痣城剣八

登録日:2015/12/14(月) 05:19:29
更新日:2024/02/18 Sun 10:30:43
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死神はただ、世界の為に回る歯車であればいい
無論、私自身も含めてな






痣城 剣八  
あざしろ けんぱち

[職業]死神
    大罪人
[肩書]元護廷十三隊十一番隊隊長(八代目)

 [斬魄刀]雨露柘榴(うろざくろ)
  〔解号〕??????
 [卍解]雨露柘榴

 [CV]佐藤拓也(BLEACH Brave Souls)

BLEACH』の登場人物。
小説版『BLEACH Spirits Are Forever With You』に登場。


 概要



本名は痣城双也。
入隊試験を受けず、前十一番隊隊長・刳屋敷剣八を決闘で殺害し、隊長の座と剣八の名を襲名していた。

禁固19500年の刑を言い渡され無間に収監された為に、特例として剣八の名は当時の副隊長に引き継がれた。



 人物



無駄を嫌う性格で、言葉から感情を感じさせない。
を殲滅する死神の使命を果たすことだけを目的としており、
矜持に囚われることを無駄と見做し、効率的に目的を達せられるならば手段を選ばない。

彼を目撃した狛村は悪逆の徒と思えなかったと口にし、京楽も知る限りで最も使命に誠実だった死神と述べている。



  斬魄刀


◇─「雨露柘榴(うろざくろ)

CV:藤田咲(BLEACH Brave Souls)

解号は不明。
習得した時点で卍解に至っており、その後も常に卍解状態の為、痣城自身も知らない。

卍解の能力は『融合』。
身体を周囲のあらゆる物体に融合させ、それらを霊子単位で操ることができる。小説の開始時点での融合範囲は瀞霊廷全域。
融合範囲内で起こった事象を全て知覚し、何処にでも姿を現すことができる。
生物と融合することも可能だが、強い拒絶反応によりダメージを受ける為、使用することを避けている。


強力な能力ゆえに代償も大きく、一つは融合中は鍛錬を積めないことで、雨露柘榴を除いた痣城の力は外見通りの優男でしかないが、
膂力を無駄なものと切り捨てており、空気と融合することでほとんどの攻撃を素通りさせることができる為気にしていない。
もう一つの代償は、霊子そのものを吸収する攻撃に弱いこと。融合範囲内で使用されると通常の数十倍の痛手を魂魄全体に受ける。


斬魄刀の本体は黒い革帯で目隠しした扇情的な格好の女性。
内面世界が現実世界と融合している為に具象化せずとも痣城からは常に見えており、騒々しく無駄口を叩き続ける為、痣城にとって精神的な負担になっている。
彼女の心象世界は、痣城が無駄と捉えた感情の廃棄場にされている。

使い手が危機に陥ることに快感を覚える性格で、転心体の実験に割り込んで具象化して浦原に能力を教えたこともある。



 過去


  • ◇─数百年前
かつて死神としての力で名声を得ていたものの時を経るにつれ堕落し、代わりに財力で恐れられるようになった貴族の一族・痣城家に生まれる。

当初は彼も自分が大人になれば両親のように権力を振るって生きていくものだと信じていた。
その一方、一族でただ一人清廉として優しく、霊術院に通いながら十三番隊を目指す姉を持ち、
自身にも清廉さを求める姉を嫌ってはいたものの、その笑顔を好いており、
姉の言う強く高潔な死神となるため、見様見真似で木刀を振るい努力を積むようになる。

しかし、財を狙う貴族によって冤罪*1をかけられ一族を滅ぼされ、最後に見世物として姉と共に虚と戦わされる。
処刑人は虚を倒せば助命すると約束し、恐怖で動けない双也を生かすために、姉は『双蓮蒼火墜』を暴発させ相討ちとなり命を落とした。

処刑人が約束を破って新たな虚を放ったことで、姉が無駄死となってしまった事実に絶望するが、
虚の牙が迫った瞬間に、精神世界に引き込まれ雨露柘榴直々に力を与えられ脱出。
あらゆる方法で罠に嵌めた貴族たちを惨殺するも心は癒えず、姉の遺した「強い死神になって」という言葉だけを胸に彷徨う。


