悪魔のいけにえ(映画)

登録日:2015/11/23 Mon 12:36:17
更新日:2024/04/22 Mon 20:00:56
所要時間:約 7 分で読めます




■悪魔のいけにえ

『悪魔のいけにえ(原題:The Texas Chain Saw Massacre=テキサスのチェーンソー大虐殺)』は1974年の米国のホラー映画。
原案、脚本、監督はトビー・フーパー。
低予算(現在の日本円で4千万位とされる)ながら、堅実な映像作家と言われていたフーパーが挑んだ意欲作で、その無慈悲なまでの残酷描写が大いに注目を集め、社会的に規制が叫ばれる反面、怖いもの見たさから世界的なヒット作となった。
その芸術的とも呼べる殺人描写の演出から、ニューヨーク現代美術館にマスターテープが保管されている事でも知られる。
07年には『テキサス・チェーンソー』としてリメイク化。
好評ではあったが、オリジナルの奇跡的なバランスの再現は流石に出来ていない。…むしろリメイクの登場人物であるチャーリー・ヒューイットがレザーフェイスの立場を食う結果となってしまった。



【解説】

嘗て米国で発生した最も残酷な連続殺人事件をモチーフとする……として制作された、80年代に隆盛を誇ったゴア描写満載のスプラッターホラーの開祖的作品。
尚、現実の殺人事件と云うのはエド・ゲイン事件との類似を指摘されてからの後付けであり、関連して語られる様になった経緯や時期については諸説があるものの、少なくとも撮影時にはフーパーにエド・ゲインによる連続殺人の情報や知識が無かったのは確かなようである。
よって、開始時の有名な文言は宣伝用の嘘なのだが、それが余りにも真に迫っていた為か“エド・ゲイン事件を大幅に脚色した作品”として現在でも繰り返して話題に上がる事が多い。*1
また、当初は残酷描写と本作を象徴するキャラクターである“レザーフェイス”に注目が集まったが、後には本来は主人公とするべき被害者達の心情を描かずに淡々と結果だけを積み重ねていくプロットや、加害者となるキ○ガイ一家のリアリティある異常心理描写に注目が集まり、活発な分析や研究がされていく様になった。
残酷描写についても実は直接的な表現は本作の時点では殆ど存在しないのだが、ハプニングをも利用した真に迫った場面は、直接的なグロ描写を売りにする様になった次作以降よりも遥かに“怖い”と言われている。


【物語】

この映画は 若者達の惨劇の物語だ
生贄の5人の若さが哀れさを増す
長く生き延びても 同様の異常な衝撃には出くわさなかったろう
悪夢と化したドライヴ
この事件こそ
米国犯罪史上 最も異様な
テキサス自動鋸大虐殺



……1973年夏。
墓荒らしが頻発するテキサスの片田舎へと帰郷した5人の若者が遭遇した奇怪で残酷な事件。
異様なヒッチハイカー、奇妙な態度のスタンド店主。
ガソリンを求めて近くの民家を訪れた彼らであったが、その民家こそが墓荒らしと連続失踪事件の犯人である殺人鬼一家の住処であった……。



【登場人物】

■サリー・ハーデスティ
演:マリリン・バーンズ 吹替:泉晶子(TV版)/坂井恭子(BD新録版)
多分、彼女が主人公。
撮影時の逸話が凄まじすぎる。
最早、演技も中の人も漢女である。

レザーフェイス(ババ)
演:ガンナー・ハンセン 吹替:福士秀樹(TV版)/中林俊史(BD新録版)
中の人は作家さんでもあるとか。
余りにもインパクトのあるキャラクターから、後輩のジェイソン、フレディ、マイケル(ブギーマン)らと共にホラー映画四天王に挙げられている。
※一応、レザーのみは普通の人間なのだが。

■ヒッチハイカー(スリム)
演:エドウィン・ニール 吹替:青野武(TV版)/青山穣(BD新録版)
手も演技もキレすぎである(笑)。


■コック(ドレイトン)
演:ジム・シードー 吹替:坂口芳貞(TV版)/池田ヒトシ(BD新録版)
解体一家の長男。
殺しは苦手。
オリジナルキャストでは彼のみが次作に続投している。

