紅殻のパンドラ ―GHOST URN―

登録日:2016/02/01 Mon 04:59:28
更新日:2024/01/10 Wed 10:41:40
所要時間:約 25 分で読めます






――これは、そんな時代に全く、関係なく


彼女が――彼女に出会う物語




紅殻のパンドラ -GHOST URN-』とは、原案・士郎正宗、漫画・六道神士によるマンガ作品。
『ニュータイプエース』で連載していたが休刊に伴い、現在は角川のWebコミック配信サイト『コミックNewtype』に移籍して連載中。
2016年1月~3月までTVアニメが放送された。略称は紅パン(あかぱん)。


概要

かの有名な攻殻機動隊と同じ世界観であり、「電脳」と「義体」の技術が存在するSFマンガ。
原案も攻殻機動隊の原作者の士郎正宗氏が務めており、大まかな物語の流れ&ベースとなるキャラ設定を六道神士氏に渡し、六道神士氏が大幅なアレンジを加えて描き上げている。

副題の GHOST URN*1URNとは、「ギリシャの壺(あるいは瓶)」のこと。
つまり「パンドラの箱」のことを指す。

士郎正宗氏が直接マンガ化しないのは、
自分の絵ではそもそも古いし、また『攻殻機動隊』などの既存作品の印象を引きずってしまいあまり明るく楽しい作品にならない事や、
すぐ面倒くさい屁理屈を並べるクセがあるために作品が設計よりも鈍重になることが予想されるから
とのこと。

アレンジはかなり気に入っているらしい。
また9巻からは体調不良により六道神士氏は原作担当となり、作画を春夏秋冬鈴氏が担当するようになった。
なお春夏秋冬鈴氏のクレジットは権利表記の都合で表紙には記載できないとのこと。*2

単行本には、福音とクラリオンがラジオ形式で作品内の設定を答えるコーナーや、士郎正宗氏によるプロダクトノートが収録されている。
電子版では紙媒体版と違い、カラーページ化かつ増補されたプロダクトノートを読むことができる。

元々は『GHOST URN』という題名で企画されたアニメで、初期プロットでは『攻殻機動隊 ARISE』と同一の世界観でクロスオーバーする予定であった。
しかし、アニメ企画が諸般の事情で中止になり、漫画として企画を再始動させる際に設定とキャラクターの再構成が行われた。
それに伴い、世界設定は『攻殻機動隊 ARISE』よりも前の時代になり、現在の『紅殻のパンドラ -GHOST URN-』という形に落ち着いている。
それぞれの作品は元企画が同一だった関係上、重複している要素もあるが著作管理者も異なり、現行マンガ作品は世界観的にも『攻殻機動隊 ARISE』とは無関係。
あくまで『元アイディアを同一にする別作品』という扱いである。

前述のとおり、世界観は他の士郎正宗氏が直接描く作品と同一のものであり、
設定は原作攻殻機動隊やその後に続く原作アップルシードがベースとなっている。
そのため電脳や義体以外にも、「枝がつく」「メガテク工業」「大日本技研・ポセイドン」「セブロ」「P2501」「アポルシード計画」など、共通した単語が多い。
またシロマサ作品は大体が世界観を共有しているため、ディープな作品からの登場もちらほら出てくる。

セラノ・ゲノミクス」や「剣菱重工」といった単語も出てくるが、S.A.C.シリーズや関連のある「東のエデン」・「RD 潜脳調査室」、「攻殻機動隊 ARISE」や
各種アニメ化されたアップルシードの諸作品などとは設定の異なる別の世界とのこと。
またテレビアニメ版紅殻のパンドラはアニメスタッフにより設定が変更されているのでマンガ作品とは異なる世界観となる。*3

六道作品としても『Holy Brownie』『エクセル・サーガ』を彷彿とさせる要素がキャラや用語で多数登場しており、ある意味では士郎正宗&六道神士の集大成…かも知れない。
…『Holy Brownie』には歴史改変等が存在しかつ『エクセル・サーガ』の過去編でもあるので、真面目に六道氏の作品世界とリンクしていてもおかしくないのが怖いが。

ちなみに同人誌として「紅殻のスキマ」がスタッフによって発行されており(既刊9巻)、本編で語られない裏設定等が記されている。

TVアニメ版主題歌
  • OP「hopeness」」作詞・作曲・編曲・歌 - ZAQ
  • ED「LoSe±CoNtRoL」作詞・作曲 - ZAQ / 編曲 - TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND / 歌 - 七転福音(福沙奈恵)&クラリオン(沼倉愛美)

設定年代と物語構成

年代については明記はされていないが、現在世界は第4次非核大戦時中ということが作中で示唆されており、
光学迷彩の型番など情報から、2020年から第4次非核大戦終結までの2026年の間の時代と考えられる。
+ が…
最終章にて設定年代は2022年であることが明かされた。

全四章で構成されており、2023年9月現在*4は最終章が連載中。

  • 第一章「デモンシード・クライシス」(1巻~2巻)
    ブエル暴走によるセナンクルテロ事件

  • 第二章「サタニック・ラプソディー」(3巻~8巻)
    クルツ大佐によるブエル奪還作戦

  • 第三章「オペレーション・サード・ライトニング」(9巻~23巻))
    秘密結社ポセイドンとの闘い

  • 第四章「ラストダンス」(24巻~)*5


あらすじ

電子が世界を駆け巡り、技術先進国ではサイボーグや自律ロボットが一部ではあるが一般に出回り始めた時代。
戦争・災害・飢餓・貧困 ──あらゆる災厄が世界を覆い、人々が救いを求めて暗闇を彷徨っている過渡期。

──これはそんな時代に全く関係なく、彼女が彼女に出会う物語

科学者ウザル・デリラは最新設計の技術都市と最高級のリゾート地が一つになった島・セナンクル島に向かう船の上で仕事を片づけつつ休暇を取っていた。
そんな時、船の上で一人ゲームをやり続けるアンドロイドと出会う。
興味を持ったウザルは、型式と所有者を確認しようとするもののアンドロイドは反応しない。
違法認可の闇アンドロイドかと思い、ぶんどることも考えていたその時、少女は自分のことを人間だと名乗る。

彼女──七転福音は世界で数少ない『全身義体』の少女だったのだ。


用語

■技術

攻殻機動隊シリーズでおなじみのアレコレ。世界観も同じなので、特に設定の上での大きな違いはない。

義体

身体の一部、または大部分を人工物・機械に置き換えて生命活動を補う技術。平たく言えば「サイボーグ化」である。
「サイボーグ化」とは身体の一部、あるいはほとんどを人工器官で代用する改造人間のこと。
「義手」「義足」などに倣い「身体の一部、または大部分」のサイボーグ化も広義で「義体化」と呼ばれることもある。

義体化には「部分義体化」と「全身義体化」があり、補う範囲によってアプローチが変わる。
部分義体化は義肢・人工臓器によって人間の能力を補うことに特化しており、制御方法もまちまちである。

全身義体化は制御の関係上電脳化が必須であり、大抵の場合脳と脊椎の一部を除き肉体部分を切除し「脳殻」*6というユニットに納める。
また被施術者の遺伝子から培養したり元の内臓より切り出した眼球サイズ程の肝臓と人差指サイズの副腎もミニ人体の維持上必要となり脳と同時に脳殻に納められる。
神経網や肉体の大部分を切除してしまうので神経網はマイクロマシン神経接続に置き換えられる。*7
そして全身義体へ脳殻を納め、神経ネットと神経接続マイクロマシンの自動吸着によって実際の義体の各種端末へと接続する。*8
部分義体化は「人間としての能力を補う」側面があり、全身義体化は「人間以上をつくる」という側面がある。

だが、この時代では義体技術は開発途上の段階にあり、一般にはほとんど普及していない。また非常に高価な存在でもある。
まだまだ医療行為としての側面が強く、全身義体化の兵士が戦場で活動するにはもう少し時間がかかる段階である。*9

身体の一部を義体化するだけでも過酷なリハビリを経てようやく不器用な動作が可能になるというレベルで、そもそも義体に適合できない事さえある状況。
全身義体の人間ともなると更に稀少で、関節等も偽装されていないため初見ではまずロボット(アンドロイド)と間違えられている。
人型義体では技術的な課題も数多く残っているため、技術的なハードルが低く水中と電脳空間で生活するイルカ型義体などの開発も進められている。

余談ではあるが、電脳化はある程度広範囲な義体化の前提にはなるものの、電脳化だけならば義体化と呼ばれることはない。
電脳化は生体脳に機械が脳活動を判読可能な電脳マイクロマシン網を形成するものであり、脳を無機的機械へと代替する施術ではない。*10

