009ノ1 THE END OF THE BEGINNING(映画)

登録日:2016/03/08 Tue 03:38:47
更新日:2022/12/08 Thu 21:04:47
所要時間:約 8 分で読めます





終わらせる、このった世界を。



009ノ1 THE END OF THE BEGINNING』とは、2013年9月7日に公開された映画である。


【概要】

石ノ森章太郎「サイボーグ009」のヤングアダルト版として「SEX&バイオレンス」をテーマとし、漫画アクションに掲載された成年向け漫画「009ノ1」生誕75周年記念作品として実写化。
なお、実写化は本作が初ではなく、1969年に『フラワーアクション009ノ1』というタイトルのTVドラマとして既に実写化されている。

監督は、世界各国で作品を手掛け2009年の日本デビュー以降、ハリウッド仕込みの圧倒的なアクションで瞬く間に日本の特撮、アクション映画界のトップに躍り出た坂本浩一
更に東映最新技術の精鋭が集結するツークン研究所が手掛ける最新VFXでかつてない映像世界を実現する。

主演のミレーヌ・ホフマン役には、グラビア・タレント・女優として有名な岩佐真悠子を起用。
更には、戦隊ヒーローや仮面ライダー等の特撮作品に出演経験のある俳優が数多く起用されている。

本作は、原作を基にしたうえで映画オリジナルの展開がなされており、児童の視聴を念頭に置いたニチアサでは難しいアダルト描写・バイオレンス描写も多数含まれるため、R15+指定作品として上映された。



【あらすじ】

世界情勢混乱により完全に二極分断された<ウエスタンブロック><イースタンブロック>
緊迫する軍事境界エリアに設置された特殊部隊「ゼロゼロ機関」が作り出したミレーヌ・ホフマン…通称009-1(ゼロゼロナインワン)

その任務はウエスタンブロックの最前線部隊として敵地に潜入し、必要な情報収集や盗まれた情報の回収を行う事。
いわば完全武装されたサイボーグエージェント。ミレーヌは、移民売買を摘発するミッションを遂行中、移民のひとりの青年クリスに目を留める。
ミッションは成功するが、何故かその青年のことが頭から離れない――。

そして、ゼロゼロ機関のボスからミレーヌに「Dr.クラインを奪還、保護せよ」という新たなミッションが下された。
自分の失われた記憶の謎を知る博士の名を聞いて戸惑うミレーヌ。迫り来るイースタンブロックの女サイボーグエージェントからDr.クラインを奪還できるのか。
失われたミレーヌの記憶は戻るのか。秘密裏に進められているファウストプロジェクトとは一体…
そして…明かされるクリスの正体とは――。



【登場人物】
  • ミレーヌ・ホフマン(演:岩佐真悠子)
主人公。
セクシーな赤いジャケットとミニスカが特徴の美女。
ウエスタンブロック政府の特務諜報組織「ゼロゼロ機関 J国支部」のサイボーグエージェントでコードネームは009-1(ゼロゼロナインワン)であり、
常人を遥かに凌駕した能力を発揮できる様々な機能が搭載されている。なお、彼女の他にもサイボーグエージェントが8人いる模様。
主な装備はSFチックな拳銃「プラズマガン」と、両乳房に内蔵した隠し武器「バストガン」

イースタンブロックから亡命する際に母と弟を亡くし、ウエスタンブロックの施設に引き取られた後、ゼロゼロ機関にスカウトされ、スパイとしての特殊訓練を受けた。
更にゼロゼロ機関は彼女を完全なるエージェントにすべく7つのシークレットツールを体内に仕込み、改造手術を施された彼女は人を超えたゼロゼロナンバータイプのサイボーグとして生まれ変わった。
以後、数々のミッションをこなす凄腕の女スパイとして活躍しているが、その一方では普通の人間でなくなった故に様々な人物からは「モンスター」と忌み嫌われたり侮蔑されたりしている。
護星天使のマネージャーでもアンク似の霊能者を取材したレポーターでもない。


  • クリス(演:木ノ本嶺浩)
イースタンブロックからの亡命者である青年。記憶喪失で本名は不明。
移民売買の現場にいたところをミレーヌに助けられ、彼女から瞳がクリスタルのように綺麗だからという理由でクリスと名付けられた。
その後、ミレーヌの自室にかくまわれ、傷の手当てを受けながら彼女と過ごすようになる。
やがて過去を失った者同士という親近感からお互いを慰め、2人で過去を取り戻そうと約束してベッドで抱き合うほど愛し合う関係になっていくのだが…。
風都署の刑事ライダーではない。


