Turn of the golden witch(うみねこ)

登録日:2015/12/14 (月) 01:37:22
更新日:2024/04/05 Fri 18:33:29
所要時間:約 14 分で読めます




難易度は、極上。
魔女は、あなたをいきなり屈服させるつもりです。





概要


Turn of the golden witchとは、07th Expansionによる同人ゲーム、うみねこのく頃にのEpisode2(第二章)のタイトル。和訳すると「黄金の魔女の出番」。
2007年12月31日のコミックマーケット73で販売された。
現在は他の出題編同様、EP4に収録されている。


本エピソードでは前回(少なくとも本編では)存在が仄めかされたにすぎなかった魔女ベアトリーチェが実際の舞台にも堂々と登場し、
ファンタジーの名のもとに次々と「魔法」を繰り出す描写が存在しており、前作の王道ミステリーと打って変わった独特の作風に仕上がっている。
また、本エピソードで、後にお馴染みとなる「赤字」システムが採用され、殺人事件を俯瞰する立場で推理議論を繰り広げる
「うみねこ」自体の基盤が完成された。



あらすじ


右代宮家に仕える使用人=家具、紗音は、当主長女の息子・譲治に恋心を抱いていた。
だが家具たる自分が主人に恋など出来るはずもない…そう嘆いていると、彼女の目の前に、六軒島に伝わる黄金の魔女・ベアトリーチェが現れる。
彼女は紗音に、「自分がそなたと想い人を添い遂げさせてやる」と囁き、魔女の封印の要たる社の鏡を割らせるのだった。
そして、譲治との恋仲は順調に進み、ベアトとも交流を続けていく紗音。
そんな彼女に、弟分の嘉音は苦言を呈するのだが、ベアトは嘉音の前にも現れ、長男の娘・朱志香への恋心を煽り、弄ぶ。
いずれ訪れるであろう二人の「家具」の恋の破綻を心待ちにするという呪いを振り撒きながら…。

そして1986年10月4日、右代宮戦人が6年ぶりの帰還となった親族会議の日が来た。
相変わらず、魔女に心酔し歳に合わない癇癪を持つ真里亞に、母・楼座は苛立ち彼女を虐げる。
そんな母娘の前に、真里亞が憧れ続けていたという、魔女の肖像画そっくりの女「ベアトリーチェ」が現れた。
彼女は六軒島19人目の人間として屋敷に上がり込み、貴賓室で歓待を受ける。

突如として現れた、金蔵の昔の愛人(かもしれない)そっくりの女に、大人たちはざわつき混乱する。
一方紗音と嘉音は、ベアトが今日まさに、右代宮家の全てを黄金郷へと返すための儀式を行うと知ってしまう。
そして、源次に問い詰めた大人たちは礼拝堂で「魔女」ベアトリーチェに出会う…。

次の日の朝、鍵のかかった礼拝堂に異変が起きた。
扉に刻まれた魔法陣、前日真里亞にベアトから渡された礼拝堂の鍵。
そして中には、血塗られた悪夢のようなハロウィンパーティーが催され、楼座を除く6人の大人が犠牲になっていた。
貴賓室からはベアトの姿は消えており、礼拝堂は完全な密室。
「ニンゲンには不可能」な犯罪に一同は戦慄する。

楼座を中心に自衛を固めることにした生存者たちだったが、彼らを嘲笑うかのように次々と巻き起こる不可能犯罪。
その現場には必ずベアトリーチェの姿が現れ、そして蝶となって消えていく。
さらに、追い詰められ人間不信に陥った楼座によって、次第に一同はバラバラな状態へ。
そして、「人間になり恋をしたい」と願う紗音と嘉音の恋心は、魔女によって無惨に踏み躙られていく。

悪夢のような幻想殺人ゲームに追い詰められた戦人は、魔女の存在を認めてしまうのか…?