また義体化に使われる素材は無機物だけとは限らず、バイオ系(有機物)の素材が使われることもある。

電脳

個人が持つ脳ニューロン網に対して擬似的に電脳マイクロマシン網を形成させ、脳と外部ネットワークを結ぶブレインマシンインターフェイスの一種。
具体的には頭蓋に目に見えないほどの小さな穴をあけて電脳マイクロマシンを注入し各脳細胞に定着させて脳細胞の働きをトレース・学習させる。
そこに別途、頸椎に埋め込んだ「脳細胞信号の翻訳機・トランスミッター・記録ストレージが入ったチップ」を介してネットワークに接続させる形式である。

電脳化は生身の人間でもそれほど複雑な手順を必要としない施術であり義体化とは直接関係はない。
しかし、全身義体化やある程度広範囲の義体化を行うためには身体の制御の方法として最低条件・必須条件となる。

この時代ではまだネットワークと人の脳を繋ぐ技術自体が未発達であり、そもそも先例自体があまりない。
しかし、常人がそのままネットワークに繋いで戻ってこれなくなる例が報告された。
情報とプログラムの流れの中では自我の喪失の危険があり、そのような状態のことを電脳遭難(ブレインダウン)と言う。

そのため偽装空間(テラリウム)と呼ばれる緩衝地帯と個人を保護する殻・ネットワーク上の仮想体(アバター)が必須となる。
斯様にこの時代の技術では電脳空間内部を自由に行き来することはできず、ネットワーク上に予め敷設された一定のエリアを往来できるに過ぎない。

反面、電脳化によって得られるメリットも大きく、ほぼ全感覚を投入可能な仮想現実・潜在的現実への親和性はVR機器の比ではないとされる。
偽装空間の再現度は接続する偽装空間の仮像データに依存するが、味覚の再現を目指すなど多数の分野で様々な研究が進められている。*11

基礎技術はこの時代でもある程度確立しているが、行政や人権団体の反対運動があり、普及率は全世界で0.1%。
最新技術の見本市と見做されるセナンクル島においても普及率はたったの3%という状態。
電脳通信を行うことで組織内での意思疎通が速やかに行えるメリットがあるため、軍や警察では士官の電脳化を奨励している。*12
しかし電脳化が出世に影響するかのようなイメージや偏見が付くことを避けるために被電脳化者はコネクタを偽体シールで隠しているのが実情。
その程度にはまだまだ一般に理解は拡がっているとは言えない状態である。
事例も少ないことからゴーストハック等の電脳倫理侵害はそれほど社会問題化していない。それゆえ攻性防壁などの技術も開発途中で普及率も低い。
このように攻殻機動隊の時代と比較してまだまだ前段階にあり、誰しもが気軽に電脳化・電脳空間にアクセスできる段階にはない。

「光学迷彩」及び「熱光学迷彩」

使用対象に纏わせることによって周囲から視認及び感知されにくくする、文字通り対象物を光学的にカモフラージュするための技術。
応用することで「見えているものを本来の形状とは別のものとして認識させる」ことが可能だが「透明人間のようになる」使われ方が多い。

光学迷彩の改良発展型の光学迷彩も研究中されており、熱光学迷彩は更に欺瞞する周波数の範囲が広く熱赤外線域まで偽装することができる。
この時代の段階では光学迷彩は発展途上の技術で、一部の国で欠陥だらけの代物が試作されている状態。
だが一部の先進的組織では熱光学迷彩の実用化に成功しつつある。

ちなみに福音の義体に搭載されている『2001試作型改光学迷彩』はウザルが製作したもの。
光学・熱・音響・感圧はもちろん「脳を阻害する信号」を発して直接視認も困難にする、現時点での完璧な光学迷彩。
主にパンドーラ・デバイス起動時、別の衣装に変身した様に偽装する用途で使われている。
作中解説によると、顔に心理的込みの迷彩をも掛けることで、認識阻害を誘発し見る人々からはネネの正体を隠蔽する役割を果たしている。
全く以て技術の無駄遣いである。


パンドーラ・デバイス

クラリオン内部に搭載されている、追加型技能別義体制御アプリケーション。
様々な「スキル」が保存されており、これをダウンロードすることで状況に合わせて様々な達人級の技能を発揮することが出来る。
近接戦闘から料理まで多種多様なスキルをプログラム化しており、使える技能は千差万別。
福音はクラリオンからスキルをダウンロードし、様々な能力を発揮することができる。

ぶっちゃけると、攻殻機動隊版魔法少女システム
福音がスキルを解放すると、光学迷彩で衣装がチェンジして変身完了。
様々な達人になり、一定時間だけ色んな力を発揮することが出来る。

+ 詳細
なお本来は人型ロボット用の動作補助アプリケーションであり、クラリオンが所有者の命令で自身に起動するもので、福音が使うのは例外的な使い方。
そのためクラリオンの下腹部にある端子に、福音が指先にある旧型の「F端子」(エフ・ポート)で直接接続しなければプログラムを起動することが出来ない。
なので、デバイスを使うときは「クラリオンがスカートをたくしあげて、福音が下腹部に指先で触れる」という、ものすごくアレな絵面になっている。
大事なことなので複数回記すが「下腹部」である。断じて陰部ではない。

ちなみに使用時間が決められているのは、強制的に電脳マイクロマシンの配列を変更して疑似記憶を作り出すことでスキルを習得する仕組み上、
実体験と疑似記憶の区別がつかなくなるのを防ぐためと、一ダースほどの国際法に抵触しているため。
熱光学迷彩で変装をしているのは機密を扱う者は身元を偽装するのは当たり前のことであるというウザルの価値観による。実利とロマンを兼ねた措置である。

元々は日本政府が大日本技研に依頼した「データ収集設備」で、震災による深刻な人材不足対策の一環での様々な技能の保存とバックアップが目的。
その関係上、日本国内で稼働するロボットやサイボーグはその活動記録が自動的にパンドーラシステムのサーバーに送信することが義務付けられている。
そこには当然義体化した要員の軍事活動や公安活動が記録されることもあり、後に日本政府によって「政府管理機密パンドラ」に指定されることになる。

この時代では主にロボットが動作したデータを収集しAIが自動的にデータを振り分けて蓄積している段階。
ウザルや秘密結社ポセイドンはそこに目をつけ、バックドアから必要と思えるデータを抜いて精製して各々勝手にスキルとして用いているのが現状。
構築者・納品者であることをいいことに好き勝手しているが立派なテロ行為である。*13

根幹に開発者であるウザルの「遺伝子レベルでは他の類人猿に劣っていたホモサピエンスがここまで進化できたのは、遺伝子以外の摸倣子を手に入れたから」
という考えがあり、様々な体系だった「スキル」という模倣子を、人類の本質の一部として捉えていたことが関係しているらしい。
本人曰く、パンドーラ・デバイスは「人間性の箱船」とのこと。


適合者(アデプタ)

まともに義体を動かせないケースが大半の現状において、ごく少数存在する「生身」以上に義体を扱うことのできる人間のこと。
全世界でも数件しか報告されておらず、全員が10代以下の年齢であるほかは公表されていない。

アデプタ(adepter)」という読みは「達人(アデプト、adept)」と「接合器(アダプター、adapter)」を組み合わせた造語。
福音の場合は人型ロボット用の動作補助アプリケーションにも適応できるが、それが適合者全般の特徴なのかは不明。


Fポート

正式名称"Finger tip Port"。マイクロマシンをつかった生体多機能端末。またはそれを用いたクラウドサービスの本人認証システム。
国際個人認証システムとして開発され最も安価で安全なシステム、デバイスとして普及している。
電脳化と違いあくまでネットワークを媒介するための端末にすぎないが一般人にはまだまだ違いが伝わっていない。
名前のせいで指先に埋め込む人が多いが認証できればどこに埋め込んでも問題はない。


天鳥船(アメノトリフネ)

崑崙八仙拓美が所有する大型コンピュータ。人間の脳のような形をしている。
破格の性能を誇るが未完成のため使用には時間制限があり、一度終了すると次の起動まで48時間かかる。
起動には二礼二拍手一礼と祓詞を唱えることが必要。
+ ネタバレ
実態は拓美が研究している別アプローチの「ブエル」及び「KOMドライブ」である。

■メカニック・兵装

ブエル

ウザル・デリラが製造した巨大兵器で、正式名称は「Base of Unearth Extra RESOURCES」。
表向きには、真希少金属の採掘を目的とした「自律型採掘機(ボーリングマシン)」とされているが、実態は衛星軌道上からの都市攻撃を可能とする荷電粒子砲。
核をもしのぐ威力を持ちながら、放射性物質をまき散らすなどの害がないため条約違反にもならない、絶大無害な超兵器。
…としても使える何か。

