上城睦月/仮面ライダーレンゲル

登録日:2015/12/16 Wed 09:08:30
更新日:2024/02/27 Tue 09:08:00
所要時間:約 20 分で読めます


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(0H0) 4号ライダー あかつき学院高校 ばた足キック むくむく変身 やればできる子 クモ クラブ クローバー スピニングダンス(自己申告) タランチュラ トランプ ハブられ ハブラレンゲル ヒーロー フロート ヘタレ ムッキー 上城睦月 不憫 不遇 仮面ライダー 仮面ライダーレンゲル 仮面ライダー剣 何故かなかなか立たなかった項目 北条隆博 厨二病患者 岡元次郎 平成ライダー 後輩ライダー 悪のライダー←本来であれは 悪人度0% 愛のある項目 成長系ヒーロー 最強(笑) 梁田清之 氷属性 結構暗い過去持ち 蜘蛛 覚醒 邪気眼 闇落ち←にならなかった 高校生 高校生ライダー 高校生戦士 オッペケテンムッキー!




光だったんです

オレの頭の中の片隅に残っているのは光なんです

その光の中の人たちの笑顔を守りたい

オレは光を守りたい


♣概要

上城睦月(かみじょう・むつき)は特撮ドラマ『仮面ライダー剣(ブレイド)』の登場人物。
同作品で不死生命体・アンデッドを封印する使命を持った戦士・『仮面ライダー』である4人の主要キャラクターのひとりであり、
クラブのスートを司る仮面ライダー、レンゲルに変身する。

演者は北条隆博氏。『剣』放送当時は設定・実年齢*1ともに『歴代最年少の仮面ライダー』*2*3であり、
高校が舞台となる仮面ライダーフォーゼの前に登場していたシリーズ史上初の『高校生ライダー』でもある。。

流動的なスケジュールゆえに後付けで新ライダーの登場が決定することも多い平成ライダーシリーズだが、
『剣』の仮面ライダーはモチーフのトランプが4つのスートで1セットということから
クラブの仮面ライダー=レンゲルという情報は最初期から明かされており、
演じるキャストも製作発表時に4人同時紹介されている。

その一方で前期OP映像ではレンゲル未登場の間は睦月が帽子を目深にかぶって顔を明かさないなど、
謎のライダーであるというアピールもあり、視聴者の注目を煽る展開となっていた。


名前は本作のライダー変身者全員に共通した『名字=トランプのスート』+『名前=エース="1"にまつわる言葉』という法則にしたがい、
・上"城"→しろ→シロツメクサ→クローバー→クラブ
・睦月=旧暦における"1"月の名称

…で『クラブのエース』を表している。


♣評価

前々作・『仮面ライダー龍騎』の頃から平成シリーズの特徴といえる要素にまで拡大した『仮面ライダー同士の争い』
…いわゆるライダーバトル要員として長期にわたり主人公・剣崎一真らと敵対する『悪の仮面ライダー』であり続けた。
しかし、根っからの極悪人であったり譲れない動機があるゆえに主人公の敵に廻るという過去の悪役・敵役ライダーと異なり、
睦月は『悪の力に魅入られてしまった意志の弱い少年』というキャラクター造形が強調されており、
本人の心ひとつで善にも悪にもなるという、一種両儀的(そして仮面ライダーという存在の本質に近い)な性質を持ったライダーである。

ゆえに睦月が中心となるシナリオでは彼の精神状態の変遷、己の内にある闇をいかにして克服するかに焦点が当たっており、
これは物語前半のライダーバトル要員であったギャレン=橘朔也の物語が『内に巣食う恐怖心の克服』をテーマにしていたことと重なる。
また、『剣』本編で登場する4人のライダーのうち、ブレイド/カリス組が人間とアンデッドという異種間の心の交流を通して
世界全体の運命に関わっていくという『外に向かう』物語を担っているのに対し、
ギャレン/レンゲル組は自身の心と向き合うという『内に向かう』物語を展開する…と主役エピソードの性質はきれいに分かれている。

しかし、現実にはストーリーがかなり進んでも持ち直したと思ったらまた闇堕ちして敵になるという煮え切らないスタンスや、
他のライダーのような判り易いパワーアップイベントが無いために『最強』という売り文句がいまひとつ実感できない微妙な戦歴、
3人の先輩ライダー(及びその演者)に見られたオンドゥル語のような強烈な個性*4描写が乏しい
…と当時はキャラ人気や評価で伸び悩んだ感もあり、定番の最強(笑)ネタや後述の\フロート/のように
地味で影が薄いことが逆にキャラ立ちを支えるといった側面もあった。

しかし、番組終盤~完結後に『剣』という作品そのものが再評価される機会を多く得たことに伴い、現在では熱心なファンが多くつくようになった。
4人で1セットのライダーという強みから後年のオールライダー関係の企画でも比較的コンスタントな登場を果たしており、
オリジナル強化形態がピンで立体化されるなど、評価については遅咲きの人気キャラクターと言える。


♣人物

17歳。あかつき学院高校に通う高校生。バスケットボールが好きで部活動もバスケットボール部所属で背番号は9番。
このほかにスーパーでレジ打ちのアルバイトをしている様子*5が描かれており、
のんびりしてるように見えて結構忙しい青春を謳歌している。

やや内向的で大人しい少年。部活で他のメンバーにスタンドプレイ*6を咎められた時やバイト先での客のクレームに対しても
真っ先に自分から頭を下げることで場を収めるなど、他者との摩擦やトラブルを好まない。
年の割に人間ができているとも見られるが、積極的な主張や覇気に欠けているとも取れる。

実際、熱しやすく冷めやすいところがあり、物事には形から入って一度は熱心になるも、
事が上手いように運ばないとすぐに諦めて投げやりな態度になってしまい、なあなあで流そうとする悪癖がある。
立派な目標を口にしながら訓練で根気の無さを露呈した時は、師である橘さんからも
「直ぐに諦めてしまう。その弱い精神がカテゴリーAに取り付かれるんだ!」と苦言を呈されている。
尤もシュルケストナー藻に浸からなきゃいけないほどヘタレていた人が言える言葉ではない。第一取り憑かれる原因自体ちゃんと封印出来なかった橘さんのせいである。(一応フォローすると橘さんは橘さんなりにカテゴリーAをちゃんと封印出来なかった責任を感じて睦月の師匠として頑張っていたかもしれないし、ヘタレていたという点も自身に似たものを感じていたのかもしれない。多分。)

