バキシム

登録日:2016/04/02 Sat 15:34:34
更新日:2024/02/27 Tue 04:11:41
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子供の心が純真だと思うのは、人間だけだ。



バキシムとは、『ウルトラマンA』を始めとするウルトラシリーズに登場する超獣である。
そのド派手な彩色とガッチリしたボリューム感溢れる体型、極端なまでに非生物的な顔立ちから人気が高く、ベロクロンドラゴリーと同じく最も有名な超獣の一体であろう。

目次


概要


種別:一角超獣
身長:65m
体重:7万8千t
出身地:異次元


オレンジ色の顔と青い体にトゲだらけの両腕、碧に輝く複眼が特徴的な超獣。
異次元人 ヤプールが芋虫と宇宙怪獣を合成させた超獣のため、非常にズングリムックリした体格をしている。*1

体重は7万8千tと重く、弱い地盤であれば一歩踏み出しただけでめり込み、ジャンプすれば地震が起こるほど。
ぶっとい尻尾は一振りで重戦車をも50㎞先まで吹き飛ばす。
一角超獣の名のもととなった頭部の一本角は誘導ミサイル「ユニコー・ボム」(ユニコーンではなく「ユニコー」で正しい)で、相手をどこまでも追いかけ回す。
他にも手先と鼻からは小型ミサイル、両手先からは7万度もの爆炎を放ち相手を焼き尽くすと言った具合に、超獣らしく全身武器のカタマリである。
『A』では後述する通り非常に高い知能を有していたが、後発の作品では単なる脳筋超獣扱いになっていることも多い。

最大の特徴は出現時に文字通り空をブチ割り、ガラスのように通常空間を破壊して異次元から現れるというもの。
戻る際には欠けた空間が逆回しのように突っ込んでいき、修復されるため、瞬間的な異次元へのワープが可能。
他にはガランがこの方法で登場していた。
このインパクトが余りに強いため、『メビウス』以降の作品ではヤプール自身や他の超獣もこの出現方式を取っていることがある。


ちなみに名前は「牙虫(きば むし)」のアナグラム。
最初にデザインされたバキシムは、ギエロン星獣のような鳥型怪獣にオレンジ色の装甲を取り付けたような姿だったがそれが没になり、現在の無機質感が増したデザインに書き直されたという経緯がある。
「超兵器としての怪獣」というコンセプトを重視した結果と思われる。実際に画集などで確認してもらえば分かると思うが、没にされて本当によかった。



主な活躍

『ウルトラマンA』

第3話「燃えろ!超獣地獄」に登場。
登場していきなりミサイルで旅客機を撃墜し、直後に姿を消す。
「瞬間的に異次元空間から出入りを行う」という能力のせいで超獣攻撃隊 TACの防衛網をかいくぐり、
バキシムを最初に発見した夕子もいつものようにTAC上層部からは信用されなかった。

バキシムはベロクロンやカメレキングとは異なり、明言されてはいないが本人の発言からするとヤプール人がベースとなった超獣である。
過疎に悩む山間の限界集落に住む老夫婦の家に孫の中村四朗少年に化けて潜入する。

北斗隊員は夕子の見た「黄色い帽子の少年(四朗君)」に超獣を見たことを証言させようとするが、
四朗(バキシム)は北斗の乗ってきたTACアローの燃料を抜き取って捜査を攪乱し、北斗の問いにも「超獣なんて知らない」と偽証する。
あまつさえ事故を装って北斗を射殺しようとさえ企んだ。

こうして自身の存在をTACから隠したバキシムは北斗が山から下りると本性を現し(目と口の周りに隈取が出る)、
用済みとなった老夫婦に正体を明かし、「あなたたちの役目は終わった。ありがとう」と別れとお礼を言いながら、
口から吐いた怪光線*2で殺害

TACの注意を集落にひきつけ、本部の戦力がガラ空きになったことを見越すと、
瞬間移動で富士山周辺のTAC基地にワープし、TAC基地の完全破壊を目論んだ。

急いで本部に帰還した北斗は基地にいた夕子とウルトラタッチし、弾幕を物ともせずに暴れ回るバキシムに挑みかかる。
火炎放射でエースを攻撃するバキシムだったが、エースのウルトラネオバリアーに阻まれる。
続けて角ミサイルで串刺しにせんとするも、スラッシュ光線であっさり迎撃されてしまい、
驚いた隙を突かれてエーススパークで動きを止められ、最後は八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)で首を刎ね飛ばされて絶命した。

