メタトロン(Z.O.E)

登録日:2010/10/07(木) 02:50:25
更新日:2024/04/09 Tue 16:23:06
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ゲーム、ZONE OF THE ENDERS及び関連作品に登場する架空の鉱石。物語の根幹を握る存在でZ.O.E世界の様々な技術に用いられている。

21世紀初頭に木星衛星カリストの巨大クレーター、ヴァルハラで発見された。シリコンをベースに金属のを含む複合高分子体で、動力源、量子コンピュータ、装甲などの素材に応用できる。オービタルフレーム(以下OF)はメタトロン技術の粋を集めた存在であり、それ以外にも作中に登場する装備や施設の殆どはメタトロンの恩恵を得ている。

石油の様な単なるエネルギー源となる他に以下の特徴がある。

1.エネルギーを与えスピンさせると周囲の空間を巻き込んで圧縮する。
2.高純度で大量使用すると、「魔法」としか思えない既存の物理法則を無視した現象を引き起こす。
3.その強大な力に魅了され、歪められた狂気が更に大きな力を引き出すと言う悪循環が起こるため、強靭な精神の持ち主でなければ扱い切れない。

3について詳しく説明すると、なぜかメタトロンには「接触した人間の記憶や人格、思想などを記録し、同時にそれまでに記録したものを触れた人間に対しフィードバックする」という特性がある。
このため人間がメタトロンに繰り返し接触すると、自身の欲望や願望の中で特に強い部分を極端に肥大化させてしまう。
元々破壊衝動があればそれがより強くなってしまうといった具合で、恐らくノウマンはメタトロンと頻繁に接触したことにより、最終的にANUBISのラストで見せた考えに至ったと推測される。
別の例では最初のOF「イドロ」に搭乗したラダムが該当しており、当時地球の軍人達の振舞いに憤っていたこともあってか「地球人への憎悪」や自由を得る為の「力への執着」といった感情を刺激され、ひどく攻撃的かつ残虐な性格になっていった。
しかし物語終盤に搭乗した際には「ドロレスを助けたい」という純粋な願いからか平静を保ったまま戦い続けており、搭乗者本人が気を確かに持つことである程度メタトロンからの干渉を跳ね除けることは可能なようである。

こうした「メタトロンによる汚染」とも言える現象を回避するため、多くの有人OFには独立型戦闘支援ユニット(AI)が搭載されており、単純な戦術・操縦の補助のみならずランナーが直接メタトロンに関わらないようにする役割を担っている。
上記のラダム以外で直接OFを操作した例としてはAIを削除されたOF「アージェイト」を(覚束ないながらも)操縦したケンが挙げられるが、ごく短時間のみの操縦だったため影響はなかった模様。
逆に人工心肺の動力をジェフティに頼り、長時間の搭乗を強いられているディンゴは汚染に晒されかねない状況と言えるが、中毒に陥る様子が見られないのはディンゴ自身の邪な考えにブレたりしない強靭な精神力と、ADAの恩恵によるものと考えられる*1

また、一度でも特定の人物に反応したメタトロン及びそれを含有するOFは他の人間では使用できなくなる場合がある。AIの有無が関わっているらしく、複数のランナーで同じ機体を使用できる例はAIを搭載している場合が多い。



以下メタトロンを用いた技術

  • アンチプロトンリアクター
メタトロン製のリアクターで生成した反陽子と陽子をぶつけ、対消滅を起こしそのエネルギーを動力や電気に変換する半永久機関を可能にした反陽子生成炉。これによりOFは大量にエネルギーを要する兵器などを搭載することが出来、桁外れの出力と小型化が可能になった。
極一部の人に分かり易く砕いて説明するとメドローアのようなもの。
即ち、メラ(陽子)とヒャド(反陽子)を組み合わせて(対消滅)メドローア(エネルギー)に変換。
ということになる。なに?却って分かりにくい?

  • ベクタートラップ
メタトロンを高エネルギー状態でスピンさせ、周囲の物体を空間ごと巻き込んで圧縮する装置。
簡単に言えば四次元ポケットだが、貨物の質量は減らないため「体積を小さくできる」だけ。
大量の電気を消費するためコロニーなどの施設や大型貨物船にしか搭載されていない。
一部のOFには例外的に搭載されており、弾薬などの格納庫として使用している。
ジェフティが何もないところからベクターキャノンとか出すのはこれのおかげ。
これを搭載するOFの中には機体を丸ごとベクタートラップに格納して見かけ上「消える」ことができるものもいる。

  • ウーレンベック・カタパルト
メタトロンで圧縮した空間が復元する時の反動で弾き飛ばすカタパルト。亜光速とまではいかないものの対象物を超高速で射出可能。主に巨大な宇宙船等が利用する。
これも大量のエネルギーを消費する関係上、宇宙港などに設置され文字通りカタパルトまたはマスドライバーとして使われる。
射出装置の関係上、船舶や目標地点には特別な設備を必要としない。
アヌビスのデータによる爆発的な技術の上昇により火星のバフラムの使用するカタパルトは物によるが地球まで僅か半日以下で移動するほどのものなっている。
(技術向上以後の通常の量産OFのラプターなどの最大戦闘速度でさえもそれ以上だが、この距離を延々と移動するにはリアクターからの供給を一時的に超えてしまうため通常OFではその時間で到達は基本は不可能 AX2001/7,10/特集、特別号)
ANUBIS以降の時代では更なる技術発展により、上記以上の高性能なカタパルトが建造されている。

