピネー

CV:平川大輔
アルべールの幼なじみで、唯一無二の親友。
アルべールに「友情以上の感情」を抱いている節があり、「やめられないよな、愛することは」「結婚することだけがそいつを幸せにしてやれる方法とは限らない」など、言葉の端々に深い感情が見え隠れしている。

作中屈指の気の良い男にして苦労人
「友」として物語の始まりから終わりまで、アルべールの味方であり続けた。
そのため、第18幕にてアルべールと共に絶望に落ちる視聴者多数。


◎ユージェニー・ド・ダングラール

CV:中村千絵
ダングラールの一人娘にして、アルべールとフランツの幼なじみ。
アルべールとは婚約を結んでいるが、親同士が決めたもので恋人とは言えない関係。
金のことしか考えていない父親と、自分の友達と寝ている母親のいる家に嫌気が指しており、どこか遠いところに行きたいと考えている。

原作とは違い、恋人ではないもののアルべールのことは何だかんだで気にしており、子供っぽさに辟易しながらも同時に惹かれてもいる。
メルセデスとの仲も良い。
フランツとは、アルベールの苦労話のことでよく盛り上がっている。

伯爵の復讐に加えて、アンドレア・カヴァルカンティの計略によってアルベールとの婚約を破棄され、さらに破産を回避するためカヴァルカンティの財産に目がくらんだダングラールによって政略結婚させられてしまう。
これらのことで自身の全てを否定され絶望の淵に立たされるが、アルべールと友人たちの働きにより救出され調印式から脱出。
その後空港にてアルベールと再会を約束し、預かっていたフランツからの手紙を渡すと、ピアニストになる夢をかなえるため誘いを受けていたニューヨークの音楽学校へと旅立っていった。


◎ボーシャン

CV:白鳥哲
平民出身のゴシップ雑誌の記者。
皮肉屋何でも取材のように聞いてしまう癖があり、そのことをよくからかわれている。
アルベールが紹介したモンテ・クリスト伯についても、興味津々。
後半、カドルッスから聞いたモルセール将軍の正体について調査を開始し、エデの告発と共に雑誌にその内容を発表した。
アルベールからはそのことで殴られるが、本人は努めて冷静にモルセール将軍の真実を伝えた。


◎リュシアン・ドプレー

CV:土門仁
パリの下町出身の貴族。
若くして内務省一等書記官を務める。
世渡りが上手く、ダングラールに情報を流したりビクトリアと肉体関係を結ぶなど立ち回っているが、本人は仕事の内と称している。
が、そのことでユージェニーを傷つけていることは承知しており、内心負い目を感じていた。

他にもダングラールから出禁を受けているアルベールをユージェニーに会わせるために手引きしたり、謎の存在『巌窟王』の正体をさぐるフランツに内務庁直轄のデータベースを使わせるなど、軽薄な言動や貴族意識が強さに誤解されがちだが、根は友情に熱く優しい男。
ユージェニーの騒動の際も、既に貴族でも何でもなくなったアルベールが彼女の救出に動くかどうかに関して「来る」と断言しており、そのためにカヴァルカンティ逮捕のための準備を進めていた。


◎ラウル・ド・シャトー・ルノー

CV:MIKI
クラシックカーに目がない、貴族の御曹司。
マニア気質であり、話したがり屋。
自身の車に、これ以上なく愛情を注いでいる。


◎ヴァランティーヌ・ド・ヴィルフォール

CV:三浦純子
ヴィルフォール主席判事の娘で、フランツの許嫁。
引っ込み思案な性格をしており、あまり前に出たがらない。
ヴィルフォールの後妻であるエロイーズやその息子のエドワールからは疎まれており、家では主に祖父であるノワルティエと共に過ごしている。
マクシミリアンに思いを寄せられるが、本人はフランツに思いを寄せておりその狭間で揺れ動く。

伯爵に唆されたエロイーズの毒の計略によって意識不明となってしまうが、友人たちの助けによってノワルティエと共にマクシミリアンの家のあるマルセイユに保護されることとなる。
その後毒から回復し、マクシミリアンとは晴れて恋仲となった。


◎マクシミリヤン・モレル

CV:稲田徹
ラウルの軍時代の友人で大柄な男。
軍の秘密部隊出身で筋力強化処理を受けている。
生真面目で固い性格であり、貴族の親同士が決めた愛情の無い婚約などに嫌悪を抱いている。

