飛鷹型航空母艦(艦これ)

登録日:2016/01/14 Thu 22:33:31
更新日:2024/03/10 Sun 14:22:15
所要時間:約 10 分で読めます




ここでは、艦これにおける軽空母の飛鷹型について解説する。
史実項目もあるので関心のある方はこちらへ。

概要

日本における空母。
艦これにおいては軽空母に分類され飛鷹が飛鷹型一番艦、隼鷹が二番艦となるが、実は正規空母に分類されることもあったり、隼鷹が隼鷹型とする資料もあったりでややこしい。
実際、正規空母である蒼龍より排水量が多かったりする。
面倒なので「艦これでは軽空母でいずれも飛鷹型」と覚えておいたほうが良いだろう。

飛鷹は「出雲丸」、隼鷹は「橿原丸」という名前であった。しかも軍艦ではなく、本来は豪華客船だったのである。
1940年に予定されていた東京五輪を見越して作られており、順調に行けば日本最大の豪華客船となって横浜~サンフランシスコの航路を優雅にクルーズすることになっていたが、戦争が近づくにつれ、客船として完成することのないまま空母への改装がされることになった。*1
両空母は太平洋戦争開始時には既に戦力化されていた、本格的に第一線の戦場に出張るようになったのはミッドウェーで日本が敗れ、赤城加賀蒼龍飛龍を失ってから。
本来二線級の戦力とみられていた空母が第一線にて出ずっぱりになってしまったのである。
飛鷹型は防御力に難があったと言われたが*2、ダメコン能力がそれなりに高くもなっておりしぶとかった。

だが、南太平洋海戦では被弾・撤退を余儀なくされた翔鶴に代わって隼鷹が大暴れ。
ミッドウェーで赤城加賀飛龍蒼龍を叩いたホーネット&エンタープライズと交戦し、ホーネットを撃沈、エンタープライズをドック送りにし、一時米太平洋可動空母をゼロに追い込む。*3
この海戦、ミッドウェーの後で日本海軍が坂道を転がり落ちる中での勝利であり、隼鷹は間違いなく大奮戦と呼べるだけの大活躍をしたのだ。飛鷹は故障ででられなかったけどな!!
しかし、マリアナ沖で大鳳翔鶴が沈んだ翌日、飛鷹が直撃弾を受けた挙句消火ポンプが故障。長門が曳航を試みるも追撃を受けて遂にサンゴ礁の素材と化す。
この戦いでは隼鷹も大破、艦載機発着艦不能となってしまう。
おかげでエンガノ岬沖の囮には使われず輸送任務に従事。だが、ここで潜水艦から魚雷を食らってしまい、生還こそしたもののもはや機関がもたなかった。
ちなみに、隼鷹の後釜で輸送任務に就いた雲龍も、米潜の魚雷で沈没している。

隼鷹も修理が試みられたが、機関の全てを直すわけにも行かず、直ったところで隼鷹が出るだけの燃料も艦載機ももうない。
隼鷹はカモフラージュがうまくいっていたようで、他の生存艦のように空襲の被害を受けず、佐世保にて普通に浮いた状態で終戦を迎える。
生存艦としては最大級であり、しかも元客船なら復員輸送で大活躍…と言いたいところであったが、機関が動かない上に魚雷だの爆弾だのを食らいまくっていた船体はもう限界。
修理は諦められ、そのまま解体されることとなった。*4

1991年、日本最大の豪華客船、「飛鳥」が就航し、2006年まで多数の乗客を乗せて世界一周を含む優雅なクルーズを行っていた。*5
実はこの飛鳥、橿原丸級貨客船を意識して作られていた。また、飛鳥の船内には橿原丸の完成予想絵や模型が飾られていたという。
時代さえ許せば、橿原丸も出雲丸も飛鳥のように平和な海を優雅に航行していたのである。
もし豪華客船でクルーズする機会に恵まれたなら、橿原丸と出雲丸のことを思い出してほしいものである。


ゲーム中において

絵師はくーろくろ、声優は大坪由佳

軽空母としては比較的レア度が高いが、オリョクルしてれば普通に出る程度なので、焦って探し回ったり建造で狙ったりしなくともいずれ出会えるだろう。
それだけに、大鳳Saratogaを狙った大型艦建造で出たときのガッカリ感はパないが。

スタイルは龍驤雲龍型と同様の陰陽師スタイル。巻物状にした滑走路から紙の式神を飛行機にして飛ばす。
着ている格好もどことなく華やいだ印象を抱かせるのは、やはり元客船という立場からだろうか。

