Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚

登録日:2016/04/20 Wed 02:41:49
更新日:2023/12/07 Thu 00:29:08
所要時間:約 11 分で読めます




時ハ太平洋戦争末期
我ラ大日本帝国陸軍ハ聖杯戦争ヲ掌握セリ 聖杯戦争ヲ掌握セリ
大聖杯ヲ要トスル新型爆弾 驚天動地ノ必殺国防兵器 八一号聖杯爆弾
同盟国ドイツ第三帝国ヨリ強襲セシ 人造英霊兵団ヘルト・クリーガー
ソシテ大聖杯ニ呼バレシ七騎ノ救国英雄ガ聖杯爆弾ヲ巡リ繰リ広ゲタ、歴史ノ影ニ埋モレシ聖杯戦争


『Fate/KOHA-ACE 帝都聖杯奇譚(ていとせいはいきたん)』とは、経験値による漫画作品。
タイトルの通り非公式? ながらFateシリーズの派生作品……ということになるのか?


元々は、コハエースEXにて「コハエース聖杯戦争」というアイデアから誕生した作品。
その場限りのネタかと思いきや、社長が妙に気合を入れた桜セイバーのイラストを提供してくれるという急展開を迎える。
その後、経験値による「ぼくのかんがえたFate」という、いわゆる型月ファンにありがちな若干痛い自虐ネタのようなものとして「帝都聖杯奇譚」のタイトルや魔人アーチャーなどの設定を発表したりしていたが、結局コハエースEXの最終回と同時に連載開始前に打ち切られるという結末を迎える。

それからしばらくの間は、桜セイバーや魔人アーチャーがカプセルさーばんとにゲスト出演するなど地道な活動が続いていたが、EXでの最終回から一年経ったコハエースGOにて、突如本編の連載がスタートした


きのこウロブチもかいてくれないから、自分でかくハメになるんですよ!!」


時代は第二次世界大戦末期(昭和20年・夏)、第三次聖杯戦争の最中に日本軍により奪われた聖杯を巡って……というIfの物語。
聖杯の強奪がユグドミレニアとナチスならApocrypha、本来の通り第三次聖杯戦争が無効となって終わったらZero……という具合に妄想設定を連結すると割と楽しいが、
「基本的に本家Fateとはなんの関係もないパラレルですので!! プリズマ先輩よろしくツッコミ無用でお願いしますね」
と明言されている。
また、きのこ先生の見解は「限りなくアウトに近い黙認姿勢だよ!! 妄想設定、お許しください!!」とのこと。
つまるところ、あんまり真面目に考察せずに、気楽に楽しむべし……といったところ。


なお、作者が経験値かつコハエース内の連載ということで、キャラクターは基本的にデフォルメ体形。
ページ数も限られているため、結構なハイペースで物語が進行する。
派手な戦闘シーンを描ける余裕もないため、戦闘描写そのものがカットされる場面もしばしば。

一方で、仮にもFateの看板を掲げているためか、コハエースの軽いノリは健在ではあるものの、話の内容自体は基本的に真面目でシリアス。
でも絵柄のせいでやっぱりギャグ。
物語の進行上、ちゃんと舞台を描く必要があるため、背景の描かれているコマがそれなりに存在しており、コハエースなのにあんまり白くない

コミックスにおいては「コハエースGO」内に本編は一括で収録されている。
その為FGO等で桜セイバーや魔人アーチャーに興味を持った人でも手を出しやすいが、「GO」を読んだだけでは一部設定(八一号聖杯爆弾の存在)なんかが分かりにくいので注意が必要。



【登場人物】

マスターなどの聖杯戦争関係者にはスターシステムとして他の型月作品のキャラクターが割り振られる形になっている。
あくまでスターシステムであるため、そっくりさんが登場してもあまり深い関係はない。
ただし、月姫のキャラクターについては「戦前に月姫の物語が一通り終わっている」という設定になっており、時代は違えど一応本人という扱い。


