木野薫/仮面ライダーアナザーアギト

登録日:2010/08/06(金) 22:20:39
更新日:2023/02/19 Sun 12:59:00
所要時間:約 7 分で読めます




アギトは俺一人でいい。

俺は俺の手で人間を護る…!

俺の…この手で…!



演:菊池隆則(現:樋口隆則)

年齢:32歳

仮面ライダーであろうとする者




【概要】


特撮番組『仮面ライダーアギト』に登場する仮面ライダーの1人で、劇中では3番目に登場した『アギト』である。
整然としたデザインの他ライダーに比べ、『仮面ライダー』の原点ともいえる生物的で生々しいデザインを施されている。
武器を使わず肉弾戦のみで戦うこと等も含めて仮面ライダー1号へのオマージュ感が強く、多くのファンの注目を集めた。

変身者は木野 薫(きの かおる)。
いわゆるアラフォー近くの仮面ライダーである「おっさんライダー」の元祖であり、2017年末現在も歴代レギュラーとしては最年長キャストが変身する仮面ライダーとなっている。*1
ちなみにTVシリーズの変身者キャスト最年長はゲストライダーだと『仮面ライダードライブ』の仮面ライダー純(当時60歳)と『仮面ライダーゴースト』の仮面ライダーダークゴースト(仙人(イーディス)、当時60歳)、
既存ライダーも含めると『仮面ライダーW』第43-44話のW(老化翔太郎、当時68歳)となる。
劇場版も含めると『劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land』の仮面ライダーソーサラー(当時54歳)と仮面ライダーメイジ(輪島のおっちゃん、当時58歳)、『仮面ライダー1号』のネオ1号(当時70歳)がいる。上には上がいた。

劇中では『もう1人のアギト』として登場し、確固たる名称は持たず、『アナザーアギト』と呼称される事はなかった。
番組製作現場においては当初定まった名前がなく、変身者である『木野薫』の名前を取って『木野アギト』と言うネーミングで呼ばれていたこともあった。
またその異質な特徴や登場時期等から一般的な認知度はあまり高くなく、「アギトに登場した仮面ライダーが誰か」という問いの答えに名が挙げられない事も少なくない。



【アナザーアギト/仮面ライダーアナザーアギト】


木野が変身ベルト『アンクポイント』で変身するライダー。
両腕を下側に交差させるポーズと共にベルトが出現し、身体がアナザーアギトの姿に変化する。
主人公の翔一が変身するアギトに比べると、一挙一動に腰の入った重いアクションと「スゥーッ…!」と言う独特な呼吸が特徴的。
また、指先や掌を敵に向けるファイティングポーズを取る翔一に対して、拳を握り締め突き出すポーズを取るなど、対照的な部分も多い。

翔一と同じ『アギト』であるが、仮面ライダーリュウガ、仮面ライダーダークカブトと言った主人公の色替えと違い、設定上は似た存在でもデザインはかなり違う。
実際、劇中では氷川誠がアナザーアギトを翔一アギトと見間違え、翔一ではなく木野に対して今まで助けてくれたお礼まで言ってしまったり、
翔一がアナザーアギトと対面した際に葦原が「戦え!ヤツの姿に惑わされるな!」とあたかも同じ姿であるかのような発破をかけていたりする。
これらの描写から「視聴者の視点で見ると翔一アギトと木野アギトの姿が異なるように見えるが、劇中の人物からは同じ姿に見えているのでは?」という考察がファンの間でされるようになった。

それから18年後の『仮面ライダージオウ』の公式サイトにて「アギトは見る人の心によってその姿を変える」と説明がされた。
つまり、アギトを純真な心でヒーローだと思っている氷川には木野アギトも翔一アギトと同じ姿に見えていた……という事になる*2
なお、『ジオウ』に登場したアナザーアギトは『アギト』本編の登場人物からしてもアギトとは明確に異なる容姿をしているようで、風谷真魚「アンノウンのような怪人」と評していた。

