オズウェル・E・スペンサー

登録日:2015/10/04 Sun 11:28:01
更新日:2024/04/11 Thu 15:59:38
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オズウェル・E・スペンサーとは、『バイオハザードシリーズ』の登場人物。ある意味シリーズの元凶。


ヨーロッパの名門貴族出身で、アンブレラの現総帥を務める大富豪。
第二次世界大戦を経ても尚、人類は変わろうとしない。人類は世界平和の為に革新せねばならない。
と言う正義感に燃える若い医学生であったが、その信念は人体実験も厭わない独善性を孕んだ非人道的なものであり、青年期から既に危険な兆候は見られた。
友人であったジェームス・マーカス、エドワード・アシュフォードと共にアフリカのとある場所で新型RNAウィルスの始祖ウィルスを発見した。
これを活用した生物兵器の開発を推し進めるために2人に組織の設立を提案し、3者共同で擬装企業である製薬会社アンブレラを創設した。

作り手からもプレイヤーからもブラックと評される悪徳大企業のトップなだけあって、その人間性は一言で言うと冷酷非道。
非常に強い選民思想の持ち主であり、目的を実現させるためにはどんな犠牲もいとわず、鬼畜外道にして残忍無比。
友人であったマーカスやアークレイ研究所(1作目の舞台である洋館)を設計したジョージ・トレヴァーを利用するだけ利用した挙句に謀殺していた。
…もっとも、そのいずれものちに自身が破滅する遠因となっている。

しかしその一方で、何を目的としてそうしたのかがいまいち不明瞭な謎の多い人物。
「T-ウィルスだけで採算が取れるにもかかわらず、高価で制御が難しいB.O.W.の開発に着手する」
「ウィルスが漏れ出した際に甚大な被害をもたらしかねない生態系の宝庫である森の中に、ウィルスの研究施設を置く」
「関連病院や都市の地下や公園の隣等その気になれば容易に踏み込める(実際踏み込まれた、或いはその場合の規定がある)場所に研究所を建てる」
…等、言動や行動、方針についても謎が多く、幹部候補だったアルバート・ウェスカーさえも疑問を抱いていた。

存在自体は1作目から度々語られているものの、実際にその姿を見せるのは1作目から13年経ったバイオハザード5である。



◆本編が開始する以前
かつてトラヴィス商会の当主の末弟であったヘンリー・トラヴィスが著作した、自らのアフリカ探検の全容を記録した書籍「博物総覧」。
ここにアフリカで『太陽の階段』と呼ばれ、食せば絶大な能力が獲得できる花があるという記述をスペンサーが見つけ、貴族仲間のエドワード・アシュフォード、学者仲間のジェームス・マーカスに話す。
最初はみんな眉唾ものの噂の類だと言っていたが、マーカスは『花に遺伝子の変化を引き起こす何らかの物質が含まれるのでは』と仮説を立て、ウィルスの可能性を見抜く。
そして1966年、エドワードが「始祖花」の捜索に着手。マーカスが現地に赴いた。
現地に住む先住民族ンディパヤ族の妨害に遭いながらも、マーカスは三か月かけてどうにか掻い潜って始祖花の入手に成功した。
そしてマーカスは始祖花から「始祖ウィルス」を発見、しかしDNAを変質させてしまう特性のせいで組織培養がうまくいかなかった。
マーカスが研究に没頭していた頃、スペンサーはこれを利用してB.O.W.を開発することで軍需産業を独占することを考えた。
そのカモフラージュ起業である製薬会社「アンブレラ」を設立。エドワードとマーカスの共同企業とする*1
始祖花の栽培が上手くいかないと知るや「先住民を殺して奪い取ればいい」と先住民を虐殺、遺跡の半分を奪い取る。

