チャイルドマン教室(魔術士オーフェン)

登録日:2016/03/18 (金) 19:36:52
更新日:2024/03/13 Wed 14:31:42
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チャイルドマン教室は、魔術士オーフェンに登場する専門クラスである。
教師はチャイルドマン・パウダーフィールド。生徒数は7名。


【概要】
キエサルヒマ大陸における黒魔術の最高峰と知られていた「牙の塔」だったが、王都の宮廷魔術士「十三使徒」による、
優秀な魔術士のスカウトという名の人材の流出に頭を悩ませていた。

更に塔の執行部は、王都にある魔術士養成学校、通称「スクール」で独自にプルートーという大陸魔術士史上に残る稀代の傑物が生み出されたことにより、
黒魔術の最高峰としての意義が薄まることを危惧した。

そこで突如現れた当時20代の若きチャイルドマンを、塔の執行部はその実力から即座にスカウトし、教師に任命する。
そして執行部は塔の中から特に卓抜した才能を持っている生徒を集め、特別教室たるチャイルドマン教室が発足することになったのである。

チャイルドマン教室の生徒達は、師であるチャイルドマンの技術や知識を切り分けるように受け継いでいる。
一説によるとチャイルドマンの持つそれがあまりに強大かつ広範で、1人の生徒に全てを受け継がせるのは不可能だと判断したためとされる。

実際はチャイルドマンにそんな意図はなく、単純に各々の長所を伸ばす教育を施しただけ。
これは暗殺者時代に「ブラディ・バース」ことマジクの母、アイリス・リンに人間の枠を超えた力で圧倒された際に、
1人の超人を後継者とするのでなく、各々がキチンと役割を果たす人間の組織の力を以って事態に当たらせようと考え至ったため。

結果この目論見は功を奏し、聖域での決戦では各々がそれぞれの役割を果たし、大陸滅亡の危機を回避することが出来た。
(但しフォルテはダミアンの手によって意識不明の状態にされてしまい主に決戦後の人同士の戦乱期に活躍することになり、コミクロンに至っては既に死亡していたが)。

【教師&生徒一覧】

  • チャイルドマン・パウダーフィールド
チャイルドマン教室の教師。長い髪を後ろで束ねた鉄面皮な長身の男。
10年ほど前に突如現れた人物だが、その卓越した戦闘技術から大陸最強の黒魔術士にして最強の暗殺者と言われるようになる。

およそ人間種族がたどり着くことが出来る最大の力を有していると言える人物。魔術・戦闘技術・知識全てにおいて死角はなく、
問題児揃いの生徒たちを育成していたことからも指導者としても優秀。
彼が独自に編み出した黒魔術は半ば白魔術の域に達しているとも言われ、
擬似空間転移・意味消滅・物質崩壊などの魔術はチャイルドマン教室の最秘奥魔術として言われている。

また「チャイルドマン・ネットワーク」という高々度の白魔術によって形成された記録の集合体の管理者でもあり、情報源の一つとして利用している。


その正体は初代最接近領の領主にしてドッペル・イクス。《牙の塔》の前身である戦術技巧所を立ち上げた人物。本名はアルフレド・マインス。
200年前のキエサルヒマ大陸から天人種族の後継者を探すため、天人司祭イスターシバとの盟約で現代に時間転移してきた。
滅亡をただ待つのみとなったドラゴン種族に代わり、
それに抗う力を持った人間種族を見出すのが彼の使命であり、教室を受け持ったのも自分の使命と塔の思惑が一致したため。

アザリーが「月の紋章の剣」の実験に失敗して異形の怪物となり塔から失踪した後は、彼女を執拗に追跡する。
しかし不意をつかれてアザリーの白魔術により精神を入れ替えられ、元の体に戻るため「月の紋章の剣」を求めてエバーラスティン家を襲来するが、
討伐隊を率いたチャイルドマンになり変わったアザリーに止めを刺され、死亡する。

ただアザリーはチャイルドマンが自分を殺すために追跡していたと思っていたが、本当は塔の命令に背いてまで彼女を救おうとしていたのだった。

  • フォルテ・パッキンガム
長い髪を後ろで縛った長身で鉄面皮というチャイルドマンのような容貌の男。
チャイルドマンからは、「ネットワーク」の操作技術を学ぶ。
アザリー・レティシャと並ぶチャイルドマン教室の最年長組で、教室長を務めている。
野心家で、塔の実権を掌握しようと暗躍している。