なお、『仮面ライダーアギト 超全集』の上巻・下巻でアギト グランドフォームとアナザーアギトを比較してみると、後述するスペックの数値に加え各部名称およびその機能には相違点が多い。
両者がボディを駆使して戦った場合は明らかに異なる動きをしていると気付くはず*3であるが、同じ姿に見えるという前提では実際はどのように見えているのかは不明。
メタな理由を言うと元々アギトとは無関係の全く別のライダーとして設定、デザインされていたのを姿は違うように見えるが同じアギトという設定に変更されたためなのだが。



【外見】


基本カラーは深緑
デザインのモチーフについては翔一のアギトと同じ「龍」という説と、バッタ又はイナゴという説がある。
どちらの特徴も備えたデザイン(龍の牙、昆虫の羽根)をしている為、劇中や公式でもモチーフは明言されていない。
なお、歯牙や羽根と言った生物的な特徴はアンノウンと共通した意匠だが、これは元々アナザーアギトが「アンノウン側のライダー」として想定されていた為。

しかし、キャラクターデザインの出渕裕氏のデザイン稿によれば、もっと直接的に『スカルマン』の要素が強く出ていたらしい。
また、こちらでは「ルデス」という名前が付けられていた為、人によっては「仮面ライダールデス」とも呼ばれている。

平成ライダーでは珍しくマフラーを常備しており、これは昭和ライダーの仮面ライダーV3へのオマージュとされている(劇中に現れたアギトの順番では3人目に変身した為)。
首に付いておらず羽のように出ているのも独特で非常にカッコイイ。
後述の飛行設定もスカイライダーを意識したものかもしれない。
マフラー装備のライダーとしては仮面ライダーZX以来となり、このアナザーアギトの後は仮面ライダーWまで待つ必要があった



【身体スペック】


身長:200cm
体重:97kg

最高視力:約25km先
最高聴力:約30km四方

走力:100mを5秒
ジャンプ力:ひと跳び70m

パンチ力:約15t
キック力:約30t

硬度・防御力:7

必殺技:アサルトキック
破壊力:約40t

専用マシン:ダークホッパー
最高時速:390km/h*4


変身ベルトの「アンクポイント」には、アギトのオルタリングとギルスのメタファクター同様、中央部に「賢者の石」が埋め込まれており、エネルギーの源となる。
アギトと異なりベルト左右にはドラゴンズアイ(2色の秘石)が存在しないため、フォームチェンジ能力は有していない(ギルスも同様)。

両肩の肩甲骨部分から伸びるマフラー「ライヴウィング」は身体のバランスを司り、設定上は翼に変形して飛行することも可能。

翔一のアギトにおいてフォームチェンジや必殺技の発動時のみ展開するクロスホーン(アギトのパワー制御機構に当たる角)と同様に、
アナザーアギトは感覚器官「アギトホーン」が常に展開している状態の為、数値上のスペックはアギトの最強形態であるシャイニングフォームやエクシードギルスに匹敵する。
胸部中央にはアギトとエクシードギルスのようにプレート「ワイズマンモノリス」が存在し、アンクポイントの賢者の石から発生するオルタフォースを全身に供給・循環させコントロールしている。
ギルスと同様に装甲や皮膚は独立した生命体だが、モノリスが存在せず身体が蝕まれるギルスと違い機能が完成されている。
必殺技発動時など、更にパワーを引き出す場合は口元に有るクラッシャーが開き、歯牙状の器官が露出する。

アギトの剣や薙刀ような装備武器は無いが、唯一の武装と呼べるものとして腕と足に爪状の感覚器官である「バイオクロウ」が備わる。
ギルスクロウのような攻撃時の補助武器になるが、劇中未使用。ただし、『超全集』によるとオウルロードに肘打ちするシーン等ではバイオクロウが更にダメージを与えている。
他にもギルスのデモンズファングクラッシャーのような噛みつき攻撃も可能とされるが、木野の戦闘スタイルと合わないためか行うことはなかった。
劇中では工場の廃材を武器にしたり、G3-Xの武器を奪って使用したり*5するなど、1号を彷彿とさせる戦闘も行った。
近年、風の力を使って飛び道具を放つ事も可能であることが判明した。

