シルバーマン(キン肉マン)

登録日:2016/01/18 Mon 21:38:06
更新日:2024/03/12 Tue 23:45:36
所要時間:約 13 分で読めます





超人を育てるのではなく利用しようとしている

そんなあなたは見たくない

だから僕は兄に賛同したのです

とうとうあなたに引導を渡す日が来たのだと



『シルバーマン(キン肉マン)』とは、『キン肉マン』に登場する超人の一人。

cv:二又一成(銀のマスク時:松島みのり)


所属:正義超人
出身:天上界
身長:220cm
体重:162kg
超人強度:1500万パワー

目次


【概要】

キン肉族の守り神として祭られてきた金銀一対のマスクのうち、平和の象徴である銀色のマスク。

その正体は完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)の一人、完璧・弐式(パーフェクト・セカンド)にして、キン肉マンらをはじめとする正義超人の開祖シルバーマンである。
「闘いの神」と呼ばれるゴールドマンは実兄。兄と互角の実力を持った無敵の格闘技者でありながら、
争いを好まない慈愛に満ちた気質ゆえ「平和の神」としてキン肉族に崇められている。

主張の違いから大喧嘩の末に兄弟で互いの首を撥ね合うといった凄惨な伝承もあるが、基本は理性的な穏健派。
兄との争いに一歩も譲らなかったのも、もし自分が敗れれば『力こそ全て』というゴールドマンの過激な主張を止めるものが
誰もいなくなってしまうと考えがそもそもの動機らしく、回想において超人たちに過酷な指導をする出奔後の兄を複雑そうな表情で見ている様子や、
わざわざゴールドマンの『ゴールデンキャッスル』のすぐそばで現在の銀閣寺にあたる場所に、
自分の信念の下で超人を指導する『シルバーキャッスル』を設立したのも「兄」という身近な存在であるからこそ。

おそらくゴールドマンが後に起こすであろう事態を誰よりも正確に察し、最悪の場合、自分がそのブレーキになろうとしたのだと思われる。(超人の“進化”を望んではいるが、ゴールドマンの『覇道』では方法論が余りにも性急、且つ混乱や犠牲も多くなるのが目に見えているため。)
尚、袂を分かつ前に、超人閻魔から絶対の神器のひとつ「地のダンベル」を授けられている。

黄金のマスク時代はその人となりについてあまり描写されていなかったが、完璧超人始祖編では
穏やかな態度の内に強い信念と慈悲心を併せ持つ、まさに正義超人の鑑というべき人物として描かれている。
回想の中では犬猿の仲である"漆式(セブンス)"ガンマンと"拾式(テンス)"サイコマンの仲裁をよく行っており、
サイコマンからは「他の好戦的な始祖とは違う」と友情にも似た好意を以て評価されている。

立ち振る舞いは礼儀正しく、他者と会話するときは、原則として丁寧語を使う。
相手が決別した完璧超人や自分の傘下である正義超人であっても同様である。

例外は、肉親である兄・ゴールドマンと始祖の中でも特に親しかったサイコマンくらいであり、
彼らと話すときは一人称が「私」から「僕」に変わり、幾分か砕けた口調になるため、こちらが素の話し方と思われる。
劇中でネメシス相手に丁寧語を解いているが、その際は一人称は「私」のままであり、諌める意味合いが強かった様子。
ゴールドマンが始祖と決別し超人墓場を去った後、その監視を命じられて地上へ向かったが、
彼が再び超人墓場へ戻る事は無かった。その真意については後述。



【活躍】

【黄金のマスク編】

初登場は黄金のマスク編「伝説のマスク!!の巻」。黄金のマスクともども正義超人のパワーの源として紹介された。
悪魔騎士たちに奪われた黄金のマスクを奪還すべく、マスク奪取の影響で生命力が枯渇した超人たちに
生命維持装置を出現させて保護し、自身はキン肉マン一行に同行して黄金のマスク奪還を目指す。
ちなみにアニメ版はこの時だけ女性の声…というかミートくんの声でしゃべる。
この時、キン肉マンに対し「奴らをたたきつぶすのです」と、凡そ平和のマスクにふさわしくない物騒な発言をしており、その本性はこの時から滲み出している。

なお、五重のリングでのテリーアシュラマン戦において念話でテリーに、
ウォーズマン助けたいなら君がアシュラバスター喰らって死ぬしかないよ(意訳)」と告げたりと割りと無茶ブリが酷い部分もみせた。
まぁ首だけなので融通が利かなかったのだろうが、後述する完璧超人としての彼を見ると「らしい」と言える言動かもしれない。

