高機動型ザクⅡ

登録日:2012/01/07 Sat 14:48:30
更新日:2024/02/27 Tue 10:06:14
所要時間:約 4 分で読めます





MS-06R ZAKUⅡ


高機動型ザクⅡは、ザクⅡの空間戦闘用機動性能向上モデルである。
またMSVシリーズのジオン系MS中では(恐らく)一番の知名度を誇り、露出やキット化の機会が多い機体でもある。



●スペック(R-1型)


全高:18.0m
重量:61.8t(76.8t)
出力:1012kw
推力:52.000kg


●概要

一年戦争中期頃になると、主力機ザクⅡF型にも性能の限界が見えてきた。
F型は確かに汎用性の高さなど評価は高かったものの、逆にその汎用性が故に中庸な性能となってしまった。
そこで、戦争の長期化に伴い数々の局地戦用機が生まれる事となる。
本機もその内の1つである。
空間戦闘を主眼に置いた再設計で
  • 大推力推進機への換装
  • 大腿部にインテグラルタンク設置
  • 脚部サブスラスターの増設
が行われた。
また、パイロット保護の観点からMSとしては初めて脱出装置を搭載した。*1
…などと、ザクⅡの派生機に当たるが実際は内部構造はザクⅡとは全くの別物である。


そして、良好な性能の為晴れて量産される事になった。

が、

  • 製造コストが高い
  • 内部構造の変更によって専用の運用設備が必要になり整備や保全も複雑化
  • 操作が難しい(後に改善)
  • 操縦系統がザクⅡと異なる上に複雑化している為に、機種転換訓練が必要。
などのデメリットの為に少数機のみの生産となってしまった。
しかし前線のベテランやエースパイロットからは絶大な評価を得て、配備申請が殺到。
その入手困難振りは「連邦の戦艦を沈めるよりもR型を手に入れる方が難しい」と言われる程であった。

またリック・ドムゲルググ等の新型機が登場しても、使い慣れた本機に搭乗し続けたパイロットも多かったという。

最終的に各型合計78機が生産され、終戦まで活躍した。


■各タイプ


●RP型(MS-06RP)

技術検証用試験機。
F型をベースに2機が改修され、グラナダ基地において各種試験がされた。
試験結果は良好で、若干の改良の後R-1型として生産された。
テストパイロットはザクの産みの親、エリオット・レム


●R1型(MS-06R-1)

初期生産型。
RP型に若干の改良を加えた機体で、運用面で問題があった為22機のみの生産で、以降は改良型のR1A型に生産が移行する。
主に本国防空隊や各要塞守備隊に優先配備された。
後に10機程がR1A型と同仕様に改修されている。

○主なパイロット
◇「ソロモンの白狼」シン・マツナガ
◇「ワンショット・キラー」ブレニフ・オグス
◇シグ・ウェドナー


●R1A型(MS-06R-1A)

R1型の改良機。
脚部推進材タンクのカートリッジ式へ変更や操縦系統の2WAY化などで、より実戦運用に向いた機体となっている。
また、製造した工廠により個体毎の差異がある。
シリーズ最多56機の生産数を誇り、適性配備により各エース達の元へ届けられた。

○主なパイロット
◇「黒い三連星
◇エリック・マンスフィールド
◇マサヤ・ナカガワ


●R2型(MS-06R-2)

総合性能向上型。
装甲や出力の強化が施され、脚部がカバーで覆われたような形状になっている。中身ももはや別機体と言える程変貌しており
「ザクの皮を被ったゲルググ」
と言えるまで性能が向上している。

次期空間戦闘用主力機のコンベに選出され、その座をリック・ドムと争うも操縦性や生産性において敗北。
計4機が生産されたのみで終わった。

○主なパイロット
◇「真紅の稲妻」ジョニー・ライデン
◇ギャビー・ハザード
◇ロバート・ギリアム


●R2P型(MS-06R-2P)

R2の1号機をビームライフルの試射用に改修した機体。
しかし技術が未熟だった為満足な結果が出せず、後にR3型(後述)に改造された。


●フルバレット・ザク

「一発では駄目でも百発の弾丸を持って敵を撃破する」をコンセプトに、R2型に可能な限りの兵装を積んだ魔改造機
MSV戦記」に登場し、ジョニー・ライデンが駆り相討ちながらもフルアーマーガンダムを撃破している。


●ゲルググ先行試作型(MS-06R-3/MS-06R-3S)

R2P型を改修してゲルググのテストベッドとした機体。
ジェネレーターの換装によってビーム兵器の使用が可能となっている。
テストパイロットはトーマス・マイヤー。
元々は「ザクⅢ」の名で発表予定だった(もちろんΖΖ同名機とは関係ない)。


●宇宙用高機動試験型ザク(MS-06RD4)