基本的に鉄面皮で感情を表に出すことはなく、冷静沈着な人物だと思われている。
しかし彼をよく知る人物からは実際は感情を表情に出さないように隠すのが上手なだけと見透かされており、自制心にやや欠ける性格である。

チャイルドマン以外では唯一アザリーとレティシャの暴走を止めることが出来る人物だが、
下手に手を出して事態が悪化したり、後腐れになるのを嫌い基本的に静観する。
ただその後の後始末やフォローは欠かさずしているので、教室内では面倒見が良い長兄のような存在である。

戦闘面では「ザ・ベスト」と推されるほどハイレベルなオールラウンダーだが、本編中で彼が戦闘する場面は極めて少ない。
アザリーやレティシャと比べると魔術の出力は劣るらしい。

第四部では第二部後の混乱期に活躍した事で、塔で実質的指導者となっている。…後日談短編では第四部で起きた諸々の出来事の責任から自ら辞職したが。
また学生時代から付いたり離れたりの関係だったレティシャとの間に2人の子どもを授かっており、
籍を入れたわけではない(というか2人の住むタフレム市に結婚制度自体が存在しない)が事実婚の形で彼女の夫になっている。
また第四部冒頭では子供達が原大陸へ旅するのを後押ししており、2回目にマヨールが旅立つ前、オーフェンの正体がレティシャの義弟であることを明かしていたという。

  • レティシャ・マクレディ
腰まで届く黒い長髪を持った美女。キリランシェロの義姉でアザリーの従姉。
チャイルドマンからは戦場で生き延びるための戦闘技術を学ぶ。
異名は「死の絶叫(キーニング)」。愛称はティッシ。

教室の最年長組で、普段は品行方正な優等生タイプ。しかしその実はアザリー並みに気性の波が激しく、教室どころか塔全体における問題児の1人。
規律を重んじる彼女と自由過ぎるアザリーは度々姉妹喧嘩という名の惨事を引き起こし、人的・物的ともに甚大な被害をもたらしている。
また感情が高ぶると無意識の内に魔術を暴発させるという悪癖があり、二つ名はここから来ている。

一方で教室内では最も精神的に脆く、アザリーの失踪以降散り散りになっていく教室を見て、強い不安を抱いていた。
弟と妹への愛情も深く、タフレムに必要以上に大きな屋敷を建てたのも、いつか二人が帰ってきて昔のように仲良く暮らすため。
…残念ながら、叶うことはなかったが。

戦闘面は塔でも屈指の使い手であり、特に魔術の出力に関してはアザリーを上回るほど。
しかし悪癖から分かる通り制御の面では劣っていると言わざるを得ない。
また命の危機と恐怖心を他の教室の面々と違い人並み以上に持ち合わせているため元々戦いに向いておらず、
暗殺技能者として完成したオーフェンやコルゴンとは流石に比較にならない。

第四部では自分の元でオーフェンを追うため修業を積んだクリーオウが旅立つ頃子供を身籠り、その子の父親フォルテと事実婚。マヨール・マクレディとベイジット・パッキンガムという2人の子どもを授かっている。
ただ結局オーフェンがクリーオウと共に旅立ってそのまま帰って来なかったため、オーフェン側とは互いに絶縁状態と成っており、マヨールは父から聞かされるまで「オーフェン」と「母の義弟」が同一人物だとは知らなかった。
だが一回(自分の反感を押し切って)子供達がオーフェンのいる原大陸に旅して3年後、娘ベイジットが原大陸へと出奔してしまい、後日談短編では身近な人々が(フォルテと妹を追って何とか決着をつけたマヨール以外)皆戻ってこなかった事への想いを爆発させてしまう…*1

  • アザリー
肩まで伸びた癖っ毛の黒髪を持つ、キリランシェロの義姉でレティシャの従妹。
チャイルドマンからは沈黙魔術およびウイルド・グラフの知識を学び、天人種族の遺産の使い方とその在り処を受け継いだ。
異名は「天魔の魔女(ウィッチ・ケイオス)」。

