ジャン・ミシェル・ロジェ(遊戯王ARC-V)

登録日:2015/10/12 Mon 17:42:25
更新日:2023/07/13 Thu 12:12:46
所要時間:約 7 分で読めます




王国……いい響きだ。

ジャン・ミシェル・ロジェとは、遊戯王ARC-Vに登場する人物である。

CV:北田理道


【概要】

シティの治安を守る「治安維持局」の長官。遊戯王5D'sにおけるレクス・ゴドウィンを意識したと思われるキャラクター。
ただし、今作のシティは治安維持局とは別に「行政評議会」が存在しており、彼がシティのトップというわけでは無かった。

デスクにチェス盤を置き、デュエルの経過等、様々なものをチェスで表現している。却ってわかりにくい気もする。
実は非常事態における特殊指令の発令に使われるハイテク盤でもある。

治安維持局長官としての彼は非常に有能で、セキュリティへ的確な指示を行い、収容所への視察に自ら訪れたりと非常に仕事熱心。
自身の計画に狂いが生じても、次善の策を即興ですかさず実行できるほか、話術にも長け、硬軟交えた態度で巧みに他者を誘導する。

一方でその優秀さと裏腹に、一度でも負けた部下を容赦なく切り捨て、自身の意にそぐわない相手に対して常軌を逸した敵意を抱き、内心激昂するなど器が小さい。
余裕がなくなると自身よりはるか年下の柚子に本気で当り散らすなど、大人げない態度も目立つようになっていった。

また、一応本人もデュエルをするのだが、デュエルの扱いを軽んじている(何らかの目的を成し遂げるための道具としか見ていない)ことが入念に描写されたキャラクター。
この点については、セルゲイさえもロジェとは真逆であり、それが後述の結果を生むことになるが、ロジェのスタンスは最後まで変わらなかった。


【本編での動き】

シンクロ次元で柚子&ユーゴとそれを追うデュエルチェイサー227のデュエルを観戦しつつ、指揮を出す。
この時、トップスのテレビ局のヘリを確認するなり、デュエルレーンを遠回りするコースへ設定し、逮捕・拘束目的のデュエルの光景を、トップスへの娯楽として提供。
デュエルでもユーゴを追い込み、ギリギリのところでユーゴが仕掛けた罠にも気付くなど、かなり有能。
しかし227が先走ったために指示が間に合わず、結局は敗北。

「227……彼はもう終わりですね」

と呟き、227に見立てた駒をゴミ箱に放り投げてしまった。

その後、他のセキュリティに指示を飛ばし、ユーゴの逃亡ルートを封鎖。何?デュエルで勝ったら見逃すのではないのか!?
あくまで確保しようとする辺り、リアリストの片鱗が。

結局ユーゴと柚子は取り逃がすものの、翌日、次元を超えてやってきた遊矢とセレナを発見。

顔がそっくりな2人だが、未知の召喚法とアクションデュエルというシステムに彼らは別人だと感づく。
その後も各所の監視カメラと召喚反応で、異次元からやってきたランサーズの存在を知った。

再び取り逃がすも、後にクロウ・シンジらも纏めてランサーズを確保し、彼らを収容所送りに。
この時、ランサーズのメンバーは独房に隔離し、特にセレナを重視して、自ら尋問することを通達。
しかし、不真面目な部下は指示を忘れてランサーズは雑居房に。彼ももう終わりですね


エンジョイ長次郎と和解した遊矢たちは、収容所内で開かれるデュエル大会に乗じて脱獄を決行。
なんとか建物を飛び出し、海に飛び込んで対岸に渡ろうとする一行だが、そこで突然照明が。


おやおや。今夜は収容所内でデュエル大会が開かれると聞いていましたが、水泳大会の間違いでしたか?


