ヴァルキュリア・フレームMS

登録日:2016/03/28 (月) 08:33:05
更新日:2023/12/27 Wed 11:39:15
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ヴァルキュリア・フレームとは?

厄祭戦末期頃に開発されたモビルスーツ(MS)用インナーフレーム規格の一種で、戦局を打開する為に開発された。
二基のエイハブ・リアクターを搭載し同調させる「ツインリアクターシステム」や専用のシリンダー駆動を採用するなど機体出力を追求したガンダム・フレームとは対照的に、ヴァルキュリアは徹底した軽量化とエネルギー効率の改善によって高い機体性能を得る事に成功した。
しかし同時期にロールアウトしたガンダムに注目が集まり、ヴァルキュリアは歴史の影に埋もれて消える事となる。「グレートメカニックG 2016SPRING」での設定開示によると、総生産数は10機以下だったらしい。


戦後の評価

厄祭戦終結後、ギャラルホルンが目を付け、ヴァルキュリア(正確にはその中のグリムゲルデ)を主力MS開発の指標とした。
グレイズ系MSのフレームはこれまでのEBシリーズから更にヴァルキュリアを見直して開発されており、グレイズとグリムゲルデのフレームには共通点が多い。
つまりグリムゲルデとグレイズはオルフェンズ版のトールギスリーオーの様な物である、二期で間にゲイレール・フレームが存在してる事になったが。

グレイズの直接の原型機なんぞ持ち出したらギャラルホルン内に裏切り者がいるとバレかねないが大丈夫なのだろうか?
という疑問が浮かぶが、「グレートメカニックG 2016SPRING」での設定開示によると、厄祭戦の頃の機体はギャラルホルンでエイハブ・ウェーブの固有周波数等が管理されているものの、パイロットデータに関しては当時の物から更新されていない(乗る人間がいないのでする機会もない)ため、現時点で機体を動かしている搭乗者の特定は簡単にはいかないらしい。


V08-1228 グリムゲルデ


大人にはなりきれないものだな。これほどに胸が躍るとは……


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画像出典:機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第2オープニング映像より©サンライズ



型式番号:V08-1228
全高:18.5m
本体重量:29.2t
動力源:エイハブ・リアクター×1
パイロット:仮面の男(モンターク)こと、マクギリス・ファリド特務三佐


機体デザイナー:海老川兼武


機体概要~歴史の影の名機~

厄祭戦末期に開発されたヴァルキュリア・フレームを搭載した高機動型モビルスーツ。
深紅の鎧を纏った騎士のような外見をしており、頭部のブレードアンテナは兎耳を思わせる形状をしている。
長銃身のライフルの他に一対のブレードとシールドを装備しており、それらを活かした機動戦を得意としている。
反面、軽量な機体重量に由来する運動エネルギーの不足から打撃力が弱く、操縦難易度が高い。
その為、近接戦で敵に有効打を与える為には重心等を考慮して適切な体勢で攻撃しなければならない。
しかしパイロットのマクギ…もとい仮面の男ことモンタークはこの機体を容易に使いこなしている。

現在のコクピットブロックはグレイズ系と同型のものを搭載しているが、建造当時の仕様がどのようなものであったかは不明。
しかしセンサーの発光色がガンダム・バルバトスガンダム・グシオンリベイクと同じターコイズ系であり、実は阿頼耶識システムやその亜種に類する有機インターフェイスに対応している可能性も完全には否定できない。

そして何よりも実は厄祭戦当時とは全く違う姿をしており、乗り手である仮面の男の手で外装に手が加えられているとの事。


武装

●頭部センサー
グレイズと同様に頭部装甲が展開し、モノアイを搭載したセンサーボールを露出することが出来る。
センサーを露出させることで情報の解析及び収集能力が高まる。

●ヴァルキュリアライフル
長銃身の110mm口径ライフル。機関部の真上に装弾数に優れたドラムマガジンを装備している。給弾部は可動式で収納の邪魔にならない。
見た目はひょろくて口径もグレイズのライフルより小さいが、グレイズリッターをあっさり叩き落とす程の威力を誇る。
腰背部にマウント可能。

