ソーセージ

登録日:2011/12/07(水) 00:07:09
更新日:2024/04/12 Fri 01:11:10
所要時間:約 4 分で読めます





※もしかして→双生児



■概要

『ソーセージ』(SAUSAGE)とは、ひき肉などの材料をや香辛料で味付けして動物の腸や胃袋に詰めた食品の総称である。
燻製にする物としない物の二種類がある。
魚肉を成型した魚肉ソーセージなども存在するが、一般的には豚肉のものを指す。
元々遊牧民族の保存食だったものがヨーロッパに伝わり、洗練されたものである。
その歴史は古く、既に古代エジプトの壁画に描かれていた。
紀元前8世紀の叙事詩『オデュッセイア』では、兵士の携行食としてヤギの胃袋に血と脂身を詰めたものが登場している。

《ケーシング》

ソーセージを作る際に材料を詰めるための袋状のものを「ケーシング」という。
一般に「ソーセージの皮」と呼ばれるアレ。大きく天然ケーシングと人工ケーシングの2つに分けられる。

天然ケーシングには羊や豚などの腸が使われ、それ自体が持つ独特の風味や食感が魅力。
現在の日本ではその大部分が輸入した羊の腸で占められている。
人工ケーシングはコラーゲン等の動物性たんぱく質を主原料として、ホース状に成型されたもの。
一定のサイズや品質のものを安定して供給できるため、広く利用されている。
また、魚肉ソーセージなどのプラスチックフィルムのように、食用ではない人工ケーシングもある。
このタイプのものは食べる時に剥いたり、あらかじめ剥がした状態で出荷されたりする。

現在は天然羊腸はコストが高いため、人工腸を使った商品の方が多い。
しかし人工腸は加熱すると中身の膨張に伴って裂けやすく、そのままにかけると悲惨な仕上がりになる事が多い。
ソーセージを加熱する時、タコさんウィンナーや棒付きフランクフルトの様に包丁で切れ目を入れるのは、予め皮を裂けばそれ以上裂ける事がなく、仕上がりの見栄えを損なわずに済むためである。


■種類

《腸の太さによるもの》

◆ウィンナーソーセージ

羊の腸に詰めたもの。
日本ではソーセージといえばこれというくらいお馴染み。
そのため、「ウィンナー」を「ソーセージ」そのものと誤解している人もいるが、
「ソーセージ」は腸詰め、もしくはそれに似せて形成した食材全般を指す広い言葉であり、
「ウィンナー」はその中の、羊の腸を使った一ジャンルでしかないのである。
思い返してほしい。魚肉ウィンナーやフランクフルトウィンナーとは言わないはずである。
つまり『ソーセージとウィンナー』は『ラーメンと醤油ラーメン』や『犬と柴犬』と同じようなもの。

オーストリアのウィーン発祥とされるので、ウィンナー(ウィーンの)ソーセージである。
なので、「ウィンナーコーヒー」といっても、コーヒーに腸詰めがブッ刺さっているわけではないのであしからず。


◆フランクフルトソーセージ

豚の腸に詰めたもの。羊の腸より太く、ダイナミックな大きさと歯ごたえが魅力。
豚だと焼けないので煮たらおいしかったらしい。
ドイツのフランクフルト発祥とされるので(ry


◆ボロニアソーセージ

牛の腸に詰めたもの。
いくらなんでも大きすぎるので普通はスライスして使う。
イタリアのボローニャ発祥と(ry
現地では「モルタデッラ」と呼ばれる。


ちなみに現在の日本のJAS規格では、人工腸に詰めたものも太さに応じて以下の様に呼び名が定義されている。
  • ウィンナー:20mm未満
  • フランクフルト:20mm以上36mm未満
  • ボロニア:36mm以上


《産地によるもの》

◆チョリソー

豚肉にパプリカや塩、ニンニク等を加えて作る、スペインのソーセージ。
ひき肉ではなく刻んだ肉を使うのも特徴。
唐辛子を効かせた辛いソーセージというイメージがあるが、こちらは中南米に伝わって独自に発展したもの。
本来のチョリソーはそれほど辛くはないとか。

