ゴブリンスレイヤー

登録日:2016/02/23 (火) 17:33:20
更新日:2024/03/18 Mon 17:29:01
所要時間:約 57 分で読めます





【ご注意】本作には、『鬱展開、暴力的、性犯罪』などの過激な描写が含まれます。




俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ。

●目次

◆概要


ゴブリンスレイヤーとは、◆CoNaNQHQik/蝸牛くも氏によるweb作品及びライトノベルである。
小説版はGA文庫から発行。挿絵は『神曲奏界ポリフォニカ』の神奈月昇氏。
既刊は16巻。派生作品として「ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン」も2巻刊行されている。
2018年10月からTVアニメも放送開始。キャストは基本的にドラマCDで演じた声優が同じ役柄で続投している。
2019年5月には、原作者全面協力でグループSNEが制作した『ゴブリンスレイヤーTRPG』が発売。
「ゴブリンを殺すだけじゃない、世界を救え!」のキャッチコピー通り、本作の世界観を忠実に再現したRPGで実際にTRPGがプレイできる。
そして、2020年2月には原作5巻のエピソードを映像化した『ゴブリンスレイヤー ‐GOBLIN'S CROWN-』が劇場公開。

web作品、といっても原作は要するにやる夫スレ
ただしやる夫ややらない夫といったやる夫ファミリーの系譜は本編・外伝を問わず出てこない*1
そのため原作には版権キャラが配役されているが、作者曰く彼らは「神々が遊ぶ何処かの誰かのTRPGのプレイヤーキャラクター」である。
それ故に、小説版では固有名詞がゴブリンスレイヤー以外存在しない。そのゴブリンスレイヤーもいわゆる通称であり、本名は登場しない(当然原作でも明かされない)。

なお、厳密に言うと書籍化されたのは「やる夫スレを応募用に小説の形に直した物」であり、やる夫スレが直接書籍化された訳ではない。
とはいえ小説版のイラストでは元の配役を意識したデザインが施されていて見ものである。
またWebからの書籍化ということで誤解されがちだが、そのテの作品に多い「小説家になろう」出身ではないし、
そもそも小説版はWEB公開されていないので厳密に言うとWeb小説ですらない。

タイトルの元ネタはニンジャスレイヤーだが、そもそもが「ニンジャやドラゴンではなくザコを専門に狩る冒険者とは何者だろう?」という発想のため、
どちらかと言うとTRPGを意識した要素の方が大きく、各所で過去TRPGを知るとにやりとなるネタが多数存在(TRPG版発売以降はグループSNE作品のオマージュも増加)。
他にも古典ファンタジー小説のパロディやオマージュが多い。*2

「技量点」「経験点」などゲーム的な用語が出てくるが、これは往年のゲームブックに対するオマージュで、いわゆる「なろう系」に登場する「ステータス画面」や「スキル」とは完全に無縁。
本作にHPやMPというわかりやすいものは無く、斬られれば腕が飛び、殴られれば頭が潰れ、急所に一撃をもらったりすれば即死する。
魔法や奇跡は個々人によって差はあるが基本的に一日に数回しか使えないため、慎重に節約して使うのが常識とされており、
例え熟練の冒険者であっても、装備を整え、智慧を巡らせ、必死に戦わなければ冒険に勝つことは難しい世界である。



◆あらすじ


宿命と偶然の神さまたちが、どちらが世界を支配するのかを賭けたサイコロ勝負の盤上世界。
とある辺境のギルドには、高い実力と知恵を持ちながら、それを低級の魔物であるゴブリン退治だけに振るう冒険者がいるという。
初めての冒険でゴブリン退治に挑んだ女神官、パーティがピンチに陥った彼女を助けた人物こそ、ゴブリンスレイヤーだった。
これはそんな頑固で偏屈で変わり者の冒険者が、様々な人との出会いを経て……ちょっとだけ前向きになる物語。


◆登場人物


ゴブリンスレイヤーと関係者

ゴブリンスレイヤー(CV:梅原裕一郎、松田颯水(幼少期))
AA版配役:さまようよろい(ドラゴンクエストシリーズ)などメンポには怖ろしい字体で鬼殺の文字が
配役のさまようよろいはネタとして使われる事もある。
新人でも着ないような薄汚れた装備で身を固めているが、その実力は銀等級*3の冒険者であり、“小鬼を殺す者”。物語開始時点では20歳と意外と若い。
鉱人(ドワーフ)からは「かみきり丸」、森人(エルフ)からは「オルクボルグ」と呼ばれる*4他、『辺境最優』の冒険者として一応世間的にも名前が通っている。

ゴブリンを殺すためにあらゆる手を尽くす、ゴブリン退治のベテラン。
ゴブリン退治の実力はまさしく一流で、ゴブリンの生態や種類、行動パターンを熟知しており、
薄汚れた革鎧に安っぽい鉄兜、中途半端な長さの剣に使い古した盾という、洞窟内における対ゴブリン装備で身を固めている。
しかし、用途を知らなければみすぼらしく見える装備とゴブリン退治以外一切興味がないように見える偏屈な人格から、
周囲の冒険者にはベテランから駆け出しまで「実力あるくせにザコ狩り専門」「なんか変なの」とあまり受けが良くない。
一方で身近な脅威であるゴブリンを積極的に退治してくれる事から一般人受けは意外と良く、
特に実態が知られていない遠方では「民衆のヒーロー」「英雄」的な評価が独り歩きしている事も。
基本的に寡黙かつ皮肉や冗談があんまり通じないが、生真面目かつ律儀な性格で、人一倍分かりにくいが周囲には割と気を配っている。そこがモテる秘訣か
ただ、人付き合いの経験が少ないために女性の心の機微などには疎い朴念仁で、女神官や牛飼娘などにそういった言動を窘められることも。
本人の言動や常時兜をかぶっている姿から誤解されがちだが、これでも1巻時点で20歳であり、
挿絵で描かれた素顔は、口元のみだが年相応の(見ようによっては中性的な)面立ちで、「意外と美男子」「戦士の面構え」など、周囲の受けも割と良かった。

その戦術は和マンチの権化徹底的で、奇襲に罠は当たり前、火攻め水攻めも躊躇せず実行し、
剣を帯びてはいるが必要に応じて投擲することもいとわず、使い捨ててはゴブリンの屍から武器を調達するなどなんでもありのスタイル。
暗闇でゴブリンを殺すための練習に、足音なく歩く歩行法や、貪欲に学んだ科学知識、粉塵爆発など、体術から知識まで、持てるものはなんでも使う。
例えば弓矢を扱わせても、数十メートル離れたゴブリンを射抜く等、多種多様な武技を高いレベルで修得している。
中でも投擲には自信があり、本人曰く「只人の最大の武器は投擲」。紐状のスリングや即席の投槍器での射撃から、素手による武器や石・目つぶし等の投射まで様々なものを投げている。

装備に関しても、機動力を損なわない革鎧に毒が塗られた刃や鏃を防ぐ鎖帷子、頭を万遍なく防護する鉄兜と、対ゴブリンに特化したチョイスであり、
さらにはゴブリンの死骸から採取した血や糞尿などを塗ることで臭いを誤魔化し、なるべく接敵するまでゴブリンに自分の存在を感知させないように工夫している。
武器については、洞窟でも取り回しやすい小剣と後述する投げナイフを帯びていくが、小剣は最終的に投擲して使い潰すことが多い。
また万が一自分が斃れた後の二次被害等を考慮して、あえて安手の(=ゴブリンが装備しても大した被害にならなそうな)装備のみを使用している。
と、一見薄汚れた安っぽい装備に見えて、その実ゴブリンスレイヤーなりに考えて選んだゴブリン退治に最適な装備であり、仮に「ゴブリン殺しの魔剣」なるものがあったとしても使わないという。
なお、現状明らかになっている装備で一番高価なのは金貨四枚で買った南洋式の投げナイフである。

ただし、銀等級の技能とは本来、得意分野に関しては武技一つとっても魔法と見紛う程に卓抜した達人の域にある。
ゴブリンスレイヤーの各技能は(ある敵の見立てでは)第5~6位の紅玉~翠玉等級に留まるので、銀等級として評価するとその技量は低い。
身体能力も含め、あくまでヒューマン・ファイター・オトコの範疇に収まっており、純粋な力量勝負では苦戦することが多い。
格下の相手であっても確殺するために不意打ちを行っており、強敵との対決では負傷する事もしばしば。
悪く言えば器用貧乏だが、良く言えばあらゆる局面に対応するオールラウンダーでもあり、戦士と言うよりは野伏(レンジャー)や斥候としての性質が強い感がある。
もっとも実力がないというわけでも決して無いので、重戦士・槍使いと共に斥候として臨時パーティーを組んだ時は、特に示し合わせずとも彼らの動きに合わせて敵を打ちのめすぐらいの実力はある。

ゴブリンが人を襲う理由を自分がゴブリンを殺す理由と重ねており、自身の事を「ゴブリンにとってのゴブリン」と例えている。
ゴブリン以外を積極的に殺そうとはしないが、自分を殺そうと襲い掛かってくる相手は例え怪物だろうが人間だろうが容赦なく始末する。
過去については外伝「イヤーワン」の1巻にて詳細に語られており、10歳の時に故郷がゴブリンに襲われて壊滅し、慕っていた姉も目の前で嬲り殺されたこと、
圃人(レーア)の老人に拾われて和マンチ化鍛えられていたらしい事が明らかになっている。

複数の女性から好かれているが、過去の経験もありゴブリンばかり殺しているため恋愛感情を表に出すことはなく、ハーレムエンドになるかは不明。
また、重戦士や槍使いを始めとして巻が進むにつれて気安く挨拶する同業者なども増えてきており、「なんか変なの」という評価に変わりはなく、やっぱり新人にはぎょっとされるが、
煙たがれるというよりギルドの名物として扱われている等、周囲からの奇異の視線も和らいできている。

本人の心境にも巻が進むに連れ変化が起きており、一党から頭目として見なされるようになってからはそのことで色々と考えを巡らせるようになったり、ゴブリン退治以外の冒険も「楽しい」と思えるようになってきている。
しかしそういった冒険の間でもゴブリンの脅威が頭から離れることはなく、自分はやはりゴブリンスレイヤーなのだと改めて認識もしている。


