大教授ビアス

登録日:2016/3/16 (水) 15:06:00
更新日:2019/06/16 Sun 19:08:15
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頑張りたまえ…若き天才達よ!


大教授ビアスは、超獣戦隊ライブマンの敵組織・武装頭脳軍ボルトの首領である。

演・中田譲治


【概要】

見た目は中年の男性だが、左肩には大きな牙を連想させる鎧のような物を身に着けており左手は自ら改造したのか機械の様になっている。
そして指にはヅノーベースを介して直接地上を攻撃する光線を発射できる指輪をつけている。

第一話で月形 剣史仙田ルイ尾村豪をスカウトする以前より、宇宙にある要塞・ヅノーベースにおりそれより以前に何をしていたのかは終盤まで謎のままであった。
ただ、国によってバラバラである「死者の魂が現世に帰るとされる日」において、「お盆」が地球全体におけるそれであると至極自然に断言するかのような発言を残している(詳細は後述)ので、日本人であることだけは確か。
更にスカウトしてきた幹部の他に自らが作成したロボット・ガードノイドガッシュを常に傍においている。


【性格】

地球は一握りの天才の下で支配されるべきと考えており、それを実現する為に幹部をスカウトし地球侵略を行わせていた。
そして中盤からはこの作品最大のキーワードである最優秀の頭脳「千点頭脳」という具体的な目標を設定。
地球侵略と共に千点頭脳へ誰がなるか、と幹部たちを競わせていく。

弟子と定めた部下のプライドを刺激し、部下の反骨心や対抗心、競争意欲を高めさせる教育法を取り入れているのが特徴。
特に真に見込んだ者に対しては部下にも内緒で「当て馬役」を密かに設定。
本命よりも当て馬をそれ以上に優遇することで、本命の危機感と対抗心を煽り競争意欲を増幅させる手法を多く用いる。
その当て馬も、適度に機能するレベルに育つまで年単位の育成をしたり、ほぼ小学生レベルから勉強させるなど気が長い行為を行うなど、
当て馬作成でも手抜きの類を一切しない完璧主義な一面が反映されている。

しかしそんな当て馬を手間暇かけて育てても、より本命への刺激の強くなる当て馬候補が出現するなど状況が変わったり、
本人の自滅などにより最早「当て馬」が本命の刺激にならなくなったと判断すれば何の躊躇いも躊躇も見せずあっさりと切り捨てる。
劇中では最初からケンプかマゼンダのどちらかを千点頭脳候補と考えていたようで、
オブラーもアシュラも彼らの向上心を煽る当て馬でしかなく、ギルドスとブッチーに至っては使い捨てのカンフル剤程度の役割であった。

この洗脳じみた教育法は競わせる過程で状況を見て意図的に突き放したり、または懐柔したりと人心掌握術の一つとしても機能している。
そして終盤は「千点頭脳」の正体や千点頭脳になってしまった者の悲劇が展開される事となる。


そんな彼であるが、過去に倒された頭脳獣が復活しライブマンはおろか幹部達も驚いている中現れ一言。

今日は地球はお盆だ

要はお盆で霊が戻ってきているからそれを利用して…という話なのだが、不意の一言に思わず笑った視聴者も多かったとか。
しかしケンプは心底感心したように「そうか…お盆か…」と呟いていた(付け加えると、彼がお盆発言の後に間髪入れず「死者の魂が蘇える日…!」と補足したからであり、そこまで聞いたからこそケンプは瞬時に納得したのである)。


以下・ネタバレ









千点頭脳は実は既にヅノーベースの中に11個もあり、それは過去に世界中で行方不明となっていた天才達の物だった。
それを12個集め装置からギガブレインウェーブを照射する事で地球全体を洗脳する事が真の目的だったのである。
しかもビアス自身も実は高齢の老人であり、千点頭脳からエネルギーを供給しないと若い姿を維持できない状態であった。
他方、白黒の写真で大学を卒業した写真があった事で、ビアスは正真正銘の人間だった事が判明している。

劇中、ボルトを離脱した尾村豪やハッカーヅノーを介してハッキングしてきたドクター・アシュラなど秘密を知ってしまった者は容赦なく始末、もしくは早急に始末するよう命令を下している。
そして最終盤、遂にマゼンダが千点頭脳に達するも真実を知ったマゼンダは脳を提供する事を拒否、自らの脳まで機械にしてしまったことに激怒。

マゼンダめ…! 脳までメカにしおって!!