性能は軽空母としては最強の一角。
ちとちよ姉妹改二と同等かそれ以上の実力を持っていると言って差し支えない。
低速であることを考えると使い分けが必要ではある*6が、それはどんな艦でも同じこと。
軽空母の戦力で困ったときには飛鷹型、位の力は十分にある。
特に軽空母2か正規空母1で制空権をとる必要がある連合艦隊の水上打撃部隊では、軽空母扱いで二隻投入でき、制空力も正規空母並みの飛鷹型に出番が回ってくる可能性が非常に高い。
飛鷹型もちとちよ姉妹改二も育ってない提督はイベントの水上打撃部隊編成に備え、飛鷹型の早期の育成を推奨する。

ただし、燃費も軽空母としては悪い方。
正規空母よりはもちろん安いが、戦力方面をあまりあてにしない遠征要員とかルート固定要員にするだけなら、他の軽空母の方がおすすめではある。

改にすると両者ともスロットが18/18/18/12の66機。彗星や零戦52型を持ってくるので、艦載機が今ひとつ揃っていない提督にはこれもありがたいだろう。
雲龍型は改にして69機、グラーフ・ツェッペリンは56機である。搭載数に関して言えば、飛鷹型は正規空母にも引けを取らないのである。
ただし、搭載数の偏りが乏しいため、副砲や熟練艦載機整備員、彩雲といった補助的な装備を搭載するのには今一つ向かない。
上3つのスロットでも軽空母としては十分大きいので、コストと割り切って第4スロットに載せるという手もあるが、龍驤やちとちよ姉妹などに頼むなどの対策を考えた方が良いかも知れない。

2014年8月、夏イベント終了後、隼鷹にのみ改二が実装。
火力が増加し、正規空母の五航戦改を上回り、運も41に達する。空母の運とはいえこれだけ高ければ無視できないだろう。
スロットが24/18/20/4となったが、実は改と搭載数合計は変わらず、スロットが偏っただけ。
その分4機スロットに補助装備を載せやすくなった。
ただでも強力な軽空母の小スロットということで、副砲や熟練艦載機整備員、彩雲を載せるのに大分便利になる。
水上打撃部隊の場合、偵察機や弾・電探を載せたい巡洋艦や戦艦に代わって旗艦に抜擢し、艦隊司令部施設を載せる…というような選択肢も視野に入ってくる。
もっとも、計算式の関係上、制空力は改二になることで下がっているため、飛鷹改とは使い分けができるとも言える。
開発可能な艦戦では最強の烈風を持ってきてくれるので、制空権に難儀している提督にとってはありがたいだろう*7
そもそも隼鷹が改二になる頃には烈風が揃っている提督も多いかもしれないが

なお一方の飛鷹は2024年3月現在も改二未実装、日本の軽空母で改二が未実装なのは祥鳳と彼女だけという状態。
そして飛鷹に最後の追加グラ(2014年2月26日)が来てからすでに既に10年以上という非常に長い時が経過している。
ブーム最盛期当時小学校3年生だった子供がDMMに登録できる年齢になり、ブラウザ版の『艦これ』で遊べるようになるほどの年月である。
彼女らの新録は果たしていつになることだろうか…。


キャラクター概要

本来なら平和な海を優雅に航行するはずだった客船である。
悲劇性が強調されているというわけではないが、そういった背景があることを知ると、なかなか来るものがあるのがこの両者である。
一応ゲーム設定上1番艦と2番艦で姉妹ではあるが、姉妹というよりは友人に近い関係に見える。史実的にも位置づけが分かれていたりするので、その辺の設定を決めることにはあまり意味はないかもしれない。

出雲ま飛鷹

黒髪ロングでどことなくお嬢様な雰囲気を残す。
「出雲ま…」と客船時代の名前を言いかけて飛鷹と言い直すため、「出雲マン」「出雲ま」なるあだ名も。
もっとも、「戦いが嫌い」というわけではなく、むしろドック入りを嫌がったりミッドウェーの仇を取ると宣言するなど好戦的な性格が見える。
消火ポンプが動かず沈没した史実の関係か、消火ポンプを気にしていることが多い。
セリフは隼鷹ほどはっちゃけておらず、しかし上品そうな見た目の割りにフランクな雰囲気。母港ボイスで怒ったりもするが整備を気にしてのものであり、普段から戦闘に備えておく真面目さがうかがえる*8。カウンターバーではワインを飲んでいる様子。

