宇宙戦艦ヤマト(作品)

登録日:2009/10/06(火) 03:59:42
更新日:2024/03/18 Mon 03:06:48
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さらば 地球よ 旅立つ 船は

宇宙戦艦 ヤマト


『宇宙戦艦ヤマト』とは、1974年からよみうりテレビ・日本テレビ系で放送されたSFテレビアニメおよび一連のシリーズの名称。

ここでは第一作を中心に解説するが、シリーズ全体についても合わせて記載する。


●目次

【概要】

後の「ガンダムブーム」「エヴァンゲリオンブーム」等のアニメブームの先駆けとなり、社会現象にもなった作品である。
当時としては斬新な試みを多数導入し、SFアニメというジャンルを開拓した記念碑的作品である。
本放送時は裏番組の『アルプスの少女ハイジ』に視聴率で負けて打ち切られたが、再放送の中で注目されるようになり、テレビ版を再編集した映画や続編作品がどんどん作られていった。
最終的には完結編の映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が制作、公開された。
結果、予想以上の大ヒットから社会現象になり、第一次アニメブームを作り上げた。

本来はヤマトシリーズはここで完結するはずだったのだが、制作側が調子に乗って『さらば』の結末を変えた『宇宙戦艦ヤマト2』を制作。
更に、『新たなる旅立ち』『ヤマトよ永遠に』『宇宙戦艦ヤマトⅢ』と次々に続編を制作した結果、毎年毎年侵略者に地球が狙われ、その度にヤマトが撃退するというご都合主義展開に陥り、流石にブームは沈静化。次の『完結編』で本当に完結した。が、『復活篇』でちゃっかり甦る。
あまりの終わる終わる詐欺っぷりに愛想を尽かすファンも多く、後のアニメーション作品でもそのあたりがネタにされたりする。

???「いっそのこと悲壮感を煽るのはどうよ?さらばとか永遠にとか完結編とか。なーに、どうせまた新たなる旅立ちとか言って仕切りなおせばいいんだよ」
???「新作カットの一つや二つ入れておけば、皆コロッと騙せるアル」

本作はプロデューサーの西崎義展が原作を担当し、キャラクターデザインは漫画家の松本零士が担当した。但し松本は1997年に西崎側と版権を巡って揉め、裁判沙汰に発展したため『復活篇』以降は不参加となった。
最終的にこの問題は西崎側の勝訴で収束し、現在の著作権は西崎の会社であるオフィス・アカデミーと東北新社が保有している。
このため本作は『キャンディ・キャンディ』とともに漫画・アニメにおける著作権問題の実例として取り上げられることが多い。


【ストーリー】

西暦2199年、地球はガミラス帝国による侵略を受けていた。
ガミラスは冥王星に作った前線基地から遊星爆弾による無差別攻撃を実行。
人々は地下に潜り地球防衛軍を結成し抵抗するも、海は蒸発し、地上は放射能で汚染され人類の絶滅まであと一年余りとなっていた。
そして最後の地球防衛艦隊が冥王星空域で壊滅し、人類生存の希望は潰えたかに見えた。

しかし、この戦いの最中に外宇宙からやって来た宇宙船が火星に不時着し、通信カプセルが回収される。それは地球の遥か14万8千光年にある惑星、イスカンダルからの手紙であった。地球から放射能を除去する装置、コスモクリーナーDを取りに来るようにという救援メッセージと波動エンジンの設計図であった。
九州の坊ヶ崎沖の海底に露出した戦艦大和の遺跡(実際の大和はまっぷたつになって沈んでいる)を改造して建造されていた宇宙戦艦ヤマトに波動エンジンが搭載され、大マゼラン星雲のイスカンダル星に向かう任務が下される。
主人公の古代進は艦長の沖田十三、レーダー手の森雪、工場長兼技師長の真田志郎、軍医の佐渡酒造とミーくん等のクルーと共にイスカンダルへ旅立つことになる…