うまいこと言いながら長官が現れ、彼らを再び拘束。
しかし、そこでシティの最高権力者「行政評議会」がランサーズの身柄を要求。
彼らに反発しながらも渋々指示には従った。管理職の悲哀を感じる

ランサーズをフレンドシップカップに出場させる評議会の考えを知ると、“キング”ジャック・アトラスとのエキシビションの相手に遊矢を出すことを提案した。

フレンドシップカップ開催後もデュエルチェイサー227セルゲイなど自分の部下を出場させる。
どういうわけだか部下達に融合モンスターを渡している。

シリーズ通算777回の73話で、地下デュエルのまとめ役ギャラガーからさらに彼の過去が語られる。
ある時、突然シティに現れ、リアルソリッドビジョンを始めとした様々な技術を評議会に提供し、セキュリティのトップに駆け上がった。
そのため、別の世界から来たという噂すらあるらしい。
さらに地下送りにされたならず者たちから特に有力なデュエリストを選抜し、自分の私兵として引き抜いていたことが発覚。


融合召喚に対する反応、捕縛したランサーズの中でもセレナだけを別々にしようとする、227に融合魔法とゴヨウシリーズの融合モンスター渡すと来て、この行動。これはもはや…


以下ネタバレ












そう、私はもう誰にも従うつもりはない。

たとえ、プロフェッサー赤馬零王であろうと!


実は融合次元出身の離反者。赤馬零王に従う事へ嫌気がさしており、自らが支配する「王国」を建てる為にシンクロ次元で暗躍していた。
ちなみに、赤馬零児が表現した「王国」を余程気にいったのか、その後の野望の表現する際によく使っている。
赤馬の名から零児が零王の息子である事に気付いており、彼に「王国」建国の為の協力を申し入れたが、拒否られた。
その場は余裕たっぷりで引き下がったものの、通信が切れた後はチェス盤に八つ当たり。悔しいでしょうねえ

行政評議会の5名の服の色は通常効果儀式エクシーズシンクロの各モンスターに対応しており、この中にない融合モンスターと同じの服を着ているロジェが融合に対応することは、勘のいい人は評議会が登場した時点で気づいたようだ。

ユーリの存在を知っており、彼が送り込まれてくる事にひどく恐れている。
ユーリを知っている事を踏まえると、少なくともそれなりに高い地位でアカデミアに従事していたようだ。
指名手配していた少年少女達が男女それぞれで同じ顔を持つ事に当初はその重要性を知らなかった事から、
柚子達に関する情報はユーリの存在よりも秘匿されているのか、あるいは逃亡した後に行われていたから知らなかったのかもしれない。

王国の建国の為にシティへ現れ、リアルソリッドビジョンを始めとするシンクロ次元には存在しなかった技術を持ちこみ、
その技術で行政評議会に取り入り(行政評議会側もロジェを懐柔する気ではあったが)、治安維持局長官に君臨していた。
その裏ではセキュリティ隊員全体にチップを埋め込むという措置を密かに施していた。
このチップはロジェのキングス・ギャンビット発令時に強制発動される仕組みとなっている。
また、凶悪な犯罪者であるセルゲイ・ヴォルコフに改造を施し精神を制御、その上でフレンドシップカップに投入している。
しかし、このセルゲイについてロジェは完全に支配下におけているという訳ではないようだ。

セレナと柊柚子の存在は「王国」を建国するのに必要な要素として確保する事を画策している*1。柊柚子との対戦*2になったセルゲイが役目を放棄した際にはキレていた。
その一方でランサーズの榊遊矢には関心があり、
彼がデュエル中にシンクロ召喚を体得した際には歓喜の声を漏らした*3

評議会を抑えたあとは、シティの象徴たるキングをフレンドシップカップで破らんと画策。
その為の手駒がセルゲイで、遊矢をエキシビションの相手に指名したのもキングが未知の召喚法ペンデュラムにどう対応するか計る目的だった。

シンジとのデュエルを終えた遊矢に親しげに話しかけ、自らがエキシビジョンに遊矢を指名した事実を暴露。
遊矢とトップスの関係を疑い、怒りをぶつける観衆とシンジに

「あるわけないじゃないですか、そんな裏取引など……ねぇ?」

「未知の召喚法を使う遊矢の実力を知る為には、ジャックと戦わせるのが一番と判断した」
「彼はデュエリストとしてどんどん成長している」「再びジャックに挑んでもらいたい」
などなど、絶妙な説明でコモンズに思いっきり遊矢への誤解をばら撒いた。嘘は言ってないのがなんとも。

素良と合流した遊矢をまた確保し、自分の前に連行。
評議会を抑えたこと、シティを支配する計画を遊矢に明かす。
そして、遊矢がただ相手を倒すのではなく、デュエルでもっと大きな何かを成し遂げようとしていることに理解を示し、協力を訴える。
また、アカデミアの人間が従うのはプロフェッサーだけだと、自分が元はアカデミアの一員だったことを教え、素良は必ず遊矢を裏切ると告げて揺さぶりをかける。
仲間から孤立させ、都合のいい言い方で嘘は言わず、相手に理解を示し、自分の後ろ暗い面を積極的に明かすと、かなり巧妙な説得術を見せた。


