ホルス(神名)

登録日:2015/12/01 Tue 11:37:53
更新日:2024/03/01 Fri 22:11:36
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■概要

「ホルス」はエジプト神話の天空神。
古くから上エジプトにて狩猟の成功と勝利を願う神として信仰されていたと考えられている。
後にオシリス神話に組み込まれる中で、父の復讐を果たし王権を奪取する英雄神としての属性も加えられた。

へリオポリス神学の掲げる重要な神性ではあるものの、通常は9柱神からは外されている。

しかし、父親とされる太陽神ラーと共に規格外の神として別格的な扱いを受けており、9柱神の末席に加えられたり、他の神との入れ替えがされる場合もある。

■姿

天空神としてはの頭部を持つ勇猛な男神として顕され、象徴化された場合には隼その物の姿でも顕され、ファラオの像にも隼の留まる姿を見る事が出来る。

英雄神としては敢えて貧弱な肉体を持つ幼児の姿で顕されており、不完全性が逆に神秘や神性の象徴となっている模様。

ホルスの左眼の象徴化として「月」の象徴とされたウジャトの眼もホルスを顕す重要なシンボルであり、死者をラーの船に乗せて安全に冥界に運ぶ為の祈りを捧げられた他、セトに抉り出された左眼をトートに癒された、との神話から治癒と障害の打倒を願う護符として信仰された。

■由来

天空を飛ぶ隼を神格化した神性で、天空の支配者、全てを見通す戦勝の神としての信仰が古代よりされていた。

紀元前3000年頃に上下エジプトを統一して第1王朝を築いたメネス王の氏神でもあり、王朝の樹立と共に太陽神ラーと習合させたラー・ホルアクティ(地上のホルスとしてのラー)として王権の象徴とされた。

これによりホルスの勝利は現人神たるファラオの勝利をも意味する様になり、歴代のファラオの守護者として認識される様になっていった。

元々、天空神として太陽と月を両眼とするとの信仰があった事もあってか、太陽神ラー、月神トートとは神話でも強い結び付きを持たされている。

ラーとは実の親子にして、地上に於ける代理人と呼ばれる。
トートとは、オシリス神話にて守護を受ける他、ある神話では誕生にまで関わっている(意味深)。

エジプト神話に限った話では無いが、古代宗教や神話では同じ神に関わる伝説なら時系列や矛盾に関係なくマッシュアップされてしまう事が多いが、ホルスの場合は特にそれが顕著であり、そうした出自の神話から派生した天空神ホルスとしての姿とは別に、復讐を果たす英雄神ホルスとしての神話もある。

オシリス神話では死したオシリスと処女母イシスから魔術の力で生まれた子供であり、母であるイシスの他、戦の女神ネト(ネイト)やトート(トト)らの力を借りて、叔父である嵐神セトを打倒する。

天空神としてのホルスと英雄神としてのホルスは大きく姿を変えこそするものの「勝利」を奪う神としては共通した特徴を持つ。


■異名

古い神、信仰の広い神だけに異名が多い。

【天空神系】
■ホルアクティ(地平線上のホルス)
ラー・ホルアクティとしては「日の出」を意味する。
■ホルベヘデティ(エドフのホルス)
太陽神の息子。ハトホルの夫。
■ホルミオス(獅子)
■ハルマヒス(スフィンクス)
エジプトのスフィンクスはホルスの化身とされている。

【英雄神系】
■ホルサイセ(イシスの息子)
■ハルポクラテス(幼児ホルス)
上記2つを続けてホルサイセ・ハルポクラテスとなり、エジプト版の元祖「聖母子像」となる。
■ハレンドテス(復讐者ホルス)
セトに復讐を遂げる英雄の姿で、更に古代の豊穣神ミンと同一視されたと云う。


