ギャラルホルン(鉄血のオルフェンズ)

登録日:2016/03/07 (月) 01:45:14
更新日:2024/02/07 Wed 07:47:14
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本項では『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場する武力組織の解説を行う。




組織概要

地球を統治する各国連合の総意によって結成された強力にして強大な軍事組織。
武力を以て武力を制す世界平和維持の為の暴力装置。
多数のモビルスーツを所持している。
                       (公式サイトより)


作中時点(P.D.323年)からさかのぼること約300年前に終結した大戦争・厄祭戦。
その戦争を「終わらせた」とも言われるのが彼ら・ギャラルホルンである。

既存の国家組織が滅び、4大勢力として再建された後、希少化したモビルスーツ(MS)やエイハブ・リアクターなどの関連技術を独占して4大勢力を外部から監視しており、事実上の世界の覇者として君臨している。
組織の旗印として掲げるのは、角笛(ギャラルホルン)を吹き鳴らすヘイムダルの愛馬・グルトップ。角笛には組織の象徴たる7つ星の旗が吊られている。
ちなみにギャラルホルンとセブンスターズの紋章、ついでにクランク・ゼントの徽章のデザインを担当しているのは形部一平氏。

圏外圏の一大勢力・テイワズですら50機前後のMSを生産(しかもリアクターは各所からかき集めてきたリサイクル品)するのがやっとなのに、ギャラルホルンは下手をすれば100機単位でMSを保有している。
宇宙船も厄祭戦当時から大切に使っている物が多いのに、ギャラルホルンは8隻以上で編成される大艦隊を数個動かす。
少人数の鉄華団との戦力差は無論桁外れである。歴代ガンダムの敵方組織では相対的に最強クラスの戦力といって過言ではないだろう。まさしく世界の警察。

……が、時が過ぎれば人も組織も変わりゆくもので、近年では自分達の利益を優先するようになり、4大勢力から疎んじられるようになっている。
何しろ最上部のセブンスターズの当主はどんな問題児だろうと適性や実戦経験が少なくてもあっさりと佐官・司令官クラスになれてしまう上に、当主自体が世襲制のため、能力がある者でも7家の直系でなければ出世に限界もあり上に意見するにも限界のある風通しの悪い状態になっていた。
逆に言えば7家に気に入られれば下記のように差別扱いされる地球外出身者でも一定の地位に就くことができるが、そもそも肝心の当主に能力がなければ意味がないため、7家関係者に見込まれたことで地位を得た者は劇中でもジュリエッタと石動しか確認できない(アインはあくまでガエリオ個人のお付き扱い)。
結果内部腐敗も進み、上層部は権力闘争や汚職のるつぼと化している。組織自体も巨大化が進んだゆえの硬直化や権威主義への傾倒が目に余る。
特に地球外出身者への過激な差別思想が深刻で、辺境たる火星の出身者は同じギャラルホルンの一員であってもまともな人間扱いをされない。
というか、そもそも親がギャラルホルン関係者の地球人でないと入隊すらできない。このため出身成分に難のある有能な士官が不満を溜め込んでいた。

虐殺紛いの鎮圧作戦すらも厭わず、頻繁に圏外圏の民衆を締め上げているくせに、組織の管轄外の非正規航路で活動する宇宙海賊を本格的に駆逐しようとしているわけでもなく、地球外の市民からはとかく目の敵にされている。
要は「ソレスタルビーイングティターンズ化したばかりかコスモ貴族主義に傾いてしまった」ような状態。


なお、ついつい混同してしまいがちだが、火星圏の経済事情が苦しいのはギャラルホルンの責任ではない。宗主国たる4大勢力の吸い上げのせい。
ギャラルホルンはあくまで治安維持組織であり、民衆に圧制を強いたり税を巻き上げたりするような、政治や経済活動は本来しないのだ。
故に、最近のギャラルホルンは4大勢力どころか一般市民からも恨まれているのである。

風変わりな特徴として、組織やメカニックのネーミング由来がバラバラで、世界各地の寄せ集めに近いことが挙げられる。
組織名やセブンスターズの家門は北欧神話由来、MSは欧州圏のモンスターやオカルト由来。そして組織の根幹となったシステムは仏教由来と、見事に散らばっている。
ちなみに戦闘員の階級は自衛隊のそれと同じ形式に則っている。これも既存の国家がバラバラになった影響なのだろうか。