即刻指輪からのビームでマゼンダを始末するも、ケンプに千点頭脳の真実を知られるという最悪の事態に陥る。


【少年王ビアス誕生】

案の定、ケンプは恐怖に駆られヅノーベースから逃亡、ライブマンも見捨てておけず助けに向かう。

……が、それはケンプの罠だった。

隙を突いて変身前のライブマンをデーモンテンタクルで捕らえ、電撃を食らわした。
ケンプは最早ビアスの狂信者と成り果てており、

真の弟子ならば心から愛し、尊敬するお方の為には全てを投げ出せる筈!
脳を捧げるという事はな、ビアス様の中に生きるという事なのだ。
この世で最高の天才……世界を支配する最高のお方の中に!

と言い放ち、それを見たビアスは千点を与えた。

そしてガッシュがケンプの脳を回収し、ヅノーベースへと戻っていったがその時僅かな隙を突きレッドファルコン/天宮勇介もガッシュの乗っていた戦闘機に乗り込むことに成功する。


ドクター・ケンプよ、手伝っておくれ……私の世界征服作戦を!

この世を治めるのは、真の天才!大教授ビアス……!

今こそ地球を支配してみせる!ギガブレインウェーブ、スタート!

その後、ビアスは12個の千点頭脳が揃った装置から遂にギガブレインウェーブは照射、遂に地球全土を自らの洗脳下に置く事に成功。
ライブマンも例外ではなく、勇介以外の4人も地に膝を着き天を仰ぎながら「ビアス様…」とビアスを称えていた。
全ては完璧に運んだかと思われたが、勇介がヅノーベースに乗り込んだ事が唯一かつ致命的なミスとなり、部屋を発見され上に装置を破壊されたため地球全体の洗脳が解かれてしまい、そして本当の正体の醜い老人の姿を露呈してしまった。これには思わず勇介も「一体貴様はいくつなんだ?本当は何者だ!?」と戸惑いの声を上げた。

しかしケンプから捧げられた脳から新たなエネルギーが供給され一気に若返って少年王ビアスとして蘇り、デンシヅノーを差し向けて勇介を捕らえる。

ぼくにはたっぷり勉強できる時間ができたというわけさ。
ぼくはもっともっと勉強する。
そして、大きくなったらもう一度、大教授ビアスになるのだ!

その後勇介を捕らえたが、その一方、すぐ隣でガッシュから差し出されたケーキを食べる等、完全に子供と化した様な面も見られた。
後述の会話を見る限り、自分で望んだが故にそうなった節がある。


【大教授ビアスの崩壊!!】

デンシヅノーの操作でヅノーベースが地上を破壊する様に喜ぶ少年王ビアス。姿形こそ子供だが、心はビアスそのものだと勇介は確信する。
それを止めんと地上からスーパーライブロボがヅノーベースに特攻、ヅノーベースは地上に落下してしまう。
そして少年の姿のまま傷ついたビアスは海辺を彷徨い、そこでブルードルフィン/岬恵と遭遇する。

撃てまい!ぼくが子供だから撃てないんだ!
撃てない…お前には撃てないぞ!
お前はぼくに『生まれ変わって欲しい』と思っているんだ。
お前の心ぐらい、手に取るようにわかるのだ。
『ぼくが心を取り戻したら、真人間になれる』と思っている…そうだろ!? だからお前には撃てないんだ。
撃てるものなら撃ってみろ…撃ってみろ!!

と挑発し、恵を攻撃するビアス。
変身を解かれた彼女に「その心の優しさがお前の弱点だ」と追い打ちをかけるが……

いいえ……弱いのは、あなたよ。

何…!?

あなたこそ、子供の心が残っているわ。
『また人生がやり直せるかもしれない』と。
『別の生き方をすれば、別の人生がある』と。
『大教授ビアスになることより、そっちの方が素晴らしいかもしれない』、って……

黙れ、黙れ!

あなたは、そんな心の底がわかりたくなくて、あんなことを言ったの。

違う! ……違う……

たとえ頭脳はビアスでも、若返った体は正直に若さに反応するわ。
『若いって素晴らしい。 生きるって、素晴らしい』

言うな!!