バキシム討伐直後、TACのもとにある情報が寄せられた。
本物の中村四朗は、両親と共に3日前に「原因不明の交通事故」で命を落としていたことを……。
おそらくヤプールの仕業の可能性が高い。


ウルトラマンメビウス

第24話「復活のヤプール」に登場。
映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』にて封印を解かれたヤプールが最初に送り込んだ刺客。
鼻からはビーム弾を発射し、腕先からは赤黒いビームのバキシクラッシャーを放つ。その大きな嘴での噛み付きも強力だ。
角ミサイルのユニコー・ボムも健在。また、目に照準器を装備している。

謎の赤い雨の調査に訪れたリュウとミライを空をブチ割って襲撃し、眼からビームを放ってリュウを誘拐。
彼にヤプール人を憑依させてCREW GUYS基地に戻らせ、GUYS内部で工作を行わせると、
GUYSが新兵器「ファイヤーウインダム」実験のために出払ったのをいいことにワープで本部を襲撃した。
急いでGUYSは迎撃に出るがヤプールが細工したため戦闘機の照準は狂い、バキシムにまるでダメージを与えられない。
ミライはメビウスに変身してバキシムに立ち向かおうとするが、ヤプールは起爆装置をタテにミライを脅迫。

「どうした? 早く撃てよ」

仲間の命をタテにヤプールはミライを嘲るが…

「ミライ、俺の心の炎を、撃ち抜け!」

リュウの本心を聞いたミライはその言葉を信じ、リュウの胸を撃って起爆装置を奪取。
リュウが死んだと思い込んだヤプールはミライを「仲間殺し」とさんざん愚弄した果てにバキシムに乗り移り、
ミライが変身したメビウスに戦いを挑む。

バキシムはヤプールの頭脳を得たことで能力をフル活用、空中からメビュームシュートを放とうとしたメビウスにも角ミサイルで応戦。
メビウスを踏み殺そうとするが、超至近距離まで接近したガンウィンガー&ガンローダーの攻撃を受け、足を離してしまう。
難を逃れたメビウスはメビュームナイトブレードを一閃、またもバキシムは切り裂かれて大爆発。
かくしてメビウスとヤプールとの壮絶な戦いが幕を開けるのだった……。
(ちなみにリュウは胸に「心の炎」ことファイヤーシンボル入のメモリーディスプレイが入っていたため気を失っただけでした)


『大怪獣バトル』シリーズ

『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』では第5話「暴走の果てに」に登場。
ドラゴリーを倒されたことで主人公・レイへの復讐に燃えるメトロン星人が召喚した。
猛烈な速さでの空間移動を駆使して惑星ハマーからの脱出を試みたスペースペンドラゴンを襲撃したが、
レイオニックバーストしたゴモラには歯が立たず、最後は超振動波で粉々にされてしまった。
ちなみに本作では空間移動能力以外には腕先からの機銃くらいしか使っておらず、いつもの重火器っぷりは控えめ。

河本ひろしによるコミカライズ版でも同様の設定で登場。
ババルウ星人の操るアントラーレイオニクスバトルを行っている所をキングジョーブラックに砲撃され全員まとめて爆死する。

ゲーム『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』では2弾から参戦。
必殺技はそこそこ強めだが、ディフェンスとスピードが低いため押し切られやすい。
カードによって能力差が激しく、しかももともと強い部類ではないのになぜか下方修正になることが多いため、異様に能力が低いものも存在する。
そのうえ公式で「バキスム」と誤植された。

ストーリーモードおよびコミカライズ『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』ではヤプール配下の超獣軍団の尖兵として登場。
主人公・御蔵イオの持つバトルナイザーを破壊すべく襲いかかり、TVとは逆にゴモラを圧倒的火力で全く寄せ付けずに翻弄した挙句
胸に角ミサイルをブチ込んで撤退させてしまった。
しかしペダン星人のキングジョーブラックが割り込んできたことにより、ぺダニウムランチャーでバラバラにされてしまう。

