カラス(野鳥)

登録日:2010/06/24 Thu 17:13:27
更新日:2024/02/23 Fri 16:55:33
所要時間:約 8 分で読めます




からす なぜなくの からすはやまに かわいいななつの こがあるからよ


都市鳥の代表的な存在であり、そのなかで頂点に位置するカラス(烏、鴉)は誰もが知っている鳥であろう。
ちょっと地声がデカイだけで毛嫌いされているカラスだが、人と生息環境が似ているだけで嫌われる可哀想な鳥である。

実は単に黒いだけではなく、青みががって美しい*1色彩。目も真ん丸で愛嬌のある顔つきでぴょんぴょん跳ねたり、ちょこちょこ歩いたり可愛いのだが……。
そんなカラスを日本で普通に見れる種類は「ハシ」という「くちばし」が太いカラスと細いカラスの二種。

◇ハシブトガラス
海岸から高山、都市のどこにでも見られるカラス。
名前の通り、嘴が太い。また身体も大きく全長1m近くある。
雑食性でゴミを漁り、動物や魚の死体にもよく集まる。
近年爆発的に増え、街路樹などに巣を作り、人を襲うのも彼ら。
鳴き声は澄んだ声でカァーカァーと鳴く。

◇ハシボソガラス
平地や低い山地に生息し、ハシブトガラスよりも川原など郊外で見られる。雑食性だがハシブトよりは木の実や虫などを食べ、おでこの出っ張りがない。
名前の通り、ハシブトよりも嘴が細い
濁った声で鳴く

他にワタリガラス等も見られるが、ここでは主にハシブトガラスを中心に述べよう。


ハシブトガラス

習性

彼らは繁殖期以外は群れで行動し、日中は街中で生活して、日が暮れると夜間人の立ち入らない森林や緑地に集団で塒をとる習性がある。
カラスの非常に多い地域に住む人なら見たことがあるだろうが、一定の確率で生まれる羽も白く目も赤い異形のカラスも、群れ意識が強い彼らは追い出さない。
白カラス「優しい……////」

もともと熱帯の森林に生息していたカラスで、昔はそれほど都市部にも個体数は多くなかった。が、高層ビルが林立するようになってから数が急激に増えだした。
都市は生ゴミとして捨てられる残飯により食べ物には困らないうえ、営巣場所も街路樹や照明灯などがある。巣材もプラスチックや針金ハンガーなどの人間が持っていたものからいくらでも調達出来る。高度差があり、見通しの悪いコンクリート・ジャングルと呼ばれる都会は彼らにとって天国なのだろう。
この衛生面は人間側の対処でどうとでもなる。ゴミをちゃんと始末しろ!

空港や飛行場の近くにもしばしば生息している。
滑走路上に鳥がいるときはバードストライク防止のために追い払うのだが、カラスの場合は危険を察知するとすぐに逃げるので、よほど数が多くなければ「どうせ逃げてくれる」と見込んで、追い払わないことも多い。 



賢いカラス

電線にぶらさがったり、公園ですべり台を滑ったりと『遊ぶ』ことでも有名なカラスは人間と同じように、鳴き声で会話し、他の動物の鳴き声を真似る。
お遊びレベルなのだろうが、遠くで聞いて「ニワトリの真似かな」「犬の真似かな」くらいは判別出来る………かもしれない。……そんな非常に残念な出来だが、雛のうちから人間の手で育てるとはっきりと人の言葉で話すこともあるそうだ。

彼らは早朝の都市部で行動を開始するが、これはゴミが回収される前に食べ物を確保するため。夜中に出されたゴミが回収されるまでの時間をちゃんと覚えているのである。

さらに彼らはスズメやハトといった他の鳥の雛や卵をよく襲う。雛が巣立つと同時にカラスに捕食されるというのはよくある事。
それもそのはずで彼らは自分の縄張り内でどんな鳥が繁殖しているか把握し、巣を覗きこんだり、雛の鳴き声を聞くことで、巣立ちまでの時間をも計算しているのである。

その他、貝や硬いクルミを空中から落として割って食べたり、クルミを車に轢かせることで割るなど彼らの頭の良さは侮れない。
中には人間を真似して、落ちていた100円で自販機の鹿用クッキーを買い、食すという離れ技をする猛者もいる。



天敵

彼らの巣は木の高いところなどにある。繁殖期が近づくと、自然の多い都市部で巣が隣接している親カラスは、通行人の頭を急降下して爪で蹴ったりしてくる(襲いかかると言っても背後から羽をばたつかせる程度の威嚇であるらしい)ので、不用意に彼らの巣に近づかないよう注意しよう。

野生動物が人間に立ち向かうのがどれだけ恐怖かわかるだろうか。

一応、彼らも人間他に『これ以上近寄んな』と警告はしているが、人間にカラス語は伝わらず、彼らが頭を蹴るのは子を守る文字通りの決死の覚悟。

まあ街近くの神社などでは帽子を被り、外を歩くときはイヤホンを取って、ちょいと顔をあげてみるといいかもしれない。
ちゃんと鳴いて威嚇してるから

そんな捕食ピラミッドの頂点にさえケンカを売る種の天敵は人間はもちろん、トビやフクロウといった猛禽類である。

トビとカラスが空中戦を繰り広げている姿は見たことがあるのではあるまいか。
一見カラスが不利に見えるかもしれないが、カラス自体も大きな嘴に鋭い爪など、戦闘力はかなり高いはずだ。何よりも集団で襲い掛かることが多い(特に猛禽類に対しては顕著)ので、一方的にやられる関係であることはそうそうない。