と壮大なストーリーだが、3クールから2クールに減らされたため最終回たった1話でイスカンダルから地球へと帰ってくることになった。
すごく好意的に解釈するとすれば、ガミラス軍の猛威をたった一隻で退けたヤマトを畏れて誰も攻撃しようとしなかったからとか、イスカンダルから地球へ戻る時はワープ座標を設定できたため、ワープを多用してすぐに戻れたとか。
ちなみに作品コンセプトは「宇宙における大日本帝國軍VSナチスドイツ」らしい。


【登場人物】

  • 沖田十三
かつて冥王星会戦で地球防衛艦隊を指揮して戦った歴戦の勇士。この戦いで一人息子を亡くしている。
ヤマトの初代艦長に就任後は宇宙放射線病に体を蝕まれながらも指揮をとり、コスモクリーナーDを受け取り、地球への帰還を間近にして息を引き取る。

「地球か……何もかも皆懐かしい…」


と思ったら実は酒造先生の誤診で脳死には至っておらず奇跡的に蘇生していた。そりゃないぜとっつぁん・・・
『宇宙戦艦ヤマト 完結編』では再びヤマトの艦長として指揮を執り、水の惑星アクエリアスから地球を守るためにヤマトを自爆させ、運命を共にした。

昆虫が好きで争いを嫌う優しい性格であったが、ガミラスの遊星爆弾により両親を失い、兄の古代守が冥王星会戦で行方不明(生きていた)になったことから直情的な性格になっていた。
航海の中で性格も改められ、ヤマト戦闘班長として活躍し、沖田の体調不良時には艦長代理としてヤマトの指揮を執った。
その後のシリーズではヤマト艦長として活動しており、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』には娘が出てくる。

  • 森雪
今作品のヒロイン。ヤマトのレーダー手兼生活班長兼看護士。激務にも程がある。
しかもヤマトの女性クルーは彼女一人。
ヤマトがノアの箱舟になる可能性もあるのに女性一人は少なすぎというツッコミが入る。
佐渡先生曰く「大美人」だそうだが性格は勝気で男勝り。
イスカンダルへの航海の中で古代に思いをよせていく。

ヤマトの航海長として活躍する古代の相棒。
Ⅲで副長に就任。

  • 真田志郎
ヤマトの工場長兼技師長。幼い時にあった事故で手足を失い、爆弾が仕込まれた義手、義足をつけている。
波動砲を開発したり、空間磁力メッキ、シームレス戦闘機の開発、デスラー機雷破壊、波動砲発射口に詰まったドリルミサイル逆転、コスモクリーナーD組み立て…と裏で大活躍する。
ただし新兵器はテストしないでぶっつけ本番。
Ⅲで副長に就任。
真田さんといえば「こんなにこともあろうかと」というセリフが有名だが、実は漫画版最終回とヤマト2の十話でしか使っていない。


  • 佐渡酒造
ヤマトの軍医。部屋はヤマト唯一の畳敷きでちゃぶ台もある。お酒大好きで治療中にお酒を飲むことも。
実は獣医で動物病院を持っている。

松本零士作品ではスターシステムでよく似た医者キャラが頻繁に登場する。
特に『惑星ロボ ダンガードA』では名前も見た目もそのままで登場した。

  • ミーくん
サイボーグ猫じゃない。松本零士作品お馴染みの虎縞のぬこ
佐渡先生の愛ぬこで、ぬこだが前足で器用にお酒を飲む。お酒を飲むのである。大事なことだから二回(以下略

  • アナライザー
調査分析用ロボット。ロボットなのにお酒に酔う。酒気帯びでデスラー機雷除去作業に参加したことあり、バラバラになったら真田さんに直してもらう。
あとセクハラ常習犯。機械むき出しのドラム缶ボディとは正反対な人間味豊かな性格。

  • 徳川彦左衛門
ヤマトの機関長。沖田艦長とは古くからの友人で、兄を見殺しにされたと逆恨みしていた古代の誤解を解いた。『さらば宇宙戦艦ヤマト』『ヤマト2』では機関室被弾時に死亡した。
彦七、太助という息子がおり、太助は『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』で登場する。

ガミラス帝国の総統。紳士的な性格で下品な男は大嫌い。ダジャレを言った部下(「総統も相当冗談がお好きなようで〜」)を容赦なくSATSUGAIした。
ガミラスに下品な男は不要だ