強固なネットワークセキュリティ防壁を持ち、物理的にも自動迎撃装置や暴走プログラムでおいそれと近づけないように様々な対策が取られているが
現在の「核兵器とBC兵器に懲りた人類が、条約で互いの手足を縛って戦う」戦争において、絶大な威力を発揮するため、米帝などの多くの勢力から狙われている。

が、そもそもこれを造った組織によると本来の用途は別にあるらしく、荷電粒子砲はあくまでも副産物でしかないらしい。
製造過程で巨大な脳殻らしきものが内部に積まれているなど、本来の使用法は謎に包まれている。
「ソロモンシリーズ」と呼ばれるMM(マイクロマシン)巨大戦艦のフラッグシップ機。

ペットロイド型の中央制御装置(セントラル・ナーバス・ユニット)が別に存在しており、詳細は主要登場人物のブエルの項目も参照のこと。


ゲルツェコマ

通称「ゲルコマ」。
崑崙八仙拓美とウザル・デリラが共同開発した歩脚軽戦車の一種で自立型歩脚汎用ロボット。
拓美が構想し、ウザルが基礎設計とデザインを担当。
現在も開発途上の実験機で、型式名は「GER0000021」。

ローラーのついた4脚を持つ卵のようなデザインで、大量生産を前提としているため沢山いる。
構造のモジュール化が突き詰められており、多数のオプションパーツが用意されており、簡単に換装できる構造な為あらゆる事態に即応可能。
音声機能がないためタチコマのようには喋らないが、モニターに文字を表示することで交信することができる。

群体が基本のため個体の概念が薄く個性が無い…はずなのだが、均一化をしているに関わらず何故か個性を会得した機体も生まれている。
ゆらぎが起きるようある程度個性が発生するように設定してはあるのだが、開発者の拓美の想定を超えて発達する個体も発生し続けている。

ウザルと拓美が作ったものなのでクラリオンの拡張ユニット・連携システムとしても機能する。


シノカオミ

CV:川村万梨阿
崑崙八仙拓美が開発した大型多脚戦車。
不安定で製品化を諦めた実験機だが、暴走するブエルを安定させるためセナンクル島の米帝軍に単独でカチコミをかけるクラリオンに譲渡された。

ガトリングガンやミサイルポッド、レーザー減衰用の対光学兵器用煙幕の他、主砲レールガン「ヤツカハギ」を装備している。


夜龍&灰虎

読み方は「やりゅう」&「はいこ」
クラリオンのスカート内部に搭載されている金糸鋼性の黒い戦闘用ナイフ。
普段はリミッターがかけられており、脅威レベルが一定以上と判断されると封印が解除される。
MADE in PIA(POSEIDON INDUSTRIAL ARMS)製。
銘は、夜龍「Series NCST-2022-004」。灰虎「Series NC2-2022-028」
士郎正宗デザインの業物。


PLM-7

ポセイドンが製造したLM(ランドメイト=強化外骨格)。
マスタースレイブ方式*14。で動かす数世代先を行く技術で作られた試作試験機で小型化を目指すデータ集めのために製造された。*15
試作機なのでセキュリティ面が完全ではないという欠点がある。
性能は申し分ないのだが、ぶっちゃけ相手が悪すぎた。

後にラブリュスによってサルベージ・修理改造され、オペレーション・サード・ライトニングにも投入されるが…。

全高8.02m
本体重量6.00t
全備重量6.62t
乗員人数1名


■地名

セナンクル島

物語の主要舞台。
作中における近年、火山活動によって誕生したクレーターを複数繋げた形の新島に最新の技術を注ぎ込んで開発された最高級の人造リゾート島。
「最新設計の技術都市と最高級のリゾート地が一つになった島」で、有名企業やセレブたちの垂涎の的になっている。
世界大戦と呼ぶに相応しい状況下で資金力のある企業や資本家が安全なビジネスや研究の場を求めて集まった「世界のどこよりも安全な島」。
ウザルや拓美がこの島を拠点としており、それぞれが主催するレアー財団・崑崙八仙財団などが難民を受け入れた経緯もある。
しかし、世界有数の技術や頭脳・セレブが集まる土地でもあり、掌握すれば一気にそれらを入手できることから政治的・経済的にも各国より狙われ易い。
そういった複雑な情勢下の小国ゆえに政治的には非常に脆弱であり、政治首長は舵取りが難しく責任も重い状態にある。
議長ノースの手腕により複数の国家と安全保障条約を結んだ独立自治国であり、独自の法・議会・行政府・警察機構・軍隊が存在する。
その他、安全保障条約締結の結果小規模づつではあるが各国の駐留軍も存在する。


人口は約4.2万人。
+ 情勢
第一・二章ではブエルの暴走でたびたび混乱が発生しており、通信障害や火災・それに乗じたアンドロイド盗難事件が発生するなど治安は不安定な状態にあった。
しかしウザルの偽装工作と議長ノースの手腕も手伝い一時的な混乱に留まった。
なお島の由来自体が秘密結社ポセイドンとは因縁浅からぬものらしく、第三章では直接秘密結社ポセイドンに狙われる事態となっている。

アメリカ

作中の世界では貧富の格差や個人情報管理強化などの理由により、アメリカは一つの国家として複数の公共サービスを提供する体制となった。
国民はその中から自分に相応しいサービスを選択することが可能で、主に「アメリカ帝国」「米ソ連合」と呼ばれる社会システムが存在する。
実際には帝国の体制にも連合の体制にも互いに関係者は入り込んでおり、アメリカという国家が分裂した訳ではない
「アメリカという国家の大事」に際し、民主主義の弱点である決断の速度を早めてより優位に振る舞いを可能にする柔軟なシステムとして機能している。
それぞれに税制、金融財政、受けられるサービスには大きな違いがあるが、地域の移動も「アメリカ合衆国の地理内部」では自由に可能である。
両者に「ここまでが帝国、ここからが米ソ連合」といった地理的国境の概念は無い。

【アメリカ帝国】
クリスト家*16を中心とする帝家を頂く体制、作中のアメリカの社会体制のうちの一つ。
上下院の議会や公平な選挙も普通にあり、国民からは一定の支持を得ている。
民主国家ではあるが「皇帝による即断即決即行動」を可能にする一種の柔軟性を取り入れた政治体制の結果である。
その歴史上、王家などの伝統や歴史的後ろ盾を持たないアメリカにあって帝家が創設されたことは主に外交面で効力を発揮出来ているらしい。
俗に現実の世界で呼称されるパックス・アメリカーナ的帝国主義傾向を揶揄した単語である「アメリカ帝国」とも無関係。
…ではあるが、やはり一方で略称として「米帝」と呼ばれてしまうこともままある。
アメリカ帝国軍は統合アメリカ軍よりもトガっており機動力やインパクトパワーに特化している。
安全保障条約を結んでいるためセナンクル島にも駐留軍が存在しているが、兵士の態度が悪く評判は良くない。

【米ソ連合】
物語世界では「温暖化により海洋進出が可能になったソ連によって現実の歴史には存在しないアメリカとソ連の新たな関係性」が築かれた。
その中で生まれたアメリカの国民が選択可能なもう一つの国家体制・社会システム。詳細は不明。
…なのだが、ソ連は温暖化でシベリアの開発が進み農業の発展・資源開発と海洋航路の開拓により貿易が活性化した。
よって、米ソ連合はソ連との取引が増加して相互に影響しあっていると考えられる。
なおそのことが原因で「冷戦構造が外見上ウヤムヤに煮崩れている」らしい。
アメリカ帝国と分裂したハト派がソ連の一部と融合した連合国家ではない

ソ連

ソビエト連邦。
この世界ではソ連を崩壊させた8月クーデターが成功。結果、ソ連は崩壊せず政治体制は継続されている。
そのため外交での強硬化&強気の姿勢はあまり変わらず、1995年に中東に軍事介入し第3次世界大戦の引き金を引いてしまう。
世界大戦、衛星国の離脱などはあったが、温暖化が早く進んだことで農業などの資源開発、北極海の航路&貿易により、国力は持ち直している。
それにより米ソ連合との交易などもあり、冷戦構造の状態は外見上煮崩れている。*17
攻殻機動隊の択捉編で描かれた通り北方領土は返還され、攻殻機動隊本編で描かれている状態に至る最中。
日本とは領海・領空侵犯などの国境事案を度々起こしているが、比較的友好な関係を築いている。

