東武野田線(東武アーバンパークライン)

登録日:2016/04/17 (日) 17:32:16
更新日:2023/12/30 Sat 18:47:46
所要時間:約 8 分で読めます




東武野田線は、埼玉県大宮駅千葉県の船橋駅を結ぶ東武鉄道の路線である。
ラインカラーはブルーで、路線記号はTD*1

概要

伊勢崎線日光線等とともに東武本線を形成する路線の一つ。
入出庫に伴う都合で例外もあるが、基本的に柏で運転系統を分割していて、
大宮~柏間を野田線(あるいは大宮線)、柏~船橋間は船橋線と通称されている。

元々は野田市にあるキッコーマンの醤油輸送用の路線として建設されたが、貨物輸送廃止後は東京から放射状に伸びる複数の鉄道路線と接続する通勤路線として発達し、徐々に複線化が進められた。
全線複線化は未達成(※2020年3月14日現在)で、春日部~運河間は単線区間となっている。

東京スカイツリーの実現後は「住宅を中心に沿線開発が進み、今後も利用増が見込める路線」に位置付けられ、活性化が図られる事になった( 公式頁 )。
その一環として2014年4月1日からアーバンパークライン(都市のアーバンと公園のパークを組み合わせた造語)という路線愛称が採用されたのだが、
東武伊勢崎線の浅草・押上~東武動物公園間に付けられたスカイツリーラインと同様にWeb上では受けが悪く、長年利用し続けてきた沿線民でも野田線の方が良いとする声も散見される。
ちなみに、JRや他社の運行情報では伊勢崎線はスカイツリーラインと表示されるが、野田線は野田線と表示される*2

「東武鉄道お客さまセンター」のイメージキャラクターである『姫宮なな』の名前は、七里と七光台に由来している。
だが出身地の設定は何故か栃木県宇都宮市となっており、元ネタの駅名が存在する伊勢崎線や野田線とは何の縁も所縁もない。
両線が接続する埼玉県春日部市では無いのは、鉄道むすめの春日部しあが先に登場していたせいなのだろうか?

女性専用車は平日の始発から9時00分までの全列車全区間に設定されていて、柏寄りの1両が指定されている。

停車駅一覧

種別 東武野田線(大宮~船橋)
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普通
区間急行 2020年3月~
急行 2016年~2020年
2020年3月~
特急
アーバンパーク
ライナー
1号(浅草 発)























3号・5号
7号
























2号・4号
6号

























列車種別

普通
終日運行。
日中の設定は大宮⇔春日部と運河⇔柏が2本/h、大宮⇔柏が4本/h、柏⇔船橋が6本/h。

区間急行
平日は朝・夕、土休日は朝・夕夜に大宮⇔柏で運行。
大宮~春日部間のみ通過運転を実施し、春日部~柏間は各駅に停車する。
柏での柏⇔船橋間の急行との相互接続は実施していない。

急行
日中は大宮⇔船橋、朝・夕夜は柏⇔船橋で2本/hずつ設定されている。
大宮~春日部・運河~船橋間のみ通過運転を実施し、春日部~運河間は各駅に停車する。
大宮~船橋は最短76分(普通は92分)、ラッシュ時の柏~船橋は最短19~20分(普通は29~30分)で結ぶ。

アーバンパークライナー
平日に運行される特急列車。
1号は浅草、2号・4号・6号は大宮、3号・5号・7号は柏発着。
1号はせんげん台、2号・4号・6号は春日部、3号・5号・7号は運河より先の区間は乗車券のみで乗車可能。
2024年3月ダイヤ改正で廃止予定。

臨時列車
アーバンパークライナー設定前から東武スカイツリーライン(浅草~春日部)との直通運転も何度か実施されている。
2012年12月1日~2017年4月8日(※増発便の52号は2015年8月8日から2016年3月19日)の毎週土曜日には、
展望列車634型による臨時特急「スカイツリートレイン」4号と52号が、大宮出発後に岩槻へ運転停車して春日部からはスカイツリーラインに直通し、
北千住、とうきょうスカイツリーの順に停車して終点の浅草まで運転していた。
2015年3月14日・15日・22日・28日・29日及び同年の7月18日・19日・20日・25日・26日や8月1日・2日には、
大宮発浅草行きで春日部以外ノンストップの6050系臨時快速を運行している。
2015年12月4日・11日・18日・22日及び2016年12月2日・9日・16日・26日には浅草発の特急「きりふり267号」が春日部~運河間を特急料金不要の普通列車として運転した事もあった。


