ナック(アニメ会社)

登録日:2015/12/20 Sun 17:37:04
更新日:2024/03/31 Sun 15:37:24
所要時間:約 6 分で読めます




ナック(KnacK)とは、日本に存在していたアニメスタジオである。


概要

設立されたのは1967年。社長は西野聖市→吉野晴亮(2017年就任)。あら西野君まだ早いですよ?
2008年には「株式会社ICHI」に社名変更しており、事業は実写映画にシフトしているという。
……しかし、後述する「チャージマン研!」にまつわる一連の体たらくにより、
現在は版権を売り出したグッズ展開には積極的だがICHI自身は仕事らしい仕事は全くしていないというのがナックファンの見解である。


東京都練馬区に自社ビルがあったが、ICHIに会社名を変更後、2017年に静岡県伊東市に移転している。


アニメ制作に参入したのは1970年の「いじわるばあさん」。
その後も1996年の「ルナティックナイト」まで活動を続けていたが、アニメ会社としての知名度はマイナーな部類であった。(今も?気にするな!)
しかし、後年ネットを中心に「チャージマン研!」がブレイクした事によって、クソアニメ会社として有名になった。

(少なくとも現在の)企業態度はいい加減で、チャー研の全話収録DVDBOXは話数の順番がバラバラだったほか、
にわかに起きたブームに便乗して立ち上げられた「チャージマン研!」公式ホームページとツイッターも、
まず公式ツイッターが数回ほどグッズ関連の告知をした後、僅か3ヶ月余りで更新停止(ちなみに、最後のつぶやきは「中の人の疲労がちょっとマズイ事になってるんDA!(原文ママ)」であった)。
その後、ホームページの方はいつまでたっても「チャー研を見る」というページだけ公開されない状態でしばらく存続していたが、
2014年3月にいきなりサイトがリンク切れになり、しばらく経って復活したかと思いきやドメインを買収されアダルトサイトになるというあんまりな結末を迎える。
しかも、社員の証言によればチャー研"公式"サイトの設立にICHIの社員は一切関与していなかった上、
前述の"公式"Twitterアカウントもサイト設立したスタッフが勝手に作った代物だったらしい。
公式とはいったい……なお現在は有志制作のミラーサイトが現存している。
2017年には突如として本物のICHI公式アカウントが取得されるもののなぜかアカウント名に(チャー研の会社)と併記するわ、
元社長・西野氏の名前を呼び捨てにするわと"チャー研公式"もびっくりのフランクっぷりで、
問い合わせに社員が回答するまで誰一人として本物の公式アカウントだと信じなかったという。
同2017年、公式Twitterに続いて公式youtubeチャンネルを開設。
2020年に行われた「チャー研アーカイブ化クラウドファンディング」*1では、目標額の600万円を大幅に越える約880万円が集まり、綺麗な映像でチャー研を見れることとなった。ちゃんと陰毛は残っているのでご安心を
これによって上記の公式youtubeチャンネルでの配信、Blu-ray版の発売といった事象に繋がっている。


(旧)ICHI公式ページの方も、アフィ広告貼りまくりな上YouTubeに違法アップロードされていた自社作品の動画を「プロモーション動画」と称してホームページ上で普通に紹介し、
しかもそれらが後日つべの運営に削除されるというムチャクチャな事態が発生していた。っていうか、版権はいったいどこにあるんだ。

しかしチャー研公式サイトが消えた一方で、チャー研DVD-BOX及びサントラを発売したりカラオケでの楽曲配信をしたり、
公式YouTubeチャンネルでの全話配信企画や漫画版の単行本刊行、LINEスタンプの販売に踏み切ったり、
40周年を記念してコラボカフェ企画を2年遅れで開催したりオーケストラを招いてサウンドトラックのコンサートを行う等、看板作品としての自覚は一応あるようで現在でも細々とした活動は行われている。
他の作品にもスポットが当たるのか、今後の動向にも期待しよう。

また、子供向けアニメのイメージが強い会社であるが、他にはあの「グラップラー刃牙」のOVAや、
「オカマ白書」といったニッチなアダルト向けアニメも制作していたりする。

作風

タツノコプロのアニメを見よう見まねでなぞったかのような暴力描写と残念な作画による自重しないお色気描写、
確かなセンスを感じさせるクオリティの高い主題歌に定評がある。
肝心の作画技術の方は割と残念な部類に入り、同じく作画の悪さに定評がある国際映画社とセットで語られることも多い。
とりわけ酷い物は「ナッククオリティ」と呼ばれてネタにされている。「KnacK(技巧)」という社名なのにknackが無いとはこれ如何に
ただ、最も会社の資金繰りが厳しかった時期の作品であるチャー研の印象が強すぎる為にこんな評判が定着してしまった感があり、平均以上の完成度を誇る作品もきちんとある。
そんなチャー研こと「チャージマン研!」のナッククオリティがどれだけ酷かったのかというと……

