黒崎一誠/仮面ライダーコーカサス

登録日:2015/11/05 Thu 13:15:27
更新日:2024/02/18 Sun 10:36:06
所要時間:約 20 分で読めます


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GOD_SPEED_LOVE ZECT最強の刺客 どう見ても変身前の方が強そう エセ求道者 オサレ カブトムシ カラフルな項目 キザ コーカサスオオカブト ゴールド シンプル・イズ・ベスト チート ナルシスト ナルシスマッチョ ノンポリ ハイパーゼクター ヒゲ 中田譲治 仮面ライダー 仮面ライダーカブト 仮面ライダーコーカサス 劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE 劇場版限定ライダー 地上最強のミドルキック 岡元次郎 平成ライダー 征遠鎮 悪の美学 悪役ライダーリンク 愛のある項目 最強 最強ライダー候補 武蔵 殺し屋 用心棒 瞬獄殺 私の薔薇に彩りを加えましょう 空手 薔薇 薔薇が友達 蹲踞 金メダル 金色 青薔薇 黄金 黄金のライダー 黒崎一「護」ではない 黒崎一誠 ウラギリモノノアカイチト、クツジョクノナミダヲ!



私の薔薇に彩りを加えましょう。

裏切り者の紅い血と…屈辱の涙を!


黒崎(くろさき)一誠(いっせい)とは、『仮面ライダーカブト』の劇場映画作品『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』の登場人物。
本作ならではのゲストとして当時現役のキックボクサーだった武蔵氏が演じており、その屈強なガタイと強面から「変身する前の方が遥かに強そうだ」ともっぱらの評判であった。
まあ、特撮ではよくある話。

演:武蔵

●目次

劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE

◆概要

30歳。同作の世界観*1において、実質上社会の最高権力となった対ワーム組織「ZECT」に所属する伝説の男。
ZECTが開発した対ワーム戦の切り札「マスクドライダーシステムの一つであるカブティックゼクターに選ばれし者であり、後述の仮面ライダーコーカサスに変身する。

彼以外にもZECT所属のライダーは多数存在するが、黒崎の存在は表向きには秘匿されており、
大和鉄騎/仮面ライダーケタロスが戦闘隊長を務める実働部隊には入らず、総帥である加賀美陸、及びその側近・三島正人から下される本部直轄指令によってのみ動く。
その使命は組織の機密を守る番人となることであり、任務の中には知り過ぎた者や反乱分子を極秘裏に抹殺する暗殺者としての汚れ仕事も含まれている。
劇中における最高機密『天空の梯子計画』に関わり、不審なを遂げた者の背後には必ずと言って彼の影がある。
その強さは『黄金のライダー』『彼と戦う者は、戦う前に既に敗北している』と噂に上るほど。

裾の長い礼装にマント、鍔付きのコサック帽に皮手袋という出で立ち。服装は白一色で統一されており、手袋のみが黒い。
筋骨隆々・武骨なヒゲ面の大男だが、その厳めしい外見とは裏腹に詩的な表現を多用する非常にオサレ耽美なセンスの持ち主。
強い者・美しい者を愛で、その言動の全ては『強さ』と『美』に根差している。己の理想の象徴として青い薔薇を好み、
死にゆくターゲットにその花を手向けるという独自の美学を持つ。


◆登場

劇中での最初の登場*2は『天空の梯子計画』の乗っ取りを画策した反抗勢力・NEO ZECTと既に迎撃体勢を整えていたZECTとの争闘の最中。
計画の進捗状況を陸に連絡する三島の前に現れた。この時は顔は映らず、ただ手元の青い薔薇だけがクローズアップされている。
(この間、矢車さん本当に地獄に堕ちたり、大和がメテオになったりと結構忙しい。)


折しも皆既日食の薄闇が地上を包む中、障害をあらかた排除し、地上施設をほぼ制圧しかけていたNEO ZECTのリーダー・織田秀成/仮面ライダーヘラクスの眼前に既に変身した状態で忽然と出現。
この時の姿勢は武道における礼儀を尽くした座法・蹲踞(そんきょ)のまま薔薇を捧げ持つ、という独特のもの。
手にした薔薇から相手がZECT最強の刺客であることを察したヘラクスは立ち向かおうとするも、
次の瞬間、その眼前から消失するとほぼ同時に背後にコーカサスが出現、後には変身が解けて致命傷を負った織田だけが残った。