車両

長らく伊勢崎線系統からの転属車両が大半を占め、関東の大手私鉄で最後まで吊りかけ車両が運用されていたのもこの路線である。

野田線のテーマカラーはフューチャーブルーブライトグリーンだが、これがファミリーマートのベーシックカラーと被っている影響なのか、ファミリーマートのラッピング広告車両が走っていることがたびたびある。
実際に、10030系は「ファミマ電車」と呼ばれ、60000系もそう呼ばれている。
なお、東武鉄道は元々子会社でファミマに合併されたam/pmのフランチャイズ展開をしていたので、意外とファミマとの接点はある。

・2080系
1989年に登場した18m3ドア車。
営団日比谷線との相互直通運転用として就役した2000系が20000系に置き換えられた際に、経年の浅い中間車を再活用する形で改造された。
当初は6両編成6本36両の導入が予定されていたが、故障の頻発や冷房装置未搭載による不評から導入は2本で打ち切りとなり、1992年に全車廃車となり短命に終わった。

・8000系
私鉄の103系とも呼ばれる東武通勤車最大勢力。
同一形式における製造両数は国内私鉄一で、1986年から2000年代にリニューアルや安全対策が施されており、なおも継続使用されている。
野田線では全車両が8000系で統一された時期もあったが、10000系の転属や60000系の配属によって数を減らしている。
2023年11月から東武博物館で動態保存中の1編成(8111f)が同線で定期列車に用いられる。

・10030系
1988年に登場したステンレス通勤車。
1983年に登場した10000系のマイナーチェンジ仕様で、2010年度からリニューアルが開始されている。

・60000系
野田線の8000系代替新造工事(第1期)事業に基づき、2013年に登場。
日立製作所のA-trainで、「人と環境にやさしい次世代車両」をコンセプトに設計された。東武鉄道では初めて公衆無線サービスに対応している。
野田線には70年ぶりの新型車両という事で、大きな話題を呼んだ。なお、ガラス張りの貫通扉には沿線の市の花(区の花・市の花木も含む)のステッカーが貼られている。
今後は編成を減車して5両編成とする計画があり、外した1両は2024年度から導入予定の新車に組み込まれる予定となっている。

・500系
2017年4月のダイヤ改正で投入された特急形車両で、「リバティ」の愛称がある。
野田線内では特急「アーバンパークライナー」として両方向で運用される。
2018年鉄道友の会ローレル賞受賞。

この他、東武博物館の名誉館長であった花上嘉成氏によれば、20000系を7両にして転用改造する構想もあったという。
しかし、一部の駅でホーム延伸をした場合、狭隘化してドアカットをしなければならない事態になることやホームドアやホーム柵を設置する関係で断念し、20000系は4連化して南栗橋以北の日光・宇都宮線用の20400型として転用改造された。


主要駅一覧+α


◆大宮(TD-01)
東北新幹線山形新幹線秋田新幹線北海道新幹線上越新幹線北陸新幹線京浜東北線宇都宮線高崎線上野東京ライン)・湘南新宿ライン埼京線川越線、埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)乗り換え。
起点駅で、頭端式1面2線のホームを持つ。
京浜東北線ホームの近くに位置していて、地元自治体は相互直通運転の要望を出しているが、現実性に乏しい。
2021年度以降にホームドアが設置される予定であるが、大宮駅の大規模な改修構想である「グランドセントラルステーション計画」で2面3線化にすることで、大幅に遅れてしまう事になる。

◆北大宮(TD-02)
島式1面2線のホームを持つ。
宇都宮線と併走しているが、そちらに駅はない。
ここも大宮公園が近く、氷川神社はここからの方が近い。

◆大宮公園(TD-03)
単式2面2線のホームを持つ。
大宮公園や埼玉県立歴史と民俗の博物館、武蔵一宮氷川神社、さいたま市立漫画会館やさいたま市立大宮盆栽美術館の最寄り駅でもある。
大宮アルディージャのホームスタジアムであるNACK5スタジアム大宮(さいたま市大宮公園サッカー場)は北大宮駅と共に徒歩圏内。
2016年度に運河駅に次いで回生電力貯蔵装置(TESS)が設置された。
2016年4月23日に新駅舎の使用が開始された。

◆大和田(TD-04)
単式2面2線のホームを持つ。
ローカルアニメ「フジログ」の聖地でもある?