その後正義超人は勝ち抜き黄金のマスクを取り戻す目前まで戦いは進む。
しかし黄金のマスクは自ら悪魔騎士と結託し狂言誘拐を働いており、その目的は再び肉体を得てシルバーマンとの完全な決着をつけることであった。

決戦のリングで悪魔六騎士+ゴールドマンの合体超人である悪魔将軍を相手に
シルバーマンにかわって正義超人代表として立つキン肉マンは攻防ともに盤石の悪魔将軍を相手に凄まじい死闘を繰り広げ、
最後はバッファローマン捨て身の策が功を奏して新必殺技・キン肉ドライバーが炸裂しキン肉マンが勝利。

ゴールドマンもまた正義超人の友情パワーに理解を示し、シルバーマンと融合して「完璧のマスク」へと変貌。
傷つき倒れていった正義超人たちを癒し、再びキン肉大神殿に奉られるようになった。
ちなみにテリーの脚は生えてこなかった。


【完璧超人始祖編】

58代キン肉星大王の職務を放り出して完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)との対決に駆け付けたキン肉マン。
鳥取砂丘で父・真弓から叱責のテレビ通信が入り思わず隠れる彼だったが、真弓の伝えたい緊急事態は別にあった。
キン肉大神殿に祭られている金銀一対のマスクのうち、黄金のマスクが姿を消したのである…というシーンで初登場。
この後に悪魔将軍が超人墓場への進行を開始するシーンへと続き、今回の悪魔将軍=ゴールドマンである事を読者に明示した。バゴァァ

その後、ゴールドマン自身の口から兄弟はザ・マンに選ばれた完璧超人始祖の一人であることが判明。
彼らは超人の神ではなく、実際には神に最も近い位置にある超人だったのだ。

その後、悪魔騎士と始祖との戦いが続く中で突然銀のマスクが光りだし、
キン肉星からまばゆい光が地球に降り注ぎ超人墓場、ピサの斜塔、サグラダ・ファミリアを照らす。
これらはいずれも完璧超人始祖たちが地上に遺した遺跡であり、悪魔騎士たちは各所で死闘を繰り広げていくことに。

は完璧超人始祖編の第二の主人公的な扱いだがシルバーマンは永い間出番に恵まれず、
初台詞は116話の裁きの神ジャスティスこと完璧陸式・ジャスティスマンの回想シーン。単身キン肉星に残っているため仕方ないのだが、
兄の初台詞(5話)に遅れる事、実に111話分である。ちなみにリアルタイムで誰かと会話するシーンはさらに遅れて153話。
兄より早い弟など存在しねぇ!

そんな彼も117話のラストシーンでついに変貌。
銀のマスクが震え始めるとともに顎部のフェイスガードがせり上がり、穏やかな眼差しは一転して険の入った厳めしい相貌となった。
というかネメシスより人相が悪い
なおフェイスガードを上げた状態はキン肉族の戦闘スタイルに酷似しているが、
シルバーマンのフェイスガードにはリベットのような意匠が施されており、一見すると悪魔将軍のそれを髣髴とさせる。

ちなみにシルバーマン変貌シーンの直前はサイコマンがシルバーマンへのパーフェクトサイコホモ宣言友情を彼らしからぬ激情を交えて語る場面となっており、
読者の一部に「サイコマンがキモすぎて怒ったんだ」等の憶測を呼んだ。

この116~117話はジャスティスマンの回想として天上兄弟ゲンカとして伝わる伝承の真実が明らかになり、
伝承は完璧超人始祖の存在を隠すための物語として意図的に広められたのではという見方も読者の間で生まれた。
ついでに「ケンカの切っ掛けになったクソガキはサタンの化身だった」説は消滅した

その後暫くは描写の無いままだったが153話でついに国立競技場へ降臨。
ブロッケンJrにとどめを刺そうとするサイコマンに対し、その処遇を自分に任せるようにとりなしを働く。
この時の大変に嬉しそうなサイコマンのデレまくった表情は必見。

以前サイコマンの口から創世の時代には完璧超人始祖による地上超人大粛清におけるゴールドマンと共に虐殺王であったという情報が伝えられており、
当初はブロッケンJrにとどめを刺すんじゃないかという懸念が読者の間で少なからず上がっていた。
ちなみに筆者は行っていないのだが、ゆで先生はシルバーマンを戦闘スタイルにしていたことを忘れていたらしいことを通天閣のイベントで話したそうな。