間もなく織田は絶命。日食を背に悠然と佇むコーカサス*3は、敗者に薔薇を手向けその場を立ち去っていった。


◆人物




お前は…それでいいのか…!?地球を…ワームに奪われても…

ワームであろうが人間であろうが関係ありません。
薔薇が見つめてくれるのは最も強く、最も美しい者…

私は、そのために闘うだけです。


しかし、彼の言う「最も強く、最も美しい者」というのは要するに自分のみであり、
己こそが最強であるという事実を確立することができるならそれ以外の事柄には一切の関心を持たない、いわば究極のナルシスト

『GOD SPEED LOVE』におけるZECTという組織の本性は「荒れ果てた世界で絶滅の淵に立たされた人類を守るくらいなら新たな星の主として外宇宙から飛来するワームに地球を明け渡そう」と考えている惑星単位の売国奴集団なのだが*4
その真実を知ってなおZECTの意向に従っていることからも彼の非人間性が伝わってくる。
考えようによっては『適当なかませ犬を用意して自己満足さえさせてやっていればかえって御しやすい手駒』ともいえ、
そうした黒崎の性向を熟知しているからこそZECT上層部も彼を飼いならせている、という側面もあるのだろう。

『カブト』という作品自体が歴代最強の仮面ライダーを誕生させるというコンセプトで作られている中で、
同じ『最強のライダー』でも、『天の道を往き、総てを司る』という言葉通り
世界その物と自身を合一化させている天道総司仮面ライダーカブト
歪んだ自己愛に凝り固まり、世界と自身を完全に切り離している黒崎の在り方は正反対であるといえる。


◆ミサイルにて

劇中終盤、地球に彗星と共に引き寄せられた隕石を迎撃するという名目でZECTはミサイル発射を決定するが、
実はその隕石こそ内部に無数のワームが休眠している揺り籠であり、ミサイルは爆発による刺激でワームを覚醒させる『王子様のキス』に過ぎなかった。
事の真相を掴んだ天道と盟友・加賀美新仮面ライダーガタックはZECTの陰謀を挫くためにクロックアップの連続使用で軌道エレベーターのシャフト内を駆け昇り、ミサイル内部の作業エリアに潜入。
しかし、そこで待ち受けていたのが黒崎と周辺に散る大量の薔薇の花びらだった*5

圧倒的な武力を揮い迫る黒崎を相手に生身の肉弾戦を仕掛けるのは自殺行為。
再度ライダーに変身する2人を前に、黒崎もその真の力を顕す。


仮面ライダーコーカサス



ふんッ……!

変身ッ!!


『HEN-SHIN』


『CHANGE BEETLE』


スーツアクター:岡元次郎

身長:199cm
体重:102kg
パンチ力:4.5t
キック力:8t
走力:100mを5秒
ジャンプ力:ひと跳び42m

黒崎が金色のカブティックゼクターを右手首のライダーブレスに装着する*6ことで変身する黄金の仮面ライダー。
ゼクターの変身コールは『CHANGE BEETLE』でカブトと同様*7
モチーフとなった昆虫はコーカサスオオカブトで、仮面もその3本角をイメージしたデザインであり、額に1本の他、1対のチークガードが口部両サイドからヒゲのように生えている。複眼の色はカブトと同じブルー
スーツの大部分はカブトのライダーフォームと酷似している*8が、他のカブティックゼクターで変身するライダーと共通の特徴として右肩に鋭利なブレードを備えたショルダーアーマーを装備している他、
変身が完了した時点で既にライダーフォーム相当の形態であり、マスクドフォームからキャストオフする二段変身システムは搭載されていない。

基礎スペックの時点でハイパーフォームを除いた全マスクドライダー中最強の数値を誇り、装着する黒崎の恵まれた体躯と天才的な格闘センスも相まって空手をベースにした徒手空拳の格闘術は恐るべき破壊力。タツジン!
後述のハイパーゼクターの齎す力があまりにも反則的であるゆえにコーカサス(黒崎)そのものの地力は侮られがちだが、
ハイパークロックアップ未使用の正面切っての格闘戦でもカブト・ガタック組との力量差は歴然であり、
TV版含めて天道(と加賀美)をここまで追い詰めた相手は五指にも満たない。決してチートアイテム頼りの最強(笑)では無いのだ。