■グランパ(じい様)
演:ジョン・ドゥーガン 吹替:小野丈夫(TV版)/越後屋コースケ(BD新録版)
えっ生きてんの?……と云う衝撃。

■カーク
演:ウィリアム・ヴァイル 吹替:田中秀幸(TV版)/小松史法(BD新録版)
イケメン。
パムとは恋仲の模様。
ガソリンを求めて民家に入り込んだ所為で……。

■ジェリー
演:アレン・ダジンガー 吹替:石丸博也(TV版)/中林俊史(BD新録版)
お調子者の眼鏡。
姿を消したカークとパムを追うが……。

■フランクリン
演:ポール・A・パーティン 吹替:秋元羊介(TV版)/駒谷昌男(BD新録版)
障害を抱えており、車椅子に乗っている。
そうした事情もあってか、妹のサリーへの依存が異常に強い。
彼の存在が次作での笑劇に繋がっている。

■パム
演:テリー・マクミン 吹替:高橋ひろ子(TV版)/森夏姫(BD新録版)
占い好きの美人。
後ろ姿が裸にも見える衣装を中の人は恥ずかしがっていたらしい。

■カウボーイ(レッド)
演:ジェリー・グリーン 吹替:郷里大輔(TV版)/?(BD新録版)

■アナウンサー
吹替:蟹江栄司(TV版)/?(BD新録版)

■ナレーター
演:ジョン・ラロケット 吹替:?(TV版)/青山穣(BD新録版)
(クレジット無し)



【余談】

奇怪なオブジェ等の素材には実際の骨も使用されており、更に撮影用に本物の臓物や血液まで使用した為に、現場はかなりの悪臭を放っていたとの事。
撮影時はそうした異常な状況もあってか、スタッフも役者も吐き気を堪えながら撮影する中で変なテンションになっていたらしく、主演女優を騙して手を切る、本物のガラスに飛び込ませる等“本気で殺しかねない”状況だったとか。
レザーフェイスの中の人も最後の場面で本当に足を切ってしまっている*2等、技術的な制約のあった時代とは云え、危ういエピソードも多い。

ちなみに、レザーフェイスの中の人は後にB級モンスターパニック映画『モスキート』に銀行強盗役で出演した際、何とチェーンソーを装備してファンサービスにも程があるメタ発言まで飛ばしている。



【シリーズ一覧】

■続編

■リメイク
  • テキサス・チェーンソー(2003年)
  • テキサス・チェーンソー・ビギニング(2006年)



【ゲーム】

83年にATARI2600で発売された。
日本では殆ど無名だったが、某AVGN動画にて日本でも知られる様に。
ピー--ーーーーーーーー!!
本職の役者まで呼んで作ったパロディは異常に出来が良く必見。
第1作以上に次作『悪魔のいけにえ2』ネタが多い為、本作と共に『2』を鑑賞してから見ると楽しみが増すのは確実(序でに『3』も……そこまで来たらリメイク版も)。
2017年9月に非対称型対戦アクションホラーゲーム『Dead by Daylight』に「THE CANNIBAL」名義でババ・ソーヤーが参戦。
元々ヒルビリーというババ・ソーヤーを元ネタの一つとするキャラがいたのだが本人も参戦してしまった。

『The Texas Chain Saw Massacre』2023年に発売された非対称型対戦アクションホラーゲーム。
上述の『Dead by Daylight』と似たタイプのゲームだが、サバイバー4人に対して一家3人が襲いかかるという両陣営に複数人が関わるシステムになっている。
また一家には原作には存在しないオリジナルキャラが実装されている。この新しい家族たちは映画では採用されなかった案から創り上げられたとのこと。
毒をばらまきながら剃刀で襲いかかってくる若き女性のシシーなど、原作にいないはずなのにいてもおかしくないくらいの仕上がりをしている。


追記修正は暁にチェーンソーダンスを舞いながらお願いします。

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最終更新:2024年04月22日 20:00

*1 実際に、後にはフーパーも「本作はエド・ゲイン事件からインスパイアされたもの」と答えていたりする。

*2 ただし、これについては本当に切っていたら洒落にならないので、実際には鉄板を挟んで切れる場面を見せるための撮影だったという説(証言)もある。チェーンソーが足に当たった際にレザーが叫んでいるのも、鉄板が摩擦熱で熱くなってしまい火傷をしたためらしい。