アステリオス(Fate)

登録日:2015/11/10 (月) 00:09:15
更新日:2023/11/14 Tue 01:52:49
所要時間:約 12 分で読めます




―――ぼくは、あすてりおす。

ぼくのなをよんでくれるひとがいてくれるかぎり。ぼくはおまえをきょぜつする…!!



Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント
クラスはバーサーカー

ILLUST:しまどりる
CV.鳥海浩輔


身長:298cm
体重:150kg
出典:ギリシャ神話
地域:ギリシャ
属性:混沌・悪


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
A++ A++ C D E A


◆クラス別スキル
狂化:B
ヘラクレスと同ランクの狂化レベルだが、アステリオスはたどたどしくはあるが言葉を喋り、意思疎通が可能。


◆保有スキル
怪力:A
一時的に筋力を増幅させる。魔物、魔獣のみが持つ攻撃特性。
使用する事で筋力をワンランク向上させる。持続時間は“怪力”のランクによる。

天性の魔:A++
英雄や神が魔獣と堕としたのではなく、怪物として産み落とされた者に備わるスキル。
アステリオスは、人の身では絶対に不可能なランクの筋力と耐久力に到達している。

深淵のラブリュス:C
彼が所有する二振りの巨斧。迷宮の象徴であり、ラビリンスの語源でもある。
儀礼式用の片手斧を背中合わせで装着する事で「諸刃」とした巨大な斧。アステリオスは、それを分離して使用している。


宝具
『万古不易の迷宮(ケイオス・ラビュリントス)』
ランク:EX 種別:迷宮宝具 レンジ:0 最大補足:14人

「まよえ……さまよえ……そして……しねぇ!!」

アステリオスが封じ込められていた迷宮の具現化。
固有結界に限りなく近い大魔術であり、世界の下側に作り出される。
アステリオスは「己がかつて生きていた場所」を回想するだけであり、一旦発現してからは、「迷宮」という概念への知名度によって道筋が形成される。
一定範囲内の侵入及び脱出を阻害する結界としての効果も持ち、その結界を解除するにはアステリオス自身が宝具を解除するか、迷宮に潜ってアステリオスを討つしかない。
ただでさえ迷宮は広大な上に、魔物がウヨウヨしているのでアステリオスの元に辿り着くことすら困難。
しかもアステリオスが死ぬと迷宮が崩壊するというラスダンみたいな機能が付いているため、一度潜れば生還する事は極めて難しい。
まあGOではべらぼうな幸運を持つ女海賊に勘で踏破されるというまさかの事態になってしまったのだが。


性能は星1鯖だけあって素のステータスが低い(HPは全バーサーカー中最低)、さらに宝具がデバフだけと使いづらい印象が一見強い。

しかし最初からある「怪力A」で攻撃力を、霊基再臨で使用可能になる「天性の魔A++」で防御力を大幅に補強できる。
一見使いにくそうな宝具も高めの倍率のデバフが6ターンも続く優れ物であり、更に宝具強化クエストで1ターン攻撃力、防御力ダウン大が追加される。
この攻ダウン大も合わせると宝具のダメージすら大幅に軽減でき、きっちり決めれば相手からのダメージを大幅に減らしアステリオスも含めた味方を場に残しやすくなる。
防御ダウンの方も後ろの味方の事実上の攻撃力アップになる。
その為ステータスの割に耐久力はかなり高く、宝具を連発できる環境があれば何度も宝具を打つことで防御バフなしで被ダメを0にすることもできる。

さらに強化クエストをクリアすると1ターンBuster強化&スター集中度UPの「深淵のラブリュス」を習得、「怪力」と組み合わせれば高い瞬間火力を叩き出せる。
このように、マスターが工夫すれば星1のアステリオスでも輝くことができる。要は使い手の愛しだいである。






アステリオス――――雷光という意味の名を持つ彼だが、後世の伝説においてその名で呼ばれる事はほとんどない。
与えられたもう一つの名があまりにも有名であるが故に。




それが彼が怪物として与えられた名前である。


ある時、クレタ島のミノス王は、海神ポセイドンから後で返すという約束で牡牛を借り受けた。
しかし、その牡牛の美しさに夢中になったミノス王は約束を違え、その牡牛をポセイドンの元へ返さなかった。
それに激怒したポセイドンは、ミノス王の妻・パシバエに「牡牛に性的な欲望を抱く」というあまりにもえげつない呪いをかけた。