カブティックゼクター&ライダーブレス


ZECTのマスクドライダー、ケタロスヘラクスコーカサスの変身資格者がそれぞれ用いる変身ツール。
右手首に装着するブレスレット『ライダーブレス』に自律メカでもある昆虫型コア『カブティックゼクター』を接続することで変身が完了する。
ブレスは同じくZECTのライダー、ザビーが変身に用いるものと基本構造はほぼ同じだが色が異なりキャストオフ機能が無い。
またカブティックゼクターは各ライダーと同じカラーの彩色とモデルとなったカブトムシを模した頭部デザインが特徴だが、それ以外のデザインは共通。玩具では1つの基部に3種類の頭部パーツを付け替えることで3人分の変身玩具として遊べる。

ハイパーゼクター&ハイパークロックアップ


ただでさえ強いコーカサスの存在を別次元にまで引き上げているのがZECTが完成させた究極の力を齎す昆虫型コア『ハイパーゼクター』である。
カブトやガタックの装備しているライダーベルトの左サイド部に外付けすることで彼らをハイパーフォームへと強化変身させる機能を持つが、
コーカサスのベルトであるゼクトバックルの設計もライダーベルト同様にハイパーゼクターの接続が可能な特別仕様となっている。
この他にもハイパーゼクターの力を操るためにハイパーフォームになる必要が無いなど、コーカサスは当初からハイパーゼクターの運用を前提として設計されたマスクドライダーシステムであるといえる*9

スーツを循環するタキオン粒子を利用し、通常の時間流に対して自由になることで結果的に超スピードの挙動を可能とするクロックアップに対し、
ハイパークロックアップは原理こそ同じだがクロックアップの数十倍のスピードでの移動・活動が可能となる反則的なスキルである。
これによりクロックアップ時のライダーにとってのハイパークロックアップは、クロックアップ未使用時にとってのクロックアップに等しい。
そしてクロックアップ未使用の状態でハイパークロックアップを使われでもすれば当然ながら相手の存在を認識するどころか、
自分がいつ殺されたかもさだかではないまま一方的に嬲り殺しにされてしまう。
噂に謳われた『彼と戦う者は、戦う前に既に敗北している』という文言の正体はこれで、彼の実力を体現する言葉でもある。

ハイパーゼクターの力を完全に制御できるようになれば、現在・過去・未来・異空間を自由に行き来する事も可能となるのだが、
コーカサスは終始クロックアップを超えたクロックアップという超加速用のツールにしかハイパーゼクターを使用していなかった。
故に黒崎がどれ程ハイパーゼクターのポテンシャルを引き出せていたかは不明である。
ただ、ハイパーカブトが時間遡行を起こした際に時間を戻した可能性に瞬時に思い当たるなど、「ハイパーゼクターを使えばそういうことができる」という認識はどうやら持っていたようである。

なお、コーカサスはカブト・ガタック(そしてTV版のダークカブト)と異なりベルトによる変身は行わないため、
変身後のベルトは大部分のライダーと同じくゼクトバックルであるが、クロックアップ発動用のスイッチの構造が異なり、
他ライダーのゼクトバックルがスライド式のトレーススイッチであるのに対し、コーカサスはカブト・ガタック・ダークカブトと同じプッシュ式のスラップスイッチを採用している。

また、ハイパークロックアップの発動には通常ハイパーゼクター側に備わったスイッチを操作する必要があるが、
コーカサスの場合ハイパーゼクターを接続した状態でありさえすれば、逆側のスラップスイッチを操作してもハイパークロックアップを発動可能である。

必殺技

ショルダータックル
右肩部のブレードにタキオン粒子波動を送り込みそのまま体当たりする。
カブティックゼクター系列のマスクドライダーに標準搭載されている他、サソードのライダーフォームにも同様の機能がある。
しかしどちらも劇中未使用。これではカブトとの差別化のための単なる飾りである…

ライダーキック

薔薇の花言葉は“愛”

愛と共に、散りたまえ!