性格は自由奔放で気まぐれで我儘で負けず嫌いで暴力的。つまり最悪。
何かと面白そうなことを見つけては介入し、時に暴力で邪魔するものを黙らせながらさんざん引っ掻き回し、途端に飽きるといった感じの問題児筆頭。
姉のレティシャを始めとして喧嘩沙汰を幾度も起こしており、塔の最高執行部からは徹底的にマークされている。

大陸最高レベルの魔術の才能を持っており、黒魔術のみならず白魔術すら使える化物。
通常白魔術師は発見され次第「霧の滝」という砦に幽閉されるのだが、彼女は黒魔術士でもあるということが隠れ蓑になり、免れている。

「月の紋章の剣」の実権に失敗し、異形の怪物となり塔を失踪。執拗に追跡を続けるチャイルドマンを見て、彼が自分を殺しに来ていると勘違いし、
白魔術を用いて精神を入れ替え、逆に討伐隊を率いて殺害する。
後にチャイルドマンの真意を知り、彼を殺害したこと(あと間接的に後輩のコミクロンの死の原因にもなったこと)を強く後悔し、
彼の遺志を継ぐことを決意する。

チャイルドマンの足跡を追う内に、キムラックにてオーフェンらと再会。
しかし死の教師クオ・ヴァディス・パテルが女神の侵入を防いでいた始祖魔術士オーリオウルを攻撃し、
オーリオウルの力が弱まったことで女神が結界内に侵入しようとする。
それを食い止めるため完全な精神体となり、女神ともどもキエサルヒマ大陸の外に押し出されることになる。

その後結界の綻びから大陸に帰還。オーリオウルの遺言をオーフェンに伝え、彼をチャイルドマンの後継者と定め、魔王召喚の為に命を落とす。

  • コルゴン
フルネームはユイス・エルス・イト・エグム・エド・コルゴン・サンクタム。
唇に刀傷を持った、黒い服装に黒い長髪の男。キリランシェロの先輩でコミクロンと同期。
チャイルドマンからは戦闘術と暗殺術を受け継いだ。
異名は「迷惑来訪者(ナイトノッカー)」。

放浪癖があり、塔にはあまり居ない。偶に帰ってくると屋根裏部屋に引き篭もり、キリランシェロ達に旅の話をしている。
チャイルドマン教室どころか本編全体を通しても屈指の変人で、常に無表情で何を考えているかわからない。
無駄に自信家だが、それは自分の力量を冷静に見て判断した結果であり、その事を傲慢だとは思っていない。

徹底した合理主義者で、極めてシビアな性格。一方で浮世離れした自分の性格を自覚していない、どことなく天然な部分もある。
人間味がないかと言われればそういうわけでもなく、同期のコミクロンと奇妙な友情を築いていたり、
教室の皆を指して「俺の家族だ」と言う程度には人間味がある。
ロッテーシャとも、目的のために婚約しただけだったが、第四部では彼女を指して「俺が愛した女」と言っている。

実は昔から最接近領の領主に傭兵として協力しており、チャイルドマン教室に来たのも領主の指示があったから。
領主の命でドッペル・イクス達と交戦していたが、不意をつかれジャック・フリズビーに聖域へと拉致されてしまう。

聖域では自力で監禁状態から逃れ、元妻のロッテーシャの正体も知り、
第二世界図塔を用いた魔王スウェーデンボリーの召喚と自身の魔王化を果たすため暗躍を始める。
順調に事は進んだが、最後の最後に今まで無抵抗に従っていたロッテーシャが彼を拒絶し、目論見は失敗。オーフェンに魔王の力は行き渡ることになる。

第四部では戦術騎士団魔術戦士隊の隊長エド・サンクタムとして原大陸最強の魔術戦士の1人として活躍しており、
養子にかつて自分が殲滅した村の生き残りであるマキを迎えている。

戦闘面は疑う余地もなく作中最強候補。5年前の学生時代の時点でその強さは極まっており、
更に最接近領の傭兵として実戦を重ねることで、その強さを洗練していった。
狙撃銃の訓練を受けており、服薬暗殺者としての一面も持っている。