関連する神性

ラー
太陽神。
父神であり、習合相手。
天上のラーの代理人、或いは化身としてのホルス=ファラオの象徴となっていった。

オシリス
冥界神。
オシリス神話では父神であり、殺されたオシリスの無念を晴らすべく立ち上がる事になる。

イシス
魔術と玉座の神。
オシリス神話では母神であり、この場合のホルスはイシスに抱かれる未成熟の肉体を持つ幼児神として顕される。
イシスに抱かれたホルスは、古代オリエントに共通する「冥界から復活する豊穣の神」の属性を引き継いだ姿であり、その役目をオシリスと分け合ったバアルの様な英雄神であり、後にはキリスト教の掲げる救世主イエス・キリストの属性にも影響を与えたと考えられている。
また、英雄神の復活に関わる母であり、恋人でもあるイシスや、同系統の水脈と大地の豊穣の女神の属性は聖母マリアに、これらの女神が持つ女性性の暗い側面は、秘儀の場に於いてのみ語られる魔女の女王リリト大天使ガブリエルへ続く系譜を生み出したと考えられている。
※事実、最初期のマリア信仰の教会はイシス信仰の神殿を改装したものだった。

■ネイト(ネト)
エジプトで古くから信仰されていた狩猟の女神。
オシリス神話ではホルスを助ける。
ギリシャ人はアテナと同一視した。

■セベク(ソベク)
ワニの顔を持つ水神にして軍神、ネイトの息子にあたる。
ホルスがセトと水上戦を繰り広げた際、ホルスに助太刀したとされる。

■ハトホル
牝牛の角を持つ女神で、天空神としての属性を持つ。
「ホルスの家」の名前を持つ事からホルスの妻か母とされている。
後に、それらの属性はイシスに吸収されてしまった彼女はホルスの乳母とされたが、ホルス=ファラオの乳母として王妃と同一視された。

セト
同じ上エジプトに起源を持つ嵐神で、オシリス神話では叔父神にされた。
ホルスとは表裏の存在とされる程に因縁が深く、そうした事情が宿敵同士として神話内に組み込まれたと見られている。
ホルスとの戦いでは左眼を奪うも、脚と睾丸を奪われて殺害されている。
……こいつタマとか攻めだしましたよ?やっぱ好きなんすねぇ……。

他メディアに於いては



2012年12月14日に追加されたエジプト神シリーズのレアガチャモンスターの1体として登場。
レア度5の超激レアモンスターであり、5属性のドロップの内どれか4属性を同時消しする事により敵に大ダメージを与えるリーダースキルが非常に強力だった。
その後はサクヤ等のより強力な超激レアモンスターが多く登場してしまったためリーダーとして使う分には影は薄れていったが、後に究極進化が追加されたり、正月限定ガチャに正月Verが登場したり、パズドラクロスで主人公のエースにこいつのソウルアーマーをクロスオンしたイラストがかっこよく描かれる等色々な面で優遇されている。


2014年6月18日に始まった「太陽と神々の讃歌」イベントのガチャ限定モンスターの1体として登場。
こちらでは何故かガチャのハズレ枠であり、それ故にあまり強くなかった。
ストライクショットもただのスピードアップ、友情コンボも他のモンスターの友情コンボを誘発させるものだったりと微妙すぎな性能、そしてあまりハズレ枠故にあまりネタにされない等上記のパズドラの方と比べて散々な扱いだった。
しかし後に上方修正が行われ、友情コンボ強化、更に戦型が砲撃型に変更される…と今までよりは使いやすくなった。え、キャラが揃ってきたらあんまり使わない?制限クエストで使えるでしょ。
因みに分かりづらいが、性別は女性である。