女神官(CV:小倉唯
AA版配役:女僧侶(ドラゴンクエストⅢ)
神殿で育った孤児で、ゴブリンスレイヤーとパーティを組んでいる新米の神官。一巻時点で15歳。扱い的にはヒロインの一人。
信仰する地母神に祈祷することで『小癒』と『聖光』の奇跡を一日に三回(各三回ではなく合計で三回)まで起こせる。これでも新人としては才能がある方。
後に修練によって『聖壁』と『沈黙』、『浄化』の奇跡を授かり、特に『聖壁』は幾度となく一行を助けているが、当人的には『聖壁』を一番使っている現状に思う所がある模様。
華奢な体格故に戦闘は不得意だが、3巻の儀式の経験を活かしてゴブリンの接近を阻む程度の杖捌きを、師匠(?)直伝のスリングを用いた投擲術をそれぞれ習得。
ゴブリンスレイヤー譲りの戦闘におけるしたたかさや咄嗟の判断力も養われ、冒険者らしくなっていくが、妖精弓手には「ゴブリンスレイヤーに似てきた」と少し嘆かれてもいる。

優しく慈しみ深い少女で、何かと(彼女視点で)無茶するゴブリンスレイヤーを放っておけず、彼の初めての固定パーティーメンバーとなる。
組んだ当初は彼に振り回されていたが、付き合いが長くなるにつれてその言動に慣れていき、意見や提案をしたり、時には満面の笑顔で彼の反論を封殺したりと良き相棒になっていくが、
同時に、ゴブリン討伐依頼でなくともゴブリンが出現すれば無意識に倒すことを前提としてしまうなど、彼から変な影響も受けつつある。
そうした影響や惨事への「慣れ」、トップクラスの先輩達に混ざっている新人という立場等から「冒険者として、神官として、自分はちゃんと出来ているのだろうか」と悩むことも多く、
7巻ラストでは仲間を助けるためとはいえ『浄化』の攻撃的拡大解釈をしてしまい、地母神から「もう二度とこんな使い方をしてはいけない」という強い警告を受けてエンディングでも鬱屈としていた。
15歳ということで、背も胸もそこまで大きい方ではない。金床よりはマシだが

小説版では初の冒険でゴブリン退治に挑んだ際、パーティがピンチになり、その時にゴブリンスレイヤーに助けられたというエピソードが描かれた。
また本編中ではリバースしたり、限定版カバーでは服がぼろぼろの中破状態になったり、カラー口絵では聖水まで描かれ、2巻カラー口絵でひん剥かれ、限定メタルカバーに掲載されるなど色々悲惨。
6巻までは1段昇格しただけの黒曜等級のままであったが、6巻終盤でようやく鋼鉄等級へ昇格した。12巻時点では青玉等級まで昇格し、名実ともに中堅の冒険者となった。
AA版の配役はあのピッチリタイツで有名なDQ3の女僧侶だが、小説版では露出度控えめの普通のデザインになっており、帽子も箱状の物から丸みを帯びた横に大きい物になっている。
3巻では祭りに際し、露出度の高い衣装を着用していた。ホイミスライムとか言うな。


牛飼娘(CV:井口裕香
AA版配役:御影アキ(銀の匙
ゴブリンスレイヤーの幼馴染み。ギルドの近くの叔父の牧場で彼の手伝いをしつつ暮らしている。一巻時点で18歳。今作におけるもう一人のヒロイン。
明るく元気な性格の持ち主で、ともすれば年齢より幼く見えることもあるが、身体は本人が悩みの種とするほど色々と育っている。その胸は豊満であった
彼女の作るシチューはゴブリンスレイヤーの好物*5であり、よく作ってあげている他、たまに彼の側からリクエストされることも。

些細な仕草や反応から人一倍分かりにくいゴブリンスレイヤーの内心や気遣いを正確に感じ取り、その気持ちを慮りながら接する、ゴブリンスレイヤーの数少ない、そして一番の理解者。
その幼馴染への理解度は、ゴブリンスレイヤー本人も「自分よりも自分のことを理解している」と内心で認めるほど。
やはりその過去は断片的にしか描かれていないが、ゴブリンスレイヤーとは幼い頃は隣人同士でよく遊んでいたこと、
故郷がゴブリンの襲撃を受けた時には偶然叔父のところに行っていて助かったことなどが語られている。

「イヤーワン」では「ゴブリンスレイヤー」となった彼と再会した時の話なども語られており、実質ヒロイン。過去のトラウマから引きこもりのようになっており、髪も伸ばしていた。
一方で、顔も見えず、声を聞いてもないのに、偶然見かけたゴブリンスレイヤーを数年前に別れたきりで死んだと思われていた幼馴染だと直感して声をかけるなど、彼への想いは昔から強かったことがうかがえる描写も。
AA版では御影アキが配役されているが、AA数の都合から一部にアイマスの及川雫のAAも使用されている。やる夫スレではよくあること。


受付嬢(CV:内田真礼
AA版配役:千川ちひろ(アイドルマスターシンデレラガールズ)
ギルドで冒険者相手に、依頼の手続きをこなすお姉さん。鬼でも悪魔でも魔神でもありません。あと熊本弁も喋りません。
同業者に受けが悪いゴブリンスレイヤーを、陰になり日向になり支える内助の人。年は23歳ほど。
被害が多い一方で、駆け出し以外が手を付けないゴブリンの依頼に手を焼いており、そのゴブリン退治を率先して引き受けるゴブリンスレイヤーには深く感謝している。
というか露骨に一人だけ非営業スマイルを向けたり紅茶を入れたりと対応が違うため、同僚も気を回して彼の対応は彼女に一任している。

ゴブリンスレイヤーのパーティーメンバーとも他の冒険者たちよりは親しくしており、特に同性である女神官と妖精弓手に関しては姉妹(どちらと接する時も姉側)のような接し方をしている。
ギルドに配達に来る牛飼娘とも顔馴染みで、朴念仁な共通の想い人について相談し合ったり、共同戦線を張ったりと、仲の良い友人関係を結んでいる。
槍使いから好意を抱かれており、アピールされているがこちらは軽くあしらっている。別に嫌っているわけでもなく、頼りになる冒険者だとも思っているが、それと恋愛的に好きになるかどうかは別の話とのこと。
ちなみに好みの相手は「ストイックな冒険者」。つまりゴブリンスレイヤーは彼女のストライクゾーンど真ん中ということになる。


妖精弓手(CV:東山奈央
AA版配役:シノン(ソードアート・オンライン)
森人(エルフ)の野伏(レンジャー)。
少女……に見えて森人という種族のご多分に漏れず長命。ちなみに2000歳。その胸は金床であった
かといって年季が入っているというとそうでもなく、感情が素直に顔に出る分かりやすい性格をしており、
年下の鉱人道士にからかわれて喧々諤々のやり取りをするのが恒例行事と化しているが、銀等級=第三位ということもあって、その弓の腕は魔法と見紛うほどの達人級のワザマエである。

また、道行く者が思わず目を見張ったり、悪戯っぽくウインクしただけで少年の冒険者を照れさせてしまうほどの美貌の持ち主でもあるが、
金ど…もとい、スレンダーな体格や明るく忙しない言動からか、ゴブリンスレイヤー一行を始めとする親交の深い者が彼女を美人扱いすることは稀*6
さらに、休みの時は昼まで寝ていたり、基本的に肌着を付けていなかったり、片付けを全くしないために部屋は散らかり放題と、私生活はかなりズボラ。
ゴブリン退治の専門家ということでゴブリンスレイヤーに依頼を持ち込むも、当初は彼を快く思っていなかった。
が、共にゴブリン退治を行ったことで彼に「冒険をさせたい」と考えるようになり、その後一緒に多くのゴブリン退治をこなし、気心も知れてきたことで、
当人は「すぐそういう話に紐づけるのは只人の悪い癖」と否定しているが、周囲からはゴブリンスレイヤーに恋心を抱いているのではと思われている。
なお、森人の中でも神代の妖精の血を継ぐとされる上森人(ハイエルフ)であり、7巻にて故郷ではお姫様の身分であることが明かされた。
ちなみに故郷は熱帯気候の密林にあり、名物は森人秘伝の特製焼き菓子*7や森で取れるキャッサバやバナナ。前者は度々妖精弓手が他の冒険者に振る舞っており、美味しい上に栄養満点と評判。
菜食中心で肉食はせず*8、故郷ではがタンパク源とされている*9


◆鉱人道士(CV:中村悠一
AA版配役:ネテロ(HUNTERXHUNTER)
鉱人(ドワーフ)の精霊使い。白髪に長い白髭、やや年寄り臭い言動から老人に見えるが、種族的には実は若者。
(鉱人は森人ほどではないにしろ長命種であり、寿命は300歳ほどで、彼は107歳。)
明朗な人物で、職人気質のゴブリンスレイヤーを気に入っており、彼をフォローする場面が多い。
妖精弓手をからかい、蜥蜴僧侶と支援を行い、女神官を気遣うなどパーティのムードメーカー。
一方でパーティ最年長が色々とアレなので年の功役も担当している。

妖精弓手とは種族的な対立もあってよく言い合いをしており、時に丁々発止のやり取りをして特に初見の人を驚かせるが、
本気で互いに嫌い合っているというわけではなく、実際のところは彼らなりのコミュニケーション。
彼らと知り合って間もない頃はそのやり取りに目を白黒させていた女神官も、付き合いが長くなるにつれて特に問題が無ければ聞き流すようになった他、
妖精弓手の故郷に行く話では、彼女の義兄となる従兄の上森人に彼女のことを頼まれ、他の男性陣と共に鉱人道士も(ややぶっきらぼうに)頷いている。

精霊使い(シャーマン)として様々な触媒を用いて一日に四回ほど相手を酩酊させたり、石礫を放ったり、落下速度を遅くしたりと、様々な術を行使することができる。
術の手管が多く、応用が利きやすいのもあるが、何よりも彼自身の経験から来る状況判断と術の運用が的確なことから、
ゴブリンスレイヤーからは「自分の知る限り、最も頼もしい呪文遣い」と高く評価されている。
また術以外にも手斧や投石といった物理攻撃もこなすが、鉱人ということで手足が短く機動力が低いのが弱点。

その他、食べることが好きな種族柄もあってか料理の腕前もかなり高く、パーティーでの野営で調理を担当したり、
冒険者ギルドの厨房を借りて鍋料理を作り、ギルドにいたパーティメンバーを含めた同業者に振る舞ったりしている。
酒好きでもあり、腰には鉱人特製の火酒が入った酒瓶を吊っていることが多く、冒険中でも構わず呷る他、気付け薬代わりに仲間に振る舞うことも。
ちなみに火酒の度数はかなり強いらしく、女神官が初めて呑んだ時には思わず咳き込んでいる。

余談だが、彼が精霊使いになった理由は種族の正道(重戦士)に進まない俺かっけー的な若者らしい反抗心によるものである。


◆蜥蜴僧侶(CV:杉田智和
AA版配役:キヨナリ・ウルキアガ(境界線上のホライゾン)
蜥蜴人(リザードマン)の僧侶。いわゆる竜司祭(ドラゴンプリースト)。
妖精弓手たちのパーティのまとめ役で、武人気質。
蜥蜴人ということもあって強面で大柄ながら、人当たりが良く冗談も口にする穏やかな人柄であるが、
「異端を殺して階位を高め竜になるために冒険者になった」と平然と言い放ったり、怪鳥音と共に敵に襲い掛かったりと特に戦闘時には猛々しい。
ちなみに、ゴブリンスレイヤー・女神官も交えた初冒険で彼から饗されたチーズを初めて口にして以来、チーズやそれを使った料理が大好物となり、
牛飼娘の牧場製のチーズを時にゴブスレ経由で購入したり、酒場で「チーズを使った料理がある」と聞いて目を輝かせたりするように。おお、甘露!