アフリカで始祖ウィルスが発見された年、ラクーンシティの森林地帯にアークレイ研究所を建設。
研究所を洋館に擬装するために建築家のジョージ・トレヴァーに設計を依頼した*2が、完成した途端にジョージを謀殺。
更には口封じと称して、妻のジェシカと娘のリサを始祖ウィルスの実験台にした。
(ジェシカは実験中に死亡、リサに至っては数々の実験でクリーチャーに変貌してしまった)

創立メンバーであるエドワード・アシュフォードはアンブレラ設立の直後、1978年にウイルスの事故に巻き込まれて死亡。
実はこの事故もスペンサーによる陰謀で起きたもの(バイオハザードアーカイブスに記載)。
その後任となった息子アレクサンダーはウイルス研究において大きく遅れを取り、結果としてアシュフォード家は没落する。
この没落劇にスペンサーがどの程度関わっていたかは不明だが、助けの手を差し伸べてやらなかったのはほぼ間違いないだろう。

そして、この頃から仲が悪くなったマーカスを左遷という形でアンブレラ幹部養成所の所長にさせ、自身は社内での権力を徐々に増大させていった。
(このことについてマーカス自身はスペンサーがやかましくなったと思いながらも、好き勝手研究できる環境には満足していた)

養成所に追いやられて独自に研究を続けるマーカスと競い合いながら、ウィルスによる計画を進めていた。
やがてマーカスがスペンサーに対抗する形で変異ヒルを利用したT-ウィルスの開発に成功した。
スペンサーは彼の研究を知るべく幹部候補生に探らせていたが、彼らはマーカスの研究素材とされてしまった。
そこでスペンサーは当時マーカスの弟子であったアルバート・ウェスカーウィリアム・バーキンを自分の側に取り込み、2人にマーカスを暗殺させる。
そして彼のT-ウィルス研究の全てを奪ってしまう。
こうしてマーカスの手柄を横取りしたスペンサーは、ウィリアムの働きによってT-ウィルスの完成にこぎ着け、アンブレラの全てを掌握した。




名前のみの登場。
マーカスを暗殺してから10年後、マーカスが研究していた変異ヒルが彼の記憶と意思を受け継ぎ、女王ヒルとして現代に復活を遂げてアンブレラに対する復讐を開始。
T-ウィルスをアークレイ山中にバラ撒いてバイオハザードを引き起こしたが、最後は主人公達の手によって倒された。
だが、マーカスの復讐劇が皮肉にもアンブレラと主人公達の長きに渡る戦いの幕開けとなった。



◆バイオハザード1

こちらも名前のみの登場。
クリス・レッドフィールドジル・バレンタイン率いるS.T.A.R.S.アルファチームがアークレイ研究所を探索。
データ回収と隠蔽のために、アンブレラの特殊部隊であるU.S.S.を派遣する。
しかし数名が生き残り、スパイとしてS.T.A.R.S.に送り込まれたウェスカーはアンブレラの前から姿を消してしまう。



こちらも(ry
今となっては正史であるかどうかは不明であるが、アンブレラを設立した際に名門貴族であるビアズレー家からの援助を受けていた事が語られている。


◆「1」から「アンブレラクロニクルズ」の間

1で発生した洋館事件の後、G-ウィルス開発計画の最高責任者となっていたウィリアムがG-ウィルス研究を進めるうちに、リスクを無視して暴走。
アンブレラはB.O.W.に使えない研究の中止を求めるが、ウィリアムがこれを拒否。独自にアメリカ合衆国政府と兵器売買交渉を行おうとしていた。
Re2ではこの経緯が変更されており、Gウィルス完成間際に別の担当にGウィルス開発権を譲渡しろと命令された事に反発してアンブレラから離反を試みた。
これに業を煮やしたアンブレラは、マーカスの時のようにG-ウィルスを奪取しようとU.S.S.を派遣する。
しかし襲撃されたウィリアムはの間近には自らに多量のG-ウイルスを注入し、G生物へと変貌を遂げ、ハンク以外のU.S.S.を虐殺。
その際、周囲にあったT-ウィルスのカプセルを破壊してしまった事がラクーンシティ壊滅の引き金となった。

