冴島大河(牙狼-GARO-)

登録日:2015/10/24 (土) 23:40:00
更新日:2023/10/12 Thu 11:32:17
所要時間:約 10 分で読めます





※推奨BGM:次回!

友よ、覚えているか?
お前と共に戦った日々が、まるで昨日のようだぜ。

次回!『大河』

悲しい歴史が、いま明かされる!







鋼牙!! 真の父の姿をしかと見よ!








冴島大河とは、雨宮慶太原作・監督作品『牙狼-GARO-』の登場人物であり、主人公・冴島鋼牙の父。
第4話『晩餐』からその存在が語られていたが、本格的に登場したのは第12話『大河』から。

龍が如くの方はこちらへ。

演じるは渡辺裕之。かつては根源的破滅招来体と戦う防衛チームのコマンダーであり、後に牙の王の名を持つ仮面ライダーを演じる方である。

本項では、第一作以降の大河に関しても記述する。


【概要】

かつての冴島家の当主にして、黄金騎士・牙狼の称号を受け継ぐ魔戒騎士
幼かった鋼牙を連れて修行の旅に出て彼を育てあげていたが、
真の目的はかつての友・バラゴを探し出し、暗黒の淵から救い出すことにあった。
幼い鋼牙に木刀を携え、使い手の心がけ次第で隕鉄のようにも重くも羽毛のようにも軽くなるソウルメタルの使い方を教え、
友たる魔導輪ザルバを介し魔天使と模擬戦を行うことでその心身を鍛えさせてきた。

第12話冒頭で幼い鋼牙の前で演武する際、赤鞘の魔戒剣の一振りで海岸を割る衝撃波を放つほどの腕を持ち、
空を飛ぶホラーに対しても無駄な動きを見せず一瞬で胸を突き撃破する剣技を見せる。


【性格】

寡黙で実直な、『守りし者』の鑑というべき人物で、
魔戒騎士だけでなく亜門法師をはじめとした魔戒法師らの信頼も篤く、一人息子である鋼牙に時に厳しく、時に優しく接した。
その一方で、『魔戒法師の里』と呼ばれる『閑岱(かんたい)』の我雷法師からは、
「わしの一番弟子を奪った憎き男」と複雑な心境を成長した鋼牙に語っている。
ホラーに対しては冷徹な面を見せ、鋼牙が無償でカエルの人形をあげた、
おもちゃ作りの男=ノウルに人質にされた際には静かに憤慨、無言で左頬をぶちその行為を諌めた。

好物は執事たる倉橋ゴンザがふるう手料理。
特に、冴島家の人間のみが飲める特製スープが大好物だったと孫の雷牙が『魔戒ノ花第10話で語っている。
また、彼の前では本心を見せており、闇に堕ちたバラゴを憂いていることを吐露していた。


黄金騎士・牙狼


大河が魔戒剣を天に掲げ、円を描くことにより魔界から黄金の鎧を召喚。
身に纏う事で最強の魔戒騎士・牙狼となる。
魔戒剣が真紅の三角紋様の付いた『牙狼剣』に変化する、金色の輝きを放つ鎧など
基本的には鋼牙が装着したものと同じだが、鋼牙のものが鮮やかななのに対し、大河が纏うと真紅の瞳になる。

バラゴとの決闘の際は、木に叩き付けられた後、とどめを刺さんと飛びかかったバラゴの前で、
魔戒剣を掲げ円を描き牙狼の鎧を右手部だけ装着し、そのまま全身に纏い勝負に挑んだ。


暗黒魔戒騎士編


バラゴを止めんとゴンザに鋼牙を任せひとり冴島家を後にする大河だが、鋼牙はその会話を密かに聞きひとり家を出て父の姿を追う。

変わったな……バラゴ。

大河と対峙した漆黒のフードの男…バラゴは既に闇に堕ちており、両者はほぼ互角の勝負を繰り広げるが、やがて状況はバラゴが優勢に。
鎧を召喚し短期決戦に挑む大河だが、必殺の突きを両の腕で掴まれ、そのまま右腕を折られ牙狼剣を手放されてしまう。

血しぶきのように飛び散る鎧の金色。凄惨な姿に耐え切れず父を救わんと飛び出した鋼牙は牙狼剣を拾い上げるが全く持ち上がれない。
その気配に気づいたバラゴは幼子の息の根を止めんと爪を突き立てる。

恐怖のあまり叫ぶ鋼牙……そんな彼を救ったのは、鎧を纏った父だった。
鎧もろとも心の臓を突き破り、おぞましい手と共に悪鬼の形相が少年を睨みつける。
息子に指一本触れさせぬと大河は最後の力を振り絞り、右腕の装甲に施された刃でバラゴの顔を×の字に斬り裂き、苦悶の叫びと共に退けさせた。