蜥蜴人という種族の特徴上、一党では最も戦に関して造詣が深く、ゴブリンスレイヤーが彼に「どう見る?」と意見を求め彼が見解を示し、
それを受けてゴブリンスレイヤーが戦闘の方針を定めるのが一連の流れとなっている。

戦闘では竜司祭として一日に4回、先祖である竜の力で骨を媒介に武器や竜牙兵を創り出せるほか、蜥蜴人の特性を生かした近接格闘能力にも長ける。爪!爪!牙!尻尾!
作者曰く、バックグラウンドを含めた設定が作中で一番多いキャラ。あと実は恒温動物だが、寒さには人並み以上に弱い。


◆伯父/牧場主(CV:林大地)
AA版配役:イワーク・ブライア機動戦士ガンダムAGE
町外れで牧場を営むことを強いられている中年の農夫。牛飼娘の伯父(実妹が牛飼い娘の母)。
故郷を失った彼女を引き取って育て、地縁のあるゴブリンスレイヤーに部屋を貸している。
彼がゴブリン退治に拘る姿をあまり良くは思っていないが、さりとてその事情・心情はわかるだけに邪険にもできず、
本当の娘のように育ててきた牛飼娘が彼に思いを寄せていることもあって、複雑な心境のままその行動を見守っている。
事実上天涯孤独の身の上であるゴブリンスレイヤーの保護者のような自覚もあるのか、
ドラマCDでは受付嬢に彼の仕事ぶりやギルド内での評価を聞き、複雑そうながらもどこか安心したような反応をしたことも。


◆姉(CV:上田麗奈
AA版配役:高坂桐乃(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)
ゴブリンスレイヤーの姉。牛飼娘にとっても幼馴染のお姉さんとして身近な存在であった。
両親をゴブリンスレイヤーがまだ幼い頃に喪い、以来、親代わりとなって彼を育ててきたが、
10年前に故郷がゴブリンの群れの襲撃に遭い、ゴブリンスレイヤーを家の中に隠して「絶対動かないように」と告げた後、
家に押し入ってきたゴブリンたちに隠れている弟の目の前で嬲り殺しにされ、おそらく遺体も解体されて食われたと思われる。
外伝等で描かれた容姿は、ハイティーンくらいの年頃の長い髪を先端で軽く結んだ、どことなく受付嬢に似た容姿の薄幸そうな女性。
既に故人となった現在でもゴブリンスレイヤーや牛飼娘にはその死や人柄を悼まれ、偲ばれており、
「姉を嫁にいかせてやれなかった」ことを悔いたり、「彼女を義姉と呼ぶ」夢を見て涙の痕を残しながら起きたりしている。


槍使いの一党

◆槍使い(CV:松岡禎丞
AA版配役:ランサー(Fate/stay night)
ベテラン冒険者の一例として登場。銀等級。『辺境最強』として知られており、ルックスや人当たりが良いために人気も高い。
受付嬢に気に入られようと日々精を出しているものの、生憎と彼女の好みのタイプではないのであまり相手にされてない。
ゴブリンスレイヤーの事は(受付嬢に気に入られていることもあって)気に入らない様だが、決して悪い人物ではない。
「自分はお前の友達でも何でもないが冒険者だから」と、ゴブリンロードの襲撃時には酒代で彼の依頼に手を貸す。
その後も彼に頼まれて物資を運んできてくれたりと腐れ縁のような間柄になりつつあり、雰囲気の違いから彼が荒れていることを察したことも。
臨時でパーティーを組んだ際も、ゴブリンスレイヤー(と重戦士)の脳筋的方針に愚痴をこぼしながらも息の合った動きを見せた。
実は読み書きを教わっていないため識字能力が無い。依頼文書は読み上げてくれる業者に頼んで把握している。

◆魔女(CV:日笠陽子
AA版配役:ソーサレス(ドラゴンズクラウン)
ベテラン冒険者の一例で銀等級。魔女としての技量も高く、日常生活でも魔術を行使している*10ほど魔力に余裕がある。
登場する度に肉感的と強調される美女で、ミステリアスな言動もあって男性陣の目を惹きやすいが、基本的には槍使いと組んで依頼をこなしている。
途切れ途切れに聞こえるほど、ゆっくりとした独特の口調で話す。
言動も余裕のあるお姉さんといった風情で、女神官も一人の女として彼女の振る舞いに憧れているなど、
女性メインキャラクターの中でも随一の大人な女性ではあるが、想いを寄せている槍使いの発言にむくれるなど時折可愛らしい面も覗かせる。
なお、好意を寄せた切っ掛けは新人時代に助けてもらったからだそうで、受付嬢がそれとなく事情を察して槍使いに彼女を紹介し、よく組むようになったとか。
対ゴブリン用の魔法アイテムの供給先としてゴブリンスレイヤーともそれなりに交流がある一方、彼と行動している女神官を気遣っている。
受付嬢がゴブリンスレイヤーに想いを向けていることも察しており、彼と話している時には気を回して槍遣いを静かにさせたりもする。


重戦士の一党

◆重戦士(CV:濱野大輝)
AA版配役:ガッツ(ベルセルク)
同じくベテラン冒険者の一例。銀等級。女騎士ら複数名とパーティを組んでいる。
彼が率いているパーティーは『辺境最高』と名高く、リーダーの彼自身も一目置かれている。
初めての冒険では洞窟内で大剣を振り回そうとして引っかかり、大ピンチになったことを未だに笑われるが、その実力はギルドの中でもトップクラス。
実は彼の故郷の村をゴブリンスレイヤーが助けた事があり、その事に恩義を感じている。この件は『イヤーワン』で描かれている。

巻が進むにつれて(元々あまり悪感情はなかったようだが)ゴブリンスレイヤーに親しげに接することが多くなり、
同じくゴブリンスレイヤーと腐れ縁になりつつある槍使いと共に、彼と男の友情を築きつつある。
ゴブリンスレイヤー、槍使いと三人で臨時パーティーを組んだ際は、そのリーダーシップもあって自然と頭目を務めることとなったが、
その際の戦略や冒険の嗜好はゴブリンスレイヤーとそっくりの脳筋ぶりで、槍使いを辟易させた*11


◆女騎士(CV:藤井ゆきよ)
AA版配役:アグリアス(FINAL FANTASY TACTICS)
自称秩序にして善なる聖騎士志望。重戦士のパーティメンバー。
冒険者としての腕前は確かだが、重戦士が後輩に稽古をつけているところに乱入したり、
婚期を気にして酔っ払った風を装って重戦士と既成事実を作ろうとしたり、
別に自分とは関係のない冒険者同士の揉め事に「面白そう」と言わんばかりの顔で首を突っ込んだりと自由人で、
重戦士は彼女がやらかす度に天を仰ぐ他、パーティメンバーの少女巫術師から「こういうところさえなければ」と嘆息されたことも。
最初の冒険でゴブリンに殺されかけたらしい伝説の騎士にあこがれている。

ゴブリンスレイヤーに関しては他の冒険者同様あまり良い感情を抱いてなかったが、
牧場での件やその後の交流を通して「変なやつだけど悪いやつではない」と評価を改め、
彼が悩んでいた時は自分から声をかけに行くなど、悪感情はなくなったようだ。

AA版では能力が高過ぎて行き遅れた女冒険者の例として使われており、引き受け先として重戦士をロックオンしていた。
小説では巻が進むにつれてゆっくりと関係が進展していっており、同業者が(重戦士を)からかうこともある。


◆少年斥候・少女巫術師(CV:若山晃久・原田彩楓)
AA版配役:イシドロ・シールケ(ベルセルク)
重戦士たちのパーティメンバー。斥候の方は只人の少年だが、巫術師の方は圃人の少女であり、森に親しむドルイド。
初めての冒険では罠にかかって転んでランタンを割ってしまったが、アドバイス通りに温存していた魔法でホブゴブリンを撃破し、勝利に貢献した。
自由人の女騎士の尻拭いやなんやらは重戦士に丸投げしており、「リーダーの嫁でしょ、早くなんとかしてください」というスタンスで我関せずを貫いている。
下記の新米戦士・見習聖女の二人とダブルデートのような形でお祭りを楽しんでいたり、結構な頻度で一緒にいたりと、かなり親しい間柄であることをうかがわせる描写もちらほら。
『イヤーワン』では年齢を詐称して冒険者になった過去が明かされた。明言されていないが2人とも孤児であり生活の為に冒険者になったことが示唆されている。
後にギルドにそれが発覚して昇級の件が白紙になった重戦士に追放されそうになった過去がある*12が、2人の事情を考慮した重戦士の配慮で残留が認められている。


◆半森人剣士
AA版配役:セルピコ(ベルセルク)
重戦士たちのパーティメンバー。
会計役を担当している他、上記の年少二人の面倒を見たり(女騎士についてはこちらも重戦士にほぼ丸投げ)もしている。
森人故にかなりの美形男子で、ギルドや町で浮名を流しているらしい。

AA版では他にファルネーゼ(神官戦士)もいた。



その他の冒険者

◆新米戦士・見習聖女→棍棒剣士・至高神の聖女(CV:前田誠二・伊藤彩沙)
その名の通り新米の戦士と、至高神に仕える見習いの聖女。
新米戦士は良くも悪くも若者らしい性格であり、ゴブリンスレイヤーを「ゴブスレ(さん)」と略して呼ぶ。
見習聖女は強気ではあるものの周囲を気遣える優しい性格で、奉じている神は違えど同じ聖職者で年頃も近い女神官と結構仲が良い。
受付嬢のアドバイスにしたがってネズミ退治を繰り返して生計を立てているが、いずれは冒険者として大成したいという野望も抱いている。

