シャルル=アンリ・サンソン(Fate)

登録日:2015/12/19 Sat 13:16:34
更新日:2024/03/18 Mon 16:18:37
所要時間:約 13 分で読めます





「罪人の命と罪を分かつ。それが自分の役割なのだと誓い続けてきた人生ですが。
怖いですね、貴方の目は僕の迷いをあぶり出すようだ」



Fateシリーズに登場するサーヴァントの一騎。
クラスはアサシン

◆プロフィール
身長/体重:178cm/68kg
出展:史実
地域:フランス
属性:秩序・悪
性別:男性


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
D D C D A B


◆スキル

クラス別スキル
気配遮断:D
サーヴァントとしての気配を断つ。
アサシンであるが、サンソンに暗殺行為は不可能に近い。

固有スキル
処刑人:A++
悪を以て悪を断つ、究極の裁断行為。
属性、悪に対するダメージが向上する。
また、そのサーヴァントの行為が悪と見なされた場合も対象となる。

医術:A→A+
迷信が蔓延っていた当時の医療技術より数段優れた近代的医術。
なお、このスキルは現代の基準で比較するのではなく、サーヴァントの生きた時代の基準で判定するものとする。

人体研究:B
処刑技術、そして医術の「裏側」に位置する概念。
人体のどこを傷つければ死なずに済むのか、後遺症が残らないか、などの研究を怠らなかった。翻って言えば、戦う際にはどこを傷つければいいのかが理解できるということ。


宝具
『死は明日への希望なり』(ラモール・エスポワール)
ランク:A 種別:対人宝具


刑を執行する。

この痛みが、最期の救いになるはずだ――

悪を裁くは人の心。悍ましき武器を使おうとも、それは変わらない!

死は明日への希望なり(ラモール・エスポワール)』!!


真の処刑道具、ギロチンの具現化。
死ぬ確率は呪いへの抵抗力や幸運ではなく、運命の打破を強い精神で成し得るかどうかで判定される。
いわゆる「精神干渉」系の宝具であり、戦死ではなく「処刑された」という逸話がある英雄には不利な判定が付く。


フランスにおいて200年間もの間、「死刑執行人(ムッシュー・ド・パリ)」を輩出してきたサンソン家の四代目当主。
『暗殺者(アサシン)』のクラスで召喚されているが、生前の本職は処刑人である。『殺しが本職』という意味では違いないが。

彼の生きた時代は激動のフランス革命の真っ只中であり、歴史に名を残す著名人から名もなき民草まで、あらゆる人々を分け隔てなく処刑した。
その中でもルイ16世の王妃マリー・アントワネットには並みならぬ思い入れがある。


副業として医者も営んでおり、その技術もまた貧しい人々に施すなど根は善人であり、処刑についても本心では不本意であり可能な限り苦しまないように務めている。

サーヴァントになっても本質は変わっておらず、平和や平穏を愛する人格者。嫌いなものは冤罪。
処刑人としての腕を買われての召喚に思うところはあるものの、マスターが正義の側に立つ限り、処刑の刃を振るうことに否はない。


◆史上第二位の殺戮者

アンリはボワ・ド・ジュスティス、現在ギロチンと呼ばれる処刑器具の発明・実用化にも関わり、のべ2700人以上の人々を自らの手で処刑したと記録される。
その数はかのドイツ最後の死刑執行人ヨハン・ライヒハートに次ぐ史上第二位。

しかし処刑という『忌まわしき仕事』を引き受けていたため、サンソン家の暮らしは貴族と同等といえるほどに裕福でありながらも多くの人間から蔑みの対象とされていた。
彼の一族は学校に通えず*1、家庭教師をしてくれる者も滅多にいない。正規の医者にかかることもできない。
おまけに少しでも立ち振舞いや素行に粗があれば、即座に(そして過剰に)非難され、場合によっては訴訟沙汰にまで発展する有り様だった。

もちろんこれはサンソン家に限ったことではなく当時の死刑執行人には共通の話だが、そんな中でもごく少数ながら存在した理解ある人々に支えられながら連綿と職務を全うしてきた苦労人たち…それが死刑執行人の現実である。*2

四代目の当主となったアンリはそうした環境により、自らの職務を「処刑人」と呼ぶことを嫌い、平等論者としてあらゆる人物に対して偏見を持つことなく接したとされている。
当然処刑の腕前も一流で、特に斬首刑においては「剣を振り抜いて数秒後に首が落ちる」という職人技を見せたといわれるほど。まあ若い頃は盛大にやらかしたこともあったが

