ゲイ・ボルク(Fate)

登録日:2016/03/13 Sun 23:20:00
更新日:2023/08/08 Tue 19:13:06
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呪いの朱槍をご所望かい?



ゲイ・ボルクは『Fate/stay night』及び同シリーズに登場する宝具
主な担い手はランサーことクー・フーリンと、その師であるスカサハ

尚、『Fate』作品内においては元ネタと同じ表記である「ゲイ・ボル」は誤字扱いになるので要注意。





クー・フーリン

○『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)



行くぜ────!

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!!

ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:2~4
最大捕捉:1人

ランサーが編み出したオリジナルの使用法。命中補正+100。
相手の心臓にが命中したという結果を作り上げてから槍を放つという因果の逆転現象を起こす。
つまり、通常相手の心臓に槍を命中させる場合、「相手の心臓目掛けて槍を放つ」という行動によって「槍が心臓に命中した」という結果が起こるが、
この『刺し穿つ死棘の槍』は「槍が心臓に命中した」という結果が確定した後に「相手の心臓目掛けて槍を放つ」という行動を起こす。
通常なら心臓を狙う槍の軌跡から逃れれば心臓に槍が当たることを回避できるが、こちらはランサーが槍を放った時点で「心臓に命中した」という結果が確定しているため、
相手が槍の軌跡から逃れようが何をしようが、槍は相手の心臓に命中する上、その性質からランサーは律儀に相手の心臓目掛けて槍を放つ必要すらない。

心臓に命中するのを避けられるかどうかは『幸運』のランクによるが、例え高ランクでも外れるのは稀という成功率を誇る。
対策として「防ぐには槍の魔力を純粋に上回る防壁を用意する」か「そもそも出させるようなスキを与えない」などが上げられており、
また心臓が存在しない者には不発になるようで、半人半機である呂布のようなタイプには相性が悪いという。

実は、神霊がかつて振るった「権能」の定義が、
「(因果律の操作による)事象の確定や時間流操作による空間変動、または国造りといった、世界創造を可能とする力」
という現世の地上の法を捻じ曲げる力としている故、この技も「権能一歩手前」と作者にコメントされている。

エアと違って因果の逆転を成功させる条件が結構難しく、確定となる訳ではないのであくまで手前。
が、現代の地上では権能を振るえば自己崩壊を招くという致命的デメリットを考えれば、「権能一歩手前」でしかないのはむしろメリット。
権能に近いトンデモ攻撃を特にデメリットなしに行えるこの宝具は驚異的な性能と言える。
伊達に半神をやっている訳ではないのだ。


また体内殲滅の特性を持ち、RPGで言うならば「相手の全快状態のHP」+「槍の攻撃」のダメージを相手に与えるため、
極端な話、『約束された勝利の剣』を受けても死なない敵をも殺せる。
その性質上、死徒二十七祖のような高いタフネスさを誇る相手に絶大な効果を誇るという。

初見で避けることは不可能でありながら、初見で避けれないと心臓を突き殺されて死ぬという相手にとってはかなりシビアな宝具。
まさに「必殺技」として文句なしの性能であり、アイルランド随一の知名度を誇る光の御子の切り札にふさわしい宝具といえよう。

上述したが、これを回避できるのは藤村大河(幸運EX)のような、魔槍の呪いに対抗できるだけのランクの幸運を持っているか、自動蘇生のような回復能力を持っている人物くらいである。
上記の幸運判定に成功しても
  • ランサーの突きは「既に命中している」ため即死を免れただけで槍のダメージを受けること
  • 槍自体に不治の呪いが付与されていること(作中でセイバーはバーサーカーに受けた傷より槍の傷が厄介だと言及している)
  • 対人宝具の上にマナを吸収して放つ為か効果に反して魔力消費が非常に少ない(セイバーの見立てでは『マスターから魔力供給無しで六~七回使える』)こと
から、理論上はこの魔槍とランサー一人で聖杯戦争を終結させることも不可能ではない。