……そして、このゲームを上位世界で見守る二人の人物がいる。
プレイヤーは右代宮戦人、ゲームマスターはベアトリーチェ。
事件のカラクリは「人間によるトリック」か、「魔女による魔法」か、二人の舌戦が始まる。



登場人物


≪六軒島≫
六軒島に伝わる、千年を生きた黄金の魔女。
紗音に封印を解いてもらったことと引き換えに、彼女の恋の後押しをすると約束。
だがその実、1986年の親族会議を舞台にした儀式までに、いかにその恋がこじれ、破綻していくかを観察するために過ぎなかった。
しかし、自意識を確立する紗音と嘉音に、苛立ちを隠しきれない。
そして親族会議の日に、30年ぶりに来客として右代宮家を訪問し、今度は魔女として、魔法を自在に駆使しながら皆殺しにしていく。
本EPでは徹底して外道でド鬼畜な悪役である。

本家使用人。本名は「紗代」。
譲治との許されない恋に苦しみ、現れたベアトリーチェの口車に乗る形で彼女の封印を破る。
ベアトの用意したお守りのブローチのご利益で恋が進展し、彼女に感謝し茶飲み仲間になる。
だがその代価は恋人たちの命であった。
霊鏡の触媒で得た防御魔法を使って、恋人・譲治を守ろうとするが…。

  • 嘉音
本家使用人。本名不明。
紗音を姉のように慕っており、彼女を不当に扱う主人たちを憎んでいる。普段も大の毒舌家。
紗音にいいように取り入るベアトを敵視しているが、逆に自分の本心を見抜かれいいように弄ばれる。
朱志香の彼氏の振りして、文化祭に行ったことを機に彼女のことが気になり出すが、「家具」という自覚故に彼女を拒絶してしまう。
だがその恋心は抑えきれなくなり、苦しむことに。
そしてベアトから朱志香を守るため、魔法の刃で彼女に立ち向かうが…。

当主長女・絵羽の息子。
右代宮の孫唯一の男(戦人が除籍したため)であり、後を継ぐ者として母から溺愛されている。
使用人の紗音を身分差に関係なく愛しており、母に見合いを勧められてもなおその気持ちは変わらず、親族会議にて婚約を発表する予定だった。
孤立する使用人たちに味方し、彼らの力になろうとする。

  • 右代宮朱志香
当主長男・蔵臼の娘。
男勝りでポップ音楽が好きだが、常に母から厳しく躾けられ窮屈さを感じている。
学校ではこっそりバンドのメンバー。
嘉音のことが気になり、彼に接近しようとするが上手くいかず…。

当主次女で、アパレルメーカー社長。
生まれつき頭も良くない方で、小さい頃から他の兄達に馬鹿にされ、いじめられ続けていた。
9歳の娘・真里亞を女手一つで育てているが、いつまでも幼稚な癇癪にオカルト・魔術の知識に傾倒する娘を疎ましく思い、
時折彼女に暴力を振るっている。
しかし心の底から娘を愛しているのは事実で、素直に愛せない自分に苛立ちを感じている。
第一の晩でほぼ全滅した大人たちの中で唯一生き残り、生存者たちのリーダー格となるが、自身が疑心暗鬼に囚われてしまい、
使用人たちを犯人と決め付け彼らを徹底的に排除しようとする。
ベアトリーチェの存在に何やら思い出があるらしい…。

楼座の娘。9歳。
本エピソードでも魔術に傾倒し、ハロウィンをやりたくて仕方ない。
ベアトリーチェには毎年六軒島で会っているらしく、本エピソードでもその存在を吹聴し、右往左往する生存者たちを嘲笑う。
母から痛ましい暴力を受けているが、それを自分のせいと思っているようだ。

お馴染み主人公。
やはり魔法など信じないクチだが次々と起こる不可能犯罪、そして身内同士が疑い泥沼と化した人間関係に疲れ果て、
「全部魔女の仕業だったんだ」と認めてしまい…。

右代宮家当主。
確かに“い”るベアトリーチェを探し続けているが、近くにいるにもかかわらず視えない。
ベアト曰く「魔術の才能がまるでない」らしい。
殺人事件の最中も部屋から一歩も出ず、ベアトとも会えなかったが、第十の晩で……。

  • 右代宮蔵臼
当主長男。
事業の失敗続きで経営難に陥っており、同時に自分の先見性のなさに嫌気がさしている。

蔵臼の妻。
神経質でいつも使用人に厳しく、多少のミスも許さない。
右代宮家の跡継ぎに相応しいようにと、娘・朱志香を厳しく躾け、彼女に寂しさを感じさせていた。
金蔵の愛人の存在を意地でも否定しようとする。

当主長女。
息子・譲治を右代宮家の跡継ぎとして絶対の自信をもって愛情深く育ててきた。
交際相手に関しても口出ししようとし、紗音のことを敏感に感じ取り、彼女に「使用人のあなたには釣り合わない」とさり気ない嫌味で釘を刺す。