ラウルがアルベールたちに紹介する席で出会ったヴァランティーヌに一目惚れし、以降アルベールの助力を得て思いを伝え始める。
その後、毒の陰謀が渦巻くヴィルフォール家からヴァランティーヌを救いだし、故郷のマルセイユへと戻った。
祖父は「モレル商会」というマルセイユ有数の貿易商の創始者で、「エドモン・ダンテス」という男に会いたがっていたことを覚えている。


◎ペッポ

CV:中原麻衣
ルナの盗賊ルイジ・ヴァンパ一味の一人。
傷心していたアルべールを誘い、仲間と共に誘拐して身代金を迫った。
可憐な容姿で小悪魔的に振る舞うが、その一方で必要以上の暴力には忌避感を抱いており、拷問されようとしていたアルべールを仲間から庇ったりと根っからの悪人ではない面も持っている。

声も容姿も少女にしか見えないが、その正体は男
この事実に、それなりに気があったアルべールはショックを受けていた。

アルべール誘拐事件の後に一味を抜け、何故かパリのモルセール家にメイドとして就職。
以降、アルべールとは主人とメイドの間柄でありつつ悪友のような関係となり、自慢の容姿でアルべールをからかっている。

+ ...
実は一味から抜けておらず、ルイジ・ヴァンパともに伯爵の仲間となっており、命令でモルセール家とアルべールの監視役をしていた。
伯爵が表だって復讐を始めると同時に自らも正体を告げ、事の真相を告白した。

騙していたもののアルべールに対する情は本物だったらしく(友情か愛情かは不明)、ユージェニーを救うために奔走するアルべールの前に再び現れ謝罪。
彼女を助ける算段に協力し、実行に移す。
最後はユージェニーを空港に連れていくアルべールを見送り、それが最後の別れとなった。




◆モンテ・クリスト伯爵とその協力者

◎モンテ・クリスト伯爵/エドモン・ダンテス

CV:中田譲治
月面都市ルナの社交界で注目を集めていた謎の貴族。
自称:東方宇宙の田舎貴族で、莫大な富と途方もない権力の持ち主。
アルベールの紹介でパリの社交界でも姿を現し、その博識と優雅な立ち振る舞いにより花形となっていく。
ダンディかつ大人の男性としての魅力溢れるミステリアスな紳士。
その誠実な人柄はアルベールは元より異性や市民も虜にしており、家令からも非常に慕われている。

肌が青白くまるで死人の様であり、体温も生者とは思えないほど低い。
食事もとらず、エメラルドのような形をした入れ物に入っている薬と飲み物だけで過ごしている。
またナイフで刺されても死なない、時折謎の文様が額に浮かび上がるなど、人間かどうかも疑わしい人物。
そのため「外宇宙から来た異星人」「怪人」「吸血鬼」など様々な噂が立っている。

その正体は、かつてマルセイユで宇宙船の航海士をしており、三人の男に嵌められ宇宙監獄シャトー・イフに無実の罪で幽閉された男、「エドモン・ダンテス」。
病の床にあったモレル船長から船を任され、恋人であったメルセデスと結婚し幸せの絶頂にあったが、彼女に横恋慕していた幼馴染フェルナンと、かねてからエドモンを疎んでいたダングラールが仕掛けた策略にはまり、結婚式の最中に逮捕されてしまう。
さらに逮捕の契機となった手紙が自身の進退に関わるものだったためこれの隠蔽を画策した検事のヴィルフォールによって無実の罪でシャトー・イフに投獄され、婚約者のメルセデスもフェルナンに奪われてしまった。

シャトー・イフとは囚人たちの脳で並列処理を行い外敵から防衛を行う宇宙要塞であり、そこで生きたまま生体部品として扱われ、死ぬことも発狂することも許されない地獄へと落されてしまう。
死ぬことすらできず、文字通り「全て」を奪われたエドモンは、その中でとある人物と出会い契約。
知恵と力を得る代わりに心を体を差出し、帝国の攻撃を受け崩壊するシャトー・イフから脱出して復讐を開始する。
前述の「死すらも奪われた」経験から、相手を殺すのではなく「全てを奪いつくす」ことを復讐の方法にしており、様々な計略を巡らせ、3人の男たちからあらゆるものを奪っていった。

契約の影響で肉体はすでに人間からはかけ離れており、余命もいくばくもない。
時が経つにつれて人としての心も消えていっており、終盤ではもはや復讐心のみで動いている存在と化していた。
そして復讐の最後、フェルナンから全てを奪うため、目の前でアルベールに銃口を向けるが…