1998年9月、T-ウィルスは虫や動物を媒介としてラクーンシティの市街地全域に蔓延、市民の多くがゾンビ化してしまい、その1カ月後には生存者は絶望的となる。
事態を重く見た合衆国政府の手により「滅菌作戦」と称してラクーンシティ中心部に核ミサイルを発射。
ラクーン市民10万人を犠牲にする形で、市外へのウィルス拡散を防ぐ事に成功した。
その後、合衆国政府は責任追及を逃れる形でアンブレラに対して業務停止命令を発動した。*3
当然スペンサーは合衆国政府の一方的な責任逃れに納得するはずもなく、財力にものをいわせて最強の弁護団を結成し、政府を相手に提訴を起こした。
「ラクーン裁判」と呼ばれた裁判は、長年スペンサーが実現させようとしている理想の為の時間稼ぎでもあった。

  • アンブレラ側が偽証の為の証言者を用意していた
  • 滅菌作戦でアンブレラが関わっていた証拠がラクーンシティごと消滅
  • 政府関係者が自身の罪を恐れて証言を拒み、生存者の証言を中心に裁判を行なわざるを得なかった

こうした状況により、スペンサーの思惑通りに裁判が難航。世間には政府の陰謀説まで浮上して法廷闘争が長期化していくのであったが…




こちらも(ry

シークレットシナリオのエイダ編にて、ウェスカーが遠回しに相乗りを命じたヘリにスペンサーが搭乗していることが示唆されており、文字通りラクーンシティが消滅する直前に街を脱出していた。

業務停止命令によりアンブレラの経営が傾き始めた頃、特にこれといった対策もせず命令も無視。
自分達が開発したT-ウィルスが原因でラクーンシティに壊滅的な被害をもたらしたにもかかわらず、その後も懲りることなく研究を続行。
アンブレラの研究資料を含む全てのデータが保存されているロシア支部で、新たに目論んでいるテイロス計画でアンブレラを復興させようとしていた。
しかしアンブレラ打倒に燃えるクリスとジルの活躍でテイロス計画が潰され、時同じくしてロシア支部に潜入していたウェスカーに極秘データを全て奪われてしまった。

そして、トドメと言わんばかりに政府側が、ラクーン事件にアンブレラが深く関与した物的証拠である極秘データ*4を入手。
これにより5年近く続いた裁判が一気に加速し、決死の隠蔽工作もむなしく自ら起こした裁判で全面敗訴となり、アンブレラはとうとう倒産に追い込まれた。

だが、スペンサーはアンブレラの崩壊を気にすることなく、表舞台から姿を消した。
その時は研究の秘密を守る為の器が砕けただけで中身が無事なら問題ない、と密かに己の理想を実現させる研究を続けていた。


以下ネタバレ













スペンサーが長年掲げていた理想の真実は、ウィルスによる人類の強制進化であった。

20万年続いた人類の終焉をもたらし、新人類を誕生させ、新たな人類による理想郷を創造する神となるのが、スペンサーの真の目的であった。
更に言えば、アンブレラがこれまで生み出してきたB.O.W.は、スペンサーにとっては計画の副産物に過ぎなかったのである。

そして、その中二病的な理想を実現させるために彼が必要としていたものが3つあった。

  • 理想郷実現には欠かせない「始祖ウィルス」
  • 誰にも知られることなく始祖ウィルスの研究を進めるための実験場であった「アンブレラ」
  • 理想郷に住まう住人である「ウェスカー」

スペンサーの言うウェスカーとは、始祖ウィルスで進化を促された新人類の事。
主任研究者の名を取った「ウェスカー計画」のもと、世界中から集められた選ばれし子供達に「ウェスカー」の名を与え、本人達に気付かれることなく、厳重な監視が付けられた上で彼らを新人類の候補として英才教育を施していた。
実はアルバート・ウェスカーもその内の1人であったが、後述の場面でスペンサーに聞かされるまでは全く知らなかった。
彼らが成長した段階で選別として始祖ウィルスを様々な形で彼らに投与したのだが、大半のウェスカーが始祖ウィルスに耐えられず命を落とし、生き残ったのはほんのわずかであった。