◆遠野家

桜セイバー
おなじみおき太。琥珀によって召喚されたサーヴァント。
普段のコハエースや各所にゲスト出演した際の残念キャラは、今回控えめ。
その一方で、戦うたびに血を吐くピーキーな仕様は徹底されている。
詳しくは項目を参照。

琥珀
桜セイバーのマスター。本作の主人公ポジション。
物語がそれなりにシリアスに展開するため、わりと真面目に使用人をしている。ただし性格は歌月十夜・メルブラ仕様。
諸々の番外作品で見せるチートスキルも使用せず、自白剤を用意したりする程度。一方で月姫で明かされた能力はしっかり活用されている。
ちなみに、連載前の設定では桜セイバーのマスターは、
「戦時中でありながら妙にのんびりとした、悪く言えば平和ボケした価値観を持つ、マイナーな魔術師の家の息子」
になる予定だった。一番近いのはこの人か。

遠野秋葉
遠野家当主。
本来、聖杯戦争など遠野家とは無関係な儀式であるのだが、シエルからの依頼を受け、突如終了した第三次聖杯戦争に介入することになる。
当初は彼女がマスターになる予定であったが、偶然やトラブルが重なった結果、琥珀がマスターとしてサーヴァントを召喚することになった。
マスターではないものの、異能力を駆使して戦闘にも参加する。


◆日本陸軍

魔人アーチャー
おなじみノッブ。本作のボスキャラ枠のサーヴァント。
自身を召喚した日本陸軍を逆に掌握し、その手腕で魔術協会や第三帝国を出し抜いて大聖杯を確保、驚天動地の必殺国防兵器「八一号聖杯爆弾」の建造に着手する。
すっかり残念キャラが定番になってしまっていたが、今回は「第六天魔王」らしい苛烈さ、冷酷さを見せてくれる。
詳しくは項目を参照。

マスターアルトリア
魔人アーチャーのマスター。おなじみ型月のドル箱ヒロイン。
陸軍将校と外国人のお妾さんとの間に産まれたという設定。どこぞの内弟子のように騎士王所縁の血筋だったのかセイバー顔なだけでなく魔力量も優秀。
元々魔人アーチャーを召喚した魔術師は別に存在していたが、召喚直後に圧切長谷部されて、彼女と再契約という流れになった。
不意打ち気味に登場してコマ外のモーさんをビビらせた。
元は月刊ニュータイプの誌上企画で誕生したセイバーのバリエーション。今回は日本軍所属ということでセーラー服だけでなく軍帽も装備している。

間桐少佐
バーサーカーのマスターで、みんな大好きワカメ。陸軍第四魔導機関に所属する魔術師。
設定上は、間桐家が現代ほど落ちぶれる前の、まだ少しは魔術回路が残っていたころの間桐家の魔術師。
陸軍を我が物とするノブの存在を快く思っておらず、自身の召喚したバーサーカーに『甲型英霊拘束具』を装備させ、マスターとしての力を振るおうと画策するが……。
「ワカメフラグ立てすぎワロタ」

バーサーカー
巨大な槍を振るう狂気の英霊。見た目は筋骨逞しい偉丈夫。
陸軍によって甲型英霊拘束具を装着させられており、どことなく特撮ヒーローっぽいナリになっている。
召喚早々、甲型英霊拘束具の制御を破り、暴走。虐殺パーティを繰り広げる。
基本的に豪放磊落な陽気な兄ちゃんといった感じの性格だが、ゲーム感覚で敵のみならず一般人にも点数をつけてスコアアタックを始めるなど、戦いにおいてはまさに狂戦士の顔を見せる一面も……。
本人曰く「主君殺しなんてしない」とのことだが、仮にマスターが令呪で自決を命じようとした際には、事も無げに令呪のある部位を刎ねてのける。
でも殺してないからね。しょうがないよね。