  • 右代宮秀吉
絵羽の夫。
本エピソードではそれほど出番なし。

当主長男で、戦人の父。
社長としての彼の姿が垣間見えるが、どうやら達者な口で人望には篤い様子。

留弗夫の後妻。
楼座と共に人間のベアトを目撃し、親族たちにそのことを知らせる。
彼女の目にただならぬものを感じ取り、不穏に思う。

  • 呂ノ上源次
使用人頭。
人間のベアト相手に一切動じることなく彼女を屋敷へ歓待した。
殺人事件の最中も冷静さを崩さず、孤立しても動じることはなかったが…。

料理上手の使用人。自分よりも主人から重宝されている、年下の紗音と嘉音に嫉妬している。
以前のホテルをクビになり路頭に迷ったところを雇ってくれたので、夏妃には感謝している。
不可解な現象に戸惑うばかりだったが、今回はその巨体を生かす機会があった。

  • 熊沢チヨ
使用人のおばあちゃん。
六軒島の「悪食島」としての伝説に詳しいが、肝心のベアトリーチェのことははぐらかす。

  • 南條輝正
金蔵の主治医。
金蔵とベアトリーチェの過去に詳しく、礼拝堂が建てられた理由についても証言した。

ベアトリーチェが所有する家具にして、生贄を射る七つの杭の人間態。
いずれも、好戦的な美少女七人組。
今回登場したのは、末妹アスモデウス(色欲)、三女サタン(憤怒)、六女ベルゼブブ(暴食)。



≪メタ世界≫
前回で魔法による殺人を認めず、自称魔女に宣戦布告を突きつけ、第2のゲームへと持ち込んだ。
しかし、前回を上回る密室の数と難易度に頭を悩ませ、当てずっぽうの推理を突きつけてもベアトの繰り出す赤き真実に次々と打ち破られてしまい、
さらにはベアトから「無能」扱いされ、おまけに疑心暗鬼の泥沼となったゲームの内容に泣きだす始末。
挙句の果てには「止めて欲しければ裸になって跪け」とまで言われ、そしてその通りになってしまった…。
ちなみにこの全裸家具、漫画でもアニメでも忠実に再現している。

ゲームのルールとして、根拠の必要ない「赤き真実」で情報を与えることを戦人に提示。
これら赤文字を自在に駆使し、戦人の推理を悉く封じ、彼を圧倒する。
さらに容赦なく戦人を屈服させようと囁きかけるのだが…。

  • ベルンカステル
ベアトの対戦相手で、戦人の後見人を務める奇跡の魔女。
戦人の惨敗を哀れみ、彼をどこかで見たような掛け声で励ます。
「にぱー☆」
ようやく退屈せずに済むらしく、少しご満悦の様子。

  • ラムダデルタ
かつてベルンカステルに負けたという「絶対の魔女」。
見た目は能天気な幼女だがかなりの実力者。
ベアトとベルンの対決を聞きつけ、ベアト側につきゲームを観戦すると宣言した。
最強の魔女の座を奪い返すためにも、ベルンを打ち負かす算段らしい。
その一方で、情けない戦人にもさり気なく助言を与える。





事件概要


  • 第一の晩
4日夜、ベアトリーチェに呼び出され親たちが彼女と礼拝堂にて対面。
5日朝、食堂に「礼拝堂」と書かれたメモが発見されたので使用人たちと楼座が確認に行くと、礼拝堂の扉に魔法陣と、
「HAPPY HALLOWEEN FOR MARIA」というメッセージが描かれ、扉は施錠されており、一個しかない礼拝堂の鍵は紛失していた。
真里亞が先日ベアトから渡された封筒に心当たりがあった楼座は真里亞のバッグから封筒を抜き取り中に封じてあった鍵を取り出して礼拝堂を解放。
中には6人の親たち(蔵臼、夏妃、絵羽、秀吉、留弗夫、霧江)がテーブルを囲みながら眠るように息を引き取っていた。
テーブルにはハロウィンのパーティー用お菓子が並べられ、死体の腹は引き裂かれ内臓がえぐり出されており、
内臓の隙間にキャンディーやラムネを詰め込まれていた。