アンブレラが崩壊した後も三位一体の計画を進めていた頃、ある病魔が彼を蝕んでいた…
それは生きるもの全てが避けることのできない運命である“老化”であった。

理想郷のになろうと目論んでいたスペンサーも例外ではなく、その時を境に全てが狂い始めてしまう。
計画の続行が困難と悟ったスペンサーは計画を一時中断して、老化を克服するための不老不死の研究に専念した。
それを実現させる人材に選ばれたのが、ウェスカー計画の生き残りであるアレックス・ウェスカー

彼女には他人の才能を自らのものとするスキルに長けており、スペンサーも彼女を高く評価していた。
スペンサーはアレックスに研究の為の資金、機材、研究資料、実験場、そして被検体を与えて不老不死の研究を託した。
だが、その思いとは裏腹にスペンサーの老化が時を追うごとに進行していき、多くの臓器が機能不全を起こし、それを機械で補う体たらくであり、もはや彼には時間ばかりか寿命さえも余裕が無くなっていた。
そして、多くの被検体と長い時間を費やした実験がやっと成功したという報告が届いた。
全てを投げ打ってでも再起しようした苦労が報われ、執事のパトリックと共に喜びながら祝杯を挙げた。…のだったが

突然アレックスがスペンサーを裏切って姿を消した

不老不死の研究を完成させたアレックスは恩を仇で返すかのごとく研究材料と研究結果を持ち逃げしたのであった。ざまぁ。
それは一気に希望から絶望へと突き落とされた事を意味しており、アレックスの裏切りに遭ってからは疑心暗鬼になって強い人間不信に陥ってしまう。
その後、唯一信頼できるパトリックと共に実験を繰り返して挽回を図ろうとしていたが、それから程なくして突然パトリックに暇を出した。
長年スペンサーに仕えたパトリックは事実上のお役御免と言える命令に疑問を抱きつつも、主の意志に従って舞台を下りるのが真の忠義と割り切ってスペンサーの元を去っていった。
心を許す相手が1人もいなくなったスペンサーはある男をヨーロッパの某所にある邸宅へと招いた。



バイオハザード5(本編/「Lost in Nightmare」)


「私の寿命もあと僅かだ 神の資格を持ちながら肉体の限界に逆らえぬとは 皮肉なものよ」


何度も話題に出ながらも長らくその姿を見せなかったが、本作にて、遂に登場する事になった。

かつて世界を未曾有の恐怖に陥らせ、主人公達の人生を一変させたアンブレラの総帥であったが、1作目からだいぶ時間が経ったせいか、本編では生命維持装置で延命して車椅子生活を余儀なくされている等、アンブレラの頂点に君臨していた頃の権力や威厳を失い、今ではすっかり弱りきった老人に成り下がっていた。

自分の居場所をBSAA(対バイオテロ組織)に突き止められ、その一員となっていたクリスとジルが邸宅の突入を試みる中、目の前に1人の男が現れた。
その男とは、洋館事件で姿を消したアルバート・ウェスカーであった。
自分の所へ戻ってくるように仕向ける形でアルバートと再会したスペンサーは自身の理想とウェスカー計画について語り出した。


「私は神になり いずれ新世界創生に立ち会うはずだった ラクーンの失態以降 計画は途絶したがな……」

「だが お前という才能を創り出しただけでも意義はあった」


最高傑作であったアレックスが去った今、もう1人の生き残りであるアルバートに最後の希望を託そうとしていたが…


「神か… なるほど 俺が引き継ごう


その言葉と共にアルバートは自身の創造主であったスペンサーの肉体を手刀で容赦なく貫いた。


「神の資格? 笑わせるな 貴様にはそれを口にする資格すらない その言葉を口にしていいのは真に力ある者だけだ」


野望を引き継ぐ事を宣言したアルバート・ウェスカーに引導を渡され、己の半生を賭けた目的を果たせぬまま絶命した。
スペンサーの死を以って、アンブレラの創設メンバーが全員この世を去ったのである。