◆ドイツ第三帝国

●総統
第三帝国の総統……の、影武者
キャスターのマスターであり、奪い損ねた聖杯を手中に収めるために、英霊兵の大軍を率いて現れる。
マスターでは唯一のオリジナルキャラ。
第三帝国総統ということで、某最期の12日間の空耳ネタを披露してくれる。

レイター少佐
総統の横に寄り添う女性軍人。
経験値のお気に入りライダーさんであるが、出番は少ない。

●キャスター
スーツにサングラス姿の謎の男。登場して早々に顔も真名も明かさないまま魔人アーチャーに射殺されるも、その後平然と復活している。
連載前は「ぶっちゃけまだ考えていない」として設定は決まっていなかったようだが、連載開始に際して英霊が決定した模様。
戦闘能力は皆無のようだが、何か特異な能力を持っているらしく、第三帝国の人造英霊兵団は彼の手掛けたものである様子。
自分のことを「いちおう悪魔」と称したり、英霊兵を魔術兵器でなく科学の産物と語ったりなど、その正体は謎に包まれている。

セイバー?
暗い目つきをした浪士風の男。
セイバーの「坂本龍馬」と名乗っているが、怪しげな土佐弁で話し、示現流で斬りかかるなどどうにも胡散臭い。
その戦法はセイバーのクラスには似つかわしくない、死角からの不意打ちや、マスターを人質にとる等、ダーティーなものが目立つ。
その一方で卓越した剣術の使い手でもあり、示現流以外にも多数の流派を使いこなすなど、地力も極めて高い。
何故かライダーに対して憎悪を向けているが……?


◆聖堂教会

シエル
聖堂教会からの使いとして、琥珀たちに聖杯戦争への介入を依頼する。
触媒になるアイテムをどっさり用意してくれた。

ランサー
神槍と呼ぶべき超絶的な技を持つ、コートを羽織った老人。
ランサーでありながら特筆すべき槍の宝具を持たず、その技量のみでランサー足りえているという特異なサーヴァント。
ランサーではあるが素手でも戦える。下手したら素手の方が強いかもしれない
彼の大ファンである経験値が、きのこ先生に必死の出演交渉をした結果、わりとあっさりOKをもらえたとか。
本作では珍しい日本国外出身のサーヴァントにして、最も新しい時代のサーヴァント……というか「この間死んだと思ったらもう召喚された」というレベル。

言峰花蓮
大陸からやってきた美少女マスターで、ランサーのマスター。とうとう言峰って言っちゃったよ。
聖杯とは別の、第三帝国の所持している封印指定の聖遺物が目的。


◆その他

ライダー
少々とぼけた雰囲気をした二十代半ばの青年で、日本刀と拳銃を駆使して戦う。
わりと話の分かる人物で、桜セイバーと共闘することもできる。
基本的に普通の喋り方だが、大事な局面では地の口調らしき土佐弁になる。
魔人アーチャーに匹敵するほどの知名度を備えた英霊で、騎乗型のEXランク宝具を所有している。

●お竜
ライダーに寄り添う謎の美女。長い黒髪とセーラー服姿が特徴で、性格は妙に軽くマイペース。
ちなみに、坂本龍馬の妻として知られる、お龍さんこと楢崎龍ではない。
お龍ではなく、なのがポイント。
サーヴァントの斬撃や銃撃をものともしない異常な耐久力と、素手の一撃で地面を砕くほどの身体能力という、サーヴァントに匹敵するほどの戦闘能力を有している。
しかしながら高い「神秘」を持つ存在であるため、スキル「天下布武」を発動した魔人アーチャーにはかなり不利になってしまう。

遠野志貴
本編中の登場はなし。
月姫の事件を色々解決した後、徴兵されてインド戦線に派兵されたとのこと。
彼の安否をシエルが保証することを条件に、遠野家が聖杯戦争に参加することになった。