ヤマトとの戦いに破れデスラー艦(ガミラスの総統府そのまんま)と共に死んだ、と思われたが生きていた。その後はガミラス再建のために奔走し、完結編まで生き延びた。さすが総統。
元々皮膚の色は肌色だったが、赤絨毯を歩いている中に何故か段々青くなっていった。

冷酷な独裁者だが、その目的はあくまでガミラス民族の繁栄の1点にのみ向けられており、当時としては斬新な「敵ではあるが悪ではないラスボス」となった。

  • ヒス
デスラーの側近。腰巾着に見えて暴走するデスラーへの諌言も行う組織人としては真っ当な人物。

ガミラス帝国の将軍。宇宙の狼の異名を持ち、的確な指揮でヤマトを追い詰めた。
しかし部下から見ればパワハラ上司、上司から見ても独断専行が過ぎる性格でもあり、それが彼の首を絞めることとなる。

ガミラス帝国の太陽系方面の指揮官。
物語的にはかませ犬だが指揮そのものは決して悪くなく、デスラーに突き放されても最後までガミラスに対して忠義を尽くした。

【メカニック】

宇宙戦艦ヤマト
※詳細は項目参照。

元々は選ばれた人類と生命種を乗せて地球を脱出するノアの方船として建造されていたが、波動エンジン搭載後はイスカンダルへの航海へと計画変更され活躍する。
その後は毎年毎年恒例行事のように現れる侵略者を次々と撃退していく。
度々地球の危機を救うために巨大戦艦に突っ込んでいったり、氷柱の中で氷漬けになったりするが、すぐ直る。
最新作となる『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』では波動砲を六連発まで発射できるように改造された。



【シリーズ一覧】

オリジナル

いわゆる旧シリーズ。ヤマトの遠大な歴史の大半はこちら。
以下、第二作目以降は制作された作品の序列ではない事に注意(2とさらば等の他、劇場版の違いは同作扱い)。

記念すべき第一作。
ガミラスとの戦いと、イスカンダルへの旅路を描く。

  • 宇宙戦艦ヤマト2
第二作目。
ガミラスとの戦いに勝利し急速に復興した地球だったが、かつての苦難を忘れ去ったかのように平和と繁栄を享受し、
危機感のない日々を送っていた。そんな折、古代たちは突然受け取った救難信号の出所に向かう。
恐るべき軍事力を持った白色彗星帝国との激闘が描かれた作品。

元々本編シリーズ第二作目だったが、続編を作るために黒歴史化されてしまった。
評価自体は非常に高いが結末には賛否両論。大まかな設定や展開は2とほぼ同じ。

  • 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
第三作目。旧シリーズでは唯一のテレビスペシャル放映。
白色彗星帝国との戦いから1か月後、暗黒星団帝国からイスカンダルとガミラスを守るために戦う。
本作から各勢力の艦艇の攻撃が大まかに色分けがなされ、勢力別に分かりやすくなっていく。
本作では地球=青、ガミラス=赤(ピンク)、暗黒星団帝国=緑が攻撃の基本カラーである。

  • ヤマトよ永遠に
第四作目。唯一タイトルに「宇宙戦艦ヤマト」の文字を持たない。
地球に目を付けた暗黒星団帝国が侵略を開始。決着まで描かれる。
メカニックの描写がより精密になったほか、レギュラーメンバーであった森雪が別行動になる等の特徴がある。
技術的にはワープ・ディメンション方式と呼ばれる劇中でのアスペクト比変更が話題になった。
このあたりから、勢い任せのストーリーを圧倒的なクオリティの映像美と音楽でゴリ押すというスタイルが顕著になった。

  • 宇宙戦艦ヤマトⅢ
第五作目。
前作からおよそ3年後。
新生ガミラス帝国とボラー連邦の宇宙戦争と、第二の地球探しを描く。

シリーズ一応の完結作。
ボラーとガミラスが壊滅的被害を被った大災害により、地球に新たな危機が迫る。
水惑星アクエリアスの接近と、ディンギル帝国との戦いを描いた。

25年ぶりの旧シリーズ最新作。
前作から38年後の古代とヤマトの活躍が描かれる。

リメイク

いわゆる新シリーズ。
現代向けに再構築されているので、今から旧作を見るのに抵抗がある新規の方はこちらからどうぞ。
基本的にスペースオペラである旧シリーズと比べると、SF作品としての側面が強くなっている。