◆サラミ

ピザの具として有名なイタリアのドライソーセージ。
豚や牛の合挽肉に調味料やラードを加えたものを腸詰にし、乾燥熟成させて作られる。

薄くスライスして食されることが多いが、それが転じて、バレにくい程度にお金や物をネコババする行為を「サラミ法」、
1つの研究や1本の論文として発表できる成果をわざと小分けにして発表する「サラミ出版」、
要求を小出しにして最終的に本来の要求を実現させる「サラミ戦術」など、
名前があまりいい意味で使われない事も。

◆ペパロニ

サラミを元に造られたアメリカのドライソーセージ。
豚や牛の合挽肉を使う点は一緒だが、パプリカやチリペッパーで味や色を付けるのが特徴。
サラミと比較すると柔らかく、ややくすんで明るい赤色が印象的。霜降りはあまり見られない傾向がある。

アメリカではピザの具としてはサラミよりこっちがメジャー。
オーブンで加熱すると端がめくれ上がる傾向にあり、それで判別できる。

◆カルパス

ヨーロッパの(セミ)ドライソーセージをベースにした日本独自の製品。
豚や牛に加え鶏肉も原料に用いる。水分量もサラミに比べると多めなため柔らかい食感であることが多い。
主に短くカットして個包装にした状態で販売されており、おやつやおつまみとしてお馴染み。
元々はロシア語でソーセージを意味する「カルバサー」と名付けようとしたのだが、語感がアレ(パサパサして美味しくないんじゃね?と思われる)だということで「カルパス」として売り出し、その後一般名詞として定着したという。
ちなみにロシアにおけるカルバサーは普通のソーセージ、或いは牛肉・豚肉・鶏肉を使ったセミドライソーセージで、後者はサラミに近い。

なお文献によってはロシアのカルバサーの日本名(つまりロシア発祥の製品)とされていたり、ギリシャ語で新鮮な野菜を意味するカルパスから取られているとあったりかなりばらつきがある。

◆ソオスィソン・セック・プルール・ブランシュ

フランスのドライソーセージで、白カビを生やして発酵熟成させるのが特徴。

◆サイウア

タイ王国のソーセージで、レッドカレーなどで味付けした辛いソーセージ。

◆スジューク

アラブや中央アジアなどで食べられている牛肉のソーセージ。

◆ザウマーゲン

豚の胃袋にジャガイモなどを詰めたドイツのソーセージ。

《その他の分類など》

◆ヴラッドソーセージ

血に赤身以外の部位、その他に臭み抜き用の香辛料や場合によってはつなぎ等を混ぜて腸詰にしたソーセージ。
ちなみに上記の壁画に書かれていたのはこれである。
日本国内でも狩猟者が血の腸詰は作っていたが、あまり日本人の舌に向いた物ではないと言われており殆ど流通していない。
ドイツ料理やソーセージの専門店では見る事もあるかも。

◆フィルムソーセージ(正式名称不明)

ポールウインナーに代表されるウインナー。
長期保存が可能、お湯で温めやすい、持ち運びに便利という利点を持つ。ただし少々お高い。
魚肉ソーセージのルーツとも。
関東圏での魚肉ソーセージに対して、関西圏ではこちらが主流。

◆魚肉ソーセージ

戦後の昭和25年、日本で練り物を元にソーセージに似せてマグロやタラなどの魚肉で作られたコピー食品。
味も悪くなく栄養価も高いので、現在は代用品に甘んじない人気がある。
ちょっと前には、いちごミルク味なんてモノも出ていたが……。

◆赤ウィンナー

こちらも戦後まもなくの日本生まれ。
素材の質をごまかすために、着色料を使って皮を赤くしたものだが、タコさんウィンナーに出来るなど汎用性は意外に高い。
なんかね、こう・・・子供のロマンというか・・・高級感というか特別感というか。
このため令和の現代に至っても定番商品の一つとなっている。ちなみに着色料は植物由来のものなのでご安心を。