教国

正式名称は「ムンマ教国」。
中東の過激な宗教国。

日本

日本も二度の世界大戦から逃れられず、第4次非核大戦の当初に核兵器により首都圏が壊滅し、首都が福岡に遷都されているほか
政令指定都市の一部や自衛隊・米軍基地、原子力発電所が置かれている場所を中心に攻撃を受け大きな被害が出ている。
また南海トラフ大地震と思われる地震によって中央構造線断層帯が裂け、山陽地方・四国、近畿地方の一部に大きな被害を出ている模様。
天皇制も存続しており民主主義を唱えながらも非常に社会主義的な傾向がある国として成立しているらしい。
「縁」という概念や、きのこに勝てるのはたけのこだけという言い伝えが残っている。


世界情勢

なお作風がコメディでほんわかしていて、舞台であるセナンクル島が比較的平和なので勘違いされがちだが
シロマサ世界の第4次非核大戦時下での話なので、世界はかなりヤバいことになっており
  • 第3次世界大戦の核の撃ち合いで主要各国は放射能汚染でボロボロ。
  • 中国は1999年の巨大隕石が北京に落下し、首脳陣が壊滅。
  • 泥沼の第4次大戦と大規模自然災害で疲弊し、大国は資源とリソースを奪い合っている。
という、何もしなかったらゆっくりと人類は滅亡する状況まで追い込まれている。
作中敵味方問わず、ほとんどの人間が「世界平和」や「人類救済」を目指しているのはこのため。

ちなみにロバート・アルトマン氏の日本観がどことなくおかしいのも戦争の影響で情報が正しく伝わらなくなっているためである。




登場人物

■主要人物

七転 福音(ナナコロビ ネネ)

CV:福沙奈恵
主人公で、世界で数少ない「全身義体」の少女。認可直後の第一世代型義体。
16歳。誕生日は7月7日。あれこれ7づくしである。
天然ほえほえ娘で、夢は「世界平和」。
日本の福岡出身で、趣味は間接入力型ゲーム(この時代ではレトロゲーム)。
+ ヒミツのデータによると…
身体情報は156-68-78・57・75
ドラマCDによるとアニメ版設定では体重はリンゴ333個分だそうである。
年齢は、この時代の草薙素子よりも年上の設定。

幼い頃、難病であるピュクシス症候群*18を患い治療の一環として電脳化。
さらに6年前に事故で両親と肉体のほとんどを失い全身義体になるなど、物凄くハードな人生を送っている。
頭の髪留めは母親の形見。だが一方で両親の写真を荷物から見つけた際、クラリオンの間接的な躊躇いをスルーしてあっさり仕舞い込んでいた。
上記の趣味のゲームも義体動作のリハビリの一環で始めたのがきっかけ。

世にも珍しい全身義体なので、大体初見では人間扱いされない。
実際、生身で残っている部分は脳と脊髄の一部のみで、他の部分はすべて義体化されている。*19
サイボーグ食が開発されていない時代なので食事もできず、一週間に一度脳に必要な栄養の入ったカートリッジを交換して摂取。本人の思考も「下着は一着あればいい」等微妙に人間臭が消えかかっており、
大日本技研のプラント見学時にはクラリオンが「自然じゃない」「工場」と感じた遺伝子組み換え家畜を「私達と一緒」と普通に受け入れ、「人間は作ったりしないんですか」と案内ロボも驚く質問をかましていた。
他にもアンドロイドを「この子」と言ったり、ゲルコマを「さん」付けしたりと、機械と人間の境界が曖昧になっている節がある。
また「様々な人に助けられて今の自分がいる」という「負い目」ゆえ、拓美が案じるほど「子供らしさ」が少なく、拓美に薦められた学校(オンラインによる通信教育)への参加も「人助けが出来る自分になるため」と考えている。

遠縁の親戚である崑崙八仙 拓美に引き取られ、新しい生活先であるセナンクル島に向かう船の上でウザル・デリラ博士とアンドロイドのクラリオンと出会う。
この時、クラリオンに一目惚れ。
その後、ブエルを巡る様々なゴタゴタの末にウザルからクラリオンを託され、以降一緒に住んでいる。

病院育ちなせいで*20人付き合いが少なかったことから初めての親友となるクラリオンが大好きで、日がな一日一緒にいる。
基本的に怒らないが、クラリオンのことになると怒る。
一人でカチコミをかけに行ったクラリオンを追って米帝軍の駐屯地に忍び込み、クラリオンとフォボスの危機に際し四肢切断・上半身だけの要治療状態でも電脳ダイブを敢行する等、とにかくクラリオンLOVE

最初に出会った時、「おんなじな子に初めて逢えた」と言っているが、これはクラリオンを人間と勘違いしているため。
クラリオンのことは全身義体のウザルの娘と思っており、過去のことはあまり聞かないように気を使っているため勘違いが続いている。

全身義体を肉体以上に扱える「適合者」の一人で、人間用ではないアプリケーションにも瞬時に適応できる。
また「天然の『防壁』持ち」と呼ばれたり、機械の仲介ツールが無いにもかかわらずネットワーク内でデータの流れを『見て』してシステムを掌握するなど、機械やシステムに対して異様な適応能力を持っている。

チョコレートで最新鋭の軍用アンドロイドに勝つ女。

人と機械のある可能性

+ 超ネタバレ注意
  • ネネリオン
ついにクラリオンがロボットである事を知るも、「ネネにロボットなのを知られる事への恐怖」に震えるクラリオンをそれでも肯定し愛し受け入れた結果、2人が融合し誕生した電脳の超存在
見た目は光り輝く猫耳お姉さんで、ニコちゃんをほぼ完封したBYDOの化身を圧倒し、ケートスのサーバーまでフル動員されても構わず翻弄しサーバーに反撃する驚異的性能を誇る。
流石にBYDOの中にいた未知の存在(九頭龍)には押されるも、一旦粉砕されたかに見えた中から、なぜかミニゲルコマ雅楽隊が登場。
その演奏によってさらに高位の猫耳女神「天棚機姫命(アメノタナバタヒメノミコト)」が降臨。九頭龍を封じ「自分の存在はこの時代には早すぎる(意訳)」と自身が現れた事自体を誰にも観測させぬまま消えていった。
直後ネネリオンは元のネネとクラリオンに戻り、「2人で一緒に」はいたくても「一つになりたい」訳ではないネネの意志によって、再合体しないまま帰ることにした。
なお、ついでに帰る前ポセイドンの侵攻を知ったネネは、パンドーラ・デバイスの力で自動兵器軍団を無力化している。

…その様子を外野で観察していたソロモン級AI達が「人とAIの境界線を乱す」存在に脅威を抱き対策用ソロモン級開発促進を決め、その一方ニコちゃんが一体化解除にもったいなさを感じた事から自身もそうなろうと願い始めたことは別の話。多分。

クラリオン

CV:沼倉愛美
ウザル・デリラが自らの何らかの目的のために製作したアンドロイド。断じて戦闘用に特化したアンドロイドではない
パンドーラ・デバイスを内蔵しており、多種多様なスキルを起動できる。ネネに委譲した後は使えなくなっている。
ネコ耳メイド服でキュートでクールなロボ子。あだ名はクラりん。
義体「クラリオンタイプ」の内の一体で、本名は「CLARION 00 type-01」。住民登録名は「七転クラリオン」。
趣味はナイフ&紅パンツ集めと福音の影響でレトロゲーム。
(ただし、ナイフと紅パンツ集めはウザルの設定)

ウザルの愛玩用ペットだったが、すったもんだの末に福音に所有権が譲渡され、その後は福音と一緒に行動することに。
プライドが高く、福音からは甘々のスキンシップを受けているが本人はうんざりしている。
が、福音のことそのものはしっかりと評価しており、自己判断で守ったり意思を尊重したりとよく非合理的に行動する。
頭の猫耳を触られることが嫌いで、ウザル以外には触らせたことがなく、焦げた際にも他人に触らせずに自分で植毛するなどこだわりを持っている。
れっきとしたアンドロイドなのだが、この時代の技術水準からは超越したAIを備えているため全身義体の人間としょっちゅう勘違いされている。

アンドロイドとしては、非常に高性能。
パンドーラ・デバイスによってさまざま状況に対応できるほか、デバイスの補助なしでも破格の性能を誇り、最新鋭の戦闘用アンドロイドを相手にしても
全く遅れを取らず実用化されていないはずの熱光学迷彩を装備した相手でも対応することが出来る。
AI面も優秀であり、複雑な状況下でもノータイムで矛盾硬直を回避でき、制御が不安定なシノカオミをぶん回して死者を一人も出さないなどの神業も行える。
また発汗・呼吸・心拍数から恋心を見抜くなど、下手をすると人間以上に察しが良いことも。