そうした小さなことで一喜一憂し易い彼を支えてくれる『睦月の応援団長』が幼馴染にして同級生の山中望美。
彼女には物語全編を通して助けてもらうことになり、最終的には相思相愛の関係に。
いろいろと不遇な目を見ることも多かった睦月だが、異性運は良かったようである。

一見目立たない平凡な高校生に見える睦月だが、実は幼い頃に誘拐事件に遭いコインロッカーに閉じ込められたという過去を持ち、
その時味わった『暗闇の恐怖』と、そこから救い出された時に見えた『光への憧れ』のふたつの記憶は強烈なトラウマとなって今も焼き付いている。
現在もその影響で暗所/閉所恐怖症を患っており、ふとしたはずみでパニック状態に陥ってしまうこともあった。
そして、闇の記憶がもたらす『閉塞感から脱出して違う自分になりたい』という変身願望は
偶然アンデッドに襲われた窮地を救ってくれた青年=剣崎/ブレイドとの接触を経て
都市伝説に謳われる謎のヒーロー『仮面ライダー』への強い憧れへと転化。彼自身の運命も大きく変えていく原動力となっていくのだった。




♣最強!レンゲル変身!!

『剣』序盤を引っ張っていた要素に人類基盤史研究所『BOARD』の所長・烏丸の行方と
ラウズカードに封印することで装着者を仮面ライダーに変身させるパワーソースとなる『カテゴリーAのアンデッド』の存在がある。

烏丸所長はカードから解放されたアンデッドを再封印するための力として、機械的な装置を介して人体とアンデッドを擬似的に融合させ、その能力の一部を行使可能とする装備『ライダーシステム』を開発。
幸運にも未開放だったダイヤとスペードのカテゴリーAをベースに1号ライダー・ギャレン、2号ライダー・ブレイドが誕生した。

また、同じ頃ハートのカテゴリーAで変身する謎の仮面ライダー、カリスも出没するようになったが、
残るクラブのスートのカテゴリーAスパイダーアンデッドは野放しの状態であり、このアンデッドを封印した者こそ最後の仮面ライダーを誕生させるカギを手にすると目されていた。

カテゴリーAは例外的にJ・Q・Kの上級アンデッドにも匹敵する知性と強さを有する強敵。
その封印も一筋縄ではいかない難行であったが、『戦いへの恐怖心が破滅のビジョンを植え付けてしまう』という
ライダーシステムの弊害を受けて乱心したギャレン装着者・橘朔也が「力をくれてやる」という
上級アンデッド・伊坂の誘いを受けて悪の手先に堕ちたことから状況が動く。

橘さん(と純粋な使命感でA封印に臨む剣崎)の執拗な追撃を受け、14話にてついにカテゴリーAは封印された。
そして行方不明の所長は伊坂の手に落ちており、他の研究員諸共マインドコントロールされ、新たなライダーシステム開発を強いられていた。
烏丸と同じように洗脳した適合者を変身させることで、自身の意のままに制御できる手駒として新たなライダーを用意させることこそ、
伊坂=ピーコックアンデッドの目論見だったのである。

変身に適した『アンデッドとの融合係数が高い若者』を求め、拉致と調査を繰り返す伊坂。その被験者の中から選び出されたのが睦月であった。
一度は変身実験に失敗し、見込みなしとして記憶を消去されたうえで睦月は他の被験者達と共に放逐される。
しかし、実は睦月はカテゴリーAが封印前から直々に目を付けていた適合者で、カードに封印されたはずのカテゴリーAは彼を己のものとするべく、罠を張り始めるのだった…



「「…変身!!」」

「そんな…それじゃお前が…!お前が睦月って奴だったのか!?」
*7


「違う」

「オレの名はレンゲル…最強の仮面ライダー…!





♣【仮面ライダーレンゲル

スーツアクター:岡元次郎

身長:205cm
体重:111kg
パンチ力:300AP*8
キック力:490AP(4.9t)
ジャンプ力:ひと跳び30m
走力:100mを5秒

睦月がレンゲルバックルにクラブのカテゴリーAのカードを装填し変身する第4の仮面ライダー。
仮面ライダーカリスは始が自身の能力で他のアンデッドの姿を借りているだけなので、
実質上は1号機ギャレン・2号機ブレイドに続くBOARD製ライダーシステム3号機にあたる。

レンゲルはアルファベットでは"LEANGLE"と綴り、これはアボリジニ語で『杖』を意味する。
クラブのスートとクラブのカテゴリーAである『クモ』*9をモチーフとしており、
いの一番にぶち殺されるのが伝統の怪人モチーフであるクモが仮面ライダーのモチーフに選ばれるのは非常に稀なケース。
後に仮面ライダーキルバスが登場するまでは唯一のクモライダーだった。

設計及び開発を担当したのもギャレン・ブレイドと同様にBOARD所長の烏丸をはじめとする複数の元BOARD職員だが、
レンゲルはバトルファイトを勝ち抜くための手駒としてダイヤのカテゴリーJ、伊坂ことピーコックアンデッドが
未だクラブのスートのカテゴリーAを元にしたライダーシステムが存在しないことに着目し、
拉致した烏丸らに暗示をかけ、その精神を支配下に置いたうえで強制的に『造らせた』もの。
即ち、本来開発計画には無かったイレギュラーな仮面ライダーである。

また、この時水面下では橘さんの手による封印が不完全だったためにカードの中から外界に干渉する力を残していた*10
クラブのカテゴリーA、スパイダーアンデッドがバトルファイトを戦い抜くための新たな身体としてレンゲルを欲し、
烏丸に精神干渉を行っており、所長は二重の譫妄状態に陥っていたと考えられる。よくぞ御無事で…

このプランから推察するに、伊坂はバトルファイト早期の段階で今回のバトルファイトは『統制者』の力が及ばず、
ライダーでなくてはアンデッドを封印できない仕掛けがあることを見抜き、その上で自分の自由に動かせるライダー=自分の力の一部という解釈で勝ち残りを見出したのだろう。

強化服自体の名称は『レンゲルクロス』
アンダースーツにあたる『ミスリルローブ』の色はボトルグリーン金色の装甲赤紫色の複眼が特徴。
面相は比較的昭和ライダーに近いオーソドックスなものだが*11
仮面全体のシルエットは顔に脚を拡げたクモがはりついて多角形を構成するという独特なもの。
ローブ・装甲ともに新素材である超金属『スピリチアエメラルド』で製造されており、
旧型のブレイド/ギャレンアーマーを超える強度を誇る。BOARD製ライダー共通の機能である自己修復機能も有し、
戦闘で負った損傷は変身を解除している時に徐々に復元される。