加えて死刑制度に対しては生涯一貫して否定的なスタンスを取ったが、おりしも時はフランス革命期。彼の願いが届くことはなかった。

また、処刑人として死体の扱いや体罰および拷問にも精通し、医学や人体工学にも当時としては最先端の知識を有していた。
当時のヨーロッパで主流だった"まじない"じみた医術ではない、処刑人たちが代々受け継ぐ現実に則った医学体系を独自に発展させ、
他の医者が匙を投げるような患者をも多数治療し、サンソン家の子孫は彼の残した技術を以て医療に従事している*3

その医術を彼は貴族、民衆の別なく施し、その結果貴族並みの生活が送れるほど裕福であった。*4

それ以外にも人体を徹底的に研究し、刑罰を施しても死なず、後遺症が残らないようにする方法を追究し、自ら刑を執行した受刑者の治療も積極的に行ったため、
彼が担当した(死刑以外の)受刑者の死亡率は極めて低かった。
ちなみにこの姿勢はアンリだけでなくサンソン家の執行人共通のものであり、
サンソン家が担当した受刑者(死刑以外の刑罰を受けた者)は、多くが執行後も深い後遺症もなく生きることができたという。

人を愛し、苦しませないということに腐心した彼だが、
皮肉にも『痛みを感じさせる間もなく、素早く処刑する』というギロチンの登場によって旧来の方法では不可能な数の人々を殺めてしまい、
「死刑廃止だけが自分が解放される唯一の方法」と嘆いていたという。
ルイ15世の公妾であったデュ・バリー夫人の死刑を執行する際には、知己の間柄であった彼女からの涙ながらの助命嘆願に耐え切れず、息子に執行を任せたとされる。

なおルイ16世一家を処刑したのもアンリだが、彼は王党派であり王家を敬愛していた。*5
自身が処刑することになったことを悔い、革命当時は重罪(発覚すれば死刑も有り得た)であるミサを隠れて捧げたこともあった。


処刑直前、彼の足を踏んだマリーにかけられた言葉をどう感じたか、本人のみが知るところであろう。


ちなみにナポレオンとも面識があり、会った際にはナポレオンのほうが緊張した様子を見せていたらしい。




FGOにて初登場。CVは宮野真守
イラストはしまどりる。

第一章 邪竜百年戦争でジャンヌ・オルタに召喚されたサーヴァント。バーサーカー属性を付与されたバーサーク・アサシン。
嘗て敬愛し、しかし自ら処刑することになったマリー・アントワネットに対しヤンデレ入ったストーカーと化す。

「どうか聞かせてくれマリー。僕の断頭はどうだった? 君、最期に絶頂を迎えてくれたかい?」

こ れ は ひ ど い

だがこれはあくまでも狂化を付与されたことによる暴走みたいなもので、
プレイヤーが入手した場合は普段の落ち着いた面を見せてくれる。
ただしマリーを召喚していると

「マリー……マリー! マリー! マリア!
やはり君と僕は、宿業で結ばれているようだ……! それが僕には、堪らなく嬉しい……!」

こ れ は ひ ど い (二度目)
狂化されていないはずの状態でこのテンション。おい待て。

挙げ句の果てに公式最大手というか原作者が日記で


マリー「ねえ二人とも、聞いてくださる? ちょっと目を離した隙に、わたしのヒールが無くなってしまったのだけど……」
サンソン「なんだって!? それはいつの事なんだいマリー!?」
マリー「三十分ぐらい前……と思うの。ジャリジャリすると思ったら、いつのまにか素足になっていて……」
アマデウス「はあ? 歩いている時にスラれたのかい? マリア、ちょっと抜けすぎじゃないか?」
マリー「そういわれると恥ずかしいわ……。でも、あまりにも天気が良かったから。つい、足取りが軽くなってしまったのね」
サンソン「うん、マリーなら仕方がない。……それにしてもなんて素晴らしいスリなんだろうね……まるで斬撃を相手に気づかせない凄腕の剣士か、あるいは卓絶した技術を持つ医師のような腕前じゃないか……」
アマデウス「じっーーーーー」
マリー「はっ!? こわ、アマデウスこわっ!」
サンソンM「(アレはアマデウスの超推理モード……! アマデウスは推理をする時に霊基再臨その3になる事で、こわ、アマ3こわ! と言われるほどのトランス状態になるんだ!)」
アマデウス「じっーーーーー」(じっとサンソンを見抜く)
サンソン「はじまるぞ、アマデウスの名推理が……! 一体どうなってしまうんだーーーー!」
アマデウス「じーーーーーっ」(さらにサンソンを見抜く)