ビジュアル的な特徴としては、制服がとにかく豪華。士官服だけはカッコよかったOZとは違い、まんべんなく質がいい。
まず、下っ端の警備兵には水色が映えるスーツと貴族的なヘルメットが与えられる。
士官にはグレーをメインに、金縁の装飾がまぶしい立派なスーツが支給される。火星支部の偉いサンはグレーが落ち着いた赤色になり、重厚さが大幅アップ。
上級士官はブルー、ないしセルリアンブルー+所属で異なる模様がメインになり、より豪勢、かついやらしくない程度に金装飾が追加され、おしゃれな羽織も貰える。
ちなみにアリアンロッド艦隊所属者はエメラルドグリーン、地球外縁軌道統制統合艦隊所属者は1期ではエメラルドブルー、2期ではブルーと他の士官とは制服のカラーが異なる。
全てに共通しているのは、胸元に7つ星のワッペンが刺繍されているところ。


メタな話

その在り様は、簡潔に言うと「正義の味方」の悪い面を前面に出したような存在。
機械化手術を忌避したり様式美にこだわったり平和の名の元に異思想を弾圧したり機械と一体化してみたり。
やっていることは概ねフィクションで正義の味方がやっているのとさほど変わりないのだが、結果がマイナス印象に傾きまくっている。
ギャラルホルン:ヘイムダル=天界即ち「神」の勢力で、ウザったいほど過剰な秩序主義
鉄華団:バルバトス=「悪魔」で、自由は殺してでも奪い取るワイルド集団
……これなんてメガテン

SEED』や『00』、『AGE』のように敵味方の組織の人間同士の関係を持つ近年のガンダムシリーズとは異なり、鉄華団側にとってのギャラルホルンとは、あくまで依頼の遂行の邪魔物でしかない(コロニーで弾圧される労働者達へのシンパシーや、死んだ仲間の弔い合戦と称して徹底抗戦を表明したりと、完全に因縁が無いわけでもない)。
鉄華団側に戦闘関係以外で顔を合わせたのもマクギリス・ファリドガエリオ・ボードウィン程度しかおらず、特別な関係を持った者もいない。

三日月・オーガスは人と対話しない」と指摘されることもあるが、(本人の性格もあるが)そもそも対話する糸口どころか理由すらないという、意外とガンダムシリーズではありそうでなかった珍しい立ち位置故の展開といえよう。


セブンスターズ

ギャラルホルンを束ね、管理運営する7つの家門。運営は7家代表の合議で行われ、下々の意向はろくすっぽ聞き入れられない。
ギャラルホルン設立に大きく貢献した英雄達の末裔らしい。
その権力は強く、時には4大勢力政府の意向を無視した活動も押し通す。

ちなみにセブンスターズの席次は、当時MAを撃墜したエースに与えられた「七星勲章」の取得数で決められているらしい。

ファリド家
現地球本部司令官・イズナリオの家。家紋は北欧神話の魔犬・フェンリル
養子のマクギリスをボードウィン家のアルミリアと婚約させ、イシュー家子女の後見人を務めるなど、セブンスターズでは事実上のトップに位置する。
なお、養子と言ってもその実態はイズナリオが元は他人の男娼から拾ってきた庶民の出。このこともマクギリスが改革を目指す原動力となっている。

ボードウィン家
家紋は北欧神話の主神オーディンの乗馬・スレイプニル
スレイプニルを駆るオーディンは「神々の黄昏(ラグナロク)」においてフェンリルと相まみえ、食い殺されてしまったというが……。

イシュー家
家紋は北欧神話の栗鼠・ラタトスク。ラタトスクの他に、ラタトスクが住まう世界樹の葉陰、樹の頂点に住む大鷲フレスヴェルグの羽根、根を齧る蛇ニーズヘッグの意匠もあしらわれている。
セブンスターズ第一席と一番の名門だが、現当主が病床の身にあり、当主代行を務めるカルタの後見人となっているファリド家の影響力が強くなっている。
フレスヴェルグとニーズヘッグの口論を仲介し、世界樹の弱体化を助ける「無能な働き者」たるラタトスク。彼女が辿る運命や如何に。

エリオン家
家紋は北欧神話の大蛇・ヨルムンガンド
現在の当主は月外縁軌道統合艦隊「アリアンロッド艦隊」の司令官であるラスタル・エリオン。
一人の人間の素性を完全に闇に隠すことができるほどの権力を持つ。

