茶漬け

登録日:2011/12/31(土) 21:49:20
更新日:2023/12/12 Tue 04:06:57
所要時間:約 5 分で読めます






茶漬けとは、米飯に熱い茶や湯、出汁などをかける料理である。

古来日本では炊き上がった米を保温出来る技術が無く、お櫃に残った飯は固くなるしかなかった。
そこで冷や飯を温かく、かつ柔らかく食べる方法として、熱い湯をかける(湯漬け)という方法は自然発生的に生まれた。
日本史の有名人の中では、戦国三英傑の一人・織田信長が湯漬けを好んでいたことで知られる。

お茶をかけると言う習慣は、江戸時代に煎茶が発達してからのものである。 茶に含まれる旨味は湯には無いもので好まれた。

なお、ここまでの「茶漬け」は「汁にはほとんど味がなく、塩気のあるものを載せてサラサラになったご飯とともに食う。」というスタイルだった*1のだが、
戦後まもなく紛茶や海苔茶から発想を得て、永谷園から抹茶と出汁の粉末が入ったお茶漬け海苔の素が発売された事が日本の茶漬け文化の革新となった。
保温ジャーが普及した現在もお茶漬けはそのあっさりした味わいや手軽さから、日本人に広く好まれている食品である。

調理してから時間が経った食べ物をおいしくいただくための方法という意味で、フレンチトーストや炒飯と同類と言えるかもしれない。

ちなみにお茶漬け自体は食べやすいが消化に悪い食べ物である点は注意*2


■主な食べ時

◆酒の後
コッテリしたつまみを食べた後には、ラーメンなどより欲しくなる。
さっぱりとした後口で〆られるのが魅力。

◆夜食に
小腹が空いた時、その手軽さと手早さ、あっさりとした味わいが求められる。

◆朝食に
サラサラと食べられるお茶漬けは、食欲の無い朝にも持ってこい。

◆胃が疲れた時に
年末年始のお酒、ご馳走の食べ過ぎや病み上がりの時、仕事や失恋で胃がボロボロの時もお茶漬けはサラサラと胃袋に入ってきてくれる。

◆お客様に帰って頂く際に
「ぶぶ漬けでもどうどすか~」
と締めに出す。主に京都で行われる接客術。「お前もう帰れよ」という意味なので、これを出されたら素直に帰ろう。
また、実際に出されずに勧められただけの場合は「また今度頂きます」と返すのが様式美。


■主な具材

白飯の上に直接具材を乗せても良いが、お茶漬け海苔の素に+するのも悪くない。
お茶漬け海苔の素にはお茶成分が入っているので、かけるのは白湯で良い。

漬け物
飯に白菜や野沢菜、たくあんなどをのせて茶をかければそれだけで素敵なお茶漬けに。
サラサラ、パリポリ食べよう。

◆梅干し
漬け物の中でも特筆に値する一品。
酸味と甘味が食欲を呼び起こしてくれる。唾液が出やすいのも良い点。
お茶漬け海苔でも専用のものがある一分野。

◆佃煮
昆布の佃煮など。白い飯に、黒いおだしがじんわりと広がり…。そこをすするのが、ああ、堪らない。

◆焼き鮭
は~るばる来たぜ~…。
余りものでもいいが、焼きたての塩辛い鮭を飯にのせ、お茶漬けにしたらまたこたえられない美味さ。
フリーズドライのお茶漬けの素もあり。

◆たらこ
贅沢に、丸一本を飯にのせて熱い湯をかけよう。
ふわっと花が開くようにタラコが広がり…。半生がまた良い。上等なタラコなら焼いてもさくっとふんわり楽しめる。

◆鯛茶漬け
鯛に限らず前日に余った刺身を醤油に一晩漬け、すりゴマ、わさびと共に飯に乗せてお茶をかけると…。
半生の刺身を楽しんでいると、不意打ちにツーンと鼻をぬけるわさび様…。 ああ、日本人で良かった。

◆ぶぶあられ
お茶漬け用の小さな丸いあられ。
永谷園のお茶漬けの素に入っているやつである。

◆山葵茶漬け
炙った海苔、白ごま、ぶぶあられなどのベーシックな海苔茶漬けの具に山葵の茎や、すり下ろしたり刻んだ山葵を乗せて戴く。
鼻に抜ける山葵の辛みに涙を流しながらも、梅茶漬けとはまた違ったさっぱり感を楽しもう。
お茶漬け海苔の素に山葵チューブを絞るだけでも楽しめるが、山葵に直接お湯をかけると辛みが飛ぶので山葵は後乗せにするか、山葵を避けてお湯をかけよう。
お茶漬けの素に専用の分野があり、こちらも手軽ながらしっかりと山葵の辛みがあって文字通り涙が出るほど美味しい。

◆塩辛茶漬け
日本の伝統的な保存食にして、酒の肴の定番の珍味・塩辛。
ご飯に塩辛を乗せ、そこに熱いお茶をかけてさらさらといけば、ほどよく中和された塩辛の塩気が絶妙にご飯とマッチ。
イカなどの塩辛の具材も、少し煮えることでそのまま食べるのとはまた違う食感を楽しめる。わさびなどを添えても良し。
ちなみに永谷園では、同社製品のわさび茶漬けの素と塩辛を一緒にご飯にかけるアレンジレシピを紹介している。


■その他

◆冷やし茶漬け
夏にぴったりな一品。
冷ました飯を水洗いしてサラサラにしてから、漬け物などと共に麦茶をかけよう。
火照った夏バテ体に優しく染み渡る。
飯は冷や水をかけるとすごく甘くなり美味なので、毛嫌いしてる人々も是非試してほしい。
また、現在のお茶漬けの素は、冷やしにも対応出来るよう水でもよく溶けるので安心しよう。


◆お茶漬けパスタ
茹でたパスタにバターかマーガリンを絡ませそこに永谷園のお茶漬けの素をまぶしたもの。
簡単に作れてそこそこ美味しいのでお昼御飯などにどうぞ。
定番のお茶漬け海苔以外にも梅茶漬け・鮭茶漬けでもイケる。


◆出汁茶漬け
お茶の代わりに出汁をかけた茶漬け。
……お茶を使っていないのに茶漬けというのもどうかもしれないが、まあ、この手の言葉はよくあることである。
普通のお茶漬けとはまた違った美味しさが味わえる。
なお、これにウナギのかば焼きを上に乗せたものは「ひつまぶし」と呼ばれるが、この辺までくると豪華さでもこってり感的にも「茶漬け」の範疇になるか微妙。



追記・修正は、年末年始の荒れた胃にお茶漬けを流しこんでからお願いします。

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最終更新:2023年12月12日 04:06

*1 一応、熱い出汁を冷や飯にかけて食べるものは「芳飯」として戦国時代に存在しており、僧侶たちの精進料理や、武士たちの戦場食に重宝されていた。

*2 煮込んであるおかゆですらよく噛まないと消化に悪いとされるのに、お茶漬けはただお湯やお茶をかけただけなのでその食べ易さ故によく噛まないと消化に悪いとされる。