降臨の直前にサイコマンがシルバーマンが地上に降りたのは実はサイコマンと閻魔の依頼でゴールドマンを説得するためだったという衝撃の事実を明かし、
さらには「悪魔超人の抑止力として正義超人を育成したのであり、正義超人は本来は完璧超人側(意訳)」と主張していたため、
ことの真相を正義超人の代表であるキン肉マンから問い詰められる。

しかし、シルバーマン本人の口からそれが完璧超人に対する方便であったことが語られた。

あくまでも兄よりもより穏やかで協調的な思想の元に超人たちを鍛え上げるために正義超人を作り上げただけであり、
完璧超人の駒などではない。兄の勢力を制し、始祖の思惑通りになったのも結果論に過ぎない。

今の超人たちは自由な意思の結果でここまで辿りついた、という事を始祖を討つまでに成熟した超人たちに伝えに来たのだ…と告げる。

※この辺はよく「現状悪魔超人側のバッファローマン以外、正義超人は誰も実力で倒せてないだろ」と突っ込まれやすい。
ただし、殺し合いのために身を投じている悪魔超人と違い、正義超人は主義主張の違いを乗り越えて「わかり合うために」戦っていることを念頭に置くべきだろう。
そういう意味では、ジャスティスマンに敗北と下等超人の生き様を認めさせる大金星を挙げたテリーマンもまたシルバーマンが言う「成熟を果たした正義超人」なのである。


これに黙っていられないのはこれまで滔々と述べてきた「正義超人のしんじつ()」を思い込みと一蹴されてしまった男である。
想い同じくする友と信じていたシルバーマンの離反にこれまでにない憤怒と狼狽を見せ、取り乱しながら自分を説得しようとするサイコマンに対し、
「(神の座を降りたザ・マンを含め)自分達は神ではなく超人に過ぎない」と、彼の考えをきっぱりと拒絶。

袂を分かった始祖のことは「方法論が異なるだけで、目的地は同じ」という持論から今でも同志であると見なしている。
一度は悪魔に落ちた兄ですら、「裏切り者の汚名を着せられた兄」と称している。
超人閻魔に対しては今でも唯一ザ・マンと呼んでいるが、その一方で「自分たちの目的地を最初に見失ったのは他でもないあなたなのではないか」と糾弾。
「超人という種を神が認める完璧な存在に鍛え上げる事が目的だった筈なのに超人を自分たちで管理する事が目的にすりかわっており、管理の障害となる友情パワー=神に迫る新たな力を潰しにかかっている」(意訳)と指摘し、
ザ・マンに引導を渡しに来たことを宣言。
その冷静で筋道だった糾弾に、ザ・マンも激昂することなく僅かに戸惑いを感じさせる素振りを見せる。

そして親友との決裂を悟ったサイコマンは戦いでの決着を望み、それを受けてシルバーマンがリングイン。
ついに完璧超人始祖同士の戦いが始まった……


【血みどろの友情】

歴史上初めて衆目の前で行われた始祖同士の激突は開戦のゴングと同時に激しい打ち合いとなった。

数度の打ち合いでシルバーマンのブランクを見抜いたサイコマンはスピア・ドレスなど怒涛の攻勢を見せるが、シルバーマンも途中からブランクによる勘の衰えを徐々に取り戻し、無敵の防御態勢パーフェクトディフェンダーを取ってのカウンターでこれを返す。
弱点ナシのを前にサイコマンの攻め手も潰えたかと思いきや、執拗な巨握の手でシルバーマンの顔面を攻めにかかる*1

反撃の猛打を受けつつもひたすら顔面を攻め続けるサイコマン、
妙に反撃を急ぐシルバーマンにバッファローマン達が懸念を抱く中、ついにサイコマンが反撃の火ぶたを切る。

サイコマンの狙いはマグネットパワーが利きにくいシルバーマンに磁力を浴びせ続けることで磁性体化させ、マグネットパワーの支配下に置くこと。
引力と斥力を自在に操る戦法に防戦一方のシルバーマンだが新しい力を見せつけるサイコマンに対し彼は言い放つ。
「思えばその奇妙な力を身につけた日からキミは少しずつ変わってしまった」と。