ライダー……キック

『MAXIMUM RIDER POWER』


通常のキックにハイパーゼクターの齎す『マキシマムライダーパワー』を加えた超・強化キック。
ハイパーゼクターのゼクターホーンを倒し、『MAXIMUM RIDER POWER』という電子音声とともにチャージアップ。
カブティックゼクター経由で脚部のライダーストンパーへとパワーを送り込み、渾身のキックを叩き込む。
蹴りを強化するまでが効果のため、蹴りの形式自体は特に定まっていない。
劇中では戦いの舞台が狭く障害物も多い空間だったためにシンプルなミドルキック(空手でいう中段廻し蹴り)のフォームで放ったが、
後述の映画のように一般的ライダーキックの要領で撃ち込むことも当然可能である。

ちなみにカブトもガタックもハイパーフォーム時にライダーキックを使う際は『ハイパーキック』と技名を改めていたが、
コーカサスはハイパーゼクターを運用するのがデフォルトなので技名も普通に『ライダーキック』と宣言する。

ライダービート
カブティックゼクター系列のマスクドライダーに標準搭載されている必殺技。
カブティックゼクターを180度回転させることで『RIDER BEAT』という電子音声のコールが鳴り、
ゼクター内で生成・貯蔵されたタキオン粒子を開放・チャージアップすることで一時的に腕力を大幅に上昇させる。

コーカサスのように腕力超強化+触れた物体を原子レベルで粉砕するタキオン粒子の波動を纏った拳で直接殴りつける他に、
専用装備であるゼクトクナイガンの刃にタキオン粒子波動を伝導させることで斬撃の威力を上昇させるといった芸当もできる応用の幅が広い技。

◆VSカブト&ガタック

ミサイル内部にて、ハイパークロックアップを駆使し、カブトとガタックを蹂躙。

這う這うの体になるまで痛めつけたカブトにトドメを刺すべくライダーキックを使用するも、闘志を振り絞って庇ったガタックに足を受け止められ、ガタックに致命的なダメージを与えたが、そのどさくさに紛れてカブトにハイパーゼクターをかすめ取られ、船内のエアロックにコーカサスは隔離されてしまう。
これ以降のコーカサスはハイパーゼクターを失ったことでそれに由来する力は一切使用不能となってしまう。

エアロックに閉じ込められ、隔壁扉をぶち破るのにライダービートを使おうとしたが、拳を振りかぶった瞬間
カブトがレバーを操作してハッチを解放したことでコーカサスは中の空気ごと宇宙空間に放逐されてしまい、不発に終わった。




瀕死の重傷を負った加賀美を1人用のポッドに乗せなんとか脱出させたカブト。しかし…



\(デェェェェエエエエン)/



……君だけは許さない!


宇宙空間に投げ出されたコーカサスはなんと加賀美の乗るポッドにへばりついて難を逃れていたのだ。
このシーンはショッキングなBGMも相まって完全にホラー映画とかでよくある、『死んだはずの殺人鬼やクリーチャーが息を吹き返して逆襲を開始する展開』と同じノリである。

自身のプライドを傷つけられた怨みからそれまでの超然とした態度をかなぐり捨て加賀美に殺意を剥き出しにする黒崎。
必殺の怨念ライダーパンチでポッドの窓を割られ、加賀美は為す術も無く即死してしまう。
しかし、そこで奪取したハイパーゼクターによってカブトがハイパーキャストオフし、時の流れを自在に操るハイパーフォームとなってハイパークロックアップを発動、
コーカサスが窓を割る寸前まで時間を巻き戻し、これを阻止。

持つ者に他者と一線を画する力を齎すハイパーゼクター。
その所有者が黒崎から天道へと移行した今、『最強のライダー』の称号もまた、コーカサスからカブトへと逆転した。

万策尽きたコーカサスはポッドから引き剥がされた挙句、ハイパーライダーキック無人となったミサイルまで蹴り飛ばされ、激突。
ミサイル諸共大爆発し、宇宙の星屑と化したのだった。

……ちなみにここまでで何回ハイパーと書いたでしょうか?

