『よけい者がよけい者でなくなり、時間が逆戻りし、見えない子どもたちがその父親を殺すとき――闇の帝王が戻るであろう』
本作では非常に重要なキーパーソン、そして、
歴史の展開次第ではその後の魔法界の運命を左右する人物だった事も発覚する事となる。
ハリーの次男坊・アルバスが、父親同様何かを成したい・父親への半ば当てつけで『父親が救えなかったセドリックを救い出す』という目的で、
『逆転時計を使用し、三大魔法学校対抗試合にてセドリックを妨害しハリーとの同時優勝を防ぐ』という行動に打って出た為、
その無謀な作戦に巻き込まれる形となる。
第一の課題ではアルバスに観客席から武装解除呪文を受けて杖を没収されたりというか観客席からの妨害なんて出来ないように運営側が措置しておけよと、
第二の課題では『肥らせ呪文』で風船のように水中から浮かび上げられてしまい強制リタイアさせてしまうなど散々な目に。
第一の課題の方は彼への影響は少なかったものの、
笑いものとなってしまうような屈辱を味わわされた第二の課題の後に……
なんと死喰い人となってしまう。
優勝争いから脱落しペティグリューに殺害される運命は避けられたものの、屈辱の果てに性格が歪んてしまったのであった。
そして、
死喰い人となった彼は原作における最終決戦である人物を殺害した。
そう、
ネビル・ロングボトムである。
『正史(ハリーがヴォルデモートを倒した、アルバスが
逆転時計を使った計画を行う前の世界)』では、ネビルは打倒ヴォルデモートにおける重要な役割を果たしていた。
最後の分霊箱である、ナギニを隙を突いて破壊してみせた活躍である。
が、ナギニを倒すはずのネビルが、死喰い人となったセドリックに殺されてしまった事でどうなったか?
結果、ハリー達はナギニ(に魂を分割してあるヴォルデモート)を倒せず、
ヴォルデモートが最終決戦にて勝利し、悪の魔法使い達が大手を振って歩く暗黒の世界へと変貌してしまった。
冒頭の予言は、
アルバス達が『時間を逆戻り』させ、
あの墓場でヴォルデモートに『余計な奴』と言われたセドリックが余計な奴ではなくなり(ナギニを殺すはずだったネビルを殺してヴォルデモート陣営に勝利をもたらした)、
その結果ハリーが死亡する=アルバスの計画で父親であるハリーが死ぬ事となってしまう事で、
本来死ぬはずであったヴォルデモートが君臨する世界となる、という予言だったのだ。
優秀だった彼がこのように道を違えて死喰い人となってしまっていたら、ここまで魔法界は変わってしまっていたのだ。
これだけ見ると『闇落ちして魔法界を暗黒に導いた大ポカ野郎』とも受け取れかねないが、
デルフィーの三度の歴史改ざんの計画時には、(迷路の課題と勘違いしたとはいえ)デルフィーを武装解除して縛り上げ、縛られていたアルバスと
スコーピウスを助ける等、彼らしい活躍も見せてくれている。
歴史を変えてしまう事の恐ろしさを思い知ったアルバスとスコーピウスは、その後セドリックが待ち受ける運命を知っていながらも、
『あなたの父親はあなたを愛していた』という言葉を贈るに留まり、迷路を進む彼を見送るのであった……