ガメラ対深海怪獣ジグラ

登録日:2015/10/27 (水) 23:11:41
更新日:2024/03/20 Wed 18:52:04
所要時間:約 7 分で読めます




『ガメラ対深海怪獣ジグラ』とは、1971年に公開された大映の特撮怪獣映画ガメラシリーズの7作目である。



【概要】

製作当時大映は、経営不振の渦中にあったにもかかわらず、ガメラシリーズに対する期待からか予算が増額された。
タイアップ・ロケを行った鴨川シーワールドの精巧なミニチュアセットが作られたものの、壊すわけにもいかず
地上での戦闘が動きの乏しいものになってしまった。
しかし、海底のシーンはセット手前に水槽を置く従来の手法に加え、上部にも水槽を配置して表現された。
また、本作は当時問題になっていた環境汚染、特に海洋汚染を盛り込んだ内容になっている。


【あらすじ】

鴨川シーワールドに勤務する海洋動物学者・石川洋介とトム・ウォレスは、海水の調査中未確認飛行物体を目撃する。
しかし、その飛行物体は地球の植民地化を目論むジグラ星人の円盤だった。
ジグラ星人の手先「X1号」は洋介とトム、そして二人の子供、健一とヘレンを拉致。
そして自分達の科学技術を証明するため、東京にマグニチュード13の地震を起こして見せる。
偶然X1号の動きを止め、脱出に成功した健一達は救出に現れたガメラによって陸地へと運ばれる。
その後、ジグラ円盤と対峙したガメラは、火炎放射でこれを破壊。
しかし、中から現れたジグラ星人はみるみる巨大化し、「深海怪獣ジグラ」となって襲いかかってくる。


【登場人物】

◆石川健一
海洋動物学者の父を持つ好奇心旺盛で純粋な少年。ウォレス家とは同じ社宅の隣の部屋で、ヘレンとはよく父親の後を着けたりしている。

◆ヘレン・ウォレス
健一と同じく海洋動物学者の父を持つ白人の少女。かなりの毒舌家だが、見直した相手はベタ褒めするちょろイン

◆石川洋介
健一の父。心優しい海洋動物学者で、近年の水質汚染に心を痛めている。
ご飯を食べながらオナラをする」特殊能力の持ち主。

◆トム・ウォレス
ヘレンとマージの父で洋介の同僚。奥さんは三人目の子供を身籠っているためニューヨークの病院に入院中。

◆石川弘子
健一の母。やんちゃな健一に手を焼いている。得意料理はフルーツジュース。

◆石川れい子
洋介の妹、女子大生。母親不在のウォレス家でベビーシッターをしている。

◆マージ・ウォレス
ヘレンの姉。可愛い。

◆山田安吾 
鴨川シーワールドの飼育係。人より海の動物を愛する変わり者だが、洋介とトムの催眠術を解くきっかけをつくる。

◆沢本博士
催眠術にかかり睡眠状態に陥った洋介とトムを診断するため呼ばれた脳学者。人間以外の脳の仕組みにも精通している。

◆仁右衛門
ジグラ円盤から脱出した健一達が出会った老人。そのなりから健一は、自分達が過去へタイムスリップしたと勘違いした。
演じている吉田義夫氏は同年に公開された『ゴジラ対ヘドラ』にも出演している。

◆X1号
本名は「菅原ちか子」という日本月世界研究員で、月基地襲撃時に拉致られ洗脳術によってその手先にされてしまう。
指を鳴らすことで目を合わせた相手を催眠状態にする能力を与えられている。ミステリアスな雰囲気を持つドジっ子
ジグラ円盤の秘密を知った健一とヘレンを抹殺するため、鴨川シーワールドに潜入するのだが置物に足をぶつけて気づかれたり、
観覧車に閉じ込められたり、遠くまで逃げていった二人に向かって指を鳴らしまくるなど、ドジっ子ぶりを発揮していく


【登場怪獣】

◆ガメラ
ご存知巨大な亀の怪獣。すでに人類の味方として大人からも信頼されている模様。
本作では水中でも火炎放射とジェット噴射を使用している。いったいどんだけ高温なのだろうか。

◆ジグラ
地球から概略408光年の天体ナンバー105系宇宙第4惑星「ジグラ星」出身の魚類型知的生命体。水棲生物が陸上生物を捕食するジグラ星における、生態系の頂点。テレパシーらしきもので人類と会話が可能。
環境汚染の進んだ母星に代わる移住先として地球に目をつけ、月面基地襲撃や大地震を起こし暗躍する。
健一達を誘拐した後、救出に現れたガメラとの戦闘によって円盤を破壊され、水圧の差から巨大怪獣化した。

身長:80メートル
体重:75トン
武器:オレンヂ光線

水生生物のため水中では素早く泳げるが、地上では尾ビレを使ってなんとか歩ける程度で、動きはかなり鈍重になる。
背ビレはガメラの甲羅に傷を付け出血させるほど鋭い。額の単眼からは生物の細胞組織を停止させる「オレンヂ光線」を発射する。
深海生物であるため強い光に弱いが、ギャオスのように命に関わるほどのことはなく、怯む程度。
性格は自分の姿を美しいとか言っちゃうナルシスト



デザインのモチーフはクジラ・・・ではなく、ミツクリザメという深海性のサメ。


【ジグラ円盤】

自身の頭頂部と似た形をした円盤で、先端部分からオレンヂ光線、破壊熱戦、四次元転移光線を発することができる。
X1号を操っている天体模型のような装置がむき出しの状態で置かれていてかなり不用心。
コントロール室の天井からジグラが覗き込んでいて、独特の存在感を放っているがさらった人間には気付いてもらえなかった


【余談】

ちか子が海女を装い水着姿になるシーンは、子供の付き添いで映画館にやってきたお父さん達へのサービスシーン、とのこと。
どうせなら水着を奪われた海女さんの方も映してください!

本作は大映末期作品の中でもまずまずの興行成績を記録し、次回作の製作が決定した。
『ガメラ対双頭怪獣W』という仮題で具体的な構想も練られていたものの、大映が倒産してしまったためお蔵入りとなった。後にガレージキットやイラストを使用した再現映像が作られ、LDBOX等に収録されている。

大映倒産の一報を聞いた湯浅憲明監督は、一人倉庫にとじこもり悔しさのあまり周りにあった物を壊しまくったらしい。
これが原因かは不明だが昭和ガメラ関連のプロップは宇宙怪獣ガメラで使用された物を除くと現在確認されている限り大怪獣ガメラで使用された石油タンク車ぐらいしか現存していない(ガメラの着ぐるみは数年後の学研の図鑑「大むかしの動物」にかなり劣化した状態で掲載されている)。


追記・修正は敵怪獣の背ビレで「ガメラマーチ」を奏でながらお願いします。

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最終更新:2024年03月20日 18:52