能力的に格上のアルクェイドすらも幸運次第で直撃させる事が出来れば倒せるらしい。

知名度に恥じない、とんでもない宝具である。
その厄介さから、幸運値が低いアーチャーなどは特に、ゲイ・ボルクの構えをとられたら、
必死に距離を取るしかないとされている(因果を逆転させようが「槍が届かない場所には命中しない」ため)。
ちなみに本編初戦のアーチャー対ランサーの闘いで、もしも衛宮士郎が現れなかったら、ランサーからそれはもう必死に下がるアーチャーの姿が見れたとか。
誤解しないでほしいが、あくまでアーチャーは幸運で防げないといわれているのであって、魔力の防壁であるアイアスでは防御できないとは言われていない。
アイアスが「投擲武器に対する強力な防壁」である以上、ゲイ・ボルクを用いた近接戦闘術である『刺し穿つ死棘の槍』にどれほどの防御性能を発揮するかは不明だが、
『Fate/EXTRA』ではランサーの『刺し穿つ死棘の槍』にアーチャーのアイアスを合わせると専用演出で防ぐため、本編でも防げる可能性はある*1


『Fate/hollow ataraxia』では、士郎に依頼されて協力したランサーがバゼット・フラガ・マクレミッツとの戦闘で使用。
それに対し『斬り抉る戦神の剣』を最大威力でバゼットが放ったことでランサーは『刺し穿つ死棘の槍』を「放つ前に」致命傷を負った。
これで不発かと思われた『刺し穿つ死棘の槍』は、しかし、『斬り抉る戦神の剣』による「発動前に担い手を討つことで切り札を使わなかったことにする」因果逆転をすり抜けた。

『斬り抉る戦神の剣』は確かにクーフーリンを斃してその攻撃アクションをキャンセルした。
だが「『刺し穿つ死棘の槍』は敵の心臓に突き刺さった」という確定した結果はキャンセル出来なかったのだ。
それは当然と言えば当然。
『斬り抉る戦神の剣』は、「敵が切り札を切った」という事実が確定した事をトリガーに発動する。
だが、クーフーリンの切り札『刺し穿つ死棘の槍』が発動するという事は、ゲイ・ボルクがターゲットの心臓に突き刺さる結果が確定するという事だ。
結果、ゲイ・ボルクはダウンするクーフーリンの手を離れて飛翔し、バゼットの心臓に吸い込まれた。

『斬り抉る戦神の剣』の後出しを回避する事は不可能だ。
しかし、『刺し穿つ死棘の槍』の先出しを回避する事もまた不可能。
結果は不可避の相討ち、という決着であった。
このシーンでは、『斬り抉る戦神の剣』の光の軌跡に赤い『刺し穿つ死棘の槍』がまとわりつくように逆走し、バゼットの心臓を貫くという演出がされており、
この演出は『Fate/unlimited codes』でも、ランサーvsバゼットで『刺し穿つ死棘の槍』に『斬り抉る戦神の剣』がカウンターで発動されると特殊演出として挿入され、実際に相討ちとなる仕様になっている。
『Fate/Grand Order』でもバゼット(マナナン)が実装された事でこの両者の激突が再現できるようになったが、
ゲームの仕様上フラガラックが「相手の切り札をキャンセルする」ものではなく単に「食らったら毎回反撃する」ものになっているため、ゲイボルクを食らって先にバゼットが死んだ場合は残念ながらフラガラックの反撃は発生しない。


また、ufotable制作のアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』のセイバーvsランサー戦では、
もうそれかなにかだろと突っ込まざるを得ないほどの変態機動をしてのけた。
原作ではセイバーの足元に突き出された槍がV字を描いて心臓に疾走したような描写だったが……まあ、この槍の異常さを表すという点ではアニメの方が優れているといえるかもしれない*2

ちなみに、槍を放つ前から既に命中しているので、たとえ槍が放たれた直後に使い手が死亡しても、槍は相手の心臓に向かい、それを貫く。


『EXTRA』でもクー・フーリンが宝具として使用。
ただし、『SN』においては自力で編み出したする技が、「スカサハ(スカアハ)直伝」と紹介しており出自が変化している模様。
それともこの技もスカサハから知恵を借りたものなのか。

ガード貫通で発動一手前の相手の現在HP分のダメージ。そこから相手の幸運が高いほどダメージが下がる。
だが、各サーヴァントの無効・ダメージ軽減スキルや、セイバーの洛陽で対処することができる。

また、同じゲイ・ボルク同士をぶつけると、全く同じ軌道のため相殺するという現象が起きる。



○『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)



──行くぞ。
この一撃、手向けとして受け取るがいい……!

