キングザウルス三世

登録日:2016/01/15 (金) 22:55:02
更新日:2023/10/14 Sat 20:01:36
所要時間:約 4 分で読めます




キングザウルス三世とは、円谷プロの特撮作品『帰ってきたウルトラマン』の第4話に登場した怪獣。
僅か第4話目にしてウルトラマンを完敗に追い込んだ強豪として現在でも根強い人気を持っている。


スペック


別名:古代怪獣
全長(頭の先から尻尾の先までの長さ):105m
体重:2万7千t
出身地:箱根山中

概要

ウランを好物とする地底怪獣の一種で、ダンプカー100台(車そのものも含めて数千t。成人男性がカレーを12皿食うようなもの)を軽く平らげるほどの健啖ぶりを有する。
地中を自由に移動することができ、原子力発電所を襲っては食いまくるという、今ならば絶対放送できない暴挙に出ていた。

屈強なブロントサウルス型の肉体に背びれ、魚竜のような頭を持ち、頭部には前に長く突き出た二本の角を持っている。
極めて怪獣らしいスタイルをした精悍な容姿で、それも人気の理由のひとつ。だが、こいつの本質はその多様すぎるほどの能力にある。
まず、角からは波状のショック光線を撃ち、ウルトラマンのふいを打ってダメージを与えた。
這わせたまま突撃する戦法も得意であり、掠めただけで国会議事堂を破壊できるらしい。
また、大きく裂けた口からは周囲三百mを焼き尽くせるほどの威力を持つ赤色の放射能光線を吐き、有毒なスモッグガスを吐き散らすこともできる。
劇中未使用だが、目からは相手を眠らせる催眠光線を発射することも可能。

そして最も恐ろしいのが、自分の周囲にカーテン状に張り巡らさせる超強力なバリヤーである。

このバリヤーの強度はすさまじく、まともな方法での突破は不可能と言ってもいい。
実際に劇中では、

スペシウム光線八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)→フォッグビーム→シネラマショット

この連続攻撃を小揺るぎもしないで耐え切っており、当時の視聴者とウルトラマンに大きな絶望感を与えた。


これだけでも並の宇宙怪獣顔負けの多芸ぶりであるが、パワーにも優れており、
エネルギーを消耗した状態であったとはいえ突進攻撃でウルトラマンをダウンに追い込んだほど。

唯一の弱点は、無敵のバリヤーも前後左右の守りは完璧であるが頭上だけは無防備であり、ここを越えられて能力の基点となる角を破壊されたら戦力を失ってしまうことである。

作中での活躍


箱根山中に出現し、ウラニウムを求めて第一原子力発電所を襲う。
出撃してきたMATを軽くあしらい、続いて登場したウルトラマンとの交戦となる。

ウルトラマンとの戦いではウルトラマンの光線技をバリヤーで完全に無効化して圧倒。
エネルギー切れに陥ったウルトラマンをショック光線と突進攻撃で追い討ちし敗退させる。

その後、地中へいったん姿を隠すが、再び第一原子力発電所付近に出現。

MATはキングザウルス三世のバリヤーは上には張れないことを見抜き、マットアローで頭上からの急降下攻撃を行う。
が、マットアローの攻撃力では決定打にならず、そのまま第一原子力発電所へと進撃。
そこへ、郷秀樹が駆けつけ、再度ウルトラマンとの交戦となる。

ウルトラマンは前回の戦いの敗北がトラウマとなり、威嚇してくるキングザウルス三世になかなか手が出せない。
にらみ合う両者。そしてついにカラータイマーが鳴り出したとき、意を決したウルトラマンは大きく空へとジャンプした。

『流星キック!』

キングザウルス三世の頭上からの急降下キックが角をへし折り、バリヤーはあっけなく消滅した。
ウルトラマン・郷秀樹は今度こそ勝利するために、特訓に特訓を重ねて新技を編み出していたのだ。

バリヤーを張れなくなって戦意喪失したキングザウルス三世に、ウルトラマンは猛攻をかけ、さらには巨体を大きく持ち上げて投げ飛ばした。
たまらず逃げ出そうとするキングザウルス三世。だが、そうはさせじとスペシウム光線が炸裂する。
大爆発が起こり、キングザウルス三世はもだえ苦しんだ末に沈黙した。

ウルトラマンは空へと飛び立ち、後には勝利を喜ぶMATの笑い声が響き流れるのであった。


余談

こうして、4話目にして大きな衝撃を視聴者に残していったキングザウルス三世の登場したエピソードは、
現在でも『帰マン』を語る上ではなくてはならない話として位置づけられている。

単純に一目見て、かっこいい! と思われる王道の恐竜型怪獣のスタイル。
男の子大好きの多彩な光線技や超能力の数々。
ヒーローを完敗に追いやる圧倒的な強さと、非常にわかりやすい説得力な展開。
敗北を乗り越えて強くなるスポ根な物語と、その上での大勝利。