己の歪んだ理想の為に多くの人間を道具として切り捨て他者の生命を散々弄んだスペンサーであったが、その最期はかつて栄華を誇ったアンブレラのトップとしては想像も出来ないほど惨めなものであり、自分がやってきた非道行為が全て仇になって自分に返ってきてしまった因果応報と言える末路であった。




本編終盤にとある手紙の送り主として名前が登場。
手紙の内容から医学生時代に舞台となる寒村に行く道中で遭難した際、マザー・ミランダと出会い助けられていたこと。
その際、彼女が行っていた特異菌の感染によって人体を変異させる実験を知って強い感銘を受け、長らく師事していたことなどが明かされた。
研究者としての気質から意気投合したようで、彼女と毎夜洞窟で研究について語り合ったという。

しかし、「個人の救済」と「全人類の救済」と両者の抱く目標は別のところにあり、「特殊な力はあれど所詮は菌である以上感染力は高くない特殊菌ではなく、感染力の高さで勝るウイルスにこそ自分の理想を託せる」と考えたスペンサーはミランダと袂を分かつことを決意。
敢えて別れを告げることもなく彼女の下を去っていた。

とはいえ彼女への思慕の強さからか礼を失した別れ方をしたことを後悔しており、始祖ウイルス発見後には理想への第一歩を踏み出せた喜びと共に敬意を込めた手紙をしたためていた。
また、手紙の中でアンブレラ社立ち上げの報告もしているが、社名と社章が彼女と語り合った洞窟に遺されていた古い紋章に由来するものであると告白している。
ミランダの方も、一言も別れの挨拶を告げずに去った弟子がその半年後に送ってきた手紙を、半世紀以上に渡って保管し続けていたことからして、師弟関係は良好だった模様。



考察


彼は「ヨーロッパでは知らない者はいない名門貴族出身である有名な生物学者」ではあるが
優秀なエドワード・アシュフォードと生化学者のジェームス・マーカスの2人と違い本人の学術的功績は、作中では見受けられない。
…というか、全くないと言っても何ら過言はない。
むしろ、
  • エドワード・アシュフォード(始祖花の発見、アレクシアの開発に貢献)→謀殺
  • ジェームス・マーカス(T-ウィルスの開発に成功、B.O.W.開発に大幅に貢献)→謀殺
  • ブランドン・ベイリー(始祖ウィルスの発見、初の培養に成功)→排除軟禁
  • ウィリアム・バーキン(T-ウィルスを完成させ量産、Gウィルスを開発)→謀殺

とまあ優秀な研究者をあの手この手で次々と排除or謀殺しては他人の手柄を強奪していだだけの俗物と言える。
まず手始めに始祖ウィルスを独占して研究する為に、エドワードをウィルスに感染させ謀殺。
ウィルスを持て余して欠陥B.O.W.モドキしか作れず、マーカスがT-ウィルスを完成させたので研究の全てを奪う為に暗殺。
バーキンが新たに完成させたG-ウィルスも、研究成果を自分の物にするためマーカスの時のように殺して奪う*5

ラクーンの失態もウイルス研究データが無事だから問題ない…と豪語していたが、実際はこれを機に計画は途絶したと自白している。
ウェスカーが当初から疑問視していた「採算度外視でB.O.W.開発&全部失敗」「森の中や都市の地下や公園の隣でウィルス研究」深い理由もないもない純粋なミス
後々の流出事故も何も考えておらず、息のかかったラクーンシティが便利でやりやすくていいやというだけで先見の明も全くない。
場当たり的で思慮が浅く、他人の成果を強奪するだけで、人を陥れる謀略以外に積み重ねてきたものが何もないのだ。