クジャン家
家紋は北欧神話の神の一柱・オーディンの使いの2羽の鴉フギンとムニン。
現在の当主はイオク・クジャン。

バクラザン家
家紋は北欧神話の大鷲・フレースヴェルグ
現在の当主はネモ・バクラザン。
ガンダム・バエルが安置されている「バエル宮殿」にはセブンスターズ各家のガンダムも格納庫に入った状態で保管されているが、ボードウィン家とバクラザン家の格納庫は空になっている。
ボードウィン家はキマリスが実戦投入されているためだが、バクラザン家のガンダムに関しては詳細不明。

ファルク家
家紋は北欧神話の蛇・ニーズヘッグ
現在の当主はエレク・ファルク。


そのルーツ


本編終了後



組織構造

主な部署・部隊

監査局
その名の通り内部監査を担当する部署。立場が立場である故、セブンスターズの関係者及び極一部のエリートしか所属できない。
統制局の許可を必要としない独自の部隊運用権限を持つが、その動きには大きな影響も伴うため、些事に介入することは世論への不信感を煽る危険性も孕んでいる。
当初マクギリスとガエリオはここに所属していた。

統制局
軍事行動の中核を担う部署。情報統制や反乱分子の排除はここの担当。
些細な不穏分子もマッチポンプすら厭わずに炙り出し、虐殺する、明らかに過剰かつ汚いやり口には内部からも嫌悪感を示す兵もいる。

地球外縁軌道統制統合艦隊(ちきゅうがいえんきどうとうせいとうごうかんたい)
地球軌道上の守護部隊。司令官は第1期ではカルタ・イシュー、第2期ではマクギリス。
主な駐留域が地球外縁軌道という関係で独自に地球への降下権限も持ち合わせており、地球へ降下を許した敵勢力の迅速な追撃が可能となっているなど聞いただけではエリート集団のような部隊だが、地球圏でギャラルホルンに楯突く命知らずはおらず、アリアンロッド艦隊の職域が広いこともあって、モビルスーツによる式典参加やアクロバットの披露を主な任務としているお飾り同然の閑職と化している。
戦闘員の技量自体は高く、幾度となく鉄華団の機体に肉薄するパイロットも多いのだが、実戦経験の不足が大きなマイナス点となってしまっている。
2期ではマクギリスが内部改革を進め、青年将校が主となる編成は同じながらより実戦に即した部隊へと生まれ変わった。

月外縁軌道統合艦隊(つきがいえんきどうとうごうかんたい)
通称「アリアンロッド艦隊」。月の公転軌道外を管轄とし、圏外圏との境目で小さないざこざが頻発する宙域を管轄するギャラルホルン最大規模を誇る部隊。司令官はラスタル・エリオン。
平時は各コロニーに部隊を駐留させ、監視行動に務めている。
よってギャラルホルンの中では最も実戦経験豊富で、MSも最新のものが優先的に回される。
作中ではこの辺りから「腕の立つモブ兵士」が出てくる。落伍した友軍機を即座にカバーするグレイズや、三日月と数回に渡って切り結んだ名無しのグレイズなど。

火星支部
火星軌道上の宇宙ステーション「アーレス」を本部とする火星管轄担当。コーラル・コンラッドが支部長を務める。
エイハブ・ウェーブの妨害のせいで電子的な監視の目が非常に緩いこともあって、ギャラルホルンでは特に腐敗が進んでいる。
コーラルは半ば公然と民間業者と癒着しており、その確認のために本部から監査官が派遣されたことで、ギャラルホルン側の物語が始まる。
狙撃対象の監視をしくじる観測員、数と装備で圧倒しながら少年兵達の善戦を許すモビルワーカー(MW)隊、ロクな戦果も挙げずに潰される名無しのグレイズなど、辺境の地ということもあってか、戦闘員の練度はあまり高くない。

総務局
経理や人事などの事務仕事を担当する部署。

警務局
警察業務を担当する部署。


各部署に共通して、カルタしかりコーラルしかりマクギリスしかり、MS操縦技能を有する指揮官が多い。
劇中に登場した彼らは1人の例外を除き、並み以上の腕前を発揮している。ここら辺は武力組織だけあって、実戦部隊には叩き上げの人間が多いのだろうか。


階級制度






所属人員

マクギリス・ファリド
CV.櫻井孝宏
ギャラルホルン監査局所属の特務三佐。有能かつ高潔な人物。後に准将に昇格し、地球外縁軌道統制統合艦隊司令となる。
詳細は当該項目を参照。

ガエリオ・ボードウィン
CV.松風雅也
マクギリスの護衛のために火星に派遣された特務三佐。
マクギリスとは親友同士で、彼の妹がマクギリスの許嫁になっているなど、家同士の交流も深い。
詳細は当該項目を参照。