また特筆すべき特徴として変身を境に起こる異様な体格の変化が挙げられ、
エレメント通過に伴い、手足や首・胴回りといった全身の筋肉がモリモリと膨張し、
華奢で少年らしい体格の睦月とはまるで別人のような分厚い体躯となる。

最新式なだけあり、性能・機能両面においてはギャレンやブレイドの純粋な上位互換ともいうべき高いスペックを持ち、
『最強の仮面ライダー』の看板には偽りはない。その一方で最初期からいるカリスに部分的には身体能力で劣るという点はよくツッコまれる。
しかし、剣におけるライダーの強さの真髄は結局『融合係数』なので(ライダーシリーズはだいたいそうだが)、
額面上のスペックにこだわる意味は薄いとも考えられる。
そもそもカリスは最強のアンデッド・ジョーカーの能力の一環でしかない。ライダーシステムでもないものと比較するのは筋違いだろう。


また、規格が似通ったギャレン・ブレイドと比べて設計を一新してしまったことが災いしてか、
前者2名に対応した後付けの拡張パーツ『ラウズアブソーバー』によるパワーアップはレンゲルには不可。
これは原作設定で後述のS.I.C.のような例外も存在するし、調整を施せばレンゲルでも使えるようになる可能性はある。


登場初期はカテゴリーAが睦月の精神と肉体を乗っ取って変身していた。
初登場シーンはのしのし歩いてくるレンゲルの頭上を暗雲が猛スピードで横切っていく謎の演出も相まってかなりの威圧感。

この状態は時々声が睦月のものから邪悪でドスの利いた低音(CV:梁田清之)に変化する。
また、睦月本来の意識は休眠状態となって一切の記憶は残らない。

ライダーシステムの性能はカードから引き出しているアンデッドの力と装着者の融合係数が高い程上昇するが、
この状態のレンゲルにおいてはカテゴリーAが仮面ライダーという新たな『鎧』を纏っているも同然なので融合係数もクソも無い。
劇中でレンゲルの装着者は睦月本人の状態変化を含めて複数存在するが、『本当に強いのは人の想い』だとか『仮面ライダーの資格』といった
観念論を無視して純粋にスペックの高さだけで強さを測るのなら、文句なしにこの状態が最強である。*12

種族の繁栄に懸ける本能のみで戦う姿勢から引き出される力は圧倒的で、初陣では早送りのような異常なスピードで接近しカリス・ブレイドをそれぞれ一撃でダウンさせた。
武器を用いた接近戦でもカリスを一方的に押しまくり、これまで格段の強さを誇っていた始が良いようにやられる姿は、剣崎にも大きな衝撃を与えた。

唯一の弱点として支配力が長時間持続しないことが挙げられ、睦月の自我が覚醒し始めると戦いの最中でも苦しみだし、戦線から離脱してしまうことがあった。
これを反省してか、以降カテゴリーAは自身が表面に出張るのではなく、睦月の中にある力への渇望を煽ることで
彼が自分の意志で積極的に戦いに臨むよう仕向けるというより狡猾なやり方を選択するようになった。

また、中盤でカテゴリーKことタランチュラアンデッドが敢えて自ら封印されたことで
カテゴリーAの支配力そのものは大きく抑制されることとなった。*13

桐生変身時には桐生の素質からか高い戦闘力とリモートで解放したアンデッドを統率しながら共同作戦を披露しており、戦い慣れした適合者がシステムを使いこなせば、かなりの実力を持つライダーシステムであろう。


ネット上ではファンから睦月ともども(0H0)の顔文字で表現されることが多い。カワイイ。



♣装備

♣レンゲルバックル

ライダーシステム『レンゲル』の核となる変身ツール。
バックル内部から引き出したトレイにクラブのカテゴリーAのラウズカード『チェンジスパイダー』を装填することで
バックルからカード状のベルトが射出展開し変身ベルトとして機能する。*14

サイズはギャレンバックル・ブレイバックルよりも一回り大きく、変身起動ギミックはカードを装填した部位が表裏回転する『TURN UP』形式から、
バックルに設けられた左右スライド式のシャッターを手動で開いて機能を発動する『OPEN UP』形式に変更されている。

変身時の最大の特徴は、ギャレン・ブレイドは放出した光のゲート『オリハルコンエレメント』に自ら突入しなければ変身できなかったが、
レンゲルの場合、展開した『スピリチアエレメント』が自動的に装着者の側に引き寄せられ、黙っていても変身が完了するという点。
また、蒼白い光を放つオリハルコンエレメントに対し、スピリチアエレメントは紫色に発光している。*15

カテゴリーAの執念が籠っているためか、カード共々捨てても捨てても見込まれた者の身辺にいつの間にやら戻ってくる恐ろしい性質がある。ただし撮影用プロップは戻ってこなかった。
外せない・捨てられない・(本当の意味で)強くなれない『呪われたベルト』…かもしれない。
TV版では最終盤のジョーカーとの戦闘で機能不全に陥ってしまったようで、最終回直前ジョーカーとの交戦時に
睦月は変身して戦えなかった。*16

変身ポーズは左右の腕を逆L字型に組んで左手で顔を覆うという邪気眼臭全開なもの。
『厨2なムッキー』を構成する大事な要素としてファンには大変人気である。*17

なお、劇中で睦月はベルトと一緒に寝て「助けてくれ…」と依存心を剥き出しにしているので
さもバックルに魔性が宿っているように見えるが、ベルトは単なる覚醒機で、本当にヤバイのはそこに入れるカードである。


♣醒杖レンゲルラウザー

レンゲル専用の武器兼ラウズカード覚醒機。その名の通り錫杖型をしている。
杖と言っても棍棒のような打撃武器ではなく、先端部にクローバーの三葉を思わせる環状の刃『クローバー・エッジ』を備えた
斬撃や刺突による攻撃を主体とするポールウェポンである(西遊記の沙悟浄が持ってる禅杖みたいな感じ)。
どっちかというと槍に近い。新世代ライダー・ランスの戦闘スタイルもレンゲル由来だろう。

