“影”(ペルソナ4)

登録日:2011/10/09(日) 22:27:23
更新日:2023/07/25 Tue 04:08:36
所要時間:約 11 分で読めます






「我は影…真なる我…」

「(~の)影」とは、『ペルソナ4』における中ボスのこと。
ザコはシャドウと表記し、区別される。

概要

正確にはテレビの中にいる人間の抑圧された感情がシャドウとなった「もう1人の自分」
主人公を除くパーティーメンバー全ての影が登場し、最初は本人と同じ姿で現れる。
ただし殆どの影は服装に差異があり、総じて瞳の色は鈍い金色。
声はノイズがかっている(この特徴は過去作『ペルソナ2』に登場する「もう1人の自分」とほぼ共通している)。
抑圧された感情を歪んだ方向に加速させ、怒りや嫉妬、鬱憤や閉塞感等の負の感情に満ちた表情、言動で本物の前に現れる。
誰にも見せたくなかった己の弱さを晒され、本物はこう叫ぶ。

「違う!、あんた(お前)なんか、私(俺)じゃない!」

本物に否定された影は、宿主から離脱し暴走、本物を殺し(壊し)にかかる。



以下、主要キャラの影の詳細ネタバレあり



陽介の影


「つまんねぇ田舎暮らしには飽き飽きしてたもんなぁ、刺激が欲しかっただけだろッ!」

アルカナ:魔術師
抑圧された内面:『破壊衝動』

最初に出会う影。
小西先輩への感情や田舎の面白味の無さ、非日常への興味が反映された自虐的な皮肉屋。退屈な日常への鬱憤と歪んだヒーロー願望の塊。
暴走した姿はカエルの下半身に振り回されて揺れるカエル忍者。
みんなとうまくやろうと必死になるも結局周囲に振り回され、空回りしていることを表している。
「他人」を指し示す要素が人ではなくカエルである点については、カエル=ガマ=蒲(稲羽市の花)とすれば、稲羽市での新生活全体を指し示しているともとれる。
これがジライヤという神性と合わさってカエルになったと考えられる。

原作PVで登場頻度が高かったり、アニメPVで本人より先に登場したりと好待遇な影。
アニメでは伸びる腕によるパンチや壁貼り付き、モニターを使っての精神攻撃を使用。最後は陽介に受け入れられ、微かに微笑む姿が見られる。


千枝の影


「誰よりもアタシが上なのよッ!」

アルカナ:戦車
抑圧された内面:『劣等感を誤魔化すために作り出した優越感』

「雪子に頼られる自分」を意識し、自分の立場や存在を正当化し自信を持とうとするため、他人を何も無い自分を飾り立てる踏み台にしようとする。
暴走前の影の顔は妬みと優越に満ちており、暴走後は八高の女生徒の上に居座るSMプレイの女王様みたいになる。
だが雪子を友として大切に思う気持ちは本物であり、影と対峙後は、より強い絆を結ぶこととなる。*1
アニメでは陽介の首を締め上げ一時圧倒するが、主人公の力により敗北。千枝に受け入れられ、ペルソナ「トモエ」に姿を変える。
なお、ペルソナの方はブフ系の技を扱うのだが、影の方は陽介をメタるかのように彼の弱点であるジオ系の技を使う。


雪子の影


「そんなウザい束縛、まっぴらなのよッ!」

アルカナ:女教皇
抑圧された内面:『逃避願望』

彼女から衣装チェンジと番組が取り入れられる。
老舗旅館の次期女将と言う、決まった将来から逃がしてくれる王子様を待っている真っ赤な雪子姫。
暴走すると鳥籠の中の真っ赤なオシチに。
番組の内容は、白馬の王子様探し。つまり逆ナンである。
また、籠の蓋が開いているのに出ていかないのは、連れ出してくれる存在が居ないと出ていけないと言う、彼女の心情を表している。