◆岩槻(TD-06)
島式1面2線及び単式1面1線のホームで、1番線が上り(大宮方面)、2番線が上下両用、3番線が下り(柏方面)となっている。
下り普通列車の一部は区間急行と緩急接続を実施する他、当駅始発の列車もある。
さいたま市岩槻区の中心駅で、国登録有形文化財のさいたま市立岩槻郷土資料館やさいたま市立岩槻人形博物館、岩槻城址公園の最寄り駅で、埼玉高速鉄道線が当駅までの延伸計画がある。
2016年5月31日に新駅舎の使用が開始された。

◆八木崎(TD-09)
単式2面2線のホームを持つ。
県立春日部高校最寄駅。

◆春日部(TD-10)
東武スカイツリーライン乗り換え。
島式2面4線及び単式1面1線のホーム(ただし、野田線で使用されるのは実質島式1面2線のみで、特急の運用のために伊勢崎線の下り待避線も使用)で、4番線が東武スカイツリーラインとの連絡線(通常時は伊勢崎線の下り待避線)、野田線用ホームとなる7番線が下り(柏方面)、8番線が上り(大宮方面)となっている。
将来的には立体化事業で島式4面8線(計画当初は島式3面6線だったが、野田線用ホームを島式1面2線から島式2面4線に変更)の高架ホームに変更される予定。

◆藤の牛島(TD-11)
単式2面2線のホームを持つ。
名前の通り、フジの名所が近くにある。

◆南桜井(TD-12)
単式2面2線のホームを持つ。
ここまで埼玉県の駅。首都圏外郭放水路庄和排水機場・龍Q館へのバスが発着する。
現在でこそ春日部市だが、かつては北葛飾郡庄和町に所属し、同町唯一の鉄道駅でもあった。

◆川間(TD-13)
島式1面2線のホームを持つ。
ここから千葉県の駅。実は野田市内で一番利用が多い。

◆七光台(TD-14)
島式1面2線のホームを持つ。
南栗橋車両管区七光台支所(旧・七光台検修区)・七光台乗務管区(旧・野田車掌区)があり、野田線用の車両と乗務員を一括管理している。
県立野田中央高校(旧・県立野田北高校)の最寄り駅。
旧駅舎はあまりにものボロさと安全性に問題のある構造等から秘境駅扱いされたこともあるが、新駅舎になっても区画整理されない東口側は、未だ秘境駅のままである。

◆清水公園(TD-15)
島式1面2線のホームを持つ。
かつては島式1面2線及び単式1面1線のホーム配線であったが、清水公園~梅郷間の連続立体交差事業に伴い番線変更がたびたび行われ、現在は単式1面1線の旧1番線が使用停止中。
さくら名所100選にも選定された清水公園とソライエ清水公園アーバンパークタウンの最寄り駅。

◆愛宕(TD-16)
単式2面2線のホームを持つ。
野田市中心部の実質的玄関口であり、清水公園~梅郷間の連続立体交差事業に伴い駅前広場を両側に作っている。
駅名の由来は愛宕神社とされている。

◆野田市(TD-17)
暫定的に島式1面2線のホームを持つ。
かつては島式1面2線及び単式1面1線のホーム配線であったが、清水公園~梅郷間の連続立体交差事業の影響で、事業前の単式1面1線の旧1番線は駅舎と共に撤去された。
同工事は2021年に高架工事が終わり、新ホームに切り替えられた。最終的には2026年度に完了予定で、島式2面4線のホームが設置される。
キッコーマンの醤油工場(野田工場)と隣接していて、1985年までは貨物を取り扱っていた。
そのためキッコーマンは、2017年1月から2022年3月までこの駅の副駅名のネーミングライツをしていたが、2023年5月より副駅名のネーミングライツを再開した。
有楽町線を延長させて当駅を終着とする東京直結鉄道の計画が存在するが、具体的な進展はない。

◆運河(TD-19)
島式1面2線及び単式1面1線のホームを持つ。
駅名は近くを流れる利根運河に由来する。運河変電所が設置されている。
東京理科大学野田キャンパスの最寄り駅でもある。

◆流山おおたかの森(TD-22)
単式2面2線のホームを持つ。
つくばエクスプレス開業に合わせて設置された新駅で、もちろん乗り換え可能。
ただ、東武鉄道は新駅開業に乗り気ではなかったため、建設費用はUR(都市再生機構)と流山市が全額負担している。