初期AP*18は6000でBOARD製のライダーシステムの中では最高。*19最大コンボ数のリミットは3枚まで。
シャフト部は内部収納による伸縮機能があり、手槍程度のコンパクトな長さに留めてクローバー・エッジを一重に重ねたダガーモード
最大までシャフト部を伸長させたうえで、エッジを3枚に展開して扱うザッパーモードの2種類の形態がある。
劇中では専らザッパーモードがメインであり、ダガーモードはTV版では2回しか使っていない*20マイナーな機能。しかし、ちゃっかり小説版で拾われていたりする。

ギャレンやブレイドのように武器と一体化したオープントレイは存在せず、カードはベルト脇のケースから取り出して扱うカリスに近い形式。
石突きに当たる箇所がカードリーダーとなっており、取り出したラウズカードをスラッシュさせることでアンデッドの力を解放する。
S.I.C.オリジナルのジャックフォームでも引き続き武器として使用可能で、ジャックフォーム共通の強化ポイントとして
カードリーダー部の側面に鋭利な刃『ディアマンテエッジ』が付き、クローバーエッジと穂先のサイズが逆転・薙刀のようなフォルムとなる。
…ジャックフォームの拳がごつすぎて、斬りつけるよりぶん殴った方が強そうに見えるが。

なお、設定上は重量1.8㎏と意外に軽い。


♣グリンクローバー

ベース車:HONDA XR250*21

全長:2060mm
全幅:840mm
全高:1300mm
最高時速:320km
最大馬力:470馬力

レンゲル専用のスーパーバイク。伊坂がライダーシステムと同時に烏丸らの手で設計・開発させたもの。
クラブジェネレーターと呼ばれるブラックボックス化されたエンジンを搭載しており、
他のライダーのマシンと比べると最高速度では劣るが、馬力やジャンプ力は群を抜いている。

また、特殊素材・エンペラーレジンで成型されたボディは突撃能力に長けており、
タンクの両脇に計8門、後部に計4門のウェポンコンテナを搭載・生体ホーミングマイクロミサイルを発射可能と、
戦闘車両としての性格が強い設計であることが見て取れる。

レンゲルによる遠隔操作も可能でそのリンクには生体コンピュータ バイオブレインケースが機能し、自律走行する。
ブルースペイダーやレッドランバスの開発ノウハウが応用されていることから、
ライダーシステムの一環としてマシンのラウズ機能となるモビルラウザーを搭載している。

なお、これらの機能はほとんど劇中未使用。惜しい…ゲーム版ではカテゴリー6をラウズさせ、
吹雪を巻き起こして突貫するブリザードクローバーが使用可能。

レンゲルとお揃いのを基調としたカラーリングで、
市販車に擬態できるシャドーチェイサーやパッと見違和感が無い程度には無難なデザインのブルースペイダー/レッドランバスと比較すると、
丸いカウルにデカデカとクローバーを模したヘッドランプのついたデザインはかなり目立つ。


♣ラウズカード

アンデッドを封印したカード。レンゲルの場合はクラブのスートのラウズカードが中心となっているが、
実際は全ライダー間でスートに関係なく互換性が設けられており、基本的に入手したカードは全て使える。*22
『カード集め』というわかりやすい『強さの増加指標』に射幸心を煽られた睦月は終盤までカードの入手に拘り続けることになる。

参戦時期がやや遅れたこともあり、予め封印済みのカードが大目。
これらはおそらくBOARD壊滅前にせっせとギャレン・ブレイドのダブルライダーが封印したものを
伊坂が洗脳時の烏丸に命じて差し出させ、入手したのだと思われる。







♣必殺技

複数のラウズカードの効果を同時に発動するコンボ技。

♣3+4=スクリューラッシュ

AP消費値1400AP。レンゲルラウザーを高速回転させながら突進し繰り出す刺突技。


♣3+6=ブリザードゲイル

AP消費値1800AP。突き出した手から冷気を放出し、離れた相手を凍らせる。
ギャレンのファイアアッパーを見る限り普通この組み合わせなら吹雪を纏った高速回転パンチになるはずなのだが、劇中では吹雪を収束して射程を伸ばすのに利用された。
オーキッドアンデッド戦で使おうとしたが、橘の「カードは慎重に選べ」という言葉を聞いた隙を突かれて逃げられた*27
ジェリーフィッシュアンデッド戦でようやく使用。ちなみに上記の通りブリザード単体で既に封印が簡単に出来る為、スピニングダンスは明らかにオーバーキルである。



♣5+6=ブリザードクラッシュ

レンゲル初期のキメ技。AP消費値は2400AP。
ダイナミックな跳躍から冷気を浴びせかけ、氷漬けにした相手を両足で挟み砕く。固めて砕く!まさに王道。絵面は微妙だが。
しかし、タイガーアンデッドに仕掛けた時には閉じようとする両脚を掴まれて妨害され、仕損じている。
更には仮面ライダーブレイドやジョーカーに繰り出した際は氷漬けに至らず、行動の阻害に留まるなど相手の強さによって効果が増減する描写がる。


♣4+6+8=ブリザードベノム

待望の3枚コンボ。AP消費値は3800AP。
冷気を纏ったレンゲルラウザーを突き刺して相手を凍結させつつ、ダメ押しに猛毒を流し込む。
血流とかそのまんまにした方が毒の廻り早いんじゃないのか?とかいうツッコミは無用。
他のライダーはあくまで3枚コンボもキック主体だったが、レンゲルは武器攻撃にシフトしている。


番外・♥4+5+6=スピニングダンス

バトルファイトのかき回しを愉しむキング/コーカスビートルアンデッドが所持していたものを譲られたことで、
一時期ハートスートのA・3~10・Qのカードを所有していたために使えた技。内容はカリスの繰り出すスピニングダンスと同じで、
空中に浮遊した後、竜巻を身に纏ったドリルキックで敵を貫く。

劇中では(0H0)「スピニングダンス…(キリッ)」と当時「技名叫ぶなんてリアルじゃねーよ!電子音声にでも言わしとけ!」的なスタンスが主流だった平成ライダーでは超珍しく技名を発声してから使ってる。
なお残念なことにカリスのカードはDXレンゲルラウザーに対応しておらず、フロート共々玩具での再現はできない。
むしろそうだからこそ、劇中でも技名のコールが行われず自己申告することになったとも考えられる。

♣強くなりたい…レンゲル復活!!