改二こそないが改造することでグラフィックが変化し、改造前をさらに綺麗にしたような姿に。セリフも多少変化して改造前よりデレた雰囲気になる。
中破した時の姿もかなり素敵なことになっている。主に尻

時報が未だ実装されておらず、提督に対してなにか特別な感情を有している様子はない。
もちろんケッコンカッコカリは普通に受け入れてくれるが、ある意味普通すぎるとも言える。

実は、飛鷹のセリフで破壊力が高いのは放置ボイスやクリスマスボイス。
知らないとなんのこっちゃだが、飛鷹の「客船出身」という出自を知っているとかなり来るものがあり、涙腺をやられる提督も多数。
2020年、80年の時を経て、飛鷹、いや出雲丸が本当に活躍するはずだった東京五輪が再び行われる。そこで飛鷹は何を思うのか…なお実際には例のウイルスのせいで順延され、2021年となった。


ヒャッハー隼鷹

昆虫の触角のような髪型が特徴。
着任早々「ヒャッハー!!」と叫ぶ上に戦闘しててもヒャッハーと叫ぶため付いたあだ名と来たら「世紀末空母」。いや、確かに深海棲艦が跋扈してる海上は世紀末かもしれないけど…
とにかく酒を飲む。放置されると酒を飲もうとし始める。
最初こそ「素面だ」とウソかホントか分からない弁明をするが、改二になると提督が二人に見えるレベルで酒を飲みだす。カウンターバーでは朝までいろんな酒をちゃんぽんなので酒は何でもよい様子。
酒の話題の出る艦娘は他にもいる*9が、自分で飲んで四六時中酔っ払っているのは隼鷹だけであった*10
新艦娘が来ると歓迎会を提案するが、目的は歓迎会のお酒であると皆が思っている。
Pixivでは隼鷹にお酒を紹介させる企画までされる。酒を取ったら隼鷹は多分3分の1残るか残らないかじゃないかというくらい酒酒酒。
しかし、2016年春に実装されたアル重Polaはその隼鷹を明らかに超えてる四六時中どころか戦闘中も中破すると酒を飲む酔いどれキャラだったため、
「出撃中は酒を飲まずにちゃんと仕事してるし、酔って他の艦娘に迷惑かける描写もない隼鷹はあれはあれで真面目だった」と評価を改める提督が続出した。

未だ時報がないのが残念だが、とにかく出てくる話題が他に並ぶ者がないレベルで酒ばかりなので、完全に飲兵衛キャラが定着している。
時報が実装されたらどんだけ飲んでいるのか見当もつかない。どうか抑え側に回るであろう提督のためにもPolaよりマシであってほしい
提督に対しても好意的というより完全に酒飲み仲間扱いである。

とはいえ、母港でも敵の気配を感じて警戒したりする。酒に酔った上での気のせいというオチはないと思いたい
酒を飲むだけでやるときはやるのである。
中破した際は「うわ〜ん!こんな格好は嫌だ〜〜!」と叫ぶあたり、(色々ズボラに見えるが)彼女もまた女性らしい一面を確かに持っている。中破したら自分から脱ぎだすPolaェ…

中破絵が非常に際どい。改までは他と比べればそこまででもないが、改二は凄まじい。なんだ「禁」って。



二次創作での扱い

隼鷹の場合は余りにもわかりやすい「飲兵衛」という特徴があるため、二次創作でも引っ張りだこ。
基本的にはお酒重視。酒の話題は8割方隼鷹が絡む。
公式4コマでも千歳とセットで酒の話題に四六時中登場する。
酔ったテンションで失敗をやらかしたり、場を引っ掻き回すこともしばしばだが、酒の失敗も大概は鎮守府の中での話であり、任務や出撃の最中に酒飲んで失敗やらかしました、というのは流石に見かけない(気がする)。
やはりそのあたりの弁えはちゃんと出来ているのだろう。失敗をやらかしそうな時に連れてってもらえないからとかではない…よな?