  • ミリアム(演:長澤奈央)
Dr.クライン奪取のためにイースタンブロックが送り込んできたサイボーグ戦士。
黒髪のショートヘアとセクシーな黒のボディスーツが特徴のクールビューティー。
スペック上ではミレーヌと互角以上であり、二丁拳銃と蹴り技を駆使する他、ミレーヌのバストガンを至近距離で直撃しても全くの無傷で済むほど頑丈なボディを持つ強敵。

本編後半で黒幕に捕まって拘束されたミレーヌをマウントポジションで全身舐めするシーンエロ過ぎwww
くノ一のブルー戦士でも風都の透明マジシャンでもない。


  • シェリン(演:市道真央)
ミレーヌの知り合いである情報屋。
弟のカイと2人暮らしで、以前ミレーヌに命を救われた縁で彼女をサポートしている。
プールサイドでミレーヌに壁ドンで密着されてる姿がどう見てもガチレズにしか見えない。
某海賊戦隊のイエロー戦士ではない。
尚、演者は後に声優としてM・A・O名義で同原作者が描いた本家「サイボーグ009」と「デビルマン」がコラボした「サイボーグ009VSデビルマン」で003を演じている。

  • 020(演:竹中直人)
ミレーヌの直属の上司。「ゼロトゥエンティ」と読む。
本編前半でミレーヌがDr.クライン奪還に失敗した際には、命令違反で彼女の身柄を拘束しようとするのだが…。
ゴーストハンターを生き返らせた仙人ではない。


  • ナカタニ(演:あべまみ)
020の秘書である眼鏡美女。
一見すると知性的で冷静な人物に見えるが、実は非常に高圧的で陰険な一面も併せ持っており、ミレーヌを「モンスター」と蔑んでいた。ぶっちゃけ嫌な女
劇中でミレーヌがエージェントとしてのライセンスを剥奪された際には、上記の振る舞いが災いして彼女に負傷させられてしまう。
その後、ミレーヌに傷を負わされた腹いせなのか、敵であるはずのバタフライにミレーヌの居場所をリークしていた。


  • Dr.クライン(演:杉本彩)
サイボーグエージェントの生みの親である女性科学者。
超人を生み出す最重要機密事項「ファウスト・プロジェクト」の中心人物で、ある意味ミレーヌの母親も同然の存在であるが、当のクラインはミレーヌに対する愛情はなく、むしろ道具としか見ていない。
作中ではその優秀な頭脳に目をつけたイースタンブロックの差し金に誘拐されてしまう。
モネラ星人に操られた地球人でもネクロオーバーの開発者でもない。


  • ソガベ(演:横山一敏)
ウエスタンの特殊部隊の隊長。
Dr.クライン救出作戦でミレーヌを援護しようとするが、彼女からは足手まとい扱いされて鼻であしらわれ、
最期は襲撃してきたミリアムに手も足も出ずに敗北する等、色々と損な役回りを演じさせられたキャラである。
獅子座のゾディアーツではない。


  • スティンガー(演:阿部亮平)
J国にある地下クラブのコーナー。
その正体は移民売買組織のボスであり、「モルグ」と呼ばれる場所でイースタンからウエスタンへの亡命者を救済と偽って人体実験材料として提供する裏ビジネスで荒稼ぎしていた。
世紀末でヒャッハーやってるモヒカンのような思考回路で初登場時には…

焼き過ぎだ。ステーキは血がしたたるレアに限る

……と、注文したステーキがウェルダンだったという理由だけで店員の1人を容赦なく殺害。その返り血をステーキの上にかけて美味しそうに食っていた。
そして、踊り子として地下クラブに潜入していたミレーヌを一目で気に入って半ば強引に部屋へと連れ出してベッドインした。
その後、正体を現したミレーヌにアジトを襲撃され、最期はバストガンを食らって死亡。
かつては電王の悪徳金融業者であり、錠前ディーラー似のミュージシャンを追い回していたらしい。