アイン・ダルトン
CV.内田雄馬
ギャラルホルン火星支部所属の三尉。配属されて日が浅いものの有能な新米MSパイロット。
詳細は当該項目を参照。

セブンスターズとその関係者

イズナリオ・ファリド
CV.速水奨
ギャラルホルンの地球本部司令官。ファリド家当主にしてマクギリスの養父。
マクギリスの婚約を認めたり、カルタの後見を務めるなど、セブンスターズ内部での地位固めを怠らないばかりか、アーブラウ連邦のフリュウ議員とコネクションを作り、自身の権力を盤石にしようとする。

稚児趣味があり、金髪碧眼の美少年ばかりを囲っては夜な夜な弄ぶド変態鬼畜男。
しかし趣味に合えば身分関係なく食うなどある意味で平等であり、その中から優秀だったマクギリスを見出し「妾の子」との体裁をつけて養子にした。本当の妻子がいたことがあるのかは不明。
養子にした後もマクギリスにはアザができるほどのプレイを行なっていたため、マクギリスからは激しく恨まれている。
当のイズナリオは、マクギリスの抱く憎悪にはこれっぽっちも気付いていなかったのだが。
その変態さ加減はラスタルを始めとした一部の者は知っていた模様。
第1期終盤でマクギリスの手回しによって失脚し、亡命する羽目となった。

ガルス・ボードウィン
CV.星野充昭
ボードウィン家当主にしてガエリオとアルミリアの父。
長身で体格のいい偉丈夫だが人当たりのいい穏やかな性格で、娘婿となるマクギリスにも期待を寄せている。
しかし、年端もいかない娘の政略結婚に応じてしまうあたり、悪意はないのだがギャラルホルンの悪い面にも染まっている。

アルミリア・ボードウィン
CV.加隈亜衣
ガエリオの妹。9歳。この年でマクギリスと許婚の関係を結ばされているあたり、ギャラルホルンという組織の貴族主義・権力志向な傾向が覗える。
もっとも本人はいたって無邪気で、マクギリスを「マッキー」と呼んで大いに慕い、彼の未来の妻になろうと頑張っている。
同時に、子供の自分を婚約者としたことでマクギリスに向けられる白眼視も気にしている様子。
戦いや貧困とは無縁の世界で生きていたが、兄・ガエリオが戦死したことで他人事ではないことを知る。

ラスタル・エリオン
CV.大川透
セブンスターズの一家門・エリオン家の当主。ワイルドな髭面が特徴の大男で、見た目に違わず(表面上は)豪快な言動をする。
月外縁軌道統合艦隊の司令として、職域に干渉してくるマクギリスを内心で危険視し、真っ向から対抗する気でいる。

マクギリスやイズナリオが可愛く見えるほどの情け容赦ない策謀家。
政敵排除やギャラルホルンの正当性の誇示のために紛争のマッチポンプを演出したり、まともに使用できない兵器を労働者に流出させ、最低限の被害で鎮圧するといった隙のない策を数々と実行した。
自分が「胡散臭い大人」であるという自覚はあり、ヤクザ企業であるテイワズやノブリスとも繋がりを持っている。
一方で軍人としては高潔であり、私欲のために自らの立場を利用することは一切ないとも言及されている。
マクギリス同様、ラスタルも穏健派とはいえギャラルホルンの改革を心掛ける一人であり、スタッフインタビューではマクギリスと手を取り合う道もあったことが示唆された。
実際マクギリスや配下の石動が目指した身分に捉われない門戸開放政策はラスタルによって一部取り入れられている。
ガラン・モッサは同期であり、彼が全てを捨てて尽くすほどの信頼を得ている。
その他にもヴィダールやジュリエッタ、イオクと彼を慕う者は数知れず。
こうしたラスタルの姿勢は『清濁併せ呑む』と作中で度々呼称された。
単純な善悪論でこの豪傑は語ることが出来ない。

後見人を務めているイオクに対しては、(名君だったクジャン家先代当主を知っていることもあり)出来の悪い子ほど可愛いと思っているようだが、その甘さが色々と厄介なことになる。

イオク・クジャン
CV.島﨑信長
セブンスターズの一家門・クジャン家の当主。現在はアリアンロッドの第2艦隊提督。
真面目で血気盛んで行動力はあるのだが、上記の通り「行動力だけは無駄にある」状態でモビルスーツの操縦技術も低く、出撃する度に部下がフォローに振り回されている。
おまけに本人にその自覚はゼロなのだが、部下からは(名君だった亡き先代当主の父と重ねられているため)かなり慕われている。
そして良くも悪くも真面目な性格をジャスレイに利用されたことで大きな騒動を起こしてしまう…
劇中での活躍は当該項目を参照。……なに、あまり参考にならない? ニコニコ大百科とかPixiv百科事典とか併読するといいんじゃないかな(震え声)。