カメラ、サンソンの足下にズーム。マリーのガラスのヒールを履いている。
画面暗転の後、処刑台に連れられていくサンソン。


サンソン「確かにボクはマリーに関してのみ変態さ……
でもこれだけは覚えていてほしい。ボクもマリーの魅力に踊らされた、
被害者だという事を……」CV:宮野
(以上、竹箒日記から引用)


このせいでファンの愛称はクマ吉くん
上述のように史実では職業や時代に似合わない超絶マトモな人だったというのにこの扱われよう。
一体彼が何をしたというのだ……
フェルセン伯爵*6と魂混ざってないか?

同じくマリーを愛するアマデウスとは犬猿の仲だが互いにリスペクトできるところはあり、同族嫌悪に近い。
アマデウス仮面の正体には気付いていない。そのため好意的に接して向こうを複雑な気分にさせている。

このように、完全にネタキャラ扱いのサンソンだが、1.5部『異端なるセイレム』では本来の彼の真面目で落ち着いた一面などを見せてくれる。



レアリティは☆2(アンコモン)。フレンド召喚でのみ引けるが出ないときはまったく出ない。
カード構成はアサシンの典型のB1A1Q3。

低レア、ということもあるがそれ以前に火力がとにかく低い。一応火力を支える特攻スキルを2つ持つが、割と効果範囲が広く便利な『処刑人』はともかく、『人体研究』は「人間」特攻なので主な強敵であるサーヴァントには残念ながら効果がない。おまけに晩成型の成長をするため序盤は扱いにくく、育つ頃には別の強力なアサシンも出ているだろうという不遇枠。

その代わり使い勝手のいい『医術』スキルを持っているので補助としてはそれなりに役立つ。
最終再臨後の強化クエストをクリアすることで弱体解除効果が追加され、低レアリティでは貴重な弱体解除要員になった。

また、1.5部『アガルタの女』ではライダークラスかつ「人間」のエネミーである女海賊が登場する他、悪属性ライダーのサーヴァントと戦う機会もあり、特攻的にサンソンが輝ける数少ない舞台となっている。
ただ宝具主体で戦う場合、サンソンのカード構成的にNPが溜まりにくいためサポートは必須。

宝具『死は明日への希望なり』はB属性で低確率即死効果+防御ダウン効果が付いているので、不遇といえど決して使えないわけではない。
ようは使いどころの問題であろう。


なお、サンソンはマリーに、マリーはアマデウスに、アマデウスはサンソンに強いと因縁の三人は三すくみになっている。



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最終更新:2024年03月18日 16:18

*1 通ってはいけない訳ではなかったが、周囲の生徒やその親族が許さなかった

*2 日本の死刑執行人である山田浅右衛門も、処刑人という稼業が「穢れ」であるということから、先祖代々幕府に仕えているにもかかわらず、身分はあくまで「浪人」であり、正規の武士とは認められていなかった。

*3 ちなみに処刑人が医師を兼任することは珍しいことでなく、日本でも杉田玄白がターヘル・アナトミアの記述を確認するために立ち会った罪人の解剖も執刀したのは所謂『えた』『ひにん』といわれる階級である

*4 ただし「貴族並の生活」だったのは国家公務員として体面を保つために一定以上の生活水準を維持する必要に迫られてのものだった。多額の報酬を得ていたが収支は割とカツカツで、医業は市民から評判が良かったものの慈善活動も多かったので大儲けとはいかず、王政末期にもなると政府からの給与支払いが滞り資金繰りに難儀していたとのこと

*5 彼のもとには「処刑をやめろ」という脅迫や嘆願が届いており、彼自身も処刑当日には完全武装したうえで「もし暴動が起こったなら国王を守ろう」と決心して臨んだとされる。しかし国王を救出しようと蹶起した市民たちは即座に鎮圧されてしまい、願いは叶わなかった。

*6 スウェーデン貴族で、史実におけるマリー・アントワネットの愛人。アントワネットと交わした恋文が多数残っており、テュイルリー宮殿からルイ16世一家を救出しようとして「ヴァレンヌ逃亡事件」を起こしたり、アントワネットが処刑されてからは遺品の収集に励んだりしている。「ベルサイユのばら」のフェルゼンの元ネタでもある