  • かなり高頻度で画面端にゴミが映る(通称「陰毛」)
  • 変身バンクはいいとして戦闘シーンもほぼ毎回同じ絵の使い回し(特にジュラル星人)
  • SEは鳴らない事の方が多い(特に初期の回)
  • 登場人物の言動が敵味方問わず非常識
  • 少ないコマをループさせることが多く、モブが2種類しかいない事などザラ
  • 尺が少ない(5分程度)のに、無駄なシーンを挟んで尺稼ぎを図る
  • にもかかわらず、最後はほぼ例外なく十秒ほど尺が余る
  • 唐突にスタッフの手が映る

と、非常に突っ込みどころ溢れる構成になっている。

こうなってしまったのは、とあるパイロット版アニメの売り込みに失敗し、作品に掛けた予算を無駄にしてしまった為にその後の資金繰りが厳しくなってしまった、
という事情があったためであるという。
その環境の悪さは「チャージマン研!」の制作当時、スタッフが逃げ出し海に遊びに行ってしまったという逸話がある程である。

しかし「アストロガンガー」のある回でのガンガーが走るシーンは、放送当時を考えると安定した作画であり得ないほど ヌルヌル 動いており、「ナックの本気」と言われている。


主な作品

説明不要。詳しくは個別項目で。

ナックが誇るパイロット版アニメ御三家。パイロット版なので全て本放送はされていない。「のら犬ペスの冒険」? 知らんな
チャー研と同じDVDに収録されているため、チャー研シリーズとして扱われることが多い。
特に「スーパータロム」は、その後のナックの(というかチャー研の?)運命を決定づけた作品でもある。
現在配信されている公式LINEスタンプ(ボイス付き)には、「アキラ」と「タロム」のスタンプが含まれていたため、
この2作品はチャー研シリーズとして公式にも認められたという事になる。ノンクロは怒っていい。
タロムはチャー研よりすこし前、アキラはほぼ同時期、ノンクロは後の80年代に制作されたという説が有力。


かの「マジンガーZ」の2ヶ月前に放映された 日本初のカラー放送のロボットアニメ
生きている金属から生まれたロボット「ガンガー」と少年「星カンタロー」は融合し、侵略者ブラスター星人と戦う。
その放送時期と当時としては異例かつ先見性のある設定から、コアなロボットマニアの間では時々話題になる作品である。
また、YouTubeでチャー研が配信された時、投票で他のナックアニメも配信という企画が行われたが、結果は本作が1位を獲得し全話配信が決まった。
ちなみにとある回では「ボルガ式解決法」をやってのけている。チャー研ファンは是非見て欲しい。
二次創作のMADムービーでは前述の「走るガンガー」ネタが有名であり、公式でも本家の映像を使い、配信宣伝用の「走るガンガー」のショート動画をアップしている。

  • グロイザーX
これまたロボットアニメ。原作は永井豪が率いるダイナミックプロのコミック作品を多く手掛けてきた桜多吾作氏。
主人公機は「空爆ロボ」であり、爆撃機形態ばかりでロボットになかなか変形しなかったり、泉研よろしくチート級の性能だったりとネタ要素が多いが、本筋は割とシリアスであり、作画こそ壊滅的であるが見るべき点は多く、全体的な評価はむしろ高い方。
ちなみに主人公の海阪 譲は古谷徹が演じており、古谷氏自ら「スーパーロボット大戦シリーズ」への参戦を熱望していたのだが、後の「真マジンガー 衝撃! Z編」に本機をモチーフとした敵ロボットが出ており、その敵は後年スパロボにも出た。こんな形で初参戦することになろうとは…。
キチガイレコードのアレ」など、一部チャー研と同じBGMが使われている。

またまたロボットアニメ。
80年代の作品であるため、上記ふたつに比べると少し垢抜けた作風になり、特に主題歌は神曲として永らく語り継がれていた(その割には2009年になるまでCD化されなかったりと不遇だったが)。
が、新時代を見据えつつあった永井豪&ダイナミックプロに「主役ロボットはマジンガーみたいなやつにして」という安易な依頼をしたことから
パチモンみたいなロボットが出来上がってしまい、低予算による技術力の低さも相まって同時代の他のロボットアニメに比べると前時代的な印象は拭えない。
しかし、シナリオなど見るべき点も無いわけではなく、監督が同じということもあって「ダンクーガのプロトタイプ」と見る向きもあるとか。