その呪いによって牡牛と交わったパシバエが産み落とした牛頭人身の怪物、それが後に「ミノスの牡牛(ミノタウロス)」と恐れられるアステリオスであった。

その後、歳を重ねるにつれて狂暴になり、手に負えなくなっていったアステリオスをミノス王はダイダロスに命じて作らせた決して出られぬ迷宮「ラビリンス」に幽閉した。
そしてミノス王はアテナイからアステリオスの食料として9年毎に7人の少年と7人の少女を送らせていたが、
3度目の生贄の際、その中に紛れ込んでいた英雄テセウスによってアステリオスは討たれた。

生まれついての怪物は、生まれついての英雄に当然のように倒されたのだ。



と、ここまでがギリシャ神話におけるアステリオスの伝説である。

しかしこのアステリオスは、牛の被り物をしているだけで、普通に人間の顔をしている。角は生えているけど。

マイルーム会話ではとにかく拒否ってくる。「ほおっておいてほしい」「かかわるな」「くっちまうぞ」etc…
しかし戦闘になると子供みたいな喋り方になり、そのモフモフした外見と合わさって大型犬的な可愛らしさがある。


第3章「封鎖終局四海オケアノス」では、味方側のサーヴァントの一人として登場する。

黒髭に付け狙われているエウリュアレをラビリンスに匿っており、たまたまその島を訪れた主人公達と誤解から戦う事になってしまったが、
戦闘後にエウリュアレと共に一行に加わることに。
アン・ボニーの銃撃によって船底に穴を空けられた黄金の鹿号を持ち上げて島まで泳ぎきるという怪力っぷりを披露したりする。
(怪力スキルをつかったメドゥーサがロードローラーを持ち上げる程度でしかなく、ヘラクレスと同等ということからしてその凄まじさが分かる)
当初はビビっていたドレイク配下の海賊たちも、彼の男気に惚れて仲間として受け入れていた。なんと気持ちのいい連中だろう。

そして黒髭を倒した後、正体を現したヘクトールに攫われたエウリュアレを追ってイアソン率いるアルゴノーツと戦う事になり、
十二の試練を遺憾なく発揮するヘラクレスに追い詰められて窮地に陥ってしまう一行。
しかしアステリオスはエウリュアレを守るために単身でヘラクレスに立ち向かい、



「ころ、した、ころした、ころした、ころした!なにもしらない、こどもを、ころした!」

「ちちうえが、そうしろって。ちちうえが、おまえはかいぶつだからって!」

「でもぜんぶ、じぶんのせい、だ。きっとはじめから、ぼくのこころは、かいぶつだった」

「でも、なまえを、よんでくれた。みんながわすれた、ぼくの、なまえ…!」

「なら、もどらなくっ、ちゃ。ゆるされなくても、みにくいままでも、」


「ぼくは、にんげんに、もどらなくちゃ…!」



生まれついての怪物であろうと、その心までが怪物とは限らない。
彼が求めたものは、闇ではなく光であった。しかし、父によって怪物として生きる事を強要された彼がそれを得ることは無かった。

だからこそ、自分を怪物ではなく人間として扱ってくれたエウリュアレは、誰もが忘れてしまった本当の名前を呼んでくれた彼女は、アステリオスにとっての光であった。

そしてアステリオスはヘクトールが解放した宝具を自分ごとヘラクレスを貫かせるためにあえて受け止め、
英雄(かいぶつ)に一矢を報いた怪物(えいゆう)はヘラクレスと槍ごと海に沈んでいった。



「ますたぁ、も、なまえ、よんでくれた。みんな、かいぶつだと、きらわなかった!」

「うまれて、はじめて!うまれて、はじめて、たのしかった…!」

「ぼくは、うまれて、うれしかった!」

「えうりゅあれを、よろし、く…!ぜんぶ、えうりゅあれの、おかげ、で――」


「ぼくは、えうりゅあれが、だいすき、だ!」




アステリオオオオオオス!!


3章での大活躍によってその人気は急激に上がり、マイルームでモフる人が急増したとかしないとか。
しかしエウリュアレとの特殊ボイスはない。何故だ! イベントでも何でもいいから再会させてあげてくれ! 頼む!
ただ、FGOマテリアルによると、カルデアではうろうろしているか、エウリュアレに遊ばれて過ごしているらしい。クソッ! 幸せになれ!
さらに『教えてFGO』にて、同じくカルデア内を散策して道に迷ったぐだおと遭遇。
……カルデアスタッフによる迷子案内(依頼者:エウリュアレ)が聞こえる中、廊下で体育座りをして涙ぐんでいた。君もか。


そして3章クリア後に解禁される絆クエスト「その手を、君に」では自分の影と対面することになる。

怪物である自分の影(ミノタウロス)から「じぶん(おれ)を拒絶して生きていくのか」と問われたアステリオスはこう答える。



「ぼくは、ぼくを、きょぜつしつづけなければいけない。ぼくのすべてをひていし、ぼくのすべてをなげすてる」

「―――それが、ぼくの、ばつだ。それが、ぼくの、あがないだ」


アステリオオオオオオス!!