逆に彼女に説得されてしまい、必死に「自分自身もやり直せると思っている」事を否定するビアスはケンプの脳をかざし恵を衝撃波で吹き飛ばそうとする。

しかし……



俺も……、俺も戻りたい……。懐かしい、子供のあの日へ……。

やり直せるなら、もう一度……!


なんと脳だけになったケンプが恵の説得を聞き、ビアスを裏切ったのだった。
そして脳から光が溢れそれはヅノーベース内の他の千点頭脳に広がって行き……

地球だ、地球に帰ってきたぞ!

出してくれ、ここから出してくれ!!

私達の体を返してください!!

全ての千点頭脳が裏切り、とうとうビアスは醜い老人へと戻ってしまった。
その後、唯一の配下とガッシュに支えられ、何とかヅノーベースまで戻ろうとする。


ヅノーベースに戻ったビアスは、ボロボロになりながらもヅノーベースのエンジンを再起動させ再び宇宙に上がろうとする。
しかしヅノーベースは地上に落下した衝撃で大破しておりエンジン再起動の影響で自爆を始めてしまう。
ビアスは既に目も見えないほどまで老化しており状況を理解できていなかったが、共にいたガッシュはビアスに対し優しい嘘をつく。


(爆発音を聞き)何だこれは?

花火です。 ビアス様の地球征服をお祝いする花火です…

(ビアス様…という幻聴を聴き)そうか…素晴らしい…

ガッシュ…おお…聴こえるか? この声が…

はい。 全人類がビアス様を讃えております…ビバ・ビアス!!


こうしてヅノーベースは大爆発し、ビアスはかつて自らが生まれた大地でその命を散らしたのだった。
そしてビアスの最期を見届けた5人の目の前に転がり落ちたガッシュの頭部からボルトの戦いの記録が投影された。


「美しいものは何一つ映っていないのね…」

「彼らはもっと美しいものに気づくべきだったんだ」

「この星の美しさにね…」

「なぜこの星が美しいか…それは多くの命が助け合い、守り合いながら一生懸命生きているからなんだ」

「みんなと一緒に生きる素晴しさがわかってくれたら、決してこの星を支配しようなんて考えは浮かばなかったんだ…」


この様に野望が費えたビアスではあったが、もしケンプの脳を回収する際に勇介が乗り込めていなかったら誰もギガブレインウェーブを止める事が出来ず完全に世界征服を成し遂げていた事はほぼ間違いなく、一時的ではあるものの地球全体を洗脳できていたので印象も強い首領であった。
尚且つ自分が作ったのだから当然かもしれないがガードノイド・ガッシュの忠誠心は本物で、ラストシーンでついた嘘がガッシュの持つ優しさと、それ以上になおさらビアスの哀愁を感じさせる。



【余談】

  • 知的なボスを1年間演じ続けた中田譲治氏だが、演じる事になった時はプレッシャーが非常に大きかった。というのも、2年前に中田氏がサー・カウラー役で出演していた『超新星フラッシュマン』にて大博士リー・ケフレンを演じた清水紘治氏の存在感が物凄く、「清水さんの立ち位置(悪の組織のトップ)に自分が来てしまった」事をかなり意識したそうである。

  • つけていた装飾品の指輪は、原宿にあったローリングストーンズのショップで買ってきた自前との事。

  • スーパー戦隊35作記念作『海賊戦隊ゴーカイジャー』のライブマンレジェンド回でもある第30話「友の魂だけでも」に登場する大科学者ザイエンはビアスをモチーフにした怪人であり、強化改造の部分が先天(千点)頭脳→満天(満or万点)頭脳、氷点(評点)触手、金の義手に対する銀の鉤爪、そして巨大戦時の「私の辞書に敗北の文字はない!」(ビアスの台詞に「私のコンピューターメモリに敗北という文字はインプットされていない」がある)など、ビアスを意識した要素が盛り込まれている。また、捕らえた生物を実験材料としてみなす部分は『フラッシュマン』のサー・カウラーから由来している。いずれも中田氏が演じたキャラの要素であり、ザイエンの声もまた中田氏が演じている。


追記・修正したまえ…若きWiki篭り達よ!!

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