必殺技はクラッシャーを展開して足元に出現した紋章のエネルギーを吸収し、片足で飛び蹴りを放つ『アサルトキック』
同じく紋章の力を拳に集めて敵に叩き込む約16年かけて習得した『アサルトパンチ(仮)』も存在する。



【ダークホッパー】


アナザーアギトの専用マシン。カウル部分のマークが特徴。
変身時に通常のオフロードバイクから変化する。ギルスレイダーと同様に半機械半生物のバイオマシンで、自ら走行するなど意思を持つ。

左右の赤いヘッドライト「ダークアイ」は名前の通り眼の役割をしており、対象物をロックオンして追尾する機能がある。
カウル部分の左右に存在する4枚の安定翼「ホッパーウィング」は姿勢制御により10mのジャンプが可能で、滞空時はグライダーのような翼になる。
バイオクロウのように左右から後ろに伸びる「ホッパーテール」は最高時速で走るためのバランサーの役割を持ち、レーダー機能や煙幕発生機能も装備している。

他にもアギトのマシントルネイダーのオルタフォース管理装置、ギルスレイダーの自身の細胞を取り込んだ車輪など、それぞれの各部の機能を複数合わせ持つ。



【劇中での活躍】


初登場は第35話。
アンノウンに追い込まれ危機に陥った真島と葦原の前に現れ、彼らの眼前で変身を披露。

元々は医者であり、非情に温厚な性格で、基本的に困っている人は放っておけない好人物だった。
あかつき号にも乗り合わせており、当時荒んでいた真島浩二に対して医者としての観点から命の尊さや人生の在り方を説いたり、冷静で達観した雰囲気を持ちメンバー達の中心的人物になっていた事からも、彼本来の性格が垣間見える。

しかし、かつて雪山で遭難し、その時に助けを求めてきた弟・雅人(当時26歳)を救う事が出来なかった後悔から、自身の無力感と自責の念に苛まれるようになり、この雪山の光景は悪夢として長年彼を苦しめ続けた。
その中で彼はいつしか『救いを求める人間は、全て自分の手で救わねばならない』『自分以外の他の人間が誰かを救えるはずがない』と言う歪んだ思想を持つに至り、更にアギトの力に覚醒した後はこの思想が暴走…
『この世にアギトは自分だけでいい。自分以外に人間を救うアギトは邪魔だ』と言う狂気に駆られ、翔一や葦原など、アギトの力に覚醒した者(真島などの覚醒しかけている者も含め)に襲い掛かった。

なお、雪山で遭難した際に凍傷によって自分の右腕も失っており、欠損した右腕は雅人の物が移植された。
それにより、「最早手術は不可能」と判断した医学会によって医師免許を剥奪されている。*6


葦原の変身したギルスにアサルトキックをかまして殺しかけたり、同じく葦原を治療するフリをしながら殺そうとしたり、更に葦原を人質に翔一の変身したアギトを一方的に痛め付けたり……
人間に対する庇護欲はかつてと変わりないが、自分以外のアギトの力を持つ者達に対する行動はもはや完全に悪役である。
……が、彼らを殺そうとする度、何故か死んだ雅人の腕が移植された右腕に激痛が走り、結果的に誰1人殺すには至らなかった。

最終的には翔一にトドメを刺そうとした瞬間、芦原がエクシードギルスに覚醒。
今までの鬱憤晴らしあと新フォームの宣伝とばかりにボコボコにされ殺されかけるが、真島の必死の嘆願と木野に対して思う所があった葦原によって生かされ、それを皮切りに自らの過ちに気付き、翔一らに協力するようになる。
彼の戦いぶりや生き様は、翔一や葦原などアギトの力を持つ者達に大きな影響を与えた。
特に同じあかつき号の生き残りである真島からは慕われており、木野の命懸けのオペを見て、嫌っていたはずの医者の道を自ら歩み始めた。

ちなみに前述の通り医師免許を剥奪されている闇医者ではあるが、医師としての腕は本来3時間近くかかるオペを40分足らずで終えたり、同時オペをこなしたりするなど超一流であり、
闇医者と言うネガな肩書きや法外な手術費ながら手術の依頼が絶えず闇の天才医と称されていた。