  • ◇─250年前
隊長の座と多少の横暴は許される『剣八』の名を得る為に、刳屋敷剣八に決闘を申し込み、
深刻な反動を負いつつも、肉体に融合し筋組織や心臓の結合を緩め切断することで勝利する。
一見痣城の圧倒的な勝利のように見えるが、実際は痣城の側にもかなりの身体的な負担がかかっていた。更にもし仮に刳屋敷が周りの者を巻き込むのも厭わずに卍解を使用していたら負けていたかもしれないと語っている。

致命傷を受けながら辛うじて生存した刳屋敷が、激昂した部下を止める為に始解を使い、叱責する為に怒号をあげたことで消耗し、
生存の可能性を捨てたことを、矜持による無駄死と侮蔑した。
そして彼が先代の剣八として送った「ある言葉」も、無駄な意見と忘れてしまった。


  • ◇─249年前
流魂街の住人全ての魂魄を改造し、虚圏へ侵攻させる計画を立て、
実現不可能と見下していた四十六室も承認するが、罪人で実証した瞬間に反逆を憂慮され中止させられた上に冤罪を掛けられる。
横暴を無視し、一人で実行しようと流魂街を目指し隊長格含む数百人の死神を打ち倒すが、
零番隊が出動したことを察知し無駄な戦いを避けるため投降し、無間に収監された。

凍結された痣城の理念の一部は後にある男に引き継がれることとなった。


 活躍



瀞霊廷に侵入したロカ・パラミアの反膜の糸を察知し、藍染から瀞霊廷の外で起こった出来事の情報を聞き出した上で脱獄。
249年前の大逆の際に店員に怪我をさせた慰謝料を支払う為に眼鏡屋「銀蜻蛉」に立ち寄り、
偶然居合わせた大前田希代*2に対して彼女の家族を「無駄飯食らい」と蔑んだ上で家を出るように忠告し、珍しく長話に付き合う。これは彼女の純粋さを自身の姉と重ねたがための行動だったのだろうと雨露柘榴は予想して笑いながら冷やかしていた。

処刑場跡で弓親と出会い、隊長羽織を纏う痣城を敵視した彼に、
美醜感覚へのこだわりと、矜持ゆえに瑠璃色孔雀を隠すという無駄な行為に対して意見し、藤孔雀を奪って姿を消した。
彼の斬魄刀を取り上げたのは瑠璃色孔雀の能力が自分に対して相性が悪いためであり、ここで弓親を殺さなかったのはそうする必要を感じなかったのが理由とのこと。弓親は斬魄刀を取られたのにもかかわらず命だけ見逃してもらったという事実に屈辱を抱く。


その後、一番隊舎に集まる隊長達の前に現れ、自身の目的について説明する。
虚の根絶。その為にロカの糸を奪い、現世の人間全ての脳と魂魄の一部を改良し虚となる要素全てを排除するということを。
かつてはどんな非情な戦い方も辞さなかったとして尊敬していた山本元柳斎重國の変わりようを嘆き、また賛同者を得られなかったことで無駄な時間を過ごしたことに溜息を吐きつつ、死神のあり方を説いて立ち去った。



痣城討伐の命を受け、彼が標的とするロカを探しに現世へ向かう十一番隊の前に現れ更木剣八と相対する。
矜持に従い戦いに愉悦を見出す十一番隊に無駄な警告を行うが、通じなかったため、
彼らを尸魂界にとって害悪と判断し、融合した数百の義骸を用いた一斉詠唱による鬼道を浴びせ、余波で破壊された穿界門から現世に降り立つ。


そしてロカ達の前に現れ、シエン・グランツと対峙していた石田雨竜から、滅却師が破面を倒すと魂魄のバランスが崩れるという理由で滅却師十字、ついでに元々は自分の異名だった『鎌鼬』の称号を奪い取る。
滅却師十字を失ったことで石田は銀嶺弧雀を使用することが出来なくなり、その後ロカの能力の助けを借りるまで一時的に神聖滅矢を放つことが不可能となった。

遅れて現れた更木の霊圧が上がっているにもかかわらず眼帯を外していないことを訝しむものの、
融合の反動のリスクから、ロカよりもまずはシエンと更木を打ち倒すことを先決と決め、
ヤクザから銃器を奪うなどの準備を整えつつ、観音寺に連れられ逃げたロカを追跡。