ゴブリンスレイヤーのことはその外見から忌避しており、「囮として連れ回されているのでは」と危惧して女神官を自身のパーティーに誘ったこともあったが、
やがてそれが偏見であったことに気付き、女神官とゴブリンスレイヤーに直接謝罪。
その時に武器についてアドバイスをもらったことをきっかけに、ちょくちょく彼やその一行と話したりするようにもなった。
なお、二人は同じ村の出身で幼い頃からの付き合いらしく、遠慮のないやり取りをして時折言い合いになったりもしているが、
疲れ果てた新米戦士に膝枕をしてやったり、二人での昼食を邪魔されて(見習い聖女が)怒るなど、爆発しろと言いたくなる描写もちらほら。

新米戦士はゴブリンスレイヤーからのアドバイスのもと棍棒も使うようになり、現在は元々使っていた長剣との二刀流という独自のスタイルを手に入れた。
12巻時点ではもう見習いとは呼べないということで、棍棒剣士と至高神の聖女に名前が改められている。


◆白兎猟兵(CV:七瀬彩夏)
兎耳と尻尾を持ち、身体の一部が白い毛皮を纏っているなど、身体に兎の特徴を持つ「兎人」の少女。
9巻で至高神の託宣を受けた見習聖女と、彼女に同行した新米戦士とゴブスレ一行(ゴブスレ本人は別件で不在)が訪れた村の出身で、
村を危機に陥れた氷の魔女を、冒険者たちの助けを得て父の遺品の銀の矢で見事討ち果たしたことを期に、村を出て冒険者となり、新米戦士の一行に加わった。
のんびりとした性格と言動が特徴で、スレンダーな体格もあって新米戦士らと合流した勇者が性別に言及するまで少年だと思われていた。
兎人故の索敵能力の高さと、弩を用いた遠距離攻撃が持ち味で、彼女の加入で棍棒戦士一行もゴブリン退治を何度もこなせるほどには強くなった様子。

ちなみに飛竜に追い立てられて洞窟に逃げ込んだ際、棍棒剣士にその華奢な裸体を見られてしまっている。
棍棒剣士爆発しろ。


◆青年剣士・女武闘家・女魔法使い(CV:内匠靖明・石上静香・小岩井ことり)
女神官が初めて冒険に出た際にパーティを組んだ冒険者たち。全員が初心者である。
村に来たゴブリンを倒したことがあったり、素手でゴブリンを倒せたり、一日に2回も魔法を使えたり、それなりに優秀。
夢と希望に満ち溢れた冒険へ胸をふくらませている彼らを描いた、第一巻一枚目の挿絵は必見。
ダンジョン内でイチャイチャしてたせいで隊列を分断されたところに後方から奇襲を受けて壊滅した。ピンチとは。

AA版では元となるエピソードがゴブリン退治の失敗例として描かれており、
そこではダイ(剣士)とマァム(武道家)とポップ(魔法使い)(ダイの大冒険)の三人パーティだった。
女神官と同行してはおらず、2レス程度による概略程度の描写でありきついピンチ描写はないので安心(?)。


貴族令嬢・圃人野伏・森人魔術師・只人僧侶
攫われた村娘を助けるためゴブリンの巣食う遺跡に挑んだ冒険者たち。第八位の鋼鉄等級。
青年剣士たちと異なり、油断して初歩的な失敗を重ねたわけではないが、捕虜救出を優先した末にブービートラップにかかり、
撤退のタイミングを掴めず、罠が残ったままで高低差も激しく奇襲され易い森砦という特殊な環境と、ゴブリンの物量に押し潰された。
全員が女性だったため「くっ殺」展開と思いきや、ゴブリン達にさんざん仲間を殺された報復として、「自分から犯せ!」と仲間を庇った貴族令嬢の言葉通り、
彼女以外は犯されることなく一人ずつ嬲り殺され、その様を見せつけられて心を折られた彼女は文字通り死ぬまでエンジョイされ、全滅させられた。
ある程度経験を積んだ冒険者にとっても、巣にした環境次第ではゴブリン関連の依頼でも難事になる典型例を、体現したパーティとなった。

小説版では詳細が描かれているが、漫画版では大分カットされ、アニメ版では既に事後と上記の新人冒険者たちとは異なり、メディアを跨ぐごとに扱いが悪くなっている。


◆圃人斥候
AA版配役:三好(賭博黙示録カイジ)
昇格審査の際、仲間に隠れて財宝をちょろまかしていた事が発覚し、処分された冒険者。
その人間性はゴブリンと同レベル、下手すればゴブリン以下とも言える身勝手で矮小な真性のゲスであり、
3巻では前述の処分を逆恨みし、その審査で自分に処分を通達した受付嬢と、立会人を務めていたゴブリンスレイヤーへの復讐を企てた。
奇襲に関してはゴブリンスレイヤーに「俺の技量ではそうそう勝てん。まともにやれば勝ち目はない」と言わしめるほどの技量の持ち主ではあった*13が、
普段からまともでない戦術を駆使して戦っているゴブリンスレイヤーの敵ではなく、
毒塗りの手投矢をわざと受ける→鎧の下の鎖帷子で完全ガード→死んだふり→死体蹴り(と相手は思ってる)をわざと受ける→相手が自分を死んだと勘違いしたのを確認→
ヘイトが受付嬢に向いたのを確認→獲物(受付嬢)を前に舌なめずりしている所に背後から剣をぶっ刺すクリティカルヒット→そのまんま剣で臓腑を抉り回すオーバーキル
という完璧なムーブを喰らって死亡した。ざまぁ。
……主人公のやる戦術ではない?そうねぇ…
なおその末路は公にされなかったようで、元パーティ仲間達からは「行方をくらませた」と思われている。

◆妖術師・斧士・禿頭の僧侶
圃人斥候のパーティメンバーだった冒険者達。
一応斧士が頭目だが、主に女性の妖術師が一人苦労を抱え(貴重な魔導書を流出させた母国等への)愚痴りまくりたまにキレ、男2人が割と呑気という構成。
2巻で圃人斥候脱退後、10巻で再登場した時も斥候不在だったが、13巻でついに新規の女性斥候が仲間入り。
…したのだが、一応「森人」なのに白粉化粧好きで、嗜虐神信仰から日々の勤めがセルフ鞭打ち、おまけに妖術師への態度がなれなれしいと、妖術師の苦悩は続きそうである*14

◆勇者(CV:島袋美由利)
AA版配役:涼宮ハルヒ(涼宮ハルヒシリーズ)安心院なじみ(めだかボックス)ユウキ(ソードアート・オンライン)(小説化後のイメージ)
裏話として語られた、この世界の「勇者」。聖剣に見出され冒険の末に魔神を倒したらしいがこの物語には一切関係ありません。
何も知らないまま勢いでゴブリン退治に乗り込み、適当に五、六発ファイアーボールをぶっ放す(小説版ではボス相手にファイアボルト)など、ステータスが桁違い。これそういうゲームじゃねえから!
AA版では駆け出しの頃に「超勇者」と名乗っていた事が黒歴史になっている。
小説版では幕間にちらっと登場。駆け出し時と魔神討伐時の配役の間の子のようなキャラ付け。見た目は消失ハルヒっぽい。ボクっ娘。
剣聖(CV:戸松遥)(AA版:キョン子神裂火織)、賢者(CV:井上ほの花)(AA版:長門有希綾波レイ)と女性だけの3人PTを組んでおり、
ゴブリンスレイヤーがゴブリンをスレイしている裏で事件の黒幕をスレイしたりしている。
小説3巻では偶然ゴブリンスレイヤーと出会ったが、互いに相手を特に気に掛けることなく一言二言話しただけに終わっている。
ただ勇者となると色々と大変なようで、最近では普通の緑衣装槍使い冒険者としてお忍びで行動することも増えている。
外伝「イヤーワン」では勇者となる前の彼女らしき少女が登場しており、依頼を受けて自分の住む村にやってきたゴブリンスレイヤーに興味津々で話しかけていた。
作者曰く、
「超勇者はなんか一人だけ半身ずらしてダッシュして突っ込んでったら敵が死ぬイメージ。あと連射パッド仕様。たぶんHP0になると覚醒とか言い出して復活したりする」
「彼女のキャラシートにはHPとLPがある」とのこと。そういうゲームじゃねえからこれ!


◆剣の乙女/大司教(CV:遠藤綾
AA版配役:なし
2巻で登場した至高神の大司教。水の街の神殿を預かる元冒険者で、十年前に魔神王を滅ぼしたパーティの一員。
とにかくエロい。露出度高めの衣装がエロいし目隠ししているのがエロいし言動や動作がいちいちエロいしそのバストは豊満であった。
なお、目隠しをしているが完全な盲目という訳でもないらしい。
水の街地下からゴブリンが現れるという事件が発生したため、噂に聞いたゴブリンスレイヤーへと討伐依頼をする。
また彼が重傷を負った際には、女神官に手伝ってもらった上で処女同衾の奇跡・『蘇生』(瀕死からの回復であって、死者蘇生は存在しない)を試みる。
基本的には丁寧で慈しみ深い、聖女たる風格を備えた女性だが、時折意味深な言動を繰り返し、女神官を戸惑わせる。
かつての冒険者時代はパーティのマッピング担当であったらしい。また同じく魔神王との戦いに冒険者として赴いていた国王とは旧知の仲。
「イヤーワン」の冒頭によれば当時の仲間は「片刃の湾刀を使う頭目」「その姉を自称する女魔術師」「女戦士」「蟲人僧侶」「半森人盗賊」。
つまり、作者の過去作「Wizardly ◆ユース・アンド・アッシュ・サイドバイサイド◆」の主人公パーティがそのモデル。
となると冒険者時代のAA配役はラクス・クラインとなる。元「かんてい」だったりするのだろうか。
そして、二つ目の外伝「ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》」において、彼女らしき人物が登場する。


令嬢剣士(CV:上坂すみれ
AA版配役:なし
有力貴族の令嬢だが家を嫌って飛び出し、冒険者となった剣士。
蜂蜜色の綺麗な髪を二つ括りにした碧眼の美少女で、半森人剣士、圃人斥候、鉱人僧侶、只人魔術師とパーティーを組んでいたが、
とあるゴブリン退治の依頼を受けて以降、パーティ共々消息不明となる。
その家族からの救出依頼を受けたゴブリンスレイヤーとその一行は、ゴブリン退治の傍ら、彼女の足取りを追っていくこととなるが…。