オーフェンと同じくチャイルドマンから暗殺技能と戦闘技術を学んでおり、
アザリー曰くオーフェンがチャイルドマンの「技」を受け継いだことに対し、彼は「強さ」を受け継いだとのこと。

ジャックは2人を指して「同質で正逆の存在」と述べている。

  • コミクロン
ローブの上に常に白衣を纏っており、髪を二本のお下げっぽく結っているが、紛うことなき男。
コルゴンと同期兼親友(本人は助手と呼んでいる)。
チャイルドマンからは医療技術について受け継いでいる。

自称天才科学者で、趣味は機械いじり。よく人造人間(という名のガラクタ)を作成してはキリランシェロにけしかけて、容赦なく粉砕されていた。

キリランシェロとハーティアからしたら先輩なのだがよく彼らとつるんでおり、3馬鹿扱いされることもしばしば。
因みに2人からは全く先輩扱いされていない。

魔術士としてはチャイルドマン教室に在籍していることからも分かる通り極めて優秀。
特に治癒魔術に関しては右に出るものはなく、レティシャの鉄拳制裁によってへし折られた鼻も見事元通りに治癒している。

本編では特にセリフもなく、異形化したアザリー(チャイルドマン)の魔術に吹き飛ばされ死亡する。
オーフェンも彼が死亡した後に、ハーティアからその事実を告げられた。
…流石にあんまりだったのか、後に主役外伝『コミクロンズ・プラン』が発表されている。

  • ハーティア・アーレンフォード
赤毛でそばかすの男。キリランシェロとは同期で、半年だけ年上。
チャイルドマンからは「ネットワーク」の補佐役として、ゴーストの排除技術を受け継ぐ。
異名は「トトカンタの魔王」または「ブラックタイガー」。
外伝『ハーティアズ・チョイス』では主人公となっている。

キリランシェロの親友兼ライバル(自称)で、教室最年少組。
性格はかなり軽く、学生時代はよくアザリーの気紛れやレティシャのヒステリーの被害にあっていた。
女好きで、気に入った女性には片っ端から声をかけており、恋人関係まで行くのも珍しくはない。
しかし彼が致命的にまで女心が分からないため、大体二週間ぐらいで別れることになる。

ただし感情と行動を切り離す精神力に長けるという能力を持っており、
「ネットワーク」の副作用で現れたゴーストが自分と旧知の人間であっても躊躇いなく始末できる、オーフェンにはない強さがある。
アザリー曰く「必要な事を完遂する実行力」ではオーフェンやコルゴンに並ぶ、チャイルドマン教室の3強とされている。

実力も低く見られがちだが、これは本番に弱いという性格的問題からくるもので、
流石にオーフェンやコルゴンと比べると微妙だが、実際はかなり高い。

本来は誰かの補佐役で満足するような人間ではないが、上記の感情と行動を切り離す精神力のせいで、現状を受け入れ割り切っていた。
しかし本編終了後のキエサルヒマ内戦時には遂に野心を表に出し、トトカンタ市にて騎士軍の撃退や市の行政にも顔を出し、
戦争のドサクサに紛れ牙の塔からトトカンタ魔術士支部を独立させ主戦力が奇人変人な「トトカンタ魔術士同盟」を編成し、自分はそのトップとして君臨。
第四部では内戦時の狡猾な立ち回りから「戦争を食い物にした悪魔」と揶揄されており、
「トトカンタ魔術士同盟」の他に政治家としても活動している。なお独身である。

ちなみに学生時代、密かに天人種族のある変身武装一式遺産に持ち主として選ばれており、それゆえか彼がトトカンタにやってきてから大分後、街で暴れるバカもとい同盟の変態魔術士共を退治する謎のヒーロー『夢魔の貴族「ブラックタイガー」』が現れる事になる。


教室内最年少。詳細は個別項目にて。




追記・修正はチャイルドマン教室に編入してからお願いします。



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最終更新:2024年03月13日 14:31

*1 一応ベイジット自身が致命的に取返しのつかない状況になるのは回避されたものの、本人はその後も原大陸に残り向こうで出来た仲間と行動を共にしており、もし万が一戻ってきても塔への反逆罪に問われるため帰還させない方がましな状況になってしまっている。