【その最期】


翔一らと協力してアンノウンを倒していた木野だが、突如現れた謎の青年…オーヴァーロードにアギトの力を奪われる。
時を同じくして葦原までもがその魔の手にかかり、唯一残った翔一も自分の姉・雪菜がアギトの力を使って真魚の父親を殺してしまったかもしれないと言う疑念と、
当の真魚に拒絶されてしまった事から自信を喪失し、自らアギトの力をオーヴァーロードに明け渡してしまう。
「俺達はアギトじゃなくなったんです。ただの人間として…みんな勝手に生きればいいんです。もう関係ないんですよ俺達は!」と自暴自棄になり去っていく翔一を、木野はただ見つめる事しかできなかった。

翔一が変身できなくなったことで、アギトになれる者はいなくなった。
絶望的な状況の中、「誰がアンノウンと戦うの!? 今のままじゃどうしようもないじゃない!」と嘆く真島の言葉にも木野は「今の我々はただの人間だ。どうすることも出来ない。津上が言うように、それぞれ自由に生きていけばいい。我々を繋ぐものは…もう何もない」と力なく答えるだけ。
しかし、居合わせた葦原は違った。
「出来ないな俺には。ようやく見つけた絆だ。津上を放っておく事は、俺には出来ない」
そう力強く宣言すると颯爽と出て行く葦原。
この言葉が、木野の胸を強く打った。


そして紆余曲折あってファルコンロードヘッジホッグロードに襲われていた葦原と真魚に合流するが、変身できない身体ではどうしようもなく、ファルコンロードから真魚を庇い致命的なダメージを受けてしまう。
そこへ何とか奮起した翔一が駆けつけるものの、彼もヘッジホッグロードの針を受け倒れてしまった。

ヘッジホッグロードの針には、人間を水に変えてしまう力があるため、急いで摘出しなければならない。
苦しむ翔一を前に携帯していた手術器具を取り出し、麻酔なしの緊急手術を行う木野。
ファルコンロードから受けた傷で意識が朦朧とする中でも確かな動きでメスを執る木野は、自らの本心を打ち明け、「アギトの力は人を不幸にする」と悩んでいた翔一へ諭す。

津上…俺は…アギトであることに飲み込まれてしまった人間だ
だがそれはアギトのせいではない! 俺と言う人間が弱かったからだ…!
俺は…自分の弱さと戦う! お前も負けるなっ!!

…かつて歪んだ正義を掲げた「もう1人のアギト」は、もういなかった。
そこにいたのは、目の前の命を救わんとする、ただ1人の医者だった。
かくして手術は成功。一命を取り留めた翔一と共に、廃工場で奮戦するG3-Xの元へ駆けつける。

真魚の言葉で完全に再起した翔一によってアギトの力はそれぞれの身体へ戻り、3人のアギトによる連続キックでヘッジホッグロードは爆散。
オーヴァーロードも姿を消し、ひとまずの戦いは終わりを告げた。

わだかまりが解け、以前のように笑い合う翔一と真魚。
一方その頃、真島は今日のオペを見て医者になる決意をした事を、葦原と木野に告げていた。
「お前なら出来る」と満足そうな笑みを浮かべながら、木野は短いが最大の激励を送り、真島もそれに答える。
そして戦いの疲れからか弱々しくコーヒーを頼むと、眠るかのように深く椅子に腰掛けた。


「……どうした? ……木野?」

「………………」

「……おいっ!? 木野ォォッ!!」


力なく木野の顔から落ちるサングラス。
……その奥にある閉じた瞳が、開かれることはなかった。

薄れ行く意識の中、木野はある光景を目にする。
それは、あの時救う事が出来なかった弟の雅人と一緒に、生きて雪山を下山する光景だった。


浩二……コーヒーを頼む……




【主なセリフ】


涼「あんた、人間を守るために戦うんじゃなかったのか!?」
「その通り。だが、アギトは俺ひとりでいい…俺は俺の手で人間を守る…俺の、この手で…っ!」

「この世に神の意志という物があるのなら…私はそれによってアギトになった」

「そして神の意志があるならば、邪悪なる者の意志も存在する」

「人の命を脅かすのはアンノウンだけではありませんよ。病気や事故と闘うのも、私の使命なんです」

「動くな。少しでも抵抗すれば、あの男の命はない」

「見付けたぞ。…今度こそ逃がさん。お前も、葦原涼もな…」

「お前なのか……何故、邪魔をする………マサトォォォォッ!」

「津上、俺はアギトであることに飲み込まれてしまった人間だ!だがそれはアギトの所為ではない…俺という人間が弱かったからだ!俺は、自分の『弱さ』と闘う!!お前も負けるなっ!!」