【玩具関連】

◆ライダーヒーローシリーズ

伝統のソフビ人形『ライダーヒーローシリーズ』ではカブトシリーズ(通称RHKシリーズ)のEXナンバーとして
ケタロス・ヘラクスと同時発売。3体の箱をケタロス・コーカサス・ヘラクスの順に並べると
それぞれのパッケージ写真が繋がり、3人揃ってポーズを取った一枚の写真になるという仕掛けがある。劇中では敵同士だが。
これとは別にバンプレストのアミューズメント専用景品として全長31㎝のビッグサイズソフビ
『仮面ライダーカブト ビッグサイズソフビフィギュア イン ブリスター』がリリースされているが、現在は入手困難である。

◆キャストオフライダーシリーズ

装着変身シリーズではカブトの劇場版ライダーのリリースはないが、関連商品である『キャストオフライダー(COR)シリーズ』にて
EXナンバー『劇場版仮面ライダー3体セット』としてケタロス・ヘラクスと同梱販売された。
このシリーズ、その名の通り『カブト』最大の特色であるキャストオフの楽しさを再現することを重視しており、
ライダーフォームのアクションフィギュアにマスクドフォームのアーマーを装着→ボタンひとつでアーマーが弾け飛ぶというギミックを搭載。
同スケールのバイクの玩具(別売)に乗せて遊ぶこともできるスグレモノである。

…とは言っても、劇場版ライダーにはマスクドフォームが存在しないので、この玩具オリジナルのアーマーが用意されている。
デザインはカブトのマスクドフォームをリペイントしたものだが、頭部にあたるパーツが無く、マスクドフォームでもライダーフォームの顔は丸出し。
また、右肩のブレード(下側)が干渉してしまうため、取り外す必要がある…などやはり付け焼刃感は拭えない。
しかも素体のライダー3体に対しアーマーは1着しか付属していないので、3人そろって「「「キャストオフ!」」」とかはできない。
他の付属物としては、ゼクトクナイガンのクナイモード(おそらくケタロス用)とアックスモード(おそらくヘラクス用)がひとつずつ、
それぞれが腕につけるカブティックゼクター3種と別売のマシンゼクトロンに付けられるカウルパーツが3種。
ハイパーゼクターは付いていないものの、コーカサスの左腰には接続用の穴が開いており、
別売のハイパーカブトのハイパーゼクターを取りつけること自体は可能である。

S.H.Figuarts

そして時期を空けてS.H.Figuartsでも発売。何かと購入方法が狭き門になりがちな劇場版ライダーとしては珍しく通常販売によるリリースであり、これはケタロスやヘラクスも同じ。
元のデザインからしてほぼカブトの素体を使い廻しているゆえ仕方ないが、アクションフィギュアとしての出来は良いものの、頭身が高い&スタイルがスラリとしすぎて劇中のイメージは皆無。
この体型で冒頭の台詞を口にしても単なるスカしたイケメンライダーになりそうである。次郎さん成分が圧倒的に足りない!!
付属品は左右共通2種の交換用手首の他にはカブティックゼクター・ハイパーゼクター・そして薔薇。
パッケージ裏のジオラマ写真の背景にも青い花びらが踊っている。


【他作品における登場】


常に蒼い薔薇を手にしている。もはやソウルアイテム。

仮面ライダーカブト(PS2)


2006年にバンダイナムコゲームスより発売されたプレイステーション2専用の格闘アクションゲーム。
神ゲーならぬ天ゲーとして仮面ライダーゲーム史上でも屈指の高評価を得た作品。
劇場版限定ライダー含め、作品内の全ライダー総出演という快挙を成し遂げており、
コーカサスは難易度「ふつう」以上でバスターモード・ワームルートをクリアすることで使用可能になる。
隙は大きいがそのぶん攻撃力も高く、なによりハイパークロックアップの反則的な優位性もある程度再現されており、
発動するとクロックアップ使用者すらもスローモーションとなりクロックアップすらしていない者は静止状態となる。なんという万能感か!
ハイパークロックアップはコーカサスを除くとハイパーカブトハイパーガタックしか使えない。

流石に声の出演まで原作通りとはいかなかったものの、コーカサスの代役を務めたのは後に『仮面ライダーOOO』のナレーションや『仮面ライダー鎧武』でロシュオを演じられた中田譲治氏。
強キャラ感がひしひしと伝わる艶と気品のあるバリトンボイスの演技は素晴らしく、
「こっちの方が好き!!」というファンが続出するほどの大好評を得た。