◆皮なしソーセージ

腸に詰めずにひき肉を成型だけしたもの。アメリカのブレックファストソーセージが原型である。

日本では、マクドナルドのソーセージマフィンのパティや、ゴールデンブラウンのブランドで販売されているものがお馴染みか。
ホテルの洋朝食でも割とよく登場する。
お前らが我が身の如くなじみ深い「ポークビッツ」もこのジャンル。

◆骨つきソーセージ

骨つき肉をほおばる願望がある大人のために開発された商品。ダイナミックにかぶりつこう。

◆ホモソーセージ

長野県人なら誰しも知っている魚肉ソーセージ。
天ぷらやサラダ等、様々な料理に利用できる。
一種の釣り。

真面目に解説すると、英語の“Homogenize(ホモゲナイズ)”(均質化する)から採られている。
原料である、魚のすり身を均質に混ぜあわせていることからの命名とのこと。


■利用方法

とても汎用性が高い食材であり、肉を使用する料理ならばほぼ全てで取って変わる事が出来る上に、代用品に堕ちない味わいが自慢。

しかし、やはり、一番美味しいのは、加熱して直接かぶりつく事だろう。

パリジュワ!! ビールゴックゴク!!

美味なるものには音がある!!

よって、以下には、敢えてシンプルに食す方法だけ記す。

◆焼く

フライパンやオーブン、電子レンジでの加熱。
気を付けないと中の空気が膨張して破裂して、カピカピソーセージになるので注意。
イタリアでは一般的な調理法。日本でも「『美味なるものには音がある』シャウエッセン」登場までは一般的であり、現在でもボイルと双璧を成す食べ方である。

◆茹でる

ドイツで一般的な、最も美味しい食べ方。
腸詰めされたソーセージは、旨味も湯に逃げ出さずに美味しくいただける。
日本では元々一般的ではなかったが、シャウエッセンの販売戦略として「(ドイツ風に)ボイルして食べる」をアピールした結果ヒットし茹でて食べるのも定着した。

◆そのまま

サラミやカルパス、缶詰めのソーセージは加熱せずそのまま食べる前提で作られているのでそのままでも美味しい。
また、日本で売られているソーセージは多くが加熱殺菌済みであるので、そのまま食えるものもある。
ただし全部が全部ではないので要注意。


■トッピング

何もつけないのもおいしいが、やはり肉なので何かつけたいものである。

◆ケチャップ

甘酸っぱ~いケチャップは、ソーセージの肉汁にぴったり。
マスタードが苦手ならこれ一択で。
洋服に垂れないように注意。
WWII後ドイツで人気となったカリーヴルストみたいにカレー粉を追加するのも悪くない。

マスタード

ワガラシもいいが、種子入りの西洋の甘辛いマスタードがやはり一番よく合う。
ケチャップと併用してよし、単独でよし。
肉汁を楽しんでいると、ツーンと鼻を突き抜ける辛味……。
そして、それが終わると、肉汁がより甘く、旨くなる……!!

マヨネーズ

マヨラー御用達。マヨネーズの油分とソーセージの脂が混然一体となった味わい。
純粋にソーセージの旨味を楽しみたい方は控えよう。

醤油

意外とマイナー。だけど意外とおいしい。
ご飯に合うという人もいる。


■派生料理

上述した通り、ソーセージはそれ単体でも美味しい食材である。
だが、せっかくの紹介項目であるため、ソーセージたる所以を生かした代表的な調理法をいくつか挙げていく。

◆ホットドッグ

切り込みを入れたパンにソーセージを挟んだ料理。
ジューシーなソーセージを手を汚さずに食べられることから、ファーストフードとして大人気。
調味料はケチャップ&マスタードが一般的だが、シンプルなだけに、世界各国に派生種が存在している。
日本ではコッペパンに挟んだりすることもある。