●ヴァルキュリアブレード
金色に輝く特殊超硬金属製の両刃剣。通常はヴァルキュリアシールド裏面に懸架されているが、シールドに固定したまま振るうことも可能。
この特殊超硬金属はMSのフレーム材にも用いられる稀少金属を基に精錬したものである。
鉄血世界では珍しく「斬る」ことを前提とした武装で、達人の手にかかればMSのフレームをゴムチューブの様に切り裂く。
無論、単純に押し当てて斬れるようなものではないため、フレームの操縦難度と合わさって使いこなすのは至難。

●ヴァルキュリアシールド
両肘に装備する、腕全体を覆う細身の固定盾。先端には2本の短いクローが備えられている。
ユニオンフラッグのディフェンスロッドがでかくなったような感じ。


劇中の活躍



プラモデル

●HG IBO
HGでありながらフレーム構造をほぼ再現。前腕部の装甲は取り外せない。
比較的ランナー枚数が少ないHG鉄血シリーズの中でも特にパーツ数が少なく、非常に組みやすい。
しかし、それでいて素組みでも色が足りないのは手足のケーブルと脛程度で、目立つ合わせ目も前腕の装甲程度。肩の装甲はあの形状で合わせ目無しという凄い仕様に。可動範囲も素晴らしい広さを誇り、海老川氏本人も「自分がデザインした機体の中でも最高峰」と評するほど。
前腕の装甲の合わせ処理が少し面倒で、シールド裏の肉抜きも悪目立ちするという欠点こそあるが、同じく肉抜きが目立つ足の裏は肉抜の面積が広い箇所にディテールを施すという非常に気の利いた工夫がされている。これによって見栄えの問題を解決すると同時に、「実物も軽量化の一環でこういう仕様だった」と解釈することも可能となった。
こういった評価点のおかげで一部のモデラーからは「HG IBOシリーズ最高傑作」と称賛する声もある。
値段もお手頃なので是非とも手に取っていただきたい。

付属武装はヴァルキュリアブレード2本(色分け完璧)、ヴァルキュリアライフル。


●1/100
HG IBO版の組み立てやすさはそのままに、手足のケーブルやセンサーボールの別パーツ化・腰部シリンダー可動など、フレームと配色の再現度をより高めている。頭部装甲にはクリアパーツが追加。センサーボール下のもう一つのセンサーもクリアパーツ化され、なんと付属のシールによる裏打ちも可能(説明書にも記載されている)。
元から評判の高い可動範囲はさらに広がり、シールドや腰アーマーもグリグリ動くようになった。シールドは表側のグレーになっている円形部分が別パーツ化しただけに留まらず、裏打ちパーツで裏の肉抜きを塞ぐなど欠点も改善。先端のクローを裏打ちパーツと一体成型にしたことで色分けが完璧になった上に、HG IBO版ではパーツの差し替えでお茶を濁していたヴァルキュリアブレードの展開ギミックも完全再現された。全1/100シリーズの中でも白眉の一品。
欠点らしい欠点と言えば肩の可動と足の裏の見栄えが、それぞれ装甲の接続部位とパーツの成型・分割の都合でHG IBO版に劣るのと、シールド先端のクローに少々目に付きやすい肉抜きがある程度(こちらは形状的に穴埋めはかなり容易)。
付属武装は勿論、ヴァルキュリアブレード2本とヴァルキュリアライフル。ライフルはマガジンが差し替え無しで位置を変更可能となり、ストック部も可動化した。


余談

グリムゲルデ(Grimgerde)はリヒャルト・ワーグナーの歌劇『ニーベルングの指輪』に登場するヴァルキュリアの名に由来する。
『ニーベルングの指輪』におけるヴァルキュリアはオーディンとヨルズの娘である九姉妹を指し、グリムゲルデはその八女に当たる。
グリムゲルデという名はドイツ語のGrim=『仮面・覆面』とGarde=『守護者』を組み合わせた物で、グリムゲルデ=『仮面の守護者』という意味を持つ。