このゲームには選んだライダーを主人公に見立てたOP映像を流せる機能があり、
これを利用してゼクトロンに跨り疾走するコーカサスという珍しい映像を見られる。

青い薔薇を持ったグラフィックがきちんと作られており、戦闘前後のデモでも演出として活かされている。
特に薔薇の花が姉の死を想起させるトラウマスイッチとなっている神代剣/仮面ライダーサソード
眩しい物を見せつけられることを極端に嫌う闇の住人・矢車想/仮面ライダーキックホッパーとの戦闘前会話は必見。
勝利ポーズはヘラクスの前に出現した際の蹲踞が採用されている。実際奥ゆかしい。
…その割に勝ち台詞自体は「私こそが最強の存在なのです」という傲岸な主張の一点張りだが。

必殺技は『ライダーキック』。ムーブ自体は原作通り空手の中段廻し蹴りをイメージしたシンプルなものだが、
「ぬぅあああっ!」という雄叫びと共に繰り出されるバズンと重いエフェクト&効果音は内蔵破裂・脊椎バキ折れ確実な説得力。これは死ぬわ。

仮面ライダー バトライド・ウォーⅡ


バンダイナムコゲームス(バンダイレーベル)が2014年6月26日発売したプレイステーション3とWii U用ゲームソフト。
こちらは無双シリーズを髣髴とさせる純粋な3Dアクションゲームであり、群れ成すワームを蹴散らす『カブト』との作品的相性も上々。
シリーズ第2作にあたる本作は『劇場版』を重点するコンセプトであり、コーカサスも『GOD SPEED LOVE』ステージのボスとして参戦。
また、キャストは原作同様に武蔵氏が担当。ゲーム誌のインタビューによると
「当時はちょっと恥ずかしかったコーカサスのキザな台詞も楽な気持ちで取り組めた」とのこと。

アクションという都合上、戦いの舞台はミサイル内の作業スペースからミサイル発射直前の宇宙ステーション内に変更されており、明るく広々として未来的な雰囲気に。

原作通りカブトにライダーキックを見舞う寸前でガタックが割って入るシーンはあるが、演出にアレンジがあり、
ハイパークロックアップで瞬時にカブトの眼前から消失し、キックの体勢に入りつつカブトの背後に忽然と出現するというものになっている。

また、ガタックの負傷からそのまま戦闘が続行するため、トドメを阻止しても結局加賀美は瀕死の重傷だった原作と異なり、
コーカサスに勝利するとガタックにライダーキックが炸裂する直前でハイパーカブトがこれを妨害、コーカサスにハイパーライダーキックをキメて爆死させるというIF展開になる。

劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦

平成ライダー10周年記念作品・『仮面ライダーディケイド』と当時もはや『仮面ライダー』から離れて
『電王』という独立したジャンルと化していた仮面ライダー電王』シリーズのコラボ映画。

劇中では悪役・オニ一族との戦いの最中、『通りすがりの仮面ライダー』こと門矢士仮面ライダーディケイドを追い掛けるお宝好きの泥棒ライダー・海東大樹/仮面ライダーディエンド「面白そうだね。でも、こうすればもっと面白い…」という理由で横槍を入れてきた際、
手持ちのカードからカメンライドし、実体化させた。ちなみにハイパーゼクターは未装備。
使用許可したら一切の誇張抜きにこの映画に登場する全怪人・ライダーを同時に相手に回しても勝率100%だし当たり前だが。

登場時に手には青薔薇蹲踞から立ち上がるというお馴染みのムーブが仕込まれており、
所詮中身の無い操り人形ではあるが、中々原典のイメージを再現した演出である。

この時召喚されたライダーはコーカサスの他には仮面ライダーG3仮面ライダー王蛇
とその場に居合わせたウラタロスキンタロスリュウタロスの色に合わせてある。
完全なお遊びチョイスであり、それ以上の意味は無い。

そして大方の観客の予想通り、憑依することで相手の肉体を乗っ取れるという、忘れられがちだがなにげに極悪なイマジンの種族特性にしてやられ、
ガワはコーカサス/中身キンタロスKコーカサスが誕生した*10
…まあ、キンタロスは元々空手家と契約して実体化したイマジンだし、空手と相撲の区別がついていないところもあるので当たらずとも遠からずな相性なのかもしれない。

憑依後はキンタロス得意のパワーファイトで敵軍を薙ぎ倒し、専用武器のキンタロスアックスで大暴れ。
シメに松に富士山・日本晴れの謎書き割りをバックに決め台詞「オレの強さに……!お前が泣いた!!」の見栄を切っていた。
……シリアスで殺伐とした原典の雰囲気を考えると信じられない光景である。