ドムを宇宙戦用のリック・ドムに改修するにあたり、テスト用に試作された機体。
通称「ドムザク」。
第08MS小隊第1話ではアイナ・サハリンが搭乗し、シロー・アマダボールと激闘を繰り広げた。
スパロボAPだとフル改造ボーナス(連続ターゲット補正半減)で化ける機体。


立体化

1983年にMSV企画の一環としてプラモデルが発売する。但しこの時の表記は『ザクⅡ』で高機動型は名称には付いていない。
1/144の旧キットで、最初は黒い三連星専用機が発売。頭部の上下や足首の可動など、旧来のザクⅡと比べると可動域で優れている。
付属として黒い三連星とマツナガのエンブレムが付属。盾に付けられるのだが、説明書にはそれ以外は手書きで足してねと鬼のような文言が記載されていた。
1984年2月にはジョニーライデン専用機も発売し、ザクバズーカがここで初めて付属した。

1983年の1/144発売から半年後、1/100でマツナガ機が発売。マツナガ機はR-1タイプの脚部造形になっている。
武装はザクマシンガンしか付属しないため、ヒートホークを付けたければ他キットから流用する必要があった。
1984年にはジョニー・ライデン専用機も発売した。ジャイアントバズが付属している。

1/60では1983年に黒い三連星機が発売。ムギ球と単三電池さえあればモノアイが点灯するギミックが初めて再現された。
後にジョニーライデン専用機も発売した。R-2タイプの脚部ではあったがバックパックの形状が異なる。

1983年12月には1/30で黒い三連星機が発売。価格は1万円。
発砲スチロールで構成されたキットで、針金や接着剤を使って組み立てる工作キットのようなものだった。
勿論そんな素材なので色分けなど皆無だし、可動域もお察しな状態。当時の広告でもインテリアとして扱ってくれと書いてあった。

1996年8月にMGで発売。
ジョニーライデン専用機は、赤色と黒色が一部逆転もしくは変更されたキットで、当時のプラモ誌でボコボコに叩かれていた。
量産型ザクⅡの金型流用が原因なのだが、武装もザクマシンガンやヒートホーク以外付かないという点でも評価は低い。
シンマツナガ機も同タイミングで発売。上記の理由でこちらも一部色分けが異なる。
1999年には黒い三連星機も発売。ジャイアントバズとプロトジャイアントバズが付属している。色分けはお察しください。

2008年にはVer.2.0でMGが発売。
今度は黒い三連星機が最初に発売した。続いてジョニーライデン機とシンマツナガ機も発売している。
R-1、R-1A、R-2タイプをそれぞれしっかりと区別されているほか、ジャイアントバズや試作ザクバズーカなどの個性的な武装もそれぞれに同封。

2013年にはHGUCで遂に発売。
黒い三連星機が先陣を切った。しかしザクバズーカは付いてもジャイアントバズは付属していない。
翌月にはシンマツナガ機が発売。ただし試作ザクバズーカは付いていない。
翌月にはジョニーライデン機も発売。ジャイアントバズが付属し、更に盾に装着できる武装ラックまで付いていた豪華仕様。

2015年には機動戦士ガンダム THE ORIGIN版キットとして黒い三連星機がHGで発売。
ガイア/マッシュ機とオルテガ機でそれぞれ区別化。
前者は両肩シールドやバズーカのマガジン、対艦ライフルが付属しどちらかの再現が可能。
後者はジャイアントヒートホークと専用台座、更にエフェクトパーツが付属している。

2017年にはRGでジョニーライデン機が発売。
一部を量産型ザクから流用されているが、かなり優秀な仕上がりとなっている。

プレミアムバンダイでは、MG(Ver.2.0)やRGで多くのエースパイロット専用機が展開。
シン・マツナガやギャビー・ハザード、マサヤ・ナカガワ、ロバート・ギリアム、ユーマ・ライトニングなどありとあらゆる機体がある。
期間限定発売のため2021年現在では手に入る可能性が非常に少なく、カラーリングだけでも再現するか改造するかの二択に限られる。転売屋からは買わないようにしよう
プロショップ限定では、ア・バオア・クー防衛仕様がMGで発売。こちらも今では手に入り辛い。


ゲームでの活躍

三連星専用のR-1A型・ライデン専用のR-2型・試験型が登場。試験型以外は地上戦でも運用できるが、適応力は低いのでやはり宇宙戦での使用が基本である。

三連星専用機は三連星編「木馬討伐作戦」をSランクでクリアすることで入手可能。S型と同じく三連星搭乗時には一部の性能が微増し、ガイア搭乗時に僚機にマッシュ・オルテガがいる場合、コマンド入力で3機がターゲットを同時攻撃する「ジェットストリームアタック」が発動できる。