……やがて、力なく倒れる父。鋼牙は、幾度も父の名を呼んだが声は返らず。
涙雨が牙狼剣を、たった一人の父の亡骸とその前で慟哭する息子を濡らしていく……。

翌朝、鋼牙は父の倒れた地に向かい、牙狼剣を拾い上げるがびくともせず。
不憫に思ったゴンザはクレーンを利用し持ち上げるもののソウルメタルの重量は鎖をも引き千切らせ刃を地面に突き刺さらせる。
最後の手段としてザルバと契約しようとするが日々地獄を味わうような試練が待ち構えているという。
ザルバの言葉を聞き、ついに覚悟を決めた鋼牙は長い月日の修行を経て、ついに牙狼剣を引き抜くことができた。


……時は、大河の最期の日にさかのぼる。

「……坊主、最期に大河が何か言いたいようだ」

大河の指に施された魔導具が泣き崩れる少年に自身を触るよう呼び掛ける。
それに従い触れた少年の耳に、物言わぬ屍と化した父の言葉が響いてくる。


―鋼牙……今日からお前が牙狼の称号を受け継ぐのだ……―

そんなのいやだ!!

―『守りし者』となれ……そして……強くなれ!!

その最期を受け入れられない少年に、父は『強くなれ』という遺言を残し、人界での命を終えた……。


ザルバを介した遺言を思い出しながら、鋼牙は手にした牙狼剣を見て、父を想う。

父さん……。

その日、鋼牙は牙狼の後継者として認められた。
そしてホラー討伐の指令を受け戦う中、宿縁に導かれるかのように父の仇たるバラゴと対峙することになる。

バラゴとの敗北と鋼牙を襲った悲劇、それは大河にホラーから『情けない犬死にをした魔戒騎士』という汚名を刻まれてしまうが、
その最期は犬死などでは断じてなく鋼牙に『守りし者』としての志を受け継がせるきっかけとなっている。
ちなみに第4話「晩餐」では、ホラーに父を殺されて悲しみに暮れる少年に出会った鋼牙が今は亡き大河と同じく『強くなれ』と励ましていた。

最終回『英霊』では、ヒロインの御月カオルの父・御月由児がメシアと戦う鋼牙の力になりたいと苦悩する彼女に
「お前は剣士じゃない……だから、絵を描けばいいんだ。その絵が、誰かの力になることもある」と助言、その台詞は大河からの受け取りだと語っている。
小説版『暗黒魔戒騎士篇 』では、由児を主役にした第7章にて彼と大河の邂逅が描かれている。


白夜の魔獣編


阿門法師の言葉を受け、魔戒道を使い『魔戒法師の里』と呼ばれる『閑岱』に向かう鋼牙と山刀鈴。
その途中、鋼牙はとある巨木を見ておぼろげながらも脳裏に残っている母の姿、
そして亡き母の思い出を語る父の姿と邪美の出会いに想いを馳せる……。

閑岱に着いた鋼牙は邪美を救うため、りんの導きで魔戒樹に向かう。
邪美を返すよう懇願する鋼牙に対し、魔戒樹は彼の情念を利用し幻影として立ち塞がらせる。
邪美を奪った仇敵の一人コダマ、かつて自身を師と恋人の仇と刃を向けた、そしてゴンザと共に自身を育ててくれた大河……。

鋼牙……俺が斬れるか?

その刃を受け止めながらも想い人のカオル、父の仇たるバラゴと次から次に記憶の底から幻影が現れ襲い掛かる。
ザルバの助言を受けた鋼牙は情念を断ち切らんと魔戒剣を牙狼剣に変えて幻影の群れを断ち切ることに成功、魔戒樹にも立ち向かい邪美を救うことに成功する。

なお、大河の幻影を後ろ越しから突き刺した時、その左指が鋼牙のザルバに触れているが、鋼牙は何を思ったのか……?


蒼哭ノ魔竜


白の鳥魔法衣に戻すために赤鞘の魔戒剣が変化した赤の犬と戦う中、嘆きの海に落ちた鋼牙。
血の池にも似た異空間に呑み込まれそうになるものの、ホラーとの戦いやカオルと零との記憶を振り絞り、魔戒剣を掴み取ることに成功する。

次の瞬間、無数の図面が周囲に点在した異空間に飛ばされ、鋼牙は赤い瞳の牙狼と遭遇。
やがてその甲冑は大河へと姿を変える。

ザルバの分析だと、この空間は空想ではなく大河の思念だという。
バラゴの邪気との決戦で一度記憶を失ったザルバも、
「お前さんと戦った記憶はないが、懐かしい気を感じるぜ」と彼との再会を喜んでいた。
鋼牙が『約束の地』に住むモノたちは何なのか、と問うと父はこう答える。

人の想いが形になり、そして忘れ去られたモノたちだ。
人はモノを創造し、そして形にする。
しかし……形に惑わされるな。
大切なのは、形に込められた……想いだ。

父の言葉を聞き、鋼牙は赤鞘の魔戒剣とそれに刻まれた牙狼の紋章をしばらく見つめた後、剣を抜く。
白の鳥は魔法衣に戻り、再び鋼牙の身に纏われる。

強くなったな……鋼牙。

はい。俺は魔戒騎士です!

