薬師如来

登録日:2015/11/20 Fri 11:39:41
更新日:2021/07/01 Thu 22:52:10
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■薬師如来(やくしにょらい)


『薬師如来(梵:バイシャジャ・グル)』、正式には『薬師瑠璃光如来(梵:バイシャジャ・グル・ヴァイドゥーリャ・プラバ・ラージャ=薬師如来即ち東方浄瑠璃世界の王)』は大乗仏教(顕教)の尊格。
現在知られている顕教の如来の中でも、最も古い時期から日本にも伝来して広く信仰を集めた。
東方浄瑠璃浄土(世界)の教主であり、菩薩の時に誓った衆生を助ける「十二の大願」の成就を目的としている。
こうした直接的な現世利益に基づいた功徳が伝えられ、それが信仰の理由となった事から癒やしの仏として“大医王仏”の通称を持つ。
ここから、手にした薬壺により凡る病を癒す現世利益が信仰対象となっていた。
我が国では国分寺系の寺院の多くで本尊となっている事で知られる。
脇侍として日光、月光菩薩を従えており、二菩薩を加えた三尊形式での作例が多い。
また、薬師と夜叉(梵:ヤクシャ)の名前の類似からか、十二神将として知られる十二夜叉大将を従えている。


由来

凡る物が七宝で出来ていると云う瑠璃(ラピス・ラズリ)の様に清浄な世界である東方浄瑠璃浄土(世界)の教主。
大乗仏教の興った頃には既に存在していたとも考えられている顕教の代表的な如来である。
特別な教義の主役とはならなかったものの、日本にも飛鳥時代に伝来して以降、現在まで“癒やしの仏”として親しまれている馴染み深い“仏様”でもある。
大乗仏教の思想が定着していく中で、出家して己自身が仏となる道を目指す元来の仏教修行とは別に、仏法の功徳を抜き出して衆生を救済するべく、釈迦の言葉を解釈した功徳を分化して衆生を救う信仰とする動きが生まれており、薬師如来もその流れの中で直接的に人々を救う現世利益を齎す仏として登場したと考えられている。

どちらかと言えば在家信者や民衆に人気が出た尊格の為か、実際の修行に励む場に於いてはそこまでは重要視されておらず、積極的に仏との一体化を目指す密教系の信仰でも余り教義の深くにまでは入り込んでいない。
しかし、7世紀に「大日経」として纏め上げられる以前の原始密教の曼荼羅の中尊として姿が描かれているのが発見されている。
東方を司る如来と云う事もあってか、大乗仏教の黎明期に生まれ、後には密教思想の中心である五智如来の一尊となった阿閦如来と同体とする説もある。


姿

崇拝対象としての釈迦如来と同じく、シンプルな如来の姿をしている。
当初は右手施無畏印、左手与願印の構えを取る如来に共通した姿が伝えられていたが、奈良時代に国分寺系の寺院の本尊として薬師如来のみの特徴を持つ像形として右手是無為印に左手に薬壺を乗せた像が作られる様になり、平安時代以降には完全に定着した。
光背に大乗仏教が定着する中で見出された釈迦以前の過去六仏(如来)の化仏(シンボル)や菩薩が浮かぶパターンもある。
また、最澄が開いた比叡山延暦寺にて薬師如来立像が本尊として置かれたのに倣い、天台寺院での作例も多い。

尚、薬師如来像の作例は朝鮮、日本の東方世界に多く、中国でも敦煌を除いては作例が確認されていないと云う。

種字

■ベイ

真言

■オンコロコロセンダリマトウギソワカ



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最終更新:2021年07月01日 22:52