新ライダー・レンゲルの誕生と、その力が本来戦いとは無関係な少年の手に委ねられたことを知った
剣崎らは、睦月からベルトを引き離そうと奮闘する。しかし、結局何をどうしてもベルトは睦月の元に戻る運命にあり、
睦月自身も自分を暗闇の中から連れ出してくれるかもしれないライダーの力への未練から抵抗する。
ふとしたきっかけで望美を殺しかけてしまい、一度はベルトを捨てようとするも、結局力への誘惑には抗い切れなかった。

この間、一時ベルトは睦月の手から離れ、カテゴリーAに認められた男・桐生豪がレンゲルに変身していたことも。

桐生の手から離れたベルトを再び手に入れた睦月だが、結局カテゴリーAに弄ばれてライダーの力をモノにすることは出来ず仕舞いに終わる。
そこでベルトから逃れられないなら睦月が心身共に強くなるしかないと剣崎らも決断。
ギャレンに復帰した橘が睦月の師匠役となり、基礎訓練(チソクンレン)を課すのだった。
ここから睦月に『弟子キャラ』『未熟な後輩戦士』属性がつくことに。

トラウマを振り切って暗中の戦いを制し、人々の生命を救うなどヒーローらしい成長劇も見せたが、
未だ根本的な解決には程遠い状態。結局戦いに身を置き続けたことでカテゴリーAの影響に呑み込まれてしまい、
先輩である剣崎や橘を煙たがって反抗的な態度を取ったり、「とにかくアンデッドを倒してカードを手に入れればいい」
と粗暴で好戦的な言動が増えていった。

そんな折、チベットから烏丸所長の協力者である嶋昇が来日。彼の正体はクラブのカテゴリーK/タランチュラアンデッドであったが、
アンデッドには珍しくバトルファイトに関心がないばかりか、人類に友好的ですらある彼は
同族であるスパイダーアンデッドが睦月を支配している様を知り、睦月とカテゴリーAを引き離そうとする。
これに危機感を覚えたカテゴリーAは睦月を煽って自身を守らせようと抵抗。*28

最終的にカテゴリーAと同じように内面から睦月の精神に干渉すべく嶋はその身をあえてカードに封印される。
睦月はひとり姿を消すが…結局ワルのままだった。

…一応カテゴリーKの加護でカテゴリーAの支配力は弱まったのだが、今度は睦月自身の精神が長い荒んだ戦いの影響で悪化してしまい、
最強ライダーであることにしか関心のないガチ厨2病患者として負のベクトルに突っ切ってしまったのだ。この状態の睦月は本当に最低で、
借り物の力を自身の実力と履き違え、無謀な挑戦と無様な敗北を繰り返し、その事実から目を背けて自分は強者だと空しい主張を喚き続ける姿
およそ戦いに身を置く者としては下の下以下と呼ぶに相応しい惨状であった。正直言ってモズク決めてた橘さんと同レベル、下手したらそれよりも酷い。
今なお根強く残るレンゲル=自称最強(笑)のイタい邪気眼ライダーという風評はこの時期に確立したと見て間違いない。
…まあ、剣崎をはじめ周りも順当にパワーアップしてるのにレンゲルはそのままだし…

一応独力でアンデッドを封印したりもしているが、アンデッドの中でも正々堂々の武闘派・タイガーアンデッドから
ラウズカードの力を湯水のように乱発し相手をごり押しで叩き潰す睦月の戦法は「最低の戦い方」と酷評されている。

しかし、そんな弱さやイタさも睦月が本当にカテゴリーAそのものになってしまったなら持ち得ないものであり、
悪堕ちしようとも
  • ジョーカーを誘い出す人質とはいえ、一時的に失明した天音を保護する
  • 剣崎や橘への「さん」付けが抜けきっていない
  • トライアルGの襲撃で負傷したタイガーアンデッドを夜通し看病する
  • 望美を巻き込むまいとわざと自分から遠ざける
睦月本来の優しさは完全には消えてはおらず、その心の奥には確かな光が宿っていた。
そして睦月も遅まきながら自分は強くなどなっていないという事実を受け止め、
戦士としての在り方を巡りタイガーアンデッド/城光と奇妙な心の交流を築いていく。

睦月の葛藤を余所に、アンデッド封印は着々と進行していたが、一方でアンデッドの解放の裏には、
人為的なバトルファイトを起こすことで自身の望みをかなえようと企むBOARD理事長・天王路の存在があった。
統制者のモノリスの力で天王路が創り出した対ライダーの刺客、合成アンデッド・ティターンの襲撃を受け、
闘争本能を暴走する毒を打ち込まれてしまう睦月。睦月の内にあるカテゴリーAも凶暴化し、融合の進んだ睦月は見境なく暴れ出す。

天王路の策略で自身の求めるバトルファイトが永遠に失われたことを悟った光は
いずれ誉れなく狩られるだけの獣になってしまうだろう睦月に戦士の誇りを取り戻させるべく最後の戦いを挑み、自らの意志で封印された。
これと前後しての望美の命がけの説得で睦月は僅かに理性を取り戻していたが、未だ歪んだ闘争心は醒めず、探しに来た剣崎と橘に襲い掛かる。
レンゲルを止めるべく変身したダブルライダーとの戦いが始まった。

戦いの最中、キングフォームとなったブレイドに対抗しレンゲルも光の落としたギャレンのアブゾーバーを使ってキングフォームになろうとする。
しかし、これは直前に光と接触した橘が彼女の決意と覚悟を信じたうえでその策に乗り、渡したものだった。
力を求める睦月はカテゴリーQのカードとアブゾーバーを手に入れれば確実にそれらを使ってキングフォームへの変身を試みる。
だが、それはカテゴリーQ=光とカテゴリーK=嶋、両名の意志と融合することを意味し、
彼らが力を合わせて睦月を闇から解放する最大のチャンスを作り出すことができるのだ。

苦しむレンゲルから切り離されたカテゴリーAが飛び出し、変身を解除された睦月は精神世界で『彼ら』と束の間の邂逅を果たす。



「やぁ…久しぶりだね、睦月くん」

「あなたは…!」

「やっと私の力を使いこなしてくれた。彼女のおかげだ…」

「俺はどうなったんですか…?」

「君を、カテゴリーAの呪縛から解放する」

「え…?」

「睦月…カテゴリーAを封印しろ」

「光と闇に操られるな!自分の中に両方抱えて戦い抜け…!自分との戦いに…終わりはない…」

「嶋さん!」

カテゴリーQの仲立ちでカテゴリーKの力と一体化を果たした睦月は、自身の闇の象徴・スパイダーアンデッドと対峙する。
最早睦月は傀儡として使い物にならないと見切りをつけたカテゴリーAは睦月に容赦なく牙を剥く。
しかし、睦月も嶋に託された力を揮い互角の戦闘を展開。その姿にはクラブスート最強の戦士・タランチュラアンデッドの姿が重なっていた。