◆柏(TD-24)
常磐線乗り換え。かつて両線は引込線で結ばれていて、貨物列車が行き来していた。
頭端式2面4線のホームで、1番線と2番線が上り(大宮方面)、3番線と4番線が下り(船橋方面)となっているが、2番線と3番線は直通運転する急行が基本的に使用する。
大半の列車は当駅で折り返すため、ほぼ境界駅に等しい。野田線ではいち早くホームドアが設置された駅の一つ。
前述した貨物列車運行の名残から駅はスイッチバック構造になっている*3
柏レイソルのメインスタジアムで、「日立台」の愛称で親しまれている三協フロンテア柏スタジアム(日立柏サッカー場)の最寄り駅でもある。

◆高柳(TD-28)
普通の一部は急行と緩急接続を実施する。
島式2面4線のホーム配線で、1番線と2番線が下り(船橋方面)、3番線と4番線が上り(大宮方面)となっていて、外側の1・4番線が本線、内側の2・3番線が待避線となる。逆井~六実間の複線化事業完了前は単式2面2線で、単線区間の途中駅という佇まいだった。更にカーブの中間に位置するためにかなりの難所であったが、複線化事業によりホームの位置を船橋方に移設してカーブも緩和された。
柏寄りには留置線があり、当駅始発および終着駅の便も存在する。
現在でこそ柏市だが、かつては東葛飾郡沼南町に所属し、同町唯一の鉄道駅でもあった。*4

◆六実(TD-29)
2018年に撤去された留置線の跡は、かつて存在した自衛隊下総基地までの専用線の名残でもある。単式2面2線のホーム配線であるが、かつては島式1面2線及び単式1面1線であった。逆井~六実間の複線化事業完了後も存在した3番線は、2020年3月13日に廃止された後に撤去された。
野田線のみならず東武鉄道で唯一の松戸市に属する駅。

◆新鎌ヶ谷(TD-30)
京成成田スカイアクセス線・北総鉄道北総線・新京成電鉄線乗り換え。
単式2面2線のホームを持つ。
東武の新鎌ケ谷周辺整備は1989年に信号所(このあたりは当時単線で、信号所の設置で六実からここまで複線、ここから馬込沢までが単線だった)が設置されたことに始まるのだが、この当時既に新鎌ケ谷に信号所(新京成電鉄に乗り入れて、松戸発着としていた)を設けていた北総開発鉄道(現・北総鉄道)は、駅用地の先行的な整備としての側面があったのに対し、東武鉄道はあくまで単線・複線の境界線としての設置で、信号所からの旅客駅昇格に乗り気ではなかったため、なんと建設費用は鎌ケ谷市が全額負担している。
北海道日本ハムファイターズの二軍本拠地兼練習場の鎌ヶ谷スタジアム(ファイターズスタジアム)の最寄り駅のため、発車メロディが鎌ヶ谷駅と共にファイターズの球団歌「ファイターズ賛歌」(市民有志によるピアノ演奏版)となっている。

◆新船橋(TD-34)
単式2面2線のホームを持つ。
イオンモール船橋最寄り駅。なお、駅南側には東葉高速の東海神が所在する。

◆船橋(TD-35)
JR総武快速線各駅停車京成本線(京成船橋駅)乗り換え。
頭端式1面2線のホームで、東武野田線の終点。東武百貨店船橋店と直結している。このため、発車メロディは東上線の池袋で使われた「City」(通称・「Memoria」)から東武百貨店船橋店の開店時に流れるチャイム「オープニングカリヨン」に変更されている。
東武単独の駅では初のホームドアが設置されている。
北総鉄道・総武鉄道時代の1925年~1934年には、当駅でスイッチバックする形で分岐して京成電鉄の海神まで結ぶ約1.4kmの連絡線(海神線)が存在した。



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最終更新:2023年12月30日 18:47

*1 野田の頭文字である「N」は日光線系統で使用される事としたため、田の「D」が使用された。

*2 スカイツリーラインに関しては伊勢崎線が東武動物公園駅で分岐するため、分岐する両系統が合流して運行する区間という意味で名称を用いる意義はある。

*3 かつて大宮線と船橋線のホームは、常磐線を間に挟み込む形であったので非常に離れていたが、船橋線を常磐線の上で渡って大宮線と一体化する大改造の末に現在に近い形になっている。

*4 但し、中心部からは非常に離れているが。