ただし通常は人間を攻撃してはならないなどの理由で機能に制限がかかっており、攻撃などを受けて脅威レベルが一定以上と判断されないと全力を出せない。
そのため人間(機械化したサイボーグも含む)相手や不意打ち等を食らうと、遅れを取ることがある。
またパンドーラ・デバイスの使用権限は本人になく、所有者の承認が必要であるため自力では起動することができない。
切り札は義体内に生じた静電気を圧縮して放逐するプラズマ=ネコパンチ。ただし発射後は強制冷却機能が働き一定時間行動不能になるので乱発は出来ない。

プライドの高さや、パンドーラ・デバイスを使う際の表情、耳を触られるを嫌がったりと一見それっぽい部分は見受けられるが
そのほとんどがウザルがそのように調整したり命令をしたものなので、あくまでそうプログラムされているだけの可能性が高い。
ただ福音の安全に関する場合、明らかに非効率かつ無謀な行動に出ているため、実際の所はよくわからない。
一方で「人間らしい」行動指針を理解しそれに基づいて通常行動を行うため、時々微妙にイカレた感覚を見せるネネとは対照的になっている。

デバイス起動の時のエロさに、毎回拍車がかかっている
いつでもどこでもたくしあげできるように、メイド服以外でも基本的にスカートを着用。

ちなみに未来から来た猫型ロボットと体重が同じという設定。
つまり129.3kg。


ウザル・デリラ

CV:田中敦子
ノリの軽い天才女性科学者。外見は褐色肌に白い髪を持つ長身美女で20代後半に見えるが趣味的には若干古めのものを好む。
表の顔は世界中に顔が知られている財団のトップで篤志家。
裏の顔は国際指名手配犯サハル・セヘラ…ということになっているが、これはクルツがウザルを陥れるために仕向けた偽情報*21
セナンクル島でアクロスという会社を経営していた。
作中の事件の元凶は大体コイツのせい
386号→サハル

基本的に面白いことが大好きなロマンの人。
そのため趣味で、クラリオンの下腹部にデバイスをつけたり、起動時にエロい表情するようプログラムしたり、光学迷彩で変身→衣装チェンジのプログラムを組み込んだ。
作中のヤバいものは、大体彼女が製作。
クラリオンやブエルを作った目的は不明。

船上で出会った福音のことを気に入り、ブエル騒動の際にパンドーラ・デバイスの使用権限を与え、さらに義体の強化と光学迷彩のブラックボックスを勝手に内蔵
別れる際に国際AI登録の暗号認証を偽造し、クラリオンの管理権を福音に譲渡した。
ブエル暴走のゴタゴタで死亡したことになっているが、主要人物には「まぁ生きているだろ」みたいに思われている。
+ 顛末
失明したクルツの前に現れ彼の行動を一刀両断した後、ブリなんとかさんを発見し彼女の行動力を祝しつつ彼女の持つ情報を改竄。
また福音に会った後のキース・ブルックリンとも極秘で連絡を取り、「『オペレーション・サード・ライトニング』に関わるため(意訳)」なぜかクレイドルをレンタル。

そしてラブリュスが起こした『オペレーション・サード・ライトニング』の終盤ついに満を持して颯爽と登場。
その際ラブリュスの口から、実はポセイドンがかつて作った人造の人間「アプロス」の僅かな成功例(別なコンセプトの成功例が拓美)にして、ベースとなった「オリジナル」はラブリュス自身と判明している。
ネネ達が起こしたケートスへの抵抗やポセイドン側への電子攻撃も自分のせいにされつつ自分への恨みに燃えるラブリュスの軍勢をブエルの力で圧倒。
彼女達のアポルシード計画を「「希望」を唱えながら「絶望」しか見ていない」と断じ、「人間は電脳や義体の拡張で「人間」の枠を超え皆で未来へ進める(意訳)」と持論を展開、
それでも絶望がゲージを振り切ったせいで積年の恨みから強化服装備で殴り掛かって来たラブリュスを同等以上の装備で殴り返し、彼女に引導を渡し警察へと引き渡した。
…だがネネと再会しボロボロな彼女にメンテを薦め、ロバートやブリンなんとかさんらにこれまでの事情をさっくり説明した後、クラリオンを自分の元に呼び戻し、
クラリオンが命令を優先したせいで抱えていたネネを落としネネが戸惑うのにも構わず、ブエルやゲルコマ(及び巻き添え喰らったバニー)を従え秘密結社アクロスによる世界征服
…最終章「ラストダンス」開幕を高らかに宣言した。

…なお「アプロス」の説明時、「ウザルの製造形式は寿命が短い(意訳)」と書かれており、逮捕後のラブリュスはウザル曰く「若作り(アンチエイジング)が剥げた」せいで老化した顔に変貌。
ネネも再会時彼女の身体に違和感を感じていたが、その真相は…?。

元々は『攻殻機動隊 ARISE』第3話・第4話に登場するジンジ・ベッカ・アル・サイード博士と同一人物である予定だったが
企画の再始動にともないARISEよりも前の時代となったため、別人に設定された。


崑崙八仙 拓美(コロバセ タクミ)

CV:三宅麻理恵
福音の遠縁の親類…と一応されている女性。
電脳マーケティングを牛耳る崑崙八仙財団の社長。
通称「タクミちゃん」
1093号→タクミ

見た目は幼女だが、実年齢はウザルの一歳年下。
電脳化を行っており偽装空間で社長業を営み、表向きは大人の美女姿をネットに映したり遠隔操作機体として人と会う際に使用しているが、本人は対人恐怖症でシェルターに籠る引きこもり。
生身の肉体を動かすことを面倒くさがっており、おはようからおやすみまで身の回りの世話は全てゲルコマに任せている。
「適合者」である福音に興味を持ち、彼女を施設から引き取ってセナンクル島の自分の元に呼び寄せた。

ウザルとは親友にしてライバルで、技術がらみで子どものように張り合っている。
隙あらばクラリオンやブエルを分解し機密プログラムなどを盗もうと画策しているが、失敗して福音とクラリオンにお仕置きされる日々。
というかウザル絡みだと、怒った福音に自慢の偽装空間を片っ端から壊されるわ、トラップにかかって全世界に自身の恥ずかしい画像ばら撒かれるわ、基本ロクな目に合っていない。
子供っぽい性格だが、保護者としては非常に面倒見がよく福音とクラリオンにいろいろと便宜を図っている。
また回想シーンでは、幼い頃真面目に世界のため研究にいそしんでいたらウザルが「羽目を外す」様子を間近で見る記憶があり、その時お菓子を勧められたことが現在も菓子好きな事に繋がっているらしい。

セラノ・ゲノミクス」やら「阪華」やら「大日本技研」やら、後に色々起こりそうな企業のパテントを提供しを対価を得ている。
アップルシードには「Boutique崑崙八仙」という店があるが、これは100年続いた崑崙八仙財団のブランド。
イノセンスに「崑崙銀行」が存在しているが、世界観も権利者も異なるので無関係であると思われる。*22


ブエル(中枢制御装置)

CV:森田順平
変態紳士
獅子の頭と5本の山羊の足を持つ体をしてるぬいぐるみのような外見だが、一応超兵器・ブエルの中央制御装置。

太ももフェチで、福音やクラリオンにセクハラ発言かましては、クラリオンにお仕置きされている。
握りつぶされたりかみ殺されたり、閉所&暗所恐怖症なのに金庫の中に放置されるなど、基本ぞんざいな扱い。
+ その秘密
実はポセイドンが開発したスーパーAI「ソロモン級」の一柱で、アスタロト&ベルゼブブはソロモン級仲間。

変態紳士の面が際立つが、一方では創造主であるウザル同様に真に人類を愛している。

22巻ではネネとクラリオンが起こしたとんでもない事に飛びだそうとする同僚たち(上記2体の他対AI用悪魔っ娘型ソロモン級アスモデウス)を制止し、地味に2人を助けていた。
またその後ウザルの命で本体と無駄にカッコいいシークエンスで合流した際、敵方が用意した「量産型ブエル」軍団の猛攻に対し、秘められし真の機能「KOM(風が吹けば桶屋が儲かる、byウザル)ドライブ」を起動(注:真のドライブ名は「Butterfly Effect Renderer(因果律詠唱予言機)」です)。
因果律をも見それを叶える行動をも占う演算能力によって、身じろぎだけで一瞬で量産型軍団を同士討ちさせ島に起こっていた沈没の危機を鎮めた

ブリ○○・○ー○○○○?