「今度は船酔いじゃなさそうだな。…死体を見たショックか?」

「私は仕事柄、人の死に立ち会うことが多い。でも殆どの人が…後悔しながら死んでいくんです」

「人は、後悔しないように生きるべきだ。自分の思い通りに」

「自分の人生を狭くするのは他人じゃない。本当は、自分自身なんだよ」

「そうか……お前ならできる」(木野のオペを見て医者を志すと決めた真島に向けて)

「浩二……コーヒーを頼む……」



【その後の展開】


映像作品、ゲーム、グッズなど。


番組終了から既に20年近く経つが、アギトらしい非常に深い魅力を持つ中の人や、その平成ライダー随一の原点回帰のデザインから、未だに根強い人気を誇るライダーの1人。

その人気故に『仮面ライダーディケイド』での復活を心待ちにするファンも多くいたが、ギルスと同じくスーツの破損や腐食が激しかったらしく、現在ではスーツが残されていない事が、同番組のインタビューで明かされた。
その為ディケイド本編には出演せずに終わり、他の作品への客演もない状態が続いていたが……(後述)


しかし、ディケイドでのアギトの変身者である芦河ショウイチの特徴として

  • 変身者は渋みのあるおっさん
  • 登場時は何らかの強迫観念や思想に取り付かれ暴走気味
  • 過去に大切な人を傷付け、心に傷を負っている

など、細かい部分で共通点があり、スーツが存在しないなりに補足した模様。



PSのゲームで制作時期の関係から未登場、その後のゲームでも未だに登場していない。


映像作品で駄目ならせめてゲーム媒体でその勇姿を再び見たいと望む声も多い。


『ガンバライド』では初のSRのSPカードとして登場。
相手のミガワリボウギョとオイウチコウゲキを封じる、という非常に強力な効果を持っている。

『レンジャーズストライク』では「マスクドライダーEXP vol.1」にてSRで収録された。
デメリットこそあるものの優秀な基礎スペックに加え、除去とダメージを同時に行う強力な能力を持つ。

アギト放送中に展開していたTCG『ライダーズレジェンド』のアナザーアギトは、場に出す条件が「木野薫が場に出ている(木野薫が変身する)」というものだが、
特殊能力によって満32歳以上のプレイヤーならこの条件を無視して直接場に出すことができる(あなたが変身する!)。
……バランスブレイカーと化したのは言うまでもないが、彼という中年ライダーの存在が当時いかに衝撃的であったか窺い知れる。



S.I.C.』では2003年にアギト シャイニング/バーニングフォームとセットという形で立体化され、腕が非対称になっている。
しかし製造上の都合で素体が通常のアギトと同じであるため、非常にマッシブなアレンジがされたバーニングと比べ貧弱で、原型師のこだわりであった右腕の傷跡も再現されず。

2012年、ギルスのS.I.C.化に合わせて完全新規で造形された。
ダークホッパーもギルスレイダーと共にプレバン限定で販売。

S.H.Figuartsは2009年にアギト グランドフォームと同時発売されている。

放送当時は数少ないグッズとしてソフビが発売されており、細かい造形が格好いい。



【HERO SAGA】


『S.I.C. HERO SAGA』では2作品に登場。


2003年から連載の「MASKED RIDER AGITΩ EDITION -HEAVEN'S DOOR-」(全6回)では第3話から登場。
氷川たちが不可能犯罪の被害女性と不倫関係にあった男の自宅で妻に聞き取りをしていた際に突然現れた。
夫の不倫に悩み情緒不安定な妻の主治医をしているらしいが、氷川からは「あなたは外科医でしょう!?」と突っ込まれている。
それに対して金がもらえれば何でもやるとした上で、そこらの精神科医より優秀という彼の発言には氷川も思わず納得しかけていた。

