富江(登場キャラクター)

登録日:2015/11/29 Sun 20:38:06
更新日:2023/11/11 Sat 16:17:49
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「私は富江」



富江は伊藤潤二の漫画作品『富江』の主人公にして、シンボルであり、被害者であり、加害者。


【概要】

伊藤潤二作品では奇怪な舞台設定と云う前置きがあり、それを原因として起きる怪異が描かれているが、『富江』の場合は常にそれが「富江」を原因として発生しているのが特徴。

伊藤潤二の繊細な筆跡により描かれた富江の蠱惑的な魅力と狂気の世界が“これでもか”と描写されているのが何よりのウリである。

初期は割と普通のホラーだったのにシチュエーション的にシュールが過ぎて笑える展開になったりもしている……のだが、
その分だけ作画のレベルが上がっていくので、どう見ても笑わせようとしてるとしか思えない場面が人によっては一生もののトラウマシーンになる可能性もあるので注意が必要。

富江の設定も基本的には変化が無い筈だが、シチュエーションが違いすぎる所為か「もはや何でもあり」に見えてくる程である。

なお富江という名前は死んだはずのキャラクターが実は生きていたということで、歌謡曲の「お富さん」から取られた。結構軽い……。

【人物】

正体不明の美少女。
外見年齢は10代後半位*1で、泣きボクロがチャームポイント。
老若男女問わずに振り返る程の美貌の持ち主であり、その言葉には人を惑わす怪しい魅力がある。
写真を撮ると何故か顔が醜く歪んだ姿で写ってしまう。

性格は悪いの一言で、自分の美貌を盾に他人を見下し、嘘を吐く。また自尊心が非常に高い高慢な性格である。
また意識的なのか無意識なのかは定かでは無いが、自分に興味を持った相手を的確に嗅ぎ分け、近づき、誘惑する。
要は可愛いだけの糞女であり、作中でも常にそれを指摘されているが、普通の女では無いのでそれ位の事で富江の魅力の虜になった人間が富江から離れる事は不可能である。

また、食べ物を要求する時には決まってフォアグラとキャビアの名前を出すお約束があるのだが、初期作品では明らかに名前しか知らない(実物を知らない)と思わせる描写となっており、このことから誕生(発生?)は相当に惨めな環境だったのではないか?とも考察されている。
一応、後期エピソード(『ある集団』)ともなると念願であったキャビアやフォアグラも経験済みと思われる描写となっているのだが、お味を召したかは不明である。

最終的に富江の虜となった人間は様々な理由から富江を殺そうとしたり、実際に惨たらしい方法で富江を殺す事になるのだが、そこからが本当の悪夢の始まりである。


【能力】

最大の特徴は死なない事と「異常な再生能力
死に関しては、一般的な意味での不死身とは違い、殺される度に死の感覚や苦痛はあるらしく、自分を傷つけた者や殺した者には激しい憎悪を燃やす。

基本的には死ぬ時も復活時も同じ年齢と外見なのだが、ある人物の実験によってロリ化して復活した事や、復活に失敗でもしたのか赤ん坊の様な姿をしていた事もある。しかし、老いた姿は幻を除いては登場していない。

いつから生きていたか……等の過去は一切不明。
劇中では「川上富江」が正式な名称として扱われているが、元々の姓名かどうかも不明であり、本当の意味でのオリジナルが存在したのかどうかも不明。
……尚、富江自身も己のこうした特性を本心では嫌っており、「バケモノ」呼ばわりされると我を忘れて激昂する。


富江の特徴

※以下が基本パターンだが、これに依らないエピソードもある。

  • 死なない
軽い傷なら回復。
重傷なら流石に死んでしまうが、身体の一部から復活する。頭を切り落とされても胴体から新しい頭が生えてきた事もあり、逆に首から体が生えてきた事もある。
作品によっては燃やされると復活できない設定になっているが、『アナザフェイス』では灰の状態からでも復活していた。

  • 増える
最大の脅威。
何故か体をバラバラに解体される事が多いが、その分だけ肉片が再生しプラナリアの如く分裂・増殖してしまう事になる。
単位はまちまちだが、かなりの細切れ状態や血液から再生した事もある。
「もろみ」のエピソードでは細切れにしている最中に肉片が増殖したと云う悪夢の様な体験が語られている。
また、感情が高ぶると勝手に肉体が分裂しようとする事も。*2

分裂のバリエーションだが、物語の主題になる事も多いので追記。
富江の血液なり肉体の一部が他人に入り込むと、やがては富江に作り替えられてしまう。
ただし、髪の毛を移植した女子高生のエピソードの時には富江本人は復活せずに奇妙な伝播の仕方をした。

  • 殺し合う
勝手に増殖する性質がある癖に、何故か個人である事に拘りがあり富江同士は殺し合う。
自尊心の高さから他の存在が許せないのかもしれない。
ただし、状況によっては殺し合わずに単独で行動出来るようになるまでは集団で過ごす事も。
また、発生が近い(分裂した?)富江同士は記憶まで共有している事もある。


【主な関係者】

基本的にはオムニバスだが、時間軸の近い初期作品ではレギュラー的なキャラクターが存在していた。

■高木
記念すべき第一作の登場人物であり富江のクラスの担任教師。
彼女の虜の一人であり、男子生徒達と共に彼女を殺害し証拠隠滅の為に遺体をバラバラにして捨てた。
その後は精神を病んだのか病院に入っていたが脱走。
以降は再生した富江達を探し当て、彼女に協力したり、肉体の秘密を探ろうとした。

■泉沢月子
写真好きの女子高生。
友人達に好きな男子の写真を撮影して高値で売ったりする等、したたかな性格の持ち主。
想いをよせる山崎が富江に惹かれてしまい、山崎に依頼されて富江の写真を撮るが、
それが富江のおぞましい本性を捉えてしまい、富江と敵対する事になった(これにより富江は写真がトラウマになった)。
富江の方から月子に干渉してきた事もあるが、敵意だけを持たれていた訳でもない模様。

■山崎
月子が想いを寄せていた先輩。
既に富江の虜となっており……。
病院に入院した彼が見つけたカーペットの変化は現実だったのだろうか……。

■男(リョウ)
彼のみは後期作品の登場。
ある町で生まれた赤ん坊に富江の血液を注射する実験をしていた、全身が焼け爛れた不気味な男で、それを隠すために帽子とコートを着用している。
これでも元モデルで、富江とはその時に出会ったと云うが……?
高木と共にもっとも長く富江に取り憑かれた人物だろう。


【アニメ化】

2018年の1月から放送されているTVアニメ「伊藤潤二『コレクション』」で末柄里恵氏が富江役を担当。






「何よ、こんな項目に追記修正……下も下ね!」


「きゃああああああ!ちょっと何するの!?いたい!いたい!いた…………い……」



「……つ」

「いき…」

「しゅ…せ…」

「つい…しゅせ……して……」










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最終更新:2023年11月11日 16:17

*1 基本的には少女として振る舞うが、物語によっては成人らしい振る舞いをしていた事もある

*2 バラバラにするとか血なまぐさい話題が多いが、富江の肉塊は芳香を放っているので酔っているようになるらしい。『もろみ』ではそれを原料に酒を醸造した事がある。