超人墓場が作られるより前の時代、サイコマンは史上初めてアポロン・ウィンドウを発見し、その中に渦巻く地球の生命力…マグネットパワーの存在を知る。

始祖とザ・マンが揃い踏む中マグネットパワーのお披露目を特に咎も無いシングマン行うサイコマンだが、
これを超人パワーのブーストに用いようと提案した所その反応たるや散々な物
すがるような気持ちで水を向けたシルバーマンに至っては封印すべきと言い出す始末*2。だが、唯一師であるザ・マンがこれを承認したため
サイコマンはこの研究に没頭していく。それは同時に、はじまりの11人が小さな楔を打ち込まれた瞬間でもあった

自身が信じるマグネットパワーの猛威を知らしめんとするかのようになおも猛攻を続けるサイコマンの前についにダウンを喫するシルバーマン。
しかしここで決着をつけんとサイコマンが最大奥義輪廻転生落とし(グリム・リーインカーネーション)を極めたかと思われた瞬間、シルバーマンは息を吹き返す。

輪廻転生落としはリングをマグネットパワーの海に変え強大な引力で落下速度を倍加させる必殺のバスター技だったが、
リングをマグネットパワーで覆った結果、着地地点に穴(ブロッケンJrを叩きつけた陥没跡)が開いている事に気づかなかった。
そのためシルバーマンの頭部がリングに激突せず、最初に着地したのは穴のヘリにひっかかる形になったサイコマンの腰だった。

奥義の不発にあきらかな動揺を見せるサイコマンに対し、シルバーマンは即座にフランケンシュタイナーで反撃し彼への友情と、超人の真の成長を阻害するマグネットパワーの打倒を宣言。
これに対し「自分の感情を地上の下等超人が用いるような言葉で括られるのではたまったものではない」と荒ぶるサイコマンは
サンダーサーベルスコールでシルバーマンを釘づけにするも、とどめに放ったロンゲストサンダーアローを電気コイル代わりに使われ、
シルバーマンに即席のデパ地下セールデパーミング(消磁)をゆるしてしまう。やはり連射式飛び道具はフラグであった。その後、顎に強烈なアッパーカットを食らう。

磁力をいくら放っても電気に変換してしまう状態のシルバーマンにマグネットパワーによる攻勢を封じされたサイコマンは最後の手段として強引に輪廻転生落としへ持ち込もうとするが、
マグネットパワーで無力化した相手に放つ事に慣れ切ってしまった彼は仕掛けの精緻さがすっかり失われており、シルバーマンはこれを容易く払う。
そしてついにシルバーマンは自身の奥義 アロガント・スパークを放つが…それは正義超人の開祖の技としてはあまりに無慈悲な殺しの技だった。
詳細については【必殺技】欄を参照。


【真の必殺技】

サイコマンの返り血を浴び、 銀のマスク素顔を朱に染めるシルバーマン。
その威容に衝撃を受けるキン肉マンに彼は寂しげに語る。


今のひどい技を見てわかったろう これが私の本性さ


沈黙が場を包む中、喝采の声を上げたのはネメシス
「この技こそ真の完璧超人にしか出し得ない技だ」と絶賛する彼に、「私の本性はキミの見抜いた通り 昔からずっと完璧超人のままなんだ」と返すシルバーマン。
正義と友情の素晴らしさを認めつつも、己の中心にそれが根付くことは無かったと。
だが同時にアロガント・スパークは穴だらけの欠陥技だと言い、ネメシスの称賛をやんわりと退けた。

文字通り必殺であり、殺し合いのフィールドでしか意味を持たない技。
それは言い換えれば敗北即自害の掟に縛られ、敗北から己を見直し克服していくという過程も、
そもそも仲間同士で競い合い高め合っていくことすら覚束ない「完璧超人」の歪さの体現とも言える。

超人墓場から離脱して以降、彼は自身の象徴であるこの技を不殺の技に改めようとしたが、
完璧超人ゆえの合理性の捨てきれなさ・あるいはあまりに高すぎる殺人技としての完成度故か、
結局ゴールドマンとの決闘に至るまで不殺の技へと転換することは出来なかった。
回想では、両手で顔を覆いその事に絶望する姿が見られる。

これは同時に、使い手であるシルバーマンもまた己を変えることは出来なかった事の比喩ともいえる。
そして今なお完璧超人の掟に拘泥する子孫へ彼は問う。


敗北すれば即自害 その掟で何人の優秀な人材が失われたことか

ネメシス 本当のところキミは一体どう思う?