「貴様を封印する!!」

戦いは一進一退。しかし、ブレイドが場外から投げ入れた重醒剣キングラウザーを受け取った睦月は
迫るカテゴリーAにカウンターの一太刀を打ち込み、見事この悪鬼を封印。真の封印を経てその手に戻ったカードは黄金に輝いていた。心の闇に打ち勝ったことを象徴するように…
この時、師である橘からも本当の仮面ライダーの称号を送られている。

正気に戻った睦月は、自身を闇から救うためにその身を犠牲にした光の想いを知り、
「俺がもっと強ければ…」と落涙するのだった。

かくしてついに4人のライダーが団結。睦月も自分の犯した過ちに委縮していた時期こそあったものの、先輩ライダー達と共に
黒幕・天王路との全面対決に臨む。…仲間入りしてすぐ次の話が偽物を使った仲間割れ作戦だったりしたが。

ブレイド・キングフォームやワイルドカリスといった超絶戦士と比べるとやはり実力的には一歩譲らざるをえないものの、
人間をやめた天王路が変身した人造アンデッド・ケルベロスⅡとの決戦では3枚コンボ技・ブリザードベノムを炸裂させ
形勢を一気に味方側に傾けるなど活躍を見せた。

しかし、始=ジョーカーが最後のアンデッドとなってしまった時、世界は滅亡するという事実を前にライダー陣営にも動揺が走る。
一度は始を信じてジョーカーの封印を避けようとした睦月だが、残るもう1体であるギラファアンデッド
睦月と同じく始を『仲間』として守ることを選択した橘が不可抗力で封印してしまったことからついに世界の破滅が始まってしまう。
橘が行方不明となり、始も失踪した状態で、剣崎と睦月はダークローチの大群に果敢に立ち向かうが、無限に湧くダークローチとの終わらぬ戦いに次第に疲労して行く。
頼みの綱のリモートによるアンデッド解放も無効となってしまったことからついに睦月は剣崎の心情を慮りジョーカーを封印する決断を下し、
始に戦いを挑む。しかし、やはりその圧倒的な力には太刀打ちできず、敗れ去ってしまうのだった。

事態が決着し、人類が救われたのは彼の知らぬ間に剣崎が自らを犠牲にし、仲間たちの前から姿を消した後だった…

その後は無事復学し、望美の応援のもと再びバスケに打ち込んでいる様子。

振り返ると、覚醒が遅すぎて善玉転向した後の活躍の機会に恵まれなかったのが終盤におけるレンゲルのネック。
この点は多くのファンに惜しまれている。

とは言え、橘が行方不明になった後、ダークローチの大群から人類を守り、剣崎と2人で戦い続けた最終盤の勇姿は立派であったと言えるだろう。



♣後日談にて

『剣』は印象深い最終回からか、後日談となる外伝の製作に恵まれた作品であり、睦月も成長した姿で登場し、真のライダーとなった時には既に終盤で活躍に恵まれなかったことの補完にもなっている。
なお、それぞれの後日談はあくまでTV版とのストーリーに対応しているだけで、
個々の世界観がリンクすることは無い(例外あり)し、同じ時系列で一直線に並ぶものでもないことを留意しておきたい。

MASKED RIDER BLADE EDITION -DAY AFTER TOMORROW-

バンダイから発売されている人気フィギュアシリーズ『S.I.C.』のジオラマと小説によって語られる
石ノ森ヒーローたちのドラマ『HERO SAGA』の『剣』編。

このシリーズ自体があまり原作との整合性を考えずに『異聞』として仕上げることをコンセプトにしているため、
原作を一通り見ていればまずやらかすはずもないポカ描写が平気で描かれていたりする*29が、
「『剣』の連中ならありえるかもな…」と受け取る向きもあるのは人徳…と言っていいんだろうか…詳しくは項目にて。
なお、時系列は最終回から数年後、とあるが睦月が高校卒業となるとわずか1年たらずである。これで受験はキツイ…;

また、原作の設定をもとに独創的なオリジナルライダー/フォームが飛び出すS.I.C.だが、レンゲルにも待望のオリジナル形態ジャックフォームが新規で制作された。
小説とは関係なく、ジオラマのみの作例となるが、後に細部をブラッシュアップされて商品化。
全国のライダーマニアを狂喜させた。


劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE

剣崎がジョーカー=始を封印するという決断を下したIFの世界4年後を描く映画作品。
睦月は21歳となり、就職活動に奔走している、というまたまたリアルに苦しげな設定。
どうもライダーとして活動していた期間は彼にとって黒歴史っぽく、
戦っていた頃から逃避するかの如く『普通の生活』を求めていた。一応カテゴリーAの呪縛は克服しており、
レンゲルに変身しても普通に意志を保っていられるが、こちらの世界ではあまり良い結末を迎えられなかったのかもしれない。

剣崎の変身カードであるスペードのカテゴリーAと渡り合ったり、
リモートを使って封印されていたジョーカーを解放・4人のライダーの揃い踏みのキーマンとなるなど、要所で活躍した。
DC版では純一の尻尾を掴みかけたが、橘さんの余計なフォローと純一による誤魔化しで特にこの努力はないことにされた。

終盤、復活してしまった巨大邪神『14』(フォーティーン)にライダーたちが立ち向かうシーンで
ブレイド・ギャレンがジャックフォームになるのにレンゲルがさびしく\フロート/のカードを使って空を飛ぶシーンが
絶妙なリズム感からレンゲル系最大のネタとしていじられているが*30、冷静に考えるとこれはお門違いで
(0w0)(0M0)がジャックフォームにならないと追いつけない水準に、(0H0)は既に立っており、
フロートで飛行能力を補完するだけで充分、というだけのことである。

また、フロートは邪神の力を削ぐためにその身を犠牲にした始の所有するハートスートのラウズカードであり、
これは「俺たちと…始の力で!」という直前の剣崎のセリフからも読み取れる通り、ここにいない始の想いと共に戦う、という意思を感じさせる熱いシーンなのだ。
むしろ問題なのはそれだけのタメを作ったあとに3人そろって速攻でぶっとばされたのとキングフォームが一撃で14を倒したことだと思う。

ちなみにこの時は克服イベント云々について話が固まっていなかった為カテゴリーAのカードは紫のまま。
橘さんが封印に失敗したと捉えるか、あれがイレギュラーと捉えるかは人次第。