しかし、黒咲とクロウのデュエルを見た遊矢から協力を拒否される。
懐柔が無理ならばやむを得ないと、セルゲイと同じ改造手術を施す事を画策する遊戯王ではよくあること
その一方でセレナの確保に失敗し、評議会を制圧したはずのセキュリティが赤馬零児1人に制圧されて動揺する。
ちなみにこの時にはロジェが一番恐れているユーリがシンクロ次元に到着していた。知らぬが仏とはよく言ったものである。

手段を選んでいる余裕もなく、大会の準決勝を盛り上げながら評議会議員と赤馬零児の抹殺の為にセルゲイを評議会ビル前に配置。
準決勝では改造手術に代わって、遊矢のヘルメットに脳に電気ショックを与える装置を仕込んだ。
遊矢の凶暴性を引き出し、その力を解放させるように仕向けた。

が、暴走の結果覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンが予想以上の謎パワーを発揮。
仕込んだ装置やコースを切り替えるシステムがデュエル中に破壊される。
ハプニングが立て続けに発生したことで、遊矢をあっさり見捨てている。

デュエル決着後、シンクロ次元でオベリスク・フォースの出現を確認した際には、急遽セルゲイを迎撃に向かわせている。


しかし、運命は意外にも彼の道を閉ざす事はなかった。
遊矢達4人の暴走とシンクロ次元に起きた異常気象は柊柚子の登場で強制解除、しかも結果的にユーリがどこかの次元へ転移した事で彼にとって最も懸念していた問題が勝手に解決してしまった
ロジェはそもそもユーリが来ていた事を知る由もなく。まさに棚ぼた。


バレットの苦肉の策でセレナの確保を妨害された為、せめて柊柚子を確保すべく榊遊矢を倒すようにセルゲイを動かす。
対峙する榊遊矢によって柊柚子を囲っていたフィールド魔法を破壊されるも・・・遊矢をあっさりと撃破はえーよホセ
セルゲイでリアルファイトも強いはずの二人である月影&素良を撃破し、柊柚子を無事確保する事に成功した。
更にユーゴを不在(とはいえユーゴは本当に行方不明になっている)にしてシティの覇者ジャック・アトラスを準決勝第二試合まで引きずりおろして大会に参加させる暴挙を決行。その試合でセルゲイによってジャックがボロボロになるのを長官の席から眺めようとしていた。

だが、転機は早くも彼を突き放すという選択を選んだのである。
セルゲイはデュエル終盤まで自分の思い通りに動いていたものの、終盤においてジャックの魂の叫びを感じ取って暴走。
機械の枷から解き放たれたセルゲイは純粋にデュエルを楽しみだしており、デュエルに敗北して落下しながらも、その顔は笑顔に満ちていた。
この光景に「この愚か者がァァァ!!」という空しい叫びを木霊させる長官の顔芸は視聴者にも笑顔をもたらしたとか何とか。
落下の衝撃でボロボロのセルゲイを不死身と称して立ちあがるように懇願するものの、セルゲイは機能を停止。

その瞬間、奴は…壊れた……。

茫然と立つ彼にトップスからコモンズを排除と言われてフッ切れた(というかストレスで壊れた)長官はすぐさま暴動鎮圧の為にシティ全体にセキュリティを急行させ、更に戒厳令の発令で全ての権限を己が掌中に収めんとする。
言う彼自身が暴走という事態に陥る。
とはいえ、決勝戦を急きょ行う遊矢の発言に激怒し、彼らのデュエルにセキュリティを5人送りこんで乱入させるものの、ジャックが蹴散らして失敗。
更に治安維持局内にランサーズと思われる二人組の侵入を許し、セキュリティを洗脳・統率していたコントロールシステムを破壊されてしまう。
決勝戦での出来事で人々に笑顔が浸透し、意識が良き方向へ革新されるのを見てアカデミアへの帰還を決断する。