◎エデ

CV:矢島晶子
モンテ・クリスト伯爵に仕える物静かな美しい少女。
竪琴の演奏が得意で、自身の心を表すように弾いている。
アルベールとは伯爵を思う者として共感しており、後述の件もあるが決して悪くない仲であった。

かつては東方宇宙と地球の境にあるジャニナ星の王女だったが、ほどなくして星が両者の戦争の戦渦に巻き込まれてしまう。
その際、フェルナンの謀略によって王である父を反逆者として殺され、自らも母と共に奴隷身分に落とされ敵国に売り渡されてしまった。
母も間もなく失い、奴隷として生きる屍のようになっていたが、伯爵に救い出され自由を取り戻すことなり、以降自ら望んで伯爵の元に身を寄せている。

伯爵のことを愛しており、彼を救う方法を探している。
フェルナンに対して憎しみを抱いているが、それが自身や他人を破滅させることにも気が付いており、伯爵にこのような気持ちを味わわせたくないと考えている。
そのため伯爵を癒すために憎しみを捨てようとしているが、自分たちから全てを奪い去ったフェルナンへの復讐心をどうしても消すことはできず、自分では破滅へ向かう伯爵を変えることができないことに苦悩している。

やがて伯爵の復讐についてゆく決心をし、フェルナンのいる大統領選演説会場で自身の過去とフェルナン・モンデゴの罪を全て暴露。
彼を失脚へと追い込んだ。
しかし、それによって愛する伯爵を破滅へと導いてしまう結果となってしまう。
人としての心を失っていく伯爵に寄り添い、彼を救うための方法を探し続けるが…。


◎ジョヴァンニ・ベルッチオ

CV:石井康嗣
モンテ・クリスト伯爵の家令。褐色の肌とサングラスが特徴。
威圧的な外見をしているが、言動は極めて紳士的。
部下の中では古株らしく、伯爵のことを時折「巌窟王」と呼ぶ。


◎バティスタン

CV:飛田展男
モンテ・クリスト伯爵の家令。リーゼントの頭が特徴。
軽口が多くお調子者だが、忠義心は厚い。
全てを失っていく伯爵の姿に納得がいかず、アルベールが救いのためのカギにならないかと考えている。


◎アリ
植物の様な体をした異星人。
話すことは出来ないが、治療から馬の扱いまで何でも行える芸達者。
そのためエデやベルッチオたちからの信頼も厚い。


◎ルイジ・ヴァンパ

CV:側見民雄
ルナを騒がせている盗賊団の首領。
貴族を中心に誘拐を行っており、人質に拷問を行うなど残忍な面を持つ。
読書が趣味らしく、本をよく読んでいる。
アルベールを誘拐し身代金を要求するが、友人を助けてほしいとフランツの頼みを聞いたモンテ・クリスト伯爵の前に屈服。
以降、彼の部下として復讐の為に裏で動いていく。



◆モルセール伯爵一家

◎フェルナン・ド・モルセール将軍/フェルナン・モンデゴ

CV:小杉十郎太
アルベールの父で宇宙軍の将軍。軍で最高の地位につき、現在は大統領になるための選挙活動を行っている。
野心家で力への渇望が強く、あらゆる手段を用いて現在の地位まで上り詰めた。
軍でのし上がったのもかつてジャニナ星での戦いで英雄となったことが契機となっているが、この戦果もジャニナ国王を裏切り反逆者として処刑するなどの陰謀によって得たものであり、その他にも悪逆非道の限りを尽くして立身出世の道を歩んで軍部を掌握した。

様々な策謀を巡らせているものの妻や息子の前では良き父親を演じており、これらの非道な行いには全く気付かせていなかった。
また銀行家のダングラールや判事のヴィルフォールとも懇意にしており、金と司法の面で助力を得ている。

かつてはマルセイユで暮らす貧民で、モレル商会でファラウン号の航海士をしており、親友であるエドモン・ダンテスやメルセデスと青春の日々を過ごしていた。
しかし親友であるエドモンが船長代理にまで出世し、メルセデスと恋仲になる中で、徐々に彼に嫉妬。
表面には出さなかったものの、彼の後ろの見続ける中でしだい友情に亀裂が入り始める。
やがてエドモンとメルセデスが婚約したことで嫉妬心が頂点に達し、ダングラールに唆されることで匿名の告発状を送りエドモンを無実の罪で逮捕させた。