直後アンノウン出現の一報を聞いて現場に向かい、ドッグロードの素早さに対応するためにダークホッパーに乗った状態で交戦。
G3のGA-04 アンタレスのワイヤーが動きを封じたため止めを刺そうとしたが、その瞬間に右腕に激痛が走ってしまい雅人の名を叫んだ。
そのまま間口正一のアギト(変貌前)に倒されてしまうが、事件後に葦原に助けられたことが語られている。

ちなみに彼と葦原は変身前のフィギュアも使用されている。



2012年連載の「MASKED RIDER GILLS EDITION -仮面ライダーになってしまった男-」(全4回)では、本編から10年が経過し、オートバイ専門の会社で働く葦原の前に正体不明のアナザーアギトが出現。
ギルスレイダーとダークホッパーによるチェイス、辿り着いたとある河原での激闘を繰り広げる。

その正体は、アギトの力に覚醒した真島浩二であり、夢を叶え医者になっていた(葦原は「病院関係者」が自分を訪ねて来ると伝えられており、それも混乱の一因となった)。
しかし人間ではなくなることに耐えられず、自殺する勇気も無かったという。
葦原に葬られようとして戦っていたが、能力を制御できずに理性を失い、『アナザーアギト バーニングフォーム』に変貌。
暴走してギルスを追い詰めるも、葦原の同僚の大門真由美が散歩に連れていた愛犬のゴンの助けもあり形勢逆転。
一か八かの賭けに出たギルスは、胸に出現したワイズマンモノリスにより力を吸収、真島の能力が失われると同時に、ギルスの姿はエクシードギルスへと変わっていた。

「アギトの力に翻弄されるのは俺だけでいい…」

アナザーアギトとしての力を吸収したことで、今まで以上にギルスの力が高まると同時に、葦原の身体は更に苦しめられる可能性がある。
真島は葦原を犠牲にするという望まない結果になってしまったことに罪の意識を抱いていた。
そんな彼を葦原は気遣い、何も心配する事はない、今は仲間がいて支えてくれる友人もいる、友人に医者がいると思えばこんなに心強いことはない、と言葉をかけるのだった。


アナザーアギト(真島浩二Ver.)は木野アギトに酷似しているが、装甲やアンクポイント、ライヴウィングなどの形状やカラーリングが異なり、アギト グランドフォームに近くなっている。
本作を収録したムック本『S.I.C. HERO SAGA Vol.4』の解説によると、出現した第1話の時点では「アナザーアギト=木野薫」と強く意識した葦原の視点を反映したことで木野アギトの姿に見えており、ジオラマにも木野アギトが使用されている。
掲載されたスペックは木野アギトと同一だが、これは第2話の真島Ver.ではなく木野アギトに併記したものであるため、真島Ver.の正確な数値は不明。


アナザーアギト バーニングフォームのスペックは

パンチ力:25t
キック力:35t
ジャンプ力:ひと跳び100m
走力:100mを5秒

と、全体的に翔一アギトのバーニングフォームよりも数値が高い。
燃えさかる火炎の力を宿すとされ、全体が赤みを帯びた紫のカラーリングになっている。
また、複眼は赤から黄色に、ワイズマンモノリスは黒から赤に、ライヴウィングは暗い色に変わっている。
6本に増えたアギトホーンの形状は、翔一アギトとは反対に前の2本が短く左右の4本が長い。
胸部装甲の形状などシャイニングフォームの要素も含まれている。
葦原もその変貌した姿を見て翔一のバーニングフォームを想起している。


原型師インタビューによると、真島Ver.はアギト グランドフォームとアナザーアギトの中間値を取ったものに変えている。
真島Ver.は木野アギトとは違う存在という考えの元、木野アギトはシャイニングフォームに匹敵するので更なるパワーアップは考えにくく、
結果として真島Ver.のパワーアップとして思い切ってバーニングフォームを登場させた。
このことから、真島Ver.そのものは能力的には木野アギトに及ばないが進化の余地を残していた、とも考えられる。