◆少年魔術師
6巻で登場した女魔法使いの弟。
姉が賢者の学院内で「ゴブリンごときに殺された恥知らず」として侮蔑されており、その名誉回復と復讐のために学院を休学して冒険者となりゴブリン退治に執念を燃やす。
しかし、魔法使いとしても冒険者としても半人前であり、またプライドも高く、復讐や荒んだ出来事により視野が狭くなっている。
かつての自分を思い起こされるゴブリンスレイヤーにより引き取られ、その冒険先で散々失敗をしていまい、プライドがズッタズタにされる。
その後は初心に還り、基礎体力の向上や鉱人道士指導のもと魔術使いとして訓練を積んだ結果、学院を辞める決意を固め、
冒険者として心機一転して「ドラゴンスレイヤー」になる夢を胸に旅立つことをゴブリンスレイヤーに告げ、
旅の途中で下記「先生」に会ったら自分(ゴブリンスレイヤー)の名前を出せ、という助言を受けた後、彼に見送られて旅立っていった。
ほぼ同じ境遇であった姉との違いは「最初の冒険で生き残った。現実を知った」立場であり、良き先達や師匠に巡り会えたことである。
9巻で再登場。どうやら無事先生にめぐり逢い弟子をやっているらしいが、修行は厳しく「オレは師匠だなんて認めねえぞ」と納得していない様子。


◆圃人剣士
6巻で登場した新人冒険者。
髪を結い上げた圃人の少女で、剣と盾を背負っているが、圃人特有の素早さを活かすためか防具は胸当てなど最低限。
種族が圃人ということで小柄な体格だが、汗で服が貼り付いた彼女の胸元を少年魔術師が直視を躊躇うくらいにはあるらしい。何がとは言わない。
元々パーティーに所属していたが、リーダーが家を継ぐため冒険者を止めることになり、パーティーが解散して一人となった。
人並外れたコミュ力を持つ元気な性格の持ち主で、冒険に誘われた際には「当てがある」としてすぐに冒険に行く面子(同期の新人冒険者)を集めてみせた。
少年魔術師にも挨拶代わりに軽く蹴りを入れるほどには気安く接しており、訓練所へのゴブリン襲撃の時に彼の機転で救われたことで人柄を気に入ったらしく、
「ドラゴンスレイヤー」を目指して一人旅立つ彼についていくことを宣言し、渋る彼を押し切って仲間になり、一緒に旅立っていった。
9巻で再登場。少年魔術師と共に先生の弟子になっているようだが、こちらは先生を「おっしょさん」と呼び、
「修行ばっかりよ」と大変さを匂わせつつも以前通り元気な様子。もしかしたら先生も同族だか少女だかには甘いのかもしれん


◆先生(CV:飛田展男)
AA版配役:ヨーダスター・ウォーズ
2巻で登場したゴブリンスレイヤーの師匠。
圃人の老爺で、「行きて帰りしもの」「樽に乗る者」等の二つ名を持つ高名な「忍び」。*15
彼の雷名は裏社会や遥か東の砂漠の国まで及んでおり、その筋の者が「ゴブスレさんは老爺の弟子」だと知ると下にも置かない扱いをするほど。
ゴブリンスレイヤーを5年にわたって虐待鍛えた後で姿を消した。
作者曰く「口プロ和マンチ先輩に「指導してやんよ^^」されてただけ」とのこと。
9巻で国王が勇者一行のサポートとして極めて高い技量の斥候を探した際、
王都周辺の冒険者で唯一人眼鏡に叶う人物としてリストアップされ、弟子の少年魔術師・圃人剣士と共に参加したようだ。
勇者との冒険が終わった後1人辺境の街の牧場へ足を伸ばし、牛飼娘に元弟子(ゴブリンスレイヤー)の様子を尋ね、満足気に風のように去っていった。


◆嵐の名を背負った少女
13巻から登場した黒髪の少女新人冒険者。
故郷の村で元傭兵の酒浸り父親にこき使われ、村の人々からも冷たい目を向けられるつらい日々を送っていたが、
ある日お使いに街へ出された時冒険者になることを決意し、そのまま家出した。
冒険者ギルド主催の「迷宮探検競技」で冒険者デビューしたが、途中でそれとは知らぬまま未知の領域に足を踏み入れてしまい、
彼女本人は「競技」と勘違いしたままで、本当の脅威に遭遇する事になってしまったが、
幸いにも様々な幸運と思い切りから何とか潜り抜け、迷った場所にいたゴブリン退治も兼ねて救助しに来たゴブリンスレイヤーと共に帰還。
その後は最初の冒険で手にしたオニキスをお守りにして一人冒険へと歩み出し、
色々と危なっかしいながらも家から持ち出して来た長剣を抱えて旅をしている。
また「冒険」を純粋に夢見実際に冒険者になった彼女との遭遇は、ゴブリンスレイヤーの心にも影響を与える事に。

元ネタはローグライクゲームの元祖である『Rogue』から。
「嵐の名」は『Rogue』の主人公が「@」で表記されていた事に由来する


その他の人々

◆国王
AA版配役:ラインハルト・フォン・ローエングラム(銀河英雄伝説)
只人の国を治めている若き国王。
各種勢力と協調姿勢を取って、次々に発生する世界の危機や強大な怪物に対して采配を振るい、国内を取り纏めている優秀な施政者。
ゴブリン対策までは手が回っていないが、在野の冒険者で片付く些細な事でもあるため現状維持の方針である。
というより冒険者がゴブリンに全滅させられるシーンが目立っているだけで、ぶっちゃけ普通にゴブリンは退治されてるしね。
ちなみに彼自身も元冒険者・金剛石の騎士であり、時折余計なしがらみ無く動けた冒険者時代の事を懐かしがっている。
「《ダイ・カタナ》」では冒険者時代の彼の姿があり、その中で仲間にした銀髪少女斥候は、現在は王宮付きのメイドとして表ざたに出来ない諜報や裏の住人への依頼を行っている。
元になった「Wizardly ◆ユース・アンド・アッシュ・サイドバイサイド◆」では空条承太郎のAAが当てられており、仲間は「ジョジョの奇妙な冒険」第三部のエジプト行きジョースター御一行様であった。
現在の彼の側近に「年老いた大臣」「赤毛の枢機卿」「褐色肌人の宮廷魔術師」「銀甲冑の近衛騎士」「金等級冒険者の犬人」がいるという描写もあったりする。
またジョジョ二次創作「7人目のスタンド使い」のネタもあるらしい。

◆王妹
若き国王の妹で、女神官そっくりな王女。
兄の昔等から冒険に憧れるあまり城を抜け出し、偶然出会った女神官の鎖帷子と装束を無断拝借して冒険に出ようとした。
…が、王都を抜け出すことを優先して冒険者ギルドもすっ飛ばして隊商に潜り込んだ際小鬼に捕まり、小鬼神官に邪教の儀式の生贄にされかけてしまう
しかし、仮にも「生贄候補」だったことや、王妹救助とゴブリン退治の任を受けたゴブリンスレイヤー一行が早めに救助できたことが幸いし、
救助された際、少し嬲り者として痛めつけられた痕跡はあったが、性的暴行は加えられておらず、精神的にも正気を保っていた。
そしてその際、彼女にとって大事な鎖帷子を含む装備を盗んだにもかかわらず、自分を必死に庇ってくれた女神官の姿に感銘を受けたらしく、
救助された後、正式に地母神神殿に入信し国や兄の助けになる事を決意した。
後に今度は正式なお忍びで辺境の街を訪れ、恩人と再会したが、ゴブスレよりな思考を時々見せる女神官には仲良くなりつつも呆れていたり。
同時にこれによって、女神官の交友関係が市井の一冒険者としてはますますとんでもないことになった


◆監督官(CV:日岡なつみ)
AA版配役:インデックス(とある魔術の禁書目録)
ギルドの職員で、至高神の司祭でもある女性。圃人斥候の嘘を看破(センス・ライ)の奇跡で見抜いた。
受付嬢とは仲がよく、彼女がゴブリンスレイヤーに想いを寄せていると気付いていて、彼の受付業務はなるべく受付嬢に回している。


◆獣人女給
AA版配役:なし
辺境の街の冒険者ギルド付酒場でウェイトレスをやっている少女。
耳、尻尾、肉球のある手足が備わっており、明るく元気で快活。
深夜に炉の見張りついでに鍛冶師としての修練を積む丁稚に、余った食材で作った手料理、もしくは余った料理を差し入れるのが習慣化しているが、
(自覚する限りでは)丁稚に対する色っぽい感情はなく、ただ捨てるのがもったいないという理由で彼に食べさせている。
何か変なのが冒険帰りに酒場で食事をしないため、何とか食べさせようと奔走する。


◆丁稚
AA版配役:なし
辺境の街の冒険者ギルド付武具屋で奉公している少年。
まだまだ下働きで鍛冶仕事の手伝いしかさせてもらえないため、毎日火を落とせない炉を見張る名目で一人居残り修行をしている。
それに気付いた獣人女給から余った食材で作った彼女の手料理を差し入れてもらえるようになり、彼女自身とも気安い関係を築いている他、
彼女の無自覚な色気に緊張する描写から察するに異性としても意識している様子。


◆花冠の森姫
AA版配役:なし
妖精弓手の姉。彼女たちの故郷周辺に知れ渡るくらいには美女と名高い。その胸は豊満であった
森の長の氏族ということもあり、その振る舞いは色んな意味で俗っぽい妹と違って貴人らしいものであるが、
「片付けの習慣がない」らしいこと、二人きりの時は妖精弓手と遠慮のないやり取りをしていることなどを見る限り、
どうやら根っこの部分は姉妹らしく似通っている様子。


◆輝ける兜の森人
AA版配役:なし
妖精弓手の従兄。かなりの美男子であり、近々上記の森姫と結婚する予定。
鉱人道士曰く「典型的な森人」らしい性格をしており、どことなく気取ったような態度を取るが、
悪い人物ではなく、冒険者となった従妹を気にかけていたり、森姫に求婚するために四苦八苦していたことが語られている。
幼馴染だけあって従姉妹たちに悩まされることも多かったらしく、森姫との交際について「妖精弓手(アレ)の姉だぞ。大変だった」と語ったり、
ゴブリンスレイヤーに森人の片付けの習慣について尋ねられた時に「(片付けの習慣は)ある。が、ない姉妹もいる」と疲れ切った表情で答えるなど、
従姉妹たちに色々な意味で振り回されてきたであろうその心労がうかがえる描写も。