その後は、傷心の中にあったメルセデスと結婚。
さらにダングラールの資金援助で偽りの爵位を手に入れ、ヴィルフォールの工作によって「フェルナン・モンデゴ」としての人生を消し去り、貴族のフェルナン・ド・モルセールとなってかつての負け犬だった日々を忘れようとしていた。

大統領選に出馬しパリのすべてを手に入れようと計画するものの、伯爵の陰謀で醜聞を流されダングラールの選挙のための資金援助を打ち切られる。
さらに演説の席でエデによって偽りの貴族であることとフェルナン・モンデゴとしての正体をバラされ、完全に失脚した。
その後、過去の栄光を取り戻すために軍を率いてクーデターを起こしてパリの政治議会を掌握し、念願だった大統領に強引に就任する。
が、常軌を逸した行動についていくものは誰もおらず、妻であるメルセデスにもエドモンを追放した経緯を知られることとなり完全に錯乱。
その場でメルセデスに発砲し、さらに駆け付けた息子であるアルベールにも発砲してしまう。
自身も拳銃自殺を図るものの、ここまで自分を追い込んだモンテ・クリスト伯=エドモン・ダンテスを逆恨みし、死ぬ前に最後の決着をつけるために伯爵邸へと向かう。


◎メルセデス・ド・モルセール

CV:井上喜久子
アルベールの母で心優しき女性。
アルベールの気性の激しさはフェルナンに似ているが、心根のやさしさは彼女から受け継いでいる。

フェルナンと同じくマルセイユ出身であり、そこでの田舎料理が得意で客を招く際には必ず一つそこの料理を出している。
かつてエドモン・ダンテスという婚約者がいたが、結婚式の日にエドモンが投獄されてしまい、彼とはそこで別れたままとなっていた。
エドモン投獄後も彼の父の面倒を見つつ帰りを待ち続けていたものの、エドモンの父親から新しい人生を送ることを諭され涙ながらにそのことを承諾。
その後、フェルナンと結婚し彼を妻として支え続けていた。

伯爵に初めて会った時、フェルナンが気付かぬ中、本能的に伯爵がエドモン・ダンテスであるのを見抜いており、その後の彼の行動を見て確信。
しかし伯爵からは、「エドモン・ダンテス」という人間は既に自分の中で死んでいることを告げられ、その証として彼とアルベールの決闘を見せられることとなる。



◆ダングラール男爵一家

◎ダングラール男爵

CV:辻親八
現在のパリで最も影響力のあるダングラール銀行の頭取。
金にがめつく、あらゆる手段用いて事業を拡大しておりコンピューター「ミシェル」と共に合法違法問わず金をかき集めている。
無茶な株価操作で他の投資家が自殺しようとも何の罪悪感もなく、金のためなら家族のものも勝手に売りとばし、娘・ユージェニーのことも習い事や作法にいくら「投資」したかという価値観でしか考えていない金の亡者。
自身に金が増えるなら妻にもピンハネをするなど、徹頭徹尾「金」のことしか考えていない。
モンテ・クリスト伯爵がパリでの事業ためにダングラール銀行に口座を作ったことから宇宙から巨額の金が流れ込むようになり、またカヴァルカンティと組んで資産運用のための情報を得たことでさらにその財産は膨らむこととなった。

かつてはモレル商会でファラオン号の会計士をしており、そのころから不正経理を行い商会の売上を横領していた。
そのことを船長となったエドモン・ダンテスに咎められてから彼のことを逆恨みしており、彼の存在を消すこと計画。
同じくメルセデスのことでエドモンに嫉妬していたフェルナンを唆し、偽りの告発状で告発させエドモンを追放した。
その後は横領した金で銀行を作り、同じくダンテスの存在が邪魔で彼をシャトー・イフに放逐した検事ヴィルフォール・そして軍人となったフェルナンと共に三人の立場を互いに利用しあい、パリでのし上がっていった。

モンテ・クリスト伯爵やカヴァルカンティとの出会いで順調に資産を膨らませていたものの、伯爵の株価操作と「ミシェル」にウィルスを撃ち込まれたことよってマーケットを制御できなくなり、資産の価値が暴落。
起死回生を図ってカヴァルカンティとユージェニーを婚約させ彼の財産を手中に収めようとするものの、アルベールに調印式場からユージェニーを連れ出され、さらにカヴァルカンティがニセ貴族であることが発覚し、その目論見も失敗。完全に追い詰められてしまう。