ネモ・バクラザン
CV.佐々健太
エゥーゴの量産型モビルスーツみたいな名前のセブンスターズの一家門・バクラザン家の当主。
眉毛、口髭、モミアゲ、耳たぶがとにかく長い老爺で、のらりくらりでやる気はあまりない。

エレク・ファルク
CV.綿貫竜之介
セブンスターズの一家門・ファルク家の当主。
恰幅のいい壮年男性。

火星支部

コーラル・コンラッド
CV.家中宏
ギャラルホルン火星支部長。階級は三佐。側頭部を刈り上げたおじさん。
個人的なスポンサーであるノブリス・ゴルドンの資金提供を期待して独断でクーデリア抹殺を強行するが、思わぬ抵抗で失敗し、タイミング悪く監査団がやってきてにっちもさっちもいかなくなる。
マクギリスに袖の下を送ろうとするもあえなく撥ね付けられ、廊下の壁や自室の机に何度もヘッドバットをするという醜態を晒す羽目に。
最後は自らMSで出撃し、作戦中の事故を装って独断専行の証拠を消そうとするが、昭弘機の援護で生まれた隙を突かれ、バルバトスにコクピットを貫かれた。
言動のせいであまり注目されないが、実は三日月をあと一歩の所まで追い詰めた屈指の実力者であり、わざわざ格納庫まで出向いて、それぞれ経験が浅いアインやオーリスの激励をするなど、パイロットの誇りも残っていた様子。

クランク・ゼント
CV.間宮康弘
火星支部所属のMS乗り。階級は二尉。「クランク兄ぃ」ではない。ごっついオジ様。
確かな腕前と状況判断力を兼ね備えたベテランMS乗り。人格者でもあり、アインからは深く尊敬されている。

オーリスのお守りとしてCGS本部襲撃に参加し、突如出現したバルバトスを相手に部下たちを庇いつつ善戦し、辛うじて離脱に成功。
その後、コーラルからCGS殲滅を命じられた際には自分ですべての責任を背負うため、そして部下達に「子供殺し」の烙印を押させないために単身出撃し、バルバトスに一騎打ちを挑む。
良識に則った武人肌の軍人であることに間違いはないのだが、哀しいことにその判断は命を狙われた少年達からすれば「独善」でしかなく、三日月には途中で会話を打ち切られる。
クランク側から見れば上司との命令と少年兵に対する葛藤の軋轢に挟まれる格好となったため、ある意味とても不幸な人。
最後は深手を負い、三日月に介錯される。「ありがとう」と言いかけた瞬間に鉛玉をぶち込む三日月に恐怖した視聴者も多いのではなかろうか。

鹵獲された彼のグレイズはグレイズ改「流星号」のベース機として採用された。結果的にこれが勝利した鉄華団の報酬となり、貴重な戦力として血路を開いていくことになるのだった。

オーリス・ステンジャ
CV.木島隆一
火星支部所属のMS乗り。階級は二尉。
顔が濃い金髪青年だが、間違った貴族風の格式ばった言動が全てを台無しにしている。顔芸が酷い。
クランクのかつての教え子だが、昇進した途端に何かが壊れてしまったのか、彼の助言をガン無視する。
CGS本部襲撃の指揮を任されるも、見栄を優先して無駄に損害を広げた挙句、バルバトスの奇襲を受けてグレイズのコクピットごと圧殺された。

新江・プロト
CV.相馬康一
コーラルの戦死後、マクギリスの推薦で火星支部長代理となった三佐。
夜明けの地平線団討伐後に正式な支部長就任を拝命し、鉄華団とも協力的な関係を築いている。

地球外縁軌道統制統合艦隊

カルタ・イシュー
CV.井上喜久子
ギャラルホルン地球外縁軌道統制統合艦隊指揮官の一佐。セブンスターズの一家門・イシュー家の出身で、ガエリオとは幼馴染。少女期よりマクギリスに惚れており、彼に似た金髪の美男子達を親衛隊として側近に置いている。
白髪と丸まっこい眉(いわゆる麻呂眉)、赤い紅と帯刀する日本刀が和のテイストを醸し出す。第2期OPでの初登場時にはぶっ飛んだルックスに視聴者が沸いた。
当主である父が病気で仕事ができない状態のため、イズナリオの後見を得てやっと名ばかり幹部の閑職を得ている立場であり、ギャラルホルン内での状況は芳しくない。