厳しい掟が無ければ堕落する一方と反論するネメシスだが、
完璧超人の最高戦力を投入してなおこの有様という状況を突き付けられ、正義超人たちと比べてなにか成果があると言えるのか、と言われて言葉を失ってしまう。

さらに、そんな完璧超人の象徴ともいうべきアロガント・スパークを正しい形に導いたのが、
キン肉マンが王位継承サバイバルマッチの最後に放ったあのマッスル・スパークだと告げるシルバーマン。
そして、その意味を知るためにネメシスとキン肉マンが戦うように彼は告げる。

その時、死したと思われたサイコマンが僅かに息を吹き返し……


【最後のダンベル】

サイコマンの雷のダンベルを回収し、最後に残るはジャスティスマンからテリーマンに託された光のダンベルのみ。

ジャスティスマンとテリーマンの元に向かうシルバーマンだが、
始祖全員の消滅という事態を知ったテリーマンはこれは自殺のようなものだと受け渡しを拒否。だがそんなテリーにシルバーマンは問う。

ではまだ私たちがいないと あなたたちはやっていけないのですか!?

シルバーマンは語る。本来あるべからざる不死の存在になったのは新たなる超人の成長を見守り、後押しをするため。
超人という種を神の怒りから保護するためであったと。しかし、今や超人たちは成長を遂げ神々に認められるところにまで至った。
ならば、既に役目は終えている。役目あっての不死であれば、それが終わった時は……


私たちを死なせてくれませんか?


様々な思いが去来する中、ついにテリーは最後のダンベルをシルバーマンに手渡し、10本のダンベルが揃うが……
以下詳細はサイコマンのページを参照。


【さらばシルバーマン】

始祖消失のエネルギーをすべて自分自身に集中させ、サイコマンは単身消滅した。
だが、直後にシルバーマンも肉体が消滅し始める。
うろたえるキン肉マンたちにシルバーマンは自身の肉体について語り始めた。

完璧のマスクとして鎮座していたが、この危機に際し行動に出ることを兄と取り決めたこと。
しかし、肉体再生に使えるだけのパワーが精々一人分…ゴールドマンの分しか無かったこと。
万一の事態に備え、シルバーマンも一戦おこなえる分のエネルギーを受け取ったこと…
そして今、死闘を経てそのエネルギーが尽きようとしているのだ。

消えゆく開祖を惜しんで涙するキン肉マンだが、シルバーマンは穏やかに語る。
自身の魂はサイコマンの策によって守られており、これからも超人の歴史を見守っていると。

これから始まるキン肉マンとネメシスの試合が(自分とサイコマンのような血と殺意に満ちたものではなく)キン肉族によい歴史を刻む結果になることを信じていると。
そして最後に兄にザ・マンとの決着を託し…誰よりも友情という花に恋い焦がれた超人は再び無言のマスクへと戻った。


ではキン肉マン ネメシス まずはあなたたち二人の試合を楽しみにしています

その結果キン肉族にどのような新たな歴史が生まれるのか…

あなたたちならきっとよい結果を生み出してくれると私は信じていますから

そして兄さん
あの人のことは…兄さん あなたに頼みましたよ



【正義超人のはじまり】

サイコマンが語る通り、元々ゴールドマンが墓場に戻るように説得するために地上に降りたのは事実。
ところが監視と説得を続けるうちに、兄と同じく地上の超人たちの中に可能性を見出したシルバーマンは本当に離反
一方で兄の過激かつ急進的育成方法を問題視した彼は、兄の道場であるゴールドキャッスルの傍らに自らの道場であるシルバーキャッスルを建立。
自分の理念に基づく「正義超人」の枠組みを作った…というのが真実である。ちなみにこの2大道場の跡地が今日の金閣銀閣である。

正義超人は超人閻魔の意向の元、ゴールドマン一派を監視するために組織されたというサイコマンの主張は、
シルバーマンが本当に離反したと認めたくがない故のこじつけだったのだ。


つまり現在三つ巴で争う完璧・悪魔・正義の勢力は、
元は完璧超人始祖である超人閻魔・ゴールドマン・シルバーマンの3人によって成り立っていたといえる。

なお、シルバーマンの密命と正義超人の誕生について把握していたのはザ・マンを除けばサイコマンだけらしく、
ゴールドマンが決別したころには既に完璧超人始祖同士の関係にもかなりの歪さが生じていたことがうかがえる。


【容姿】

自身の象徴たる銀のマスクを被り、筋骨隆々の肉体を誇る偉丈夫。
見事な逆三角形ボディはまさにキン肉族の開祖というべき説得力。
体躯はキン肉マンのそれ(185cm)を頭一つ以上上回り、恐らくゴールドマン(220cm)に近いと思われる。