ちなみに真島は、テレビシリーズで自分のアギトの力を葦原に譲ったため、もうアギトにはなれない。
エクシードギルスが登場する以上、この設定は受け継がれているはずである。
葦原が正体に気付く際の台詞として、「アギトの能力に覚醒する可能性の高いのは…『あかつき号』に乗っていた人物」という説明はされている。
単純に設定を忘れられていた、10年の間に再び真島の中にアギトの力が芽生えた、最期の瞬間に互いに自覚のないまま木野から力を受け継いでいた、等の理由が考えられるが真相は不明。

また、ダークホッパーの外見は同一で、葦原もエンジン音に聞き覚えがありダークホッパーと気づいている。
真島Ver.への変身に伴う新たな個体か、木野アギトから受け継がれた同じ個体か、等その関係は不明。



【そして16年後…】


俺を知っているのか…?


…分かりません…。何となく、そんな気がしただけなんですけど…


で、あれば…この姿見れば、思い出すか…?


変 身 … !

auビデオパス限定配信の『仮面戦隊ゴライダー』にて、実に16年ぶりの再登場を果たす。
「医師ライダー1号」にして初の「戦死した(復活しなかった)味方ライダー」であることを踏まえれば納得の人選である。
演じるのは勿論、樋口隆則氏。
16年の歳月によって、より深みと渋みを増した樋口氏の名演が光る。

怪しげな遊園地に呼び寄せられた宝生永夢の前に最初に現れる仮面ライダーとして登場。
初対面のはずの自身の事を知っているような素振りを見せた永夢の眼前で、上記のセリフと共に変身を披露。
劣勢になることもなくエグゼイドを追い詰め、先達の貫禄をまざまざと見せ付けてくれた。
また、新技としてアサルトパンチ(仮)も披露し、ファン感涙のいぶし銀の活躍を見せた。
本作では「アナザーアギト」と名乗っている。

スーツは何とこの為に新調した物。
16年ぶりの復活に同作品内だけでなく、今後の活躍にも期待が高まる所である。
この調子でギルスの復活も…!!



さらにそれから2年後…
なお、これにより公式では「仮面ライダーアナザーアギト」と表記が改められ、木野のアナザーアギトが18年の時を経て正式に「仮面ライダー」の名を持つ事となった。

さらに時は流れて令和時代、遂にバインダー封入カードとしてガンバライジングへのプレイヤーカード化が決まった!当然樋口氏の新規ボイスである。なぜ「プレイヤーカード化」と書いたのかというと、ガンバライドではサポートカードでありプレイヤーとしては使えなかった。なおそのバインダー封入カードの中では1番最後に発表されたためサプライズも同然であり、歓喜した人も多いのではないだろうか…

【余談】

  • 演者の樋口氏は、葦原涼役の友井雄亮氏が上京した時の演技のレッスンの先生だった(『超全集』下巻「メモリアル座談会」より)。

  • 上記の通り仮面ライダー、スカルマン、V3をモチーフにしていることは明言されているが、片腕を失っていることや一旦は心得違いをすること、マフラーの色などから結城丈二/ライダーマン要素もあるのではないかという考察もある。

  • 『アギト』プロデューサーの白倉伸一郎氏曰く、木野が命を落とした第46話が「『アギト』の実質的な最終回であり、」としており、メインライターの井上敏樹氏も「(同エピソードが)最終回のつもりで執筆した」と語っている(こちらについては『アギト』本編そのものの項目も参照)。


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最終更新:2023年02月19日 12:59

*1 演じた菊池隆則氏は当時42歳。

*2 逆に言うと劇中でアギトを敵視していた人物には翔一アギトが木野アギトのように見えていた……とも考えられる。

*3 実際、氷川は彼の戦いを見て「少なくとも僕の知っているアギトの戦い方ではない」と評している。まぁこれは戦いに対する姿勢が違うという意味合いの発言だと思われるが。

*4 劇中の専用ビークルの中では2番目の速さ。

*5 この際、超能力で武器の制御を奪って使用したような描写が存在する。

*6 現実では、こうした四肢の欠損や障害などによって手術ができなくなっても医師免許が剥奪されることはない。