◆稲妻の馬人
水の街で行われている馬人競争の女性選手。
「可愛いお嬢さん」を口説く事を趣味にしている男装の麗人。
気性難あまり品行方正とは言えない人物だが、競争に対する姿勢は真摯。

元ネタは某競走馬擬人化アプリにド嵌りした作者が始めたオリジナル競走馬を作る企画の主役馬「タイヘイサンダーボルト」。
元ネタのキャラを一言で表すと「蹄が弱いゴルシ」。


◆密偵・赤毛の魔術師・知識神の神官・御者・使い魔・蔓
10巻から登場した、水の街の裏社会に動く「ならず者(ローグ)」内の「仕掛人」ユニット。
競技「魔球」の元選手で、怪我で利かなくなった両手足を呪術でブーストし、眼も改造した短筒と連弩使いの密偵と、
「取り換え子」の森人ゆえに招いた惨事から裏へ足を踏み入れた赤毛の魔術師、高価な本の費用稼ぎも兼ね裏仕事を生きる女性神官、
別に恋とかはないが縁がある女性の負債を返すため働く精霊ケルビー馬車使いの御者、
蔓にしか顔を見せず常に白い小動物使い魔で他のメンバーと行動する魔術師、そして彼らに仕事を斡旋する軽そうだがやり手の蔓(フィクサー)という面子。
身も蓋も無く言うと、ファンタジーTRPGでも『シャドウラン』よりの世界を生きる連中である。

神々

◆「真実」・「幻想」
AA版配役:「真実」…真理(鋼の錬金術師) / 「幻想」…鹿目まどか(アルティメットな方)魔法少女まどか☆マギカ
「この世界」の神々であり、<GM>であり、<PL>。
この世界に駒と盤面とサイコロを用意し、光と秩序と宿命の神々と、闇と混沌と偶然の神々で世界の支配をかけて「勝負」をしている。
徹底的なマンチと固定値信仰やり方で神々にサイコロを振らせようとしない「彼」については「どうしろっていうんだ」と言わんばかりにドン引きしており、
「幻想」が手塩にかけて作ったマップに「真実」がモンスターを配置したダンジョンに「彼」の一行が来た時には「うわっ」「マジか」と思わず呟いていた。
神々のゲーム盤にされた世界と駒である人間たちというモチーフは「なろう系」でも散見され、わりと神側が悪役扱いされる作品も多い(『かみがみ』や『蜘蛛ですが、何か?』など)が、
本作の神々は「冒険者と一緒になってサイコロを振り、冒険の結果に一喜一憂している」存在。
なので、サイコロの出目次第では冒険者たちに被害を出してしまうが、スタンスとしては(一応)人間の味方。
「幻想」に至っては、自分が注目していた冒険者が出目の悪さから初の冒険で遭えなく全滅してショックで寝込んだ事がある。それでいいのか神様。

この他にも「地母神」や「至高神」といった、冒険者たちに信仰されている神々も存在する。
なお、AA版の配役を意識したのか、アニメでは悠木碧がナレーションを担当している。


人類の天敵

ゴブリン
AA版配役:テラフォーマー(テラフォーマーズ
この世界に巣食う小鬼。
しわがれた緑色の体に蛙のような瞳、耳まで裂けた口、申し訳程度に生えた体毛という、ステレオタイプなゴブリンと言って差し支えない容姿が特徴。

人間を始めとした他の種族に対して強い敵意と攻撃性を示す典型的なモンスターであり、
更に後述の性質もあってか 明確な目的と悪意を持って 他種族に危害を加える一面も持ち合わせる。
体躯は子どもほどの背丈で、大して力も無く、知能も子ども程度。
それは裏を返せば、数匹がかりなら人間の大人に勝る腕力を持ち、悪知恵もある程度働くことを意味する。
粗末ながら衣服や防具を纏い、剣などの単純な武器や弓矢を扱う程度なら問題なく可能で、
作中でも暗闇を利用して相手を罠に嵌めたり、武器に毒を塗って殺傷力を高めるなどの芸当も見せている。
また、爪が鋭く発達しており、それ単体でもそれなりの脅威となるが、
それは専ら攻撃手段というよりも、無抵抗な捕囚に対して衣服を引き裂く、肌に傷をつける等の拷問に使われている描写が多い。
その勢力は侮れるものではなく、絶対数が多い上に徒党を組んで行動しているため、作中においては間違いなく人間の身近な脅威の一つである。
なお、ゴブリンの子どもすら容赦なく殺害するゴブリンスレイヤーに女神官が「善良なゴブリンがいたとしても殲滅するのか」と問いかける場面があり、
ゴブリンスレイヤーも「探せばいるかもしれない」と可能性は否定していないものの、 作中に登場するゴブリンは例外なく人間に害意を抱いている。

ここで言う善良なゴブリンとは、「人間を襲わずに生計を立てられる」、「攫った女性に産ませる以外に繁殖のパートナーを得られる」、
「他種族に対して敵意を持たない(=一般的なゴブリンの所業を恥じる感情がある)」という要素をクリアできるということだと思われ、
『人前に出てこない(=人間と関わる意思がない)ゴブリンだけが善良なゴブリン』という彼の持論も、一見極論だが実際はかなり的を射ていると言える。
また、ゴブリン自身の問題である「自分達だけで生計を立てられる」と「人前に出てこない」という点についてはともかく、
他種族からの評価が軒並み最低、かつ醜い容姿のゴブリンの子供を望んで産んでくれる女性を得るのは非常に困難と思われるため、
「もしそんなゴブリンがいたとしても、他のゴブリンよりまず間違いなく先に絶滅している」 と言うのもひとつの真理であろう。
+ ここからはとても生々しい記述になるので閲覧注意
雄しかいない種族なので、 略奪などで虜囚とした異種族の雌を、通称「孕み袋」とすることで繁殖する。
単体の貧弱さに比例してか 性欲が尋常ではないほどに強く、生きた女性であれば非力な市民どころか返り討ちにした女性冒険者ですら見境なく襲う。
「孕み袋」が只人であれ森人であれ、その胎内から生まれてくるのは例外なく純粋なゴブリンであり、
他の種族と比べても仔が生まれ一人前に育つまでの期間も異様に早く、「孕み袋」が十分確保されていれば短期間で爆発的に増える。
なお、作中で「孕み袋」とされていたのは只人や森人などの人間の女性だけだが、「祈らぬ者ども」の雌でも孕ませることが出来るのかは不明。
(※作中では最弱の魔物で力を持った他の種族には従うものの、もしも瀕死状態のそれらと会えば色んな意味で「貪り尽くす」とされているが…)


文化は全て「略奪」で賄う種族なので、自分たちが新しく何かを生み出す事は皆無。
毎日のように世界のどこかに沸き、奪い、殺し、攫い、犯し、そして繁殖する。
エルフ語ではオークとなるので、エロゲに出てきそうな怪物と思いきや、
倫理観が完全に欠無しており、己の利のためだけに殺人、強姦、強奪を嬉々として行う悪童 じみた悪辣なモンスターである。
頭が悪いという欠点を持つが、「頭が悪い ≠ 愚か(知能が低い)」なので、
しっかり経験したことを学習する厄介さや、指揮されれば船などを操る集団行動力も兼ね備える。
ゴブリンスレイヤーいわく「ゴブリンは馬鹿だが間抜けではない」。
また、ゴブリン特有の言語が存在しており、襲撃の際にはそれを用いて仲間との連携を図ることも可能。
しかし、言語が存在するといっても人間に解読することはできず、実際に聞いてもただ喚き散らしているようにしか聞こえない。
そのため言動から習性を研究したり、必要とあらば捕らえて尋問するといったこともできず、ゴブリンへの理解が進まない原因の一つともなっている。
といっても後述するロードの言動から察するに、言っている中身は人間の悪党のそれと大して変わらないようである。

しかし、ゴブリンが最弱な怪物であるのも確かで、正面から数体倒す程度なら農具を構えた一般女性でもできる位に弱い。
被害にあっているのも貧しい村が多く(つまり報酬が安く)、ベテランが担うには不相応な為にもっぱら新人冒険者に回される。
そして、村の力自慢が少数のゴブリンを追い払ったり、自分の手で退治した経験から冒険者への一歩を踏み出す者も多く、
巣にした場所や群の規模等の条件次第では新人でも大した障害にならずにあっさり討伐を完遂することも珍しくない。
少なくとも数組程度新人を送り込むうちに、ゴブリンの群や巣はどうにか制圧出来てしまう。
そのため、ゴブリンの実情を知らない為政者や上流階級の人間は、その脅威も正しく認識できていないのが現状である。

だが、上述の通りゴブリンの真の厄介さは集団で襲ってくるところにあるため、新人冒険者が「たかがゴブリン」と嘗めて掛かった結果、
数に押されて全滅したり、捕らえられて孕み袋、あるいは玩具にされた結果惨殺されることも珍しくない。
運良く制圧に成功しても、その厄介さと報酬の安さを天秤にかけて「割に合わない」と判断する冒険者がほとんどで、
仕方なくやることはあっても、好き好んでゴブリン討伐をする高位の冒険者はまずいない。
その結果、余ったゴブリン退治の依頼をその実状を知らない新人が受けることになってしまうのだ。

また好き好んでゴブリンを研究する者も少ないせいで、生態もあまり知られていないとか。下記の上位種の存在も、同様にそこまで周知されていない。
小説版では(作品世界における)ゴブリンのモンスターマニュアルが掲載されていたが、注釈を見るにほとんどゴブリンスレイヤーの報告書から抜粋された内容である。
なお、余白に書かれた「新人冒険者がゴブリン退治に向かった結果全滅したので、応援を求む(意訳)」という業務連絡に対し、
注釈者が“彼”ばかりに頼るのはどうなのかと苦言を呈しているが、おそらくこの注釈者は受付嬢であり、
この人物が「応援」を「ゴブリンスレイヤーの派遣」と解釈している辺り、ギルド内でも「応援に行ってくれる上位冒険者は彼ぐらい」という共通認識がある様子。