途中、ピカロと戦闘する十一番隊に銃器と融合させた義骸の群で助勢するも、
矜持により断られたことで、排除を決め三つ巴の戦いを繰り広げつつ、
グレネードランチャーと融合させた義骸をバイクに乗せて遠隔で操り、ロカを追うが黒腔に逃げられた。


痣城は黒腔を開いて長時間維持する能力を持たぬが故に黒腔内までは彼女を追えなかったものの、再び現世に現れることを予見し、融合範囲を広めておこうとしたが、
ピカロの使用した予想外の霊子吸収能力により30秒程気絶してしまう。その間、雨露柘榴によって姉の最期を夢の中で見せられた。以降はこれが原因で少しずつ感情を乱すようになっていく。

意識を取り戻してからは雨露柘榴の挑発を無視しつつ穿界門から再び現世に出向き、
シエンと更木の戦いの余波で、黒腔と現世の境界が壊れ空がひび割れている光景を目撃。
桁外れと言える程まで上昇した二人の霊圧に驚愕し、僅かな焦燥を覚え、
「『剣八』であるがゆえに『剣八』の名に敗れる」という藍染の推測を思い出す。

集中するために無駄な感情を整理し、この時にドン・観音寺に対して謎の苛立ちを感じていたことを初めて認識して、疑問を抱くが、
無視して廃棄しようとするが雨露柘榴に拒否され、忠告と称し挑発するような言葉を発する彼女に怒る。
すると彼女が大人しく姿を消したため不安を感じるも、それもすぐに廃棄し黒腔内へ融合を進める。


自衛隊から盗んだ様々な兵器と融合させた軍用ヘリで銃撃を加えながら二人の前に現れ、直視した霊圧から自分の有利を確信する。

ロカの横槍でシエンが立ち去ったことで、更木と相対、
無限と言っても良い数の武装による壁と、軍用ヘリによる銃撃を囮とし、
融合した全ての義骸を、最大限まで練り溜めた鬼道『双蓮蒼火墜』で互いに焼き尽くさせ、犠牲破道『一刀火葬』を発動。

黒腔と現世の境界を裂き、僅かに漏れた炎だけで空座町周辺の気温を10℃高める程の火炎を直撃させ、
更木の霊圧が消えたことを確認し、シエンへの戦いに意識を向ける。


しかし、観戦していたやちるが平然としていることに気付く。
彼女の心が壊れたのだと認識し、姉を亡くした時の自分を思い出して生じた感傷を廃棄するが、

「剣ちゃん、まだ元気だよ」

少女の妄言を否定することが出来ず火柱を見つめ、現れた更木に初めて恐怖を抱く。
ありとあらゆる物質、元素から精製した銃器を融合させ、天を衝く程巨大な融合体を作り出すも一撃で破壊され、
無間から発された藍染の言葉から更木の強さの秘密に辿り着き、自身の行動が更木の力を高めていたことを悟る。
無駄を嫌って、更木を何度も必要最小限の攻撃で仕留めようとしていたのが完全に裏目に出てしまっていたのだ。

感知する事を本能が拒絶するほど高まった上に触れるだけで周囲の霊子を灼き切るほどの巨大な霊圧に絶望しながら、その一撃で現世へと叩き出された。


更木に敗北したことで、自分が捨て足りなかったのだとと認識し、
劣等感と自身への苛立ちを感じながらも、本人曰く無駄な希望に縋りロカを探し続けた結果、
幸運にも彼女が観音寺の前に現れるのを見つけ出す。

ロカを磔にし、立ちはだかる観音寺を短剣で貫くものの、
それでも逃げようとしない観音寺に湧き上がる苛立ちをどうしても排除できず、
内心無駄な行為と感じつつも、心をへし折るべき『敵』と認識して戦いの幕を開く。


最終奥義を放とうとする観音寺を、最下級の鬼道で吹き飛ばし、
起き上がることもできない様子を横目にロカに向かうが、観音寺を慕うピカロが現れる。

ピカロの吸収技および破面の群れに気付いて更木が自分の所に現れることを警戒し、撤退かロカへの融合かで迷うが、
満身創痍でありながら表情を変えない観音寺が車に乗って自身へと向かうのに気付き、苛立ちを通り越して湧き上がる憎しみと殺意から彼を自身の手で始末することを決意。
最も得意とする『双蓮蒼火墜』を放とうとするが、観音寺は目前で開いた黒腔に消えた。


----ああ、そうだ! それでいい! それが弱者の正しい姿だ!
----私は貴様を卑怯と責めたりはすまい! お前は何も間違っていない!