柊柚子の救出に来た月影と素良をセコイ戦術でまとめて撃破し、柊柚子を再確保。
そして、治安維持局を爆破しながら転送装置の場所へ向かうのだが、柊柚子の「貴方は既に敗者」という発言にガチギレ中学生に論破されるとはね
続いて現れた赤馬零児にも「最初から負けた時の言い訳を考えている」と言われる等、散々な言われよう。

傍にあった部屋に赤馬零児を誘いこみ、デュエルを開始。

デュエルで先攻ターンに融合召喚を決めるものの、融合モンスターに装備カードを付けた後はモンスター効果によるバーンダメージを与えるだけでターンエンドする
。これを鉄壁の布陣と発言しており、彼のデュエルにおける得意な戦術である事が窺える。
この戦術は赤馬零児によってあっさり破られてしまうが、ここでロジェが月影と素良のタッグを撃破した策を使用。

それは「自己を投影したリアルソリッドビジョンで、敗北後に即座に別のビジョンがデュエルへ乱入して疑似的に敗北しない」という月影曰く「想像もつかないデュエル」。
セコイ。

だが、その策を読まれたか(ロジェ本人がデュエルをしないと見透かされていたとも)、乱入ペナルティで初期ライフが2000になる点、プレイヤーが入れ替わるために「1ターンに1度の効果」が何度も使える点を利用され、この戦法に対してのみ成立する無限ループが既に完成していた
無限ループによって無限に敗北すると言うある種の壮絶的な屈辱を味わう事に。

それでもロジェは侵入してきたランサーズ達面々へ赤馬零児の父親がアカデミアの総帥である事を告げつつ、有る事無い事を出まかせに付け加えて発言するものの、余計な発言を加えて誇張しすぎた為に信用されなかった(この時、赤馬零児は零王の事が本当である事を伝えられずに顔を少し背けている)。
柊柚子さえあればアカデミアに戻れる…最早ロジェの精神は歪んでしまっており、中学生相手に非常に不気味な笑顔を見せて「決して手離さない」と断言するものの、ジャックとクロウの妨害で榊遊矢達に柊柚子を奪還されてしまった。
その瞬間、思考がショートしてしまったのか自分の道連れにシティを滅ぼそうと転送装置を暴走させるが、自身転送に巻き込まれて次元の彼方へ放り込まれる事で消息を絶った。


なお、使用するデュエルディスクや『古代の機械』デッキは明らかにアカデミアで支給されたものであり、彼自身が「アカデミアから離反して自らの国を建国する」と豪語しつつも、セキュリティやセルゲイに融合を組み込む等、かつての力に固執している面も少しながら見せている。
融合の力から抜け出せていないのはともかくセルゲイに組み込んだシンクロ召喚と融合召喚の同時召喚と言った独自のギミックを生かさない等、そことなく「融合召喚こそ至高」という融合次元の考えを捨てされないが故と思われる。


【悪役として】

本編での彼は同情される背景なども描かれず、最後まで純粋な悪役であり、セキュリティを洗脳してロボット化したり柚子を拉致したりといった悪事を働いていき、序盤の余裕たっぷりのねっとりしたしゃべり方から、支配を公言した時の高慢な態度、アカデミアに焦ったり、再び余裕を取り戻したかと思えばセルゲイの暴走(というか自身の制御からの脱走)への絶叫&激怒、吹っ切れてしまった後の狂ったような言い回し、そしてそれらに伴う百面相が実に視聴者を飽きさせず、かつ悪役としてやられるというカタルシスを齎す役割を果たしてくれた。

担当声優の北田氏の熱演&怪演は凄まじいの一言であり、後半の演技は喉の心配をされるほどにインパクトが強く、ロジェというキャラクターの強烈な印象を残すに十分すぎるほどの役割を果たした。
そんな風に狂っていくロジェを一番楽しんで見ていたのは、他ならぬ北田氏本人だったようだ(本人のtwitterコメントより)。


【使用デッキ】

アカデミアに所属していただけはあり、他のアカデミアの人間と同じく【古代の機械】デッキを愛用する。
戦術もオベリスク・フォースと同様の融合召喚を組み込んだロックバーン型を得意としている。



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最終更新:2023年07月13日 12:12

*1 結局は彼も赤馬零王と同じ穴のムジナとも言えなくもない

*2 試合前夜に行政評議会を封鎖している為、組みあわせがランダムでは無い可能性はある

*3 この辺りは何だかんだ赤馬零児と同様である