他方、年長者という感があるせいか、意外と思慮深く、飛鷹含む他の艦をフォローしたり、面倒見や洞察力の点ではなかなか頼りになる一面をのぞかせることもある。

飛鷹の方は、流石に重たすぎる史実を二次創作で出すのははばかられるせいか、隼鷹にくっつく形が多く、出番も控えめという印象である。
早く改二や時報の実装が望まれるところである。

余談

ヴァイスシュヴァルツでは、隼鷹のカード「 飛鷹型軽空母2番艦隼鷹 」が環境を圧巻した壊れカードとして非常に猛威を奮い、艦これのWS参戦から僅か1年足らずにしてすぐ禁止カードに指定されてしまっている。
アンタッチャブル (効果で選べないので普通の除去では対応できず異常に場持ちが良い)、自身以外の 味方全体の戦闘ダメージ増加 (使い切りですら貴重なのに驚異の常時強化)とヴァイスシュヴァルツのルールにおいてこれらを併せ持つ彼女は最早壊れでしかなかったのである。誰が見てもわかる壊れを何故刷ったんだ

登場後早速活躍するも早速相性の良いカードいくつかとの選抜制限(同じデッキに入れられない)を受ける。が、制限後も艦これカードプールの増加に伴い単独で活躍し続けた結果禁止と相成った。入賞デッキの隼鷹採用率は10割だったなんて話も。
この為、隼鷹のヴァイスシュヴァルツでの活躍期間は、歴戦の武勲艦であった史実の空母と違い非常に短かった。

その禁止指定速度たるや、驚異の269日。単純なエキスパンションの発売から禁止指定までの日数だけならチート時代のダーク・ダイブ・ボンバー遊戯王)や、サファイア地獄のボルメテウス・サファイア・ドラゴンデュエル・マスターズ)よりも短かったほどである*11。なんだそりゃ。
TCG間での規制スパンの差を考えても「世に出して1年足らずで規制」が短い事に変わりはないので、このような事態は乱発して欲しくない物である。
しかも後々エラッタやインフレによって対抗馬が増えた結果制限/殿堂解除され無制限に使用可能となった前述の2枚と違い、隼鷹は禁止こそ解除されたが未だに制限カード。不名誉な事なのか名誉なことなのか…。
ちなみに日本版の翌年に発売された英語版では禁止カードを存在を消され、代わりに「隼鷹改」の別カードが収録されている。

良項目、諦めたわけじゃないの。追記・修正してもらえれば、いつか、きっと…

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最終更新:2024年03月10日 14:22

*1 もっとも、戦時には改装することを前提に補助金を出され、改装があり得ることを踏まえて建造された客船であり、建造時に全く想定してないような改装をされた代物ではない。また、客船だったおかげで燃費は悪くなかった。

*2 なにせ内火艇と隼鷹がゴッチンコした際に隼鷹の方が凹んだという逸話が…

*3 エンタープライズは太平洋戦争でアメリカが劣勢だったころから闘い続け、度々損害を受けながら戦場に舞い戻り続けた名空母である。「太平洋戦争最高の武勲艦はどれか」と問われたら大本命に挙げられること請け合いである。

*4 ちなみに客船に戻れたとしても、もう客船としては陳腐化していたという。戦時における徴用民間船は悲劇という言葉も生ぬるい末路をたどった船が多い。隼鷹はもちろん、飛鷹も乗員は大多数助かっている分まだましに思えるほどで、海運業界と日本政府の関係に今日までヒビが入る原因になったとも…

*5 現在は海外に売却され、客船「アマデア」として活躍中である。また、日本最大の客船は、「飛鳥Ⅱ」が引き継いでいる。

*6 例えば5-4の戦果稼ぎを考えると低速艦を一隻でも入れると渦潮に入れられてしまうので向かない。

*7 ただし最近の烈風は艦載機熟練度の実装で制空値に余裕が生まれていること、紫電改二に回避値3のアッパー調整が行われたので、ベテラン提督からはかなり残念な扱いを受けがちである…が、基地航空隊においては紫電改二よりも烈風の方が2も高いためそちらでの運用だと烈風の方が優秀

*8 可燃物の撤去など、史実でもダメコンには相当気遣っていたようである。

*9 提督に勧めてくる千歳、MVPを取ると「今夜ばかりは飲ませてもらおう」と言う那智、ワインを勧めてくるItalia(Littorio)などが代表例。

*10 史実において、艦長がとんでもない酒飲み&アットホームだったことが理由だという説がある。

*11 DDB:290日、BSD:338日に対し、隼鷹は269日。当時の他TCGの壊れと肩を並べる異常な禁止指定速度なのである。後に遊戯王には169日で禁止された征竜や、さらに短い167日で禁止されたEmヒグルミが、デュエマにも194日で禁止されたヨミジ 丁-二式が後に誕生している