感情の起伏が激しく、執念深いが乙女らしい面もある。コロコロと表情を変えてカリカチュアな面白い言動を連発するおばさんお姉さん。
側近の部下達には面壁九年(めんぺきくねん)堅牢堅固(けんろうけんこ)の標語を斉唱させるのが癖らしい。

決して無能ではないのだが、ギャラルホルンの格式ばった考え方に染まりきっており、危機管理能力に難がある。
昔の陣形*1をそのまま実行したり、貧民育ち中心の鉄華団相手に上流階級の流儀を期待するなど悪い意味で教科書通りのことをしようとする。
とはいえ腐敗と差別が横行する現在のギャラルホルンにおいて、それに染まらず高潔さを持ち続けている誇り高い人物でもあり、出身での差別もしない。
お飾り艦隊のお飾り指揮官という地位にも腐らず、部下とともに日々厳しい訓練を続けており、部下からは強く慕われている。

コーリス・ステンジャ
CV.木島隆一
オーリスの双子の兄。カルタの旗下である太平洋方面防衛部隊で司令官の座に就いている。
弟と比べて落ち着いた印象を受けるが、弟の仇を打とうとするなど情に流される一面も。
カルタの命令でミレニアム島に潜伏した鉄華団と交戦するが、MS隊は殆ど迎撃され、伏兵の上陸部隊もビスケットの策で壊滅してしまう。

その後、エドモントンの都市防衛部隊と連携して鉄華団を追撃し、波状攻撃をかける。
ガエリオの援護を受け、部隊を率いてMW隊の援護へ向かうが、グシオンリベイクの前に部隊は壊滅。彼の消息は不明だが、恐らくは乗機と運命を共にしたと思われる。

右から2番目の人(仮称)
地球外縁軌道統制統合艦隊所属。カルタ親衛隊8人衆の1人である金髪イケメン。
標語斉唱で少しずれてしまい、カルタから「右から2番目、遅れてる!」と叱責されたので視聴者からこう呼ばれることになった。

地球軌道上の戦闘では残りの7人と最終盤にグレイズリッターで出撃。帰還限界点を前に僚機が離脱する中、彼はカルタへの贖罪としてバルバトスに特攻。
機動力が強化された第5形態のバルバトスと凄まじい切り合いを繰り広げるが、機体の首元から突っ込まれた太刀に押し潰された挙句、機体を大気圏突入用のバリュート代わりにされてしまう。

どう見てもただの名無しモブとは思えない気迫と実力は視聴者に多大な感銘を与えた。スタークジェガンのパイロットといい、近年のガンダムは名無しパイロットの活躍が増えている。

石動・カミーチェ
CV.前野智昭
地球外縁軌道統制統合艦隊所属。マクギリスとは彼が監査局にいた頃から面識があり、思想にも賛同したことから副官に任命された。
「独自のネットワーク」によって圏外圏情勢に詳しい。雑誌等によれば、彼の出自には秘密があるようだが……。
マクギリスのお下がりであるシュヴァルベ・グレイズを難なく乗りこなす腕利きパイロットでもある。

アリアンロッド艦隊

ジュリエッタ・ジュリス
CV.M・A・O
アリアンロッド艦隊所属のMSパイロット。敵味方問わず、常に敬語で接するが、敬愛する人物とそうでない人物では温度差が激しい。ちょうちょはたべもの
金髪のショートヘアが良く似合う、自由奔放で直情的な性格。ゆえに物事もあまり深く考えないし他人の発言も裏を疑わない…というかちょっとアホの娘の素質がある可愛い。
アリアンロッド内の立場としては少々変わっており、階級はつけられていない。これはあくまでも彼女の立場はアリアンロッド総司令であるラスタルの私兵扱いとなっているため。
ただ、一部隊を預かって戦闘を請け負っている場面もあるので、実質部隊長クラスの扱いはされている。
親しい人間からは『ジュリー』の愛称で呼ばれている。
元々、ジュリエッタは幼いうちに両親を亡くしてしまっており、孤独な存在だった。彼女もまた、三日月やオルガ同様孤児(オルフェン)」なのである。
そんな彼女に転機が訪れたのは通わされた施設で訓練指導を行っていたガラン・モッサとの出会いである。MSの操縦技術などで才能を開花させたジュリエッタはガランに可愛がってもらい、鍛えてもらうこととなる。
遂にはガランの推薦でラスタルとの運命的な出会いを果たす。
親友からの推薦ということもあって、ラスタルはジュリエッタを迎え入れた。
彼女がラスタルの私兵扱いで階級がないのは、こうした経歴に起因している。
唯一自慢できる自らの能力と、それを認めてくれたラスタルに強い誇りを抱き、ガランの事も「ひげのおじさま」と慕っている。
その意思はそのまま本人の強さや生命力に繋がっており、特に生命力は作中屈指のものでバルバトスに重傷を負わされてもわずかな時間で復帰するという驚異的なものであった。
その反面、気に入らない相手に対しては凄くシビアだったり辛辣だったりする。特にイオクとヴィダール。
中でもヴィダールに対しては感情を隠さず、ジト目になったり、ドヤ顔になったり表情豊か。かなり可愛い。当然ながらイオクには良く思われておらず、「猿」呼ばわりされる犬猿の仲。
乗機のレギンレイズは両腕にツインパイルを携行した近接戦仕様。