強烈な火炎攻撃を使い、それまでの2人とは段違いに強い。
アニメ版では、融けた蝋で相手の足元を固め、動きを封じるという能力も見せた。


完二の影


「男のくせに…男のくせに…ッ!!」

アルカナ:皇帝
抑圧された内面:『他者と触れ合う事への恐怖』『自分を受け入れてほしいという願望』

ふんどし一丁でオトメ顔。
編み物や裁縫といった、女々しい趣味を女子にバカにされた事がコンプレックスとなり「女は怖い、男のほうが良い」という考えがタチ悪く暴走、
更にこの時点では男だと思いこんでいた直斗とのやり取りが過分に反映された結果、アッチ系の雰囲気出まくりの男湯を具現化した。
番組の内容はハッテンがどうたら…(本人は断じて男色家では無い)
薔薇まみれの白黒半分マッチョボディに埋もれる上半身完二はアトラスの本気。
両手には金の♂。
お供は白黒半分マッチョボディのナイスガイ&タフガイ。
アニメでは、それはもうハッスルした。


りせの影


「りせちー?誰それ?ホントのアタシを見なさいよーッ!」

アルカナ:恋愛
抑圧された内面:『本当の自分を見てほしいという願望』

巨乳水着のストリッパー(漫画は特に顕著)。
アイドルとしてのりせちーでは無く、ありのままの自分=裸の自分を見せる為ストリップ劇場を具現化。番組の内容もストリップの生中継。
暴走した姿は、サイケデリックな色をした全裸のりせ。顔はアンテナで覆われている。アンテナは彼女のペルソナ「ヒミコ」に受け継がれた。
アニメでは様々な姿のりせが登場しており、七色のカラーリングはおそらくは何色(何者)でもないという意味合い。
マハアナライズを駆使してメンバーに手も足も出せなくした唯一の影だが、本気を出したクマに倒された。


クマの影


「何を隠そう、お前の正体は…」

アルカナ:月
抑圧された内面:『自分の正体に対する不信・不安』

りせの影を倒すと連戦で登場する。
とにかくでかい。クマ自身が真実を見るのが怖いからか、着ぐるみはヒビだらけで中身の虚無に吸い込まれるよう。
ゲームでは唯一アルカナとボイスが本物と別(クマの本来のアルカナは『星』)にされたりアニメでは中に誰かいたりする等、謎が多い。
りせ曰く「何か強い物の干渉を受けている」との事。恐らくあいつの仕業だろう。実際、アニメ版ではその目のアップにはAMNSGRという文字が見える。
公式サイトではペルソナ4ゴールデンのネタバレ防止を呼び掛けている。
P4Uではクマの超必殺技の一つである「魔手ニヒル」発動時に登場。
クマが気合を入れたアッパーを放った後にペラペラなクマの足元から生えるように現れ、原作通りのすごい勢いのパンチで吹き飛ばす。


直斗の影


「子供だからって…何で僕を認めてくれないんだよッ!」

アルカナ:運命
抑圧された内面:『成長願望』『変身願望』

白衣を着た子供口調…と思いきや、いきなり冷静な大人口調になる。
直斗は実力のある探偵ながら、子供扱いされる事がコンプレックスになっていた。
また、自分が女であることは理想である”カッコいい探偵”に合わず、これもコンプレックスになっていた。
それらを解決する方法として「改造手術を受けてハードボイルドな大人の男に生まれ変わる」と言う子供染みた手段に縋った為、秘密結社の基地が具現化した。
暴走すると、男への憧れと子供であるコンプレックスを反映したのか、ロボ化した直斗の姿になる。ロボットらしく、ある法則に従って攻撃してくる。
アニメでは左目から放つ老化光線「ガルガリンアイズ」で悠たちを苦しめるが、ベルゼブブのメギドラオンでダンジョンごと爆破された。
夢はカッコいい、ハードボイルドの名探偵。


美津雄の影


「僕はね…僕がここにいる証拠が欲しいんだ…」

抑圧された内面:『無力感、虚無感』。

自分の存在意義を認められない恐怖から殺人と言う手段に出た本物に対し、虚無感溢れる言動をとる。
暴走時の姿はブロックで作られた勇者の像に閉じこもる赤ん坊。ダンジョンは古いドット絵RPG風。
これは
  • 「勇者になって世界も救えた、楽しかった幼児期」のイメージ
  • 「赤ん坊の様に無力な自分を認めたくないがゆえに虚勢を張り続ける」という美津雄の態度
を示している。
また、戦闘突入時に他の影ならば「我は影…真なる我…」と見得を切るところを、彼のみ唯一僕は…影…としか言わない。
虚無感の顕現であるがゆえに、本当の自分ですら無いということなのだろうか。
戦闘後も存在を認められなかった為消滅した…コイツに仲間になられても困るが。
アニメで悠に絆を失う恐怖を与えるが、空っぽじゃない悠にとどめを刺すことはできなかった。