一通り雑魚を片付けた後、てんこもりこと超クライマックスフォーム要員としてキンタロスが離れるとカメンライドの効果が切れて消滅してしまった。

なお、『ディケイド』本編でも第1話でヒロイン・光夏海が見た『ライダー大戦の夢』のシーンに映っており、原典にはなかったゼクトクナイガン(クナイモード)を装備している(ちなみに順手で持っている)。
扱い自体は歩兵Aといった感じで先を行くバイク部隊(ガタックはこっち)の後をザビーやカリスと一緒に仲良く走っていたが途中で爆発に巻き込まれ、
最期は夏みかんを中心にした爆死ライダーズの画面左下ポジとして爆発四散。
かつての最強ライダーにしてはあまりにぞんざいな扱いであった…つわものどもが夢のあと。
「おのれディケイドオオオオオ!!!」

超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレ〜ツ

3本立て構成の同シリーズ内でシメに当たる作品。
上述の『鬼ヶ島の戦艦』で『電王』と『ディケイド』の世界観に一際濃い縁が生じたために、この映画の主人公はかつてイマジンズの邪魔をした仮面ライダーディエンドが務める。
終盤、この映画における悪役・仮面ライダーG電王*11との決戦で、
ディエンドが変身するコンプリートフォームの胸部ヒストリーオーナメントに飾られた遺影肖像のひとつに、『カブト劇場版の悪役ライダー』として選ばれる。
なお、フォームチェンジに必要なアイテム・ケータッチに表示されるアイコン=ライダーズクレストコーカサスオオカブトを模したZECTライダーの紋章だが、
これ自体は上述の玩具に同梱されているマシンゼクトロン用の付け替えカウル部分にも刻印されており、新規にデザインされたものではない。

さらにオーナメントに刻まれた計8名のライダーを同時召喚し・必殺技を発動させる『アタックライド 劇場版』の効果により実体化。
青薔薇を携え「フッ…」と不敵な笑みを浮かべていた。通算2度目の召喚ではあるが、前回と異なり腰にはしっかりハイパーゼクターが。

間髪入れずに発動した8人ライダーの同時攻撃ではライダーキックを発動。キックはポピュラーな跳び蹴りタイプ…空手でいえば上段跳び足刀である。
『カブト』本編で天道も本気を出した際にはこのフォームのライダーキックを放っていたので、もしかするとこれが正真正銘のコーカサスの全力か…?
また、この時右手の薔薇をぽろっと落とし、それが地に落ちた瞬間勢いよく左手でハイパーゼクターのホーンを倒すというシビれるムーブを見せてくれる。
電子音声は『MAXIMUM RIDER POWER』ではなく、『RIDER KICK』
ライダーキック組のライダーの中では戦陣切って最も早く攻撃を命中させたのがコーカサスである。

え?G電王はどうなったかって?
聞くまでも無い。『彼と戦う者は、戦う前に既に敗北している』のだから……


【余談】


『最強のカブトムシ』ことコーカサスオオカブトは『カブト』の前々作・『仮面ライダー剣』では黄金の強豪怪人・コーカサスビートルアンデッドとしてモチーフに採用され、
ひいてはその力と融合して主役ライダー・仮面ライダーブレイドがフォームチェンジする最強フォーム・キングフォームのデザインに、令和最初のシリーズ『仮面ライダーゼロワン』では「ワタシこそが社長で仮面ライダー」・仮面ライダーサウザーにも取り込まれている。
仮面ライダーの歴史上、ライダーのデザインモチーフが被ること自体はよくある話だが(バッタなんて何人もいるし…)、細かい品種まで同じというのは結構珍しい。


◎カブトの劇場版限定ライダー3名のカラーリングはオリンピックのメダルをイメージしている。
コーカサスは堂々の金。
ナンバー1の存在であるということが視覚的にも伝わってくる。


◎『カブト』放送時に流行していたSEGAのアーケードゲーム『甲虫王者ムシキング』でのコーカサスは強さ180の銀レアであり、ヘラクスのモチーフになった強さ200の金レアだったヘラクレスオオカブト(ムシキングでの名義はヘルクレスオオカブト)には一歩劣る強さと設定されていた。ケタロスのモチーフになったケンタウルスオオカブトは銅レア…どころか強さ140のノーマルカードだった


