筋肉の神マッスル

登録日:2015/10/08 (木) 12:02:19
更新日:2023/02/19 Sun 09:08:11
所要時間:約 6 分で読めます







俺がこの世で従うのはただ二つ! 右と左のおっぱいだけだ!






『筋肉の神マッスル』とは電撃文庫から発売されているライトノベル。既刊は2巻。
著者は『天国に涙はいらない』『私立! 三十三間堂学院』等の佐藤ケイ。
イラストは『世界平和は一家団欒のあとに』の、さめだ小判。



佐藤ケイ氏曰く、デビューから10年経ったので大人な作品を書いてみたいと思い、
大人と言えばおっぱいだ! と言う訳でおっぱいと筋肉で出来ている作品になったらしい。
登場人物の名前も筋肉由来。

……まぁ、それはともかく、本作は一見ネタ作品のように見えて――まぁ実際そうだが――熱血要素も兼ねた作品であり、
佐藤ケイ氏お馴染みの豊富な雑学ネタとその解説があり、一級の作品へと仕上がっている。

ちなみにシリーズ物なのだが2巻のあとがきによると、1巻の売り上げが悪かったので3巻が発売出来るか怪しいらしい……。
2巻は12年に発売し現在は15年、音沙汰は無し。そのため3巻はもう……。

しかし『天国に涙はいらない』の最終巻はなんだかんだで5年は発売に掛かったのだ。
もしかしたらあと2年後には……。




あらすじ

ある日、益荒市に猿神と名乗る巨猿が大量の猿を引き連れ市を荒らし始めた。
益荒市はあらゆる対策をしたが有効打にはならなかった。
ついに国が自衛隊を派遣したが、猿神には『APFSDS弾』を始めとする兵器は通用しなかった。

とうとう国は猿に占拠された益荒市を見捨ててしまう。
万策尽きた益荒市は大昔から伝わる伝説を信じ、神頼みをする事に。

一方猿神が暴れまわる益荒市には以前から未確認飛行物体が確認されていて――



登場人物

  • 阿久富雄
益荒市に住む本作の主人公。16歳。
おっぱいが大好きで仕方がない自他共に認めるおっぱい星人
エロ本を祠に隠していたのだが、その祠が益荒神社系列の祠で、エロ本を気に入ったまっする様に勇者『鼠人』に任命された。
まっする様から『鍛えれば鍛えるだけ筋肉が付く能力』を授かった。
人並みの正義感はあるものの第一思考がおっぱいという根っからのスケベ。
おっぱいを守る為なら神や宇宙人にも挑んでいく。

  • 艶乃姫
まっする様に仕えている生き神。
益荒神社や益荒市の人々にまっする様の意思を伝える役割を持つ。
艶乃姫の元までに来られるのは選ばれた巫女だけ。
選定の仕方は幼い子供が遊んでいる中に混じって遊び、また遊ぼうと約束した子供のみが艶乃姫に仕える事が出来る。

高貴なまっする様に唯一近づく事が出来る人間であり、まっする様の神意に触れて不死巫女となった人物。
1000年前から仕えているが外見は不死になった時のままのため、外見は10歳前後。
まっする様に仕えるために洞窟に引き籠っていたため現在の常識はほとんどなく、精神年齢も見た目通り。

まっする様から『筋肉を自在に操る力』を授かっており、筋肉なら何でも操る事が出来る。
繊細な力のため己の体を清めている間でしか使う事が出来ない。

猿たちの襲われた為久しぶりに外の世界に出てきたが、艶乃姫を見た事がなかった若い巫女に、
世間に知られたら子供を洞窟に監禁していたカルト団体だと認識される事を恐れ、富雄の家に預けられてしまった。

  • まっする様
益荒神社に祀られている益荒市一帯の神様。
御利益は大力を授かる事から名前と引っ掛けて『筋肉の神様』として力士達から崇められている。
が、実際はだらしない肉体をしたメタボのオッさん。
本人曰く筋肉を司っているだけなんだから、その管理さえ出来て入れば神としてはいいらしい。肉体の管理は出来ていないが……。