銀行に預金者が押し寄せる中、銀行や家族を捨て再起のための資金を持って宇宙へ逃亡。
しかしその行動も伯爵に読まれており、宇宙船の中で待ち伏せされ、そこで伯爵の正体を知り愕然。
伯爵からこれまでの「礼」として大量の金塊を渡されるかわりに何もない宇宙船に一人取り残され、宇宙空間では何の価値もない大量の「金」と共に永遠に宇宙をさまようこととなった。


◎ビクトリア・ド・ダングラール

CV:松井菜桜子
ダングラールの妻。
馬が趣味で、パリで一番と称される名馬・エクリプスを飼っている。
夫との仲は良くなく、様々な男性と関係を持っており、娘の友人であるリュシアン・ドプレーなどともベッドを共にしている。

かつてはヴィルフォールとも不倫の関係にあり、その際一人の赤子を彼の別荘で生んでいる。
伯爵がその別荘を買い、パリの名家であるモルセール家・ダングラール家・ヴィルフォール家を招待した際、彼女とヴィルフォールにその時のことを思い出させる策略を行ったため、以降体調を崩し塞ぎ込んで酒浸りになる。
その後、現実逃避からダングラールと懇意にしていたカヴァルカンティとも関係を結ぶが、ヴィルフォールの裁判で彼がかつて自分が生んだ赤子だということを知り、気絶した。



◆ヴィルフォール一族

◎ジェラール・ド・ヴィルフォール

CV:秋元羊介
パリ高等法院の主席判事。
パリで鬼判事として恐れられており、多数の罪人を何の慈悲もなく死刑台送りにしている。
出世と権力の象徴として主席判事の地位に執着しており、そのためなら家族であろうとも平気で切り捨てる冷酷な男。
これまでも父であるノワルティエやその仲間を失脚させその手柄で昇進したり、自身のスキャンダルの揉み消しをするなど様々な工作を行っていた。
その根底には偉大だった父への劣等感が関係しており、父とは反対の主戦派につくなど彼を否定し超えることがすべての行動理由となっている。

かつてはマルセイユで地方判事をしており、そこで無実の罪で逮捕されたエドモン・ダンテスの件を担当。
彼が逮捕される契機となった「プリンス暗殺事件」の首謀者に関する手紙に、自身の名前が記されていることを知り、秘密裏に抹殺することを判断。
判事の自分を信用しているエドモンに手紙を届けることを約束し、それを手に入れると抹消して自身に繋がる証拠を隠蔽した。
さらに口封じのためにエドモンを大罪人を収監するシャトー・イフに送り、完全にこのことを握りつぶした。

かつての自身とビクトリアとの関係を知るモンテ・クリスト伯爵に早々に不審を抱き、妻が伯爵から受け取った指輪で遺産を奪おうとしていた経緯を知るとそのことで強引に伯爵の検挙を画策。
が、口封じのため廃人にして施設に送ったはずの妻・エロイーズを奪われたことで逆に自身のスキャンダルを握られてしまう。
さらに伯爵の件で強引に動いたことが保安総局の知るところとなり、職権濫用で職務停止を命じられて主席判事の座から降ろされることとなった。
そのため精神的に追い詰められ、自らの手でモンテ・クリスト伯爵の殺害を企てるがこれも失敗し、殺人未遂で現行犯逮捕され名実ともに完全に失脚した。

その後の裁判でも高圧的な言動で自身の無実を主張するが、検察側の用意した証人であるカヴァルカンティによって自身の過去を全て暴かれ、さらに彼によって首筋に針を打たれてしまう。
見舞いに来た伯爵が明かしたことで初めてその正体に気が付き、さらに伯爵から針にはかつて妻に使ったものと同じ脳を腐らせる毒が塗ってあることを告げられ茫然。
これから待ち受ける末路に絶叫するものの既に手遅れであり、精神異常者として自身が信じていた法の裁きが届かない世界へと送られてしまった。
その後、フェルナンのクーデターの混乱で牢から抜け出すもののもはや完全に理性はなくなっており、周りの人間にところ構わず「死刑!」と叫ぶだけの狂人になってしまっていた。


◎ノワルティエ・ド・ヴィルフォール

CV:永田博丈
ヴィルフォールの父親。
現在は老衰のため生命維持装置の組み込まれた車椅子での生活を余儀なくされており、自分では言葉も発することが出来ない。
孫であるヴァランティーヌのことを大切に思っており、マクシミリアンたちが彼女を連れ出そうとした際は手助けを行っている。