CV:松田颯水
通称「ブリなんとかさん」。
名前の「ブリン」以降を言う度に落ちたり何かの妨害を受けたりするので未だに本名は明らかになっていない。
実は雑誌掲載版一話だと本名がモロバレしている。

芸能界でのし上がるために日夜スクープを追いかけている、ティターンTVの新人リポーター兼アイドル。
功名心&自己顕示欲&出世願望が異常に高い。空気を読まずにスクープを求めて、無駄に首を突っ込んでは毎回死にかけている。
が、決して死なない異能生存体

事件あるところに福音たちがいるので、追っかけている。
ウザル曰く、実は真実に一番近づいているらしい。
また知らない内にゲルツェコマの個性化を促進させたりしている。


カメラマン、マイク担当、敬愛している局長がいるが、ブリなんとかさんと合わせてあの人らに似ている。


P-2501/ニコちゃん

攻殻のあいつ
クルツ大佐のブエル強奪事件収束から、福音とクラリオンを観測し始めた謎の存在。
福音の前に現れる際は仮想体で活動しており、「ポイント」と称して様々な情報を集めている。
ベラベラと聞いてもいないことをよく喋り、突然現れては一方的に喋りまくったあとに消えるよくわからない存在。
「ニコちゃん」は、「●-25●●」とノイズのかかった名前から、福音が付けたあだ名。

手枷・足枷がつけられた仮想体で情報収集をしており、また言語機能や人格面が不完全なのか、一人称や口調が安定していないが、
活動が進むに従い言葉は流暢になっていっている。
また制限がかかっているのか機密情報を喋ろうとするとノイズがかかるようになっており、聞き取ることができなくなっている。
正体は、本人曰く「日●の外●●●課で作ラレた情●●●●●用のプ●●●●なンだゼ」とのこと。

未来と違ってやたらとテンションが高い。
第三章はニコの成長の物語、攻殻機動隊前史としての側面もある。



■セナンクル島の人など

ロバート・アルトマン

CV:稲田徹
セナンクル島防衛軍(CDF)大尉→セナンクル島警察(CPD)警部。
「HA HA HA」という笑い方が似合うナイスミドルのマッチョ。

紳士的な性格で正義感が強く、困っている人を見たら助けないと気が済まないタフガイ。
部下からの信頼も厚く、常に希望を見失わなず市民や島のこと第一に考えるいい人。作品を代表する随一の「大人」である。
その一方で、島の政治議会を丸め込んだ米帝の軍事顧問であるクルツ大佐の横暴な振る舞いに頭を悩ませている。
現場第一主義だが、そのために裏では各方面に根回しを行って活動権限をしっかりと確保するなどの工作も行えるかなりのやり手。

柔道とは違うカラテ流ジュー・ジツの使い手。
義体化はしていないにも関わらず、かなり強くワザマエ・レインボー帯級の持ち主。
サイバー義体者のオリンピック「サイバスロン」の、前回優勝者との演舞などにも招待されている。


バニー(仮名)

CV:村川梨衣
ウザルの組織にいた部下一人で、まとめ役。
組織に居た時、ウザルの趣味でバニーガールの格好をさせられており、そのため福音からは『バニー』と呼ばれている。
ウザルのセクハラに耐え兼ね、黒幕にそそのかされた結果他のメンバーと共に反旗を翻すが、ブエルが暴走してあっけなく失敗しウザルに助けを求めるへっぽこ。
その後、黒幕にメンバーを人質に取られ、様々な指令を受けて島中を奔走している。

基本ポンコツで、「小物」「無能」「致命的に不器用」と他のメンバーと合わせてウザルからは散々に評価されているが、曲がりなりにもウザルの部下なのでこれでもエンジニアとしてはかなり優秀。
しかしウザルやタクミがいるためあんまり優秀には見えず、さらに表向きはウザルの片腕だったため色んな人から狙われる可哀そうな人。


ジェイナス・ノース

CV:大友龍三郎
セナンクル島議会議長。
献金につられて一企業を優遇する・汚職で私腹を肥やすなど、腹黒い性格。
ただし政治的にややこしい立場のセナンクル島では色々と根回しが必要であり
複数の国と安全保障を結ぶ・大国の弱みを握って有利な条件を引き出すなど、島を守る政治家としては有能。
お金になびくが、なんだかんだ言いつつ島や島民のことは大事にしている。

秘書と合わせてやっぱりあの人らに似ている。(というか声が…)


アンナ・マルーカ

CV:寺内よりえ
セナンクル島に住んでいる老婦人。
老齢で車いすと人工臓器を使用しているほか、右手が義体化している。
過酷なリハビリをこなして動かせるようにはなったが、ぎこちない動作しか行うことが出来ない。

公園でデバイスの実験でジャグリングをしていた福音と知り合いになり、その後もちょくちょく病院等で交流している。

+ 実は…
本名、アンナハルナ・デ・セブロ。
世界有数の銃器メーカーである「セブロ社」創始者の後妻。
体が不自由になった原因は銃器を扱った関係で敵対勢力に狙われたためで、その際夫とも死別している。
息子に前妻の子供であり現セブロCEOの「アントーニョ・デ・セブロ」と、「ガウス・マルーカ=アルベルト・デ・セブロ」(『SEVEN TRAPS』主役)がいる。


エイミー・ギリアム

CV:長縄まりあ
福音の病院での知り合いで、右足を義体化している幼女。
ブエル暴走事故で家を失い、ファンキーな祖母と一緒に仮設住宅に住んでいる。

主治医のトト先生にお熱。
福音の影響でレトロゲームにハマリ中。


プロセルピナ・クラフトキエル

CV:津田美波
ティターンTVの新人女性レポーター。
真面目で一生懸命で素直な裏表のない性格。
セナンクル島にあるシアリーズ特区出身で、積極的に島のボランティアにも参加している。

ブリなんとかさんと違って、ワンコーナーを任せられたりベスト新人レポーター賞を受賞したりと着実にキャリアを蓄積中。
また事件に巻き込まれたことが縁で、ロバートと恋仲になった。


十十 八百喜(トト・ヤオキ)

CV:鈴木琢磨
タクミがオーナーを行っている病院の義体専門医師で、福音の専属医。
福音の義体のメンテナンスを行っており、メンタル面等の健康管理も行っている。
知らないうちに義体が強化されてたりいつの間にかブラックボックスが仕込まれてたり、よくわからないネコ耳少女が病院に来ていても
オーナーに気にするなと言われれば気にしない融通の利く人。

福音とは彼女がピュクシス症候群を患った頃からの付き合いで、電脳化を勧めたり最後の手段として全身義体化を視野に入れた治療を行っている。
…だがかつて両親を喪い瀕死のネネを助けるための手術費用を得るためとは言え、新規技術の実験体としてネネを病院側に差し出すような状況を選んでしまい、ネネ自身の献身性もあり一生病院に縛られそうになった彼女を救うため、より健全な扱いをしてくれるスポンサーとして崑崙八仙財団に支援を依頼。ネネ共々財団に移動している。
またメガテク工業が集めた「世界最高の頭脳」の集まりにも出席している結構凄い人。


ペードロ

トト先生の同僚で、メガテク工業の集めた「世界最高の頭脳」の集まりに出席している黒人科学者。
所帯持ちで「イシちゃん」なる奥さんがいるらしい。

単なるモブキャラのはずだが、何故か出番が多い。
へっぽこ実験アニメーションの日雇い労働者とは関係ない……はず。


割髪 伊豆子(ワガミ イズコ)

セナンクル島に来ていた義体スポーツの陸上選手で、義体オリンピック「サイバスロン」にも出場している有名人。
剣菱重工の子会社である東亜工廠のチームに所属している。
両足と片腕を義体化しており、義体化すればするほど記録が伸びるため、自身の肉体の価値に悩んでいる。

+ 実は
彼女登場回のラストシーンは、本編終了から2年後の世界。


クルツコワ

ソ連所属の工作員。半身を義体化しており体内に非常に多彩なギミックを仕込んでいる。
祖国の命でアデプタを拉致するために部隊を率いてセナンクル島にやってきた人。
本人は祖国への忠義に篤く戦闘能力も高いが精神面では脆く、部下に恵まれず苦労している。

攻殻SAC19話の、中身は80に近い婆さんのあの人とはパラレルワールドの別人だが基本設定はほぼ同じなので同じような人生を辿るらしい。
向こうでもこちらでもロクな目に合っていない。


