綾里キミ子

登録日:2016/02/21 (日) 17:15:48
更新日:2024/03/23 Sat 10:58:27
所要時間:約 4 分で読めるでござあます





アタクシは真宵さまのおば、
綾里 キミ子でござあます。


「綾里キミ子」とは『逆転裁判』シリーズの登場人物である。


■概要

CV:?(パチンコ版)/津川祝子(テレビアニメ版)


綾里一族の“分家”の人間で、綾里春美の母親。
綾里真宵綾里千尋の伯母に当たる女性。
初登場時の年齢はゲーム内では描写されておらず不明だが、
妹の綾里舞子が当時47歳であったことから、推定50歳くらいと思われる。


呪詞が記された黒の着物に身を包み、言葉を失うほど渋いお茶を好んで飲んでいる。
その渋いお茶に合うからか、お供として口がひしゃげるほど甘い大福も好んで食している。
まるでシイタケのごとく巨大な結髪が特徴で、「オバチャン」とはまた違ったインパクトを持つおばさまである。
「ああた」「ござあます」といった癖のある落ち着いた口調で話す(開発者曰くこの話し方はデヴィ夫人がモチーフとなっているらしい)。
ふだんは落ちついた雰囲気の女性だが、怒りに満ちた時の顔と迫力は凄まじく、
あの外国人お騒がせカメラマンの大沢木ナツミも、一喝しただけで黙らせていた。
里から外に出たことがない故か、「ナニワ」は外国だと思っている模様。


本家筋の長女である彼女だが、生まれながら霊力が弱かったため、
優れた素質を持っていた妹の舞子に《家元》の座を譲り渡す。
その舞子が《DL6号事件》以降行方不明となっているため、持ち前の霊媒道の知識などを生かし、
現在は倉院の里の指導者の立場に収まっている。


次期《家元》の真宵の事は「真宵さま」と呼んで敬っており、真宵からも信頼されている。
一方で外部の人間が「真宵ちゃん」などとくだけた呼び方をしようものなら、容赦なく厳しい態度を取る。
千尋からも「おばさまはとても頭のいい人」と一目置かれていた。
しかし、時折何らかの野望を抱いているような面を見せる事もあり、1人になった時には舞子に対し明確な憎悪を見せていた。


娘の春美の事を異常なまでに溺愛しており、彼女が優れた霊媒師になるように厳しい教育を施している。
さぞかし辛い修行なのだろうが春美はそれを苦とは思っていないようであり、母親の事を純粋に尊敬している様子。


初登場は『逆転裁判2』の第2話「再会、そして逆転」。
成歩堂龍一の事は真宵からよく聞かされていたらしいが、それが歪んで伝わっているらしく、
成歩堂に対しあまりいいイメージは持っていなかった。
霊媒中に真宵の依頼人である霧崎哲郎が殺害されるという事件が発生した時は、
霊が憑依した真宵を介抱し、成歩堂たちには警察へ連絡するように頼んだ。
しかしこの時に霊が憑依した真宵に逃げられたらしく、今までそのことを隠していたが、
検察の要請でその事を法廷で証言する。




+ ここからはネタバレがござあます。お気を付けなさあませ。

実は、彼女こそこの事件の真犯人‥‥のひとり
ある人物と結託して霧崎の命を奪い、次期《家元》となる真宵を陥れようとしていた。
普段は真宵を尊敬するような態度を取っていたが、実際はその逆であり、
次期家元である真宵を亡き者にして、その座に春美を就けようと企んでいたのである。


綾里一族の霊力は普通は長女のほうが強いとされており、《家元》の座は長女が継ぐことになっている。
しかし、前述のとおりキミ子の霊力はなぜか妹の舞子より弱かったため、
《家元》の座を継ぐことはできなかった。
「長女のクセに、家元をつげなかった」と、里の人間からキミ子は相当軽蔑されたという。
キミ子自身も、妹の舞子に家元の座を奪われた事が相当悔しかったようだ。