大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』ではウルトラマンベリアル傘下の怪獣軍団として登場。
しかし突然現れたウルトラマンゼロのワイドゼロショットで薙ぎ払われて爆死した。


ウルトラマンギンガS

第5話「仲間と悪魔」に登場。
ダークルギエルによりスパークドールズ封印され、チブル星人エクセラー一味に回収されていた。
エクセラーも「超獣は通常の怪獣よりも物理攻撃によるダメージに強い筈だ」と解析している。
エクセラー傘下のアンドロイド・ワンゼロがモンスライブして暴れていた際にSD内に封じ込められていたヤプールの意識が覚醒。
ワンゼロを追い出して復活を遂げ、巨大ヤプールと共にギンガ&ビクトリーと戦った。
前述した『ウルトラアドベンチャー』ではぺダニウムランチャー一発で即死していたのだが、
今回はビクトリーのキングジョーランチャー掃射にも耐えていたことから、エクセラーの言っていたこともあながち間違ってはいなかったようだ。
最後はビクトリーのビクトリウムシュートで粉砕された。

後日談『ウルトラファイトビクトリー』では生き返ったその後の姿が登場。
ベロクロン、ドラゴリーと共に惑星グアにてレオ兄弟を襲撃したが、最後はレオとアストラのダブルキックでドラゴリー共々吹っ飛んでしまった。

お馴染みのユニコー・ボムは一度撃った後に新たに生えるようになり、連射も可能になった。


ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA

episode 5「あかつき 〜暁〜」からepisode 7「くるる 〜眩る〜」、final episode「まほろば 〜新世界〜」に登場。
宇宙悪魔ベゼルブのクグツ毒によって操られ、クグツバキシムと化している。王立惑星カノンの軌道上でクグツベロクロンと共にコスモスを迎撃しようとするも失敗、地上に降りて暴れ回り、駆け付けたオーブ、ダイナ、コスモスと戦う。
結局は倒されずにクグツベロクロンと共にサイキに回収された。
その後、地球での最終決戦にもクグツアーストロンと共に参戦したが、アーストロン共々コスモスによって命の樹の果実を与えられてクグツを解毒され、宇宙へ返された。
アーストロンはともかく、ヤプールの生物兵器である超獣を普通に宇宙に返して大丈夫なのだろうか……? それ以前に、超獣なんてどうやって捕獲したのか……怪獣墓場からか?
この登場は多くのファンが首をかしげる結果となったが、ウルトラマンタイガのボイスドラマにてヤプールの怨念によって自然発生し、そのまま野生化してしまった超獣もいるとのことでおそらくはその個体。
フーマ「タチ悪っ」


ウルトラ怪獣擬人化計画

KADOKAWA版の絵師はニトロプラスのりきまんとう氏。
非常にスレンダーな体系の美少女として描かれており、割れた空を模したビーチパラソルを携帯している。
あの独特の段々腹はスクール水着型にリファインされており、鋭角的な尻尾や物凄いくせ毛など非生物的なフォルムを頑張って取り入れている。
ウルトラ怪獣擬人化計画 ギャラクシー☆デイズ』では主人公チームの同級生として登場しており、ゼットン星人に憧れているらしい。

POP版では衣装は全身タイツ型で髪も短い。
ウルトラ怪獣擬人化計画feat.POP Comic code』ではヤプール軍団唯一の下っ端として登場。
毎度毎度教室のガラスをブチ砕かないと入室できない問題児で、ヤプールの悩みの種。とても原作通りのずるがしこい知能があるようには思えない…。
自分が芋虫の超獣であることを知らなかったようで、ヤプールに指摘された時は物凄くへこんでいた。
一応ヤプールに、「元イモムシでこんなに活躍したのお前くらい」「イモムシの出世頭」とフォローされていたが、怪獣界でイモムシの怪獣といえばウルトラの世界観ではないとはいえ、モスラという超人気で有名な先輩がいるので励ましになっていない。