ランク:B+
種別:対軍宝具
レンジ:5~40
最大捕捉:50人

ゲイ・ボルクの本来の使用法で、ランサーの真の切り札。
ランサーが全身の力と全魔力を使い、魔槍の呪いを最大限発揮させた上で相手に投擲する特殊使用宝具。要は滅茶苦茶凄い槍投げ。
『突き穿つ死翔の槍』は、無数のやじりを撒き散らすことで炸裂弾のように一撃で一軍を吹っ飛ばす威力を誇る。
またマテリアルによると英霊となってからは生前よりもさらにその数を増して強力になっている。

こちらの場合因果逆転の呪いは無く、威力重視のため、必中能力はあるが必ず心臓を穿つ能力はない。
また全魔力を込めて投擲するため使用後のランサーはかなり消耗していた。

ただし『命中するまで何度でも襲い掛かる』性質を持ち、一度ロックオンすれば地球の裏側まで逃げても追って来るという。

飛行速度はマッハ2で、飛距離は40km程。
「必ず助走して一旦跳躍した上で全身全霊で投擲しなければならない」という点はデメリットではあるが、
比較的近距離から放たれるこの槍の速度と追尾能力をもってすれば、回避されるという可能性は考慮しなくて良い。

投影宝具とはいえ対投擲武器に最強の防御力を誇り、ギルガメッシュの『王の財宝』による宝具の無数の投擲さえ凌いだ『熾天覆う七つの円環』をただの一撃で貫通してのけた。
4枚の『熾天覆う七つの円環』でセイバーオルタの『約束された勝利の剣』を大きく減衰出来たことを考慮すれば、
尚更その凄まじさの程が窺えるが、結果的に切り札を使用したにも関わらずアーチャーを殺せなかったことにランサーは激怒していた。

Fate/EXTELLA』ではムーンセルにより「対人宝具等の範囲の狭い宝具を、一時的に対軍宝具」にするという補正がかかっている。
その為、放った槍が幾何学的に枝分かれして、無数の穂先を持つ異形へと変じながら敵全てに『突き刺さる』という演出となる。
全ての切っ先に内臓を侵す呪いが乗ってるとするのならば、恐ろしいものである。



◆余談

2つの使用法と武器名、どれも読みが『ゲイ・ボルク』で共通するため、何かと紛らわしい(口頭では特に)。
武器そのものを指す際にはそのまま「ゲイ・ボルク」、
技については『刺し穿つ死棘の槍』を「刺す方」「刺しボルク」、『突き穿つ死翔の槍』は「投げる方」「投げボルク」と呼び分けられる傾向にある。
派生作品でゲイ・ボルクの担い手や表記が増えたが、この呼び分けの傾向は変わらないようだ。

宝具の関係上、『十二の試練』を有するバーサーカーには絶対に勝てないし引き分けにもなれない*3と思われていたが、
きのこの言によりルーンでのランクアップが発覚し、バーサーカーを打倒する可能性が示された。


ちなみに、真名開放をせずとも魔槍自体に再生阻害の呪いがあり、強度もあって単純な武器としての性能も優れているために、
ランサーは常にこの武器を頼りにしている他、ルーンを描いたり棒高跳びのポールの代わりに用いたりもしている。



クー・フーリン(Proto)

○『穿ちの朱槍(ゲイ・ボルク)


ランク:B / B+
種別:対人宝具 / 対軍宝具
レンジ:2~5 / 5~40
最大補足:1人 / 50人

対人刺突、対軍投擲の二種の攻撃法を持つ宝具。
槍の持つ因果逆転の呪いにより、真名解放すると「心臓に槍が命中した」という結果を作ってから「槍を放つ」という原因を作る。
『stay night』のランサーが使う『刺し穿つ死棘の槍』のオリジナルであり、効果はほとんど変わっていない。
Prototype版ランサーの宝具。