それに追い討ちをかけるかのように、《DL6号事件》を機に“倉院流霊媒道”は衰退し、
夫にも愛想を尽かされ出て行かれてしまう。
それでも家元の座を諦められなかったキミ子はベツの男性と再婚し、春美を授かる。
春美はキミ子と違い生まれながらにして霊力に優れていたため、
彼女に期待を寄せると共に彼女を家元にしようと、より一層家元の座を奪う事に固執するようになる。


綾里家に伝わる戒めによれば、家元が行方不明となって20年が経過すると、
その座は次期家元に受け継がれる事になっている。
《DL6号事件》以降舞子は消息不明となっていたため、このままいけば4年後には真宵が家元を継ぐ事になっていた。
何とかして真宵を家元の座から下ろそうと考えていた時に、丁度とある人物が霧崎に対し、ある事情で殺意を抱いていた事を知る。
その人物から相談を持ちかけられた彼女はこれを利用する事を思いつき、
霧崎を殺害してその罪を真宵になすりつける“計画”を立案、それを実行に移させる。


この計画を実行したその人物は、反撃されるというアクシデントはあったものの何とか霧崎を殺害。
案の定、その容疑は真宵にかかり、彼女は殺人犯として逮捕される。
しかし、成歩堂によって「真宵が犯行後に部屋から出た」事が証明され、真宵の容疑が次第に薄れていく。
そのムジュンを補うべく自身も証言台に立って証言を行う。
千尋さんをして「頭が良い」と言わしめるだけあって、キミ子の証言には一切隙は無かったが、
情報収集を妨げることまではできなかった。
そして、後に出廷した“共犯者”が証言の隙を突かれたため、犯行がついに露見してしまう。
成歩堂の活躍で事件の真相が全て暴かれた後、キミ子は共犯者と共に逮捕され、
後に開かれた裁判で有罪判決が下り独房に入れられた。


裁判終了後、すべての真相を聞いていた真宵はかなりのショックを受け、
成歩堂に聞こえないほどの小さな声で「やっぱり」‥‥とつぶやいた。らしい。
真宵はキミ子のことは信頼していたようだが、それでも彼女の本性に薄々気づいていたのかもしれない。
千尋も、キミ子の本性には薄々気づいていた様子だが、
それでも事件の決着が着くまではその考えが間違いであってほしいと願っていた。


アニメ版オリジナルエピソード『逆転の潮騒が聞こえる』では、これまでどのように真宵に接していたかが初めて描かれた。
真宵に対しては他人の目がないところでは露骨に罵倒するような物言いで接しており、「海が見たい」という春美の願いを叶えようと里の外に連れ出そうとする時も里を出て行った舞子と千尋を引き合いに出して「ああたがた本家は倉院の恥さらしでござあます!!」と吐き捨てて彼女を傷付けていた。


+ さらなるネタバレ

後に『逆転裁判3』の第5話「華麗なる逆転」で回想の中で再登場するが、
そこで春美の他に2人の娘(美柳ちなみ葉桜院あやめ)がいたという、衝撃の事実が発覚する。
実際にちなみの普段の大人しい佇まいと、本性を現した時の鬼のような形相はキミ子とそっくりであるという伏線がある。
この2人はキミ子の実子であったが、キミ子同様霊力に恵まれなかったため、キミ子の前夫に連れられて里を出て行っていた。


自身は『2』の第2話終了時に逮捕されたが、それでもまだ「春美を次期家元にする」という野望を捨ててはおらず、
逮捕される前に「真宵暗殺計画」を書き記し、自宅のある場所に隠していた。
その計画とは、倉院流の修行場がある「葉桜院」という山寺を舞台にしたもので、
そこで春美に“ちなみ(『3』本編の時期に死刑が執行され死去)”を霊媒するよう命じて彼女(ちなみ)に真宵を殺害させ、
その罪を葉桜院で奉公しているあやめに着せるという、身勝手極まりない残忍なものだった。