アルクェイド・ブリュンスタッド
出征した志貴にくっついてインドに行った後、現在は欧州戦線で暴れているとのこと。
聖杯戦争とかしている場合じゃない。

サル
本編中に出番はないが、ノブがちょくちょく言及する存在……となる予定だった。
本編では尺の余裕もないので、設定で語られるのみ。
似たノリで考案された経験値オリジナルサーヴァントにはタヌキも存在する。



【用語】

●八一号聖杯爆弾
大聖杯を81のパーツに解体し再構成、まったく別の何かに変革された魔術兵器。
大聖杯を確保したノブが、聖杯が願望機として機能しないことを見抜いたことから誕生した、一発で戦局を逆転させうる戦略兵器。
大聖杯にありがちなイレギュラー欠陥も完備しているため、隙が無い。

●人造英霊兵団ヘルト・クリーガー
ドイツ第三帝国が実現させた、英霊を兵器として運用することを可能とする魔導兵器。
聖杯戦争における英霊召喚を大聖杯を介さずに実現させるトンデモ魔術。
本来なら絶対不可能な行為であるが、とある事故により“実現せずして実現してしまった”。
サーヴァントの運用にマスターを必要とせず、令呪は緊急処分用の一画のみ。
基本的には本来の英霊とは全く別の疑似英霊であるが、それゆえに神霊クラスのサーヴァントさえも制限付きで稼働させることが可能。
本編では、まずクー・フーリン(偽)による試作型が登場したものの、秋葉一人にも苦戦したうえ、桜セイバーにあっさりやられてしまった。
その後、甲型英霊拘束具と同じ物を装備した軍勢が総統に率いられて登場するものの、全員が半端に神性スキルを保有していたため、魔人アーチャー単騎にあっさりと壊滅させられてしまった。

栄光の右手(ハンズ・オブ・グローリー)
第三帝国が保有する、封印指定の聖遺物。
言峰花蓮の目的は、聖杯ではなくこちら。

●安土
ノブ自慢の超大型戦略爆撃機『AZUTI』。
戦時中に計画が頓挫した必勝防空計画における、大型長距離戦略爆撃機であるZ飛行機(いわゆる後の「富嶽」)を再設計、開発した飛行要塞とも言うべき超兵器。
武装として20mm機関砲を16門装備し、最大25tまでの爆弾を搭載可能。機関は敷島ハ53空冷式4列魔石型36気筒(ハ219複列魔石型18気筒を2台串型置)7.800馬力(3950kw)6発を搭載。単独でのアメリカ本土への爆撃を可能とする。
……っていうのどうでしょう? と、きのこ先生に話してみたら何故かうけてたらしい。
本編では登場することの無いまま終わってしまった。是非もないよね。





【外伝・リメイク】

◆帝都聖杯奇譚外伝 欧州死徒戦線 1945

最終回で発表された続編。
主人公は志貴のピンチを救うべく欧州へと旅立った翡翠
事件に巻き込まれた志貴とアルクェイドに、翡翠を追う琥珀と秋葉、そして何故か現界したままの沖田とちびノブ達の活躍する物語になる模様。

いわゆる嘘予告であり、本当にやるかどうかは不明。

◆帝都聖杯奇譚回顧録 昭和戦国絵巻

ぐだぐだエースにて発表された、帝都聖杯奇譚の前日譚。
舞台は昭和18年・冬。帝都時空における第三次聖杯戦争を描く。

物語の導入部と第五話*3に当たるエピソードなどが断片的に語られるだけで、本格連載がされるかは不明。


◆帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline

2019年に発表、連載が開始された帝都聖杯奇譚のリメイク版。
リメイクにあたり設定を一部刷新、琥珀さんや遠野家メンバーなどのスターシステムを排し、新たなマスターたちで物語を紡ぐ。
作画は平野稜二。



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最終更新:2023年12月07日 00:29

*1 恐らくはスキルの「悪魔の証明:EX」によるもの。

*2 明言はされていないが未来の英霊も恐らく天敵。

*3 八華のランサーの真名が判明する回。