かつての自身を思わせる息子の雄々しい姿を大河は褒め称え、鋼牙もその父の姿をまっすぐ見据える。

俺はいつも、お前と共にいる。
その想いは、お前の盟友と同じだ。

息子の胸に手を当て、『守りし者』の想いは脈々と息づいていると激励。
モノの図面で満ち溢れた周囲が漆黒の空間となり、騎士の親子の眼前で光が差していく。

振り返らず走れ……行け、鋼牙!!

この言葉を受け鋼牙は走り出し、ジュダムと魔竜との決戦に挑んでいく。
大河は、成長した息子の背中が完全に見えなくなるまで見送っていった……。

ラストシーンでは、サバックに勝利した涼邑零が死人の森で大河の魂と出会い、魔竜を倒し『嘆きの牙』を持ち帰った鋼牙に『本当の決勝戦』を挑んだ。

零「……勝てるかな?“2人”相手に!」
鋼牙「……望むところだ!!

この勝負、どちらに軍配が上がったかはそれぞれの相棒たる魔導具と大河のみが知るだろう。


魔戒ノ花


我が血を受け継ぎ、ガロの称号を持つ者よ……お前は、大いなる力を召喚する資格を得た。

第7話『神話』にて牙狼の英霊として登場、黄金騎士の系譜を断たんと三度に渡り雷牙に襲い掛かるザジの爪を牙狼剣で突き立ててその窮地を救う。
この時、雷牙はホラーをちょうど100体送還しており、大いなる力『轟天』を召喚する資格を得ていた。
本来なら、轟天は『内なる魔界』にて自身の影との勝負に打ち勝たないと召還に至れないのだが、
「牙狼が光ならば、ザジは闇。今この戦いが、お前の内なる戦いと言えよう」、と告げる。
皮肉にも、黄金騎士に倒されたホラーの集合体を相手にする、牙狼の称号を持つ者には避けて通れぬ戦いが内なる試練も兼ねる結果となった。
自身の窮地を救ったうえ、轟天の存在を告げた英霊に、父の面影を感じた雷牙はもしかして父なのかと問う。

父ではない……しかし俺は、いつもお前を見守っている。

父ではない事にやや落胆しながらも英霊を見据える雷牙に、彼は力強い言葉をかける。

雷牙……強くなれ!

大河の姿になることはなかったが、この言葉と真紅の瞳の奥に秘められた雄姿を見て、全てを悟る雷牙。
轟天を召喚し牙狼斬馬剣でザジを撃破した雷牙は、雷瞑館に帰還。
マユリとゴンザの前で英霊の『強くなれ』という言葉が父がもらった言葉でもあると告げ、瞼の奥に牙狼の英霊を感じていた。


【余談】


  • バンダイビジュアルからリリースされた牙狼第一期DVD第3巻の映像特典では、『ゼイラム』『人造人間ハカイダー』などの雨宮監督作品でもアクション監督を務めた横山誠氏のインタビューが掲載されている。
    横山監督は「最初の企画書による1ページによると、雨宮の方も同じですけど、『強くなれ』……それだけですね。とにかく、『強くなれ』と謳うヒーロー。ヒーローも強くなるし見ている人も強くなる、っていう事……雨宮の姿勢の部分ですけど、息子に見せられる映画・番組を作ろうと」と、冒頭部にて語っている。
    大河から鋼牙、そして雷牙へと受け継がれる『強くなれ』という言葉は、冴島家を繋ぐ魔法の言葉でもあるのだ。


  • 当初大河の纏う鎧は、鋼牙ガロのスーツを流用しつつ、肩から上だけを新規造形するという案もあった。コンセプトイラストでは頭部に騎士のバイザーを思わせるスリットの走った仮面が被さっており、狼の顔がほとんど露出していない以降のシリーズの鎧と比較しても類を見ないデザインとなっている。



  • 第12話で幼い鋼牙がショーウィンドウ越しで店内を見ていたあのおもちゃ屋は魔戒ノ花第17話『少年』にも登場。
    さすがに街の中でホラーは出なかったが、かつての鋼牙と少年雷牙の面影を重ね合わせた往年のファンも少なくないだろう。


  • サンセイ社から稼働していた「CR 牙狼FINAL」では、鋼牙と大河(の英霊)が親子二代タッグを組み、融合して竜陣・牙狼となり復活したキバ(影キバ)と戦うという、本編では決して見られない展開が見られる。牙狼剣をパスして一時的に二刀流で戦うガロなど殺陣も奇抜。


  • 月刊『コミックGUM』で連載された漫画『牙狼-GARO- THE BIBLE』(作画・ヒロモト森一)では鋼牙の少年時代を通し、大河の雄々しき姿が描かれている。
    第12話Aパートでは断片的に語られるだけであったその強さが描かれている。
    コミックGUM休刊の煽りを受け6話で連載中止。6話ではザジが冴島の血脈を断ち切らんと襲い掛かったが、牙狼の英霊らの助けを受け勝利する、という展開が見られた。
    『THE BIBLE』単行本の発売は今のところ未定。一日も早い刊行決定の報が待たれる。


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最終更新:2023年10月12日 11:32