  • バタフライ(演:緑川静香)
スティンガーの愛人。
ショートボブが特徴の美女でスティンガーと共に移民売買を行なっている。ついでに言うと ガードベント使いである(後述)
戦闘時にはブレード内蔵の鉄扇で某残虐格ゲーの王女のごとく相手を切り裂く。
スティンガーの女癖の悪さには心底辟易しているが、彼を強く愛している。
序盤でスティンガーが死亡した後は憎悪むき出しでミレーヌを仇として付け狙うが、最期はシェリンに射殺された。
アイズ・ドーパントに飼い殺しにされた超能力者ではない。


  • イプシロン(演:佃井皆美)
  • タウ(演:人見早苗)
  • ミュー(演:下園愛弓)
イースタンブロックの特殊工作員である3人娘。コードネームは「シャドー」
Dr.クライン奪取のためにイースタンブロックから派遣され、彼女の誘拐に成功したのだが、救出に現れたミレーヌに倒されて作戦が失敗に終わってしまう。

祖国に対する忠誠心が強く、作戦が失敗した際には味方の増援を期待していたのだが、待っていたのは「作戦は中止。援護はない」という祖国からの通信だけであった。
それまで信じていたものに見捨てられた彼女達は「祖国は我々を裏切った! 我々は所詮道具だったんだ!」と自暴自棄になり、
泣きながら拳銃で自殺しようとする体たらくであった。*1
一度はミレーヌに自殺を阻止されたのだが、「時間の無駄」と業を煮やしたDr.クラインに全員射殺された。
そのうちの1人がのちに桃ライダーへと転生する。


  • アラン・ラウ(演:本田博太郎)
裏社会を牛耳る大富豪。
Dr.クラインの潜伏場所の鍵を握っており、その場所(廃棄された軍事基地)を記した地図を入手する目的で豪邸を訪れたミレーヌに対し、チェスの勝負に勝つことを条件に彼女の要求を聞きいれた。
チェスでミレーヌに敗北したのだが、地図の情報を得ようとすることに興味を抱いて彼女との約束を反故。
大勢の部下と共にミレーヌを恫喝しようとしたところ、復讐に燃えるバタフライの乱入で部下を皆殺しにされ、運悪く近くに寄って来たバタフライに捕まった挙句にミレーヌの攻撃を防ぐためのガードベントにされて死亡。
ZECTの総帥でもキカイダーを修理したジャンク屋でもない。


  • カイ(演:渋谷樹生)
シェリンの弟。



以下、核心を含むネタバレ
























  • ミレーヌ・ホフマン
実はサイボーグエージェントの改造手術を受けた多くの被験者の中で生き延びた唯一の成功例であり、ミレーヌ以外の8人の仲間は初めから存在しなかった。
任務の失敗でゼロゼロ機関を追われ、心の拠り所であったクリスを殺されたミレーヌは、一時は絶望に打ちひしがれたものの、
2人で過去を取り戻そうと約束をしたことを思い出し、自分の過去を探るべく、博士の行方を捜すことに専念。
シェリンの助けでDr.クラインがいると思われる軍事基地に辿りつくのだが、その途中で何者かに襲われて意識を失ってしまう。
気がつくとバストガンを封じられた状態で拘束されていた。そして、死んだはずのクリスがミレーヌの目の前に現れた…。


  • ポール
クリスの本名であり、ミレーヌの実の弟であった。
ポールこそが本作の黒幕であり、作中における一連の事件は全て彼の自作自演であった(中盤でミレーヌが発見したポールの死体は偽者)。

幼い頃にウェスタンブロックとイースタンブロックの抗争に巻き込まれ、母を目の前で殺され、たった1人の姉とも離れ離れになってしまう。
この際、ミレーヌはウエスタンブロックに、自身はイースタンブロックへそれぞれ拉致された事から2人は生き別れとなった。
その後、イースタンブロックのエージェントとして育てられたが、上記の経緯から自分達を不幸に追いやった世界そのものを憎んでおり、
Dr.クラインと手を組んで強力な施設軍隊を組織して東西同時に送り込み、全面戦争を勃発させて世界を一度滅ぼし、美しい世界へと作り直す計画を立てていた。
そのためにミレーヌの肉体と一体化し、パーフェクトサイボーグとなって「究極の家族」になることを目指している。
ぶっちゃけ重度の中二病&シスコン