これらの流れは後の「レオ』にも通じ、ウルトラシリーズの奥の深さを味わわせてくれる。

しばしば流星キックでキングザウルス三世を倒したと誤解されるが、
実際はバリア発生源の角をへし折るために使用しただけであり、 最終的にはスペシウム光線で倒されている。
なお、せっかく特訓したのにその後使用しなかった。

一応、ウルトラスピンキックが流星キックの発展技とする資料もあり、こちらはモグネズンを撃破しているほか、
没となったが再生グドンもこれで倒していたとか(ウルトラファイトオーブでは流星キックをグドンに当てることになる)。

キングザウルス三世自体は後のシリーズには登場していないが、
やはり『帰ってきたウルトラマン』の中で重要な位置づけだと公式でも認識されているようで、
ウルトラマンタロウ』のタイラント回においての帰マンの回想では真っ先にこの回が取り上げられている

なお、一世や二世がいないのになぜ三世なのか? という問題であるが、
これは没シナリオとなった回に登場するキングザウルスという怪獣から「キングザウルス三世」という名前だけ拝借したためである。
つまり、キングザウルス一世・二世はもともといないということだ。
レッドキングエレキングに続く三代目のキングの名前を持つ怪獣との説や(キングジョーはロボットであるためノーカウント)、
そもそも肩書きもデザインもシンプルな「古代怪獣」が頭脳戦のようにバリアや光線を使うという点も合わせて不条理・出鱈目であるという事自体をコンセプトとしている説もある。

八つ裂き光輪や最強のシネラマショットは以後本編では使用されなくなっただけで前者は内山まもるの漫画版、後者は客演作品では使用している。

ふしぎの海のナディア』最終話 (A.D.1902) で成長したキングの2匹の赤ちゃんライオンの名前は
どちらかはCDドラマ「A.D.1901」では同名のキングザウルス三世であることが確認でき、
これは総監督を務めた庵野秀明が『帰ってきたウルトラマン』の大ファンであるため。


その他の作品での出番

映画『ウルトラマン物語』では、タロウの特訓の参考としてジャックとキングザウルス三世の一度目の戦闘映像が使われている。
ウルトラの父がカーテン状バリヤーを再現し、タロウに攻略法を考えさせた結果、タロウはスワローキックを編み出したのである。

漫画『ウルトラマンSTORY 0』においては、ジャックが立ち寄った星の怪獣王「キングザウルス」として登場する。
こいつは首長竜に近い声帯を有しており、ムルチ原種(どう見ても鮭)を始めとする他の生物たちを片っ端から食い荒らし、
住民(半魚人型)からは「あいつらは食うために殺すんじゃない! 殺すためだけに殺してるんだ!!」とまで言わしめた。
更にジャックの変身ブレスレット内にあったプラズマ鉱石を食ったことで突然変異を起こし、ヒレが筋肉モリモリの手足に成長して、陸上の生物まで襲い始めた。
一度はジャック(変身前)に目を潰されて逃走するも、続いて現れた際に変身能力を取り戻したジャックと熾烈な海中戦を繰り広げ、
最期は水上に投げ上げられたところを真下から蹴りで貫かれて粉々にされた。


『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャーNEO』ではTVシリーズ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODDYSSEY』の裏側を描いたエピソードにて、
バルキー星人(RB)の操る怪獣として登場。
しかし、ペダン星人のレイオニクスハンターによって上空から攻撃され、バリアも役に立たず倒された。
よく本エピソードにツッコまれる「わざわざ特訓しなくても上空から光線撃てば勝てるじゃん」が実践された例である。

PSソフト『スーパーヒーロー作戦 ダイダルの野望』では帝国決戦の章第5話「戦え!ウルトラマン」にて登場。
真帝国ダイダルによってガイアの世界に呼び出され、転送ゲートにバリアを張って近くで眠っていたが、
住人の避難が完了する直前に目覚めて最後まで残っていた警察官の家族を襲ったため、マン、セブン、ジャック、ガイアによって倒された。
弱点を克服しドーム状のバリアを張れるようになったが、ゲートを守るために自身のバリアは光線を多少軽減する程度に弱まっており、
八つ裂き光輪が流星キックと同じ木属性のため無効化されるどころか弱点を突くことができる。
なお、せっかく倒したのにその直後街中で雑魚敵としてエンカウントするようになる。

ニンテンドーDSソフト『怪獣バスターズパワード』ではキングザウルス三世に加えて、オリジナル怪獣の「キングザウルス(祖種)」が登場する。
祖種はバリヤーを自分の周囲にではなく、プレイヤーの周囲に発生させる事で、プレイヤーを閉じ込めて逃げられなくする戦法を使ってくる。
ちなみにこのバリヤーは、獲物を捕らえるために使われたという設定になっている。 

ウルトラマンオーブ 完全超全集』に掲載された「ウルトラマンオーブクロニクル〈年代記〉」では、
第5章「ルサールカより愛をこめて」で、キングザウルス二世が登場する。一世と三世は登場しない。



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最終更新:2023年10月14日 20:01