長きに渡って連載の続く、文字通り奇妙でスタイリッシュなバトル漫画にもこの神をモチーフにした存在が出ている。
幽波紋、すなわちスタンドの概念が登場した第三部にて、DIOの手下であるペット・ショップが用いるスタンド『ホルス神』として登場。
見た目は「骨になったプテラノドン」といった感じのデザインで、翼の代わりに六本の腕が生えている。羽こそ無いが、ペット・ショップに追従して空を高速で飛翔可能。
能力は『自在に冷気を操る』というシンプルながらも強力なもの。六本腕より放たれる鋭い氷柱は金属すら易々と貫通し、更には爆発まで起こして敵に深手を追わせる。
ここにハヤブサでありながらも人間に匹敵する知能と邪悪さを持つペット・ショップの戦略的な戦闘スタイルと、鳥であることを活かした文字通りの制空権の支配が合わさる事で、『殺戮追跡機械』という二つ名に違わぬ恐ろしい強敵になる。


元々エジプト神話と縁の深い国産TCG『遊戯王OCG』だが、もちろんホルス神モチーフのカードがある。
LVモンスターの先駆けにして、かつては【お触れホルス】というデッキでその名を知らしめたドラゴン族モンスター『ホルスの黒炎竜』がそれ。
金属質な銀の外皮を持つドラゴンであり、口からは黒炎竜の名の通り漆黒の禍々しい炎をブレスとして放つ。
ほとんどの形態が魔法カードをメタる事を重視した効果を持ち、最終形態のLV8になると魔法カードの発動すらを許さない強烈なロックを永続的に展開。
これに罠カード使用不能を強いる王宮のお触れを合わせることで、魔法・罠を完全に封じる制圧型デッキが上述の【お触れホルス】で、昔はガチデッキの一つとして暴れていた。
また、ホルスの黒炎竜のリメイクを兼ねた「ホルス」というテーマも登場しており、こちらは豊富な墓地肥やしと星8モンスターを一瞬で複数体並べられるポテンシャルの高さから、公認・非公認の場を問わず様々なデッキの便利要員として活躍している。


中々新作が出なかったが、最近ついに新作が出たフロムの硬派ロボゲー作品「ARMORED CORE」。この作品にも実はホルスに関連するものが複数回出ている。
それがARMORED CORE 3 SILENT LINEの上位ランカー「フォグシャドウ」の乗機「シルエット」と、ARMORED CORE 4の「ジョシュア・オブライエン」、およびARMORED CORE for Answerの「Unknown」の乗機「ホワイト・グリント」。
彼らの象徴であるエンブレムは「ウジャトの眼」、要するにホルス神の眼をモチーフとしたもの。
また、彼らは揃って凄まじい機動力を活かした高速戦闘を得意としており、ハヤブサの如し急襲でプレイヤーを翻弄する強敵となっている。


韓国からやってきたソシャゲ界の刺客、透き通るような世界観の青春群像劇ソシャゲ「ブルーアーカイブ -Blue Archive-」。
作中に登場する学園は「ソロモン72柱や地獄の魔神」、「旧ソ連の独裁政治」、「キリスト教の光と影」等の様々なモチーフを持っている。
そんなアクの強い学園の一つにして、主人公である「先生」が深くかかわっていく元・マンモス校にして今は廃校寸前の零細学園「アビドス高等学校」はその名の通りエジプト神話がモチーフで、メインヒロインのシロコ等はエジプトの神々が元ネタ。
そして、そこに属する女子生徒「小鳥遊ホシノ」のモチーフがホルス神となっている。
小柄で可愛らしい風貌と、「おじさん」を自称しのほほんとした言動で周囲を和ませるが、その裏ではどこか影を抱えた少女。
彼女が携えた折り畳みシールドは「Iron Horus」、それと共に用いるショットガンは「Eye of Horus」という名前であり、彼女の象徴であるヘイローもウジャトの眼を模したもの。
また、過去の彼女は「暁のホルス」の二つ名で恐れられていた強者で、猛禽類を思わせる剣呑で鋭い雰囲気の人物であったという。






追記修正は復讐を果たしてからお願いします。

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最終更新:2024年03月01日 22:11