夜明けの地平線団戦、オセアニア連邦コロニーでの反乱鎮圧でもイオクのお守りに苦労させられたが、火星でのハシュマルの件でついにブチ切れ、イオクの尻拭い役として苦労を強いられる姿が多くの視聴者の同情を誘った。
それでも見限らない辺り、ジュリエッタの真面目さがうかがえる。
それと、ハシュマルの騒動の時のヴィダールに必死に応援を求める様子はかなり可愛らしい。

<ヴィダール!何をしているんですか?

とっとと合流してください!>

<早く来てくださいヴィダール!

ちなみに胸のサイズは控えめ。というかお世辞でも大きくはない、貧乳である。まあまだ若いし成長期だから…。

ヴィダール
CV.松風雅也
ジュリエッタ同様ラスタルに拾われた鉄仮面の男。自身の名を冠したMS、ガンダム・ヴィダールを駆る。仮面は光る。
マクギリスと鉄華団に異様な執着を持っているがその声にあまり激しさは無く、似た境遇のジュリエッタとの会話ではむしろ悟りや自嘲とも取れる発言をしている。ぶっちゃけ声優表記で正体が丸わかり
当初はジュリエッタから信頼されていなかったが、現在は多少見直されている。

ヤマジン・トーカ
CV.生天目仁美
アリアンロッド艦隊で技術部長を務めている女性メカニック。
フランクな性格でヴィダ―ルやジュリエッタに対して気軽に接し、特にジュリエッタに対しては「ジュリー」という愛称で呼んでいる。
その一方、ギャラルホルンの一員でありながら、阿頼耶識に肯定的という、危うい一面も持つ。

その他の貴族・役人

主に外伝作品に登場。

ヴィル・クラーセン
没落したウォーレン家に代わって月のアバランチ地区を管理する三十代後半の男、ヴォルコを坊ちゃんと呼んでいる。
イズナリオの不正事件発覚後は玉突き人事で監査局月方面監査室室長となる。

ジルト・ザルムフォート
「月鋼」2期から登場。セブンスターズに次ぐ名門ザルムフォート家の当主で、月〜火星間の定期航路を管理・交渉を担当する役人。

デイラ・ナディラ
CV:上田麗奈
「月鋼」2期から登場。ザルムフォート家に並ぶ名門ナディラ家の次期当主。乗機はガンダム・グレモリー。
容姿端麗だが人の話を聞かない一面がある。
一方で自らの非を認めた場合は謝罪をし、融通を効かせるなど本質的には善良な人物である。
先代当主である父親がアフリカンユニオンとの癒着の濡れ衣を着せられた冤罪のためギャラルホルン内での権限を失った為、南極の近くに身を隠していた。

ジジル・ジジン
CV:土師孝也
「月鋼」2期から登場。
ナディラ家が独立管理してきた極秘の内部統制部隊「オレルス」の隊長。オルトリンデのパイロット。
ナディラ家の潔白を証明するためにミーナを追っており、彼女の安否を確認するため、あえてタントテンポに拘束される。
ミーナの生存を知り、真相を探るためにヴィルと接触するが、彼の策略によって事故に偽装され暗殺される。

ザザ・フォッシル
CV:八代拓
「月鋼」2期から登場。ダンタリオンのパイロット。所属は不明。
名乗れと言われた際には「ザザ・フォッシルと名乗っておこう」と返しており、本名かは不明。
アルジ達に保護したセルリアン姉妹(特に妹のミーナ)を渡すように通告している。
実は外伝への登場に先駆けてダンタリオンとともに「ガンダムトライエイジ」に登場している。