ただ、作中ではあまり触れられないが、『ゴブリンスレイヤー』の世界ではゴブリンなど足元にも及ばない危険な魔物・軍勢が多く存在しているようで、
「上位冒険者はゴブリンなどに手を割いていられない」と言うのも真理ではある。
犠牲者は出しつつ、一応なりとも現状で被害が抑えられているゴブリンの討伐に力を入れた結果、逆にそれらの魔物によってより大きな被害が出ては元も子もない。
そのため、ゴブリンの危険性を認識している為政者であっても、ほとんど新人任せの現状を変えにくいのが現実である。

仲間を殺されると怒るようだが、仲間思いという訳ではなく、単に群れを蹂躙された事が腹立たしいだけである。
捕虜の人間を拘束し盾にする「肉盾」という卑劣な戦術を使うが、実際にゴブリン側がこれをやられても「肉盾」を攻撃する事に躊躇はない。
しかし、自分を守る前衛が減るのは嫌なので乱戦になると魔法を使うのを躊躇う、
戦力としてはまだまだ勝っていても少し不利な気がし始めるとすぐ逃げ腰になって他のゴブリンに喚き散らすなど、とことん自分本位な種族。
群れのリーダーであっても、「手柄は自分のおかげ、失敗は部下のせい」が基本であり、群れが危機に陥ると部下を見捨てて逃げ出すのが常。
略奪や拷問の時以外は理由を付けてサボるほど怠惰な性格でもあり、見張りや見回りなどの仕事はかなり適当である。
また、略奪者でありながら多種族に対する加害者意識はまったく持っておらず、群れを蹂躙した冒険者を腹いせに嬲り殺しにすることはあっても、
自分たちが手近な村を襲撃・略奪したことで人間側から逆襲されても微塵も自分たちの行いを悔いることはないなど、
思考回路の面でも「常に被害者意識で行動する」卑劣な種族とされている。
そのため、そもそもがモンスターである点を加味しても「悪意とエゴが布巻いて歩いてる」と言わんばかりの呆れた身勝手ぶりから他種族からは当然の如く嫌悪されており、
能力が貧弱にもかかわらず略奪をしなければ生きられないという相反する生態を平然と抱えていることから種族自体の評価も低い。

そんな種族であるだけに、虜囚となった者(女性)には凄惨な拷問や強姦・輪姦などを嬉々として行う。
ゴブリンは虜囚を玩具と同一視しており、抵抗が激しければ報復も兼ねてより凄惨な暴力を加えるが、
抵抗しなくとも暴虐の手を緩めることはなく、土下座しようと泣き叫ぼうと、途中で息絶えようとも構わず慰み者にして嬲り尽くす。
さらに、弄ぶ対象は虜囚の貞操や肉体だけでなく精神にも及び、虜囚の仲間を目の前で惨殺する、全裸に剥いた上で容貌を傷つけて笑いものにするなど、
特に、貞操や装備を奪われてもなお抵抗や生存を諦めない、彼ら目線でいうところの「生意気」で「生きのいい」虜囚の心を打ち砕こうと悪辣な趣向を凝らすこともある。
一方で(出来る限り)死なせないように注意も払うが、それは「長く玩具にするため」「孕み袋として長く使うため」であり、
餌として虜囚の仲間の肉を喰わせたり、生かす前提でも精神は打ち砕こうとしたりなど、虜囚からすれば苦痛と凌辱がただ長く続くだけにすぎない。

哀れにも虜囚となり、ゴブリンたちの玩具となって貞操も尊厳も何もかもを奪い尽くされた被害者の有様は直視に堪えず、
女神官や妖精弓手は、同じ女性であることもあってか、初めて目撃した際には衝撃のあまり嘔吐している。
さらに、雑食性のゴブリンは野菜、魚は元より、人間の肉も含めた肉食も行う生態である*16ため、
玩具として散々嬲られ、辱められて殺された挙句に遺体まで貪られ、人とは思えない変わり果てた姿で発見されることもある。
虜囚となって日が浅い内に救出者が来た場合は命までは奪われずにすむ者もいるが、拷問や強姦で精神が打ち砕かれている場合はもちろん、
精神が保っていても、虜囚になる以前の生活に戻ることは(周囲の環境や当人の精神状況にもよるが)難しいため、
生き長らえたことが、周囲の人にとってはともかく、虜囚となった者にとって救いになるとは限らない。

なお、男についてはほとんど食料と見なしており、殺した後はそのまま遺体を貪るのが常。
良い仲であったと思しき男の生首の前で犯したり、死体の肉を喰わせたりと虜囚となった女性への精神的攻撃に使われることはあるが、
凌辱できず、孕ませもできず、暴れると力負けしてしまうなどの理由から、ゴブリン側にしてみれば生かして虜囚とする旨味があまりないらしく、
実際作中では、ゴブリンに押し負けた男の冒険者はほとんどその場で殺されている。


種別としては、普通のゴブリンの他、魔術を扱うシャーマン、大型化したホブゴブリン
ゴブリン種における「勇者」に相当するチャンピオン、統率に長けたロードなどの上位種も存在する。

特に、チャンピオンとロードは共にゴブリンにおける白金等級とされ、厄介さが他のゴブリンたちの比ではない。
チャンピオンは並の人間の肉体程度は握力で引き千切り、名うての銀等級の剣士とも対等以上に渡り合う戦闘力を有し、
ロードは通常のゴブリンに輪をかけて悪知恵に長けており、共通語を喋れる上にその知能の高さを活かしてゴブリンの軍勢を率いる。
人間にも通じる罵詈雑言を浴びせかけて恐怖を誘う、命乞いをして敵が情を見せた所を不意打ちで襲いかかる*17といった行動もする。
蓄積した経験による冷静な判断力と指揮力はゴブリンの枠を大きく超えており、ゴブリンスレイヤーから見ても、ロードが率いるか否かでゴブリンの群の危険度が大きく変わる。
ホブやシャーマンはその2種と比べると脅威度は低いが、そもそも「ゴブリンに上位種が存在する」ということ自体が世間一般にはあまり知れ渡っていない上、
その実力も駆け出しの冒険者をほぼ確実に凌ぐ強さであるため、運悪くそれらのいる巣に突入してしまった新人パーティーが壊滅の憂き目に遭うことは少なくない。

また壊滅した群れの生き残りは、そのまま別の群れに移る「渡り」を行う性質を持つが、「渡り」となったゴブリンは多くの経験を得てそれを移った群れに伝えて還元していく。
結果、その群れは知恵と悪辣さが発展し、人間から見た脅威度が上昇するだけでなく、渡ったゴブリンが上位種になる危険性も非常に大きいと、
襲われる危険性がある、あるいは討伐に向かう人間側にとって、「渡り」を見逃すのは対ゴブリンの観点では最悪の行為の一つと言える。
そのため、ゴブリンスレイヤーはゴブリン討伐となると皆殺しと確殺を徹底しており、ゴブリン側に情報が漏れないように腐心している。
一方、特に生き残りがまだ子供である場合、情けをかけて見逃す冒険者もいるが、ゴブリンの気性は子供でも変わらないため、見逃されたことに恩を感じることなどまずない。
現に、小説第一巻で登場したゴブリンロードは、かつて幼い自分を見逃そうとした女冒険者を、
彼女が背を向けた瞬間に不意打ちを仕掛けて打ち倒し、恐らく凌辱した後に殺していることがモノローグで語られた上に、
「哀れみを誘えばマヌケな冒険者は見逃してくれる」という成功体験として記憶しているなど、微塵も感謝などしていなかった。
この事実を知るゴブリンスレイヤーは、迂闊に見逃す手合いを「間抜け」で「お優しい」奴らと酷評している。

なお、第5巻ではゴブリンスレイヤーすら見たことがなかった、神(邪神)に仕える『聖騎士』の『ゴブリンパラディン』が登場しており、
知られていない未知の職業に就いた上位種が存在する可能性も大いにある。

……ちなみにAA版では配役のせいで、描写よりも脅威度がグンと増しているが設定上はちゃんと一般的な小鬼の姿をしているらしい。
小説版ではRPG的に馴染みの姿で登場する。設定資料でさり気なく「じょうじ」っぽく鳴いてる。(流石に本編では別の鳴き声を発している)

なおゴブリンロードは、ジョーカーアンデッド(仮面ライダー剣)が配役されていた。

怪物

◆ジャイアントローチ
AA版配役:なし
その名の通りにでかいアレ。
下水道にて大ネズミ、ローチ退治をする新米戦士・見習聖女の前に立ちはだかった。


◆オー……なんとかさん
AA版配役:カーズ(ジョジョの奇妙な冒険
なんだ、ゴブリンではないのか。


◆名前を言ってはいけない怪物
AA版配役:なし
二巻で登場。水の街地下水道の最奥で冒険者を待ち構えていた名状しがたい大目玉。
目玉から発射する数々の光線でゴブリンスレイヤーたちを苦しめた。
特に鳴き声が危険。


◆闇人
AA版配役:なし
素人。


◆妖術師
AA版配役:なし
悪魔の塔と呼ばれる巨塔をおっ立てた張本人。塔の屋上にてゴブリンスレイヤー、槍使い、重戦士の3人と激突した。
3人とエンカウントするより前に儀式によって『言葉持つ者の手によって殺されない』というチート技能を有していたが…?