ちなみにタマモキャットの絆クエストにも登場していたりする。
エウリュアレを探しにきたところ、勘違いでステンノのいる形ある島に来てしまったらしく、狩りにやってきたタマモキャットと熾烈な縄張り争いを繰り広げることになる。
タマモキャットには牛肉として身柄を狙われていたが、無事逃げ出せた様子。
自分を狙うタマモキャットに邪悪を感じていたが、エウリュアレにもちょっとそんなところがあるそうな。よく分かっていると言わざるを得ない。

アステリオスの母親はパーシパエーだが、その姉はオケアノスのキャスター。つまり彼女はアステリオスの伯母さんにあたる。
彼女とのマイルームの会話では、アステリオスが彼女のことを「おばさん」と呼んでいることが語られる。一体誰に吹き込まれたんだろうねえ……。

2019年12月には、ゼウスの妃の一人であるエウロペが参戦。アステリオスの父・ミノスはゼウスと彼女の息子なので、関係性としては祖母と孫になる。
ミノスとアステリオスの間に血縁関係はないのだが、そんなこと気にしないエウロペからは「おばあちゃまと呼びなさい」と受け入れられ、抱きしめられて頭を撫でられるのであった。


亜種特異点・セイレムのシナリオを全てクリアした後、公会堂のフリークエストを3回クリアすると、隠しクエストとして番外劇『西遊記「獨角兕大王との戦い』が解禁される。
このクエスト内でアステリオスは獨角兕大王役として劇に出演し、三蔵法師たち一行とバトルを繰り広げる。演じ切れてない感がちょっとあるけど、そこはご愛敬です。
同行する手下の妖女役を演じるエウリュアレを「えう」と呼び、片方のゲージブレイク時には、二人の掛け合いが見られる。仲睦まじそうで良かったです。


2017年、Fate/Grand Order2周年記念で配布された概念礼装「英霊正装」シリーズでは水着姿を披露。正装かそれ?ちなみに、オケアノスの登場人物の正装は皆水着およびそれに準じたもの。
きょとんとした顔で、紅白縞模様の海パンにゴーグルと浮き輪、手には棒アイス
足首の鉄球は無くなり、代わりにビーチボールが傍らに置いてある。エモい。
そして首には様々な花がついたレイをかけている。そしてエウリュアレの英霊正装を見ると、彼女にはあまりにも大きすぎる花の輪を持つエウリュアレの姿がある。

2017年のハロウィンイベントでは、限定概念礼装「ファントム・ナイト」にてエウリュアレとともにハロウィンの仮装姿を披露。かわいい。かぼちゃのケーキをほおばっている。すごくかわいい。

2018年、Fate/Grand Order3周年記念で配布された概念礼装「英霊旅装」シリーズにも登場。こちらではアルプスへの旅をテーマに、登山衣装を披露。
ツノまで入るニット帽にかなり大きなリュック、白を基調としたベストとセーター、黒い半ズボン、赤いスニーカー。たんパンこぞうかな。かわいい。
なんと枷が全部なくなった。すっげーエモい。
そして、公式のイラストではおそらく史上初の満面の笑み。カルデアでの生活をエンジョイしているようで筆者は嬉しいです。






アステリオスがこの特殊な聖杯戦争に召喚されたことは望外の幸運と言っていいだろう。
通常の聖杯戦争であれば、恐らく彼がアステリオスの名で呼ばれることは無い。
クラスか、それともミノタウロスか、いずれにせよ怪物として振舞う事しかできなかっただろう。
そしてアステリオスの名で呼んでくれる人がいる限り、彼は人間としてその人を守るために戦うのだ。







◆英雄伝承-アステリオス-



「……お、まえを、ころす」

「――そうだな、僕もそのつもりだ。お前を殺す、■■■■■■」

タイプムーンエースにおいて、宿敵・テセウスと対決した際のエピソードが小説として掲載された。
テセウスは、大迷宮の暗闇の中で「直感」だけで、アステリオスの猛攻を避け切り、
まるで水滴が石を穿つかのごとく、アステリオスが倒れるまで彼の頑強な肉体を斬り続けたという。