ミーナ・ザルムフォート
「月鋼」2期から登場。
実の父であるジルトの謀略に巻き込まれるも生存しており、追手から逃れる為に記憶喪失を装っていた。


脱退・離脱者

ガラン・モッサ
CV.三宅健太
新たに発足したアーブラウ防衛軍に所属する歴戦の傭兵。元ギャラルホルン所属。
詳細は当該項目を参照。

ヴォルコ・ウォーレン
CV:興津和幸
外伝「月鋼」に登場。
ギャラルホルンの一家門であるウォーレン家の嫡子であったが、ウォーレン家は10年前に父親の不正取引疑惑で取り潰されている。
それ以降は付き合いの深かったダディ・テッドの温情により、タントテンポに身を寄せる運びとなった。
脳に埋め込んだ記憶チップの恩恵により記憶能力に優れ、アスタロトの装備の復元や補修も過去のデータを参照する事で可能となっている。
その代償として身体能力、とりわけ空間認識能力が低下しており、歩行するのにも杖が手放せない体となった。
ガンダム・アスタロトの本来の所有者である。

シクラーゼ。マイアー
アプリゲーム『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント』に登場。
金星圏を拠点とする企業「オムデン・コロニー・カンパニー」所属の暗殺者。
元ギャラルホルンの士官だが、上官を殺して組織を脱走した。


保有施設

ヴィーンゴールヴ
地球本部が置かれている超巨大メガフロート。
三胴式の艦船で、右舷は空港施設、中央胴船はマスドライバー、左舷が居住区といった構成。

グラズヘイム
地球軌道上に1、2、3の3基が存在する低軌道ステーション。グラズヘイム1は地球外縁軌道統制統合艦隊の拠点となっている。

アーレス
火星支部本部である低軌道ステーション。
グラズヘイムと同型。


保有兵器

スキップジャック級大型戦艦
その名の通りカツオを彷彿とさせるフォルムをした、アリアンロッドの旗艦。
全長は約800mと、ハーフビーク級の2倍という圧倒的巨大さを誇る。

ハーフビーク級宇宙戦艦
400mクラスの主力艦。連装主砲2基とミサイルランチャー、両側面の対空砲4基を装備し、MS運用能力も備える。
アリアンロッド艦隊は暗い青色、地球外縁軌道統制統合艦隊は白色、ボードウィン家専用艦は薄いパープルに塗装されている。

ビスコー級クルーザー
50mクラスの多目的巡洋艇。構造はかなり簡素で、見た目はかなり箱っぽい。
船体後部下面にMS発着用ハッチがあり、最低でも2機を収容可能。
モンターク商会などの民間団体にも出回っている。

強襲揚陸艦
海上艦。MS複数機の運用能力を備える。

NK-17 ギャラルホルンモビルワーカー
最新鋭MW。主武装は中型単装砲やロケットランチャーの選択式。別途据え付けられた対人機銃やガス弾発射機など、対人装備が充実している。

ヴァルキュリア・フレームMS
厄祭戦末期に開発され、ギャラルホルン主力MSのアーキタイプとなったMSフレーム。

ゲイレール・フレームMS
グレイズ・フレームの先代機。現在は辺境部隊で使用されるほか、退役した傭兵に払い下げられている模様。

グレイズ・フレームMS
ヴァルキュリア・フレームの末裔とでも言うべき、1stシーズン時点での最新鋭機。

レギンレイズ・フレームMS
2ndシーズンにおけるグレイズの後継機。エースパイロットに先行配備が行われている。

ガンダム・キマリス
数少ないガンダム・フレーム現存機。ボードウィン家に伝わる伝統の機体。

ガンダム・ヴィダール
アリアンロッド艦隊に配備されたガンダム・フレーム。

ガンダム・バエル
ギャラルホルンの象徴ともいえるガンダム・フレーム。

ガンダム・アスタロト/アスタロトオリジン
かつてウォーレン家が保管していたガンダム・フレーム機。同家の癒着が暴かれて取り潰された後、傷物として扱われてアングラな市場へ放出される事になった。

ガンダム・ダンタリオン
ザルムフォート家が保管しているガンダム・フレーム機。

ガンダム・グレモリー
ナディラ家が保管していたガンダム・フレーム機。不正の嫌疑をかけられた当主と共に姿を消している。








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最終更新:2024年02月07日 07:47

*1 モビルアーマーの項目に詳しいが、その陣形戦術が作られた当時にはそれなりの意味はあったと思われる。ただ、カルタは「何故そのような陣形を取るのか」という分析をせず、現況向きのアレンジもしないで実行するため、格好の的になってしまっている。