神の使いである神獣は鼠であり、まっする様に選ばれた勇者の事を『鼠人』と呼ばれている。
ちなみに神獣が鼠なのは筋肉の英語『muscle』の元になったラテン語の『musclus』が『小さい鼠』という意味だった事から。
日本の神様なのに由来が外国からなのは神に国境は存在しないから、らしい。

ちなみに正式名称は不明の神様で『まっする様』という名前には諸説あるらしく、

●真っ直ぐな事を好む神様であり、さらに地名が『益荒』であった事から二つが混ざり、訛り、『まっする様』になった。
●威厳のある神の名を言うのを憚り、お供え物を『参らす』と呼んでいたのが転訛して神の名として定着したというもの。

前者は研究者、後者は神社関係者の間での定説になっている。
本来の名は不明だが、実際は舶来の文化に感化して『まっする様』と名乗っていたらしい。つまり由来は『muscle』

  • 富雄の両親
主人公の両親達。艶乃姫の事はあまり信じていない。
息子が人身御供の身代わりにされそうになると、近所の目を避ける為に阻止しようとする。
が、市長に所帯の税金を今後市が恒久に肩代わりすると言われれば、喜んで息子を送り出す親の鑑といえる夫婦。

  • 市長
益荒市の市長。
国に見捨てられながらも猿神退治に奮闘する。
市民の事を第一に考える常識人だが猿神の件で内心焦っており、いささか攻撃的になる事もある。

  • 大津松子
富雄が通うカラオケ屋のアルバイトのお姉さん。
物凄いおっぱいの持ち主。
その正体は宇宙人で本名はパイン・オーツ。
自国の領土争いを兼ねるオリンピックで優勝するためにまっする様の御神宝を手に入れるためにやって来た。
最終的に富雄に惚れる。

  • 猿神
元々はニホンザルの群れに入ろうとした片目のハナレザルの雄。
ある時神の力を身に付け3mを超える巨大猿になる。
その力はあらゆる物を引き裂き、その神の肉体は自衛隊の兵器すら受け付けない。
それどころかν1000星人の地球を簡単に破壊できる惑星破壊ビームでも無傷。



用語

  • 益荒神社
益荒市に1000年前から存在する由緒正しい神社。
益荒山の山頂付近に洞窟があり、そこに『まっする様』が祀られており、
生き神・艶乃姫はその洞窟でまっする様の世話をしているという。

まっする様の神力が宿った神器があったが、敗戦直後に闇米を買うため、
明治維新で神領地を取り上げられてしまい生活に困り――等々の理由で神宝を全部売っている。
打ち出の小槌もあったが、偽金作りの罪とか、怪しまれて買取り手が付かないといった理由で売ってしまっている。
これだけしても生活は困窮している。

  • まっする様伝説
益荒市には猿神の件以前にも武器が通じない強大な動物が襲って来た事があった。
その度にまっする様は氏子や勇敢な旅人などから『鼠人』を選び、弓矢等の神器を授け退治させていたという。

  • 惑星ν1000
この星に住む知的生命体は一見地球人にそっくりだが、本体はおっぱいそっくりの宇宙人
本来の姿はおっぱいそっくりの球体に触手がついたもので、
機械的な知性を司る右と社会性を司る左が一対になって人間的な姿を形成し、その胸の部分にくっ付いている。
というのも胸は脳だけの存在であり、消化器官などが貧弱なため、相方と生活するだけの肉体を分泌作成している。
まさにおっぱい星人なのだ。

ν1000は190の国に分かれており、4年に一度スポーツ大会を開催する。
これは代理戦争であり、種目ごとに土地と面積が割り当てられており、勝った国が使用権を得る事が出来る。

ν1000は古来より太陽光をメインエネルギーにしている。
そのため日照面積が利用可能エネルギーに比例することになる。つまり国土面積=国力。
その科学力で変換率は限界に達し、農業などをするため無暗に太陽光プラントを作る事が出来ない。
そのため古来より血で血を洗う領土争いをしていたが、ついに疲弊してしまい、代理戦争をする事になった。




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最終更新:2023年02月19日 09:08