第一作のリメイク。旧作のストーリーをベースに現代風の改変が入っている。
が、尺が足りない点まで旧作通りになっているのでいくつかの謎が次回作に持ち越されることになった。
プラモデル展開を盛んに行ない、100億円規模の大ヒットを記録。
帰路を描いた劇場版『星巡る方舟』も公開された。

2199の続編にして、さらば&2のリメイク。
やや癖の強い作風で賛否両論ながら前作で消化不良になっていたデスラー関連の描写は好評。
新規エピソードの豊富な総集編『ヤマトという時代』も製作されている。

2202の続編にして『新たなる~』のリメイクだが、Ⅲの要素を入れたりしている。
2199や2202が2クール分を7章に分けて公開していたのに対し、2205は8話分・前後編とコンパクト。
なお、制作スタジオ・監督が『マクロスΔ』と共通しており、前編は『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』と同日に公開された。
次回作となるヤマト3199の序章という位置づけになっている。

  • ヤマトよ永遠に REVEL3199
2199シリーズ第4作目。
永遠にとⅢのリメイクと思われるが現時点では詳細は不明。


外伝作品

旧シリーズの遥か未来の物語。そういう意味では一応正当作品なのかもしれない。
制作会社の倒産で打ち切りになった不遇の作品。

  • 新 宇宙戦艦ヤマト
漫画作品。旧ヤマトから1000年後の世界で古代たちの子孫と超強化されたヤマトが戦う。
しかし掲載紙の廃刊によってたった2巻発売されたところで未完に終わる。映画化の予定もあったが当然なくなった。

第一作を題材にした*1実写映画。主演は(当時)SMAPの木村拓哉。
大胆な設定変更と演者に寄せたキャラクター造形には賛否あるが、光るところも少なくない。

  • 大ヤマト零号
版権でもめていた時期に作られたOVA作品。
主役メカである大ヤマト零号はヤマトそのものであるし、登場キャラは松本零士デザインであるがヤマト原作とは一切のつながりがない。
ヤマトのそっくりさんが出るだけの、まったく別のアニメと思っていいだろう。

  • 宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ
Webコミックサイト『コミックNewtype』にて連載された漫画。作・吾嬬竜孝。
『一人一隻ずつの戦艦を駆る少年少女のチームが宇宙からの侵略者と戦う』というあらすじからもわかる通り、これまでの作品とは全く異なる「新しいヤマト」を標榜して制作されている。
表面上『ヤマト』と呼べる要素は主人公が駆る『ヤマト艦』とその必殺武器である『波動砲』のネーミング程度にとどまっており、SFガジェットを巧みに生かした壮大な物語展開が特徴。

【余談】

現在ではプロデューサーの故西崎義展氏が「原作者」としてクレジットされているが、この西崎氏の最後は「持ち船『YAMATO』でクルーズ中、病身を押して泳ごうとして転落溺死」という皮肉なものだった。
また、松本零士作品では世界観を共通する(遠い未来という設定)銀河鉄道999や宇宙海賊キャプテン・ハーロックの近年の作品にもチラッと登場したりする。

主題歌「宇宙戦艦ヤマト」はアニメ史に残る名曲として知られており、現在も高校野球の応援や呉線の接近メロディーとしても使用されている。
作曲を手掛けた宮川秦氏はこの楽曲を出棺時にかけてほしいと遺言で残しており、2006年3月25日の葬儀時にその願いは果たされた。

この歌は2番までしか無いと思われがちだが、実は3番と4番も存在する。一度雑誌の中に掲載されたのだが、3番4番の歌詞が世に公表されたのがこの一回きりであり、それ以降メディアには一切登場せず、CD化もアルバム収録もされないまま。どうしてこうなった…


こんなこともあろうかと、追記修正しておいたんだ!




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最終更新:2024年03月18日 03:06

*1 一部に『さらば』『完結編』のオマージュも含む。