クー・フーリン・オルタ

○『抉り穿つ鏖殺の槍(ゲイ・ボルク)


ランク:B++
種別:対軍宝具
レンジ:5~50
最大捕捉:100人

オルタ化したクー・フーリンの使う宝具の一つ。
ホーミング魔槍ミサイル。 肉体の崩壊さえも無視して放たれた全力投擲。
有効範囲も威力も通常の召喚時より上昇しているが、崩壊する肉体をルーンで無理やり治しながら放つため、使用には苦痛を伴う(本人はあまり気にしているように見えないけれど)。
シナリオでは数多のサーヴァントを葬り続け、不意打ちとはいえA+ランクの対軍宝具の直撃すらも持ち堪えるあのカルナすらも仕留める脅威的な威力を見せた。
なお、ゲーム中では『噛み砕く死牙の獣』が宝具に採用されており、シナリオ以外でゲイ・ボルクを使わないものの、オルタ兄貴の暴れっぷりと相まって、
「(シナリオの都合で)当たらない槍」とギャグ時空で揶揄されるゲイ・ボルクが当たり続けるとこれほどの惨劇を生むことをまざまざと見せつけた。


スカサハ

○『貫き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク・オルタナティブ)


ランク:B+
種別:対人宝具
レンジ:5~40
最大捕捉:50人

師匠スカサハが使う宝具。
『刺し穿つ死棘の槍』で相手を貫いた後、『突き穿つ死翔の槍』を相手に投げ付けるという、ランサーも「ゲイボルク二槍流って俺の立場ないですよね!?」と困惑する大技だが、
実はスカサハの持つこの2本の槍はゲイボルクそっくりな別物(ゲイボルクよりも古く作られたもの)であり、彼女曰く「何かの骨を削っただけの代物」だという。
そっちの方が本家ゲイボルクの立場がないが、あくまで影の女王基準ということなのだろう、きっと…。

ちなみに宝具自体の性能は威力と即死効果の部分はクー・フーリンのものと同じで、付随効果が異なる。
クー・フーリンのものは必中効果と防御ダウンデバフ、スカサハのものは攻撃前に超高確率のスタン。


○『蹴り穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク・オルタナティブ)


ランク:B+
種別:対人/対軍宝具

『FGO』にて水着ver.スカサハ師匠の使う宝具。
どこからともなく取り出した呪槍を蹴り上げ、自分も飛び上がって華麗なオーバーヘッドキックで敵陣に叩きこむ。敢えて言うなら「蹴りボルク」と言ったところか。
華麗にシュートされた呪槍は相手に届く前に『突き穿つ死翔の槍』のごとく無数に分裂し、敵陣全体に槍の雨が降り注ぐ。前日によっぽどあり得ない事でも起こっていたのだろうか
一見色物にも思えるが、「投げると幾多の鏃に変わって敵を逃さず貫く魔槍ゲイ・ボルクをクー・フーリンは足で投擲していた*4というのだから、最も原典に近い使い方ともいえる。
こっちにもちゃんと即死効果はあるが、全体攻撃のために確率は下がっている。


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最終更新:2023年08月08日 19:13

*1 尤も、『EXTRA』のアイアスは、ゲーム的にはどんな攻撃でも防げる万能防壁と化しているため、本編よりも強力になっている可能性は否めないのだが。

*2 ちなみにこの変態機動自体はhollowでも見られるのでufotable版の完全なオリジナルというわけではない

*3 バーサーカーの常時発動型宝具『十二の試練』は、ランクB以下の攻撃を無効化するために『刺し穿つ死棘の槍』、『突き穿つ死翔の槍』が通用せず、またたとえ通用してその心臓を貫いても、十一回貫かないと自動的にバーサーカーに再生(レイズ)がかかるため

*4 腕の数倍の筋力がある足で腕並みの精密な投擲ができれば、それは脅威であろう。解釈によっては、「ゲイボルクとは槍の銘ではなく、この足による投擲(奥義)のこと」とする人もいるくらいである。