♣ムービックドラマCD『切り札の行方』

『剣』終了から10年の時を経て復活した奇跡の企画。
剣崎が仲間たちの前から姿を消してから10年後の世界を描いている。
睦月は社会に出てイベント会社に就職。後輩からも慕われ…と非常に充実した姿を見せている(ドラマCDだから見えないけど)。
また、ライダーの力を手放した後も融合したアンデッドの力は微かながら残存しているらしく、
嶋さんと同じように風の流れを読めたり、車に轢かれそうになった少女を咄嗟に救助するなど身体もなまっていない様子。
長い間仲間とは会っていなかったようだが、橘さんのことは今でも尊敬しており、
初任給をもらった時、橘さんになにもプレゼントしていないのをちょっぴり気にしてたりする。カワイイ。


♣小説・仮面ライダーブレイド『たそがれ

番組後半のメインライターである會川昇氏が仮面ライダー剣 超全集に掲載した短編小説。
舞台は数十年後の未来であり、睦月も既に故人であるが、おばあちゃんになった天音ちゃんの言葉によると、
その生涯は幸せなものであったらしい。

この世界では『仮面ライダー』は虎太郎の著書により一躍社会に認知される存在となったが、
同時に時が進むにつれそれを題材として作られた児童向けの人気コンテンツとして消費される虚像となり、
真のライダーと呼べるのは紛争地帯で戦う剣崎=ブレイドジョーカーと始だけとなっている。
レンゲルもかつて4人いた『本物の仮面ライダー』の一員として天音おばあちゃんに
『自分の中にもある弱さや闇と戦うために』アンデッドに立ち向かったと認識されている。


♣小説 仮面ライダーブレイド

本作は『たそがれ』より更に後、最終回の数十年後から更に300年の時が過ぎた24世紀が舞台である。
当然、原作の登場人物は剣崎と始以外、全員が故人である。
レンゲルに変身するのは睦月の子孫と思しき少年・サツキ
サツキとしての出番は多いが、「レンゲル」に変身するのは物語終盤である。哀しい…。



♣余談

♣演者の北条氏は幼少期に地元名古屋で再放送されていた仮面ライダーBLACKRXを見て特撮にはまったそうで、
レンゲルのスーツアクターがBLACKやRXと同じ次郎さんと知った際は「子どもの頃のあこがれだった人が自分の変身後をやってくれるなんて」と驚き喜びだったと語っている。
撮影現場では次郎さんにお願いしてBLACKやRXの動きもやって見せてもらったとか。


♣レンゲルには強化フォームや新武器といったテコ入れ要素を一切入れないことは構想段階から既に決定しており、
『最強のライダー』という肩書やブレイドやギャレンは強化フォームになって初めて纏える金色のアーマーを最初から装着している、
といった点でフォローを図った模様。…実際は変身者のメンタルの不安定さから名前負けしてしまった感が強いが…;
北条氏もレンゲルに強化フォームがないことを気にしており、当時冗談で

(0w0)(<::v::>)(0M0)<キングフォーム、アルラシイヨ!!!

と言ったのを信じてワクワク(0H0*)しまい、後に真実を知って

純粋な心を踏みにじられた…>(0H0#)
…と語っている。
なんて悪い大人達なんだ。

数年後、ホビージャパンに連載されている「S.I.C HERO SAGA」にてジャックフォームではあるが強化フォームが披露され、発売にまで至った。
ちなみに、ブレイド・ギャレンの11が鳥系だったのに対して♣の11はエレファントのため飛べない。見た目も飛ぶとか無理だろうと言わんばかりの重装甲。

ちなみに、「金色だから強化フォームいらないでしょ!」という発言は13年後にも出されたが、そちらは「じゃあ人気出たら考えてあげる」と言われて実際に人気が出たので最期の大舞台で強化してもらった。
どういうわけかレンゲルと同じ氷属性である。


♣18話においてレンゲルの力に恐怖を覚えた睦月はベルトを川に放り捨て戦いから逃避しようとする…印象に残るシーンだが、
このベルト、実物のプロップは本当に失くしてしまったらしい。
つまり戻ってきたように見えて、これ以降撮影に使われているプロップは2号機、ということになる。
なお、当時の北条氏のレンゲルバックルにかける偏愛は(役作りには関係なく)尋常でなく、
嬉しくて何度も『OPEN UP!』ギミックを試して開け閉めしまくってたのを見た小道具係のスタッフから
「壊れるからやめなさい!」と注意されたほどだという。…こいつ、ベルトに魅入られてやがる!
まあライダーに出たいあまりに年齢詐称してまでオーディションに臨んだくらいだしねえ…



♣仮面ライダー剣の後はテレビドラマやCMを中心に活躍していた北条氏だが、2013年に残念ながら芸能界を引退。
始役の森本氏によると地元の名古屋で料理店をやっているとか(楽天トラベルの名古屋の観光を紹介するネットムービーにも出演したことがある)。
2014年に行われた仮面ライダー剣10周年座談会(プレミアムバンダイ限定「ラウズカードアーカイブス 10th Anniversary Edition」のブックレットに収録)では、企画段階では引退後に消息不明となっており、せっかくの10周年なのに欠席してしまう可能性があった。
幸い、剣崎役の椿氏や広瀬役の江川氏の尽力で連絡がつき無事に参加できたが、消息不明になっていた理由は「スマホの故障」だった。ダディ役の天野さんの天然エピソードに匹敵する理由…
なお、引退後も剣関連でオファーがあれば是非とも参加したいとの意欲を見せており、
前述のドラマCDや映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』や『仮面ライダー サモンライド!』などに(主にレンゲルの声役で)出演している。

♣️レンゲルは商品ではかなりの不遇扱いとなっている。実例を挙げると
  • ガンバライドでは剣のライダーの中で一番登場が遅い。
  • ガンバライジングでも剣のライダーの中で一番登場が遅かった。*31*32
  • ブレイド、ギャレン、カリスのライドウォッチは商品化されているのにレンゲルのライドウォッチだけない。
これに加えて本編では唯一強化フォームが出ないことや、4人の中で唯一飛行能力のカードを持っていない*33も相まって「ハブラレンゲル」という言葉までできてしまう事態となっている。

そしてこの飛べないネタは劇場版の影響もあって特にファンのあいだで長くネタにされ続け、
パセラリゾーツ池袋本店に展開している仮面ライダー・ザ・ダイナー*34では、2019年の仮面ライダー剣15周年記念の期間限定特別メニューとして「レンゲルフロート」という緑色のフロートドリンクが登場。
知らない人にはただの飲み物、知っている人には100%伝わるシンプルかつ上手いネーミングセンスに往年のファンの腹筋が崩壊した。
「これを飲めば…俺は最強だー!!」

♣️そして2019年、剣15周年記念でCSMブレイバックルが発売。更に「仮面ライダージオウ」にて剣崎と始及び天音がゲスト出演
さらにその日にニコニコ動画で配信された「仮面ライダーフォーゼ」ではダディ役でお馴染み天野浩成氏が演じた速水公平/リブラ・ゾディアーツの退場回が配信されるという、『剣』ライダーの役者に色んなニュースが飛び交った。
その頃、レンゲルは音沙汰なし。
翌年にはギャレンセットの発売が決定。現在は本名でTwitterをやっている北条氏*35は祝福と合わせてレンゲルセットの発売を熱望するコメントを出しているが、希望は叶うのか…?