だが、激闘の果てにその魂を見たいという衝動から、瀕死の「怪物」の仮面を外した「英雄」は騒然とする。



「何てことだ……君はただの人間じゃないか」


自分を人間と呼び、その生涯を聞き憐れむそぶりを見せる「英雄」に「怪物」は激しい殺意を抱くが、
男は動じることなく、自分の物語を語り始める。

遠縁の英雄・ヘラクレスと彼が退治した獅子の皮を見て「ああなりたい」と望んだこと。

牛の怪物を養うために罪も無い子供が生贄に捧げられると聞き、静観できず、旅立ったこと。

「英雄」は自身の勝利が正義に繋がると信じていた。
「怪物」はあらゆる理不尽を打破する者が現れると信じていた。


両者が信じたものは同じだったが、「英雄」は過程を致命的に誤ったと理解した。
「英雄」は「怪物」を倒すべきでは無く、そもそも「怪物」は「怪物」となるべきではなかったと。

「英雄」は怪物を倒すと決意した時点で誤りであり、
「怪物」は『怪物であろう』と決意した時点で誤っていたのだ。
だが全ては手遅れだった。「英雄」に倒されたことで、目の前の人間は「怪物」として歴史に刻まれる。
「英雄」は高潔だった。目の前の「怪物」に背負わされた理不尽にも等しく怒りを向けた。
だが、怪物は清々しい様子で、自らの宿命を受け入れた。




「僕は君を助けたかったよ」

「おれはもう、とっくにたすかっていたんだよ」


かくして、「英雄」の伝説に新たな偉業が刻まれた。




+ ...
「さあ、破壊し尽くせ、ダイダロス大迷宮の主!
ははははははは喜ぶがいい守護者ども、是は貴様等には相応しい幕引きぞ!」

『Fate/Labyrinth』のラストで作品のテーマである"迷宮"に相応しいサーヴァントとして登場したものの、
黒幕に通常とは違う力技で召喚された結果、体が全て血液の濁流という生前以上の怪物として現れる。
言葉も発せられず、命令のままに暴れ回る手先となってしまっており、黒幕と共に3人のサーヴァントを相手に猛威を奮った。
が、型月最凶クラスの相手が主人公に力添えした攻撃を受け、一撃で霧散し退場してしまった。

+ FGO 2部1章ネタバレ
「イッヒッヒッヒ。コワイカ、コワイヨナア?クワレルモンナァ!!」

『Fate/Grand Order』第2部の最初を飾る2部1章にて、主人公たちは彼と衝撃的な再会を果たすことになった。

――もはや雷光(アステリオス)ではなく。
――怪物(ミノタウロス)として。


ロシアというギリシャと微塵も関係ない場での突然の登場に、まったく身構えずプレイしていたアステリオス推しマスターたちが多くの屍を築いた。
村焼くっていうレベルじゃねえぞ!
(※一応、佐藤亜紀著『ミノタウロス』はロシアが舞台なので、まったく関係がないとも言えない。なおこの作品には怪物のミノタウロスは一度も登場しないので、読もうと思った方はご注意を)

男性特攻かつクラス有利をとれるエウリュアレの宝具で彼に引導を渡した人が多かったとかなんとか。
近年はエウリュアレの魅了対策として行動不能弱体無効とかいう面倒な強化解除不能バフを持ってくるエネミーが多いが、彼はそれを持っていなかったので魅了も普通に効く。ついでにおばさんの豚化も効く。

人類悪の皆様と違い霊基一覧に残らないので、ステータスのランクなどは不明。
宝具は、アステリオスと同じく「万古不易の迷宮(ケイオス・ラビュリントス)」だが、最終戦に限り「万古不易の迷宮・邪(ケイオス・ラビュリントス)」を使用。
「~・邪」のほうは、デバフの威力が本家に比べると格段に高いが、持続ターンが6ターンから3ターンに短縮されている。
所有スキルは同一。


そして死に際に怪物は、本来は見るはずのないものを見た。陽光の下で、幸せそうにしている雷光と女神の姿を――。

「ムコウガワハ、ウラヤマシイナア……」



ところで、シナリオで出てくるときの立ち絵とバトル時のグラフィックで、左右が反転してるんですよね。
つまりですね、敵側に出てきてるのを味方側の向きに反転したほうが自然なんです。
もしかして今後、味方として実装されるんじゃないの?とか、筆者は勝手に思っているんです。単独のページを持てる日を、筆者と怪物はこの折り畳み表示の中でひっそり待っています。


追記・修正は彼をアステリオスとして認識してくれる人にお願いします。


―――いつかまた、だれかのてをにぎりたい。ぼくは、そうおもった。

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最終更新:2023年11月14日 01:52