それだけでなく、失策や不手際の際にも幹部達に丸投げで、対策も配慮も全くと言っていいほど行っておらず、放置して我関せず。
そのせいで似たようなウイルス流出事故が多発し、各部署の崩壊を招いてアンブレラ社の崩壊の引き金を引いている。
そのくせジョージ・トレヴァーを謀殺する際はわざわざ手間を掛けてまでジョージの逃走経路と体力を計算。
そして彼が衰弱死する地点に前もって墓を用意するなど、何の意味もない無駄な事にだけ熱心。
アンブレラ社の経営もスペンサーではなく幹部連中が取り仕切っており、自分は会社の金で趣味の美術品を買い漁っていた。
それどころかむしろラクーン事件の発端を作ったり、有能な研究者を従わないだけで潰したりと、足を引っ張りまくる。
設立後20年間の会社運営はスペンサーだが、社内発言力と権限を握る為でしかなく、会社としての業績成果は上げていない。
一方、マーカスがアンブレラ幹部を養成し、その幹部たちがB.O.W.の開発や政府との癒着により、その後の10年間で会社を大きく成長させた。
またウィリアムを襲撃、GウイルスをアンブレラにもたらしたU.S.S隊員達を養成したのはアルフレッドである。スぺンサーは命令しただけ。


というかぶっちゃけ、無能呼ばわりされてたアレクサンダーや、ロクデナシ扱いのアルフレッドの方がまだ何倍も有能で、アンブレラに貢献しているとさえ言えるのだ。


◆アレクサンダー・アシュフォード
アレクサンダーはウィルス研究の才がないことを自覚しており、父の研究を引き継げるほどの才能の持ち主である初代アシュフォード再生計画を始動。
DNA内の知能因子を操作する技術を開発し、ミイラ化した遺体から抽出したDNAでのクローン生成にも成功している。
またこれらを応用しアレクシアやアルフレッドを人工的に造り出す。さらに彼らが暴走した時の為の対抗措置として光学兵器リニアランチャーまで開発した。


◆アルフレッド・アシュフォード
訓練所の所長としてU.S.S隊員候補を訓練し、あのハンクという有能な隊員を輩出したのも彼の功績。
それだけに留まらずさまざまな軍事用品や試作金属を買い、アンブレラ社の武装の充足も行うなど、戦力面において貢献していた。
また他の分社と違い、B.O.W.輸送時には優秀な部隊に極力情報を抑えて搬送させ、セキュリティ面でも意識が高い。
さらに所内に金属を持ち込ませない設備やシャッター装置などを多数し、二重三重の対策をとっていた。
ウェスカーが送り込んだ部隊もある程度返り討ちにしている事から、相応の防衛設備および成果もあったと思われる。


このようにスペンサーと比較すれば言うまでもなく優秀で功績もある。

唯一スペンサーの成果と言えるものを挙げるなら「ウェスカー計画」だろうか。
もっともこれも殆どのウェスカーは無駄死に、そもそも英才教育を施してウィルスを投与しただけであり、優秀な生き残りのウェスカーは本人の資質と努力の賜物である。
スペンサーは投資しただけ。それも結果論であり、2人生き残ってくれたから良かったものの、これ全員死んでたらどうしてたん?て言う。
これをして「そもそも適正を確認してから育てろよ」というもっともなツッコミが入れられる。
というか、ウェスカーを育て上げたのもマーカスだったため、ウェスカー計画に関しても厳密にはマーカスの方がスペンサーより貢献してる。
アルバートが適応するまで理想郷も何も絵に描いた餅…いや描かせた餅だった。
尚、生き残りの2人もウィルスの影響で生物的欠陥が残ってしまったのでこのウェスカー計画も厳密には失敗している。
そもそもタイラントでさえ1000万人に1人しか適応できない上に、適正も確認せず、場当たり的に人体実験していただけなのだから当然だろう。
ちなみに奇跡的偶然でウィルスに適合した不死身のB.O.W.が手に入っているのだが、全く有効活用できずに閉じ込めていた点も無能さに拍車がかかっている。