因みに『ニーベルングの腕輪』はいわば北欧神話の二次創作なので、原典にはグリムゲルデという名のヴァルキュリアは存在しない。

北欧神話の主神オーディンの使い、いわば天使の八女とソロモン72柱第八位のバルバトス。
仮面の守護という名と、仮面のパイロット。
実に興味深い巡り合わせである。


余談だが、Grimには『怒り』という意味もある。これとGirde=『要求する』の組み合わせだったとすると ―


怒りを追い求める者


― といった意味にもなる。
まさしく、にふさわしい名であろう。





V08Re-0526 ヘルムヴィーゲ・リンカー




「ヘルムヴィーゲ・リンカー」…。「グリムゲルデ」を改修した機体だ
今の立場にある私には、使うことの叶わない機体……。使いこなしてみせろ


型式番号:V08Re-0526
全高:21.1m
本体重量:43.9t
動力源:エイハブ・リアクター×1
パイロット:石動・カミーチェ

機体デザイナー:海老川兼武

機体概要~姉の鎧を装いし戦乙女~

厄祭戦当時に開発されたヴァルキュリア・フレーム6番機「ヘルムヴィーゲ」を再現したMS。
現存数の少ないフレーム故にグリムゲルデの装甲を換装して再現されている。

火星でモビルアーマーが発見されたとの報を受けたマクギリスは、それが再起動した場合の破壊用戦力としてこの機体を仕上げ、副官の石動・カミーチェに預けて重攻撃役兼護衛役とした。

オリジナルのヘルムヴィーゲは駆動出力の高さと装甲の頑強さをもってモビルアーマーの機動性を封殺し、超至近距離による格闘戦で撃滅するゴリ押し戦法を前提とした荒々しい機体であったとされ、同フレームながらグリムゲルデとは機体運用のコンセプトがまるで違う。
それならガンダム・フレーム使った方が良くね?などと言ってはいけない。
そのため、換装に伴い推進系重視に設定されていたリアクター出力の分配を駆動系重視に切り替え、その重装甲と重武装に対応できるよう再調整を施した。
また、オリジナルを再現しきれなかった部分は現行生産品に置き換えられており、マニピュレーターはグレイズ・アインと同型のものを取り寄せて使用している。


武装

●ヴァルキュリアバスターソード
推定全長30mはあろうかという、MS用装備としては規格外の超巨大剣。
オリジナルのものはやはり対モビルアーマーを前提とした設計で、その破壊力は計り知れない。
重量も凄まじく、使用時には重量級の本機ですら機体のバランスを崩す危険性があり、軽減措置としてランディングフットには接地面積を広げて安定性を向上させる機能が搭載されている。
本機の復元品はモンターク商会が入手したデータを元に製造された。
グリップ部には伸縮機構を持ち、申し訳程度の移送利便性が考慮されている。
柄尻側には打撃用のショートクラブになっており、分離しての使用が可能。
非使用時にはフロントアーマーを展開してマウントする。

●電撃角
頭部に聳える一対の雄々しい角。
放電機能を持ち、敵機に突き刺すことで電装系を破壊する。
使用時には自身のセンサー系を保護するため、首元の装甲をフェイスガードとして装着する。

劇中の活躍

第35話の時点で火星に持ち込まれていたが、言及および登場は無し。
第36話で日曜日のたわけイオク・クジャンが再起動させてしまったハシュマルを討伐するために石動が搭乗し、鉄華団との共同作戦に参加した。
作戦ポイントへの移動中に謎のガンダム・フレームと遭遇するが、無事に作戦ポイントへの配置を完了。
ハシュマルの性能に圧倒されるが、本機のヴァルキュリアバスターソードを強奪したバルバトスルプスによる一撃でハシュマルは沈黙した。
その後バエルを入手したマクギリス共々革命軍に参戦するが窮地に陥ったバエルを身を挺して庇いキマリス・ヴィダールに真っ二つに裂かれ石動も戦死した。



プラモデル

●HG IBO
グリムゲルデ用のフレームにヘルムヴィーゲ・リンカーの装甲を追加した内容となっており、頭部や前腕部、背部以外のフレームはグリムゲルデと共通。
元々のキットが良いだけあって色分けはほぼ完璧だが、前腕部のパイプとフレーム、アイボールセンサーと襟元の装甲は塗装が必要となっている。
装甲で着膨れした分、可動範囲は減っているものの、十分な広さを維持している。
更にヴァルキュリアバスターソードのギミックは差し替え無しで、脚の展開ギミックや腰のマウントは差し替え式で再現。
本編の活躍とは裏腹にかなりの良キットに仕上がっているので、是非とも手に取っていただきたい。
ちなみにヴァルキュリアバスターソードは柄が太いので、バルバトスルプスに流用するには何らかの加工が必要となっている。


余談

ヘルムヴィーゲ(Helmwige)という名は『ニーベルングの指環』に登場するヴァルキュリア九姉妹の六女に由来し、
その名はHelm+Wiegeで『兜のゆりかご』を意味する。
またWiegeには「出生地」という意味があるため「兜から産まれた女」という意味にもなる。