キース・ブルックリン

セナンクル島に住んでいる富豪。
元々は生命科学系の科学者だったが、突如医療企業を設立し、現在はサイボーグ兵士の生命維持装置などの軍需産業に進出している。
命を商売として扱っていることから、『死の商人』などの陰口が絶えない。
+ 娘が一人いるらしいが……
後に生命維持装置「クレイドル」を完成させ発表。
医療・託体施設などの生物学的肉体保存の分野に多大な貢献をし、「クレイドルの父」と呼ばれるようになる。
しかしそれらはすべて「普通に産まれてくることが許されなかった」娘・シリルの肉体を維持させるために研究を転用したことがきっかけだった。

シリル・ブルックリン

ブルックリン家の一人娘。
+ 具合が悪いらしく、いつも眠っているらしい。
実際には通常の脳の発達がなされず、生体脳以外に大日本技研提供の特殊な電脳マイクロマシンによって補助脳を形成する電脳ネイティブと呼べる特殊な存在。
オリジナルの生体脳(マリナ)と電脳マイクロマシン補助脳(リリナ)の人格が統合されてシリルとなっている。
作中の該当話の初期段階ではその特殊性ゆえに外界と交信する術を持っていない。
が、生物学的には特殊な状態でありながら、発達・成長は続けており、一方通行でありながら父キースの読み上げる童話などを楽しみに聞いていた。

後の時代で彼女の人格を元にした派生体が火星に移住して色々とドエロい目に合うが、それはまた別のお話。


荒巻 理凰(アラマキ リオ)

トト先生が担当している、全身義体の日本人少女。
とある事情からトト先生の研究の手伝いをしている。
苗字で推測可能なように攻殻機動隊の荒巻部長の孫娘

テロによる飛行機事故で生き残った二人のうちの一人で、この時に全身義体化。
しかし義体に適合することが出来ず体はほとんど動かせない状態にあり、
また義体信号に脳が対応できていないため、長く生きられないとされている。

両親が忙しいため「すごく大事なお仕事をしているおじいちゃん」が、よくお見舞いに来ているらしい。
そのため結構なおじいちゃんっ子。
折鶴もおじいちゃんから教わったとのこと。


折鶴の少年

理凰がリハビリをしていた「病棟」で同室だった少年。
同じく体を義体化しており、彼女と一緒に折鶴を折ってリハビリをしている。

「折鶴」「サイボーグ」「飛行機事故の生き残りの少女と同室」とどこかで見たような境遇だが…
+ ...
彼は攻殻機動隊 ARISEに登場したライゾーに当たる人物のパラレルワールドにおける別人。
SACのクゼではない。
当初は士郎正宗氏のメモにて示唆されただけの存在だったが、ネネの過去の回想回にて正式に登場した。



ジョン・ジョンジージャック・ジェイムスン

拓美がパトロンをしているサイバネティックス企業「阪華」の社長。
世界で唯一公表している「適合者」であり、全身義体成功例第一号。
負担の少ない箱型義体に入っている。

アウトドア派でロッククライミングやスカイダイビングが趣味だったのだが
事故に会うたびに身体の義体化を進め、内臓疾患で臓器がイカれたのを契機に全身義体化。
本人は美しい体と喜んでいるが、半面心の中では癒しを求めており、「カワイイ」ものを求めている。
このオタク紳士趣味が高じて、後に「阪華精機」に名前を変えてちょっとアレなサイバネ製品を作り始めることになる。
その後の顛末は、原作攻殻機動隊6話のとおり。


501機関所属の適合者

パートナーを探すP-2501ことニコちゃんが見つけた、最後の候補者。
+ ...
日本政府の研究組織501機関に所属しているサイボーグで、胎児の状態で全身義体になったという適合者の中でもさらに珍しい少女。
他の候補者がアレな連中ばかりの中で、福音に似ており条件にも合致していたが、まだ人間寄りではなくこちら側(AI側・ニコちゃん談)だったため現時点では保留ということになった。

福音とクラリオンとは別の、彼女と彼女が出会うのはもう少し後のお話

秘密結社ポセイドン

「人類救済」を掲げ、謎の計画アポルシード計画を遂行しようとしている秘密組織。
詳しくは当該項目にて

イアン・クルツ

CV:諏訪部順一
表向きには米帝軍の大佐で、セナンクル島の特別軍事顧問。裏ではカテゴリの通り秘密結社ポセイドンの構成員。
ブエル確保のために暗躍しており、そのために無理難題をロバートにふっかけている。
時間にうるさい性格。
第二章は大体コイツのせい

『攻殻機動隊 ARISE』にも同じくクルツ大佐がいるが、これも紅殻のパンドラが『攻殻機動隊 ARISE』と同一の世界観を舞台にする予定であった頃の名残。
同一人物となる予定だったが企画が一度ポシャって再始動した際に変更になり、原案が同じなだけの別人ということになった。


フィアー

クルツが護衛につかせている、コートを着た外観の巨漢。
+ ...
その正体はポセイドンが所有する最新鋭の戦闘用アンドロイド。
全身に様々なセンサーや実用化されていないはずの熱光学迷彩を搭載しており、多脚戦車「シノカオミ」を素手で破壊するなど異常な戦闘能力を誇る。
コートが破れると熱光学迷彩が使用できなくなるが、リミッターが外れ攻撃能力が増し、スピードも桁違いに。
コード210で「完全独立状態」(スタンドアローンモード)に移行する。

チョコレートに負けた。


ラブリュス

第三章より登場の、顔に大きな傷のあるポセイドンの科学技術部門大幹部の女性。
死亡したクルツの後任でブエル奪還の任についた。
BYDO(バイド)ウイルスを開発したり、高性能の自律型戦闘用アンドロイドを開発したするなど科学者としての実力も確かである。
秘密結社ポセイドンより海上移動要塞ケートスを任されており、部下に三体のロボットを連れている。
フォボスを自由に行動させることも策のうちであったり、目的のためには自らのプライドを曲げることも出来るなど、かなりの策士でもある。
人間という存在にこだわり、徹底してロボットは道具という考えを持っている。

サハル(ウザル)は「昔の知り合い」で、顔の傷はサハルが原因。それ以外にもサハルには因縁や恨みつらみがある様子。
だが、偏りはあるものの一方では世界の行く末を真剣に案じている面もある。

秘密結社ポセイドンの大幹部である立場を利用し、組織を騙して自らの目的に誘導した上で「オペレーション・サード・ライトニング」の発動を
決定させ、ついにサハルへの積りに積もった恨みをはらすため、秘密結社ポセイドンにおける世界救済のための行動を開始するが…。


ケリュケイオン

ラブリュスの護衛を務める髑髏面にボロ布を纏ったような長身細身のアンドロイド。
+ 詳細
ラブリュスが開発したフィアーの後継機の一体。
フィアーよりも小型化に成功しており、同じく金紙鋼製の爪と光学迷彩を装備している、ラブリュス曰く「最強の矛」。

自分たちを作ったラブリュスを造物主として崇拝しており従順。
フィアーやアイギスと異なり、言語による比較的高度な意思疎通が可能。
その能力によって秘密結社ポセイドンへの人員勧誘も行っている。
ケリュケイオンは特にその傾向が強く、主様大好きっ子。だがロバートと交戦した後、彼との決着にもこだわるようになる。

仮面は異なるがラブリュスの親衛隊には同型機が配置されている。



アイギス

ラブリュスの護衛を務める髑髏面にボロ布を纏ったような矮軀のアンドロイド。
+ 詳細
同じくフィアーの後継機。
左腕に金紙鋼製の盾を装備している「最強の盾」。大型の盾を装備しているゆえに見え目は非常にアンバランス。
盾には杭打機式のアームパンチ機構を内蔵しており重量を活かした質量武器としても使える。

ケリュケイオンとアイギスは2体同時運用で真価を発揮する。
ケリュケイオンほどではないが、ある程度会話による意思疎通が可能。

またパンドーラ・デバイス*23を装備しており、自身に起動させることが可能。
状況に応じてスキルを開放することで、様々な局面に対応できる。


フォボス

白い服を纏うクラリオンと同型のアンドロイド。
ウザルの研究所から行方不明になっていたクラリオン型タイプ2号機で、機体番号は「CLARION 00 type-02」。
明るい口調でクラリオンを「お姉様」、ウザルを「お母様」と呼んでいるが、性格は合理的でやや意地が悪い。
ラブリュスの下についているが、ある程度自由が利くほか、ケリュケイオンたちと違いラブリュスに対しては全く敬意を払っていない。
クラリオンの夜龍&灰虎と同じく、金糸鋼製の大型ブレード「煤朱雀」を得物にしている。