R-2型はライデン編「ルナツー補給線を叩け!」をSランクでクリアすることで入手可能。ライデン搭乗時はバーニア推力とパワーが増加し、特に後者は上昇値77と専用機ボーナスとしては規格外とも言える強化が施され、総合性能では本作のザク系統の中で最高クラスになり、設定通り「ザクの皮をかぶったゲルググ」になる。

試験型はアイナ編「テストパイロット」をSランクでクリアすることで入手可能。両肩は旧ザクと同様のデザインになっており、本作のザクII系統では唯一右肩シールドを持たない。
両肩は旧ザクと同様のデザインになっており、本作のザクII系統では唯一右肩シールドを持たない。

初代では登場しなかったが、EXVSFBの家庭版でジョニー機とマツナガ機がDLCで発売。
ジョニー機は特殊移動で旋回しつつ距離を詰めて攻撃するトリッキーな機体で、闇討ちを得意とする。
マツナガ機は堅実な射撃武装を取り揃えての攻撃が可能。魔法とも呼ばれるほど判定に優れる横格闘や、パイロットの被弾ボイスのホアアアアアア!!!↑が妙にウケていた。それでいいのか、白狼。
EXVSMBではエクストラ機体として有料会員限定で参戦。続くEXVSMBONでも続投するが、さほど性能が変わるわけでもなく、あくまでおまけ機体程度の性能を維持したままだった。

EXVS2では、ナンバリングも新たになったがエクストラ機体全削除に伴い一旦姿を消すも、再びエクストラ機体として参戦。
ジョニー機は特殊移動が二度連続して可能になり、更にジャイアント・バズも滑り撃ちが追加。格闘コンボも下派生の蹴り上げが追加されるなどエースパイロット機に相応しい格好良さと強さを得た。
マツナガ機は一発即ダウンのサブ射撃や閃光弾による怯み技などを得たが、全体的には没個性。魔法の横格闘や3HITよろけのメイン射撃は確かに強い部類だが、それに追随する性能が得られなかった事、被弾ボイスのホアアアアアア!!!↑がスタン限定の叫び声になった弱体化もあり、かなり弱い機体として冷遇される。

EXVS2XBでは続投。
ジョニー機は特殊移動が弾数制になり、派生技が増えたがここぞという時に使いづらくなってしまった。特殊格闘の派生が増えたりもしたが、モーションが変わっただけで性能的には変わりない。
弾数制になった事で機動性に大きな制限をかけられてしまったが、代わりにオーバーヒート状態でも移動量が削減されず変則移動がかけられるようになったので一長一短といったところ。
とはいえ当初は特に趣旨が大きく変わるこの修正に賛否が分かれ、長らく本機の評価を大幅に下げる要因になってしまった。

一方のマツナガ機は、アシストのザクがバズーカを三連射する、機動力強化、射撃CSの範囲拡大などの強化を貰い、前作までの不遇を押し返す勢いで登壇。
しかし射撃CSはチャージ時間が短縮されたことで、メイン射撃の連発中に暴発が起こりやすくなっている。その兼ね合いからS覚醒は、特殊射撃のリロード時間短縮などで回転率が改善され、チャージ時間短縮による暴発事故の恐れが増加するなど恩恵を受けづらくなった部分も多いため最善では無くなっている。

EXVS2OBではエクストラ機体扱いでは無くなった。
ジョニー機はサブ射撃にリック・ドム呼出が追加。バズーカ撃ちと突撃を使い分け、セルフL字攻撃が可能になった。
その他細かい所では、下格闘にクラッカー投擲、特殊格闘格闘派生が三連撃になったりした。

マツナガ機はサブ射撃の弾数増加、N特殊射撃の仕様変更とレバー入れ突撃アシストの追加、覚醒中特殊格闘限定で閃光弾の投擲数増加と、それなりに良い調整を受けている。

MSV枠として初代から参戦。大抵の場合、ジョニー機とマツナガ機は健在。
宇宙世紀が出ている最後の作品ジェネシスでは、一般機(R1A型含む)や三連星やガトー機などが参戦している。
全体的な性能では通常のザクⅡと比べ、防御力以外のステータスで勝る場合が多い。とはいえ所詮はザクの延長線上にいる機体なので過信は禁物。


  • ガンダムバトルオペレーション2
高機動型ザクⅡ、同後期型が汎用機枠で参戦。さすがに高機動を謳っているだけはあって、足回りは良好で、後期型は宇宙適正も相まって宇宙での高速移動性能は未だ高水準の域にいる。
300~400コスト帯のマッチでは無難に使え、武装も扱いやすいものが揃っているので初心者でも使いやすい。
ゲームの特性上、専用機は個別登録されていない。自分でカラーリングしたりマークを購入すれば、好きな専用機風に改装できるのでチャレンジしてみよう。




追記・修正はR型を受領した方がお願いします。

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最終更新:2024年02月27日 10:06

*1 それまでの機体には脱出装置が搭載されていなかった