かつては内務庁のトップであり反戦派を支持していたが、息子であるヴィルフォールに仲間を闇に葬られ最終的には失脚している。
しかし現在でも体の一部に情報を隠し持っており、ヴァランティーヌを助けた礼として「巌窟王」の情報をフランツに渡した。


◎エロイーズ・ド・ヴィルフォール

CV:渡辺久美子
ヴィルフォールの後妻。
植物学が趣味で、巨大な庭園を持っている。
一見おしとやかで夫や義理の娘であるヴァランティーヌを気遣う良妻だが、実際には息子であるエドワールしか愛しておらず、家の遺産を全て息子に相続させようと目論んでいる。
そのためヴァランティーヌことを疎んでおり、義理の父であるノワルティエの面倒も全て彼女に押し付けていた。

モンテ・クリスト伯爵に唆され、毒薬の入った指輪を使ってヴァランティーヌを毒殺しようとするが失敗し、全てを察したヴィルフォールに逆に脳を腐らせる毒を盛られてしまう。
そのまま施設へ閉じ込められるはずだったが、伯爵がヴィルフォールへの牽制のために救出され、以降息子とともに伯爵邸にて身柄を保護される。
しかし毒の影響から回復することはなく、幼児のように遊ぶだけの廃人となってしまっていた。


◎エドワール・ド・ヴィルフォール

CV:鬼頭典子
ヴィルフォールとエロイーズの子。
エロイーズの内面がそのまま表になったような性格の子どもで、ヴァランティーヌやノワルティエのことを平然と貶している。



◆その他

◎アンドレア・カヴァルカンティ/ベネデット

CV:関智一
伯爵の友人で、名門貴族・カヴァルカンティ家の当主を名乗る青年。
一見人当たりがよい好青年であるが、ひとたび本性を表すと粗暴で相手を小馬鹿にしたような態度をとる。

正体はベネデットいう囚人で、かつてヴィルフォールとビクトリアとの間に生まれ、地中に埋められた赤子。
自分を捨てたにもかかわらず綺麗なふりをしている両親や貴族そのものを憎んでおり、全てが嘘で塗り固めた自分と結婚させ恥をかかせる・母親や妹であるユージェニーと婚約し肉体関係を結ぶといった方法で貴族を汚し復讐を果たそうとしていた。
しかしユージェニーとの調印式の最中に彼女をアルベールに連れ出され、さらに経歴詐称・詐欺など複数の罪状から逮捕される。

その後ヴィルフォールの裁判に証人として出廷し、彼に捨てられた哀れな息子しての真実を語った後、ヴィルフォールに毒針を打ち込み復讐を果たした。
その時、それまでのもの静かな態度一変させ、傍聴人の貴族たちに呪詛のような言葉を吐きかけている。
最後はフェルナンが起こしたクーデターのどさくさに紛れて逃走し、最終幕ではカドルッスと共に星間指名手配の身となっている。


◎ガスパール・カドルッス

CV:飛田展男
パリで名高いモルセール家・ダングラール家・ヴィルフォール家の三人と「エドモン・ダンテス」の関係を知る小汚い男。
卑屈で弱気な性格で、ゆすりや盗みで生活を送っている。


◎語り手

CV:鳥居賞也
各話の冒頭で前回までのあらすじを語る語り手。
彼と彼の友人の話で、各話は始まっている。

+ ...
その正体は、シャトー・イフにて収監されていた謎の存在「巌窟王」。
その存在に関しては内務庁のデータベースでも検閲がかかっており、唯一ノワルティエ老人の残していた心の中に記録として残されていた。
「千年ほど前に銀河辺境に現れ裏社会を支配しようとした」「人の欲望を食らい支配する」など様々な伝説のような真実があり、正体は不明。
シャトー・イフにて屍のような姿となっていたがこれでもまだ死んではおらず、絶望の中で復讐を決意したエドモンと契約し、その姿と心を得る。
彼の友人とは、エドモン・ダンテスのこと



I'm not the man I use to be
(私はもはやかつての私ではない)

And what you see,is not what it seems
(そしてお前が目にするものは真実とは異なる)

I traveled through space to be with you here
(私はこうしてお前に会うために宇宙を越えてきた)

What you don't know ,you shouldn't fear
(未知なるものを恐れることはない)


You won't see me coming
(お前は気づかないだろう)

until I strike!
(私の一撃が襲うまでは!)



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最終更新:2023年03月20日 19:51