『ABSORB TSUIKI』『EVOLUTION SHUSEI』
(0H0)「見ろ…これが俺のキング項目だ!」

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最終更新:2024年02月27日 09:08

*1 当時17歳。実は番組オーディションの対象は18歳以上という規約であり、氏の熱意が通ったとはいえ結構な横紙破りである。

*2 一時的な変身者である『555』の北崎デルタを除く

*3 なお変身者最年少記録は後の電王に更新された

*4 もっとも、これは正直な話『塞翁が馬』であり、睦月/北条氏にまったく責任は無い

*5 睦月自身「レジ打つの好き」「それぞれのあったかい家庭を感じれて平和だな~と思う」などと語っており、性に合っているようだ

*6 ベルトを手にしたことで本格的にスパイダーアンデッドの呪縛に巻き込まれ、身体能力にブーストがかかっていた事に気付かず調子に乗ってのこと。ベルトを剣崎達に返却した後はこの時のような調子が出ず、麻薬の如くベルトに執着していた

*7 この時橘の証言から「『睦月』と呼ばれる高校生がレンゲルである」という情報を元に調査していたところを「以前ライオンアンデッドに襲撃されていた少年」として睦月本人と接触。肝心の睦月は「自分のことを仮面ライダーが探している」という面倒事に関わりたくない為か素性を隠して剣崎にご飯をおごったり万引き冤罪事件で再会したりしていた。この時が事実上の初変身シーンだった為剣崎は驚いていた訳である。

*8 ライダーのスペックにおけるAPは100APで1tに相当する為、3t相当のパンチ力。

*9 品種はオニグモ

*10 他のアンデッドも多少なりは干渉が可能だが、強力なアンデッドほどその力も強くなる(嶋さん/タランチュラアンデッドがいい例)。抑え込むだけの精神力が装着者にあればあればひどく影響を受ける事はない。

*11 色やスーツアクターのシンクロも相まって『鎧を纏ったZO』といった佇まい

*12 ただの初登場補正…かもしれない。

*13 睦月が望美のおにぎりを「美味しい」と感じるなど、闇に堕ちても人間性は保っているのがその証拠

*14 これに加え、変身完了後は右腰部にラウズカードを収納するケースが出現するオマケ付き

*15 睦月の改心後もこの色のままなので、カテゴリーAの影響ではなく最初からそういう仕様と思われる

*16 劇場版やHEROSAGAなどの後日談で再起できているので各作品の世界観ではいずれにせよ修理はされた模様

*17 ひょっとしたらBOARD製3号ライダーなので昭和3号=V3のファイティングポーズをリスペクトしているのかもしれない。ブレイドとギャレンの変身ポーズもそれぞれ1号・2号を意識したものだが、主人公とサブライダーというメタ的な事情で開発順とポーズが入れ替わってしまっている

*18 アタックポイント。ラウザーの数値の場合はラウズカード覚醒にかかるコストのようなもので、カードを使用する度に消費される

*19 カリスラウザーよりは低い…まあ、あれはジョーカーの一部だから仕方ないが

*20 初使用:初登場時のVSブレイド&カリス 2回目:VSモールアンデッド(ギャレン共闘時)

*21 これは他の『剣』ライダーも同じ。平成ライダーシリーズで幾度も使われている車種である。

*22 ただしDX玩具版レンゲルラウザーにはクラブ以外のスートのカードは未対応

*23 ただし剣崎はラウザーの刺突を目的としてタックルする為ほぼラッシュと同じ運用法である

*24 センチピードの毒はダメージ、スコーピオンの毒は共闘関係のアンデッドの同盟崩壊を目的とした毒と解釈出来なくもない。

*25 また、最終回の剣崎と始がそうであったように、当人達が戦いを望まなくても、統制者からの干渉により結局戦ってしまう事になるというのもあり得る。

*26 関節の脆さが凶悪なシロモノで造形とは別の意味でファンから悪評が高い…ちなみにこれはブレイド・ジャックフォーム換装用パーツとセットで、ブレイドを二体並べるにはこれを2つ買う必要があり、万が一関節がポロリしても予備があるから安心とファンからは言われている。

*27 他ライダーの3+6はパンチ技なので近付くのは危険だと判断した可能性もある。実際は手から吹雪を放てるのでリスクは低いのだが。

*28 橘さんは土手から突き落とされた。ただし罪悪感は感じており、望美に頼んで見舞いに行ってもらっている。

*29 例として、『仮面ライダーディケイド』にてチノマナコをチノ ナマコ と誤記するなど。あちらはあちらで「スーパー戦隊由来の怪人の名前をそのまま出すわけにはいかなかったのでは?」と推察されているが真相は不明。

*30 ラウズアブゾーバーの音声が立木文彦氏に対して、レンゲルラウザーの音声は佐々木健氏であるため、声質が違うのもネタにされてしまった要因とも言える。

*31 RM6弾(2022年8月稼働)で遂に参戦。なお、それ以前にも登場していたのだが、ブレイドのLRのスキャン演出やフォーカードの演出で加勢するだけのあんまりな扱いだった

*32 後継にあたるガンバレジェンズでは早くも2弾で他の3人と共にプレイアブルキャラ化を果たしている。

*33 ハートスートJはウルフだがフロートがあるのでカリスは飛べる

*34 仮面ライダー関連のキャラ・アイテムをイメージしたメニューを提供しているレストラン

*35 プロフィール欄に芸名やレンゲルの表記があり、椿氏などブレイド関係者とのやりとりも見られる。本項目では分かりやすさのために芸名の北条氏表記で統一する。