161話におけるサイコマンの言及により、シルバーマンはあの銀マスクが素顔だと判明。
銀のマスクとして知られるあれはシルバーマンのリアル生首であった。

過去の回想シーンでは兄ともども簡素なトーガ(古代ローマの服)を纏っている事が多かったが、国立競技場降臨の際に肉体を再生?したらしく、この際にスーツも新調。
兄である悪魔将軍の鎧と子孫であるキン肉族の戦闘スーツの合いの子のような怒り肩のアーマーとマントをまとい、片手には護法の象徴としてかバックラー(円形の小さな盾)を装着している。サイコマン戦では防御だけではなく攻撃などにも使用するなど自由自在に活用した。

アーマーの中央部および両手の平にはSの字を横倒しにしたような紋章が有り、
恐らくこれがシルバーマンの紋章、ひいてはキン肉王家のKINマークの大本となったものと思われる。

ちなみに両掌を交差させてロゴサインを見せるのは、
実在のレスラーであるA.J.スタイルズことアレン・ジョーンズのパフォーマンスが元ネタではないかと言われている。


【戦闘スタイル】

サイコマンと対峙するまで、回想でしか戦闘シーンを見せたことが無かったシルバーマンだが、
天上兄弟ゲンカにおいて、ゴールドマンと同じく手からを生やす描写があり、兄と同等の肉体的スペックを持っていたことが分かる。
また、攻撃的な兄とは対照的に防御を得意としていたとも語られていて、サイコマンからは「防御の天才」と評される。後に平和の神と呼ばれることになったのもそれが由来と思われる。

サイコマンによると、真正面から敵に組み付いていくのが彼の最も得意とする基本中の基本戦術らしい。
攻撃時には、「トアーッ!」「ツアーッ!」という声を上げて攻撃を行う。

劇中ではビジュアル的に派手な技よりもパンチやキックといったシンプルな打撃や投げ技を多用するスタイルを取っており、その戦い方はジャスティスマンに比較的近い。劇中で披露した必殺技の数は二つで、これは登場した超人の中でも非常に少ない。
防御を得意とする神という触れ込みではあったが、では攻撃力が劣るかというと全くそんなことを感じさせないほど極めて高く、
彼が放ったヒジ打ちやパンチ、ヒザ蹴りはモロに受けたサイコマンが血反吐を吐く程の威力を持つ

古の時代、戒めのために超人たちを粛清した際には、まるでレスラーが豆腐に技をかけたかの様に前蹴り一発で下等超人の腹を貫通し、スリーパーをかければ頭が弾け、胴絞めをかければ真っ二つにしてしまっていた
肉体の耐久力という面でもずば抜けており、サイコマンの巨握の手に顔面が捉えられても、全く意に介すことなく楽々と攻撃を続行している。

戦いを通して相手と解りあおうという姿勢は正義超人そのもののように見えるが、甘さは微塵もなく、
完全な決着をつけるためなら自身が好まない血塗られた必殺技で相手の息の根を止めることも辞さない苛烈さも持っている。

完全に相手を仕留める覚悟を決めた際はフェイスガードが展開され、顔一面に冷徹な殺意の漲った恐ろしい形相に変貌する。
シルバーマン自身、この殺意の化身のような姿こそが自身の本質であり、
正義超人の開祖であっても己は完璧超人の業から抜け出せないままだったということを自覚している*3

正義超人の過激派として知られる残虐超人とは、そんな彼の気質を受け継いだ存在なのかもしれない。

なお偶に勘違いされるが、「友情パワー」の発動自体はシルバーマンも可能であり、サイコマンの目の前で実際に発動して見せている。
だがその光は試合を始めると同時に即座に消失しており、戦いの中で発揮される正義・悪魔超人のそれとは違い、
本質に根差した物ではなく、理性で再現された物だという事が窺える。
実際にアロガント・スパークを受けたサイコマンが僅かに息を吹き返した際にも「(サイコマンなら)強いから死なないと思っていた」(意訳)とさらりと言ってのけた辺りからも、やはりシルバーマンの中心に友情は根付いていなかったと言える。


【必殺技】

  • パーフェクトディフェンダー
キン肉族に伝わる鉄壁の防御技「肉のカーテン」の原型となったと思われる技。
その性能は、キン肉マンが使用している肉のカーテンを上回る。
シルバーマンの肉体強度と組み合わせた圧倒的な耐久力で相手の攻撃を単純に耐えるに留まらず、
敵の攻撃を受け止め、受け流し、時には防御と同時にカウンターを放って敵を追い詰めていく、対戦格闘ゲームの当身技を思わせる変幻自在の絶対防御法である。