また、他人には冷酷無比だが自分には甘く、余命わずかな体をウィルスではなく安牌の生命維持装置で延命している。
ウィリアム・バーキンは死の間際で選択肢がなかったとはいえ、一か八かで自らにG-ウィルスを投与して一度は死を乗り越えた。
アルバート・ウェスカーもタイラントに襲われ死亡する前に得体の知れないウィルス*6を自ら投与し生存している。*7
アレクシア・アシュフォードもヘタレな兄貴以外に守る存在がいない状況で、15年のコールドスリープのリスクを考慮しつつもT-Veronicaウイルスを自分に取り込んでいる。
ジャック・ノーマンは他に生きる手段がなかった*8とはいえ多量のT-Abyssを摂取し、モルガン・ランズディールへの憎悪と復讐心に蝕まれながら、「真実を守り通す」という執念で1年もの延命に成功した。

だがスペンサーはウィルスを投与する度胸もなく、生命維持装置に頼って老いさらばえていた。
こんな器で本当に理想郷を作れて更に神になれるとでも思っていたのだろうか…?

一方G-ウィルスを植え付けられワクチンで一命を取り留めたシェリー・バーキンは、圧倒的再生能力と回復能力を持つうえ、20歳前後で肉体の老化も止まっている。

一応、元々高齢であった上に老化が更に進行していたせいで身体がウイルスに耐えられない可能性を考慮したとも言えそうではある。
…が、アレックスの研究に一存する様な状況だった事からその可能性も薄く、やはりヘタレだったのは否定できないだろう。

親の金に物を言わせ豪遊し後先考えず他人の成果を強奪し何でも手に入る立場にいながら何一つ有効活用できずアホな理由で折角の会社を潰した上に他人に丸投げ
…という、まさしくキング・オブ・ザ・ダメ人間。ここまで清々しいほどのカスは古今東西でもなかなかいない。
『ドラえもん』でいうスネ夫ジャイアンドラえもんのび太悪い部分だけ煮詰めたような人物といえる。
まさしくウェスカーの「神の資格?笑わせるな、貴様にはそれを口にする資格すらない」という的を射た言葉である。
こんな奴に「私が創り出した才能」「自身の最高傑作」などと、まるで自分の成果のように言われたウェスカーの心中は察するに余りある。


なおウェスカーを呼ぶと決意した時期に、唯一の忠臣と言えるパトリックに暇を出している。
これは、自分の末路をある程度理解しており長年付き添ってくれた忠臣を巻き添えで死なせたくなかった彼の配慮なのか……。
あるいは、ウェスカーに懇願するようでこれ以上惨めな自分を見られたくなかっただけかもしれない。(彼は自分の所へ戻ってくるように仕向けるつもりで呼んでいる)
ちなみにアレックスに裏切られて人間不信になって、ようやく自分(とパトリック)だけで自力で研究してみたが、早々に諦めた
…まあ、今まで何の結果も残せてなかったのに『不老不死』などという夢のまた夢みたいなものを作れるはずもないのだが。
というか何の成果も無い彼があっさり作れるのなら誰だって苦労はしてない。馬鹿でもわかる理屈である。
「計算高い人物」などと語られる事もあるが、そもそも自分の年齢と余命も計算に入れていない時点で俺はまだ本気だしてないだけな人と大差ない。


設定が公開されるまで徹底的に表舞台に出ず、散々引っ張っておいていざ登場すれば
先祖からの財産以外に自分に何もなくコンプレックスを持っていたと思われる状況で偉大な力に取りつかれて誇大妄想に溺れ
迷走しまくった挙句に自滅したという真実であり、多くのプレイヤーに肩透かしを食らわせた
事でより叩かれている面もある。