  • アタッカーYOU!
80年代に製作された少女向けバレーボールアニメ。実話を基にしたという触れ込みで、漫画・アニメが並行してメディアミックス展開されていた。
あまりにもお転婆すぎる主人公と、ナック製アニメの中でも一際自重していないお色気が特徴だが、やっぱり作画は悪い。
しかし、実はイタリアで大人気だったことがあり、イタリアでプロバレーボールチームが誕生するきっかけとしてこのアニメの存在が挙げられるなど少なくない貢献を果たしている。
が、せっかくの功績も日本のメディアからは「アタックNo.1のおかげ」と認識されていたり、主題歌は割と名曲なのにやはり2008年になるまでCD化されなかったりとこちらも結構な不遇。
しかしイタリア、グレンダイザーといいジーグといい、マイナーアニメ好きすぎでは……

  • まんが水戸黄門
文字通り国民的ドラマ「水戸黄門」の漫画…じゃなくてアニメ化。まさかのまさかである。某番組で紹介されるまでは水戸黄門ファンの間でも知られてなかったとか。
アニメ化にあたって色々とアレンジが加えられているが、
  • 助さんはチャンバラの達人であり、「葵三つ葉返し」とか「流星十文字斬」とかいった技を使う
  • 格さんが黄門様から受け取った「力襷」なるものを腕に巻くと怪力を発揮する
  • 原作に居ない少年をレギュラーに据える
  • 途中から妖怪などとの戦いがメインになってくる
  • お供のインパクトに押されて黄門様はもちろん空気
……と、独創的な作品に仕上がった。
おまけに、オープニングは原作の荘厳さを欠片も感じさせないロックナンバー「ザ・チャンバラ」。曲自体の評価は高い。
が、エンディングの方がさらにミスマッチな曲だったりする。しかも映像の方は設定資料などを写しただけという手抜きっぷり。
ただ、本作はなんと視聴率10%以上を叩き出しており(TVアニメなら6%もあったらヒットの類)放映時期がSFアニメ全盛でも十分成果を残していた事も評価すべきところである。

  • 星の王子さま プチ☆プランス
同名の文学作品のアニメ化。「ナックの本気」と言われる程の完成度を誇る傑作。
演出、声優、音楽のいずれも豪華であり、「文化庁こども向けテレビ用優秀賞」なるものを受賞した実績があるほどの作品だが、
ナッククオリティによるフィルム管理がアダとなって原版が紛失し、一時期は幻の作品と化していた(再放送時のエンディングは全て特定話の使いまわし、次回予告も一切なし)。
が、現在は捜索により行方不明になっていた原版が無事に発見され、きちんと各話ED・次回予告を収録したDVDが発売されているほか、
アストロガンガーに続いてYoutubeでも配信されている。

1994年製作、同名漫画のOVA化作品。何気に刃牙初のアニメでもある。
刃牙役に山口勝平、独歩役に飯塚昭三などの豪華声優陣に加え、原作者の板垣恵介や格闘家(当時)の佐竹雅昭などゲスト声優の顔ぶれも充実。
作画も当時の絵柄を忠実に再現しており、目立った作画崩壊も無く安定した出来と言える。逆に言えばネタ要素は少なく、刃牙としてもナック作品としても地味。
内容は神心会空手トーナメントでの末堂戦、地下闘技場での鎬昂昇戦の抜粋で、短縮こそされたものの皆大好き炭酸抜きコーラもちょっとだけ登場する。
MAD動画などで、ご機嫌でコーラを振る古い絵柄の刃牙が出てきたら多分この作品が出展。

ちなみに公式Twitterによれば、本作の作画が丁寧なクオリティだったのは原画製作を担当したスタジオコックピットがたまたま暇な時期だったためらしい。

ただ単に狂気っぷりがチャー研と似ているだけで、上記の作品はおろかナックとすら無関係
……と思われていたが、実は同作の制作会社はナックの社員が独立して設立したものだったりする。



他の作品はWikipediaやチャージマン研!@wikiなども参照のこと。




海に泳ぎに行ってしまったスタッフの代わりに追記・修正お願いします。

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最終更新:2024年03月31日 15:37

*1 「チャー研」の原版フィルムが著しく劣化しており、それらをデジタルリマスターしてアーカイブ化するプロジェクト。