観音寺への憎しみが消え失せ、高揚感を抱くが、上空から、ステッキを掲げながら自身に向かって降り落ちる観音寺の不意打ちに気付いて再び苛立ち、
空気と融合し素通りさせ驚愕するであろう観音寺の顔を見ようと考え、迫る彼の顔を凝視したことで動揺することになる。


----お前のような奴が……貴様程度の奴が……何故……
----何故……姉さんと同じ目をしているんだ?


偶然にも観音寺が霊圧を喰らう更木の眼帯*3をステッキに巻き付けていたためにダメージを受け、
朦朧とする意識の中で、自分の苛立ちの対象が観音寺ではなく巨大な力を前に姉を護れず怯えて何もできなかった幼き日の自分自身だと気付き、
空気との融合が解けた体に『観音寺流最終奥義・観音寺弾(キャノンボール)』を叩き込まれたことで、『双蓮蒼火墜』を暴発させ蒼炎に巻き込まれる。


重症を負い、更木が接近することに気付きながらも、
自分に過去を拾い直させた観音寺に最大の敬意を持って感謝の言葉を送り、更木の一撃を避けることなく受け止めた。


断界で意識を取り戻し、痣城が満足していないだろうという理由から勝負を続けようとする更木に、
痣城の戦い方は、弱者が強く思わせようとする戦い方だと指摘される。

それを認め見透かされていたことに自虐するが、

手前(てめえ)は十分に強ぇだろうによ」
「ああ、俺が保証してやる。手前は強ぇ」
「だから、とっとと本気を出せよ、なぁ?」

更木の言葉を理解し、刳屋敷の最期の言葉*4を思い出したことで、
ようやくにして『剣八』の名の意味を理解し、更木との決闘を受けて立つ。

雨露柘榴を始解*5に戻し、融合していた霊子全てを圧縮することで双極を超えた刃を手に名乗りをあげる。


「十一番隊隊長……痣城剣八だ」


互いに渾身の一撃を繰り出し大きな傷を与え合い痣城は姿を消すが、実は生き延びており、
弓親に藤孔雀を、そして石田に滅却師十字を返却した後、希代に謝罪するために大前田家を訪ね、無垢な彼女の姿から姉を思い出す。
照れ隠しから、大前田家が謂れなき誹りを受けるようなことがあれば誠実さを証明すると誓って姿を消し、
霊圧を追ってきた京楽に刳屋敷の墓に酒を供えることを頼み、無間へと戻った。

帰還直後の藍染との語らいを通して、自分に臆さず立ち向かって結果的に打ち負かした男、ドン・観音寺が以前には崩玉と一体化した藍染にさえも高校生の少年少女達を助けるため歯向かっていたという事実を知り、納得の表情を浮かべる。
語り終えた後、尋問などが来る前にしばらく平穏な時を過ごしたいと願った痣城は独房の中で自身に超人薬を打ち込む。
精神内で雨露柘榴と再会した彼は、解号すら知らない彼女の無駄話が、自身を止め正しい道に導こうとするものだったことに気付き、
これまでに捨てた全てを拾い直し改めて雨露柘榴の力を手に入れることを宣言し、長い旅に出たのであった。

そして雨露柘榴に向けて一言だけ無駄な言葉を口にする。


なんでお前は……顔だけ無駄に姉さんにそっくりなんだ……



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最終更新:2024年02月18日 10:30

*1 一族の繁栄のために様々な後ろ暗いことをしていたのは確かだったようだが

*2 二番隊副隊長・大前田希千代の妹に当たる大前田家の末っ子

*3 更木とシエンの戦闘中に救出したピカロの一人の体にくっついていた

*4 要約すると「いつの日か剣八の名を賭けて戦う時が来たら本気を出してぶつかってやれ」という内容

*5 卍解を最強の盾とするなら始解は最強の矛だと綴られている。一度始解を使うと再度卍解して尸魂界と融合するのに一年以上はかかるらしい。藍染は、彼がもし最初から始解で挑んでいれば勝てたと推測している