パーフェクトという名称や、回想シーンで"参式"ミラージュマンがネメシスがとった肉のカーテンのような構えを「シルバーと同じ」と評し、
サイコマンも「この絶対防御の構えは…パーフェクトディフェンダーーッ!」と反応したため、完璧超人始祖達と別れる前から使っていたようだ。
グランドジャンプ読み切りにおいても、タイラントの回想やシルバーマン像でこれらしき構えを取っているのが確認できる。


  • 完璧・弐式(パーフェクト・セカンド)奥義 アロガント・スパーク

この技しかなかった この血塗られた技しかキミを仕留める方法は…

『完璧・弐式』の名を冠する"完璧超人始祖・シルバーマン"としての必殺技。
キン肉族三大奥義のひとつ、マッスル・スパークに酷似した掛け方で放つ技であるが、
空中に跳ね飛ばした相手に掛ける「天」において相手の両腕を背面でクロスさせるように固め*4
固めた相手をマットに激突させる「地」の部分では、相手の首を内側ではなく外側に向けて落とすと言う違いがある。

両者の技を比較して見ると、「天」の関節技がより苛烈な物となっており、この時点で相手の腕と首に(受け側が血反吐を吐く程の)深刻なダメージを与える。
また、上半身のエグさが際立っていて目立たないが、受け手の左足のロックも自身の左足へ無理矢理巻き付かせる様に固めており、ロックが強固になるだけでなく膝・足首へのダメージも激増している。
一方、「地」の部分はマッスル・スパークよりも固定が甘いように見えるが、相手は「天」の関節技によって既に無力化されているため技から抜け出すことはできず、
落下中に発生する上向きの風圧とGによって据わっていない首があらぬ方向に何度も捻じ曲げられる。

そのため結果的に、キツく固めて叩きつけるよりも遥かに致命的なダメージが相手の首に集中&持続して与えられる事になる。
何より首と両腕が外側に開いているために、地面へ激突する部位も広くなっている上に受け身すら取れない。

その恐ろしさは完璧超人始祖の間でも周知だったようで、
技の始動(スグルのスパークと同じく腹筋で打ち上げる)に入った瞬間にサイコマンは「この技は…!?」とビビりまくり、
天・地の直撃を受けた結果全身の各部がベキベキにへし折られ最早サイコマンだったものとしか言えない有様になっていた*5

ネメシスはこの技を「全ての完璧超人が手本とし崇めるべき究極のホールド」と我を忘れて絶賛したが、
「相手を確実に殺す」という純粋なる殺意を持たなければ成立しないという完璧超人の業を体現したような技。

「アロガント」とは「傲慢な」「尊大な」と言う意味であり、猛省したシルバーマンが自虐の意味であえて名付けたものと思われる。
これに伴い、元々は「アージェント(銀色の)・スパーク」だったが、自戒のために技名を変えたのでは?と考察する読者もいる。
後に技の解説を行った兄ゴールドマンはこの技を「殺意の塊」とまで断言している。いなくなった後も虐殺王としての評価と印象がドンドン深められるシルバーマン……。

欠点はそのあまりに高すぎる威力と殺傷力、そしてそれを持つが故の反動の大きさ。
前者はあくまでシルバーマンの(本性に忠実だが)理想に反する技と言うある種の自虐だが、問題は後者。
反動が強すぎて疲労が蓄積した状態で放つと完全な制御が効かず、制御が不完全な状態だと反動で掛けたシルバーマン本人も痛烈なダメージを負ってしまうためコンディションが万全でも手加減すらできない。
恐らくは自力での落下速度や軌道の完璧な制御だけでなく、技を決めて地面に叩き付けた相手をクッション代わりにしてまで反動を殺し切らなければならないのだろう。
だが手加減せず完璧に決めれば結果は相手の確実なであり、純粋なる殺意を持たなければ成立しないというのはこの為。その為この技を使いこなす為に途方も無い程の修練を積んだシルバーマンですら、後に諸刃の剣の技では磐石の勝利は望めないと言う理由から奥義から外している。

この反動はシルバーマン以外でさえ例外ではなく、劇中では疲労が蓄積したネメシスがキン肉マンに使用した際は、技が失敗に終わったのみならず掛けた後の反動で全身がボロボロになるほどのキン肉マン以上の大ダメージを受けてしまい大きな敗因に繋がってしまった。