ただし、この俗物さ、力に振り回される愚かさが悲劇や惨劇を招いたのは紛れもない事実。
ある意味バイオシリーズの黒幕に相応しい人間であるともいえる。
(またメタ的に言えばこれぐらい無能でない限り、プレイヤー側に付け入るスキがなくアンブレラを止める事が不可能になる)


そんな彼だが、なんと最新作「バイオハザードRE:3」に収録されるサバイバル対戦ゲーム「バイオハザードレジスタンス」にてプレイヤーキャラクターとして登場
実験施設からの脱出を目指す「サバイバー」と対立する、彼らの脱出を阻む「マスターマインド」として活躍する。ようやく実装された日本語ボイスは二又一成氏。
以下は公式でのキャラクター紹介文。

オズウェル・E ・スペンサーはアンブレラ総帥という立場でありながら、老衰していくだけの日々に嫌気がさしていた。
ウィルスが脳に変異をもたらす、そんなアレックスの報告に興味を示し、自ら実験を執り行うという退屈しのぎを始める。
その老獪さから、どんな状況下でも最善の選択が可能な神がかった存在であり、被験者達を絶対的に脅かす。

・・・ほんとう?

+ 外伝作なのでキャラ性能は格納
サバイバーの足止めを行うパッシブスキルに加えて、「コストを稼ぐ」「コストを踏み倒す」パッシブスキルや専用カードを持つ。
…ちなみに他のマスターはウイルスの研究者であるが故のゾンビの強化やら、戦地を経験したが故の銃器の強化やらを持っている。
だがそれにも関わらず、こいつはやっぱりカネ(コスト)にものを言わせた成金キャラであったのだった。
そんな関係上、ゾンビを召喚しようにも、罠や銃器を複数展開しようにも、そのまま扱うだけでは他の特化キャラの劣化でしかない。
しかしゲームを熟知し、得られたコストを最大限に活用する神がかった采配が可能なプレイヤーが扱えば、まさに異次元な強さを誇るのだ。
要するに財力だけの無能で結局はプレイヤー頼みだという公式からの追い打ち…



追記・修正は、始祖ウィルスによる新人類の創造して、新世界創生に立ち会う神になってからお願いします。

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最終更新:2024年04月11日 15:59

*1 ちなみにエドワードはアンブレラ社での地位も高かった事から、恐らく共同出資者ではないかと思われる。

*2 ちなみにスペンサーが洋館建設を依頼したのはまだ始祖花が発見される前なので、当初は純粋に別荘として頼んでいたのかもしれない。

*3 のちのバイオハザード6では、アメリカ合衆国の現大統領であったアダム・ベンフォードが世界中を脅威にさらし続けるバイオテロに歯止めをかけるべく、ラクーン事件の真相の公表を決意していたが、滅菌作戦に関わっていたとある人物の手によって口封じされている。

*4 おそらくはウェスカーがリークしたと思われる

*5 バーキンに関しては彼が独自にアメリカとG-ウィルスの兵器売買交渉を行おうとしたためであった…がRe2において別の担当に権限とGウィルスの譲渡を迫られており(実質的な横取り)更にスパイも多数送り込まれていた事から自身もマーカスと同じ目に合うと考え、身を守る為の行動であった事が判明した。要は他の謀殺者と状況は同じ。

*6 バーキン博士の動物実験による検証の結果、70%の確率で死亡前よりも身体能力が発達した強化蘇生、20%の確率で強化等が起きない通常蘇生、残り10%で蘇生しない。48歳になっても身体能力が衰えず若々しいままと老化抑制作用もある。

*7 小説などでは殺される事も蘇生する事も織り込み済みでタイラント接触前に投与したとされているが、あまりに運頼みのリスキーでウェスカーらしくもなく正史では死の直前とされている。

*8 バイオテロ「テラグリジア・パニック」でウィルスに汚染された海域の海底に沈んだ工作船クイーン・ディード号船内に同志と共に取り残され、周辺環境故に脱出は不可能。沈没を逃れたエリアも僅かしかなく空気も有限で、沈没時の状況から食料等も殆ど無かったと思われる