姉と共に世界を牛耳ろうと企むが、過去を取り戻したミレーヌに拒否され、最期は彼女の機転で同士討ちさせられてしまい…

ポール「姉さん…愛してる…また…昔みたいに…家族一緒に…」

ミレーヌ「愛してるわ…ポール」

ミリアムの剣で貫かれたポールは、姉への想いと幸せだった頃の思い出を口にしながら息を引き取った。


  • ミリアム
中盤でDr.クラインを拉致した彼女であったが、上記にある通り、ポールとDr.クラインの自作自演によるものであった。
その正体はポールの忠実なる右腕であり、外見がミレーヌとポールの母親そっくりに作られている。
最終決戦では長剣を装備してミレーヌと戦闘を繰り広げるも、最期はバストガンで顔面を集中攻撃されて大破した。


  • Dr.クライン
もう1人の黒幕。
実は裏では科学者の立場を隠れ蓑にして悪事を働いており、最大手の取引相手としてスティンガーと契約していたが、やがて欲にかられた彼が法外な金額を要求してきたため、ゼロゼロ機関を通してミレーヌにスティンガーを殺害させた。その後、利害の一致でポールと結託して今回の事件を仕組んでいた。
当初から善人らしからぬ印象であったが、その本性は冷酷非道かつ傲慢で他人を弄ぶことに何の感慨も抱かず、周囲がどれほどの犠牲になろうとも自分の目的を優先させるマッドサイエンティストである。

「湧き上がる探究心を満たす」という野心の為に卑劣な手口で他者を平然と騙しては利用し、後述の研究成果で犠牲になった者達が自分の手の内で踊らされ苦しむ光景を見て嘲笑う等、これ以上にない程に性根の腐り果てた悪女ぶりを披露していた。

終盤では、死者の肉体を改造したアンデッド・ミュータントを差し向けてミレーヌを苦戦させたが、この時点で既にポールからは用済み扱いされており、皮肉にもポールのコントロールを受けたアンデッド・ミュータントに貪り食われた末に死亡した。
劇中にて多くの人間を弄び、暗躍し、他者を顧みず自分の欲望のままに研究していったクラインだったが、
最終的に自分が利用してきた者に惨殺されるというなんとも惨めで因果応報とも言える最期を迎えた。


  • アンデッド・ミュータント
成功率が低いゼロゼロナンバータイプのサイボーグに見切りをつけたDr.クラインが次に開発した人間兵器。
科学技術を駆使して人間の死体を強化・蘇生させた生物兵器で、改造された人間は思考をコントロールされて戦うためだけの人形と化しており、
痛みや苦しみを感じることも死の恐怖も感じることもない。ぶっちゃけゾンビ


  • シェリン
終盤にてミレーヌと共に軍事基地を探索していたのだが、その途中でポール達に捕まり、アンデッド・ミュータントに改造されてしまった。
Dr.クラインにコントロールされるがままにミレーヌと戦闘を繰り広げていたが、自我を完全に失っておらず、
一時的に理性を取り戻して自分を殺すよう懇願、最期はその想いに応えたミレーヌの手で射殺され、短い生涯の幕を閉じた。




【結末】

ポール…あなたの言う通り、憎むべきはこの争いを引き起こしたもの。私はそれと戦う

シェリンの懇願で彼女にトドメを刺したミレーヌはついに戦士として完成。
ポールとミリアムを死闘の末に倒し、Dr.クラインの脳髄を特殊カプセルに収容して020に届け、無事任務を果たした。*2
ミレーヌは再びエージェントに復帰し、彼女の依頼でシェリンの弟の身柄はゼロゼロ機関に保護される事に。*3
そして、ミレーヌが退室した後、020が本部に連絡……

予定通り、彼女は完成しました。…完全なサイボーグ・エージェントに

ゼロゼロナイン…いずれ彼女はこの世界を変えるでしょう。あなたの計画通りに…ナンバーゼロ

……と、ナンバーゼロという謎の人物に計画の成功と次の段階を報告したところで物語は幕を閉じる。







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最終更新:2022年12月08日 21:04

*1 『ミッションインポッシブル』という映画では、工作員に対し「君たちが万一捕まったり、殺されたりしても当局は感知しない」と作戦の初めで宣告していて、工作員もこれを受け入れている。一方、イースタンブロックの3人組の場合は「援護がない」と知った時点で事実を受け入れられずに泣きわめいて自暴自棄になる始末。

*2 ゼロゼロ機関の技術で脳髄の細胞から重要なデータ(研究成果や重要機密)を引き出せるらしく、ミレーヌが本部に戻る際にDr.クラインの遺体から脳髄を摘出していた。

*3 ゼロゼロ機関に保護されたカイはスパイ候補生として養成される模様。