◎平成ライダー、特に飾らない自然体で逆にスタイリッシュさを強調する傾向の強いカブト系にしては珍しく堂に入った変身ポーズをきっちり取る黒崎だが、
このポーズは武蔵氏本人が空手の『征遠鎮』(せいえんちん)(征遠戦とも。読みは一緒)という受けの型をベースに現場で考案・撮影に臨んだもの。
ネット上の動画サイトなどで様々な流派の表演を観ることができるので、黒崎の変身シーンと見比べてみるのも面白いかもしれない。


◎劇場版の世界観には宇宙ステーション等に備え付けられた重力場を操作するテクノロジーがあり、
ディレクターズカット版では「ガタックがそれを利用して室内の重力を増加させることでコーカサスの動きを封じようとするも、ハイパークロックアップに無効化されてしまう」というシーンが追加されている。


花言葉/花詞は同じ花でも色や咲き方によって意味が異なる。
薔薇は暖色系(緋色ピンクなど)の場合、黒崎が言うように『愛』や『恋』に関わりが深い言葉が多く見つかる。
その一方で、黒崎の携えている青い薔薇は昔は技術的な問題から先天的に咲かせることは不可能とされており、そこから花言葉も『不可能』『ありえない』といったネガティヴなものだった。

つまり黒崎は言外に「貴方が私に勝つことなどありえない」という意図を込めていたわけだが、
後年バイオ技術の発達で先天的な青い薔薇を咲かせることが実現したため*12
『神の祝福』『奇跡』『夢 かなう』といった素敵な花言葉が新たに与えられている。詳しくは青い薔薇(植物)も参照。
天道と加賀美の不可能への挑戦が青薔薇のジンクスを覆した『GOD SPEED LOVE』の展開もこれを受けてのものだろうか。



貴方の目的は最初からこのハイパー項目だったんですね?
これを建てるためにわざわざライダー項目を競い合わせ、私が建てるのを待った…

しかし無駄でしたね。新たな神項目を建てるアニヲタはもうすぐそこです。



画像出典:劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE
劇場版「カブト・ボウケンジャー」製作委員会
© 2006 石ノ森プロ・ADK・テレビ朝日・東映


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最終更新:2024年02月18日 10:36

*1 1999年に落下した巨大隕石の衝突で海が干上がり、同時に地球外生命体ワームが地球侵略を開始するなどTVシリーズより被害規模が甚大。

*2 この初登場シーンはディレクターズカット版で復活したシーンであり、劇場公開版ではカットされていた。

*3 オープニングにおける真っ赤な夕日を背に立つカブトと対になっているビジュアルである。

*4 無論、その真相を知るのはごく一部の上層部であり、何も知らされずに戦っている末端の人員に罪は無い。星になった大和もあるいは……

*5 当然黒崎はミサイル諸共死ぬ気は毛頭ないわけで、何も問題が起こらなかった際は自力でミサイルから離れて軌道エレベータに戻る手はずが整っていたと思われる。

*6 ケタロス・ヘラクスは留まったゼクターを手動で定位置まで廻してセットするが、コーカサスは変身の掛け声と同時にゼクターが自動で廻る。

*7 カブティックゼクター使用ライダーはいずれもこのコールだが、カブトと異なり「CHANGE」の後に一拍おく。なお、劇場公開版では『HEN-SHIN』のコールの後に黒崎も「変身」と発声していたが、ディレクターズカット版では他のマスクドライダー達と同じパターンに修正されている。

*8 スーツ自体がカブトのものをベースにしているため。その関係で角を展開するための可動部もそのまま残されている。

*9 『龍騎』における『オーディンはサバイブ状態がデフォルトである』という設定や、『剣』で『レンゲルはパワーアップの予定が無い分最初から金の配色が多い』という意図にも似ている。

*10 コロンブスの卵となったのは士を乗っ取ってディケイドに変身したモモタロスである。

*11 この『悪のG電王』は人工イマジン・イブが変身システムを乗っ取って出現した別物だが、本来の変身者の名は『黒崎』レイジである。

*12 実際には淡い青紫といった感じであり、鮮やかさにおいては後付けで青く染めるものにまだ及んでいない。そのため、より青色に近づける研究が現在も進められている。