これは、ちなみが「死刑判決」を受ける前提で立てられた計画であり(前もってニュースなどで知っていた可能性もある)、
自身が捕まって刑務所に入れられた時にちなみと再会、そこでちなみに計画の事を打ち明けて彼女からも了承を得ていた。
その後は面会に来る春美から信用を得た後で計画書の在処を彼女に教える。
後は計画書どおり春美が行動する事で全てがうまくいくはずだった。


‥‥だが、春美との面会の様子をとある人物に盗聴されており、
盗聴によって《計画》の存在を知ったその人物は、それを阻止するために協力者2人と連絡を取り共に行動する。
そして、いよいよその計画が実行される事となった日には、
3人全員が葉桜院を訪れてそれぞれ待機していた(そのうちの1人は成歩堂たちにばれないように秘密裏に行動していた)。


しかし、春美が霊媒をする前に予想外の行動に出てしまったがために、彼女の足止めに失敗。
それでも何とか真宵を守りきる事には成功するも、その代償として仲間の1人・天流斎エリスが命を落としてしまう。
その事が原因でエリス殺害容疑があやめに向くが、成歩堂や御剣怜侍の活躍によって彼女の無実が証明され、
「綾里真宵殺害計画」の全貌も法廷で暴かれた。
なお、ちなみの魔の手から救われた真宵はその後安全な場所まで運ばれ、
助けを求めるために霊媒した千尋の機転によって、真宵はちなみの手が届かない“最も安全な場所”へと隠れていた。


法廷で事件の全容が暴かれた後、裁判長は
「《霊媒の谷》という特殊な世界が生み出したヒゲキ‥‥でした。
 あの霊(ちなみ)はもう呼ばないほうがいいでしょうな」と結論を出し、
家元の座を諦めたキミ子の、舞子に対する復讐劇はついに終わりを迎えたのだった。

なお、霊力に恵まれなかった2人の娘には冷たく接していたからか、ちなみからは憎悪の目を向けられていた。
それに加え、真宵を葬り去るために考えた計画を「この世で最低の計画」と一蹴され、「キミ子の心はとっくに壊れている」とまで言われていた。
ちなみ自身母親に匹敵する邪悪さを持ってはいるが、確かに自身の死をも計画に利用されることを知って気分がよくなる訳がない。
ちなみが計画に協力したのは、あくまで彼女の側に計画を実行する理由があって利害が一致したにすぎず、父違いの妹である春美にも一切の同情を向けることはなかった。

また、前述した通りちなみの死刑が確定したからこそ思いついた計画であると言えるが、まだ難しい漢字が読めないであろう年頃の娘に振り仮名もついていない漢字だらけの計画書を渡している*1点からも、彼女には春美の母親たる姿勢すら持ち合わせていなかったと言わざるを得ない。
実行犯こそ別人になると言えど、幼い娘を殺人の道具に使うあたりからも、もはや彼女は家元の座さえ奪えればそれで良いとさえ思っていたのであろう。
「とっくに心が壊れている」というちなみの主張も、極めて納得がいくものである。

その後のことは不明であるが、今回の件で更なる殺人教唆の罪に問われることになるのは明白である。
しかし『3』第2話で彼女に触れた際に成歩堂から「刑の執行を待っている」と言及されているため、既に前作の時点で死刑判決が下っていると解釈するプレイヤーが多く、
どのみち極刑は免れないものと思われる。





追記・修正は、言葉を失うほど苦いお茶を飲みながらお願いします。


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最終更新:2024年03月23日 10:58

*1 実際に読み方を聞くため計画書をエリスに見せてしまっており、この時点で暗殺計画書として失敗だろう。しかも意味までは理解できなかったせいで不自然な行動をとっており、ここから全文を読めなかった成歩堂にも計画の全容を暴かれてしまっている。仮に意味を理解できたとしてもそこにあるのは「家元への明確な憎悪」であり、何も知らない娘を従わせる文面としても明らかに異常である。