シルバーマン当人はこの技を「この血塗られた技」「ひどい技」「完璧どころか穴だらけ」「敗者の命を奪うことで可能性を殺す技」「こんな不完全な技」と心底忌み嫌っており、
苦悩の果てに「人を殺めるのではない活かす技」を目指したが、結局未完成のままゴールドマンとの決闘で命を落とした。
その研究の過程で後世へのメッセージとしてシルバーマンが刻みつけた壁画こそが「キン肉族三大奥義」の原型である。
ヒントを元に歴代のキン肉族王家によって幾つものバリエーションのマッスル・スパークが生み出され、遂にキン肉スグルの代にてキン肉マンスーパーフェニックスとの死闘の末に「死ぬなーっフェニックス!」という慈悲で放たれた、分かりあうための完全決着の技として完成することとなった。

【血縁者】

兄:ゴールドマン(現・悪魔将軍
子孫:キン肉王族(キン肉タツノリ、ネメシス、キン肉真弓、キン肉アタルキン肉スグルなど)


【余談】

黄金のマスク編で初登場した銀のマスクは口を真一文字に結んだ硬い表情のマスクだったが、
何故か完璧・無量大数軍編以降はマスクの表情が殆どニヤケ面で固定されており、
笑顔で光輝く姿が「顔がムカつく」と読者にいらぬ風評被害を受けている。

グランドジャンプ読み切り『キン肉マン-奇跡の救世主伝説の巻-』により、
100万年前「ミュースマン」として悪の超人タイラント一派から星々を守っていたことが判明したが、その時に飾られた石像でもニヤケ面のままだった。

彼の名誉のために言っておくと、この表情は嘲笑ではなく古代の彫刻によく見られるアルカイク・スマイルと呼ばれる様式であり、
『生命感』と『幸福感』を表現する大変すばらしい意味が込められている。

日本でも弥勒菩薩の半跏思惟像やウルトラマンのマスクの造形などに見られるもので、
「平和の神」・「超人(ヒーロー)」という彼の持つ記号を表現するにはぴったりといえる。

なお、かつて彼が名乗っていた「ミュースマン」という名は、「ミュース」はギリシャ語で「筋肉」を意味する。
つまり、直訳すると……

ちなみに同作でスグルはミュースマンと呼ばれた際は即座に「いや 残念ながら私はそんな名ではないが…」と否定したうえで、
自己紹介し多分ページ数の残りの都合から瞬殺している。

さらに余談だが、シルバーマンが地上に降りたとき、彼に従った子孫達が後のキン肉族となったことが、悪魔将軍や武道の口から初めて語られた。
……が、旧作のときから暗黙の了解的に金銀兄弟とキン肉族の関係を認識していた読者達からは「何を今更」的な反応だった。

ミュースマンことシルバーマンに敗れたタイラントが完璧超人でもないのに何故100万年も牢の中で生きていられたのかは不明。
また虐殺王と呼ばれたシルバーマンもその気になれば圧倒的格下や極悪人といえど殺さずにKOすることもできたが、「心から敗北を認めさせ和解と相互理解に導く」という目標には到達できなかったことが分かる。


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最終更新:2024年03月12日 23:45

*1 ちなみにシルバーマンの剛打(腹へのエルボー、顔面パンチ、鉄柱への叩きつけ等かなり見た目のエグい技。虐殺王ェ…)をもろに浴びながらも「貴方の美しい寝技で攻められるのは至福」と言い放ちながら執拗に絡みつくサイコマンの異常な性癖…もとい戦法に対しキン肉マンは古馴染みのオカマの事を思い出していた

*2 これはマグネットパワーが悪用されることを危惧しての発言であり、その懸念通り後にネプチューンキングによって悪用されてしまう。精神的に未熟な者が不相応な程大きな力を手にした時の危険性を良く理解していたのだろう。

*3 本人の人格こそ優しく高潔であるが、自分の認めない考えを受け入れることが出来ず、自分に降りかかる“親友”サイコマンの喀血を咄嗟にマントで防ぐなど、本能レベルで完璧超人であるという描写がされている

*4 明らかに人体の関節構造上曲がらない角度でクロスされている。実際にやれば肩の関節は良くて脱臼、最悪粉砕骨折だろう。また、肩をクロスしようとすることで首を前方向に押す力が働くため、マッスルスパークよりも首にかけた足の締まりがキツくなる。もうこの時点でえげつない

*5 なお、シルバーがわざとリングではなく掘り返した地面に着地したため、失神はしたものの即死は免れている。それでもサイコマンの耐久力であっても生き残れる可能性は低かったようだが