なお、名前の由来は一応「熱い犬」ではある。
ただ、その由来はやや面白い。
19世紀後半、ドイツ移民がフランクフルト・ソーセージをアメリカに持ち込む
 ↓
当時のフランクフルトはやや長細い形状で、直接持つと熱いためパンに挟む形で供される様に
 ↓
それが、野球観戦のお供に大ブレイク
その形状から「ダックスフント」の愛称で呼ばれるように
 ↓
漫画家のタッド・ドーガンが、ソーセージの代わりに犬のダックスフントが挟まっている漫画を執筆
 ↓
しかし、“Dachshund(ダックスフント)”というスペルを思い出せなかったドーガンは「ホットドックはいかが?」というタイトルをつける
 ↓
実物のホットドッグも“Hot Dog”と呼ばれるように

というものである。

◆アメリカンドッグ

串に刺したソーセージを生地で包み油で揚げたもの。高速道路のSAなどでは定番の軽食。
ホットドッグと同じようにケチャップやマスタードを付けて。
ちなみに名前に「アメリカン」と付くがこれは和製英語。
当のアメリカでは「コーンドッグ」と呼ばれ、その名の通り生地にトウモロコシ粉を使ったものが一般的だそうな。

おでん

練り物天国のおでんの中にソーセージをぶち込むという大胆な発想。
肉のうまみが淡泊なおでんの出汁を邪魔するという意見もあるが、ジューシーな肉の風味が溶け込んだおでんつゆというのもなかなかに美味しい。

ピザ

ドライソーセージであるサラミといえばピザの具材の王様。
ピザの具材は割と自由なので、ドライでないソーセージを具材にすることも珍しくない。

ポトフ・スープ

フランスの家庭料理
大鍋に牛肉と野菜を入れて塩気多めに煮込む料理だが、ソーセージを入れることもある。「ソーセージばっかり食べないで野菜も食べなさい!」
洋風スープの具材にしても美味しい。ソーセージの肉汁が溶け込んだスープは至高。

◆プデチゲ(부대찌개)

韓国の鍋料理
一般的なチゲにソーセージ(もしくはランチョンミート)やインスタント麺等の保存食を加えた料理である。
甘辛味噌ベースのスープが意外とソーセージに合う。
プデチゲは韓国語で「軍隊鍋」を意味しており、韓国軍の兵士が米軍から流出したハムやソーセージなどを鍋に入れて作った料理が発祥となっている。

ソーセージマルメターノ

長いソーセージを渦巻き状に丸め、串に刺したもの。
食品メーカーのオーケーフーズ社がイタリア語風に命名して販売したところ、その安直なネーミングセンスから話題となった。
本場ドイツではブラートヴルスト・シュネッケン(かたつむり状の焼きソーセージ)と呼ばれる。


■余談

自然界における最強の毒素を出すやべーやつ「ボツリヌス菌」の語源はラテン語で「ソーセージ」である。
何故かと言うと、19世紀ごろにソーセージを食べた人がこれの毒素による食中毒が多発したため。
亜硝酸ナトリウムを添付することでボツリヌス菌の繁殖を抑えることができ、尚且つ加熱時の色味が良くなることからこれの添加を義務付けている国は多かった。
一方でこの影響で発がん性が無いとは言い切れないため、近年ではこれを添加しない「無塩せき」*1のものも登場している。
ボツリヌス菌は加熱(100度で1~2分)殺菌で消滅するので、日本では塩せき、無塩せきを問わず加熱殺菌されたソーセージが基本となっている。




追記、修正は、ソーセージが好きすぎて、自分で自分の腸に自分のひき肉を詰めて食べたいソーセージ狂の方お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ソーセージ
  • 食べ物
  • 太くて大きなお魚ソーセージ
  • ウホッ
  • チ○コ←何想像してんのさ!
  • ソーセージマルメターノ
  • 翔星塵
  • ヴルスト
  • 腸詰め
  • 燻製
  • ドイツ
  • HERO
  • ネウストリア公国
  • ネウストリア人はソーセージを1日7本食べる
  • イタリア
  • ドイツ料理
  • イタリア料理
  • ホルモン料理
  • ソーセージレジェンド

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月12日 01:11

*1 「塩せき」とは漢字で書くと「塩漬」であり、食塩、砂糖、香辛料、発色剤などを混ぜた調味料に一定期間漬け込むことを言う。亜硝酸ナトリウムは発色剤の一種である