殺人事件の犯人

戦闘前に影のような言動をとる。
主人公達同様にカットインが入るが、金色の目に光は無く、虚無のよう。


【本編以外に登場する影】


山野アナの影


「柊みすずを…黄泉の底にたたき落としてやる」

抑圧された内面:『柊みすずへの憎悪』

小説「ペルソナ4~キリノアムネジア~」に登場する。
黒い炎を操り、巨大な穴を空ける能力を持つ。
柊みすずに怨みを抱き、いつか現実世界に行って柊みすずを惨殺しようとしている。
巨大化すると、貫頭衣を纏い、黒い炎がまとわりついた「イワナガ」へと姿を変える。


小西早紀の影


「花ちゃんは私が守るから!」

抑圧された内面:『陽介への嫌悪』

同じく、小説版に出てくる。今作のヒロイン。
いつもとは違うテレビから入った陽介達の前に現れる。が一切の記憶が無く、自分がシャドウである事すら忘れている。
陽介に「アムネジア」と名付けられ、行動をともにする。鎖を操り、記憶を消し去る力を持つ。


???の影


「わたし、何のために生まれてきたの…?」

抑圧された内面:『自分の人生には意味が無かった(と思い込んでいる)ことへの絶望』『自分は既に死んでいるという真実に対する自覚』

他の影とは異なり人為的に作られた存在、暴走しているわけではない。

以下、劇場版『PERSONA4 the Animation -the Factor of Hope-』の真EDに関わるネタバレ注意の為ステルス



















「もう、一人ぼっちはたくさんだ……」

鳴上悠の影

抑圧された感情:『仲間との別れに対する恐怖』

仲間を失い、イザナミの力による繰り返される日々に囚われた結果、生まれた鳴上悠の影。
シャドウ化はせず、積み上げられたテレビの中で、一人きりの寂しさを嘆いていた。
最後は仲間との絆を思い出し、もう都合のいい虚構に惑わされないと決めた悠に受け入れられ、消滅した。





派生作品であるP4Uの新バージョンUSHでは、一部を除いたキャラの選択時に「シャドウスタイル」を選択できる。

これを選択するとキャラの一枚絵の顔が邪悪な笑み(完二の場合はウホッな笑み)を浮かべたものに変わり、目が金色に輝く。
この状態のキャラを利用すると。戦闘開始時及び勝利時のアニメーション、セリフが全て"影"を再現したものになる。
例:積み重なったテレビの中から悲しげな台詞とともに現れる(番長)
  ボス戦時を再現して女子生徒の彫像にふんぞり返った姿で登場(千枝)

ちなみに、本編で影が登場しなかったP3組にもシャドウスタイルは存在し、原作では見られなかった彼らの抑圧された心を見ることが出来る。
また、バーストによる無敵攻撃が出来なくなる代わりに、暴走モードになって性能を強化することが出来る。
アーケード版では大型アップデートによりシャドウスタイルでもバーストゲージが使用できるように。
それに伴い、シャドウ暴走の発動条件がバーストゲージが満タンになった時のみ発動可能と変更された。
ただし、暴走発動した時のSPゲージの量によって暴走時間が異なる点には注意。
また、暴走を生発動した時はバーストゲージを半分消費、攻撃モーションキャンセルで発動した時はバーストゲージを全消費と、
アーケード版暴走はノーマルスタイルによる金バースト、キャンセルバーストみたいな位置づけとなっている。
なお、上記の暴走発動条件によりシャドウスタイルのバースト攻撃はリバーサルバーストのみ使用可能となっている。


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最終更新:2023年07月25日 04:08

*1 そもそも「雪子は自分がいないと駄目」とは「自分は雪子を守って大切にしている」という感情の裏返しであり、またそれ以外の形で雪子を貶した発言は一切無い