クラリオンたちと会敵、捕縛・解析されることでソフトウェア的にラブリュスの管理から逃れようと画策。後に崑崙八仙邸に居着き福音と仲良くなる。

かつて「02」関連で事件があったらしいが、クラリオンは口を閉ざしている。
またクラリオン型義体はクラリオンにしかAIが搭載されていないはずなのに活動しているなど、登場時においてはその中身も不明だったが…。

+ 15巻によるとその事件時や1・2巻時の様子は彼女の中に記録されているらしいが…
かつて、ウザルが「パンドーラ・デバイスを内蔵するにたる『クラリオン』」を生み出すために作られた20体のクラリオンシリーズのうちの1体。
それぞれ働いたりだらけたりと別の行動規範を持たされた個体たちが集合・分散による成長をテスト受けていた。
その中に「お母様に仕える」ために行動し、しかし彼女の望む「自主性」までには届いていなかった「2号機(フォボス)」がいた。
だがある日、方向性の転換としてウザルが試みた「5体のクラリオンにそれぞれ別の『感情』データを持たせる」実験で、『自己保存本能としての恐怖』を得た「1号機(ムーン)」が暴走
コントロールも聞かず暴れる1号機に可能性を見たウザルによって、他のクラリオンシリーズによる「1号機(オリジナル・ワン)」捕獲戦が始まるも、限界を超えた動きでシリーズが次々無残に粉砕される中、
2号機はウザルの「オリジナル・ワンが大事」と猛威から已むを得ず無傷を諦めた「一号機の頭部以外なら破壊してもいい」という2つの命令を本機なりに忠実に守り、1号機に腹をぶち抜かれながら抱きしめ拘束し、結果残った機体も破損しながら捕獲は成功。
そしてウザルは「可能性」に届きかけていた2号機を惜しみつつも、1号機を『クラリオン』と認定し、2号機等残された機体のデータを抹消。
後にポセイドンの調査の際、「1号機暴走時のフォボスの記録」と「2号機の機体」が合わさった結果偶発的に起動した…本人曰く「からっぽ」の存在、それが今のフォボスだった。
だがバイドに感染し暴走したフォボスとそれに対するためウザルによって抑圧されていた「恐怖」を解放し暴走したクラリオン、両方を救うために電脳世界にダイブしたネネに「なぜいつも姉だけ」と想いをぶつけた時、「今の自分」を肯定された事で、彼女は「可能性」に目覚め復活。
続いてクラリオン復活にも協力するが、偶然による覚醒での不安定さと暴走によって既にハードには限界が来ていて…


アスタロト&ベルゼブブ

ブエルと同じくマイクロマシン巨大戦艦・アスタロト&ベルゼブブの中央制御装置。
小人のような姿をしており、アスタロトはマイクロマシンによる地雷分解、ベルゼブブは放射性物質の回収を行う。
作中第三章現在はアスタロトはサハラ砂漠、ベルゼブブは日本やソ連で活動中。

表層基礎設計はアスタロトはウザル、ベルゼブブは拓美が設計。
そのためアスタロトは問題児でブエルと仲が良く、逆にベルゼブブは真面目なので二人と反りが合わないらしい。
しかしアスタロトはベルゼブブのことが大好きなので、しょっちゅうモーションを送っている。


その他、士郎正宗作品との関連項目

+ ネタバレ注意!

オリオングループ

ポセイドンの幹部に手紙を送ってきた謎の組織。
アップルシードDATABOOKによると、アポルシード計画や放射能除去技術は、そもそもここが出所らしいのだが…

九頭龍

ポセイドンが作り、ネネ達との付き合いで離反を選んだフォボスへと感染させられたウィルス・BYDO(バイド)に憑依していた謎の存在。

その正体は今の文明が生まれる前の、『仮学』や『龍法』が発達していた銀河帝国*24の中の一つ、ヤマタ人民帝国で生み出された龍。
『仮学』を信奉する一派によって世の中の諸悪強欲を封滅して恒久的な平和を実現するために生まれたものの、人間の悪業を吸いヤマタ人民帝国全土を食らいつくすほどに巨大化。
さらに全銀河帝国を悪業ごと飲み込む危機が訪れるが、『龍法』を信奉する天台龍法の一派によって召喚された暗黒神・宿参ノ王によって破壊された。
しかしその存在は「残念」しており、かつてのヤマタ人民帝国が沈んだ太平洋の海の底で成長を続けている。
完全に消化されるのは56億7千万念後になるとのこと。

詳しくは『仙術超攻殻ORION』にて。




これは、アニヲタwikiの情勢に全く関係なく、

追記・修正される物語。


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最終更新:2024年01月10日 10:41

*1 「URN」はそのまま「ユーアールエヌ」と読む。「ウラン」でも「アーン」でもない。後述するがこの副題は本来の企画名であり、「ユニフォームリソースネーム」とも無関係。アニメ版のキャラクターソングはそこから採られたものと思われるが全て士郎正宗氏が最初につけたタイトルとは無関係である。

*2 単行本10巻からは巻頭カラーページ後の扉タイトルページには記載されるようになった。

*3 本稿では特に断りがない限り原作マンガ作品についての記述となる。

*4 第四章連載開始時

*5 既刊25巻、以下連載中

*6 「のうかく」と読む。「脳核」と表記される場合もあるが同義である。

*7 脳及び神経網は身体の大部分を除去すると自律神経の出力がほぼ消失してしまう(という設定)なので、身体が接合されているという情報を出す人工端末の疑似信号へと置換される。

*8 なので、この物語世界は「脳殻を外してロボット芸者の中に入ってすぐさま制御する」ようなことはできない。神経接続マイクロマシンの再注入などの馴染ませるための処置が最低でも一ヶ月間は必要となる。

*9 とはいえ第4次非核大戦末期には大量のサイボーグが戦線投入されることになるのだが。

*10 生体脳はそのまま維持されるので脳の機械化とは事情が異なる。

*11 偽装空間ごとにさまざまな規格が乱立し、規格統一もなされていない。

*12 主に言語野を中心として明確に形成された文章や単語や命令を機械的に解釈をして行う通信のことを電脳通信と呼ぶ。これは思考したことをそのまま無線で伝えるのではなく、前述のように「伝えたいと思ったことだけを伝える」技術である。

*13 もっともウザルを含む秘密結社ポセイドンは大日本技研の一部の勢力が大日本技研を隠れ蓑にしている状態なので、大日本技研本体も日本政府もそのことには全く気づいていないと思われる。

*14 身体の動きをトレースして増幅する機械式のスーツである。なのでレバーで操作するアニメ版のPLM-7はマスタースレーブ方式ではない。操縦型のロボットである。

*15 ゆえにプロトタイプランドメイトの7号機(PLM-7)の名称が与えられている。

*16 かつてEC議長となり、強硬路線として世界弾圧を行い、第4次非核大戦勃発のきっかけになったヘンリー・クリスト将軍の出自一族

*17 実際には継続されているが第三次核大戦による核兵器使用の結果の損耗、及び被害による消耗・後始末によって世界的に「核による抑止力」どころではないと思われる。

*18 第3次大戦で撒かれた、BCマイクロマシン兵器による障害。30分から1時間ほど四肢がマヒする発作が起きるようになり、症状が進むと最終的には主要臓器の麻痺にまで進み、死に至る。「ピュクシス」はマイクロマシン兵器の名称。病名はピュクシス病とされている。症候群は俗称である。

*19 全身義体はトランスヒューマニズムの観点上「人以上」が構築可能だが、トト先生の治療方針上、身体能力にはリミッターが課され、同年代の女子の平均値に調整されている。それゆえにリミッターを解除してしまうと人以上の能力が発揮できてしまうということでもある。

*20 2022年の1月に公開された正月特別編での回想カットでは、生身時代は病院で食事が出来るだけの寝たきり・故郷福岡の華やかなイルミネーションも話に聞くだけで見た事は無かったと判明。24巻冒頭では入院初期には来ていた同級生達も数年後には誰も来なくなっていたという寂しすぎる過去も明かされている。

*21 よって、立場によって名前を使い分けていたため、世間的には「篤志家:ウザル・デリラ」としての認知が高い。同輩の拓美やバニーたち秘密結社アクロスのメンバーからは「サハル」と呼ばれている。「実業家のウザル」として出会ったためネネからは「ウザルさん」と呼ばれており、クラリオンも「ウザル」と呼んでいる。

*22 ただし、攻殻機動隊1.5には崑崙計画が登場するのでイノセンス側が参考にした可能性は考えられる。また「崑崙」は古代中国における仙人の住む山であることから、普通にそちらからの引用の可能性も高い。

*23 スキルデータはネネたちが使用しているものと同じデータから精製されているが、ウザルが精製したものとはまた別個のものである。

*24 紅パンやアップルシードDATABOOKで触れられている先史文明