  • ゼロシフト
ADA「ゼロシフト、レディ」
OF用の推進機関。ウーレンベック・カタパルトと同様の原理により、搭載したOF自身を加速させる。
2172年時点での通常のOF、ラプターでも静止状態からコンマ1秒以下で音速を遥かに超える程の加速が可能で(AX2001/10/特集、特別号)、本来の性能でないジェフティ程であっても作中時代のジェット戦闘機レベルの速力を持つLEV(ANUBIS時代には民間払い下げの作業用でも)日を要する距離であっても文字通り瞬時に到達が可能なほどの機動性を持つ。(AX2001/10/特集、特別号、ANUBIS プレミアムブック)
だがこのゼロシフトは2174年代のバフラム側が使用する遥かに性能の向上したウーレンベックカタパルトさえも到達できない加速力により静止状態からでも一瞬にして亜光速(光速の99.999...% AX2001/10/特集、特別号)にまで到達、瞬間移動による超高速戦闘が可能となる。
アヌビスとジェフティのみが持つ機能であり、両者が桁違いの性能と合わさり最強と言われる所以である。
同じく「消えた」ように見えるベクタートラップでのステルス行動と見た目も似ているが、全く異なる技術となる。
製造が困難なのか、先述の二機(とアヌビスの模造品)の後に製造されたOFには搭載されていない。
メカ設定担当の野口登志夫氏のツイート*2では、移動方向前方の空間を圧縮し「またぐ」ように移動する、ワープのような推進と説明されている。作中のロイドによる上記の説明とは異なるが、移動ルート上の空気や塵はおろか敵OFすらすり抜け、亜光速での衝突による自滅が起きない挙動はこちらの方が説明がつく。

  • SSA
セルフ・サポーティング・アーマーの略でOFの装甲。「メタトロンを基調とした多層積層複合高分子体」
指で押せば凹む程度の弾力性があるが、衝撃に対しては通常の金属やセラミックを遥かに超える強度を発揮する。
損傷しても電力とメタトロンを供給すれば自己修復が可能で、戦闘中でも外部からメタトロンを摂取すれば瞬時に修復できる。
ジェフティより格下の扱いのドロレスでさえ、大気圏内で時速40万キロを遥かに超えて加速し海面に激突したにもかかわらずほとんど無傷だったことからも、その超強度の程がうかがえる。

  • メタトロンコンピュータ
作中で広く用いられている、メタトロンを用いた演算装置。量子コンピュータの一種。
通常のコンピュータと異なり、内部の回路自体が常に変化し続けることで演算処理を行い、メタトロンコンピュータ同士で回路の一端を触れさせるだけで通信が可能。
量子論的には別宇宙で演算するというとてつもないモノ。
ADAをはじめとする独立型戦闘支援ユニット(AI)もコレで、OFの胸元にある球体がそのハードウェア。
凄まじいまでの処理能力に比して非常に小型であるとされている。
非常に優秀なコンピューターだが欠点として通常のコンピューターのようなコピー&ペーストが不可能であり、代わりにトランスプランテーションによるデータの直接移動でのみやり取りが可能*3
OFのAIを通常のコンピュータにそっくり移した例もあり、通常のコンピュータと置き換えたりデータを移すこと自体は可能と思われるが、その場合装置が大型化してしまうという欠点がある。

  • アーマーン
膨大なメタトロンを使用した、ケタ外れの威力を持つ破壊兵器を備えた要塞。
地表攻撃や惑星外への攻撃可能のウーレンベックカタパルトを応用した要塞砲を持ち、バシリアを攻撃した。
最大出力では恒星を消滅させる砲撃が可能。(AX2001/10/特集、特別号)
だがこの攻撃さえも機能の一つにすぎず、本当の力はメタトロンの空間圧縮を最大限に利用した"エネルギーの収縮"。
その威力は太陽系全域を巻き込み空間そのものを破壊、消滅する程。

  • ベクターキャノン
バフラムが開発したメタトロンの空間圧縮を利用したエネルギー兵器で、OFの次元、空間障壁によるシールドの破壊はおろか通常兵器では突破不可能とされる質量断層をも貫通する。(OFのシールドは空間障壁という設定があるが、これらは通常のOFのバースト攻撃で貫通可能 AX2001/10/特集、特別号)
ゲーム上においてはアーマーンやバフラム軍の戦艦に搭載されている質量断層のシールドを貫くために必要な兵器。
非常に強力だが反動が大きく、足場を固定する必要があるうえ発射準備にも時間が掛かる。
発射すればADAとディンゴのセリフも合間って作中屈指の熱いシーンになるロマン砲である。

ADA「ベクターキャノンモードへ移行」

「エネルギーライン、全段直結」

「ランディングギア、アイゼン、ロック」

「チャンバー内、正常加圧中」

「ライフリング回転開始」

「撃てます」

ディンゴ「終わりにしようぜ」



メタトロンの意志が!
人類の無意識が!
追記修正を望んでいるのだ!!

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最終更新:2024年04月09日 16:23

*1 作中の「近頃のランナーは自分じゃ機体制御もできないのか」といった発言から、ADAの操縦支援を受けていないことがうかがえるが、それが具体的に何を意味するのかは不明。

*2 2019年9月15日

*3 そもそも通常のコンピューターのようなプログラムとデータの区別がメタトロンコンピュータには存在していない