そして、フクロウにだけは執拗に攻撃する。
『シートン動物記』に登場するカラスの親玉「銀の星」もワシミミズクによって最期を迎え、さらには

『昔、フクロウは染物屋で色んな鳥の羽を染めていた。
あるときお洒落なカラスに「世界で一番綺麗な羽に染めてくれ」と言われ、あれこれやってるうちにカラスは真っ黒になってしまった。
それからカラスはフクロウを見かけると集団で追いかけるようになった』

という民話もあるくらいこの確執は深い。

一方で鹿とは良くもないが悪くもない関係を築いている模様。
冬毛を鹿から直接毟るのだが、鹿にとってはどうせ邪魔になるためか、なすがまま毟り取らせている光景も見られる。
海外でもカラスと鹿は仲が良いイメージがあるのか、道徳の教材で親友同士のカラスと鹿の話がある。

……かといって「カラスが鹿を襲わない」なんてことはない。
鹿だって嫌がることもあるし、鹿の死骸だってカラスは普通に食べている。

















人間との関わり

今よく見かける日本のサッカー協会のエンブレム。
あれに描かれている三本足の鳥もカラスである。
三つ目三つ足の「八咫烏(やたがらす)」といい神の遣いであると伝えられている。
天照大神によって遣わされ、山中で迷った神武天皇を導いたとされている。詳しくは古事記を参照。

カラスを太陽と結びつける神話は世界各地にあり、ギリシャ神話では太陽神アポロンの使いを務めていた。
特にネイティブアメリカンやイヌイットの神話では、ワタリガラスが世界や人間の創造に関わったり、
造物主から太陽の光を盗んで世界にもたらすなど、コヨーテと並ぶ文化英雄、トリックスターとして描かれている。

1日単位で金利がつく借金を俗に「カラス金」という。夕方あるいは明け方にカラスが鳴くと金利がつくというのが由来とされる。
この手の借金は闇金の可能性が高い*2ので注意*3

「鳥葬」という、死体に香油をかけてカラスに食べさせる弔い方もある。
これはカラスが神聖な生き物と見なされているから。
死体や弱ってる仲間は普通に共食いする。
その関係か、カラス同士で喧嘩する姿を結構見かけることが多い。

共食いは死体を外敵から隠すため。警戒心の強い野生動物ならどの種族もする。
滅多に見られないカラスの死体を見たら、自治体など処分してくれる場所に連絡しましょう。

なお、かつては「カラスは死ぬと自然消滅する」という都市伝説があった。
生きているカラスはたくさん目にするのにその死体は全然見当たらない……ということから言われだしたようである。
もちろん実際には、死んだカラスは他のカラスや犬や猫やネズミ、清掃員の人などによってすぐ片付けられるというだけである。
またねぐらで死ぬ確率が高いため、人の目に触れにくいという理由もある。

人間や他動物の死体を食べるのは、単に食糧だから。
故に病気を持っている可能性があるので、カラスの死骸は絶対に触ったり、自分で処置したりしないように。

最近ではジビエとしての活用も模索されており、害鳥駆除と地域おこしを兼ねようとしている自治体もあるようだ。
提供している店も少しずつ増えているが、まだまだ需要も供給も少ないためかお値段はかなり高め。
今後浸透していくか注目である。
なお肝心の味については、「旨い!!」という人と「マズイ」という人に二分されるようである。

かぁーかぁー///



最後に

よくカラスに餌を与えている人もいるが、あれはかわいそうなだけ。餌をやりたいなら、群れ単位で与えよう。
群れ意識が非常に強いカラスが一羽だけ餌をもらおうものなら、良くて餓死、運が悪ければ殺される。
比喩や誇張抜きで(彼らにとって)百害あって一利なしの行為なのでカラスが好き・かわいそうと思ったなら猶更絶対にやめよう。
カラスも犬と同じように優劣をつける。
たいていおもっクソナメられ(ただの餌箱扱いとなり果て)るか、敵扱い。……まあ、"ネオ"ニート*4並みの暇人や、野カラス専門家になればうまく最上位に立つことが出来れば、ゴミを荒らすカラスを追い払う程度ならば楽勝である。

といっても、現在の法律ではカラスを含む野鳥を通常のペットのように飼育することは禁じられており、例外は「怪我などで保護が必要と思われる野鳥を保護する」という名目できちんと役所の許可を取った場合のみである。






追記・修正は、カラスを刺激させないようにお願いします。

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最終更新:2024年02月23日 16:55

*1 艶のある美しい黒を意味する「鴉の濡れ羽色」からも、昔から嫌われていたわけではないことを示している。

*2 違法な高金利・正規の貸金業者でないなど。

*3 1日1割をカラス金と呼ぶ場合もある。例えば、福本伸行氏の漫画『銀と金』で森田は青天井ポーカーに挑む際手持ちの資金では不足して勝てないと判断し1日1割で借りていた。また『賭博破戒録カイジ』ではパチンコ「沼」を攻略する際に遠藤がカイジに「三羽烏」こと1日3割で貸し付けていた。言うまでもなく違法な高金利であり、それ以前に賭博行為自体が違法である。

*4 株取引やパチプロ、土地収入などのみで就労せずとも自立して暮らしていける立場の事。