◆魔神王
AA版配役:囁く者、シェオルドレッド(Magic the Gathering
描写無し。


◆邪教団
AA版配役:なし
行殺。


◆百手巨人
AA版配役:超大型巨人進撃の巨人
初手ぶっぱ。


◆死人占い師
AA版配役:なし
描写なし。




◆書籍化について


作者のくも氏はAA版ゴブリンスレイヤーの完結後、好評だったのと周囲のすすめもあって本作を小説化し、富士見ファンタジア大賞へ投稿した。
三次選考落選という結果に「行けるじゃん」と手応えを感じて投稿を続け、
GA文庫大賞の最終選考に残った作品が……

天下一蹴 - 氏真無用剣 -

時代小説だこれ!?
今川氏真が嫁さんの蔵春院とイチャイチャしつつ浜松から京都まで信長と蹴鞠しにいくついでに、家康から頼まれて密命を何とかするべく、「甲賀金烏衆」の忍者をバッタバッタと斬り伏せるお話だったらしい。
(ちなみに暗君扱いされる今川氏真だが、作者氏によれば史実でも剣術、蹴鞠、和歌の天才で、奥さんと一緒に諸国漫遊していたとか)
評価は「面白いけど流石に時代劇ハンデは覆せない」。だってラノベじゃなくて時代小説だし……
とはいえくも氏は「ロッキーばりに「エイドリアーン!!!!」な気分」「ベストキッドの「バランスがとれた」状態」と納得して終わろうとしていたそうだが……。

しかしそれなら他の作品はどうだろうと投稿履歴を見た編集部の目に「ゴブリンスレイヤー」が留まり、
検索をかけたところAA版を発見、作者に即時連絡が向かい、原稿送ったらあっさり書籍化が決定するという運びになった。
世の中何がどうなるかわからんものである。ついでに言うと本作がヒットしたせいか『天下一蹴~』も2019年に単行本化されたし
ド新人の初作品に大御所イラストレーターさんの挿絵がつくとかテストに出ないよぉ……
ちなみにこの時作者は蜥蜴僧侶の設定を流用したリザードマンの戦記モノをなろうに投稿しようとプロット練ってた最中だったとか。

やる夫スレ原作の小説である本作だが、やる夫スレからの書籍化自体は本作が初ではない。
これ以前にも「やる夫スレを書籍化した出版物」が存在しており、ワニブックスより「やる夫1 ~お仕事・業界編~」の題名で2つのスレ作品をそのまま収録した上で2009年に出版されていた*18
……しかしアスキーアートの宿命か、印刷用文字フォントがAA用に最適化されておらず元と比べてズレてしまっているなど見難さが指摘されており、結局「1」と銘打っておきながら続刊は未だに発売されていない。

その他、やる夫スレ作者が自作をもとに書いた小説が『小説家になろう』へ投稿されて書籍化に至ったケースがある他、やる夫スレ作者がオリジナル作品で小説家デビューしたケースもある。
また事実は不明だが「自分はプロの作家である」と主張しているやる夫スレ作者も少数存在する。
やる夫スレに限らないなら『棺と魔王』の真島文吉氏が有名なAA作品製作者であり、
既存版権キャラを用いたWeb作品からの書籍化という意味では朝霧カフカ氏の『水瀬陽夢の本当は怖いクトゥルフ神話』などもある。

しかし本作の場合、あくまでもAA作品として先にあったというだけで、出版されたのは小説として投稿された作品であり、
流れとしては「新人賞最終選考作品からの拾い上げ」という形式が最も近い*19

そのため登場人物も外見だけを借りたオリジナルで、たとえば妖精弓手ことシノンも「射撃が得意なエルフの女冒険者」であって、原作のようなトラウマは無い。
受付嬢も千川ちひろと外見が似ているとはいえ、それはあくまでもAA版を知っている人へのサービスであり、内面やキャラクター描写としては全くの別人である。ポーションは売ってるけど
そもそも主役の2人は「さまようよろい」と「女僧侶」なので、元ネタに設定などあってないようなもの。
さまようよろいとホイミスライムは一緒に出てくるだろって? そうねえ……

繰り返しになるが本作は「やる夫スレの書籍化」ではなく「やる夫スレを原作とした小説作品」である。
少なくともやる夫スレからの書籍化を目指すなら小説への変換作業が必要であり、その上でオリジナル作品に仕上げなければならず、さらに『小説家になろう』や新人賞で一定評価を得なければならない。
なので「やる夫スレから書籍化を目指すぜ!」「このスレも声がかかるかも!」「とうとうやる夫スレまで目をつけられた!」「既存キャラのパクリだ!」などの意見は、事実と認識が異なっているので注意されたし。

作者の蝸牛くも氏も「ぶっちゃけ私の場合は調子に乗って小説にして投稿して、さらに調子に乗って時代小説書いて投稿したら声がかかったので、やる夫スレから直でとにかくどうにかなんとかする方法はわからないぞ! そしてたぶん参考にはならないと思うぞ! どうしてこうなったかわからないから!」と発言している。
また本作がなろう出身と誤解している人に対しては「自分は気にしないけど、同名作品を投稿してる作者さんに迷惑がかかるから」と、幾度か訂正を行っている。



◆その他展開


2016年5月発売の『月刊ビッグガンガンVol6』よりコミカライズの連載が開始した。
担当は『異能バトルは日常系のなかで』や『アイドルマスターNeue Green forディアリースターズ』のコミカライズで知られる黒瀬Pこと黒瀬浩介先生。
初っ端から描写される新人冒険者たちの「ちょっとピンチ」な展開が話題を呼んだ。

シリーズ続刊の発売も進行中で、2016年9月にはシリーズ累計20万部を突破。
2017年1月にはドラマCD化も決定した。
漫画でもゴブリンを殺すし続巻でもゴブリンを殺す。

さらにこれとは別に、原作四巻の短編エピソードを描いた漫画『ブランニュー・デイ』も展開され、単行本化している。


またライトノベル総合情報サイト ラノベニュースオンライン開催のラノベニュースオンラインアワードにおいて、読者投票の結果2016年2月刊作品「熱かった部門/新作総合部門」の2冠を受賞している。
新作総合部門は3作品ずつ、熱かった部門、感動した部門、笑った部門は1作ずつ選ばれるのだが、残り2作は電撃文庫大賞作品『ただ、それだけでよかったんです』『俺を好きなのはお前だけかよ』であった*20

さらに『このライトノベルがすごい!2017にて文庫総合5位、文庫新作1位を獲得している。

2017年下半期には漫画、小説にて本編の前日談となる『イヤー・ワン』の掲載が始まり、後に文庫化もされている。

2018年下半期には第二の外伝『鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 』の掲載が始まる。
また、上記の『天下一蹴 - 氏真無用剣 -』もGAノベルレーベルで書籍化決定、漫画版もアプリ「マンガUP!」にて連載が開始する。

また2020年8月にはドイツアニメ雑誌AnimaniA主催のAnimaniA賞にてTVシリーズ賞、監督賞を受賞した。

◆余談


一巻試し読みが公開された際、担当編集者が 「【ご注意】本作には、ちょっと「ピンチ」になる描写が含まれます。」とツイートした。
これは公開された試し読みで剣士パーティがほぼ全滅する他、近年のラノベには珍しいくらいのゴア表現が続発したりすることを逆手に取った「ツッコミ待ちのジョーク」でしかなかったのだが……
(当該ツイートの後に「試読版にWarningも入れたのでご安心だ。」とちょっとほんやくチームっぽい文体で注釈も入れていた)


だがこれが、Twitterやアフィブログなどを経由して『最近のラノベには「この作品には主人公がピンチになる描写が少し含まれています」という注意書きがオビについてる』という風に広まってしまい、
いわゆる「最低系」「なろう系」作品を叩くネタにされ、挙句某ニッポン放送のアナウンサーがそれを拾ってインタビューのネタにしてしまったため、ちょっとした波紋を呼んだ。

また同名の作品が『小説家になろう』に投稿されていること、Web小説の書籍化=なろうという認識が根強いこと*21などからニュースブログでは「なろう作品」と勘違いして記事を書いているサイトも多い。

上記の通りこれらはまったくの事実誤認なので、注意されたし。



 彼は決して神々にサイコロを振らせようとしません

 だからこそ――― 

 彼が世界を救うことはないでしょう

 彼が何かを変えることはないでしょう

 彼はどこにでもいる、駒のひとつですから

 それでも―――……



 ――その冒険者の行末は、神さまにだってわからないのです――!







追記・修正は転移魔法で深海から高圧水流をぶっ放した後にお願いします。


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最終更新:2024年03月18日 17:29

*1 性別反転世界を描いた小ネタでできない夫が、書籍版三巻発売後に書かれた原作のキャラが一人も出てこない二次創作(作者談)でやる夫が登場したくらいのものである

*2 種族・用語から作中で吟じられる歌に至るまで、トールキンの指輪物語・ホビットの冒険のオマージュは非常に多い

*3 上から数えて3つ目の序列。上から2番目の金等級は国家の依頼を受けて動くレベルの大物であり、最高位の白金等級は歴史上に数人しか存在しない伝説の冒険者という扱いになる。このため、銀等級の冒険者はある程度自由に動ける実質的な最高位として扱われている。

*4 どちらもそれぞれの言語で『ゴブリンスレイヤー』を意味する単語だという

*5 彼の姉が作っていたシチューのレシピを記憶を頼りに再現したもの

*6 ただし、特に女神官を始めとした女性陣は、妖精弓手が同性の目から見ても際立った美貌であること自体は認めており、ガールズトークで羨ましがったりもしている。

*7 元ネタは指輪物語に登場する上のエルフ、ガラドリエル秘伝の携行食「レンバス」

*8 食べないだけなのか、体質的に食べられないのかは不明

*9 獣と違って虫は繁殖が早く、森人が食料としても森の生態系には影響がないという、環境保全的な意味合いもある模様

*10 それも煙管に火を入れる等のなんでもないことに使う

*11 60階はあろう塔の外壁をロープなしで登る、地下水脈からドブ川を通って廃墟となった街に潜入するなど

*12 彼ら自身、この件で昇級の件が潰れたことは申し訳ないと強く謝罪していた。

*13 前述通りゴブリンスレイヤーはそこまで戦士としての技量が高くなく、誰かを守った上での勝利は困難であった

*14 ちなみに11巻では、その斥候の背景と冒険者入り時とおぼしきシーンが存在している。

*15 元ネタはトールキンの「ホビットの冒険」の主人公ビルボ・バギンズ。ビルボの二つ名に「burglar(忍び)」「Barrel-rider(樽の乗り手)」があり、また彼が自身の冒険譚を綴った本のタイトルが「行きて帰りし物語」である。もっとも性格は似ても似つかないがAA版では本人扱いされていた。

*16 小説ではゴブリン視点のモノローグで「只人の方が食べ応えがあって良い」とか、「圃人が良かった」と好みを語る場面があり、種族的に動物の肉の中でも特に人肉を好んでいる可能性もある。

*17 ゴブリンの性質を知る冒険者ならばひっかからないだろうが、上記の通りゴブリンに関する知識はあまり浸透していないため、ひっかかる冒険者は少なくないと思われる。

*18 版権キャラのアスキーアート掲載は著作権上グレーとのこと

*19 新人賞投稿者のWeb作品書籍化というケースでは「ソードアート・オンライン」や「魔法科高校の劣等生」などが存在する。またWeb作品ではないが、新人賞投稿作をきっかけに編集者がついてデビューした例では「とある魔術の禁書目録」の鎌池和馬氏がいる。

*20 なお『俺を好きなのはお前だけかよ』は同様に2冠、『ただ、それだけでよかったんです』は2016年2月刊作品の総合、新作総合、新作、感動部門で4冠を達成している

*21 『まおゆう』、『GATE』や『幼女戦記』など、非なろうからの書籍化ヒット作品も数多い。