  • 第二の晩
混乱する朱志香を部屋に送った嘉音。
そこへベアトが彼女を襲い、朱志香を守るべく嘉音と戦闘に。
だが力及ばず二人とも死亡。朱志香はアスモデウスの杭で、嘉音はサタンの杭に貫かれ、嘉音の死体はベアトに持ち去られてしまう。
異変に気付いた一同が朱志香の部屋に来てマスターキーで部屋に入るが、中には朱志香の死体しかなかった。
個別の鍵は部屋にあり、嘉音の所有していたマスターキーは朱志香の服のポケットに入ってあった。
状況からマスターキーを使える使用人が疑われたが…。

  • 第七、八の晩
厨房で源次、紗音、熊沢、郷田、南條が食事中、勝手口に胸を刺され負傷した嘉音が現れる。
すぐさま使用人室に運ばれるが、その嘉音は魔法で操られた死体だった。
嘉音は熊沢、南條を、喉元を魔法の刃で掻き切って殺害したが、紗音が持ち出した蜘蛛によって消滅。
源次たちは異変を楼座たちに知らせに行くが、全員を連れて帰ってきた頃には熊沢と南條の死体が消失していた。
その間ずっと使用人室は施錠されており、鍵は使用人室のキーボックスにあり、外からの開封はマスターキーを用いて行った。
使用人室内にあった手紙には南條が預かっていた嘉音のマスターキーと、熊沢のマスターキーが同封されていた。
これを機に、使用人の芝居を疑った楼座は、全てのマスターキーを没収し、自分の管理下に置く。
その後源次によって、中庭で二人の死体が発見された。
南條は膝をベルフェゴールの杭で、熊沢は足をレヴィアタンの杭でえぐられていた。

  • 第四~六の晩
魔女に有効な夏妃の魔除けの鏡を使おうと、譲治、紗音、郷田は夏妃の死体から彼女の自室の鍵を取り、夏妃の部屋へ。
だが礼拝堂から追ってきたベアトによって部屋に入った直後に郷田は死亡。
紗音が魔法シールドで善戦するも、甲斐なく二人とも敗北。
そして、源次の証言で異変に気付いた楼座たちが駆けつけると、扉には血の手形が付けられ施錠されており、
中にはマモンの杭で頭をえぐられた紗音、ベルゼブブの杭で胸をえぐられた郷田、ルシファーの杭で腹をえぐられた譲治の死体があった。
なお、紗音の死体は杭が刺さっておらず、化粧台に突っ伏した状態で発見された。
これまでと同様、部屋の鍵は部屋の中にあった。

  • 第九の晩
施錠したはずの客間に、ベアトリーチェの手紙が置いてあった。
それにより、互いが互いを疑い泥沼に陥った戦人と楼座。
絶望した戦人は魔女への屈服を宣言する。
そして、想い人に逢えず嘆き悲しむ金蔵の前に、ベアトリーチェが現れる。

  • 第十の晩
23時30分、源次に導かれ戦人は金蔵の書斎でベアトリーチェに対面する。
争いに負け、完全な屈服を宣言しながら……。
一方楼座は、真里亞を連れて山羊の群れから逃げ続け、銃や黄金で抵抗し続けていたが……。






CS版


PSP版とPS3版に収録されている。


漫画版


月刊Gファンタジーに連載されてた。
全5巻で、作画は鈴木次郎。
濃厚なグロ描写とベアトをはじめとする大人たちの悪人面&絶望顔に定評がある。


アニメ版


第6話~第11話の全6話で描かれた。
尺が少ないために展開が駆け足気味で、最低限原作の大筋をなぞっただけの出来となっている。その影響もあって、演出は非常に淡泊なものとなっている。
序盤と終盤を大幅に省略し、中盤の推理パートや魔法バトルパートに尺を割く構成となっている。そのため、原作でも評価が高かった楼座無双が大幅に省略されている。またお茶会パートでは楼座の過去回想が完全カットされているために、ベアトリーチェのセリフが分かりにくくなっている。

小説版


講談社BOXで上下巻で発売。

勝者は、黄金の魔女、ベアトリーチェ。
18人の誰も、碑文の謎を解けず、時間切れのため。
18人は全員死亡。
うみねこのなく頃に、生き残れた者はなし。




















以下、判明している謎のネタバレ(漫画版を基にした)





跪き妾の項目に追記・修正をせよ。お前を屈服させたくてアニヲタWikiに呼びつけたのだから。




「うおおおおおおお来いよォオオオォ!!真里亞が追記修正してくれた項目を食らいたいヤツから前へ出ろよォオオオオ、
うをおおおおおおおおおおオオオォオオオォオッ!!!」

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最終更新:2024年04月05日 18:33