またリンカーとは『転生』を意味する『リインカーネーション』という言葉に由来する。
本機の『ヘルムヴィーゲ・リンカー』という名は『兜から生まれ変わった女』という意味を持ち、本機の出自を表していると言える。



V03-0907 オルトリンデ



型式番号:V03-0907
全高:18.8m
本体重量:29.9t
動力源:エイハブ・リアクター×1
パイロット:ジジル・ジジン

機体デザイナー:海老川兼武

機体概要~死神に支えし忠臣~

厄祭戦当時に開発されたヴァルキュリア・フレーム3番機。
ナディラ家の下に仕えるジジン家が代々所有しており、ガンダム・グレモリーと共に戦闘に参加していた記録が残っている。

純白の衣を纏った吟遊詩人のような外見をしており、羽飾りのような頭部のブレードアンテナを持つ。
細身の躯体と2対のブレードから機動力を活かした近接戦闘を行う事を得意とする機体に見えるが、
厄祭戦当時はダインスレイヴ射出機構を備えた機体として開発されていた。
射出機構の完成が厄祭戦に間に合わなかった上、戦後のダインスレイヴ禁止化も合わさり、
ダインスレイヴ射出機構は格闘武器へと転用されている。

機体名の「オルトリンデ」はグリムゲルデと同じく『ニーベルングの指輪』に登場する戦乙女からとられている。
名の意味は「刃の切っ先」あるいは「菩提樹の梢」。

武装

●ヴァルキュリアダブルブレード
柄を連結する事が可能な2対の専用ブレード。
ダインスレイヴ射出機構から転用されているため、戦後に完成した模様。

●バインダー
左肩にある装備。防御のシールドと武装のマウントラッチを兼ねる。



V07-0126 ジークルーネ



型式番号:V07-0126
全高:18.4m
本体重量:29.5t
動力源:エイハブ・リアクター×1
パイロット:

機体デザイナー:海老川兼武

機体概要~勝利を象徴する戦乙女~

鉄血のオルフェンズGで登場予定の新たなヴァルキュリアフレーム。
他のヴァルキュリアフレーム同様実戦記録は殆どなく謎も多いがその外観は中世の騎士を思わせ、厄祭戦の勝利を願う象徴として完成した。
主武装が貫通力に特化した装備もあってか腰部には他機には見られない小型・高出力のスラスターユニットを装備し機動力に特化した機体となっている。
武装も主武装の近接武装にはシールド以外に存在しないことから鉄血世界のギャンともいえる。
機体色がキマリスに近い淡い紫色・機動力重視・武装もレイピアと貫通武器・キマリスが戦後は象徴として度々式典に参加した過去からボードウィン家との関係も示唆されている。

機体名の「オルトリンデ」はジークルーネと同じく『ニーベルングの指輪』に登場する戦乙女からとられている。
意味もSieg(勝利)+Rune(ルーン文字)で勝利のルーンを意味しまさに勝利を象徴している。

武装

●ヴァルキュリアレイピア
ジークルーネ専用に開発された近接装備、他の機同様希少金属でできていることでナノラミネートアーマーの貫通も可能。
対MA用で質量重視な傾向が強かった当時としてはヴァルキュリアフレーム機らしく貫通力を重視している。

●ヴァルキュリアシールド
主武装を扱ううえで最適として採用された防御装備、シールドには4基のワイヤーアンカーが仕込まれておりこれで標的を捕縛しレイピアで一撃を加える。

…と実質武装はレイピア1つのみのギャンどころか勝利してはいけない機体もびっくりの装備数である


V04-0630 ヴァルトラウテ



型式番号:V04-0630
全高:18.5m
本体重量:31.9t
動力源:エイハブ・リアクター×1
パイロット:

機体デザイナー:海老川兼武



プラモデル

●HG IBO
基本的な部分はグリムゲルデと共通だが、フレーム以外で余るパーツがほとんどない。
可動域は広いが腰のスラスターが干渉するため若干注意が必要。
レイピアに若干の隙間ができるが仕様なので気にする必要はない、またレイピア用に斜めに構えた右手パーツ、左手も掌を広げたものが付属。
センサー部分はグリムゲルデよりも幅が狭いためシールで再現可能。
ワイヤーアンカーは長めのリード線が2本付属、長さを好みで選べるようになっている。




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最終更新:2023年12月27日 11:39