その他の作品での登場

そのデザインから非常に人気が高く、超獣第1号のベロクロンを差し置いて派生作品でも優遇されることが多い。
  • ウルトラマン超闘士激伝』では闘士怪獣五獣士が一角として闘士バキシムが登場。あのウルトラマンレオを破る快挙を成し遂げた。
  • 漫画『ウルトラ怪獣かっとび!ランド』ではかっとび小学校でも恐らく唯一の超獣として登場している。
    気絶したギャンゴを起こすようウルトラマンに懇願された時には「おれの手でのパンチはかわいそうだよ~」と気遣うなど
    真面目系屑の極みであるマンとは大違いの心優しい子である。
  • PS専用STG『PDウルトラマンインベーダー』ではベロクロンやヤプールと共にエースステージ1面の敵として登場。
    このステージだけ他の面と違う仕様なので、初見殺しである。
  • アクションゲーム『グレイトバトルフルブラスト』では雑魚敵として登場する。でかくて動きが鈍く火炎放射もリーチが短いのではっきり言って弱い
  • ウルトラマンFighting Evolution 3』ではベロクロンの登場が検討されるも作画コストの面で断念され、色彩や構造が単純な上に人気も劣らないバキシムに白羽の矢が立った。
    ダダを操作して怪獣を捕獲し集めた怪獣を使ってウルトラマンと戦う「怪獣標本」にてレア枠として登場。捕獲するとミッション評価が上がり、バキシムでウルトラマンを倒すと自キャラとして使用可能になる。
    格闘戦のリーチやコンボが短い上にあたり判定が大きい難点はあるが、一度ダウンを取れると確定ダウンの火炎放射でハメ殺しができる強キャラ。火炎放射に加えて腕と鼻の小型ミサイルや一発限りの角ミサイルも実装されている。
  • ウルトラマン Fighting Evolution 0』ではなんと100体もの大軍勢で地球を攻撃した。
    内一体はレッドキングエレキングブラックキング三匹の怪獣王の力をヒッポリトカプセルで送り込まれ強化される。
  • アーケード版シューティングゲーム『ウルトラ警備隊』ではステージ4(エースのステージ)のボスとして登場する。




バキシマム

種別:一角紅蓮超獣
身長:66m
体重:7万9千t
出身地:不明

バキシムのパワーアップバリエーション形態。
名前は「バキシム」+「マキシマム」から。
他の応募作品の名称が「〇〇バキシム」がほとんどの中*3、元の語感を崩さずにパワーアップしているとわかるネーミングへの評価も高い。
ブラッシュアップを担当した後藤正行氏もTwitter(X)で「子供のアレンジ&ネーミングセンスが素晴らしいですね」とコメントしている。

小学館が開催『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』の児童誌連合企画「バキシム強化改造計画」。
その12000通の応募の中からグランプリの栄冠に輝き、『ウルトラ怪獣シリーズEX』としてソフビ人形化と『NEO』第7弾よりゲーム参戦を果たした。

全体的にボリュームアップした巨体に炎をイメージしたパーツが付き、よりゴツい印象となった。
武器も両腕の連射ユニットから発射する「紅蓮火炎弾」、高熱を放ちながらブーメランのように飛んで相手を焼きながら切り裂く頭部の「一角紅蓮ミサイル」、
紅蓮火炎弾と一角紅蓮ミサイルのコンビネーションによる「紅蓮コンビネーション」など高熱属性の必殺技が多い。

現在では大怪獣バトルが終了しているので、動いているバキシマムを目にする機会はまず無いと思われる。
いつか同じ経緯で誕生したカブト・ザ・キラーアンドロ・ザ・キラーメカバルタン共々映像作品に出られる日は来るのだろうか…
一応『ウルトラマンギンガ』にスパークドールズがちょっとだけ登場している。

ちなみに準グランプリとして「ゲバルトバキシム」、「バタフライバキシム」、「マグネバキシム」といった物があった。










追記・修正などするのは人間だけだ。

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最終更新:2024年02月27日 04:11

*1 ちなみに後に登場するバラバもアゲハチョウの幼虫がベースになっているので、後述する『POPComicCode』ではヤプールはバキシムに命じて「0円で手に入る原料」として芋虫を捕まえさせていた。

*2 しかしこの光線、何故か命中するとダーツ状のロケット弾になっていた。

*3 というより、募集内容の応募例として「〇〇〇〇バキシム」とつけるのがおすすめですと書かれていたのである意味では順当であった。